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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】風力タービン用のナセル
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/70 20160101AFI20220912BHJP
   F16C 17/10 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
F03D80/70
F16C17/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021531249
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 AT2019060426
(87)【国際公開番号】W WO2020118334
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】A51114/2018
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】315015564
【氏名又は名称】ミバ・グライトラーガー・オーストリア・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】グンター ハーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス セバスティアン ヘルツル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ライセンベルガー
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/191163(WO,A1)
【文献】特開2010-151207(JP,A)
【文献】特開2003-176822(JP,A)
【文献】特開昭59-054812(JP,A)
【文献】特開平07-293556(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014205637(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
F16C 17/00-17/26
F16C 21/00-27/08
F16C 33/00-33/28
F16C 35/00-39/06
F16C 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(1)用のナセル(2)のナセルハウジング(4)にロータハブ(6)を軸承するためのロータ軸受(8)であって、
ロータ軸受(8)が少なくとも1つの内側のリング要素(12)と少なくとも1つの外側のリング要素(13)とを有し、
内側のリング要素(12)と外側のリング要素(13)の間に少なくとも1つの滑り軸受要素(14、15)が配置され、
滑り軸受要素が前記内側のリング要素(12)又は前記外側のリング要素(13)に取り付けられ、
前記滑り軸受要素(14、15)に滑り面(19)が形成され、該滑り面がカウンター面(22)と協働し、該カウンター面が、前記滑り軸受要素(14、15)が取り付けられていないリング要素(12、13)と結合されている、ロータ軸受(8)において、
前記カウンター面(22)が撓むことができるように形成されている、ことを特徴とするロータ軸受(8)。
【請求項2】
前記カウンター面(22)はばね要素(27)と結合され、該ばね要素は、前記滑り軸受要素(14、15)が取り付けられていないリング要素(12、13)に結合されている、ことを特徴とする請求項1に記載のロータ軸受(8)。
【請求項3】
前記カウンター面(22)は形成されていないリング要素(12、13)の一部分が可撓性の領域(26)を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロータ軸受(8)。
【請求項4】
前記内側のリング要素(12)と前記外側のリング要素(13)の両方はV字形状に形成され、
軸方向に互いに離隔して第1の滑り軸受要素(14)と第2の滑り軸受要素(15)とが形成され、
滑り軸受要素(14、15)が内側のリング要素(12)と外側のリング要素(13)との間に配置され、
前記カウンター面(22)は配置されているリング要素(12、13)に第1のフランク部(23)と第2のフランク部(24)が形成され、
2つのフランク部(23、24)の各々に前記カウンター面(22)の1つが配置され、前記フランク部(23、24)はそれぞれ弾性的に撓むように形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のロータ軸受(8)。
【請求項5】
前記カウンター面(22)はジョイント(28)によって前記リング要素(12、13)と撓むように結合されている、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のロータ軸受(8)。
【請求項6】
前記カウンター面(22)はフレキシブルな構造(30)に配置され、前記カウンター面(22)がそれ自体撓むように形成されている、ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のロータ軸受(8)。
【請求項7】
前記フレキシブルな構造(30)は層(32)を有し、前記層は0.1mmと15mmの間層厚(33)を有し、前記層(32)に前記カウンター面(22)が形成され、前記層(32)の下方に支持クッション(34)が形成されている、ことを特徴とする請求項6に記載のロータ軸受(8)。
【請求項8】
前記支持クッション(34)が粘性の材料を有している、ことを特徴とする請求項7に記載のロータ軸受(8)。
【請求項9】
風力タービン(1)用のナセル(2)であって、
前記ナセル(2)は、
ナセルハウジング(4)と、
ロータハブ(6)と、
該ロータハブ(6)を前記ナセルハウジング(4)に軸承するためのロータ軸受(8)と、を有するナセル(2)において、
前記ロータ軸受(8)は請求項1~8の何れか一項にしたがって形成されている、ことを特徴とするナセル(2)。
【請求項10】
ナセル(2)を有する風力タービン(1)であって、
前記ナセル(2)は、
ナセルハウジング(4)と、
ロータハブ(6)であって、ロータハブ(6)に配置されたロータブレードを有するロータハブ(6)と、
前記ロータハブ(6)を前記ナセルハウジング(4)で軸承するためのロータ軸受(8)と、を有する風力タービン(1)において、
前記ロータ軸受(8)は請求項1~8の何れか一項にしたがって形成されている、ことを特徴とする風力タービン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービン用のナセルのナセルハウジングにロータハブを軸承するためのロータ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、様々なロータ軸受が知られている。ロータ軸受は、たとえば特許文献1から知られている。これらの既知のロータ軸受において、ロータ軸受に作用するチルティングトルクに基づいて内側のリング要素が外側のリング要素に対して傾いた場合に、滑り軸受要素の局所的な過負荷がもたらされる、という問題が生じる。これが、滑り軸受要素の摩耗を高め、もしくはその結果としてその寿命を減少させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】オーストリア特許第509625(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服して、より長い寿命を有するロータ軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、特許請求の範囲に記載の装置と方法によって解決される。
【0006】
本発明によれば、風力タービン用のナセルのナセルハウジングにロータハブを軸承するためのロータ軸受が設けられている。ロータ軸受は、少なくとも1つの内側のリング要素と少なくとも1つの外側のリング要素とを有し、内側のリング要素と外側のリング要素の間に少なくとも1つの滑り軸受要素が配置され、それが内側のリング要素に、又は外側のリング要素に取り付けられている。滑り軸受要素に滑り面が形成されており、その滑り面がカウンター面と協働し、そのカウンター面は、滑り軸受要素が取り付けられていないリング要素と結合されている。カウンター面は撓むことができるように形成されている。
【0007】
本発明に係るロータ軸受は、カウンター面が滑り軸受要素の滑り面に適合することができる、という利点を有する。それによって滑り軸受要素の滑り面はカウンター面に全面で適合することができ、それによって滑り軸受要素の局所的な過負荷を回避することができる。それによって特に、滑り軸受要素の寿命を高めることができる。カウンター面が撓むことができるように形成されていることは、特にカウンター面が滑り軸受要素の滑り面にフレキシブルに適合できることを、意味している。特にカウンター面の可撓性は、特許文献1に記述されているような従来の配置の、材料に基づくわずかな弾性的可撓性を上回っており、その場合に可撓性を得るために、特に狭められた、ばね弾性を有する横断面またはそれに応じたジョイント結合が設けられている。
【0008】
さらに、カウンター面がばね要素と結合されており、そのばね要素が、滑り軸受要素が固定されていないリング要素に固定されていると、効果的であり得る。カウンター面がばね要素と結合されていることにより、ばね要素内の弾性的な材料変形によってカウンター面の可撓性を保証することができる。この種の実施変形例においては、別体のジョイント結合は不要である。
【0009】
さらに、カウンター面が形成されているリング要素の一部分が可撓性の領域を有することができる。その場合にカウンター面はリング要素に直接形成することができ、その場合に可撓性の領域によってカウンター面の柔軟性を得ることができる。たとえば、カウンター面は、リング要素の羽根形状の要素に形成することができ、その場合に羽根形状の要素はメインボディへの結合領域内でメインボディと弾性的に結合されている。羽根形状の要素は、フランク部と称することもできる。
【0010】
さらに、内側のリング要素も外側のリング要素もV字形状に形成することができ、かつ互いに軸方向に離隔して第1の滑り軸受要素と第2の滑り軸受要素が形成され、それらはリング要素の間に配置されており、その場合にカウンター面が配置されているリング要素に第1のフランク部と第2のフランク部が形成されており、その場合に2つのフランク部の各々にカウンター面の1つが形成されており、その場合に側面はそれぞれ弾性的に撓むように形成されている。
【0011】
ある形態も効果的であって、それによれば、カウンター面はジョイントによって撓むことができるようにリング要素と結合することができる。特にこの措置によって、カウンター面の柔軟性を向上させることができる。たとえば、カウンター面は薄い金属片に形成することができ、その場合に金属片はカウンター面とは逆の側において、リング要素とリンク結合されている。
【0012】
展開によれば、カウンター面はフレキシブルな構造に配置することが可能であるので、カウンター面はそれ自体撓むように形成することができる。これは、カウンター面が全体として撓むように形成される形態に対する代替変形例である。
【0013】
さらに、フレキシブルな構造が層を有し、その層が0.1mmと15mmの間、特に1mmと10mmの間、好ましくは2mmと4mmの間の層厚を有しており、その場合に層にカウンター面が形成されて、その場合に層の下方に支持クッションが形成されていると、効果的であり得る。この措置によって、カウンター面のフレキシブルな構造を得ることができ、その構造によって滑り軸受の過度な負荷を防止することができる。
【0014】
さらに、支持クッションは粘性の材料を有することができる。特にこのように形成された支持クッションは、発生する押圧力を良好に吸収し、もしくは分配することができるので、カウンター面は滑り面に適合することができ、かつカウンター面における、もしくは滑り面における均一な面プレスを得ることができる。
【0015】
さらに、第1のフランク部及び/又は第2のフランク部は、周面にわたって見てセグメント化して形成することができ、かつそれぞれ複数の側面セグメントを有することができる。
【0016】
さらに、ばね要素は、周面にわたって見てセグメント化して形成することができ、かつ複数のばね要素セグメントを有することができる。
【0017】
本発明によれば、風力タービン用のナセルが設けられている。
ナセルは、
ナセルハウジングと、
ロータハブと、
ロータハブをナセルハウジングに軸承するためのロータ軸受と、を有している。ロータ軸受は、上述した措置にしたがって形成されている。
【0018】
さらに本発明によれば、ナセルを有する風力タービンが設けられている。
ナセルは、
ナセルハウジングと、
ロータハブであって、このロータハブに配置されたロータブレードを有するロータハブと、
ロータハブをナセルハウジングに軸承するためのロータ軸受と、を有している。ロータ軸受は上述した何れか一項の請求項に基づいて形成されている。
【0019】
この明細書の主旨におけるナセルは、ナセルハウジングの他にロータハブとロータハブを軸承するためのロータ軸受とを有している。
【0020】
内側のリング要素もしくは外側のリング要素は、それぞれ自立した構成部分として形成することができ、それがロータハブ又はロータ軸シャフトと、もしくはナセルハウジングと結合することができる。その代わりに、内側のリング要素がロータハブもしくはロータシャフトの一体的な構成部分として形成されることも、考えられる。それに対して代替的に、外側のリング要素がロータハブもしくはロータシャフトの一体的な構成部分として形成されることも、考えられる。それに対して代替的に、内側のリング要素がナセルハウジングの一体的な構成部分として形成されることも、考えられる。その代わりに、外側のリング要素がナセルハウジングの一体的な構成部分として形成されることも、考えられる。
【0021】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0022】
図は、それぞれ著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は風力タービンの概略図である。
図2図2は概略的に示すナセルの横断面図である。
図3図3はロータ軸受の第2の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
図4図4はロータ軸受の第3の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
図5図5はロータ軸受の第4の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
図6図6はロータ軸受の第5の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
図7図7はロータ軸受の第6の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
図8図8はロータ軸受の第7の実施例を、図2の細部Xにおいて示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に記録しておくが、異なるように記述される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0025】
図1は、風のエネルギから電気エネルギを発生させるための風力タービン1を概略的に示しています。風力タービン1はナセル2を有しており、そのナセルがタワー3に回転可能に取り付けられている。ナセル2は、ナセルハウジング4を有し、それがナセル2のメイン構造を形成している。ナセル2のナセルハウジング4内に、たとえば風力タービン1のジェネレータのような、電気技術的要素が配置されている。
【0026】
さらにロータ5が形成されており、そのロータがロータハブ6とそれに配置されたロータブレード7を有している。ロータハブ6は、ナセル2の一部と見なされる。ロータハブ6は、ロータ軸受8によってナセルハウジング4に回転移動可能に支持されている。
【0027】
ロータハブ6をナセル2のナセルハウジング4に軸承するために用いられるロータ軸受8は、半径方向力9、軸力10及びチルティングトルク11を吸収するように形成されている。軸力10は、風の力によってもたらされる。半径方向力9は、ロータ5の自重によってもたらされ、かつロータ5の重心に作用する。ロータ5の重心がロータ軸受8の外部にあるので、ロータ軸受8内には半径方向力9によってチルティングトルク11がもたらされる。チルティングトルク11は、同様に、ロータブレード7の不均一な負荷によってももたらされることがある。
【0028】
本発明に係るロータ軸受8は、たとえば0.5mと5mの間の直径を有することができる。もちろんロータ軸受8がもっと小さいことも、もっと大きいことも、考えられる。
【0029】
図2には、ナセルハウジング4とロータハブ6が、概略的な断面表示で示されており、その場合に構造、特にその寸法は、著しく概略化されている。図2から明らかなように、ロータ軸受8は、少なくとも1つの内側のリング要素12と少なくとも1つの外側のリング要素13とを有している。内側のリング要素12と外側のリング要素13の間に、少なくとも1つの滑り軸受要素14、15が配置されている。特に内側のリング要素12と外側のリング要素13の間に、第1の滑り軸受要素14と第2の滑り軸受要素15を配置することができる。
【0030】
図2から明らかなように、内側のリング要素12はロータハブ6と結合することができる。特に、ロータシャフト16にロータハブ6が配置されている。内側のリング要素12はロータシャフト16に直接取り付けることができる。
【0031】
図示されない他の実施例においては、もちろん、内側のリング要素12をロータハブ6に直接取り付けることができる。
【0032】
さらに他の図示されない実施例においては、もちろん、内側のリング要素12をナセルハウジング4に固定し、ロータハブ6を外側のリング要素13と結合することもできる。
【0033】
図2から明らかなように、内側のリング要素12も外側のリング要素13もV字状に形成することができ、かつそれぞれ2つのリング要素12、13の間のV字状の側面に、軸方向に互いに離隔して2つの滑り軸受要素14、15を形成することができる。特に、2つの滑り軸受要素14、15は、互いに対して角度17を成して配置することができる。
【0034】
図2から明らかなように、1つの実施例においては、滑り軸受要素14は取付手段18によって内側のリング要素12に取り付けることができる。したがって滑り軸受要素14、15と外側のリング要素13との間に滑り面19を形成することができる。滑り軸受要素14、15が図2に示すように配置されている場合に、滑り面19は同様にV字状に形成することができる。
【0035】
図示されない実施変形例において、滑り軸受要素14、15は2つのリング要素12、13の間のラジアル軸受、及び/又はアキシャル軸受として形成することもできる。
【0036】
図2から同様に明らかなように、内側のリング要素12は、ロータ軸受8の組み立てを容易にするために、その軸方向に関して分割して形成することができる。
【0037】
図示されない実施例においては、もちろん、内側のリング要素12が、図2に示される実施例におけるように溝を形成せず、V形状の配置を逆にして形成されるので、内側のリング要素12にV字形状の突出部が形成されること考えられる。この場合においては、組み立てを容易にするために、外側のリング要素13がその軸方向において分割して形成されることも可能である。
【0038】
特に、滑り軸受要素14、15はロータ軸線20の周りに配置することができる。
【0039】
さらに、滑り軸受要素14、15が複数の滑り軸受パッド21を有することができ、それらが周面にわたって分配して配置されている。個々の滑り軸受パッド21は、取付手段18によって内側のリング要素12と結合することができ、もしくはそれに固定することができる。特に個々の滑り軸受パッド21は取付手段18によって互いに独立して内側のリング要素12から取り外し可能とすることができる。それによって個々の滑り軸受パッド21は個別かつ互いに独立してその駆動位置から動かされ、及び/又は互いに独立に交換されることができる。
【0040】
図2からさらに明らかなように、この実施例において外側のリング要素13にカウンター面22が形成されており、それが滑り面19と協働する。さらにこの実施例から明らかなように、外側のリング要素13に第1のフランク部23と第2のフランク部24を形成することができ、そのフランク部にそれぞれカウンター面22が配置されている。特に、第1のフランク部23及び第2のフランク部24によって外側のリング要素13のV字状の構造が実現されている。
【0041】
さらに、フランク部23、24の材厚は、フランク部23、24が弾性的に撓むように形成されるように、小さく選択することができる。
【0042】
図3には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1と2におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1と2における詳細な説明を参照するよう指示し、もしくは参照する。
【0043】
図3から明らかなように、外側のリング要素13の一部分、特にフランク部23、24の一部分が可撓性の領域26を有しており、その領域は、フランク部23、24が全体として可撓性に形成されるように、形成されている。可撓性の領域26は、たとえばフランク部23、24の横断面を狭くすることによって形成することができる。
【0044】
図4には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1~3におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1~3における詳細な説明に示され、その説明が参照される。
【0045】
図4から明らかなように、カウンター面22が形成されている2つのフランク部23、24は、自立した構成部品の形式で形成することができ、それらがばね要素27によって外側のリング要素13と結合されている。ばね要素27によって、フランク部23、24を外側のリング要素13にフレキシブルに結合することができる。特にこのような実施例において、第1のフランク部23及び/又は第2のフランク部24は、環状にわたって見てセグメント化して形成することができ、かつそれぞれ複数のフランク部セグメントを有することができる。それと同様にして、ばね要素27も同様に環状にわたって見てセグメント化して形成することができ、かつ複数のばね要素セグメントを有することができる。特に、フランク部セグメントとばね要素セグメントの分割は、等しく選択することができるので、それぞればねセグメントにブランク部要素が支持される。
【0046】
図5には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1~4におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1~4における詳細な説明に示され、その説明が参照される。
【0047】
図5から明らかなように、第1のフランク部23もしくは第2のフランク部24は、それぞれジョイント28によって外側のリング要素13と結合することができ、したがってカウンター面22の可撓性を得ることができる。その場合にフランク部23、24は、同様にセグメント化して形成することができる。
【0048】
図6には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1~5におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1~5における詳細な説明に示され、その説明が参照される。
【0049】
図6は、ロータ軸受の他の実施形態を示している。図6から明らかなように、フランク部23、24のセグメント化された形態において、それぞれ環状の支持要素29が設けられており、その支持要素にカウンター面22が形成されている。環状の支持要素29は、カウンター面22のつながった表面を得ることができ、それによって滑り軸受要素14、15の摩耗を減少させることができる、という利点をもたらす。この種の支持要素29は、もちろん、セグメント化されたフランク部23、24が設けられる、すべての実施変形例において、使用することができる。
【0050】
図7には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1~6におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1~6における詳細な説明に示され、その説明が参照される。
【0051】
図7から明らかなように、外側のリング要素13内に直接的にフレキシブルな構造30を形成することができ、その構造によってカウンター面22はそれ自体撓むように形成することができる。特に、第1のフランク部23内、又は第2のフランク部24内に空所31を形成することができ、その空所は層32によって覆われており、その層にカウンター面22が形成されている。その場合に層32の層厚33は、層32がそれ自体変形可能に形成されるように、小さく選択されている。層32を支持することができるようにするために、空所31内に支持クッション34を配置することができ、その支持クッションによって層32に作用する押圧力を均一に分配することができる。支持クッション34は、たとえばジェルにより、あるいは流体によって形成することができ、もしくはそれを有することができる。
【0052】
図8には、図2の細部Xにおいて、他の、場合によってはそれ自体自立した、ロータ軸受8の実施形態が示されており、その場合にここでも先行する図1~7におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する図1~6における詳細な説明に示され、その説明が参照される。
【0053】
図8から明らかなように、支持クッション34は、第1のフランク部23に、もしくは第2のフランク部24に直接配置することができ、かつ支持クッション34に層32を配置し、もしくは形成することができる。この種の実施例において、層32は、たとえばゴムのような、軟弾性的な材料から形成することができる。層32は、たとえば金属の形式で形成することができ、それが支持クッション34に配置されている。
【0054】
それに対して代替的に、層32はその他の材料から形成することもでき、それが支持クッション34上に設けられる。たとえば層32は、滑り塗料の形式で形成することができ、それが支持クッション34上に塗布される。その場合に特に、層32の材料は変形可能に形成することができる。
【0055】
図2~8に示す実施例において、カウンター面22は外側のリング要素13に配置されており、かつ滑り面19は内側のリング要素12に配置されている。これらの個々の実施変形例と同様に、もちろん、カウンター面22を内側のリング要素12に配置し、かつ滑り面19を外側のリング要素13に配置することもできる。内側のリング要素12と外側のリング要素13の間でしかるべく反転された状況を、図示される実施例から導き出すことは、当業者の裁量の範囲内である。
【0056】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0057】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0058】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1から1.7、または3.2から8.1、あるいは5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0059】
最後に形式的に指摘しておくが、構造を理解しやすくするために、構成要素は一部縮尺どおりではなく、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【符号の説明】
【0060】
1 風力タービン
2 ナセル
3 タワー
4 ナセルハウジング
5 ロータ
6 ロータハブ
7 ロータブレード
8 ロータ軸受
9 半径方向力
10 軸力
11 チルティングトルク
12 内側のリング要素
13 外側のリング要素
14 第1の滑り軸受要素
15 第2の滑り軸受要素
16 ロータシャフト
17 角度
18 取付手段
19 滑り面
20 ロータ軸線
21 滑り軸受パッド
22 カウンター面
23 第1のフランク部
24 第2のフランク部
25 フランク部の厚み
26 可撓性の領域
27 ばね要素
28 ジョイント
29 支持要素
30 フレキシブルな構造
31 空所
32 層
33 層厚
34 支持クッション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8