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  • 特許-車両ドア用ロックノブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】車両ドア用ロックノブ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/08 20140101AFI20220913BHJP
   E05B 79/22 20140101ALI20220913BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
E05B85/08
E05B79/22 B
B60J5/00 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019174912
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021050557
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】大橋道夫
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-168260(JP,U)
【文献】特開2016-223185(JP,A)
【文献】特開2009-275371(JP,A)
【文献】実開昭62-103949(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0186458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
F16C 1/00- 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに上下方向にスライド可能に支持され、アンロック位置とロック位置に移動可能であると共に、上部が閉塞し、下部が開口した筒状の合成樹脂製のキャップと、
前記キャップの内部空間に自体の外側面の少なくとも一部が前記内部空間の内部壁面に接触する状態で挿入されたガイドブロックと、
一端部に前記ガイドブロックを上下動不能に固定した状態で、前記一端部が前記キャップに連結され、他端部が前記ドアに設けられるロック装置のロック機構に連結されることにより、前記キャップのスライド動作を前記ロック機構に伝達可能な金属製のケーブルと、を備え、
前記ケーブルは、前記一端部の先端が前記ガイドブロックの前記外側面よりも外方へ突出し、前記先端が前記キャップの前記内部壁面に係合することにより、前記キャップに連結されることを特徴とする車両ドア用ロックノブ装置。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記一端部が斜め下方に折曲されて、前記先端が斜め上方から前記キャップの前記内部壁面に食い込み係合することを特徴とする請求項1記載の車両ドア用ロックノブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドア用ロックノブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体に開閉可能に支持されたドアの室内側を形成するトリムに上下方向へスライド可能に支持されると共に、ドアに設けられるロック装置にワイヤを介して連結されるロックノブ装置が記載されている。ロックノブ装置は、上下方向にスライドすることによりロック装置をアンロック状態及びロック状態に切り替え操作可能であって、トリム面から突出するアンロック位置及びトリム面と略面一となるロック位置に移動可能である。
【0003】
特許文献1に記載のロックノブ装置は、ロック装置に自身の操作力を伝達するためのケーブルに連結されると共に、ドアのトリムに上下方向にスライド可能に支持され、スライドすることによりロック装置を操作する本体部と、本体部がトリムに対して所定位置に位置するときにトリムから上方に突出し、かつ自身の内部空間に対して本体部が下方から挿入される筒状のキャップとの2部品に分割した構成とすることで、トリムから突出するキャップを複数種類の車両毎に適した意匠にできるため、キャップの意匠性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6497221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のロックノブ装置は、キャップの内周面に取付孔を形成し、本体部がキャップの内部空間に挿入されたときに、本体部の外周面に設けた係合爪が取付孔に対して上下方向に係合することによって、キャップを本体部を介してケーブルに連結する構成で、かつキャップ及び本体部が合成樹脂製であるため、キャップの取付孔に対する本体部の係合爪の係合が合成樹脂同士の係合となることから、特に温度変化に伴う経年変化等により、合成樹脂同士の係合が不確実になり、本体部に対するキャップのガタ付きが発生し、これが原因となって、キャップとケーブルとの間に遊びが発生して、キャップの操作を確実にケーブルに伝達できなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、キャップに対するケーブルの連結を確実に行うことができるようにした車両ドア用ロックノブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
本発明における車両ドア用ロックノブ装置は、ドアに上下方向にスライド可能に支持され、アンロック位置とロック位置に移動可能であると共に、上部が閉塞し、下部が開口した筒状の合成樹脂製のキャップと、前記キャップの内部空間に自体の外側面の少なくとも一部が前記内部空間の内部壁面に接触する状態で挿入されたガイドブロックと、一端部に前記ガイドブロックを上下動不能に固定した状態で、前記一端部が前記キャップに連結され、他端部が前記ドアに設けられるロック装置のロック機構に連結されることにより、前記キャップのスライド動作を前記ロック機構に伝達可能な金属製のケーブルと、を備え、前記ケーブルは、前記一端部の先端が前記ガイドブロックの前記外側面よりも外方へ突出し、前記先端が前記キャップの前記内部壁面に係合することにより、前記キャップに連結されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記ケーブルは、前記一端部が斜め下方に折曲されて、前記先端が斜め上方から前記キャップの前記内部壁面に食い込み係合する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、金属製のケーブルの一端部にガイドブロックを固定した状態で、ケーブルの一端部の先端が合成樹脂製のキャップの内部壁面に係合することで、ケーブルの一端部をキャップに連結する構成であるから、キャップに対するケーブルの連結を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る車両ドア用ロックノブ装置を設けたドアの側面図である。
図2図1におけるII-II線縦断面図である。
図3図1におけるIII-III線横断面図である。
図4】車両ドア用ロックノブ装置の分解斜視図である。
図5】ケーブルの一端部にガイドブロックを固定した状態の斜視図である。
図6】キャップの組付け状況を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示す車両のドアDは、車体(図示略)に開閉可能に支持される。ドアDには、車体側に固定されたストライカ(図示略)に噛合することで、ドアDを閉鎖位置に保持するロック装置Lが設けられる。ドアDの室内側には、ロック装置Lをアンロック状態又はロック状態に切り替える際に操作されるロックノブ装置1が設けられる。
【0013】
ロック装置Lは、ロック状態及びアンロック状態に切り替え可能なロック機構(図示略)を備える。アンロック状態とは、ドアDの外側面に設けられるドア開操作用のアウトサイドハンドルOH又はドアDの室内側に設けられるインサイドハンドル(図示略)の開操作により、ロック装置Lとストライカとの噛合を解除してドアDを開けることが可能な状態を指す。ロック状態とは、アウトサイドハンドルOHを開操作しても、ロック装置Lとストライカとの噛合を解除不能としてドアDを開けることができない状態を指す。
【0014】
図2に示すように、ロックノブ装置1は、ドアDの室内側の側面に固定されるトリムT(又はドアD)に固定される円筒状のグロメット2に上下方向にスライド可能に挿入されるキャップ3と、キャップ3のスライド動作をロック装置Lのロック機構に伝達可能なボーデンケーブル4と、キャップ3に対するボーデンケーブル4の後述のケーブル42の連結を確実にし、かつ連結作業を容易にするためのガイドブロック5とを備える。
【0015】
グロメット2は、合成樹脂製であって、上下方向を向く円筒状の筒状部21と、当該筒状部21の上端に一体形成される鍔部22とを有し、鍔部22がトリムTの上面に露出した形態で、筒状部21がトリムTの上面に穿設された固定用孔T1に固定される。好ましくは、グロメット2は、鍔部22の裏面と、筒状部21の上部外周面に設けられた複数の爪部21aとの間に、トリムTにおける固定用孔T1の周縁を上下から挟み込むことで固定される。
【0016】
グロメット2の内部には、上下方向に貫通するガイド孔21bが設けられる。ガイド孔21bには、キャップ3が上下方向へスライド可能に挿入される。
【0017】
グロメット2の筒状部21の下部には、互いに周方向に180度離間すると共に、筒状部21の径方向へ弾性変形可能な一対の係合アーム21cが設けられる。一対の係合アーム21cの下端部には、互いに対向し、かつ筒状部21の中心側に突出する係合部21dが設けられる。
【0018】
キャップ3は、上部が閉塞され、下部が開口した円筒状を呈する合成樹脂製であって、ボーデンケーブル4のケーブル42を介してロック装置Lのロック機構に連結されることにより、上部がグロメット2のガイド孔21bから所定量上方に突出したアンロック位置(図2に2点鎖線で示す位置)と、上部がグロメット2の鍔部22の表面と略面一となるロック位置(図2に実線で示す位置)とに移動可能である。キャップ3がアンロック位置にある場合には、ロック装置Lのロック機構がアンロック状態にあり、キャップ3がロック位置にある場合には、ロック装置Lのロック機構がロック状態にある。
【0019】
ボーデンケーブル4は、可撓性を有する材料によって形成される長尺のアウタチューブ41と、アウタチューブ41内に軸線方向へスライド自在に挿通される金属製のケーブル42とにより構成される。好ましくは、ケーブル42は、弾性力を有するステンレス鋼等で形成される。
【0020】
ガイドブロック5は、合成樹脂製であって、ケーブル42の一端部である上端部に固定された状態で、ケーブル42の上端部と共にキャップ3の内部空間31に挿入される。好ましくは、ガイドブロック5は、グロメット2の下部に設けられる一対の係合アーム21c、21c間の間隙からグロメット2のガイド孔21bに挿入可能な大きさ及び形状を呈し、かつケーブル42の上端部に固定された上端において、少なくとも自身の上端面がキャップ3の内部空間31の上面に接触し、少なくとも自身の後側面(図2、3において右側面)がキャップ3の内部空間31の内周面に接触することで、ガイド孔21b内でガタ付きがないように挿入されて固定される。
【0021】
ガイドブロック5には、自身をケーブル42の上端部に固定するための上抑え部51、下抑え部52及び複数の横抑え部53が設けられる。
【0022】
図5に示すように、上抑え部51は、ガイドブロック5の上部に形成されて、ケーブル42の上端部に設けた後述の鈎部42aの上端及びその側部に被さることで、ガイドブロック5に対するケーブル42の上端部の上方及び横方向のガタ付きを阻止する。
【0023】
下抑え部52は、上抑え部51の下方に形成されて、ケーブル42の鈎部42aの下面に当接することで、ガイドブロック5に対するケーブル42の上端部の下方へのガタ付きを阻止する。
【0024】
複数の横抑え部53は、ガイドブロック5の側面に上下方向に沿って千鳥状に形成されて、ケーブル42の上端部における直線部42cを前後、左右方向から挟み込むことで、ガイドブロック5に対するケーブル42の上端部の前後及び左右方向へのガタ付きを阻止する。
【0025】
ガイドブロック5の前側面(図2、3において左側面)には、ケーブル42の鈎部42aの先端42bをガイドブロック5の前側面から前方へ突出させるための開口部54が形成される。
【0026】
ボーデンケーブル4は、上述のようにアウタチューブ41と金属製のケーブル42とにより構成される。図2、6に示すように、アウタチューブ41の上端部は、当該上端部外周に形成された環状溝41aにグロメット2の係合アーム21cの係合部21dが係合することにより、グロメット2に対して上下方向に移動不能に固定される。アウタチューブ41の下端部は、ロック装置Lの不動のベース(図示略)に固定される。
【0027】
アウタチューブ41の上端から上方へ突出した金属製のケーブル42の上端部には、斜め下方に折曲された略倒立V字状の鈎部42aが形成される。
【0028】
ケーブル42の上端部は、鈎部42aの上端及びその側部にガイドブロック5の上抑え部51が被さり、鈎部42aの下面に下抑え部52が下方から当接し、かつ直線部42cが複数の横抑え部53に前後、左右方向から挟み込まれることで、ガイドブロック5に対して上下方向及び横方向に移動不能に固定される。
【0029】
ケーブル42の鈎部42aは、ケーブル42の上端部に固定したガイドブロック5と共にキャップ3の内部空間31に挿入された状態において、自身の先端42bがガイドブロック5の前側面から突出して、キャップ3の内部壁面32に食い込み係合することで、ケーブル42の上端部とキャップ3とを互いに連結する。ケーブル42における鈎部42aの先端42bは、合成樹脂製のキャップ3よりも硬度が高い金属製であるため、キャップ3の内部壁面32に対して確実に食い込み係合する。さらには、鈎部42aは、斜め下方に折曲されているため、先端42bがキャップ3の内部壁面32に一旦食い込み係合することで、キャップ3の内部空間31から抜け出ることはない。なお、ケーブル42の他端部である下端部は、ロック装置Lのロック機構に連結される。
【0030】
次に、ロックノブ装置1のドアDに対する取り付け方法を説明する。
先ず、図5に示すように、予め、ガイドブロック5をボーデンケーブル4のケーブル42の上端部に固定する。次に、車両製造メーカの車両組立工程において、ロック装置LをドアDに組み付けた後、ロック装置Lのロック機構に連結されたボーデンケーブル4のケーブル42の上端部をガイドブロック5と共に、ドアD又はトリムTに固定されているグロメット2のガイド孔21b内に、図4に矢印で示すように下方から挿入する。この作業は、ロック装置Lのロック機構をロック状態にした状態で行われる。
【0031】
続いて、ケーブル42の上端部をガイドブロック5と共にグロメット2のガイド孔21b内に下方から挿入した状態で、アウタチューブ41の上端部を、グロメット2の一対の係合アーム21cを外側に弾性変形させつつ一対の係合部21d間に挿入する。図6に示すように、アウタチューブ41が所定量挿入された時点で、グロメット2における係合アーム21cの係合部21dがアウタチューブ41の環状溝41aに弾性係合する。これにより、アウタチューブ41の上端部は、グロメット2に対して上下方向に移動不能に固定される。また、ケーブル42の上端部に固定されたガイドブロック5は、アウタチューブ41がグロメット2に固定されることで、図6に示すように、キャップ3のロック位置に相当する位置に止まる。
【0032】
続いて、図6に示す状態で、車両毎に用意された意匠のキャップ3を、グロメット2の上方から内部空間31内にガイドブロック5を挿入させつつグロメット2のガイド孔21b内に挿入し、図2に示すように、ガイドブロック5の上端面がキャップ3の内部空間31の上面に当接する位置まで押し込む。これにより、キャップ3の組付け位置であるロック位置が定まると共に、ガイドブロック5の前面から突出しているケーブル42における鈎部42aの先端42bがキャップ3の内部壁面32に食い込み係合することで、ケーブル42の上端部をキャップ3に簡単かつ確実に連結することができる。
【0033】
以上説明したように本実施形態のロックノブ装置1は、次のような作用効果を奏する。
キャップ3とガイドブロック5とを互いに別部材により構成することで、キャップ3の意匠性を高めることができる。
【0034】
キャップ3の内部空間31に、ケーブル42の上端部をガイドブロック5と共に挿入することで、金属製のケーブル42の鈎部42aの先端42bが合成樹脂製のキャップ3の内部壁面32に食い込み係合した状態で、ケーブル42の上端部がキャップ3に連結されるものであるから、キャップ3に対するケーブル42の上端部の連結作業を容易にし、かつケーブル42の上端部をガタ付きなく確実にキャップ3に連結できる。これにより、キャップ3のスライド動作をケーブル42を介してロック機構に確実に伝達できる。
【0035】
ケーブル42の鈎部42aを斜め下方に折曲した構成としたため、キャップ3の内部空間31に対する鈎部42aの挿入を容易にし、かつキャップ3の内部壁面32に対する鈎部42aの先端42bの係合を確実にすることができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)ガイドブロック5をインサート成形等によりケーブル42の上端部に形成する。
(b)キャップ3の内部壁面32に、ケーブル42の鈎部42aの先端42bがキャップ3の抜け方向に対して係合する環状溝を上下方向に多数形成する。このようにすると、ケーブル42の鈎部42aの先端42bがキャップ3の内部壁面32により確実に係合可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 ロックノブ装置 2 グロメット
21 筒状部 21a 爪部
21b ガイド孔 21c 係合アーム
21d 係合部 22 鍔部
3 キャップ 31 内部空間
32 内部壁面 4 ボーデンケーブル
41 アウタチューブ 41a 環状溝
42 ケーブル 42a 鈎部
42b 先端 42c 直線部
5 ガイドブロック 51 上抑え部
52 下抑え部 53 横抑え部
54 開口部 L ロック装置
D ドア OH アウトサイドハンドル
T トリム T1 固定用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6