(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】逆入力遮断クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 41/10 20060101AFI20220913BHJP
F16D 41/08 20060101ALI20220913BHJP
F16D 43/02 20060101ALI20220913BHJP
F16D 51/22 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F16D41/10
F16D41/08 A
F16D43/02
F16D51/22 A
(21)【出願番号】P 2018023700
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大黒 優也
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03335831(US,A)
【文献】米国特許第01954467(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00933888(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/08-41/10
F16D 43/00-43/30
F16D 51/00-51/70
F16D 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記付勢部材は、前記出力係合カムを径方向に貫通するように形成された案内孔内に配置されており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項2】
前記遠近方向に直交する方向に互いに離隔して配置された1対のガイド壁部が、前記1対の係合子を挟むように設けられており、それぞれが前記ガイド面に相当する、前記1対のガイド壁部の内側面と前記1対の係合子の外側面とにより前記ガイド機構が構成されている、
請求項1に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項3】
前記1対の係合子は、同形及び同大の同一部品である、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項4】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記1対の係合子のうちの一方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長しかつ前記遠近方向に直交する方向に互いに離隔した1対のガイド片が設けられており、それぞれが前記ガイド面に相当する、前記1対のガイド片の内側面と、前記1対のガイド片同士の間に配置された前記1対の係合子のうちの他方の係合子の外側面とにより、前記ガイド機構が構成されており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項5】
前記他方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長しかつ前記遠近方向に直交する方向に互いに離隔した1対の副ガイド片が設けられており、前記1対の副ガイド片の外側面が、前記ガイド面に相当し、前記他方の係合子の外側面の一部を構成している、
請求項4に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項6】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記1対の係合子の底面の互いに対向する部分に、1組のガイド凹部が設けられており、前記1組のガイド凹部の内側に前記遠近方向に配置されたガイド部材の両端部がそれぞれ挿入されており、前記ガイド凹部の内面及び前記ガイド部材の端部の外面のそれぞれが、前記ガイド面に相当し、前記1組のガイド凹部と前記ガイド部材とにより前記ガイド機構が構成されており、
前記付勢部材は、前記ガイド部材の中間部の周囲に配置されており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項7】
前記1組のガイド凹部と前記ガイド部材とにより構成される前記ガイド機構が、前記出力係合カムを挟んで両側にそれぞれ設けられている、
請求項6に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項8】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記1対の係合子の底面の互いに対向する部分に、1組のガイド凹部が設けられており、前記出力係合カムを前記遠近方向に貫通するように形成された貫通孔内に配置されたガイド部材の両端部が、前記1組のガイド凹部の内側にそれぞれ挿入されており、前記ガイド凹部の内面及び前記ガイド部材の端部の外面のそれぞれが、前記ガイド面に相当し、前記1組のガイド凹部と前記ガイド部材とにより構成される前記ガイド機構が、径方向中央部に設けられており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項9】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記1対の係合子のうちの一方の係合子の底面に、ガイド凹部が設けられており、前記1対の係合子のうちの他方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長し、少なくとも先端部が前記ガイド凹部の内側に挿入されたガイド凸部が設けられており、前記ガイド凹部の内面及び前記ガイド凸部の外面のそれぞれが前記ガイド面に相当し、前記ガイド凹部と前記ガイド凸部とにより前記ガイド機構が構成されており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項10】
前記ガイド凹部と前記ガイド凸部とにより構成される前記ガイド機構が、前記出力係合カムを挟んで両側にそれぞれ設けられている、請求項9に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項11】
前記ガイド凹部と前記ガイド凸部とにより構成される前記ガイド機構が、径方向中央部に設けられており、前記ガイド凸部が、前記出力係合カムを径方向に貫通するように形成された貫通孔内に配置されている、請求項9に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項12】
回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有する入力部材と、
前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有する出力部材と、
凹円弧状の被押圧面を有する被押圧部材と、
前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設され、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有する、略半円形板状の1対の係合子と、
前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れるように径方向外側に向けて付勢する付勢部材と、
前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する、前記出力部材と別体に構成されたガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有し、
前記押圧面は、周方向中央部に設けられた第一円弧部と、該第一円弧部の周方向両側に設けられた前記第一円弧部よりも曲率半径の小さい1対の第二円弧部とを有しており、前記第一円弧部と前記第二円弧部とがそれぞれ共通の接線を有する状態でつながっており、
前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき前記遠近方向に互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき前記遠近方向に互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項13】
前記係合子の径方向外側面の軸方向中間部に、前記押圧面が設けられており、かつ、前記係合子の径方向外側面の軸方向両側部に、前記押圧面よりも小径の小径部が設けられており、前記小径部の外周面が、前記第一円弧部と同軸でかつ前記第一円弧部よりも曲率半径の小さい第三円弧部から構成されている、
請求項12に記載した逆入力遮断クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材に入力される回転トルクは出力部材に伝達するのに対し、出力部材に逆入力される回転トルクは遮断する機能を有する、逆入力遮断クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
逆入力遮断クラッチは、駆動源などの入力側機構に接続される入力部材と、減速機構などの出力側機構に接続される出力部材を備えており、入力部材に入力される回転トルクは出力部材に伝達するのに対し、出力部材に逆入力される回転トルクは遮断して、入力部材に伝達しないか又はその一部のみを伝達する機能を有している。
【0003】
逆入力遮断クラッチは、出力部材に逆入力される回転トルクを遮断する機構の相違により、ロック式とフリー式に大別される。ロック式の逆入力遮断クラッチは、出力部材に回転トルクが逆入力された際に、出力部材の回転を防止(抑制)する機構を備えている。一方、フリー式の逆入力遮断クラッチは、出力部材に回転トルクが入力された際に、出力部材を空転させる機構を備えている。ロック式の逆入力遮断クラッチとフリー式の逆入力遮断クラッチとのいずれを使用するかについては、逆入力遮断クラッチを組み込む装置の用途などによって適宜決定される。
【0004】
特開2002-174320号公報、特開2007-232095号公報、及び、特開2004-084918号公報などには、ロック式の逆入力遮断クラッチが記載されている。特開2002-174320号公報に記載された逆入力遮断クラッチは、出力部材に回転トルクが逆入力された際に、コイルばねのねじれによって生じる直径の変化を利用して、コイルばねの内側に配置した部材を締め付けることにより、出力部材の回転を防止する機構を備えている。これに対し、特開2007-232095号公報、及び、特開2004-084918号公報に記載された逆入力遮断クラッチは、出力部材に回転トルクが逆入力された際に、内方部材と外方部材との間のくさび形空間に配置された転動体を、くさび形空間のうち径方向に関する幅の狭い側に移動させて、内方部材と外方部材との間で突っ張らせることにより、出力部材の回転を防止する機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-174320号公報
【文献】特開2007-232095号公報
【文献】特開2004-084918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2002-174320号公報に記載された逆入力遮断クラッチは、コイルばねのねじれによって生じる直径の変化を利用するため、コイルばねの軸方向寸法を長く確保する必要がある。このため、逆入力遮断クラッチの軸方向寸法が大きくなる、といった問題がある。特開2007-232095号公報、及び、特開2004-084918号公報に記載された逆入力遮断クラッチは、転動体を多数使用するため、部品点数が嵩む、といった問題がある。
【0007】
本発明の目的は、軸方向寸法を短くでき、かつ、部品点数を抑えられる、ロック式の逆入力遮断クラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の逆入力遮断クラッチは、入力部材と、出力部材と、被押圧部材と、1対の係合子と、付勢部材と、ガイド機構とを備えている。
前記入力部材は、回転中心から径方向に外れた部分に1対の入力係合凸部を有している。
前記出力部材は、前記入力部材と同軸に配置され、出力係合カムを有している。
前記被押圧部材は、凹円弧状の被押圧面を有している。
前記1対の係合子は、それぞれが略半円形板状で、前記被押圧面と前記出力係合カムとの間に、前記出力係合カムを径方向両側から挟むように配設されており、前記被押圧面に対向する径方向外側面に凸円弧状の押圧面を有し、径方向中間部に前記入力係合凸部を挿入可能な入力係合孔を有し、径方向内側面に前記出力係合カムと係合可能な底面を有している。
前記付勢部材は、前記1対の係合子の底面同士の間に配置され、前記1対の係合子を互いに離れる(底面同士の距離が大きくなる)ように径方向外側に向けて付勢する。
前記ガイド機構は、前記出力部材と別体に構成され、前記1対の係合子を前記入力部材の中心軸に直交する仮想平面内において遠近方向の相対移動のみを可能に案内する。
また、前記ガイド機構は、前記遠近方向にそれぞれ伸長しかつ前記遠近方向に対して直交する方向に当接又は近接対向した、少なくとも1対のガイド面を有する。
そして本発明では、前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記1対の係合子が前記入力係合孔と前記入力係合凸部との係合に基づき、前記遠近方向に関して互いに近づくように径方向内側に移動し、前記底面と前記出力係合カムとを係合させることで、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達する。これに対し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記1対の係合子が前記底面と前記出力係合カムとの係合に基づき、前記遠近方向に関して互いに離れるように径方向外側に移動し、前記押圧面と前記被押圧面とを当接させることで、前記出力部材に逆入力された回転トルクを前記入力部材に伝達しないか又はその一部を伝達する。
【0009】
本発明では、前記付勢部材を、前記出力係合カムを径方向に貫通するように形成された案内孔内に配置することができる。
【0010】
本発明では、前記1対の係合子のうちの一方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長しかつ前記遠近方向に直交する方向に互いに離隔した1対のガイド片を設け、それぞれが前記ガイド面に相当する、前記1対のガイド片の内側面と、前記1対のガイド片同士の間に配置された前記1対の係合子のうちの他方の係合子の外側面とにより、前記ガイド機構を構成することができる。
この場合には、前記他方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長しかつ前記遠近方向に直交する方向に離隔した1対の副ガイド片を設けることができる。この場合、前記1対の副ガイド片の外側面は、前記ガイド面に相当し、前記他方の係合子の外側面の一部を構成することもできる。
【0011】
本発明では、前記1対の係合子の底面の互いに対向する部分に、1組のガイド凹部を設け、前記1組のガイド凹部の内側に、前記遠近方向に配置されたガイド部材の両端部をそれぞれ挿入することで、前記1組のガイド凹部と前記ガイド部材とにより前記ガイド機構を構成することができ、前記ガイド凹部の内面及び前記ガイド部材の端部の外面のそれぞれは、前記ガイド面に相当する。
この場合には、前記ガイド部材の中間部の周囲に、前記付勢部材を配置(外嵌)することもできる。
また、前記1組のガイド凹部と前記ガイド部材とにより構成される前記ガイド機構を、前記出力係合カムを挟んで両側にそれぞれ設けることもできるし、あるいは、逆入力遮断クラッチの径方向中央部に設けることもできる。逆入力遮断クラッチの径方向中央部に設ける場合には、前記ガイド部材を、前記出力係合カムを径方向に貫通するように形成された貫通孔内に配置することができる。
【0012】
本発明では、前記1対の係合子のうちの一方の係合子の底面に、ガイド凹部を設けるとともに、前記1対の係合子のうちの他方の係合子の底面に、前記遠近方向に伸長し、少なくとも先端部が前記ガイド凹部の内側に挿入されるガイド凸部を設け、前記ガイド凹部と前記ガイド凸部の外面とにより前記ガイド機構を構成することができ、前記ガイド凹部の内面及び前記ガイド凸部の外面のそれぞれは、前記ガイド面に相当する。
この場合には、前記ガイド凹部と前記ガイド凸部とにより構成される前記ガイド機構を、前記出力係合カムを挟んで両側にそれぞれ設けることもできるし、あるいは、逆入力遮断クラッチの径方向中央部に設けることもできる。逆入力遮断クラッチの径方向中央部に設ける場合には、前記ガイド凸部を、前記出力係合カムを前記遠近方向に貫通するように形成された貫通孔内に配置することができる。
【0013】
本発明では、前記遠近方向に直交する方向に離隔して配置される互いに平行な1対のガイド壁部を、前記1対の係合子を挟むように設け、それぞれが前記ガイド面に相当する、前記1対のガイド壁部の内側面と前記1対の係合子の外側面とにより前記ガイド機構を構成することができる。
【0014】
本発明では、前記押圧面を、周方向中央部に設けられた第一円弧部と、該第一円弧部の周方向両側に設けられた前記第一円弧部よりも曲率半径の小さい1対の第二円弧部とを有するものとし、前記第一円弧部と前記第二円弧部とをそれぞれ共通の接線を持たせた状態でつなぐことができる。
この場合には、前記係合子の径方向外側面の軸方向中間部に、前記押圧面を設け、かつ、前記係合子の径方向外側面の軸方向両側部に、前記押圧面よりも小径の小径部を設ける。そして、前記小径部の外周面を、前記第一円弧部と同軸でかつ前記第一円弧部よりも曲率半径の小さい第三円弧部から構成することができる。
【0015】
本発明では、前記1対の係合子を、同形及び同大の同一部品とすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、逆入力遮断クラッチの軸方向寸法を短くでき、かつ、その部品点数を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチを示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチに関して、入力部材に回転トルクが入力された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチに関して、出力部材に回転トルクが逆入力された状態を示す図である。
【
図6】
図6は、出力部材に回転トルクが逆入力された際に、出力部材から係合子に作用する力の関係を示す
図5の部分拡大図である。
【
図7】
図7は、出力部材に回転トルクが逆入力された際に、出力部材がロックする条件を説明するために示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の第2例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の第3例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の第4例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の第5例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の第6例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の第7例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図14】
図14は、実施の形態の第8例の逆入力遮断クラッチを示す、
図1に相当する図である。
【
図15】
図15は、実施の形態の第8例の逆入力遮断クラッチを示す、斜視図である。
【
図16】
図16は、実施の形態の第8例の逆入力遮断クラッチを示す、分解斜視図である。
【
図17】
図17は、実施の形態の第9例の逆入力遮断クラッチを構成する係合子を取り出して示す正面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態の第9例の逆入力遮断クラッチを構成する係合子を取り出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、
図1~
図7を用いて説明する。
【0019】
[逆入力遮断クラッチ1の構造の説明]
本例の逆入力遮断クラッチ1は、ロック式の逆入力遮断クラッチであり、入力部材2と、出力部材3と、被押圧部材4と、1対の係合子5a、5bと、付勢ばね6と、ガイド機構7を備えている。逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2に入力される回転トルクはその全てを出力部材3に伝達するのに対し、出力部材3に逆入力される回転トルクは入力部材2に伝達しないか又はその一部のみを伝達する、逆入力遮断機能を有している。
【0020】
入力部材2は、電動モータなどの入力側機構に接続され、回転トルクが入力される。入力部材2は、入力軸部8と、1対の入力係合凸部9とを有している。入力軸部8は、その基端部が前記入力側機構の出力部にトルク伝達可能に接続されるか、又は、前記入力側機構の出力部と一体に設けられている。入力軸部8の中心部には、入力軸部8の先端面に開口した挿入孔10が設けられている。1対の入力係合凸部9は、略楕円柱状で、入力軸部8の先端面の直径方向反対側2個所位置から軸方向に伸長している。1対の入力係合凸部9は、入力部材2の直径方向に互いに離隔している。このため、1対の入力係合凸部9は、入力軸部8の先端面のうちで回転中心から径方向外方に外れた部分にそれぞれ設けられている。入力係合凸部9は、その径方向外側面が円筒面状の輪郭形状を有しており、その径方向内側面が略平坦面状になっている。
なお、本明細書及び特許請求の範囲で、特に断らない限り、軸方向とは、入力部材2の軸方向をいい、径方向とは、入力部材2の径方向をいう。
【0021】
出力部材3は、減速機構などの出力側機構に接続され、回転トルクを出力する。出力部材3は、入力部材2と同軸に配置されており、出力軸部11と、出力係合カム(出力係合凸部)12と、挿入軸部13を有している。出力軸部11と出力係合カム12と挿入軸部13は、互いに同軸上に直列に配置されている。出力軸部11は、円柱状で、その先端部が前記出力側機構の入力部にトルク伝達可能に接続されるか、又は、前記出力側機構の入力部と一体に設けられている。
【0022】
出力係合カム12は、略長円柱状で、出力軸部11の基端面の中央部から軸方向に伸長している。出力係合カム12の外周側面は、互いに平行な1対の平坦面と、1対の円弧状の凸面とから構成されている。具体的には、出力係合カム12の外周側面には、短軸方向両側に1対の平坦面が設けられており、長軸方向両側に1対の円弧状の凸面が設けられている。このため、出力係合カム12の回転中心から外周側面までの距離は、円周方向にわたり一定でない。出力係合カム12は、1対の入力係合凸部9の間部分に配置される。また、出力係合カム12には、出力係合カム12の中心を通り短軸方向(直径方向)に貫通するように、断面円形状の案内孔14が形成されている。案内孔14は、出力係合カム12の外周側面を構成する1対の平坦面のそれぞれに開口している。
【0023】
挿入軸部13は、円柱状で、出力係合カム12の基端面の中央部から軸方向に伸長している。挿入軸部13の外径は、挿入孔10の内径よりも僅かに小さい。挿入軸部13は、挿入孔10の内側に、がたつきなく、かつ、相対回転可能に挿入され、出力部材3と入力部材2との同軸度を確保する。すなわち、出力部材3と入力部材2とが、互いに傾いたり偏心したりすることを防止する。
【0024】
付勢ばね6は、付勢部材に相当するもので、上述のような出力係合カム12に形成された案内孔14の内側に、がたつきなく配置されている。付勢ばね6は、コイルばねであり、その全長は、自由状態で、出力係合カム12の1対の平坦面同士の距離よりも大きくなっている。
【0025】
被押圧部材4は、薄肉円環状に構成されており、図示しない他の部材に固定されて、その回転が拘束(阻止)されている。被押圧部材4は、入力部材2及び出力部材3と同軸に、かつ、入力部材2及び出力部材3よりも径方向外側に配置されている。具体的には、逆入力遮断クラッチ1の組立状態で、被押圧部材4の径方向内側に、1対の入力係合凸部9及び出力係合カム12が配置される。被押圧部材4の内周面には、円筒面状の凹面である被押圧面15が全周にわたり設けられている。
【0026】
1対の係合子5a、5bは、略半円形板状(弓形板状)に構成されており、被押圧部材4の径方向内側に配置されている。具体的には、1対の係合子5a、5bは、被押圧面15と出力係合カム12との間に、出力係合カム12を該出力係合カム12の短軸方向に相当する径方向両側(
図1の上下両側)から挟むように配設されている。
【0027】
1対の係合子5a、5bは、被押圧面15に対向する径方向外側面(外周側面)に、円筒面状の凸面である押圧面16を有しており、出力係合カム12に対向する径方向内側面に、出力係合カム12と係合可能な底面17a、17bを有している。このため、1対の係合子5a、5bは、押圧面16を互いに反対側に向け、かつ、底面17a、17bを互いに対向させた状態で、被押圧部材4の径方向内側に配設されている。また、1対の係合子5a、5bを、被押圧部材4の径方向内側に配置した状態で、被押圧面15と押圧面16との間部分又は出力係合カム12と底面17a、17bとの間部分に隙間が存在するように、被押圧部材4の内径寸法と係合子5a、5bの径方向寸法を規制している。
【0028】
1対の係合子5a、5bの径方向中間部には、係合子5a、5bを軸方向に貫通するように入力係合孔18が設けられている。入力係合孔18は、係合子5a、5bの幅方向に長い略長円形状の貫通孔であり、入力係合凸部9を緩く挿入できる大きさを有している。なお、係合子5a、5bの幅方向とは、係合子5a、5bの弦に相当する底面17a、17b(後述する係合面部19)の伸長方向をいい、出力係合カム12の長軸方向と略平行である。係合子5a、5bの幅方向は、
図1においては左右方向であるが、係合子5a、5bが回転することに伴ってその向きが変化(回転)する。
【0029】
入力係合孔18に入力係合凸部9を挿入した状態で、入力係合凸部9と入力係合孔18との間には、係合子5a、5bの幅方向及び該幅方向に直交する方向にそれぞれ隙間が存在する。このため、入力係合凸部9は、入力係合孔18に対し、入力部材2の回転方向に関する相対移動が可能であり、入力係合孔18は、入力係合凸部9に対し、係合子5a、5bの幅方向に直交する方向(
図1における上下方向)の相対移動が可能である。
【0030】
押圧面16は、係合子5a、5bのその他の部分に比べて摩擦係数の大きい表面性状を有しており、その曲率半径は、被押圧面15の曲率半径と同じかこれよりも僅かに小さい。押圧面16は、係合子5a、5bの表面によって直接構成しても良いし、係合子5a、5bに貼着や接着などにより固定した摩擦材によって構成しても良い。
【0031】
1対の係合子5a、5bの底面17a、17bには、幅方向中央部に、出力係合カム12と係合する平坦面状の係合面部19が設けられている。1対の係合子5a、5bの係合面部19には、出力係合カム12の内側に配置された付勢ばね6の端部が弾性的に当接している。このため、1対の係合子5a、5bには、付勢ばね6により、互いに離れるように、付勢ばね6の軸方向に一致する径方向外側に向いた互いに等しい力が付与される。なお、本明細書及び特許請求の範囲で、特に断らない限り、付勢ばね6の軸方向(出力係合カム12の短軸方向)にほぼ一致する1対の係合子5a、5bの配設方向(係合面部19に直交する方向)を、1対の係合子5a、5bの遠近方向という。1対の係合子5a、5bの遠近方向は、径方向のうちの一方向であり、
図1においては上下方向であるが、係合子5a、5bが回転することに伴ってその向きが変化(回転)する。また、本例では、遠近方向に直交する方向が幅方向となる。
【0032】
1対の係合子5a、5bのうち、一方の係合子5aの底面17aの幅方向両端部には、1対のガイド片20が設けられている。1対のガイド片20は、1対の係合子5a、5bの遠近方向(
図1では下方)に伸長しかつ幅方向に互いに離隔している。また、1対のガイド片20の幅方向内側面は、平坦面状で、係合面部19に対して直角にかつ互いに平行に配置されている。
【0033】
これに対し、1対の係合子5a、5bのうち、他方の係合子5bの底面17bの幅方向両端部には、1対の副ガイド片21が設けられている。1対の副ガイド片21は、1対の係合子5a、5bの遠近方向(
図1では上方)に伸長しかつ幅方向に互いに離隔している。係合子5bの1対の幅方向外側面は、平坦面状で、係合面部19に対して直角にかつ互いに平行に配置されている。また、係合子5bの幅方向外側面の一部は、副ガイド片21の幅方向外側面により構成されている。また、副ガイド片21の全長(伸長量)は、ガイド片20の全長(伸長量)よりも短い。
【0034】
本例では、係合子5aに設けた1対のガイド片20の幅方向内側面と係合子5bの幅方向外側面(副ガイド片21の幅方向外側面を含む)とにより、1対の係合子5a、5bの相対移動を規制するガイド機構7を構成している。すなわち、係合子5aに設けた1対のガイド片20同士の間に係合子5bを配置することで、
それぞれがガイド面に相当する、ガイド片20の幅方向内側面と係合子5bの幅方向外側面とを、遠近方向に対し直交する方向(
図1では左右方向)に当接又は近接対向させている。そして、ガイド片20の幅方向内側面と係合子5bの幅方向外側面とにより、1対の係合子5a、5bを、入力部材2の中心軸に直交する仮想平面内において、遠近方向の相対移動のみが可能になるように案内している。換言すれば、本例のガイド機構7は、1対の係合子5a、5b同士の間に設けられ、1対の係合子5a、5bが幅方向に互いに相対移動したり、1対の係合面部19が非平行になるように1対の係合子5a、5bが互いに傾いたりすることを防止する。ただし、1対の係合子5a、5bが同期して回転することは許容する。
【0035】
本例の逆入力遮断クラッチ1は、その組立状態で、軸方向一方側に配置した入力部材2の1対の入力係合凸部9を、1対の係合子5a、5bのそれぞれの入力係合孔18に軸方向に挿入し、かつ、軸方向他方側に配置した出力部材3の出力係合カム12を、1対の係合面部19同士の間に軸方向に挿入している。
【0036】
(逆入力遮断クラッチ1の動作説明)
本例の逆入力遮断クラッチ1の動作について説明する。
先ず、入力部材2に入力側機構から回転トルクが入力された場合を説明する。
入力部材2に回転トルクが入力されると、
図4に示すように、入力係合孔18の内側で、入力係合凸部9が入力部材2の回転方向(
図4の例では時計方向)に回転する。すると、入力係合凸部9の径方向内側面が、入力係合孔18の内面を径方向内方に向けて押圧し、1対の係合子5a、5bを、付勢ばね6の弾力に抗して、被押圧面15から離れる方向にそれぞれ移動させる。つまり、1対の係合子5a、5bを、入力係合孔18と入力係合凸部9との係合に基づき、遠近方向に関して互いに近づくように径方向内側(
図4の上側に位置する係合子5aを下側に、
図4の下側に位置する係合子5bを上側に)それぞれ移動させる。これにより、1対の係合子5a、5bの底面17a、17bが互いに近づく方向に移動し、1対の係合面部19が出力係合カム12を径方向両側から挟持する。すなわち、出力部材3を、出力係合カム12の長軸方向が係合面部19と平行になるように回転させつつ、出力係合カム12と1対の係合面部19とをがたつきなく係合させる。したがって、入力部材2に入力された回転トルクは、1対の係合子5a、5bを介して、出力部材3に伝達され、出力部材3から出力される。本例の逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2に回転トルクが入力されると、入力部材2の回転方向に関係なく、1対の係合子5a、5bを、被押圧面15から離れる方向にそれぞれ移動させる。そして、入力部材2に入力された回転トルクを、1対の係合子5a、5bを介して、出力部材3に伝達する。
【0037】
次に、出力部材3に出力側機構から回転トルクが逆入力された場合を説明する。
出力部材3に回転トルクが逆入力されると、
図5に示すように、出力係合カム12が、1対の係合面部19同士の内側で、出力部材3の回転方向(
図5の例では時計方向)に回転する。すると、出力係合カム12の角部が係合面部19を径方向外方に向けて押圧し、1対の係合子5a、5bを、被押圧面15に近づく方向にそれぞれ移動させる。つまり、1対の係合子5a、5bを、係合面部19と出力係合カム12との係合に基づき、遠近方向に関して互いに離れるように径方向外側に(
図5の上側に位置する係合子5aを上側に、
図5の下側に位置する係合子5bを下側に)それぞれ移動させる。これにより、1対の係合子5a、5bのそれぞれの押圧面16を、被押圧面15に対して押し付ける。この際、押圧面16と被押圧面15とは、押圧面16の周方向に関する全範囲で面接触する。本例の逆入力遮断クラッチ1は、出力部材3に回転トルクが逆入力されると、出力部材3の回転方向に関係なく、1対の係合子5a、5bを、被押圧面15に近づく方向にそれぞれ移動させる。そして、押圧面16と被押圧面15との当接(接触)に基づき、出力部材3に逆入力された回転トルクが入力部材2に伝達されないようにするか又はその一部のみが伝達されるように機能する。出力部材3に逆入力された回転トルクが入力部材2に伝達されないようにするには、押圧面16が被押圧面15に対して摺動(相対回転)しないように、1対の係合子5a、5bを出力係合カム12と押圧部材4との間で突っ張らせ、出力部材3をロックする。これに対し、出力部材3に逆入力された回転トルクのうちの一部が入力部材2に伝達されるようにするには、押圧面16が被押圧面15に対して摺動するように、1対の係合子5a、5bを出力係合カム12と押圧部材4との間で突っ張らせ、出力部材3を半ロックする。
【0038】
上述のように出力部材3に回転トルクが逆入力された場合に、出力部材3がロック又は半ロックする原理及び条件について、
図6及び
図7を参照して、より具体的に説明する。
出力部材3に回転トルクが逆入力されることで、出力係合カム12の角部が係合面部19に当接すると、
図6に示すように、出力係合カム12の角部と係合面部19との当接部Xには、係合面部19に対し垂直方向に法線力Fcが作用する。また、当接部Xには、出力係合カム12と係合面部19との間の摩擦係数をμとすると、係合面部19と平行な方向に摩擦力μFcが作用する。ここで、当接部Xに作用する接線力Ftの作用線の方向と係合面部19との間のくさび角をθとすると、接線力Ftは、次の式(1)により表される。
Ft=Fc・sinθ+μFc・cosθ ・・・(1)
このため、法線力Fcは、接線力Ftを用いて、次の(2)式により表される。
Fc=Ft/(sinθ+μ・cosθ) ・・・(2)
【0039】
出力係合カム12の角部が係合面部19に当接した際に、出力部材3から係合子5a(5b)に伝達されるトルクTの大きさは、出力部材3の回転中心Oから当接部Xまでの距離をrとすると、次の(3)式で表される。
T=r・Ft ・・・(3)
【0040】
上述したように、当接部Xには法線力Fcが作用するため、
図7に示すように、係合子5a(5b)の押圧面16は、被押圧部材4の被押圧面15に対して法線力Fcの力で押し付けられる。このため、押圧面16と被押圧面15との間の摩擦係数をμ´とし、出力部材3の回転中心Oから押圧面16と被押圧面15との当接部Yまでの距離をRとすると、係合子5a(5b)に作用するブレーキトルクT´の大きさは、次の(4)式で表される。
T´=μ´RFc ・・・(4)
したがって、より大きなブレーキ力を得るには、摩擦係数μ´、距離R、法線力Fcを大きくすれば良いことが分かる。
【0041】
また、出力部材3がロックして、出力部材3に逆入力された回転トルクの全部が入力部材2に伝達されないようにするためには、伝達トルクTとブレーキトルクT´とが、次の(5)式の関係を満たす必要がある。
T<T´ ・・・(5)
また、上記(5)式に上記(1)~(4)式を代入すると次の(6)式が得られる。
μ´R/(sinθ+μ・cosθ)>r ・・・(6)
上記(6)式からは、押圧面16と被押圧面15との間の摩擦係数μ´を大きくすれば、距離Rを小さくしても、出力部材3をロックさせられることが分かる。
また、摩擦係数μ及び摩擦係数μ´がそれぞれ0.1であると仮定すると、上記(6)式から次の(7)式が得られる。
R>10r(sinθ+0.1cosθ) ・・・(7)
上記(7)式からは、出力部材3の回転中心Oから当接部Xまでの距離rと、出力部材3の回転中心Oから当接部Yまでの距離Rと、接線力Ftの作用線の方向と係合面部19との間のくさび角θとを適切に設定することで、出力部材3をロックさせられることが分かる。
【0042】
これに対し、出力部材3が半ロックして、出力部材3に逆入力された回転トルクの一部のみは入力部材2に伝達されるようにする、換言すれば、出力部材3に逆入力された回転トルクの残部は入力部材2に伝達されないようにするためには、伝達トルクTとブレーキトルクT´とが、次の(8)式の関係を満たす必要がある。
T>T´ ・・・(8)
また、上記(6)式からも明らかな通り、出力係合カム12と係合面部19との間の摩擦係数μ、押圧面16と被押圧面15との間の摩擦係数μ´、回転中心Oから当接部Xまでの距離r、回転中心Oから当接部Yまでの距離R、接線力Ftの作用線の方向と係合面部19との間のくさび角θをそれぞれ適切に設定することで、出力部材3を半ロックさせることができる。
【0043】
なお、出力部材3がロック又は半ロックした状態で、入力部材2に回転トルクが入力された場合には、入力部材2から係合子5a、5bに作用する法線力が、出力部材3から係合子5a、5bに作用する法線力Fcよりも大きくなると、出力部材3のロック又は半ロックが解除される。つまり、係合子5a、5bは、互いに近づくように径方向内側に移動し、入力部材2から出力部材3に回転トルクが伝達される。
【0044】
以上の構成を有し、上述のように動作する本例の逆入力遮断クラッチ1によれば、軸方向寸法を短くでき、かつ、部品点数を抑えられる。
本例の逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2及び出力部材3のそれぞれの回転を、係合子5a、5bの遠近方向の移動に変換する。そして、このように入力部材2及び出力部材3の回転を係合子5の遠近方向の移動に変換することで、係合子5a、5bを、該係合子5a、5bの径方向内側に位置する出力部材3に係合させたり、あるいは、係合子5a、5bを、該係合子5a、5bの径方向外側に位置する被押圧部材4に押し付けるようにしている。このように、本例の逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2及び出力部材3のそれぞれの回転によって制御される係合子5a、5bの遠近方向の移動に基づき、入力部材2から出力部材3に回転トルクが伝達可能になる出力部材3のロック解除状態と、出力部材3から入力部材2に回転トルクが伝達されないか又は一部のみが伝達される状態とを切り替えることができるため、逆入力遮断クラッチ1の装置全体の軸方向寸法を短くできる。
【0045】
しかも、係合子5a、5bに、入力部材2に入力された回転トルクを出力部材3に伝達する機能と、出力部材3に逆入力された回転トルクを遮断する機能との両方の機能を持たせている。このため、逆入力遮断クラッチ1の部品点数を抑えることができ、かつ、両機能をそれぞれ別の部材に持たせる場合に比べて、動作を安定させることができる。たとえば、回転トルクを伝達する機能と回転トルクを遮断する機能とを別の部材に持たせる場合、出力部材に逆入力される回転トルクの遮断を解除するタイミングと、入力部材から出力部材に回転トルクの伝達を開始するタイミングとがずれる可能性がある。この場合、回転トルクの遮断を解除してから出力部材への回転トルクの伝達を開始するまでの間に出力部材に回転トルクが逆入力されると、出力部材が再びロックされてしまう。本例では、係合子5a、5bに、入力部材2に入力された回転トルクを出力部材3に伝達する機能と、出力部材3に逆入力された回転トルクを遮断する機能との両方の機能を持たせているため、このような不都合が生じることを防止できる。
【0046】
また、入力部材2から係合子5a、5bに作用する力の向きと、出力部材3から係合子5a、5bに作用する力の向きとを逆向きにしているため、両方の力の大小関係を規制することで、係合子5a、5bの移動方向を制御できる。このため、出力部材3のロック又は半ロック状態とロック解除状態の切り替え動作を安定して確実に行うことができる。したがって、特開2007-232095号公報、及び、特開2004-084918号公報に記載された従来構造の逆入力遮断クラッチのように、くさび形空間の径方向に関する幅の狭い部分に転動体が噛み込まれたままとなり、ロックが解除されなくなる、といった不都合が生じることを防止できる。
【0047】
しかも本例では、付勢ばね6により、1対の係合子5a、5bを互いに離れるように径方向外側に向けて付勢しているとともに、ガイド機構7を設けることにより、1対の係合子5a、5bが相対移動できる方向を遠近方向に限定しているため、1対の係合子5a、5bの遠近移動を同期してかつ安定して行わせることができる。したがって、1対の係合子5a、5bが互いに傾くことなどに起因して、入力部材2に回転トルクが入力された際に、一方の係合子5a(5b)が出力係合カム12と被押圧部材4との間に噛み込まれてしまい、入力部材2の回転をロックしてしまったり、入力部材2に回転トルクが入力されたにも拘らずロックが解除されないなど、動作が不安定になることを防止できる。
【0048】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、
図8を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5c、5dの相対移動を規制するためのガイド機構及び遠近方向に付勢するための構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、並びに、1対の係合子5c、5dとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0049】
本例では、1対の係合子5c、5dの底面17c、17dを、幅方向中央部に設けられた係合面部19と同一平面上に存在する平坦面としている。1対の係合子5c、5dのうち、一方(
図8の上側)の係合子5cの底面17cの幅方向両側部に、それぞれが遠近方向(
図8の上方)に凹んだガイド凹部22a、22bを設けている。また、他方(
図8の下側)の係合子5dの底面17dのうち、ガイド凹部22a、22bと対向する幅方向両側部に、それぞれが遠近方向(
図8の下方)に凹んだガイド凹部23a、23bを設けている。したがって、係合子5cの幅方向片側部に設けられたガイド凹部22aと、係合子5dの幅方向片側部に設けられたガイド凹部23aとは、互いに対向するように同軸上に配置されており、係合子5cの幅方向他側部に設けられたガイド凹部22bと、係合子5dの幅方向他側部に設けられたガイド凹部23bとは、互いに対向するように同軸上に配置されている。また、本例では、係合子5c、5dのそれぞれに関して、幅方向片半部の形状と幅方向他半部の形状とを互いに同じとしている。
【0050】
そして、幅方向片側に対向配置された1組のガイド凹部22a、23aと、幅方向他側に対向配置された1組のガイド凹部22b、23bに、それぞれガイド部材24a、24bを掛け渡すように設けている。ガイド部材24a、24bは、1対の係合子5c、5dの遠近方向に配置されたキーやピンなどであり、円柱状又は矩形柱状に構成されている。ガイド部材24aの両端部は、ガイド凹部22a、23aの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド部材24aの軸方向の相対移動を可能にそれぞれ挿入されている。また、ガイド部材24bの両端部は、ガイド凹部22b、23bの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド部材24bの軸方向の相対移動を可能にそれぞれ挿入されている。
【0051】
本例では、1組のガイド凹部22a、23aとガイド部材24aによりガイド機構7aを構成しており、かつ、1組のガイド凹部22b、23bとガイド部材24bによりガイド機構7bを構成している。したがって、出力係合カム12を挟んで両側に、1対のガイド機構7a、7bを設けている。それぞれのガイド機構7a、7bは、それぞれがガイド面に相当する、ガイド部材24a、24bの両端部外周面と、ガイド凹部22a、23a、22b、23bの内周面との係合に基づき、1対の係合子5c、5dが互いに幅方向に相対移動したり、1対の係合面部19が非平行になるように1対の係合子5c、5dが互いに傾くことを防止し、1対の係合子5c、5dが遠近方向に相対移動することのみを許容する。
【0052】
ガイド部材24a、24bの中間部周囲には、それぞれ付勢ばね6a、6bが配置されている。付勢ばね6a、6bの両端部は、係合子5cの底面17cの幅方向両側部と係合子5dの底面17dの幅方向両側部とにそれぞれ弾性的に当接している。このため、1対の係合子5c、5dには、3個の付勢ばね6、6a、6bにより、互いに離れるように径方向外側に向いた力が付与されている。したがって、本例では、係合子5c、5dに付与する付勢力を大きくできるとともに、付勢力が幅方向位置に応じてばらつくことを防止できる。また、幅方向中央部の付勢ばね6は、出力係合カム12に形成した案内孔14の内周面により外径側から支持されているのに対し、幅方向両側の付勢ばね6a、6bは、ガイド部材24a、24bにより内径側から支持されている。このため、付勢ばね6、6a、6bによる付勢力の作用方向も安定させることができる。
【0053】
以上のような構成を有する本例では、1対の係合子5c、5dとして、同形及び同大の同一部品を使用することができる。このため、逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。また、本例では、係合子5c、5dのそれぞれに関して、幅方向片半部の形状と幅方向他半部の形状とを互いに同じとしている。換言すれば、係合子5c、5dを、幅方向中央部を通る中心線に関して線対称形状としている。このため、入力部材2に入力される回転トルクの方向及び出力部材3に逆入力される回転トルクの方向に関係なく、1対の係合子5a、5bの遠近移動を安定的に行わせることができる。また、1対の係合子5c、5dを付勢する付勢ばねを、幅方向中央部だけでなく、幅方向両側部にも配置しているため、1対の係合子5c、5dを大きな力でかつバランス良く付勢することができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0054】
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、
図9を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5e、5fの相対移動を規制するためのガイド機構の構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、及び、1対の係合子5e、5fとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0055】
本例では、1対の係合子5e、5fのうち、一方(
図9の上側)の係合子5eの底面17eの幅方向他側部(
図9の左側部)に、遠近方向(
図9の下方)に張り出した略矩形板状の張出部25aを設けている。また、他方(
図9の下側)の係合子5fの底面17fの幅方向片側部(
図9の右側部)にも、遠近方向(
図9の上方)に張り出した略矩形板状の張出部25bを設けている。また、実施の形態の第2例の構造と同様に、係合子5eの底面17eの幅方向両側部にガイド凹部22c、22dを設け、かつ、これらガイド凹部22c、22dに対向する係合子5fの底面17fの幅方向両側部に、それぞれガイド凹部23c、23dを設けている。特に本例では、底面17eの幅方向他側部に設けるガイド凹部22d、及び、底面17fの幅方向片側部に設けるガイド凹部23cを、それぞれ張出部25a、25bに対して形成している。したがって、本例に用いる係合子5e、5fは、幅方向に関する線対称形状ではないが、同形及び同大に造られており、回転中心に関して点対称となるように配置されている。
【0056】
そして、幅方向片側に対向配置された1組のガイド凹部22c、23cと、幅方向他側に対向配置された1組のガイド凹部22d、23dに、それぞれガイド部材24c、24dを掛け渡すように設けている。そして、1組のガイド凹部22c、23cとガイド部材24cによりガイド機構7cを構成しており、かつ、1組のガイド凹部22d、23dとガイド部材24dによりガイド機構7dを構成している。本例では、ガイド凹部22d、23cを張出部25a、25bに対して形成しているため、ガイド部材24c、24dとして、実施の形態の第2例で用いたものよりも全長の短いものを使用できる。また、本例では、ガイド部材24c、24dの中間部周囲には付勢ばねを配置せずに、出力係合カム12に形成した案内孔14の内側にのみ付勢ばね6を配置している。なお、ガイド凹部22c、22d、23c、23dの内面、及び、ガイド部材24c、24dの外面のそれぞれが、ガイド面に相当する。
【0057】
以上のような構成を有する本例では、1対の係合子5e、5fとして、同形及び同大の同一部品を使用することができるため、逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第2例と同じである。
【0058】
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、
図10を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5g、5hの相対移動を規制するためのガイド機構の構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、及び、1対の係合子5g、5hとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0059】
本例では、一方(
図10の上側)に配置された係合子5gの底面17gの幅方向片側部(
図10の右側部)に、遠近方向に凹んだガイド凹部ではなく、遠近方向(
図10の下方)に伸長したガイド凸部26aを設けている。また、他方(
図10の下側)の係合子5hの底面17hの幅方向他側部(
図10の左側部)に、遠近方向に凹んだガイド凹部ではなく、遠近方向(
図10の上側)に伸長したガイド凸部26bを設けている。ガイド凸部26a、26bは、円柱状又は矩形柱状に構成されている。そして、ガイド凸部26aの先端部を、対向配置された張出部25bに形成されたガイド凹部23cの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド凸部26aの軸方向の相対移動を可能に挿入している。また、ガイド凸部26bの先端部を、対向配置された張出部25aに形成されたガイド凹部22dの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド凸部26bの軸方向の相対移動を可能に挿入している。これにより、幅方向片側に配置されたガイド凸部26aとガイド凹部23cによりガイド機構7eを構成しており、かつ、幅方向他側に配置されたガイド凸部26bとガイド凹部22dによりガイド機構7fを構成している。本例の場合にも、係合子5g、5hは、幅方向に関する線対称形状ではないが、同形及び同大に造られており、回転中心に関して点対称となるように配置されている。
なお、ガイド凹部22d、23cの内面、及び、ガイド凸部26a、26bの外面のそれぞれが、ガイド面に相当する。
【0060】
以上のような構成を有する本例では、1対の係合子5g、5hとして、同形及び同大の同一部品を使用することができるため、逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。また、実施の形態の第3例の構造に比べて、別体のガイド部材を用いる必要がないため、部品点数の低減を図れるとともに、組立作業の簡略化を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第3例と同じである。
【0061】
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、
図11を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5i、5jの相対移動を規制するためのガイド機構の構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、及び、1対の係合子5i、5jとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0062】
本例では、一方(
図11の上側)に配置された係合子5iの底面17iのうち、幅方向片側部に遠近方向(
図11の上方)に凹んだガイド凹部22eを設け、幅方向他端部に遠近方向(
図11の下方)に伸長したガイド凸部26cを設けている。また、底面17iのうち、ガイド凹部22eの幅方向外側に隣接した幅方向片端部に、遠近方向(
図11の下方)に伸長した補助ガイド片27aを設けている。これに対し、他方(
図11の下側)の係合子5jの底面17jのうち、幅方向他側部に遠近方向(
図11の下方)に凹んだガイド凹部23eを設け、幅方向片端部に遠近方向(
図11の上方)に伸長したガイド凸部26dを設けている。また、底面17jのうち、ガイド凹部23eの幅方向外側に隣接した幅方向他端部に、遠近方向(
図11の上方)に伸長した補助ガイド片27bを設けている。
【0063】
そして、係合子5iに形成されたガイド凸部26cの先端部を、係合子5jに形成されたガイド凹部23eの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド凸部26cの軸方向の相対移動を可能に挿入している。また、係合子5jに形成されたガイド凸部26dの先端部を、係合子5iに形成されたガイド凹部22eの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド凸部26dの軸方向の相対移動を可能に挿入している。さらに、補助ガイド片27aの内側面とガイド凸部26dの外側面、及び、補助ガイド片27bの内側面とガイド凸部26cの外側面を、それぞれ遠近方向に対し直交する方向(
図11では左右方向)に当接又は近接対向させている。本例では、幅方向片側に配置されたガイド凹部22eとガイド凸部26dと補助ガイド片27aによりガイド機構7gを構成しており、かつ、幅方向他側に配置されたガイド凹部23eとガイド凸部26cと補助ガイド片27bによりガイド機構7hを構成している。本例の場合にも、係合子5i、5jは、幅方向に関する線対称形状ではないが、同形及び同大に造られており、回転中心に関して点対称となるように配置されている。
なお、ガイド凹部22e、23eの内面、ガイド凸部26c、26dの外面、及び、補助ガイド辺27a、27bの内側面のそれぞれが、ガイド面に相当する。
【0064】
以上のような構成を有する本例では、1対の係合子5i、5jとして、同形及び同大の同一部品を使用することができるため、逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。また、ガイド凸部26c、26dをガイド凹部22e、23eの内側にある程度緩く挿入した場合にも、ガイド凸部26c、26dと補助ガイド片27a、27bとが係合することで、1対の係合子5i、5jが互いに傾くことを防止できる。また、実施の形態の第3例や第4例の構造のように、係合子の底面に張出部を設けていないため、出力係合カムを設置するスペースを広く確保しやすくなる。このため、出力係合カム12として、長軸方向に関する寸法が大きいものを使用することが可能になる。したがって、出力部材3の強度を高めることができ、逆入力遮断クラッチ1全体の伝達トルク容量を高めることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0065】
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、
図12を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5k、5lの相対移動を規制するためのガイド機構及び遠近方向に付勢するための構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、並びに、1対の係合子5k、5lとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0066】
本例では、一方(
図12の上側)の係合子5kの底面17kの幅方向中央部に、遠近方向(
図12の上方)に凹んだガイド凹部22fを設けている。また、他方(
図12の下側)の係合子5lの底面17lのうち、ガイド凹部22fと対向する幅方向中央部に、遠近方向(
図12の下方)に凹んだガイド凹部23fを設けている。したがって、係合子5kの幅方向中央部に設けられたガイド凹部22fと、係合子5lの幅方向中央部に設けられたガイド凹部23fとは、互いに対向するように同軸上に配置されている。また、ガイド凹部22f、23fは、入力係合孔18の内面にそれぞれ連通(開口)している。
【0067】
そして、幅方向中央部に対向配置された1組のガイド凹部22f、23fに、ガイド部材24eを掛け渡すように設けている。ガイド部材24eは、1対の係合子5k、5lの遠近方向に配置されたキーやピンなどであり、円柱状又は矩形柱状に構成されている。ガイド部材24eの両端部は、ガイド凹部22f、23fの内側に、がたつきなく、かつ、ガイド部材24eの軸方向の相対移動を可能にそれぞれ挿入されている。また、ガイド部材24eの中間部は、出力係合カム12を径方向に貫通するように形成された貫通孔である案内孔14の内側に緩く配置されている。より具体的には、案内孔14の内側に配置された付勢ばね6の内側に配置されている。
【0068】
本例では、1組のガイド凹部22f、23fとガイド部材24eによりガイド機構7iを構成している。したがって、逆入力遮断クラッチ1の径方向中央部に、ガイド機構7iを設けている。ガイド機構7iは、1対の係合子5k、5lが互いに幅方向に相対移動したり、1対の係合面部19が非平行になるように1対の係合子5k、5lが互いに傾くことを、ガイド部材24eの両端部外周面とガイド凹部22f、23fの内周面との係合により防止し、1対の係合子5k、5lが遠近方向に相対移動することのみを許容する。なお、ガイド凹部22f、23fの内面、及び、ガイド部材24eの外面のそれぞれが、ガイド面に相当する。
【0069】
さらに本例では、係合子5kの底面17kの幅方向両側部に、それぞれが遠近方向(
図12の上方)に凹んだ収納凹部28a、28bを設けている。また、係合子5lの底面17lのうち、収納凹部28a、28bと対向する幅方向両側部に、それぞれが遠近方向(
図12の下方)に凹んだ収納凹部29a、29bを設けている。そして、幅方向片側に対向配置された1組の収納凹部28a、29aと、幅方向他側に対向配置された1組の収納凹部28b、29bに、付勢ばね6c、6dを掛け渡すように設けている。そして付勢ばね6c、6dの両端部を、収納凹部28a、28b、29a、29bの底面に当接させている。このため、1対の係合子5k、5lには、3個の付勢ばね6、6c、6dにより、互いに離れるように径方向外側に向いた力が付与されている。また、係合子5k、5lは、幅方向中央部にガイド凹部22f、23fを有しており、幅方向両側部に収納凹部28a、28b、29a、29bを有しており、幅方向片半部の形状と幅方向他半部の形状とが互いに同じになっている。
【0070】
以上のような構成を有する本例では、1組のガイド凹部22f、23fとガイド部材24eとからなるガイド機構7iを、幅方向中央部に設けているため、ガイド部材24eの両端部外周面とガイド凹部22f、23fの内周面との隙間に起因して生じる係合子5k、5lの傾きの相互差をより小さくすることができる。このため、1対の係合子5k、5lの遠近移動をより正確に行わせることができる。また、ガイド部材24eを1本のみ使用するため、逆入力遮断クラッチ1の組立コストを低く抑えることができ、装置全体のコスト低減を図れる。さらに本例では、1対の係合子5k、5lとして、同形及び同大の同一部品を使用することができるため、この面からも逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。また、付勢ばね6、6c、6dを3本使用しているため、係合子5k、5lに付与する付勢力を大きくできるとともに、付勢力が幅方向位置に応じてばらつくことを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0071】
[実施の形態の第7例]
実施の形態の第7例について、
図13を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5m、5nの相対移動を規制するためのガイド機構及び遠近方向に付勢するための構造を、実施の形態の第6例の構造から変更した点にある。
【0072】
本例では、一方(
図13の上側)の係合子5mの底面17mの幅方向中央部に、ガイド凹部22gを設けるとともに、ガイド凹部22gの周囲に遠近方向(
図13の下方)に伸長したガイド筒部30を設けている。これにより、ガイド凹部22gの長さ寸法を、ガイド筒部30を設けた分だけ延長している。また、他方(
図13の下側)の係合子5mの底面17mのうち、ガイド凹部22gと対向する幅方向中央部には、遠近方向に凹んだガイド凹部ではなく、遠近方向(
図13の上方)に伸長したガイド凸部26eを設けている。ガイド凸部26eは、円柱状又は矩形柱状に構成されている。そして、ガイド凸部26eの先端部乃至中間部を、対向配置されたガイド凹部22g(ガイド筒部30)の内側に、がたつきなく、かつ、ガイド凸部26eの軸方向の相対移動を可能に挿入している。これにより、幅方向中央部に配置されたガイド凸部26eとガイド凹部22gによりガイド機構7jを構成している。
なお、ガイド凹部22g(ガイド筒部30)の内面、及び、ガイド凸部26eの外面のそれぞれが、ガイド面に相当する。
【0073】
本例では、係合子5mに設けたガイド筒部30、及び、係合子5nに設けたガイド凸部26eを、出力係合カム12を直径方向に貫通するように形成した貫通孔31の内側に配置している。本例では、貫通孔31の内側に付勢ばねは配置せずに、係合子5m、5nの幅方向両側に配置された収納凹部28a、28b、29a、29bの内側にのみ、付勢ばね6c、6dを設けている。
【0074】
以上のような構成を有する本例では、実施の形態の第6例の構造に比べて、別体のガイド部材を用いる必要がないため、部品点数の低減を図れ、コスト低減を図れる。また、ガイド筒部30を設けた分だけ、ガイド凸部26eとガイド凹部22gとの係合長さを長く確保できるため、1対の係合子5m、5nの傾きの相互差をより小さくできる。このため、1対の係合子5m、5nの遠近移動をより正確に行わせることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第6例と同じである。
【0075】
[実施の形態の第8例]
実施の形態の第8例について、
図14~
図16を用いて説明する。本例の特徴は、1対の係合子5o、5pの相対移動を規制するためのガイド機構の構造を、実施の形態の第1例の構造から変更した点、及び、1対の係合子5o、5pとして同形及び同大に造られたものを使用した点にある。
【0076】
本例では、1対の係合子5o、5pの相対移動を規制するためのガイド機構7kを、1対の係合子5o、5pとは別体に設けたガイド部材32により構成している。ガイド部材32は、全体が長円形板状に構成されており、その中央部に、出力部材3を構成する出力軸部11を緩く挿通可能な挿通孔33が形成されている。また、ガイド部材32の長軸方向両端部には、略弓形状の1対のガイド壁部34a、34bが設けられている。このようなガイド部材32は、挿通孔33の内側に出力軸部11を配置した状態で、1対のガイド壁部34a、34bを、被押圧部材4の径方向内側に挿入し、かつ、1対の係合子5o、5pの幅方向両側に配置している。1対のガイド壁部34a、34bを1対の係合子5o、5pの幅方向両側に配置した状態で、1対のガイド壁部34a、34bは、1対の係合子5o、5pの遠近方向に伸長している。
【0077】
1対のガイド壁部34a、34bの内側面は、それぞれ平坦面状で互いに平行に配置されている。また、1対の係合子5o、5pの幅方向寸法は互いに等しくなっており、係合子5oの1対の外側面及び係合子5pの1対の外側面も、それぞれ平坦面状で互いに平行に配置されている。
【0078】
本例では、1対のガイド壁部34a、34bを、1対の係合子5o、5pを幅方向両側から挟むように配置することで、
それぞれがガイド面に相当する、ガイド壁部34a、34bの内側面と1対の係合子5o、5pの外側面とを、遠近方向に対し直交する方向(
図14では左右方向)に当接又は近接対向させている。本例では、以上のような構成を有するガイド機構7kにより、1対の係合子5o、5pが互いに幅方向に相対移動したり、1対の係合面部19が非平行になるように1対の係合子5o、5pが互いに傾くことを防止し、1対の係合子5o、5pが遠近方向に相対移動することのみを許容する。
【0079】
以上のような構成を有する本例では、ガイド機構7kを、係合子5o、5pとは別体の1つのガイド部材32により構成することができるため、逆入力遮断クラッチ1の加工及び組立に要するコストを低く抑えることができる。また、係合子の底面に、ガイド凹部やガイド凸部などを設ける必要がないため、出力係合カムを設置するスペースを広く確保しやすくなる。このため、出力係合カム12として、長軸方向に関する寸法が大きいものを使用することが可能になる。したがって、出力部材3の強度を高めることができ、逆入力遮断クラッチ1全体の伝達トルク容量を高めることができる。さらに、1対の係合子5o、5pとして、同形及び同大の同一部品を使用することができるため、逆入力遮断クラッチ1のコスト低減を図ることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0080】
[実施の形態の第9例]
実施の形態の第9例について、
図17~
図19を用いて説明する。本例の特徴は、係合子5qの径方向外側面の形状にある。
【0081】
係合子5qの径方向外側面には、軸方向中央部に押圧面16aが設けられており、軸方向両側部に押圧面16aよりも小径の1対の小径部35が設けられている。押圧面16aは、周方向中央部に設けられた第一円弧部36と、第一円弧部36の周方向両側に設けられた1対の第二円弧部37とを有している。第一円弧部36の曲率半径R
36は、第二円弧部37の曲率半径R
37よりも大きくなっている。また、第一円弧部36と1対の第二円弧部37とは、それぞれ共通の接線を持つ状態で滑らかにつながっている。このため、押圧面16aのうち、周方向中央部に設けられた第一円弧部36のみが、被押圧部材4(
図1参照)の内周面に形成された被押圧面15に対して押し付けられ、第一円弧部36の周方向両側に設けられた第二円弧部37と被押圧面15との間には、くさび状の微小隙間が形成される。
【0082】
小径部35の外周面は、押圧面16aの周方向中央部に設けられた第一円弧部36と同軸で、かつ、その曲率半径R38が第一円弧部36の曲率半径R36よりも小さい第三円弧部38から構成されている。このため、押圧面16aのうち、周方向中央部に設けられた第一円弧部36を、被押圧部材4の内周面に形成された被押圧面15に対して押し付けた状態で、第一円弧部36の軸方向両側には、第三円弧部38と被押圧面15との間に形成された部分円弧状の隙間が存在する。
【0083】
以上のような構成を有する本例では、第二円弧部37と被押圧面15との間に形成される隙間、及び、第三円弧部38と被押圧面15との間に形成される隙間を通じて、押圧面16aを構成する第一円弧部36と被押圧面15との間に潤滑油を効率良く供給することができる。このため、逆入力遮断クラッチ1の耐久性を向上することができる。また、入力部材2に入力される回転トルクの方向及び出力部材3に逆入力される回転トルクの方向に関係なく、1対の係合子5qの遠近移動を安定して行わせることもできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0084】
以上のような構成を有する本発明の逆入力遮断クラッチは、各種機械装置に適用することができるが、たとえば、内燃機関のピストン工程を変化させて機関圧縮比を可変とする可変圧縮比装置や、電動ブレーキ、電動式パワーステアリング装置などに好ましく適用できる。
また、1対の係合子を互いに離れるように付勢する付勢部材としては、実施の形態の各例で示したコイルばねに限らず、板ばねやゴムなどの各種付勢部材を使用することができる。
また、本発明を実施する場合には、矛盾を生じない限りにおいて、実施の形態の各例で示した構造を適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 逆入力遮断クラッチ
2 入力部材
3 出力部材
4 被押圧部材
5a~5q 係合子
6、6a~6d 付勢ばね
7、7a~7k ガイド機構
8 入力軸部
9 入力係合凸部
10 挿入孔
11 出力軸部
12 出力係合カム
13 挿入軸部
14 案内孔
15 被押圧面
16、16a 押圧面
17a~17m 底面
18 入力係合孔
19 係合面部
20 ガイド片
21 副ガイド片
22a~22g ガイド凹部
23a~23f ガイド凹部
24a~24e ガイド部材
25a、25b 張出部
26a~26e ガイド凸部
27a、27b 補助ガイド片
28a、28b 収納凹部
29a、29b 収納凹部
30 ガイド筒部
31 貫通孔
32 ガイド部材
33 挿通孔
34a、34b ガイド壁部
35 小径部
36 第一円弧部
37 第二円弧部
38 第三円弧部