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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】水平スクリュー式サイロの運転方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/34 20060101AFI20220913BHJP
   B65G 65/46 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B65G65/34 C
B65G65/46 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018050093
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019156633
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】多田 淳
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028675(JP,A)
【文献】特開2006-143406(JP,A)
【文献】特開2014-028676(JP,A)
【文献】特開2018-144896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0247205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物を収容する内部に筒形の壁面を有する貨物倉と、前記貨物倉の中心に垂直方向に延びるように固定配置され、前記貨物が落下することにより前記貨物倉の下方に移動可能に構成されたセンターコラムと、前記貨物倉の内部の上部位置に配置されて前記貨物倉の中心軸を旋回軸として旋回駆動され、先端が前記壁面側に向かって延びる旋回フレームと、前記旋回フレームに吊下げワイヤを介して吊り下げられて前記旋回フレームの旋回動作に従動して旋回移動すると共に、前記吊下げワイヤの巻き上げ又は繰り出し動作によって前記センターコラムに沿って上下方向に移動し、前記貨物を前記貨物倉の中心部と前記壁面との間で水平方向に搬送して散布又は集荷を行うスクリュー式の水平搬送装置を備え、前記水平搬送装置によって集荷された前記貨物を前記貨物倉の外部に排出する水平スクリュー式サイロの運転方法において、
前記水平搬送装置の水平スクリューの運転により前記貨物を径方向及び周方向に散布、径方向の内側に搬送して払い出す搬送運転前に、前記水平搬送装置の負荷を検出する工程と、
前記水平搬送装置の負荷の測定値と、予め定めた前記水平搬送装置の負荷の上限値を比較して、前記測定値が前記上限値以上のときに前記水平搬送装置を上昇させる制御を行う工程と、
を有することを特徴とする水平スクリュー式サイロの運転方法。
【請求項2】
前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置の水平スクリューに設けたトルクセンサにより測定する前記貨物の搬送運転前に前記旋回フレームを旋回させずに前記水平スクリューを回転又は逆回転させたときのトルクであることを特徴とする請求項1に記載の水平スクリュー式サイロの運転方法。
【請求項3】
前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置のスクリューフレーム部に取り付けて下部に圧子を備え、前記圧子を回転させるギヤードモータを備えた回転トルクメータにより前記圧子を前記貨物の上部表面から内部に一定速度でねじ込んだ時のトルクの電流値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水平スクリュー式サイロの運転方法。
【請求項4】
前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置のスクリューフレーム部と前記水平スクリューの間に設けたロードセルにより測定する前記水平スクリューを前記貨物に差し込んだときの荷重値であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の水平スクリュー式サイロの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体、フレーク、塊状又はペレット状のものや、高水分含有物等の貨物を筒形構造物内で貯蔵する水平スクリュー式サイロの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体、フレーク、塊状又はペレット状のものや、高水分含有物等の貨物を積み付け効率良く、かつ荷役効率高く積載する水平スクリュー式サイロがある。この水平スクリュー式サイロは、陸上や船などに設置され、円筒形の貨物倉に様々な形状と物性をもつ貨物をばら積み状態で積載することができる。
【0003】
図9は水平スクリュー式サイロの断面図である。図示のように水平スクリュー式サイロ1は、筒形の例えば円筒形の貨物倉12を備える。貨物倉12の内部の中心部には、垂直方向に伸びるセンターコラム14が固定され、その上部に貨物倉12の上部中央まで延びる旋回筒16が設けられている。貨物倉12の内部の上部位置には、旋回筒16と共に旋回して先端が貨物倉12の内壁面まで延びる旋回フレーム18が設けられている。
【0004】
この旋回フレーム18には、吊下げワイヤ18aを介して水平搬送装置20が吊り下げられている。水平搬送装置20は、貨物倉12内の貨物の上面高さに応じて、旋回フレーム18からの吊下げワイヤ18aを巻き上げ又は繰り出し動作によって、上下方向の位置を制御されると共に旋回フレーム18と共に貨物倉12内を旋回する。
水平搬送装置20は、一例として2本の水平スクリュー21aが並行に備えられており、旋回筒16の上方から受け入れた貨物を径方向の外側に向けて搬送し、その過程で貨物を径方向に平均的に散布する。また、水平搬送装置20は、旋回フレーム18による旋回動作で貨物を周方向に均一に散布する。さらに、水平搬送装置20は、貨物を掻き取って径方向の内側に搬送し、センターコラム14を介して貨物倉12の中央下部に払い出す。
【0005】
より具体的には、貨物倉12内に貨物が投入されると、いずれか一方の水平スクリュー21aによって搬送し保管される。一方、貨物を貨物倉12内から払い出すときには、2本の水平スクリュー21aを同時に運転させてセンターコラム14まで搬送する。
このとき、貨物の性状、例えば粘性、流動性、硬度、粒径などの要因により、搬送する水平スクリュー21aに大きな負荷がかかり、搬送効率が低下する問題が生じていた。
特許文献1に開示の運転制御方法は、スクリュー軸のトルク、電流値に基づいて運転制御して、付着性の高い粉粒体がスクリューに堆積付着して搬送効率の低下又は運転不能を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-143406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貨物倉が設置される場所において、保管される貨物は必ずしも同一種ではなく、異なる種類を保管する場合がある。貨物の性状によっては水平スクリューで掻き出し易いものと、掻き出し難いものがある。一例として、貨物が石膏の仕様の貨物倉にそのまま性状の異なる鉄鋼スラグを適用した場合、石膏に比べて鉄鋼スラグは流動性が悪く(流動性指数:石膏80、鉄鋼スラグ49)、石膏の仕様のままでは搬送効率が悪化するだけでなく、スクリュー羽根の摩耗も発生する。
また貨物倉の上部から投入された貨物が内部で堆積していくほど、上方から連続的に投入される貨物の自重で下方は圧縮されるため圧し固まってしまう。そのため、貨物が圧し固まる前の条件のままで貨物の下方部を水平スクリューで掻き出そうとすると、電動機に負荷がかかるばかりでなく、スクリュー羽根の摩耗も発生してしまい、掻き出し搬送する量も少なくなり搬送効率が低下することになる。
【0008】
また特許文献1によれば、装置の運転中に負荷を計測しているため、運転初期の過負荷に対処することができない。
【0009】
そこで上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は貨物の性状によらずに最適な運転が可能な水平スクリュー式サイロの運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、貨物を収容する内部に筒形の壁面を有する貨物倉と、前記貨物倉の中心に垂直方向に延びるように固定配置され、前記貨物が落下することにより前記貨物倉の下方に移動可能に構成されたセンターコラムと、前記貨物倉の内部の上部位置に配置されて前記貨物倉の中心軸を旋回軸として旋回駆動され、先端が前記壁面側に向かって延びる旋回フレームと、前記旋回フレームに吊下げワイヤを介して吊り下げられて前記旋回フレームの旋回動作に従動して旋回移動すると共に、前記吊下げワイヤの巻き上げ又は繰り出し動作によって前記センターコラムに沿って上下方向に移動し、前記貨物を前記貨物倉の中心部と前記壁面との間で水平方向に搬送して散布又は集荷を行うスクリュー式の水平搬送装置を備え、前記水平搬送装置によって集荷された前記貨物を前記貨物倉の外部に排出する水平スクリュー式サイロの運転方法において、
前記水平搬送装置の水平スクリューの運転により前記貨物を径方向及び周方向に散布、径方向の内側に搬送して払い出す搬送運転前に、前記水平搬送装置の負荷を検出する工程と、
前記水平搬送装置の負荷の測定値と、予め定めた前記水平搬送装置の負荷の上限値を比較して、前記測定値が前記上限値以上のときに前記水平搬送装置を上昇させる制御を行う工程と、
を有することを特徴とする水平スクリュー式サイロの運転方法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平搬送装置の負荷に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。これにより最適な搬送運転を行うことができ、特に運転初期の水平スクリューの過剰な負荷を回避できる。
【0011】
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、第1の手段において、前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置の水平スクリューに設けたトルクセンサにより測定する前記貨物の搬送運転前に前記旋回フレームを旋回させずに前記水平スクリューを回転又は逆回転させたときのトルクであることを特徴とする水平スクリュー式サイロの運転方法を提供することにある。
上記第2の手段によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平スクリューを回転させて貨物表面を切り込んだ際のトルクの測定値に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。
【0012】
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置のスクリューフレーム部に取り付けて下部に圧子を備え、前記圧子を回転させるギヤードモータを備えた回転トルクメータにより前記圧子を前記貨物の上部表面から内部に一定速度でねじ込んだ時のトルクの電流値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水平スクリュー式サイロの運転方法を提供することにある。
上記第3の手段によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平搬送装置に設置した回転トルクメータの圧子を貨物表面に対して一定の速度でねじ込んだ際のトルクの電流値に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。
【0013】
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記負荷の測定値は、前記水平搬送装置のスクリューフレーム部と前記水平スクリューの間に設けたロードセルにより測定する前記水平スクリューを前記貨物に差し込んだときの荷重値であることを特徴とする水平スクリュー式サイロの運転方法を提供することにある。
上記第4の手段によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平スクリューを貨物に差し込んだ際の荷重に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平搬送装置の負荷に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。これにより最適な搬送運転を行うことができ、特に運転初期の水平スクリューの過剰な負荷を回避できる。また、水平スクリューの原動機の負荷を軽減し、水平スクリューの羽根の摩耗を防止し、掻き出し搬送の効率低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】トルクセンサを取り付けた水平搬送装置の平面図である。
図2】水平スクリュー式サイロの運転方法1のフロー図である。
図3】回転トルクメータを取り付けた水平搬送装置の平面図である。
図4図3のE-E矢視図である。
図5】水平スクリュー式サイロの運転方法2のフロー図である。
図6】ロードセルを取り付けた水平搬送装置の平面図である。
図7図6のF-F矢視図である。
図8】水平スクリュー式サイロの運転方法3のフロー図である。
図9】水平スクリュー式サイロの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0017】
[水平スクリュー式サイロの運転方法1]
図1はトルクセンサを取り付けた水平搬送装置の平面図である。図2は水平スクリュー式サイロの運転方法1のフロー図である。
図1に示す水平搬送装置20は、センターコラム14の周囲に配置され旋回ローラユニット30と吊下げワイヤ18aとを介して、貨物倉12内を旋回及び上下移動可能に取り付けられている。水平搬送装置20は、貨物倉12内の貨物を貨物倉12の中心部となるセンターコラム14と円筒壁面12aとの間で水平方向に搬送して散布及び集荷を行うものである。
【0018】
水平搬送装置20は、貨物倉12の中心軸から円筒壁面12aに向かって径方向に延びるスクリューフレーム部22を有している。本実施形態のスクリューフレーム部22は、旋回ローラユニット30と一体接合されている。スクリューフレーム部22は、貨物倉12内の貨物を水平方向に搬送するための水平搬送装置20の長手方向に延びてその短手方向に併設されて一対の水平スクリュー21a,21bを支持している。
【0019】
またスクリューフレーム部22は、水平スクリュー21a,21bを駆動するための駆動機23a,23bを円筒壁面12a側の端部に備えている。
各水平スクリュー21a,21bは、貨物を貨物倉12の中心のセンターコラム14と円筒壁面12aとの間で水平方向に搬送し、散布や分散、集荷や収集を行うものである。これらは、相互に逆方向に回転するように駆動機23a,23bにより駆動される。各水平スクリュー21a,21bは、例えば正回転では貨物が円筒壁面12a側に移動し、逆回転では貨物がセンターコラム14側へ移動するように構成されている。
【0020】
トルクセンサ40は、駆動機23a,23bに取り付けて、水平スクリュー21a,21bのトルク(電流値)を検出するセンサである。本実施形態のトルクセンサ40は、水平スクリュー式サイロの運転操作前の水平スクリュー21a,21bの回転又は逆回転時のトルクを検出している。
【0021】
制御部50は、トルクセンサ40と、旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部と電気的に接続している。制御部50は、水平スクリュー21a,21bのトルクTと高さhの相関性からトルクの制御値をあらかじめ設定している。そしてトルクセンサ40からの運転操作前の水平スクリュー21a,21bの回転又は逆回転のトルク測定値を受信して、あらかじめ定めたトルクの制御値の上限値と比較する。その結果、トルクの測定値が上限値以上の場合には、水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20を上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行っている。
ついで再度、例えば所定時間経過後など、トルクセンサ40からの運転操作前の水平スクリュー21a,21bの逆回転のトルク測定値を受信して、あらかじめ定めたトルクの制御値の上限値と比較する。その結果、トルクの測定値が上限値よりも大きい場合には、前述の上昇動作を行う。一方、上限値よりも小さい場合には水平スクリュー21a,21bの負荷が最適であると判断する。
【0022】
上記構成による水平スクリュー式サイロの運転方法1について以下説明する。本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法は、貨物の搬送運転前に、あらかじめ貨物の性状等の要因による水平スクリューの負荷を検出し、その検出値に基づいて運転条件を設定する。
(S1)貨物の搬送運転前において、制御部50によってトルクT及び積載した貨物から水平スクリューまでの高さhの相関性に従って、最適な運転が可能なTとhの制御値を設定する。
(S2)S1と同様に搬送運転前に、水平スクリュー21a,21bを回転又は逆回転させてそのときのトルクをトルクセンサ40で測定する。
【0023】
(S3)トルクの測定値を受信した制御部50では、測定値とトルクの上限値Tmaxを比較する(差分を取る)。具体的には測定値(T)が上限値(Tmax)以上であるか否か判定する。なおトルクの上限値Tmaxは、事前に定めたトルクの制御値のうちの最大値に設定している。
(S4)その結果、測定値(T)が上限値(Tmax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、測定値(T)が上限値(Tmax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内として判断する。
【0024】
(S5)所定時間経過後などその後、再度、水平スクリュー21a,21bを回転又は逆回転させてそのときのトルク(電流値)をトルクセンサ40で測定する。
(S6)トルクの測定値を受信した制御部50では、測定値とトルクの上限値Tmaxを比較する(差分を取る)。具体的には測定値(T)が上限値(Tmax)以上であるか否か判定する。
(S7)その結果、測定値(T)が上限値(Tmax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、測定値(T)が上限値(Tmax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内と判断する。
【0025】
このようなS2~S7の操作を繰り返すことにより、測定値(T)が上限値(Tmax)よりも小さくなるような水平スクリューの高さに調整して、搬送運転の準備が完了する。これにより測定精度が高まり、安定した搬送運転を行うことができる。
このような本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法1によれば、貨物の搬送運転前に旋回させずに水平スクリューを回転又は逆回転させて、積載した貨物表面を切り込んだときのトルクを測定することで、貨物の性状を判断している。この方法により求めた測定値による判断をフィードバックすることで水平スクリューのトルクや積載した貨物の上部表面からの高さを調整できるため、貨物の性状に応じた最適な運転条件での作動が可能となる。これにより最適な搬送運転を行うことができ、特に運転初期の水平スクリューの過剰な負荷を回避できる。
【0026】
[水平スクリュー式サイロの運転方法2]
図3は回転トルクメータを取り付けた水平搬送装置の平面図である。図4図3のE-E矢視図である。図5は水平スクリュー式サイロの運転方法2のフロー図である。
図3に示す水平搬送装置は、基本構成は図1示す構成と同一であるが、トルクセンサ40に換えて回転トルクメータ60を備えている。
回転トルクメータ60は、スクリューフレーム部22に取り付けてあり、下部に等間隔に切り込みを設けた圧子64を備え、上部に圧子を回転させるギヤードモータ62を備えている。また上端はコイルばねを介してスクリューフレーム部22の第1支持部221に接続し、中心を回転自在(旋回方向)に第2支持部222に軸支されている。
【0027】
このような構成の回転トルクメータ60は、当初圧子64を貨物の上部表面に対して一定の速度で垂直にねじ込んでいる(図4(1)参照)。そしてこのときのトルクより電流値を求めている。貨物の性状や、圧子64が貨物内部に堀り進むにつれて圧子64に大きな負荷がかかるとメータ本体が(2)に示すように傾斜する。
制御部50は、回転トルクメータ60と電気的に接続しており、トルクの電流値を受信している。制御部50は、電流値Iと高さhの相関性から電流値の制御値をあらかじめ設定している。そして回転トルクメータ60からの運転操作前の電流値を受信して、あらかじめ定めた電流値の制御値の上限値と比較する。その結果、電流値が上限値以上の場合には、水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20を上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行っている。
【0028】
上記構成による水平スクリュー式サイロの運転方法2について以下説明する。
(S11)貨物の搬送運転前において、制御部50によって電流値I及び積載した貨物から水平スクリューまでの高さhの相関性に従って、最適な運転が可能なIとhの制御値を設定する。
(S12)S1と同様に搬送運転前に、回転トルクメータ60を貨物にねじ込んで電流値Iを測定する。
【0029】
(S13)回転トルクメータ60の電流値を受信した制御部50では、電流値と電流値の上限値Imaxを比較する(差分を取る)。具体的には電流値(I)が上限値(Imax)以上であるか否か判定する。なお電流値の上限値Imaxは、事前に定めた電流値の制御値のうちの最大値に設定している。
(S14)その結果、電流値(I)が上限値(Imax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる、又は水平スクリューのトルクをΔTだけ減少させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、電流値(I)が上限値(Imax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内として、搬送運転の準備が完了する。
【0030】
(S15)所定時間経過後などその後、再度、回転トルクメータ60を貨物にねじ込んで電流値Iを測定する。
(S16)回転トルクメータ60の電流値を受信した制御部50では、電流値と電流値の上限値Imaxを比較する(差分を取る)。具体的には電流値(I)が上限値(Imax)以上であるか否か判定する。
(S17)その結果、電流値(I)が上限値(Imax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる、又は水平スクリューのトルクをΔTだけ減少させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、電流値(I)が上限値(Imax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内と判断する。
【0031】
このようなS12~S17の操作を繰り返すことにより、電流値(I)が上限値(Imax)よりも小さくなるような水平スクリューの高さとトルクに調整して、搬送運転の準備が完了する。これにより測定精度が高まり、安定した搬送運転を行うことができる。
このような本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法2によれば、水平スクリュー式サイロの搬送運転の事前に、水平搬送装置に設置した回転トルクメータの圧子を貨物表面に対して一定の速度でねじ込んだ際のトルクの電流値に基づく貨物の性状に応じて、最適な運転条件を調整することができる。
また回転トルクメータの設置数を増やすことにより測定精度が高まり安定運転を行うことができる。
なお水平搬送装置にトルクセンサ40及び回転トルクメータ60を取り付けた構成で、各測定値を制御部50に送信する構成としても良い。この場合、制御部は、トルク(T)と電流値(I)の制御値と、実測値に基づいて制御する。
【0032】
[水平スクリュー式サイロの運転方法3]
図6はロードセルを取り付けた水平搬送装置の平面図である。図7図6のF-F矢視図である。図8は水平スクリュー式サイロの運転方法3のフロー図である。
図6に示す水平搬送装置は、基本構成は図1示す構成と同一であるが、トルクセンサ40に換えてロードセル70を備えている。
ロードセル70は、水平搬送装置20の水平スクリュー21a,21bを軸支するスクリューフレーム部22の支持部224に取り付けている(各水平スクリュー21a,21bの両端にそれぞれ2箇所)。このような構成のロードセル70は、水平スクリュー21a,21bを貨物に差し込んだ際の自重又は回転している間の荷重(W)(反力(上向き))、換言すると水平スクリュー21a,21bの負荷を検出することができる。なおロードセルの設置数は、必要とする測定精度に応じて任意に変更できる。また、ロードセルの取付け箇所は、この他にも回転トルクメータ60を取り付けた箇所を基点としてスクリューフレーム部22を間に挟んだ対向する箇所に挟むように(スクリューフレーム部22の両端)2箇所取り付ける構成としても良い。
【0033】
制御部50は、ロードセル70と電気的に接続しており、水平スクリューの荷重値を受信している。制御部50は、荷重値Wと高さhの相関性から荷重値の制御値をあらかじめ設定している。そしてロードセル70からの運転操作前の荷重値を受信して、あらかじめ定めた荷重値の制御値の上限値と比較する。その結果、荷重値が上限値以上の場合には、水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20を上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行っている。
【0034】
上記構成による水平スクリュー式サイロの運転方法3について以下説明する。
(S21)貨物の搬送運転前において、制御部50によって荷重値W及び積載した貨物から水平スクリューまでの高さhの相関性に従って、最適な運転が可能なWとhの制御値を設定する。
(S22)S1と同様に搬送運転前に、水平スクリュー21a,21bを貨物に差し込んで荷重値Wを測定する。
【0035】
(S23)ロードセル70の測定値を受信した制御部50では、荷重値と荷重値の上限値Wmaxを比較する(差分を取る)。具体的には荷重値(W)が上限値(Wmax)以上であるか否か判定する。なお荷重値の上限値Wmaxは、事前に定めた荷重値の制御値のうちの最大値に設定している。
(S24)その結果、荷重値(W)が上限値(Wmax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、荷重値(W)が上限値(Wmax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内として、搬送運転の準備が完了する。
【0036】
(S25)所定時間経過後などその後、再度、水平スクリュー21a,21bを貨物に差し込んで荷重値Wを測定する。
(S26)ロードセル70の測定値を受信した制御部50では、荷重値と荷重値の上限値Wmaxを比較する(差分を取る)。具体的には荷重値(W)が上限値(Wmax)以上であるか否か判定する。
(S27)その結果、荷重値(W)が上限値(Wmax)以上の場合には水平スクリュー21a,21bに負荷がかかった状態であると判断し、水平搬送装置20をΔhだけ上昇させる制御信号を旋回フレーム18の吊下げワイヤ18aの駆動部に送信する制御を行う。
一方、荷重値(W)が上限値(Wmax)よりも小さい場合にはあらかじめ定めた制御値の範囲内と判断する。
【0037】
このようなS22~S27の操作を繰り返すことにより、すなわち水平スクリューを貨物に抜き差しする操作を繰り返して荷重を測定し、荷重値(W)が上限値(Wmax)よりも小さくなるような水平スクリューの高さに調整して、搬送運転の準備が完了する。これにより測定精度が高まり、安定した搬送運転を行うことができる。
なおロードセルを適用した場合、搬送運転中であっても制御することができる。すなわち搬送運転中、貨物の性状(例えば、貨物の自重により下方が圧し固まった状態など)に応じて水平スクリュー21a,21bの切り込み量を調整する。荷重が大きいときには水平スクリュー21a,21bをΔh上昇させる。一方、荷重が小さいときにはそのまま搬送運転を続行する。
上記ロードセルに換えてストロークセンサ(赤外線レーザ、接触、超音波、共焦点方式など)を適用して同様に測定する構成を採用しても良い。このうち例えば接触式のストロークセンサを用いる場合には、水平スクリューを貨物に差し込んだときの距離から貨物の硬さの程度を求めることができる。このため、得られた測定値から貨物の性状を想定し、フィードバックして貨物の性状に応じた最適な運転条件での作動が可能となる。
【0038】
このような本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法3によれば、貨物の搬送運転前に旋回させずに水平スクリューを貨物に自重で差し込んだ際、又は貨物の搬送運転中に水平スクリューを回転させた際の荷重を計測して、得られた荷重値をフィードバックして、水平スクリューの貨物の上部表面からの高さを調整できるため、貨物の性状に応じた最適な運転条件での作動が可能となる。
【0039】
本発明の水平スクリュー式サイロの運転方法1,2は搬送運転前又は運転の合間(一時停止中など)に測定することができる。従ってあらかじめ貨物の性状に合わせて運転制御することができる。
また運転方法3は、搬送運転前又は運転の合間に加えて、搬送運転時にも測定することができる。このため、運転中に貨物倉内の貨物の性状変化(例えば、貨物倉の上部又は下部で圧し付けによって生じる硬さの違いなど)に対応することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0040】
1………水平スクリュー式サイロ、12………貨物倉、14………センターコラム、14a,14b………ガイドロッド、16………旋回筒、18………旋回フレーム、18a………吊下げワイヤ、20………水平搬送装置、21a,21b………水平スクリュー、22………スクリューフレーム部、23a,23b………駆動機、30………旋回ローラユニット、32………内リング、34………外リング、36………第1ローラ、37………第2ローラ、38………第3ローラ、40………トルクセンサ、50………制御部、60………回転トルクメータ、62………ギヤードモータ、64………圧子、70………ロードセル。
図1
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図9