(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】端末装置、端末装置の動作方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20220913BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20220913BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20220913BHJP
H04N 21/439 20110101ALI20220913BHJP
G10L 19/018 20130101ALI20220913BHJP
【FI】
G09B5/06
H04N21/435
H04N21/436
H04N21/439
G10L19/018
(21)【出願番号】P 2018146700
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 優樹
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195612(JP,A)
【文献】特開2018-022158(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008383(WO,A1)
【文献】特開2017-097030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56、
17/00-19/26
H04N 21/00-21/858
G10L 19/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出する識別抽出部と、
複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させる再生制御部と
を具備
し、
前記複数の識別コードは、前記複数の第2教材コンテンツの何れかが対応付けられた識別コードと、前記第2教材コンテンツが対応付けられていない識別コードとを含み、
前記再生制御部は、前記識別抽出部が抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられている場合には、当該第2教材コンテンツを前記再生装置に再生させ、前記識別抽出部が抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられていない場合には、再生中の第2教材コンテンツの再生を前記再生装置に維持させる
端末装置。
【請求項2】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出する識別抽出部と、
複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させる再生制御部と
、
前記識別抽出部が抽出した識別コードに応じて、前記第1教材コンテンツを利用した学習の進捗を表す履歴データを生成する履歴生成部と
を具備する端末装置。
【請求項3】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出し、
複数の第2教材コンテンツのうち、
前記抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させる
コンピュータにより実現される
端末装置の動作方法であって、
前記複数の識別コードは、前記複数の第2教材コンテンツの何れかが対応付けられた識別コードと、前記第2教材コンテンツが対応付けられていない識別コードとを含み、
前記第2教材コンテンツの再生においては、前記抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられている場合には、当該第2教材コンテンツを前記再生装置に再生させ、前記抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられていない場合には、再生中の第2教材コンテンツの再生を前記再生装置に維持させる
端末装置の動作方法。
【請求項4】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出し、
複数の第2教材コンテンツのうち、
前記抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させ
、
前記抽出した識別コードに応じて、前記第1教材コンテンツを利用した学習の進捗を表す履歴データを生成する
コンピュータにより実現される端末装置の動作方法。
【請求項5】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出する識別抽出部、および、
複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させる再生制御部
としてコンピュータを機能させる
プログラムであって、
前記複数の識別コードは、前記複数の第2教材コンテンツの何れかが対応付けられた識別コードと、前記第2教材コンテンツが対応付けられていない識別コードとを含み、
前記再生制御部は、前記識別抽出部が抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられている場合には、当該第2教材コンテンツを前記再生装置に再生させ、前記識別抽出部が抽出した識別コードに前記第2教材コンテンツが対応付けられていない場合には、再生中の第2教材コンテンツの再生を前記再生装置に維持させる
プログラム。
【請求項6】
相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を
時系列に含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から
、前記識別コードを
順次に抽出する識別抽出部
、
複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを
、再生装置に再生させる再生制御部
、および、
前記識別抽出部が抽出した識別コードに応じて、前記第1教材コンテンツを利用した学習の進捗を表す履歴データを生成する履歴生成部
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のコンテンツを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の端末装置により教材コンテンツを再生する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、音声再生装置により再生される語学教材に対応した文字データを、利用者が所持する文字データ再生装置で再生する構成が開示されている。具体的には、語学教材に含まれる外国語音声データに対して音響透かしにより文字データを重畳し、当該外国語音声データが表す音声を収音した文字データ再生装置により文字データを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、語学教材の内容または文字データの内容を変更するたびに、外国語音声データに対して音響透かしを重畳する必要があり手間がかかる。また、外国語音声データに重畳できる文字データの容量には上限もあり、多様なコンテンツを利用者に提供できないという問題もある。以上の事情を考慮して、本発明は、第1教材コンテンツに対応する多様な第2教材コンテンツを簡便な構成により利用者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る端末装置は、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出する識別抽出部と、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる再生制御部とを具備する。
本発明の好適な態様に係る端末装置の動作方法は、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出し、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる。
本発明の好適な態様に係る端末装置のプログラムは、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出する識別抽出部、および、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる再生制御部としてコンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る学習システムの全体的な構成を例示する模式図である。
【
図2】第1教材コンテンツと第2教材コンテンツとの模式図である。
【
図3】端末装置の構成を例示するブロック図である。
【
図4】端末装置が実行する処理を例示するフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る第1教材コンテンツと第2教材コンテンツとの模式図である。
【
図6】第2実施形態に係る参照テーブルの模式図である。
【
図7】第3実施形態に係る端末装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る学習システム100の全体的な構成を例示する模式図である。
図1の学習システム100は、利用者Uによる学習に利用されるコンピュータシステムであり、端末装置10と再生装置20とにより構成される。再生装置20は、第1教材コンテンツCaを再生する再生機器であり、音響を放音する放音装置(例えばスピーカ)と、画像を表示する表示装置(例えば液晶ディスプレイ)とを含む。端末装置10は、再生装置20が再生する第1教材コンテンツCaに対応する学習コンテンツCbを再生する情報端末である。例えば携帯電話機およびスマートフォン等の情報端末が端末装置10として好適である。
【0008】
第1教材コンテンツCaは、利用者Uによる学習に利用される教材である。
図1に例示される通り、第1教材コンテンツCaは、例えば講師による講義を収録したコンテンツであり、画像および音響を含む。一方で、学習コンテンツCbは、第1教材コンテンツCaの学習に利用されるコンテンツである。例えば第1教材コンテンツCaの講義に利用される教科書および参考書等のテキスト(いわゆる電子教材)が学習コンテンツCbとして例示される。また、第1教材コンテンツCaが表す講義に関する試験問題を学習コンテンツCbとして利用してもよい。
【0009】
図2は、第1教材コンテンツCaおよび学習コンテンツCbの模式図である。
図2に例示される通り、学習コンテンツCbは、相異なる複数の第2教材コンテンツCe(Ce1,Ce2,Ce3,…)で構成される。第1実施形態の各第2教材コンテンツCeは、第1教材コンテンツCaの一部に対応するコンテンツである。第1教材コンテンツCaにおける所定長の複数の単位区間T(T1,T2,T3,…)の各々に、1個の第2教材コンテンツCeが対応する。第1教材コンテンツCaにおける複数の単位区間Tの各々は、同じ時間長であり、連続的に順次に再生される。
【0010】
図1に例示される通り、第2教材コンテンツCeは、第1教材コンテンツCaの内容に関連するコンテンツであり、画像を含む。例えば、第1教材コンテンツCaに関する解説または設問等を表す画像が第2教材コンテンツCeとして好適である。再生装置20による第1教材コンテンツCaの再生に並行して、学習コンテンツCbが端末装置10により再生される。具体的には、学習コンテンツCbの複数の第2教材コンテンツCeのうち、第1教材コンテンツCaの再生されている単位区間Tに対応する第2教材コンテンツCeが端末装置10により再生される。
【0011】
第1教材コンテンツCaの音響には、講義に関する音のほかに、識別コードDを表す音響成分Zが含まれる。識別コードDは、第2教材コンテンツCeを識別するための情報である。
図2に例示される通り、相異なる複数の識別コードD(D1,D2,D3,…)をそれぞれ表わす複数の音響成分Z(Z1,Z2,Z3,…)が時系列に第1教材コンテンツCaに含まれる。具体的には、各単位区間Tに対応する第2教材コンテンツCeの識別コードDの音響成分Zが当該単位区間Tに含まれる。すなわち、複数の単位区間Tに複数の音響成分Zがそれぞれ含まれる。
【0012】
第1教材コンテンツCaは、画像信号と音響信号とで構成される。第1教材コンテンツCaの画像信号は、講義の様子を撮像装置により撮像することで生成される。第1教材コンテンツCaの音響信号は、講義に関する音(例えば講師の発話音声)を収録装置により収音することで生成された収音信号と、識別コードDを音響成分として表す変調信号とを加算することで生成される。すなわち、第1教材コンテンツCaの単位区間Tに対応する第2教材コンテンツCeの識別コードDが、当該単位区間Tの収音信号に付加される。なお、1個の単位区間Tの全体にわたり反復的に共通の識別コードDを付加してもよいし、1個の単位区間T内に1回だけ識別コードDを付加してもよい。
【0013】
変調信号は、例えば所定の周波数の搬送波を識別コードDにより周波数変調することで生成される。なお、拡散符号を利用した識別コードDの拡散変調と所定の周波数の搬送波を利用した周波数変換とを順次に実行することで変調信号を生成してもよい。変調信号の周波数帯域は、再生装置20による放音と端末装置10による収音とが可能な周波数帯域であり、かつ、学習システム100の利用者Uが通常の環境で聴取する音声の周波数帯域を上回る周波数帯域(例えば18kHz以上かつ20kHz以下)に設定される。したがって、学習システム100の利用者Uは、識別コードDの音響成分Zを殆ど聴取できない。
【0014】
図1の再生装置20の表示装置は、第1教材コンテンツCaの画像信号に応じた画像を表示する。すなわち、講義の様子を表す画像が表示される。再生装置20の放音装置は、第1教材コンテンツCaの音響信号に応じた音響を放音する。前述した通り、第1教材コンテンツCaの音響には、講義に関する音と識別コードDの音響成分Zとが含まれる。すなわち、放音装置は、講義に関する音を再生する音響機器として機能するほか、空気振動としての音波を伝送媒体として音響通信により識別コードDを周囲に送信する送信機としても機能する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態では、講義に関する音を放音する放音装置から識別コードDの音響成分Zを放音する音響通信により、当該識別コードDが周囲に送信される。識別コードDは、講義に関する音の放音に並行して、所定の周期で反復的に送信される。
【0015】
図3は、端末装置10の構成を例示するブロック図である。
図3に例示される通り、端末装置10は、制御装置11と記憶装置12と収音装置14と再生装置15とを具備する。端末装置10は、典型的には前述の通り、利用者Uが所有する情報端末である。ただし、据置型の情報端末を端末装置10として利用してもよい。
【0016】
収音装置14は、周囲の音を収音する音響機器(マイクロホン)である。具体的には、収音装置14は、再生装置20が再生した音響を収音し、当該音響の波形を表す音響信号Xを生成する。音響信号Xには識別コードDの音響成分が含まれる。音響信号Xの生成は、再生装置20による第1教材コンテンツCaの再生に並行して、所定の周期(例えば単位区間Tの時間長より短い周期)で繰り返し実行される。以上の説明から理解される通り、収音装置14は、音声通話または動画撮影時の音声収録に利用されるほか、空気振動としての音波を伝送媒体とする音響通信により識別コードDを受信する受信機としても機能する。なお、収音装置14が生成した音響信号Xをアナログからデジタルに変換するA/D変換器の図示は便宜的に省略した。また、端末装置10と一体に構成された収音装置14に代えて、別体の収音装置14を有線または無線により端末装置10に接続してもよい。
【0017】
制御装置11(コンピュータの例示)は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理回路で構成され、端末装置10の各要素を統括的に制御する。制御装置11は、
図1に例示される通り、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで複数の機能(識別抽出部113および再生制御部115)を実現する。なお、制御装置11の一部の機能を専用の電子回路で実現してもよい。また、制御装置11の機能を複数の装置に搭載してもよい。
【0018】
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと、制御装置11が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置12として任意に採用され得る。第1実施形態の記憶装置12は、学習コンテンツCbを構成する相異なる複数の第2教材コンテンツCeを記憶する。具体的には、記憶装置12は、参照テーブルQを記憶する。例えばインターネット等の通信網を介して配信サーバ(図示略)から事前に参照テーブルQが取得される。
図1に例示される通り、参照テーブルQは、相異なる複数の識別コードDの各々に第2教材コンテンツCeを対応付けて登録したデータテーブルである。学習コンテンツCbを構成する相異なる複数の第2教材コンテンツCeの各々に、1個の識別コードDが対応付けられる。なお、2以上の識別コードDに共通の第2教材コンテンツCeを対応付けてもよい。また、第1実施形態では、1つの学習コンテンツCbが記憶装置12に記憶される構成を例示したが、相異なる複数の第1教材コンテンツCaにそれぞれ対応する複数の第2教材コンテンツCeを記憶装置12に記憶してもよい。
【0019】
識別抽出部113は、第1教材コンテンツCaの再生に並行して当該識別抽出部113に供給される音響信号から識別コードDを抽出する。すなわち、第1教材コンテンツCaの再生に並行して識別コードDが抽出される。第1実施形態の識別抽出部113は、第1教材コンテンツCaの再生音の収音により収音装置14が生成する音響信号Xから識別コードDを抽出する。識別コードDの抽出は、例えば収音装置14が音響信号Xを生成するたびに実行される。すなわち、音響信号Xから識別コードDが順次に抽出される。具体的には、識別抽出部113は、例えば、音響信号Xのうち識別コードDの音響成分を含む周波数帯域を強調するフィルタ処理と、識別コードDに対する変調処理に対応した復調処理とにより、識別コードDを抽出する。識別抽出部113が抽出した識別コードDは、当該識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeの特定に利用される。
【0020】
再生制御部115は、学習コンテンツCbを再生装置15に再生させる。第1実施形態の再生制御部115は、複数の第2教材コンテンツCeのうち、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを再生装置15に再生させる。具体的には、再生制御部115は、参照テーブルQに登録された複数の第2教材コンテンツCeのうち、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを再生装置15に再生させる。前述した通り、相異なる複数の識別コードDが時系列に第1教材コンテンツCaの音響に含まれるから、当該識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeが順次に再生される。
【0021】
再生装置15は、再生制御部115による制御のもとで学習コンテンツCbを再生する出力機器である。第1実施形態の再生装置15は、学習コンテンツCbが表す画像を表示する表示装置を含む。
図1に例示される通り、再生装置15は、第1教材コンテンツCaのうち再生中の単位区間Tに対応する第2教材コンテンツCeを再生する。すなわち、学習コンテンツCbを構成する複数の第2教材コンテンツCeが順次に再生される。以上の説明から理解される通り、第1教材コンテンツCaの進行に同期して、第2教材コンテンツCeが順次に再生される。すなわち、学習システム100の利用者Uは、第1教材コンテンツCaの進行を意識することなく、第1教材コンテンツCaのうち再生されている部分に対応する第2教材コンテンツCeを見ることができる。
【0022】
図4は、端末装置10が実行する処理を例示するフローチャートである。例えば収音装置14が音響信号Xを生成するたびに
図4の処理が反復的に実行される。
図4の処理を開始すると、識別抽出部113は、音響信号Xから識別コードDを抽出する(Sa1)。再生制御部115は、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを参照テーブルQから特定する(Sa2)。再生制御部115は、特定した第2教材コンテンツCeを再生装置15に再生させる(Sa3)。
【0023】
例えば、第2教材コンテンツCeを音響透かし等の音響処理により、第1教材コンテンツCaの音響に付加する構成(以下「対比例」という)では、第2教材コンテンツCeの内容を変更するたびに、第1教材コンテンツCaに対して音響透かしを重畳するための音響処理を行う必要があり手間がかかる。また、第1教材コンテンツCaの音響に付加できる第2教材コンテンツCeの容量には上限もあり、多様な第2教材コンテンツCeを提供できないという問題もある。それに対して、第1実施形態では、第1教材コンテンツCaが相異なる複数の識別コードDをそれぞれ表す複数の音響成分Zを含み、複数の第2教材コンテンツCeのうち、当該第1教材コンテンツCaの再生音の収音により生成された音響信号Xから抽出された識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeが再生される。すなわち、第1実施形態の構成によれば、第1教材コンテンツCaの音響に第2教材コンテンツCeを付加することが不要である。したがって、第2教材コンテンツCeの容量の制限が対比例と比較して緩和される。また、第1実施形態の構成では、例えば第2教材コンテンツCeの内容を変更する場合には、参照テーブルQに登録された識別コードDに対応させる第2教材コンテンツCeを変更すればよい。すなわち、第1教材コンテンツCaに対する音響処理が不要である。以上の説明から理解される通り、第1実施形態によれば、対比例と比較して、第1教材コンテンツCaに対応する多様な第2教材コンテンツCeを簡便な構成により利用者Uに提供することができる。
【0024】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0025】
第2実施形態では、第1教材コンテンツCaの連続する複数の単位区間Tにわたり共通の第2教材コンテンツCeを再生する場合を想定する。
図5では、第1教材コンテンツCaの単位区間T1から単位区間T3において、第2教材コンテンツCe1が再生される場合が例示されている。
【0026】
図6は、第2実施形態に係る参照テーブルQの模式図である。
図6に例示される通り、第2実施形態に係る参照テーブルQは、1個の第2教材コンテンツCeが連続的に再生される複数の単位区間T1~T3のうち、先頭の単位区間T1に付加される識別コードDに対して、第2教材コンテンツCe1を対応付けて登録する。すなわち、連続する複数の単位区間Tのうち先頭以降の単位区間T(T2およびT3)の識別コードDに第2教材コンテンツCe1を対応付けることは不要である。
【0027】
第2実施形態の再生装置20は、第1実施形態と同様に、相異なる識別コードDをそれぞれ表す複数の音響成分Zを含む第1教材コンテンツCaを再生する。第2実施形態の端末装置10の識別抽出部113は、第1実施形態と同様に、第1教材コンテンツCaの再生音の収音により収音装置14が生成する音響信号Xから識別コードDを抽出する。
【0028】
第2実施形態の再生制御部115は、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeの有無に応じて、第2教材コンテンツCeの再生を制御する。具体的には、再生制御部115は、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeが参照テーブルQにある場合には、当該第2教材コンテンツCeを再生装置15に再生させる。一方で、再生制御部115は、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeが参照テーブルQにない場合には、再生中の第2教材コンテンツCeの再生を再生装置15に維持させる。
図6に例示される通り、識別コードD1が抽出された場合には、第2教材コンテンツCe1の再生が開始され、識別コードD1を抽出した後に識別コードD2および識別コードD3が抽出された場合には、再生中の第2教材コンテンツCe1の再生が維持される。すなわち、第2教材コンテンツCeが対応付けられていない識別コードD2および識別コードD3は、音響信号Xから抽出されても無視される。そして、識別コードD4が抽出されると、第2教材コンテンツCe1から第2教材コンテンツCe2に切り替えて再生される。
【0029】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第1実施形態の構成では、第1教材コンテンツCaの連続する複数の単位区間Tにわたり共通の第2教材コンテンツCeを再生する場合には、当該複数の単位区間Tのそれぞれに対応する複数の識別コードDの全てに第2教材コンテンツCeを対応付ける必要がある。それに対して、第2実施形態では、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeがある場合には、当該第2教材コンテンツCeを再生し、識別抽出部113が抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeがない場合には、再生中の第2教材コンテンツCeの再生が維持される。したがって、複数の識別コードDのうち、再生対象となる第2教材コンテンツCeを切替える任意の時点(単位区間T)の識別コードDに、第2教材コンテンツCeを対応させればよい。すなわち、全ての識別コードDに第2教材コンテンツCeを対応付けることが不要になる。
【0030】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る端末装置10の構成図である。第3実施形態の端末装置10は、第1教材コンテンツCaを利用した学習の進捗を管理する。
図7に例示される通り、第3実施形態の制御装置11は、第1実施形態と同様の識別抽出部113および再生制御部115の機能の他に、履歴生成部117としても機能する。
【0031】
第1教材コンテンツCaのうち再生が終了している時点(単位区間T)までの識別コードDは、端末装置10により受信されている。すなわち、第1教材コンテンツCaのうち端末装置10が受信した識別コードDに対応する部分までの学習が完了していると言える。そこで、第3実施形態では、端末装置10の識別抽出部113が抽出した識別コードDに応じて第1教材コンテンツCaの履歴を管理する。
【0032】
第3実施形態の識別抽出部113および再生制御部115は、第1実施形態と同様に機能する。履歴生成部117は、識別抽出部113が抽出した識別コードDに応じて履歴データPを生成する。履歴データPは、第1教材コンテンツCaを利用した学習の進捗を表すデータである。第1教材コンテンツCaの再生が終了した時点を表すデータが履歴データPとして好適である。例えば、第1教材コンテンツCaの全体のうち識別コードDを抽出した単位区間Tまでの時間長の割合を示すデータが履歴データPとして利用される。また、第1教材コンテンツCaが複数の章から構成されている場合には、識別コードDの抽出の有無を章毎に示すデータを履歴データPとして利用してもよい。なお、履歴データPの具体的な内容は、以上の例示に限定されない。例えば、第1教材コンテンツCaの再生回数、または、第1教材コンテンツCaの再生日時を表すデータを履歴データPとしてもよい。
【0033】
履歴生成部117が生成した履歴データPは、インターネット等の通信網を介して通信装置17から管理サーバ30に送信される。管理サーバ30は、端末装置10から送信された履歴データPを記憶する。なお、実際には、複数の端末装置10から履歴データPが送信される。したがって、管理サーバ30は、学習システム100の利用者U毎に、学習の進捗を履歴データPに応じて管理する。端末装置10は、管理サーバ30から履歴データPを取得して、当該第1教材コンテンツCaの進捗状況を示す画像を履歴データPに応じて再生装置15に表示させる。なお、端末装置10は、履歴データPを利用して生成された各種の情報(例えば利用者Uに適した第1教材コンテンツCaまたは学習方法を知らせる情報)を管理サーバ30から取得してもよい。
【0034】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では特に、第1教材コンテンツCaを利用した学習の進捗を表す履歴データPが識別コードDに応じて生成されるから、第2教材コンテンツCeの再生に利用する識別コードDを履歴データPの生成に流用できるという利点がある。なお、第3実施形態の構成を、第2実施形態に適用してもよい。また、第3実施形態では、履歴データPを管理サーバ30に記憶したが、履歴データPを端末装置10の記憶装置12に記憶してもよい。
【0035】
<変形例>
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された複数の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0036】
(1)前述の各形態では、第1教材コンテンツCaの一部に対応するコンテンツを第2教材コンテンツCeとして例示したが、第1教材コンテンツCaの全体にわたり対応する第2教材コンテンツCeも採用される。すなわち、第1教材コンテンツCaと第2教材コンテンツCeとが1対1で対応してもよい。以上の構成では、第1教材コンテンツCaの講義に利用される教科書および参考書等のコンテンツが第2教材コンテンツCeとして例示される。
【0037】
(2)前述の各形態では、第1教材コンテンツCaにおける所定長の複数の単位区間Tに複数の音響成分Zがそれぞれ含まれる構成を例示したが、第1教材コンテンツCaのうち音響成分Zを含める部分は任意である。例えば、第1教材コンテンツCaのうち、再生対象となる第2教材コンテンツCeを切替える任意の時点に識別コードDを含める構成も採用される。以上の構成では、第1教材コンテンツCaの作成の段階において、第1教材コンテンツCaの内容を確認しながら第2教材コンテンツCeを切替える時点を特定し、当該時点に音響成分Zを含める必要がある。それに対して、第1教材コンテンツCaにおける所定長の複数の単位区間Tに複数の音響成分Zがそれぞれ含まれる構成によれば、第1教材コンテンツCaの内容に関わらず周期的に音響成分Zを含めれば足りるから、第2教材コンテンツCeを切替える任意の時点に識別コードDを含める構成と比較して、第1教材コンテンツCaの作成に手間がかからないという利点がある。
【0038】
(3)前述の各形態では、複数の単位区間Tを同じ時間長としたが、各単位区間Tの時間長を異ならせてもよい。例えば、第1教材コンテンツCaを構成する複数の章にそれぞれ対応する区間を単位区間Tとしてもよい。
【0039】
(4)前述の各形態において、第1教材コンテンツCaが複数の章で構成される場合には、当該章を識別する情報(例えば章番号)を識別コードDとしてもよい。以上の構成では、例えば、第1教材コンテンツCaを構成する複数の章にそれぞれ対応する各区間に、当該章に対応する識別コードDを付加する。端末装置10に記憶される参照テーブルQには、第1教材コンテンツCaを構成する複数の章をそれぞれ識別する識別コードD毎に、当該章に対応する第2教材コンテンツCeが登録される。
【0040】
また、第1教材コンテンツCaにおける時間軸上の各時点を表すタイムコードを識別コードDとしてもよい。以上の構成では、第1教材コンテンツCaの各時点に対応する区間に、当該時点を表わす識別コードDを付加する。端末装置10に記憶される参照テーブルQには、第1教材コンテンツCaの相異なる複数の時点をそれぞれ表わす識別コードD毎に、当該時点に対応する第2教材コンテンツCeが登録される。
【0041】
(5)第3実施形態では、端末装置10が履歴データPを生成したが、管理サーバ30が履歴データPを生成してもよい。具体的には、端末装置10は、識別抽出部113が抽出した識別コードDを管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、端末装置10から送信された識別コードDに応じて履歴データPを生成する。
【0042】
(6)前述の各形態では、音響と画像とを含む第1教材コンテンツCaを例示したが、音響のみで第1教材コンテンツCaを構成してもよい。第1教材コンテンツCaの音響信号には、前述の各形態と同様に、講義に関する音と識別コードDの音響成分Zとが含有される。また、第1教材コンテンツCaの音響信号に、講義に関する音を含めることは必須ではない。すなわち、識別コードDの音響成分Zと画像とで第1教材コンテンツCaを構成してもよい。以上の構成では、第1教材コンテンツCaとしては無音であるが、識別コードDは音響通信により端末装置10に送信される。
【0043】
(7)前述の各形態では、画像を含む第2教材コンテンツCeを例示したが、第2教材コンテンツCeは、音響および画像の何れか一方または双方を含むコンテンツであれば任意である。
【0044】
(8)前述の各形態では、第1教材コンテンツCaの再生音の収音により収音装置14が生成する音響信号Xを、第1教材コンテンツCaの再生に並行して供給される音響信号として識別抽出部113に供給したが、第1教材コンテンツCaの再生に並行して供給される音響信号は以上の例示に限定されない。例えば、再生装置20による第1教材コンテンツCaの再生に並行して、再生装置20から有線で第1教材コンテンツCaの音響信号を端末装置10に送信してもよい。再生装置20から送信された当該音響信号が識別抽出部113に供給される。識別抽出部113は、供給された音響信号から識別コードDを抽出する。利用者Uは、第1教材コンテンツCaの再生により再生装置20から放音される音響を聴取する。すなわち、第1教材コンテンツCaの音響信号は、再生装置20の放音装置と、端末装置10とに供給される。
【0045】
また、再生装置20から送信された音響信号を端末装置10で再生してもよい。例えば、端末装置10の放音装置、または、端末装置10に接続されるイヤホンもしくはヘッドホンから、当該音響信号が表す音響(すなわち第1教材コンテンツCaの音響)が放音される。そして、第1教材コンテンツCaの音響の放音に並行して、再生装置20から送信された音響信号が識別抽出部113に供給される。識別抽出部113は、当該音響信号から識別コードDを抽出する。すなわち、第1教材コンテンツCaの音響の放音と、識別コードDの抽出とに共通の音響信号が利用される。なお、第1教材コンテンツCaの画像は、再生装置20により再生される。以上の説明から理解される通り、収音装置14による収音は必須ではない。
【0046】
(9)前述の各形態において、第1教材コンテンツCaの音響のうち講義に関する音と、第1教材コンテンツCaの音響のうち識別コードDの音響成分Zとを別系統で再生してもよい。例えば、音響のうち講義に関する音を再生装置20に接続されたイヤホンまたはヘッドホンから放音し、識別コードDの音響成分Zを再生装置20の放音装置(スピーカ)から放音してもよい。また、講義に関する音を表す音響信号を再生装置20から端末装置10に送信し、講義に関する音を当該端末装置10で再生し、識別コードDの音響成分Zを再生装置20で再生してもよい。
【0047】
また、識別コードDを表す音響成分Zを表す音響信号を、講義に関する音の放音に並行して再生装置20から端末装置10に送信してもよい。再生装置20または端末装置10による講義に関する音の放音(すなわち第1教材コンテンツCaの再生)に並行して、識別抽出部113が当該音響信号から識別コードDを抽出してもよい。すなわち、識別コードDを表す音響成分Zを放音することは必須ではない。
【0048】
(10)前述の各形態の第1教材コンテンツCaにおいて、講義に関する音と識別コードDの音響成分Zとを単一のチャンネルで記録するか、別個のチャンネルで記録するかは任意である。
【0049】
(11)前述の各形態では、識別コードDを音響成分として表す変調信号を非可聴帯域としたが、変調信号の周波数帯域は任意である。例えば変調信号を可聴帯域としてもよい。変調信号を可聴帯域とする場合には、例えば、識別コードDの音響成分Zを含む音響(例えばマーカー音)を、第1教材コンテンツCaのうち講義に関する音が存在しない区間(例えば各章の冒頭部分)に付与する。
【0050】
(12)前述の各形態では、参照テーブルQは端末装置10に記憶されたが、通信網を介して端末装置10と通信可能な配信サーバに参照テーブルQを記憶してもよい。以上の構成では、端末装置10は、音響信号Xから識別コードDを抽出するたびに当該識別コードDを配信サーバに送信する。配信サーバは、端末装置10から受信した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを参照テーブルQから特定して当該端末装置10に送信する。端末装置10は、配信サーバから受信した第2教材コンテンツCeを再生する。
【0051】
(13)前述の各形態において、講義に関する音および画像を含むコンテンツ(以下「講義コンテンツ」という)を再生装置20で再生する際に、当該講義に関する音に識別コードDを表す音響成分Zを付加してもよい。講義コンテンツの再生に並行して、相異なる複数の識別コードDが順次に付加される。以上の説明から理解される通り、再生装置20は、識別コードDを表す音響成分Zを講義コンテンツに付加することで第1教材コンテンツCaを生成し、当該第1教材コンテンツCを再生する。
【0052】
(14)前述の各形態では、第1教材コンテンツCaの複数の単位区間Tのそれぞれに相異なる識別コードDを対応させたが、例えば共通の第2教材コンテンツCeを再生される単位区間Tについては当該第2教材コンテンツCeの識別コードDを共通に対応付けてもよい。
【0053】
(15)第3実施形態において、管理サーバ30は、端末装置10から送信された履歴データPを多様に活用し得る。例えば、第1教材コンテンツCaを利用した講義の出欠の確認、または、第1教材コンテンツCaに関する単位の認定に端末装置10から送信された履歴データPを利用してもよい。
【0054】
(16)前述の各形態では、学習コンテンツCbを端末装置10に記憶したが、端末装置10と通信可能な配信装置に学習コンテンツCbを記憶してもよい。端末装置10は、抽出した識別コードDを配信装置に送信する。配信装置は、端末装置10から送信された識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを特定して端末装置10に送信する。そして、端末装置10は、配信装置から送信された第2教材コンテンツCeを再生する。
【0055】
(17)第2実施形態では、抽出した識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeが参照テーブルQにない場合には、再生中の第2教材コンテンツCeを維持する構成を例示したが、抽出した識別コードDが参照テーブルQにない場合に再生中の第2教材コンテンツCeを維持する構成も採用される。すなわち、参照テーブルQにおいて、共通の第2教材コンテンツCeを連続して再生する複数の単位区間Tのうち先頭以降の単位区間Tについては、識別コードDと第2教材コンテンツCeとの双方を登録することが不要である。
【0056】
(18)前述の各形態において、複数の教育機関(例えば予備校または学校)が学習システム100を採用する場合が想定される。以上の場合では、教育機関毎に第1教材コンテンツCaを用意する一方で、共通の学習コンテンツCbを複数の教育機関にわたり利用してもよい。教育機関毎に参照テーブルQを用意してもよいし、複数の教育機関について共通の参照テーブルQを用意してもよい。また、第1教材コンテンツCaに対して、相異なる複数の学習コンテンツCbを利用してもよい。
【0057】
(19)前述の各形態において、識別コードDとは異なる他のデータを第2教材コンテンツCeの再生に利用してもよい。例えば、識別コードDに対応する指示データが第2教材コンテンツCeの再生に利用される。指示データは、識別コードDが示す第2教材コンテンツCeをどのように再生するか(例えば表示または放音の何れかで第2教材コンテンツCeを再生するのか)を指示するデータである。具体的には、端末装置10は、例えば第1教材コンテンツCaを提供する教育機関を識別するデータ(以下「機関データ」)と、当該第1教材コンテンツCaに関する識別コードDとの対応付けを教育機関毎に記憶する。識別抽出部113が抽出した識別コードDと、当該識別コードDに対応する機関データとが、通信網を介して配信装置に送信される。配信装置は、機関データと識別コードDと指示データとの対応付けを教育機関毎に記憶する。識別コードDと機関データとを受信した配信装置は、当該識別コードDと機関データとに対応する指示データを特定し、端末装置10に送信する。指示データを送信した端末装置10は、識別コードDに対応する第2教材コンテンツCeを、配信装置から送信された指示データに応じて再生する。なお、指示データを端末装置10に記憶してもよい。すなわち、配信装置は省略され得る。また、第2教材コンテンツCeの再生において機関データを利用することは必須ではない。例えば、教育機関毎に相異なる識別コードDを用意する場合、または、教育機関毎に指示コードを区別する必要がない場合には、機関コードは不要である。
【0058】
(20)前述の各形態に係る端末装置10の機能は、各形態での例示の通り、CPU等の処理回路とプログラムとの協働により実現される。前述の各形態に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、通信網を介した配信の形態でプログラムをコンピュータに提供してもよい。
【0059】
<付記>
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0060】
本発明の好適な態様(第1態様)に係る端末装置は、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出する識別抽出部と、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる再生制御部とを具備する。以上の態様では、第1教材コンテンツが相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含み、複数の第2教材コンテンツのうち、当該第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から抽出された識別コードに対応する第2教材コンテンツが再生される。したがって、第1教材コンテンツに対応する多様な第2教材コンテンツを簡便な構成により利用者に提供することができる。
【0061】
第1態様の好適例(第2態様)では、前記複数の音響成分は、前記第1教材コンテンツにおける所定長の複数の単位区間にそれぞれ含まれる。以上の態様では、第1教材コンテンツにおける所定長の複数の単位区間に複数の音響成分がそれぞれ含まれるから、第2教材コンテンツを切替える任意の時点に識別コードを含める構成と比較して、第1教材コンテンツの作成に手間がかからない。
【0062】
第1態様または第2態様の何れかの好適例(第3態様)では、前記再生制御部は、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する前記第2教材コンテンツがある場合には、当該第2教材コンテンツを前記再生装置に再生させ、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する前記第2教材コンテンツがない場合には、再生中の第2教材コンテンツの再生を前記再生装置に維持させる。以上の態様では、識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツがある場合には、当該第2教材コンテンツを再生し、識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツがない場合には、再生中の第2教材コンテンツの再生が維持される。したがって、複数の識別コードのうち、再生対象となる第2教材コンテンツを切替える任意の時点の識別コードに、第2教材コンテンツを対応させればよい。すなわち、全ての識別コードに第2教材コンテンツを対応付けることが不要になる。
【0063】
第1態様から第3態様の何れかの好適例(第4態様)では、前記識別抽出部が抽出した識別コードに応じて、前記第1教材コンテンツを利用した学習の進捗を表す履歴データを生成する履歴生成部を具備する。以上の態様では、第1教材コンテンツを利用した学習の進捗を表す履歴データが識別コードに応じて生成されるから、第2教材コンテンツの再生に利用する識別コードを履歴データの生成に流用できる。
【0064】
本発明の好適な態様(第5態様)に係る端末装置の動作方法は、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出し、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる。以上の態様では、第1教材コンテンツが相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含み、複数の第2教材コンテンツのうち、当該第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から抽出された識別コードに対応する第2教材コンテンツが再生される。したがって、第1教材コンテンツに対応する多様な第2教材コンテンツを簡便な構成により利用者に提供することができる。
【0065】
本発明の好適な態様(第6態様)に係るプログラムは、相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含む第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から前記識別コードを抽出する識別抽出部、および、複数の第2教材コンテンツのうち、前記識別抽出部が抽出した識別コードに対応する第2教材コンテンツを再生装置に再生させる再生制御部としてコンピュータを機能させる。以上の態様では、第1教材コンテンツが相異なる複数の識別コードをそれぞれ表す複数の音響成分を含み、複数の第2教材コンテンツのうち、当該第1教材コンテンツの再生に並行して供給される音響信号から抽出された識別コードに対応する第2教材コンテンツが再生される。したがって、第1教材コンテンツに対応する多様な第2教材コンテンツを簡便な構成により利用者に提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
10…端末装置、100…学習システム、11…制御装置、113…識別抽出部、115…再生制御部、117…履歴生成部、12…記憶装置、14…収音装置、15…再生装置、17…通信装置、20…再生装置、30…管理サーバ。