(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】航空標識灯用ケーブルホルダ及び航空標識灯
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220913BHJP
F21V 27/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F21S2/00 664
F21V27/00
(21)【出願番号】P 2018184273
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹花 仁
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-121709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空標識灯の内部に係合する係合部と;
前記航空標識灯が有する標識灯に対して抜き差し自在に設けられて前記標識灯に電力を供給する電源ケーブルを保持するケーブル保持部と;
を具備
し、
前記ケーブル保持部は、前記電源ケーブルの径より大きく、前記電源ケーブルに設けられる接続プラグである電源ケーブルプラグより小さい切欠き部を有し、前記切欠き部に前記電源ケーブルを入り込ませることにより前記電源ケーブルを保持する
航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項2】
航空標識灯の内部に係合する係合部と;
前記航空標識灯が有する標識灯に対して抜き差し自在に設けられて前記標識灯に電力を供給する電源ケーブルを保持するケーブル保持部と;
第1部材と;
第2部材と;
を具備し、
前記係合部は、
前記第1部材と前記第2部材との双方に設けられる
航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項3】
前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置関係を変化させることにより、前記係合部間の長さを変化させることができる請求項
2に記載の航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項4】
前記係合部は、前記第1部材の前記係合部と前記第2部材の前記係合部との前記係合部間の長さを所定以上の長さにすることにより、前記航空標識灯の内部に係合する請求項
2または
3に記載の航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項5】
航空標識灯の内部に係合する係合部と;
前記航空標識灯が有する標識灯に対して抜き差し自在に設けられて前記標識灯に電力を供給する電源ケーブルを保持するケーブル保持部と;
を具備し、
前記係合部は、前記航空標識灯における前記航空標識灯の内側に突出する凸部に係合する
航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項6】
前記係合部は、前記凸部を挟み込んで前記凸部に引っ掛けることにより前記凸部に係合する請求項
5に記載の航空標識灯用ケーブルホルダ。
【請求項7】
航空標識灯の内部に係合する係合部と;
前記航空標識灯が有する標識灯に対して抜き差し自在に設けられて前記標識灯に電力を供給する電源ケーブルを保持するケーブル保持部と;
供給される電力により発光する標識灯と;
前記標識灯が取り付けられる調整リングと;
前記標識灯の下方に配置される基台と;
前記調整リングと前記基台との間に位置し、高さを調整することにより前記調整リングと前記基台との距離を調整可能な間座と;
前記基台の外側から前記基台の内側に向けて配設され、前記標識灯に対して抜き差し自在に設けられると共に前記標識灯に電力を供給する電源ケーブルと;
前記間座に係合し、前記電源ケーブルを保持する請求項1~6のいずれか1項に記載の航空標識灯用ケーブルホルダと;
を具備する航空標識灯。
【請求項8】
前記航空標識灯用ケーブルホルダは、最大長さを変化させることができ、
最大長さを最も小さくした状態では前記間座の開口径より小さく、
最大長さを最も大きくした状態では前記間座の開口径より大きくなることにより、前記間座に係合する請求項
7に記載の航空標識灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空標識灯用ケーブルホルダ及び航空標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機が離着陸する滑走路には、様々な航空標識灯が埋め込まれているが、滑走路は定期的に補修目的で、嵩上げ工事を行う。滑走路の嵩上げ工事では、滑走路表面のアスファルトの上から新たにアスファルトを敷き詰めることにより、滑走路表面を補修する。このため、航空標識灯も、滑走路の嵩上げに伴って高さを調節する。滑走路に埋め込まれる航空標識灯は、例えば、特許文献1に示すように、標識灯と、標識灯を取り付ける調整リングと、滑走路における航空標識灯を配置する穴に埋め込む基台と、基台と調整リングとの間に配置する間座とを有している。滑走路の嵩上げに伴って航空標識灯の高さを調節する際には、標識灯と調整リングとを一旦取り外し、新たに敷き詰めたアスファルトの深さの分だけ間座の高さを高くし、標識灯と調整リングとを再度取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、航空標識灯に対する電力の供給は、航空標識灯の底部付近から航空標識灯内に引き出されるケーブルに取り付けられるプラグと、標識灯のケーブルに取り付けられるプラグとを接続することにより行われる。一方で、滑走路の嵩上げに伴って間座の高さを高くした場合、航空標識灯の底部と、航空標識灯が有する標識灯との距離が離れることになる。滑走路の嵩上げ工事を行う際には、航空標識灯の底部付近から引き出されるケーブルのプラグと標識灯のケーブルのプラグとの抜き差しを行うが、滑走路の嵩上げを行った場合は、航空標識灯の底部と標識灯との距離が離れ、ケーブルのプラグ同士の距離が離れる。このため、プラグの抜き差しの作業が困難になり、嵩上げ工事を行う際に、航空標識灯に関する作業性の作業性が悪化し易くなっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、嵩上げ工事時における作業性を向上させることのできる航空標識灯用ケーブルホルダ及び航空標識灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の航空標識灯用ケーブルホルダは、係合部と;ケーブル保持部と;を具備する。係合部は、航空標識灯の内部に係合する。ケーブル保持部は、航空標識灯が有する標識灯に対して抜き差し自在に設けられて標識灯に電力を供給する電源ケーブルを保持する。
【0007】
実施形態の航空標識灯は、標識灯と;調整リングと;基台と;間座と;電源ケーブルと;航空標識灯用ケーブルホルダと;を具備する。標識灯は、供給される電力により発光する。調整リングは、標識灯が取り付けられる。基台は、標識灯の下方に配置される。間座は、調整リングと基台との間に位置し、高さを調整することにより調整リングと基台との距離を調整可能になっている。電源ケーブルは、基台の外側から基台の内側に向けて配設され、標識灯に対して抜き差し自在に設けられると共に標識灯に電力を供給する。航空標識灯用ケーブルホルダは、間座に係合し、電源ケーブルを保持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る航空標識灯の分解断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すケーブルホルダを折り畳んだ状態における平面図である。
【
図7】
図7は、ケーブルホルダを航空標識灯の内部に配置する際における説明図であり、間座の位置での平面断面図である。
【
図8】
図8は、ケーブルホルダを間座に係合させた際における説明図であり、間座の位置での平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50は、係合部53と、ケーブル保持部60と、を具備する。係合部53は、航空標識灯1の内部に係合する。ケーブル保持部60は、航空標識灯1が有する標識灯10に対して抜き差し自在に設けられて標識灯10に電力を供給する電源ケーブル40を保持する。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50では、ケーブル保持部60は、電源ケーブル40の径より大きく、電源ケーブル40に設けられる接続プラグである電源ケーブルプラグ41より小さい切欠き部61を有し、切欠き部61に電源ケーブル40を入り込ませることにより電源ケーブル40を保持する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とを有し、係合部53が第1部材51と前記第2部材52との双方に設けられる。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50では、第1部材51と第2部材52との相対的な位置関係を変化させることにより、係合部53間の長さを変化させることができる。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50では、係合部53は、第1部材51の係合部53と第2部材52の係合部53との係合部53間の長さを所定以上の長さにすることにより、航空標識灯1の内部に係合する。
【0015】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50では、係合部53は、航空標識灯1における航空標識灯1の内側に突出する凸部28に係合する。
【0016】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1用ケーブルホルダ50では、係合部53は、凸部28を挟み込んで凸部28に引っ掛けることにより凸部28に係合する。
【0017】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1は、標識灯10と、調整リング15と、基台30と、間座20と、電源ケーブル40と、航空標識灯1用ケーブルホルダ50と、を具備する。標識灯10は、供給される電力により発光する。調整リング15は、標識灯10が取り付けられる。基台30は、標識灯10の下方に配置される。間座20は、調整リング15と基台30との間に位置し、高さを調整することにより調整リング15と基台30との距離を調整可能になっている。電源ケーブル40は、基台30の外側から基台30の内側に向けて配設され、標識灯10に対して抜き差し自在に設けられると共に標識灯10に電力を供給する。航空標識灯1用ケーブルホルダ50は、間座20に係合し、電源ケーブル40を保持する。
【0018】
また、以下で説明する実施形態に係る航空標識灯1では、航空標識灯1用ケーブルホルダ50は、最大長さを変化させることができ、最大長さを最も小さくした状態では間座20の開口径より小さく、最大長さを最も大きくした状態では間座20の開口径より大きくなることにより、間座20に係合する。
【0019】
[実施形態]
次に、実施形態に係る航空標識灯用ケーブルホルダ及び航空標識灯を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、航空標識灯1の通常の使用態様での上方を本実施形態においても上方または上側として説明し、下方を本実施形態においても下方または下側として説明する。
【0020】
図1は、実施形態に係る航空標識灯1の分解断面図である。本実施形態に係る航空標識灯1は、航空機が離着陸する滑走路100に埋め込まれており、標識灯10と、調整リング15と、間座20と、基台30と、電源ケーブル40と、ケーブルホルダ50と、を有している。このうち、標識灯10は、滑走路100の表面に露出しており、標識灯10に供給される電力によって発光することが可能になっている。詳しくは、標識灯10は、設置状態における上下方向に見た際に、略円形の形状になっており、上方に向かって発光可能になっている。なお、
図1では、標識灯10を取り外した状態を図示している。また、
図1は、滑走路100の嵩上げ工事を行った後の航空標識灯1の断面図になっている。
【0021】
調整リング15は、略円環状の形状で形成され、円環の中心軸が上下方向に向かう向きで設置されている。このように形成される調整リング15は、標識灯10の設置時に標識灯10が直接取り付けられる部材になっている。
【0022】
基台30は、有底の円筒状の形状で形成され、円筒の中心軸が上下方向に向かうと共に、底部31が下側に位置する向きで設置されている。このように形成される基台30は、標識灯10の下方に配置されており、航空標識灯1における最も下側に配置されている。また、基台30における底部31付近には、標識灯10に対して電力を供給するケーブルである電源ケーブル40を、基台30の外側から基台30の内側に引き込む孔である基台孔32が形成されている。
【0023】
間座20は、上下方向において調整リング15と基台30との間に位置しており、上下方向における高さを調整することにより、調整リング15と基台30との距離を調整可能になっている。詳しくは、間座20は、間座20の設置時に相対的に上側に位置する上側間座21と、上側間座21の下側に位置する下側間座25とを有している。上側間座21と下側間座25とは、いずれも略円筒状の形状で形成され、上側間座21の外周面の大部分の直径が、下側間座25の内周面の大部分の直径よりも小さくなっており、直径が小さい上側間座21が、下側間座25の内側に入り込んで配設されている。また、上側間座21の外周面と下側間座25の内周面とには、互いに螺合するネジ部が形成されており、上側間座21の外周面のネジ部と下側間座25の内周面のネジ部とが螺合している。これにより、上側間座21と下側間座25とは、円筒の中心軸を中心として互いに回転させることにより、互いに螺合する上側間座21と下側間座25のネジ部に沿って、上下方向に相対的に移動する。間座20は、このように上側間座21と下側間座25とが上下方向に相対的に移動することにより、上下方向における高さを調整することが可能になっている。
【0024】
本実施形態に係る航空標識灯1は、このように形成される間座20を2つ用いており、2つの間座20は、上下方向に重ねて配置されている。即ち、2つの間座20は、上側に位置する間座20の下側間座25が、下側に位置する間座20の上側間座21の上部に配置され、2つの間座20は、ボルト(図示省略)によって接合されている。詳しくは、間座20は、上側間座21における上端に、円筒の内側方向に突出する上側間座接合部22が形成されており、下側間座25における下端に、円筒の内側方向に突出する下側間座接合部26が形成されている。上下方向に重ねて配置される2つの間座20は、下側に位置する間座20が有する上側間座21の上側間座接合部22と、上側に位置する間座20が有する下側間座25の下側間座接合部26とが、ボルトによって接合されている。
【0025】
また、2つの間座20のうち、下側の間座20は、基台30の上部に配置されると共に、下側間座25の下側間座接合部26が、ボルト(図示省略)によって基台30に取り付けられている。また、2つの間座20のうち、上側の間座20の上部には調整リング15が配置されており、調整リング15は、ボルト(図示省略)によって上側間座21の上側間座接合部22に取り付けられている。間座20は、これらのように調整リング15と基台30とに接合されており、上側間座21と下側間座25とを上下方向に相対移動させて上下方向における高さを調整することにより、調整リング15と基台30との距離を調整可能になっている。
【0026】
電源ケーブル40は、基台30に形成される基台孔32を通って、基台30の外側から基台30の内側に向けて配設されており、標識灯10に対して抜き差し自在に設けられている。詳しくは、標識灯10は、電源ケーブル40に接続するケーブルである標識灯ケーブル11を有しており、標識灯ケーブル11の端部には、接続プラグである標識灯ケーブルプラグ12が設けられている。一方、電源ケーブル40の端部には、接続プラグである電源ケーブルプラグ41が設けられており、標識灯ケーブルプラグ12と電源ケーブルプラグ41とは、抜き差し自在に構成されている。これにより、電源ケーブル40は、標識灯ケーブル11に対して抜き差し自在になっており、標識灯10に対して抜き差し自在に設けられている。
【0027】
ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内部に配置される航空標識灯1用のケーブルホルダ50になっており、航空標識灯1の内部で間座20に係合し、電源ケーブル40を保持することが可能になっている。即ち、ケーブルホルダ50は、航空標識灯1における航空標識灯1の内側に突出する凸部28に係合することにより、航空標識灯1の内側で、上下方向における所定の位置に配置することが可能になっている。ケーブルホルダ50が係合する凸部28は、間座20の上側間座接合部22や下側間座接合部26になっており、ケーブルホルダ50は、上側間座接合部22や下側間座接合部26に係合することにより、間座20に係合することが可能になっている。
【0028】
図2は、
図1に示すケーブルホルダ50の平面図である。
図3は、
図2のA-A矢視図である。ケーブルホルダ50は、アルミニウムやステンレス等、錆が発生し難い材料からなり、航空標識灯1の内部に係合する係合部53と、電源ケーブル40を保持するケーブル保持部60とを有している。また、ケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とを有しており、第1部材51と第2部材52とは、蝶ボルト57によって連結されている。詳しくは、第1部材51と第2部材52とは、いずれも略長方形の板状の形状で形成されており、長方形の幅と厚さは、第1部材51と第2部材52とで同程度になっている。このうち、第1部材51の一端寄りの位置には、第2部材52との連結に用いる蝶ボルト57が通る孔である連結孔56が形成されている。連結孔56は、長手方向が連結孔56の長手方向に沿った方向となる長孔状の形状で形成されている。
【0029】
一方、第2部材52には、一端寄りの位置における一方側の面に、蝶ボルト57と螺合するナット58が取り付けられている。ナット58は、例えば、溶接等によって第2部材52に取り付けられている。第1部材51と第2部材52とは、第2部材52におけるナット58が取り付けられている面の反対側の面側から第1部材51が重ねられた状態で、第1部材51の連結孔56に蝶ボルト57を通し、蝶ボルト57とナット58とを螺合することにより、蝶ボルト57によって連結されている。
【0030】
係合部53は、第1部材51と第2部材52との双方に設けられており、第1部材51と第2部材52とに設けられる係合部53は、第1部材51と第2部材52との、互いに他方が位置する側の端部の反対側に設けられている。つまり、第1部材51に設けられる係合部53は、第1部材51における第2部材52に連結される側の端部の反対側の端部に設けられており、第2部材52に設けられる係合部53は、第2部材52における第1部材51に連結される側の端部の反対側の端部に設けられている。
【0031】
係合部53は、挟持部材54を有して形成されている。挟持部材54は、第1部材51と第2部材52とにおける、蝶ボルト57の頭が位置する側の面の反対側の面にそれぞれ取り付けられている。挟持部材54の形状は、第1部材51や第2部材52と同程度の幅及び厚さを有する板状の部材を折り曲げられることにより形成され、ケーブルホルダ50を第1部材51や第2部材52の幅方向に沿った方向に見た場合(
図3参照)に、略クランク状に折り曲げられている。挟持部材54は、略クランク状に折り曲げられることにより形成される3つの面のうち、1つの面が、第1部材51や第2部材52における、蝶ボルト57の頭が位置する側の面の反対側の面に取り付けられている。これにより、挟持部材54は、第1部材51や第2部材52に対して平行な面が、第1部材51や第2部材52から離間した位置に形成される。このように形成される挟持部材54は、第1部材51や第2部材52の長さ方向における端部の位置では、第1部材51や第2部材52から離間しており、即ち、挟持部材54を有する係合部53は、第1部材51や第2部材52の長さ方向における端部の位置では開口している。
【0032】
また、係合部53における、第1部材51や第2部材52と挟持部材54とで離間している部分の距離は、本実施形態では、上側間座21が有する上側間座接合部22の厚さと、下側間座25が有する下側間座接合部26の厚さとを合わせた厚さよりも若干大きい程度の距離になっている。つまり、係合部53は、上下方向における開口幅が、上側間座21が有する上側間座接合部22の厚さと、下側間座25が有する下側間座接合部26の厚さとを合わせた厚さよりも若干大きい程度の開口幅で、第1部材51や第2部材52の長さ方向における端部の位置で開口している。
【0033】
ケーブル保持部60は、第1部材51に形成されており、電源ケーブル40を入り込ませることにより電源ケーブル40を保持する切欠き部61を有している。切欠き部61は、第1部材51における、幅方向における端部に位置して長さ方向に延びる辺に開口している。また、第1部材51の長さ方向における切欠き部61の幅は、電源ケーブル40の径よりも大きくなっており、電源ケーブル40に設けられる電源ケーブルプラグ41の径より小さくなっている。また、切欠き部61における第1部材51の辺に対して開口している部分寄りの位置の、第1部材51の長さ方向における両側には、後述するケーブル保持部材63(
図4、
図5参照)が取り付けられる保持部材取付け孔62が形成されている。
【0034】
ケーブルホルダ50は、蝶ボルト57の頭が上側に位置し、ナット58が下側に位置する向きで航空標識灯1の内部に配置される(
図1参照)。その際に、ケーブルホルダ50は、係合部53が、航空標識灯1の内側に突出する凸部28に係合することによって配置される。詳しくは、ケーブルホルダ50の係合部53は、航空標識灯1の内側に突出する凸部28上に載置されることにより、凸部28に係合する。本実施形態では、ケーブルホルダ50の係合部53と係合する凸部28としては、上側間座21の上側間座接合部22と、下側間座25の下側間座接合部26とが挙げられる。ケーブルホルダ50の係合部53は、上下方向に重ねられる2つの間座20のうち、上側の間座20が有する下側間座25の下側間座接合部26上に載置されることにより、下側間座接合部26に係合する。
【0035】
さらに、ケーブルホルダ50の係合部53は、航空標識灯1の内側に突出する凸部28を挟み込んで凸部28に引っ掛けることにより、凸部28に係合することが可能になっている。つまり、係合部53は、挟持部材54を有しているため、凸部28を上下方向における両側から係合部53によって挟み込むことにより、凸部28に係合することが可能になっている。この場合、係合部53は、上下方向に重ねられる2つの間座20のうち、上側の間座20が有する下側間座25の下側間座接合部26と、下側の間座20が有する上側間座21の上側間座接合部22とが重ねられて接合された状態で、上下方向における両側から挟み込む。これにより、係合部53は、凸部28である上側間座21の上側間座接合部22と下側間座25の下側間座接合部26とに係合し、ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内部における調整リング15と基台30との間の位置に配置される。
【0036】
図4は、
図1のB部詳細図である。
図5は、
図4のC-C矢視図である。電源ケーブル40は、航空標識灯1の内部に配置されるケーブルホルダ50に保持される。ケーブルホルダ50によって電源ケーブル40を保持する際には、電源ケーブル40をケーブル保持部60の切欠き部61に入り込ませる。その際に、電源ケーブル40は、電源ケーブルプラグ41がケーブルホルダ50の上方に位置する状態で、ケーブル保持部60の切欠き部61に入り込ませる。
【0037】
ケーブル保持部60は、このように切欠き部61に電源ケーブル40が入り込んだ状態で、2つの保持部材取付け孔62同士の間に亘ってケーブル保持部材63を通す。この場合、ケーブル保持部材63は、切欠き部61に入り込んでいる電源ケーブル40が、2つの保持部材取付け孔62よりも、切欠き部61が開口する辺から離れる位置に位置する状態で保持部材取付け孔62に通す。これにより、切欠き部61に入り込んだ電源ケーブル40は、切欠き部61が開口する辺側に抜け出る方向への移動が、ケーブル保持部材63によって規制される。なお、この場合におけるケーブル保持部材63は、例えば、樹脂材料からなる結束バンドのような、2つの保持部材取付け孔62に通して容易に環状の形状にすることができる部材を用いるのが好ましい。
【0038】
本実施形態に係る航空標識灯1及びケーブルホルダ50は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。滑走路100(
図1参照)は、定期的に補修目的で嵩上げ工事を行う。嵩上げ工事では、既存アスファルト101上に、嵩上げ用の新たなアスファルトである嵩上げアスファルト102を敷き詰めることにより行う。これにより、滑走路100は、表面の高さが高くなる。
【0039】
また、滑走路100の嵩上げ工事を行う際には、航空標識灯1が有する標識灯10を取り外し、調整リング15の位置を、間座20によって嵩上げ後の位置に調整した状態で行う。例えば、嵩上げ前には1つの間座20が用いられている場合において、嵩上げ工事時に多くの嵩上げアスファルト102を敷き詰めることにより、間座20を追加する場合には、既存の間座20に新たな間座20を取り付け、さらに新たな間座20に調整リング15を取り付けた状態で嵩上げ工事を行う(
図1参照)。これにより、調整リング15に取り付ける標識灯10の高さを、滑走路100の表面の位置に合わせた高さにすることができる。
【0040】
ここで、このように滑走路100の嵩上げ工事に伴って調整リング15の高さを変化させた場合、調整リング15から基台30までの深さが深くなる。標識灯10を調整リング15に取り付ける際には、標識灯10に電力を供給する電源ケーブル40と、標識灯10の標識灯ケーブル11とを接続する必要があるが、電源ケーブル40は、基台30の底部31付近に形成される基台孔32から基台30の内側に入り込んで配設されている。このため、調整リング15から基台30までの深さが深くなると、調整リング15の位置から電源ケーブル40の電源ケーブルプラグ41までの距離が大きくなり、標識灯10が有する標識灯ケーブル11の標識灯ケーブルプラグ12と、電源ケーブルプラグ41との抜き差しが困難になる虞がある。これにより、嵩上げ工事時に、嵩上げに対応して航空標識灯1に対して行う作業の作業性が低下する虞がある。
【0041】
これに対し、本実施形態に係る航空標識灯1は、間座20に係合して航空標識灯1の内側に配置されるケーブルホルダ50が、電源ケーブル40を保持している。このため、航空標識灯1は、電源ケーブル40の電源ケーブルプラグ41が、調整リング15に対して比較的接近している位置で、電源ケーブル40を保持することができる。即ち、調整リング15側から作業者の手が届きやすい位置に、電源ケーブルプラグ41を保持することができる。これにより、嵩上げ工事時に、調整リング15から基台30までの深さが深くなっても、調整リング15の位置から電源ケーブルプラグ41までの距離が大きくなり過ぎることを抑制することができる。従って、作業者は、調整リング15側から、標識灯10の標識灯ケーブルプラグ12と電源ケーブルプラグ41とを容易に抜き差しすることができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0042】
また、ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内部に係合する係合部53と、電源ケーブル40を保持するケーブル保持部60とを有しているため、電源ケーブル40を保持した状態で、航空標識灯1の内部における所定の位置に配置することができる。これにより、電源ケーブルプラグ41が調整リング15に比較的接近する位置に、電源ケーブル40を位置させ続けることができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0043】
また、ケーブルホルダ50のケーブル保持部60によって電源ケーブル40を保持する際には、ケーブル保持部60が有する切欠き部61に、電源ケーブル40を入り込ませる。ケーブル保持部60の切欠き部61は、第1部材51の長さ方向における幅が、電源ケーブル40の径より大きく、電源ケーブルプラグ41より小さくなっている。このため、電源ケーブルプラグ41が第1部材51より上方に位置する状態で電源ケーブル40を切欠き部61に入り込ませた場合、電源ケーブルプラグ41は、切欠き部61を上下方向に通ることができないため、ケーブル保持部60は、電源ケーブルプラグ41の落下を抑制することができる。これにより、標識灯ケーブルプラグ12と電源ケーブルプラグ41との抜き差しを、より確実に容易に行うことができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0044】
また、ケーブルホルダ50は、係合部53を、航空標識灯1の内側に突出する凸部28に係合させることにより、航空標識灯1の内側における調整リング15と基台30との間の位置に配置している。これにより、ケーブルホルダ50は、電源ケーブルプラグ41を、より確実に調整リング15と基台30との間の位置に位置させることができる。従って、標識灯ケーブルプラグ12と電源ケーブルプラグ41との抜き差しを、より確実に容易に行うことができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0045】
また、ケーブルホルダ50の係合部53は、航空標識灯1の内側に突出する凸部28である上側間座21の上側間座接合部22と下側間座25の下側間座接合部26とを挟み込んで、上側間座接合部22と下側間座接合部26とに引っ掛けることにより係合している。これにより、ケーブルホルダ50は、上下方向における移動が規制され、ケーブルホルダ50で保持する電源ケーブル40の電源ケーブルプラグ41に対して、標識灯10の標識灯ケーブルプラグ12を抜き差しする際に、ケーブルホルダ50が上下方向に移動することを抑制することができる。従って、電源ケーブルプラグ41に対する標識灯ケーブルプラグ12の抜き差しを、より容易に行うことができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0046】
次に、ケーブルホルダ50を航空標識灯1の内側に入り込ませて間座20に係合させる際の手法について説明する。
図6は、
図2に示すケーブルホルダ50を折り畳んだ状態における平面図である。航空標識灯1の内側で電源ケーブル40を保持するケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52との相対的な位置関係を変化させることができる。即ち、ケーブルホルダ50は、蝶ボルト57を緩めることにより、蝶ボルト57の位置を中心として、第1部材51と第2部材52とを相対的に回動させることができる。これにより、ケーブルホルダ50は、最大長さを変化させることができ、また、第1部材51の係合部53と第2部材52の係合部53との係合部53間の長さを変化させることができる。
【0047】
つまり、第1部材51と第2部材52とが直線状になる位置関係にした場合(
図2参照)は、ケーブルホルダ50の最大長さは、第1部材51における第2部材52が位置する側の反対側の端部から、第2部材52における第1部材51が位置する側の反対側の端部までの長さになる。これに対し、第1部材51と第2部材52とを折り畳んだ状態にした場合(
図6参照)は、ケーブルホルダ50の最大長さは、第1部材51単体の長さと第2部材52単体の長さとのうち、長い方の長さになる。このため、ケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とを相対的に回動させて折り畳むことにより、最大長さを小さくすることができる。
【0048】
図7は、ケーブルホルダ50を航空標識灯1の内部に配置する際における説明図であり、間座20の位置での平面断面図である。ケーブルホルダ50を航空標識灯1の内部に配置する際には、ケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とを折り畳んで最大長さを小さくした状態で航空標識灯1の内側に入れる。本実施形態に係るケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とを折り畳んで最大長さを最も小さくした状態では、間座20の開口径より小さくなる。このため、ケーブルホルダ50を航空標識灯1の内側に入れる際には、第1部材51と第2部材52とを折り畳み、最大長さを小さくした状態で入れる。なお、この場合における間座20の開口径は、下側間座25に形成される下側間座接合部26の位置での直径になっている。
【0049】
図8は、ケーブルホルダ50を間座20に係合させた際における説明図であり、間座20の位置での平面断面図である。第1部材51と第2部材52とを折り畳んだ状態で航空標識灯1の内側にケーブルホルダ50を入り込ませたら、第1部材51と第2部材52とを相対的に回動させることにより、第1部材51と第2部材52とが直線状になる位置関係にする。これにより、ケーブルホルダ50の最大長さを大きくする。本実施形態に係るケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52との位置関係を直線状にすることにより最大長さを最も大きくした状態では、間座20の開口径より大きくなる。
【0050】
ケーブルホルダ50は、このように第1部材51と第2部材52との最大長さを所定以上の長さにし、間座20の開口径より大きくすることにより、航空標識灯1の内部に係合する。つまり、ケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52との最大長さを所定以上の長さにして、第1部材51の係合部53と第2部材52の係合部53との係合部53間の長さを所定以上の長さにすることにより、係合部53が、間座20が有する下側間座25の下側間座接合部26に係合する。これにより、ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内部に係合する。ケーブルホルダ50の係合部53が、間座20の下側間座接合部26に係合したら、蝶ボルト57を締め込み、第1部材51と第2部材52とが相対的に回動しないようにする。これにより、ケーブルホルダ50の最大長さが最も大きくなった状態を維持することができ、係合部53が下側間座接合部26に係合した状態を維持し、ケーブルホルダ50が航空標識灯1の内側に配置された状態を維持することができる。従って、容易に、且つ、確実にケーブルホルダ50を航空標識灯1の内側に配置することができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0051】
航空標識灯1が有するケーブルホルダ50は、これらのように最大長さを変化させることが可能になっており、最大長さを最も小さくした状態では、間座20の開口径より小さいため、ケーブルホルダ50を航空標識灯1の内側に入れる際に容易に入れることができる。また、ケーブルホルダ50の最大長さを最も大きくした状態では、間座20の開口径より大きくなるため、ケーブルホルダ50の係合部53をより確実に間座20に係合させることができる。電源ケーブル40は、このように容易に航空標識灯1の内側に入り込ませ、係合部53を間座20に係合させるケーブルホルダ50のケーブル保持部60によって保持する。
【0052】
これにより、航空標識灯1は、ケーブルホルダ50を容易に航空標識灯1の内側に入り込ませることを可能にしつつ、電源ケーブルプラグ41が調整リング15と基台30との間に位置するように電源ケーブル40を保持できる位置に、ケーブルホルダ50を配置することができる。従って、標識灯ケーブルプラグ12と電源ケーブルプラグ41との抜き差しのみでなく、ケーブルホルダ50自体の配置も容易に行うことができ、嵩上げ工事時における作業性を向上させることができる。
【0053】
[変形例]
なお、上述した実施形態に係る航空標識灯1では、間座20は2つが設けられていたが、間座20の数はこれ以外でもよい。間座20は、滑走路100の嵩上げの度合いに応じて、適宜設けるのが好ましい。
【0054】
また、上述した実施形態に係るケーブルホルダ50は、切欠き部61に電源ケーブル40を入り込ませ、結束バンド等のケーブル保持部材63を用いて電源ケーブル40を保持しているが、ケーブル保持部60で電源ケーブル40を保持する手法は、これ以外でもよい。ケーブル保持部60は、容易に、且つ、確実に電源ケーブル40を保持することができれば、その手法は問わない。
【0055】
また、上述した実施形態に係るケーブルホルダ50は、間座20の上側間座接合部22や下側間座接合部26を凸部28として、これらの部位に係合するが、ケーブルホルダ50が係合する凸部28は、これらの部位以外であってもよい。ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内部において、ケーブルホルダ50が落下することなく確実に係合することができる部位であれば、係合する部位は問わない。また、係合する手法についても、容易に、且つ、確実に係合できる手法であれば、係合の手法は問わない。
【0056】
また、上述した実施形態に係るケーブルホルダ50は、第1部材51と第2部材52とが蝶ボルト57で連結され、第1部材51と第2部材52とが相対的に回動することにより、最大長さや係合部53間の長さを変化させることができるが、最大長さや係合部53間の長さを変化させるための構成は、これ以外でもよい。ケーブルホルダ50は、例えば、直線状に伸縮することにより、最大長さや係合部53間の長さを変化させることが可能に形成されていてもよい。ケーブルホルダ50は、航空標識灯1の内側に容易に入れることができ、且つ、航空標識灯1の内側の部位に確実に係合することができるように構成されていれば、最大長さや係合部53間の長さを変化させるための構成は問わない。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 航空標識灯
10 標識灯
11 標識灯ケーブル
12 標識灯ケーブルプラグ
15 調整リング
20 間座
21 上側間座
22 上側間座接合部
25 下側間座
26 下側間座接合部
28 凸部
30 基台
31 底部
32 基台孔
40 電源ケーブル
41 電源ケーブルプラグ
50 ケーブルホルダ
51 第1部材
52 第2部材
53 係合部
57 蝶ボルト
60 ケーブル保持部
100 滑走路
101 既存アスファルト
102 嵩上げアスファルト