(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/075 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G01F1/075
(21)【出願番号】P 2019008522
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-125527(JP,U)
【文献】実開平06-025198(JP,U)
【文献】米国特許第03426595(US,A)
【文献】実開昭51-097460(JP,U)
【文献】実開昭55-116217(JP,U)
【文献】米国特許第02963907(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体の流量を測定するための流量計であって、
内部を前記粉粒体が移動し、前記粉粒体の移動方向の下流側に向かって下降する配管と、
前記配管から外側に隆起し、前記配管と内部同士が連続するハウジングと、
前記配管内及び前記ハウジング内に跨って配置され、前記配管内を移動する前記粉粒体により、水平方向に延びる回転軸周りに回転する羽根車と、
前記羽根車の回転を検出する回転検出器と、
を備え、
前記羽根車は、前記流量計の縦断面視で、前記移動方向の上流側及び下流側に存在する前記配管と前記ハウジングとの両接続点のうち上流側の接続点から前記粉粒体の安息角で下方に延びる安息ラインの上方を通過する回転軌跡を描き、
前記ハウジングは、前記回転軸を通る仮想水平面以下の領域において、前記羽根車の外周縁との間に前記粉粒体の平均粒子径の3倍以上の大きさの隙間を有
し、
前記羽根車は、
前記回転軸を中心軸とする回転シャフト、
を含み、
前記回転シャフトは、前記流量計の縦断面視で、前記両接続点を結ぶ直線である前記配管の仮想輪郭線に接するとともに、その一部が前記安息ラインよりも上方に位置するように配置される、流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の流量計であって、
前記羽根車は、複数の羽根を含み、
前記複数の羽根のそれぞれは、前記回転軸側から前記羽根車の径方向で外側に向かって延びる第1部分と、前記第1部分の先端に接続され前記第1部分の幅よりも大きい幅を有する第2部分と、を有する、流量計。
【請求項3】
請求項2に記載の流量計であって、
前記第2部分は、前記第1部分に対し、前記羽根車の羽根の回転方向で後ろ側に屈曲する、流量計。
【請求項4】
請求項2に記載の流量計であって、
前記第2部分は、前記羽根車の回転方向で後ろ側の面に凹部を有する、流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流量計に関し、より詳細には、粉粒体の流量を測定するための流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、産業廃棄物の焼却炉、発電用ボイラ、又は焼結機等、化石燃料を燃焼する設備から排出される排ガスには、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、及びダイオキシン類等の有害物質が含まれる。これらの有害物質を排ガスから除去するため、従来、吸着現象を利用した排ガス処理が行われている。この排ガス処理を行うシステムでは、粉粒体である吸着材が充填された吸着容器に排ガスが導入される。吸着材は、吸着容器内を降下し、吸着容器の底部から排出される。吸着容器の上部には、吸着材が供給される。
【0003】
排ガス処理システムでは、通常、ホッパから吸着容器に対し、配管(供給シュート)を経由して吸着材が供給される。吸着容器内における吸着材の流動状態が正常な場合、理論的には、吸着容器に対し、排出された吸着材の量とほぼ同量の吸着材がホッパから供給される。すなわち、排出された吸着材の体積分だけ吸着容器内で吸着材が降下することにより、容器上部に空間が生じる。ホッパは、この空間に対し、供給シュートを介して吸着材を供給する。一般的な排ガス処理システムにおいて、吸着容器に対する吸着材の供給量は、ホッパのレベル計測によっておおまかに把握されている。
【0004】
ところで、吸着容器の底部からの吸着材の排出量が吸着容器内の吸着材の充填量に対して十分に小さい場合、容器底部から吸着材が連続的に切り出されたとしても、容器内及び供給シュート内で吸着材が一様に流動するわけではない。このため、吸着容器の上部には、常時連続して吸着材が供給されるわけではなく、通常、間欠的に吸着材が供給される。つまり、吸着材が吸着容器に供給される供給期間と、吸着材が吸着容器に供給されない供給停止期間とが交互に繰り返される。
【0005】
より詳細に説明すると、数mから十数m(例えば、14m)の高さの吸着容器では、粒状の吸着材の充填状態が粗の部分と密な部分とが上方に伝播されていき、容器底部で小さかった粗密波が、容器上部に到達するときには大きく増幅されている。このため、吸着容器に対する吸着材の供給は、間欠供給になっている。すなわち、吸着容器内には、吸着材の粒子間の空隙が多い粗の充填部分と、吸着材の粒子間の空隙が少ない密な充填部分とが存在する。例えば振動等で吸着材の粒子が動くとき、これらの粒子は空隙が小さくなるように移動するため、吸着容器内で密な充填部分が発生する。密な充填部分が新たに発生したとき、吸着容器内の別の場所では、密な充填部分が粗の充填部分に変化する。このようにして、粗の充填部分と密な充填部分とが次々と上方に伝搬していき、粗の充填部分の隙間又は空間が吸着容器の最上部に到達したときに、供給シュートから吸着容器内に吸着材が供給されることになる。吸着材の充填状態が伝搬していく間、吸着材の粒子間の微小な隙間又は空間は、合体を繰り返し、吸着容器の最上部に到達するときには大きな隙間又は空間となっている。このため、粗の充填部分の隙間又は空間が吸着容器の最上部に到達したときに、吸着材が吸着容器に大量に流入し、その後、数分間以上は吸着材の供給が停止するという現象が生じる。吸着容器に対する吸着材の供給及び供給停止の繰り返しパターン(供給パターン)は、例えば以下に述べるように、吸着容器内における吸着材の流動状態に異常が生じた場合に変化する。
【0006】
排ガス処理システムでは、吸着容器内に充填された吸着材に有害物質を吸着させるため、吸着容器を排ガスが通過する。この排ガスは、吸着容器内に顕熱を持ち込み、酸化熱及び吸着反応熱を発生させるが、これらの発生熱を吸着容器から持ち出していく。このため、吸着容器内の吸着材の温度は概ね一定に保たれる。しかしながら、排ガスが吸着容器を通過する際、排ガス中の塩素又は亜硫酸ガスがアンモニアと反応し、塩化又は塩酸アンモニウムや硫化又は硫酸アンモニウム等の塩類を生成する場合がある。この塩類により、吸着材の粒子表面に粘り気が生じ、粒子同士が滑りにくくなるため、吸着容器内における吸着材の流動が阻害され、吸着容器内の一部分に吸着材が固定されることがある。このとき、吸着材の粒子同士が接着して塊が生成される。このような吸着材の塊では、排ガスが内部に浸透するだけで通過しにくいため、内部で発熱反応が進む一方、抜熱が生じない。よって、吸着材の塊は、徐々に高温となり、その周囲の吸着材の粒子を巻き込んで次第に大きくなっていく傾向がある。
【0007】
吸着材の塊が大きくなると、この塊により、吸着容器の断面が概ね閉塞されてしまうことがある。この場合、吸着容器の底部から吸着材が排出され、吸着材の塊の下方に空間が生じたとしても、塊の上方には吸着材が充填されたままであり、空間が生じない。このため、供給シュートから吸着容器に吸着材が供給されることがない。すなわち、吸着容器において、吸着材の供給停止期間が正常時よりも長くなり、吸着材の供給パターンが変化する。吸着容器内において、吸着材の塊が生成されて吸着材の流動状態が悪化すると、吸着材が蓄熱して300℃以上の高温になり、いわゆるホットスポット現象が発生する。その結果、吸着容器が熱変形して、排ガス処理システムの操業が困難になるという事態も生じ得る。
【0008】
ホットスポットの発生を検知する方法として、例えば、複数の温度計によって吸着容器内の温度を測定し、通常の温度よりも高い温度が検出されたときにオペレータに報知する方法がある。しかしながら、一般に、吸着容器は巨大であるため、温度計によって吸着容器内の温度を網羅的に測定することは難しい。例えば、温度計の測定可能距離外に高温部分が存在する場合、この高温部分を検知することはできない。そのため、温度計によって高温が検出される頃には、既に排ガス処理システムの操業が困難となっていることが多い。よって、吸着材の流動状態の異常をできるだけ早期に発見し、ホットスポットの発生を予防、又はホットスポットをその発生初期に防ぎ止めることが望まれる。ホットスポットの発生を予防し、あるいは防ぎ止めるための措置としては、例えば、吸着容器からの吸着材の排出量を増加させ、吸着容器内における吸着材の降下速度を大きくすることが挙げられる。
【0009】
上述した通り、吸着容器に対する吸着材の供給パターンは、吸着容器内における吸着材の流動状態が異常となったときに変化する。よって、吸着材の流動状態が正常なときの供給パターンを予め把握しておき、この正常時の供給パターンと現在の供給パターンとを比較しながら排ガス処理システムを操業することで、ホットスポットの発生原因である流動状態の異常を早期に発見することができる。
【0010】
正常時及び現在の供給パターンを正確に把握するためには、吸着容器に対する吸着材の供給量を正確に測定する必要がある。しかしながら、ホッパのレベル低下が間欠的であること、また、吸着容器に大量の吸着材が流入したときにはホッパに急激なレベル低下が生じること等から、従来の排ガス処理システムのようなホッパのレベル計測では、吸着材の供給量を正確に把握することは難しい。吸着材の供給量や供給頻度を正確に把握するためには、供給シュートにおいて、その内部を通過する吸着材の流量を測定することが好ましい。
【0011】
配管内を通過する被測定物の流量を測定するための流量計として、例えば特許文献1~4に開示されているような羽根車式の流量計が知られている。特許文献1~4の流量計は、被測定物を通過させる配管と、配管の側方に設けられたハウジングと、配管及びハウジングに跨って収容される羽根車と、を備える。羽根車は、配管内を通過する被測定物により、回転軸周りに回転する。この羽根車の回転数から、被測定物の流量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第5043245号公報
【文献】特開平7-055514号公報
【文献】特開平11―118820号公報
【文献】特開2006-162296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1~4の流量計は、いずれも、流体(液体)の流量を測定することを想定したものである。特許文献1~4の流量計では、吸着材のような粉粒体の流量を測定することは難しい。仮に特許文献1~4の流量計で粉粒体の流量を測定しようとした場合、粉粒体がハウジング内に侵入して充満し、羽根車が回転しなくなる可能性がある。これは、粉粒体の粒子間に摩擦抵抗が生じるためである。すなわち、ハウジング内に多くの粉粒体が侵入すると、粉粒体の粒子同士が接触して摩擦抵抗が生じ、ハウジング内で粉粒体が流動しにくくなる。羽根車は、この摩擦抵抗に逆らって、さらに、回転方向によっては重力に逆らって回転する必要がある。摩擦抵抗又は重力等といった羽根車の回転を妨げる力が、配管内を移動する粉粒体から羽根車に作用する力以上になった場合、羽根車が回転不能となり、粉粒体の流量を測定することができなくなる。
【0014】
本開示は、粉粒体の流量を測定可能な流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示に係る流量計は、粉粒体の流量を測定するための流量計である。流量計は、配管と、ハウジングと、羽根車と、回転検出器と、を備える。粉粒体は、配管の内部を移動する。配管は、粉粒体の移動方向の下流側に向かって下降する。ハウジングは、配管から外側に隆起する。ハウジングは、配管と内部同士が連続する。羽根車は、配管内及びハウジング内に跨って配置される。羽根車は、配管内を移動する粉粒体により、回転軸周りに回転する。回転軸は、水平方向に延びている。回転検出器は、羽根車の回転を検出する。羽根車は、流量計の縦断面視で、安息ラインの上方を通過する回転軌跡を描く。配管とハウジングとの両接続点は、流量計の縦断面視で、移動方向の上流側及び下流側に存在する。安息ラインは、流量計の縦断面視で、配管とハウジングとの両接続点のうち上流側の接続点から、粉粒体の安息角で下方に延びる。ハウジングは、回転軸を通る仮想水平面以下の領域において、羽根車の外周縁との間に隙間を有する。隙間は、粉粒体の平均粒子径の3倍以上の大きさを有する。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る流量計によれば、粉粒体の流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る流量計を使用することができる排ガス処理システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る流量計の縦断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る流量計の横断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る流量計の縦断面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る流量計の縦断面図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態に係る流量計の縦断面図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態に係る流量計の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態に係る流量計は、粉粒体の流量を測定するための流量計である。流量計は、配管と、ハウジングと、羽根車と、回転検出器と、を備える。粉粒体は、配管の内部を移動する。配管は、粉粒体の移動方向の下流側に向かって下降する。ハウジングは、配管から外側に隆起する。ハウジングは、配管と内部同士が連続する。羽根車は、配管内及びハウジング内に跨って配置される。羽根車は、配管内を移動する粉粒体により、回転軸周りに回転する。回転軸は、水平方向に延びている。回転検出器は、羽根車の回転を検出する。羽根車は、流量計の縦断面視で、安息ラインの上方を通過する回転軌跡を描く。配管とハウジングとの両接続点は、流量計の縦断面視で、移動方向の上流側及び下流側に存在する。安息ラインは、流量計の縦断面視で、配管とハウジングとの両接続点のうち上流側の接続点から、粉粒体の安息角で下方に延びる。ハウジングは、回転軸を通る仮想水平面以下の領域において、羽根車の外周縁との間に隙間を有する。隙間は、粉粒体の平均粒子径の3倍以上の大きさを有する(第1の構成)。
【0019】
第1の構成に係る流量計において、測定対象の粉粒体を配管内に導入したとき、この粉粒体は、配管とハウジングとの上流側の接続点を起点とする安息ラインに沿って、ハウジング内に堆積する。ハウジング内のうち、安息ラインの上方は、粉粒体が実質的に堆積しない空間となっている。羽根車は、この安息ラインの上方空間を通過する回転軌跡で回転するよう構成されている。このため、羽根車は、ハウジング内の粉粒体によってその回転を妨げられることなく、円滑に回転することができる。この羽根車の回転は回転検出器によって検出され、検出された回転情報から配管内での粉粒体の流量を求めることができる。
【0020】
第1の構成では、羽根車の回転軸を通る仮想水平面以下の領域において、ハウジングと羽根車の外周縁との間に隙間が形成されている。この隙間は、粉粒体の平均粒子径の3倍以上という、粉粒体が通り抜けるのに十分な大きさを有する。このため、粉粒体は、羽根車にすくい上げられてハウジング内に一旦侵入したとしても、羽根車の外周縁とハウジングとの間の隙間を通って配管に戻ることができる。よって、ハウジング内に粉粒体が滞留及び充満せず、ハウジング内の空間を維持することができる。その結果、羽根車を円滑に回転させることができる。
【0021】
このように、第1の構成に係る流量計によれば、測定対象が粉粒体であるにもかかわらず、羽根車を円滑に回転させることができる。よって、粉粒体の流量を測定することが可能となる。
【0022】
羽根車は、複数の羽根を含む。複数の羽根のそれぞれは、第1部分と、第2部分と、を有することが好ましい。第1部分は、回転軸側から羽根車の径方向で外側に向かって延びる。第2部分は、第1部分の先端に接続される。第2部分は、第1部分の幅よりも大きい幅を有する(第2の構成)。
【0023】
第2の構成において、羽根車の各羽根は、幅狭の第1部分及び幅広の第2部分を有している。この構成によれば、粉粒体は、各羽根にすくい上げられてハウジング内に侵入したとしても、幅狭の第1部分から容易に落下し、この第1部分とハウジングとの間の比較的大きな隙間を通って配管に戻ることができる。よって、ハウジング内における粉粒体の滞留及び充満をより確実に抑制することができる。また、配管内では、粉粒体を幅広の第2部分に確実に衝突させることができるため、羽根車の回転を促進することができる。
【0024】
第2部分は、第1部分に対し、羽根車の回転方向で後ろ側に屈曲していてもよい(第3の構成)。
【0025】
第3の構成によれば、配管内では、各羽根の第2部分は、第1部分に対し、粉粒体の移動方向で上流側に屈曲した状態になる。これにより、配管内の粉粒体が第2部分に捕捉されやすくなり、粉粒体によって各羽根を確実に押すことができる。このため、羽根車の回転をより促進することができる。また、羽根車の回転に伴って各羽根の第1部分が水平状態に近づくと、第2部分は、第1部分に対して下側に屈曲した状態になる。このため、第2部分に捕捉されていた粉粒体は、第2部分から確実に落下して配管に戻される。よって、ハウジング内における粉粒体の滞留及び充満をさらに抑制することができる。
【0026】
第2部分は、羽根車の回転方向で後ろ側の面に凹部を有していてもよい(第4の構成)。
【0027】
第4の構成によれば、配管内では、各羽根の第2部分の凹部は、粉粒体の移動方向で上流側に配置される。この凹部によって配管内の粉粒体を捕捉することができ、粉粒体によって各羽根を確実に押すことができる。このため、羽根車の回転をより促進することができる。また、羽根車の回転に伴って各羽根の第1部分が水平状態に近づくと、第2部分の凹部が下向きになる。これにより、凹部に捕捉されていた粉粒体は、凹部から確実に落下して配管に戻される。よって、ハウジング内における粉粒体の滞留及び充満をさらに抑制することができる。
【0028】
羽根車は、回転シャフトを含むことができる。回転シャフトの中心軸は、羽根車の回転軸である。回転シャフトは、流量計の縦断面視で、配管の仮想輪郭線に接するとともに、その一部が安息ラインよりも上方に位置するように配置されることが好ましい。仮想輪郭線は、流量計の縦断面視で、配管とハウジングとの両接続点を結ぶ直線である(第5の構成)。
【0029】
上述した通り、粉粒体は、配管とハウジングとの上流側の接続点を起点とする安息ラインに沿ってハウジング内に堆積する。ただし、第5の構成では、羽根車において、配管の仮想輪郭線に接するとともに、その一部が安息ラインの上方に位置する回転シャフトが設けられる。この構成によれば、配管とハウジングとの上流側の接続点を起点とする粉粒体の堆積が回転シャフトによって遮断され、粉粒体は、回転シャフトと配管の仮想輪郭線との接点を起点に堆積する。当該接点が配管とハウジングとの上流側の接続点よりも下方に位置するため、ハウジング内では、粉粒体の堆積位置が下がり、粉粒体が実質的に堆積しない空間を大きく確保することができる。よって、羽根車をより円滑に回転させることができる。
【0030】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0031】
<第1実施形態>
[ガス処理システムの構成]
図1は、実施形態に係る流量計を使用することができる排ガス処理システム100の概略構成図である。
図1に示すように、排ガス処理システム100は、吸着塔1と、複数のホッパ2と、複数の流量計3,4と、再生塔5と、搬送装置61~66と、を備える。
【0032】
吸着塔1には、例えば、産業廃棄物の焼却炉、発電用ボイラ、又は焼結機等といった、化石燃料を燃焼する設備からの排ガスが導入される。排ガスは、窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)を含む。
【0033】
吸着塔1は、少なくとも1つの吸着容器10を含む。吸着容器10の各々には、粉粒体が充填される。本実施形態における粉粒体は、例えば活性炭等の吸着材である。
【0034】
吸着容器10は、上下方向に延びている。吸着容器10は、それぞれ、脱硝部11と、脱硫部12とを備える。脱硝部11及び脱硫部12の各々には、粉粒体が充填されている。脱硝部11では、主にNOxが排ガスから除去される。脱硫部12では、主にSOxが排ガスから除去される。脱硫部12は、脱硝部11の下方に配置されている。脱硫部12は、脱硝部11と連通している。以下、各吸着容器10の脱硝部11で構成される層を脱硝層110、各吸着容器10の脱硫部12で構成される層を脱硫層120という。
【0035】
図1において二点鎖線の矢印で示すように、脱硫層120には、排ガスが導入される。排ガスは、脱硫層120及び脱硝層110を順に通過する。排ガスが脱硫層120を通過するとき、排ガス中のSOxが各脱硫部12内の粉粒体に接触して吸着される。排ガスが脱硝層110を通過するとき、排ガス中のNOxが各脱硝部11内の粉粒体に接触して分解される。SOx及びNOxが除去された排ガスは、吸着塔1から排出される。
【0036】
吸着容器10は、粉粒体を排出しつつ粉粒体の供給を受ける。排ガス処理システム100の運転中、吸着容器10は、その底部から連続的又は断続的に粉粒体を排出する。これに伴い、吸着容器10内で粉粒体が下方に流動する。粉粒体は、脱硝部11及び脱硫部12を流下した後、ロールフィーダ(図示略)によって吸着容器10の底部から切り出される。
【0037】
複数のホッパ2は、吸着塔1の上方に配置されている。各ホッパ2は、2以上の吸着容器10に対応して設けられる。各ホッパ2は、対応する吸着容器10に対し、粉粒体を分配して供給する。
【0038】
ホッパ2と複数の吸着容器10との間には、複数の流量計3が設けられている。流量計3は、吸着容器10ごとに設けられる。流量計3の各々は、排ガス処理システム100の運転中、対応する吸着容器10について、粉粒体の供給量に応じた検出情報を出力する。流量計3の構成については、後で詳細に説明する。
【0039】
流量計4は、吸着容器10ごとに設けられる。流量計4の各々は、排ガス処理システム100の運転中、対応する吸着容器10について、粉粒体の排出量に応じた検出情報を出力する。流量計4として、公知又は市販の流量計を採用することができる。流量計4は、例えば、インパクト式等といった接触式の流量計や、光遮断式等といった非接触式の流量計である。
【0040】
搬送装置61~66は、吸着塔1と再生塔5との間で粉粒体を搬送する。搬送装置61,63,65,66は、例えばベルトコンベヤであり、粉粒体を水平方向に搬送する。搬送装置62,64は、例えばバケットエレベータ又はひれ付きベルトコンベヤであり、粉粒体を垂直方向に搬送する。
【0041】
排ガス処理システム100の運転中、再生塔5には、吸着塔1からの粉粒体が供給される。搬送装置61は、各吸着容器10の底部から排出された粉粒体を水平方向に搬送して搬送装置62に供給する。搬送装置62は、搬送装置61から受け取った粉粒体を再生塔5の上方に搬送する。粉粒体は、搬送装置62から再生塔5に供給される。
【0042】
再生塔5は、吸着塔1でSOxを吸着した粉粒体を受け入れる。粉粒体は、再生塔5内に供給されて下方に流動する。再生塔5は、その内部の粉粒体を加熱する。これにより、粉粒体からSOxが脱離して粉粒体が再生される。再生された粉粒体は、再生塔5の底部から排出される。再生塔5は、排ガス処理システム100の運転中、連続的又は断続的に粉粒体を排出する。
【0043】
再生塔5で再生された粉粒体は、吸着塔1に送られ、再び吸着塔1に供給される。搬送装置63は、再生塔5の底部から排出された粉粒体を水平方向に搬送して搬送装置64に供給する。搬送装置64は、搬送装置63から受け取った粉粒体を吸着塔1の上方に搬送し、搬送装置65に供給する。搬送装置66は、搬送装置65から粉粒体を受け取って各ホッパ2に供給する。
【0044】
[流量計の構成]
次に、流量計3の詳細な構成について、さらに
図2及び
図3を参照しつつ説明する。
図2は、流量計3の縦断面図である。
図3は、流量計3の横断面図である。
図2及び
図3に示すように、流量計3は、配管31と、ハウジング32と、羽根車33と、回転検出器34と、を備える。本実施形態において、縦断面とは、配管31の中心軸Xを含む鉛直な平面で切断した断面をいい、横断面とは、羽根車33の回転軸Yを含み、中心軸Xに直交する平面で切断した断面をいう。
【0045】
図2及び
図3を参照して、配管31は、ホッパ2と、吸着容器10とを接続する配管である。吸着容器10に粉粒体が供給されるとき、配管31内の粉粒体が移動する。すなわち、吸着容器10からの粉粒体の排出に伴って吸着容器10内で粉粒体が降下し、容器上部に空間が生じたとき、配管31内の粉粒体が吸着容器10に向かって流下する。配管31は、ホッパ2側(粉粒体の移動方向の上流側)から吸着容器10側(粉粒体の移動方向の下流側)に向かって下降している。本実施形態において、配管31は、鉛直方向に対して傾斜して延びている。配管31上を粉粒体が滑り落ちることができるよう、水平方向に対して配管31がなす角度は、粉粒体及び配管31の静止摩擦係数で定まる摩擦角よりも大きい。ただし、配管31は、鉛直方向に延びていてもよい。配管31の材質は、例えば鋼であるが、特に限定されるものではない。
【0046】
ハウジング32は、配管31から外側に隆起する。本実施形態では、ハウジング32は、傾斜して延びる配管31の周壁から上側に隆起している。ハウジング32は、配管31と一体形成されていてもよいし、配管31と別体で形成された後、溶接等によって配管31に固定されていてもよい。流量計3の縦断面視において、ハウジング32は、接続点P1,P2で配管31と接続されている。接続点P1は、配管31とハウジング32との上流側の接続点である。接続点P2は、配管31とハウジング32との下流側の接続点である。ハウジング32の内部は、配管31の内部と連続している。
【0047】
ハウジング32は、互いに対向する一対の側壁321と、上壁322と、を有する。各側壁321は、配管31の外周面から、回転軸Yと概ね直交する方向に延びている。上壁322は、側壁321の端縁同士を接続し、側壁321間の空間を封鎖する。したがって、各側壁321は、その端縁が上壁322に沿うように形成されている。
【0048】
上壁322は、円弧部322aと、直線部322bと、を有する。円弧部322aは、粉粒体の移動方向で、直線部322bの上流側に位置している。直線部322bは、回転軸Yを通る仮想水平面Sの近傍において、円弧部322aに接続されている。直線部322bは、円弧部322aから配管31に向かって延びている。水平方向に対して直線部322bがなす角度は、直線部322b上を粉粒体が滑り落ちることができるよう、粉粒体及びハウジング32の静止摩擦係数で定まる摩擦角よりも大きい。好ましくは、水平方向に対して直線部322bがなす角度は、実質90°である。ハウジング32の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス等の鋼とすることができる。
【0049】
羽根車33は、配管31内及びハウジング32内に跨って配置される。すなわち、羽根車33は、その一部が配管31内に配置され、残りの部分がハウジング32内に配置される。羽根車33は、回転軸Y周りに回転する。回転軸Yは、配管31の外側で、水平方向に延びている。流量計3の縦断面視で、羽根車33は、回転軸Yを中心とする円形の回転軌跡Tを描くように回転する。
【0050】
ハウジング32は、仮想水平面S以下の領域で、羽根車33の外周縁との間に隙間G1を有する。言い換えると、仮想水平面S以下の領域において、羽根車33が描く回転軌跡Tとハウジング32との間には、隙間G1が存在する。隙間G1は、粉粒体の平均粒子径の3倍以上の大きさを有し、より好ましくは、粉粒体の最大粒子径の3倍以上の大きさを有する。隙間G1の大きさとは、ハウジング32の上壁322から羽根車33の外周縁(先端)までの、羽根車33の径方向における距離をいう。
【0051】
本実施形態において、ハウジング32の上壁322のうち円弧部322aは、羽根車33に沿うように配置されている。一方、ハウジング32の上壁322のうち直線部322bは、仮想水平面Sの近傍から配管31に向かうにつれて羽根車33から離れていく。このため、隙間G1は、仮想水平面Sから配管31に向かって徐々に大きくなっている。
【0052】
仮想水平面Sよりも上方の領域においても、ハウジング32と羽根車33の外周縁との間に、隙間が形成されていることが好ましい。すなわち、仮想水平面Sの上方においても、羽根車33の径方向において、ハウジング32の上壁322から羽根車33の外周縁(先端)までの距離が粉粒体の平均粒子径の3倍以上であることが好ましく、最大粒子径の3倍以上であることがより好ましい。
【0053】
羽根車33は、回転シャフト331と、複数の羽根332と、を含む。
【0054】
回転シャフト331は、回転軸Yを中心軸とするシャフトである。回転シャフト331は、ハウジング32の一対の側壁321を貫通する。回転シャフト331は、一対の側壁321の両側で、支持部材35によって支持される。各支持部材35は、ベアリング36を介し、回転シャフト331を回転軸Y周りに回転自在に支持している。ベアリング36は、典型的には玉軸受等の転がり軸受であるが、これに限定されるものではなく、空気軸受等の流体軸受であってもよい。
【0055】
複数の羽根332は、回転シャフト331から放射状に延びている。羽根332の各々は、第1部分332aと、第2部分332bと、を有する。第1部分332aは、回転軸Y側から、羽根車33の径方向で外側に向かって延びる。第1部分332aの一端(基端)は、回転シャフト331の外周面に固定されている。第1部分332aの他端(先端)には、第2部分332bが固定されている。本実施形態では、隣り合う第1部分332aの基端部同士が接続され、複数の羽根332が一体的に形成されている。
【0056】
本実施形態では、各羽根332に1本の第1部分332aが設けられているが、各羽根332に複数本の第1部分332aを設けることもできる。すなわち、各第2部分332bは、1本の第1部分332aを介して回転シャフト331と接続されてもよいし、複数本の第1部分332aを介して回転シャフト331と接続されてもよい。
【0057】
第2部分332bの幅Wbは、第1部分332aの幅Waよりも大きい。幅Wa,Wbは、それぞれ、回転軸Yが延びる方向(回転軸方向)における第1部分332a及び第2部分332bの最大長さである。ハウジング32と第2部分332bとの間には、隙間G2が設けられることが好ましい。隙間G2の大きさは、好ましくは粉粒体の平均粒子径の3倍以上であり、より好ましくは粉粒体の最大粒子径の3倍以上である。ハウジング32と第1部分332aとの間の隙間G3は、隙間G2よりも大きい。隙間G2,G3の大きさとは、それぞれ、ハウジング32の側壁321から第2部分332b及び第1部分332aまでの、回転軸方向の距離をいう。
【0058】
回転検出器34は、ハウジング32の一方の側壁321に取り付けられる。回転検出器34は、例えば、公知又は市販の近接スイッチである。回転検出器34が近接スイッチである場合、例えば、側壁321に形成された樹脂製又はガラス製等の窓の外側に回転検出器34が取り付けられ、鉄片等の金属片37が各羽根332に取り付けられる。羽根車33が回転しているとき、回転検出器34は、各羽根332の金属片37が対向するごとに、パルス信号を出力する。
【0059】
回転検出器34は、公知又は市販のロータリエンコーダであってもよく、例えば、アブソリュート式又はインクリメンタル式エンコーダである。この場合、回転検出器34は、回転シャフト331に取り付けられる。回転検出器34がアブソリュート式エンコーダである場合、回転検出器34は、例えば、羽根車33(回転シャフト331)の絶対角度に応じた信号を出力する。回転検出器34がインクリメンタル式エンコーダである場合、回転検出器34は、例えば、羽根車33(回転シャフト331)が所定角度回転するごとにパルス信号を出力する。
【0060】
回転検出器34からの信号は制御装置(図示略)に入力される。制御装置は、回転検出器34からの信号に基づき、羽根車33の回転数を算出する。制御装置は、所定期間におけるパルス数をカウントすることで、あるいは、所定期間における角度の変化量を求めることで、羽根車33の回転数を算出する。制御装置は、羽根車33の回転数と粉粒体の流量との関係を示す検量線を使用して、算出した羽根車33の回転数に対応する粉粒体の流量を求める。検量線は、予め行った実験の結果に基づき、流量計3の設置前に作成されている。
【0061】
[流量計の使用状態及び動作]
次に、流量計3の使用状態及び動作について説明する。
【0062】
図1に示す排ガス処理システム100において、配管31は、その内部に粉粒体が充填された状態になっている。
図2を参照して、配管31及びハウジング32の内部同士が連続していることから、ハウジング32内にも粉粒体が存在する。流量計3の縦断面視において、粉粒体は、配管31とハウジング32との上流側の接続点P1を起点とし、自身の安息角θでハウジング32内に堆積する。安息角θは、粉粒体の性状に応じて定まる角度であり、堆積した粉粒体の表面(斜面)が水平方向に対してなす角度である。
【0063】
接続点P1を起点としてハウジング32内で堆積する粉粒体の表面に沿う直線を、安息ラインRL1とする。すなわち、安息ラインRL1は、配管31とハウジング32との上流側の接続点P1から、測定対象である粉粒体の安息角θで下方に延びる直線である。ハウジング32内では、安息ラインRL1以下の領域に粉粒体が堆積する一方、安息ラインRL1よりも上方の領域には、実質的に粉粒体が堆積しない。すなわち、ハウジング32内において、安息ラインRL1の上方には空間が生じている。
【0064】
吸着容器10からの粉粒体の排出に伴って吸着容器10内で粉粒体が降下し、容器上部に空間が生じたとき、この空間に向かって配管31内の粉粒体が流下する。配管31内で粉粒体が流下すると、配管31内に位置する羽根332が粉粒体に押され、羽根車33が回転軸Y周りに回転する。
【0065】
羽根車33は、安息ラインRL1の上方を通る回転軌跡Tを描く。より具体的には、羽根車33の各羽根332は、安息ラインRL1の下方を通過するときには、配管31又はハウジング32内の粉粒体に埋没し、粉粒体から回転方向の荷重を受ける。一方、各羽根332は、安息ラインRL1の上方を通過するときには、粉粒体から抜け出し、実質的に、回転方向と逆向きの荷重を粉粒体から受けることがない。よって、羽根車33が円滑に回転する。
【0066】
羽根車33の回転は、上述したように、回転検出器34によって検出される。羽根車33の回転数に基づき、配管31内における粉粒体の流量が算出される。算出された粉粒体の流量が、吸着容器10に対する吸着材の供給量である。
【0067】
[効果]
本実施形態に係る流量計3において、羽根車33は、安息ラインRL1の上方を通過する回転軌跡Tで回転する。ハウジング32内において、この安息ラインRL1の上方では粉粒体が堆積しておらず、実質的に粉粒体の摩擦抵抗がない。よって、羽根車33は、ハウジング32内の粉粒体によってその回転が妨げられることがなく、円滑に回転することができる。その結果、粉粒体の流量を測定することが可能となる。
【0068】
本実施形態に置いて、羽根車33の回転軸Yを通る仮想水平面S以下の領域において、ハウジング32と羽根車33の外周縁(羽根332の先端)との間には、隙間G1が形成されている。この隙間G1は、粉粒体の平均粒子径の3倍以上の大きさを有する。よって、粉粒体は、各羽根332にすくい上げられてハウジング32内に一旦侵入したとしても、隙間G1を通って配管31に戻される。このため、ハウジング32内に粉粒体が滞留及び充満せず、ハウジング32内の空間を維持することができる。その結果、羽根車33を円滑に回転させることができ、粉粒体の流量を測定することができる。
【0069】
一般に、粉粒体の粒径の3倍以上の大きさの隙間であれば、粉粒体が円滑に通過することができると考えられている。そこで、本実施形態では、隙間G1の大きさを粉粒体の平均粒子径の3倍以上と規定している。平均粒子径の3倍以上という大きさは、粉粒体を概ね円滑に通過させるための設計上の目安であるから、本実施形態においては、平均粒子径の算出に使用する代表径や粒子分布の種類(基準:個数、長さ、面積、体積等)を特に問わないものとする。隙間G1の大きさを決定するために使用する平均又は最大粒子径は、例えば、粉粒体のカタログ又は仕様書等に記載されている平均又は最大粒子径であってもよいし、レーザー回折・散乱法や画像解析法による市販の測定装置で測定されたものであってもよい。典型的には、平均粒子径として、重量平均径D50を使用することができる。重量平均径D50は、粒子径の重量頻度分布(正規分布)において、重量の中央値の粒子径である。
【0070】
本実施形態では、羽根車33の各羽根332に、幅狭の第1部分332aが設けられている。このため、粉粒体は、各羽根332にすくい上げられてハウジング32内に侵入したとしても、幅狭の第1部分332aから容易に落下し、この第1部分332aとハウジング32との間に形成された比較的大きな隙間G2を通って配管31に戻ることができる。各羽根332に複数本の第1部分332aが設けられている場合、粉粒体は、第1部分332aの間からも落下する。よって、ハウジング32内における粉粒体の滞留及び充満をより確実に抑制することができる。
【0071】
本実施形態では、各羽根332において、第1部分332aの先端に第2部分332bが接続されている。この第2部分332bは、第1部分332aと比較して幅広であり、配管31内の粉粒体が衝突しやすい。また、第2部分332bは、羽根332(第1部分332a)の先端に設けられることにより、回転軸Yに大きなトルクを発生させることができる。よって、羽根車33の回転を促進することができる。
【0072】
回転シャフト331の中心軸(回転軸Y)は、安息ラインRL1以上の位置に配置することが好ましい。この場合、ハウジング32内に堆積する粉粒体に回転軸Yが深く埋没しない。よって、羽根車33の各羽根332が、配管31側からハウジング32に向かって回転軸Y周りに回転する際、粉粒体をすくい上げる量を低減させることができる。ただし、回転軸Yから配管31までの距離が不必要に大きくなり、その結果として羽根車33が大型化しないように、回転軸Yは、安息ラインRL1の近傍に配置されることが好ましい。
【0073】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る流量計3Aの縦断面図である。流量計3Aは、羽根車33Aの各羽根332Aの形状において、第1実施形態に係る流量計3と異なる。
【0074】
図4を参照して、各羽根332Aは、第1部分332Aaと、第2部分332Abと、を有する。第1部分332Aaは、回転シャフト331から、羽根車33Aの径方向で外側に向かって延びる。第2部分332Abは、板状に形成され、回転軸方向で全体にわたって、第1部分332Aaに対し、羽根車33Aの回転方向で後ろ側に屈曲している。第1実施形態と同様、第2部分332Abの幅は、第1部分332Aaの幅よりも大きい。
【0075】
第2部分332Abが羽根車33Aの回転方向で後ろ側に屈曲している場合、この第2部分332Abは、配管31内において、第1部分332Aaに対し、粉粒体の移動方向で上流側に屈曲した状態となる。このため、配管31内の粉粒体が第2部分332Abに捕捉されやすく、粉粒体によって羽根332Aを確実に押すことができる。その結果、羽根車33Aの回転を促進することができる。
【0076】
羽根車33Aが回転して第1部分332Aaが水平状態に近づくと、第2部分332Abは、この第1部分332Aaに対して下側に屈曲した状態になる。このため、第2部分332Abに捕捉されていた粉粒体は、第2部分332Abから確実に落下して配管31に戻される。よって、ハウジング32内における粉粒体の滞留及び充満を抑制することができる。
【0077】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係る流量計3Bの縦断面図である。流量計3Bは、羽根車33Bの各羽根332Bの形状において、第1及び第2実施形態に係る流量計3,3Aと異なる。
【0078】
図5を参照して、各羽根332Bは、第1部分332Baと、第2部分332Bbと、を有する。第1部分332Baは、回転シャフト331から、羽根車33Bの径方向で外側に向かって延びる。第2部分332Bbは、凹部332Bcを有する。凹部332Bcは、第2部分332Bbのうち、羽根車33Bの回転方向で後ろ側の面に形成されている。凹部332Bcにより、第2部分332Bbは、全体として椀状、皿状、又はカップ状等をなす。第1及び第2実施形態と同様、第2部分332Bbの幅は、第1部分332Baの幅よりも大きい。
【0079】
第2部分332Bbが凹部332Bcを有する場合、配管31内では、粉粒体を受ける側に凹部332Bcが配置される。この凹部332Bcによって配管31内の粉粒体を捕捉することができ、粉粒体によって羽根332Bを確実に押すことができる。その結果、羽根車33Bの回転を促進することができる。
【0080】
羽根車33Bが回転して羽根332Bが水平状態に近づくと、第2部分332Bbの凹部332Bcは下向きになる。これにより、凹部332Bcに捕捉されていた粉粒体は、凹部332Bcから確実に落下して配管31に戻される。よって、ハウジング32内における粉粒体の滞留及び充満を抑制することができる。
【0081】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係る流量計3Cの縦断面図である。
図7は、流量計3Cの横断面図である。流量計3Cは、羽根車33Cの回転シャフト331Cの構成において、第1実施形態に係る流量計3と異なる。
【0082】
回転シャフト331Cは、軸部材331Caと、円筒部材331Cbと、を有する。軸部材331Caは、回転軸Yを中心軸とし、ハウジング32を水平方向に貫通する。円筒部材331Cbは、ハウジング32内に収容され、軸部材331Caの外周に装着される。これにより、ハウジング32内において回転シャフト331Cの径が拡大される。円筒部材331Cbの形状は、有蓋有底の円筒形状であってもよいし、無蓋無底の円筒形状であってもよい。
【0083】
本実施形態では、ハウジング32内で回転シャフト331Cが拡径されているため、流量計3Cの縦断面視で、回転シャフト331Cは、配管31の仮想輪郭線OLに接点P3で接する。仮想輪郭線OLは、流量計3Cの縦断面視で、配管31とハウジング32との両接続点P1,P2を結ぶ直線である。また、回転シャフト331Cは、流量計3Cの縦断面視で、その一部が安息ラインRL1の上方に位置している。このような構成とすることで、安息ラインRL1に沿って堆積する粉粒体が回転シャフト331Cで遮断され、ハウジング32内では、粉粒体が接点P3を起点に安息角θで堆積する。
【0084】
接点P3を起点としてハウジング32内で堆積する粉粒体の表面(斜面)に沿う直線を、安息ラインRL2とする。安息ラインRL2は、回転シャフト331Cと仮想輪郭線OLとの接点P3から、測定対象である粉粒体の安息角θで下方に延びる直線である。安息ラインRL2は、安息ラインRL1よりも下方に配置される。粉粒体の移動方向で接点P3よりも下流側では、安息ラインRL2の上方に粉粒体が堆積しない。すなわち、ハウジング32内において、粉粒体の移動方向で接点P3よりも下流側では、安息ラインRL2の上方に空間が生じている。よって、ハウジング32内において、粉粒体が実質的に堆積しない空間を大きく確保することができ、羽根車33をより円滑に回転させることができる。
【0085】
本実施形態では、円筒部材331Cbにより、ハウジング32内における回転シャフト331Cの径を拡大しているが、回転シャフト331Cは、円筒部材331Cbを有していなくてもよい。例えば、軸部材331Caのうちハウジング32内に配置される部分の径が他の部分の径よりも大きくなるよう、軸部材331Caを部分的に拡径することもできる。
【0086】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
3,3A,3B,3C:流量計
31:配管
32:ハウジング
33,33A,33B,33C:羽根車
331,331C:回転シャフト
332,332A,332B:羽根
332a,332Aa,332Ba:第1部分
332b,332Ab,332Bb:第2部分
332Bc:凹部
34:回転検出器