(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20220913BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2019016793
(22)【出願日】2019-02-01
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 圭佑
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126841(JP,A)
【文献】特開2014-149954(JP,A)
【文献】特開2016-213081(JP,A)
【文献】米国特許第07241156(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側ハウジングに嵌合されるハウジングと、前記ハウジングの外面に装着され、前記相手側ハウジングとの嵌合開始前に位置する初期位置と前記相手側ハウジングとの嵌合完了時に位置する嵌合完了位置との間を回動可能とされたレバーと、を備えるレバー式コネクタであって、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に突出して設けられた被ロック部および軸部を有し、前記被ロック部および前記軸部は一体に形成されており、
前記レバーは、
前記ハウジングの前記軸部に嵌まり込む軸孔が開口して設けられたアーム板を備え、前記レバーは前記ハウジングに対して前記軸部を中心に回動可能となっており、
前記アーム板は、
前記ハウジングの外面と平行に配されて片持ち状に延びる弾性片と、
前記弾性片を囲う周壁から前記弾性片側に突出して設けられた突出壁と、を備え、
前記弾性片は、前記ハウジングの外面に近づくほど前記弾性片の基端側に向かう係止面を有し、
前記
被ロック部は、前記ハウジングの外面から遠ざかるほど前記弾性片の先端側に向かう被係止面を有し、
前記弾性片は、前記係止面と前記被係止面が係止した状態で前記レバーが前記初期位置から前記嵌合完了位置に回動させられた場合に、前記突出壁と前記ハウジングの外面との間に入り込むレバー式コネクタ。
【請求項2】
相手側ハウジングに嵌合されるハウジングと、前記ハウジングの外面に装着され、前記相手側ハウジングとの嵌合開始前に位置する初期位置と前記相手側ハウジングとの嵌合完了時に位置する嵌合完了位置との間を回動可能とされたレバーと、を備えるレバー式コネクタであって、
前記レバーは、
前記ハウジングの外面と平行に配されて片持ち状に延びる弾性片と、
前記弾性片を囲う周壁から前記弾性片側に突出して設けられた突出壁と、を備え、
前記弾性片は、前記ハウジングの外面に近づくほど前記弾性片の基端側に向かう係止面を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外面から遠ざかるほど前記弾性片の先端側に向かう被係止面を有し、
前記弾性片は、前記係止面と前記被係止面が係止した状態で前記レバーが前記初期位置から前記嵌合完了位置に回動させられた場合に、前記突出壁と前記ハウジングの外面との間に入り込み、
前記弾性片は、一対の側縁と、前記一対の側縁の先端同士を連結する先端縁と、を有し、前記一対の側縁のうち前記突出壁に近い側縁の基端は、前記突出壁から遠い側縁の基端よりも前記先端縁側に位置してい
るレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記レバーは、前記ハウジングの外面に突出して設けられた軸部が嵌まり込む軸孔を有し、
前記係止面は、前記初期位置において前記軸孔から遠い外側から前記被係止面に係止し始めるように、前記被係止面に対して傾いて設けられている請求項1
または請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記弾性片は、先端側の中心を通る軸線が基端側の中心を通る軸線よりも前記突出壁から遠くなるように設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはレバー式コネクタが記載されている。このレバー式コネクタは、互いに嵌合される雄ハウジングと雌ハウジングとを備え、雄ハウジングに対してレバーが装着されている。雄ハウジングには係止孔が設けられており、レバーには、弾性係止片が設けられている。弾性係止片には、係止部が突設されている。
【0003】
レバーの初期位置では、弾性係止片の係止部は雄ハウジングの係止孔内に収容されている。レバーの初期位置において、レバーが回動しようとすると、弾性係止片の係止部が雄ハウジングの係止孔の側壁に当たる。これにより、レバーが回動変位することが抑制され、レバーは初期位置に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レバーの初期位置において、例えば、レバーを回動方向に強く押すと、弾性係止片の係止部が雄ハウジングの係止孔の側壁に強く当たることで係止孔の開口縁上に乗り上げ、レバーが初期位置から変位することがあり得る。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レバーを初期位置に確実に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のレバー式コネクタは、相手側ハウジングに嵌合されるハウジングと、前記ハウジングの外面に装着され、前記相手側ハウジングとの嵌合開始前に位置する初期位置と前記相手側ハウジングとの嵌合完了時に位置する嵌合完了位置との間を回動可能とされたレバーと、を備えるレバー式コネクタであって、前記レバーは、前記ハウジングの外面と平行に配されて片持ち状に延びる弾性片と、前記弾性片を囲う周壁から前記弾性片側に突出して設けられた突出壁と、を備え、前記弾性片は、前記ハウジングの外面に近づくほど前記弾性片の基端側に向かう係止面を有し、前記ハウジングは、前記ハウジングの外面から遠ざかるほど前記弾性片の先端側に向かう被係止面を有し、前記弾性片は、前記係止面と前記被係止面が係止した状態で前記レバーが前記初期位置から前記嵌合完了位置に回動させられた場合に、前記突出壁と前記ハウジングの外面との間に入り込むレバー式コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、レバーを初期位置に確実に保持できるレバー式コネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るレバー式コネクタにおいて、レバーが嵌合完了位置に位置していることを説明する平面図である。
【
図2】
図2は、レバー式コネクタにおいて、レバーが初期位置に位置していることを説明する平面図である。
【
図3】
図3は、レバー式コネクタにおいて、初期位置においてレバーが強く回動させられた状態を説明する平面図である。
【
図4】
図4は、レバー式コネクタにおける正面図である。
【
図6】
図6は、
図5における係止面および被係止面付近の拡大図である。
【
図11】
図11は、初期位置においてレバーが強く回動させられた状態を説明する図であって、
図10と対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)本開示のレバー式コネクタは、相手側ハウジングに嵌合されるハウジングと、前記ハウジングの外面に装着され、前記相手側ハウジングとの嵌合開始前に位置する初期位置と前記相手側ハウジングとの嵌合完了時に位置する嵌合完了位置との間を回動可能とされたレバーと、を備えるレバー式コネクタであって、前記レバーは、前記ハウジングの外面と平行に配されて片持ち状に延びる弾性片と、前記弾性片を囲う周壁から前記弾性片側に突出して設けられた突出壁と、を備え、前記弾性片は、前記ハウジングの外面に近づくほど前記弾性片の基端側に向かう係止面を有し、前記ハウジングは、前記ハウジングの外面から遠ざかるほど前記弾性片の先端側に向かう被係止面を有し、前記弾性片は、前記係止面と前記被係止面が係止した状態で前記レバーが前記初期位置から前記嵌合完了位置に回動させられた場合に、前記突出壁と前記ハウジングの外面との間に入り込むレバー式コネクタである。
弾性片の係止面がハウジングの被係止面に係止することで、レバーが初期位置から嵌合完了位置に向けて回動することを抑制できる。
また、初期位置においてレバーが嵌合完了位置に向けて強く回動させられた場合、弾性片の係止面は被係止面から外れようとする。このとき、弾性片の係止面は、ハウジングの外面に近づくほど基端側に向かうように傾斜した、いわゆる逆テーパ状とされていることから、係止面が被係止面から外れることを抑制できる。この結果、弾性片は突出壁とハウジングの外面との間に入り込み、突出壁によっても係止面が被係止面から外れることを抑制でき、もってレバーを初期位置に確実に保持できる。
【0011】
(2)前記レバーは、前記ハウジングの外面に突出して設けられた軸部が嵌まり込む軸孔を有し、前記係止面は、前記初期位置において前記軸孔から遠い外側から前記被係止面に係止し始めるように、前記被係止面に対して傾いて設けられていることが好ましい。
係止面は、軸孔から遠い外側から被係止面に係止し始めるように、被係止面に対して傾いて設けられていることから、初期位置においては係止面と被係止面との間に隙間が生じることになるものの、レバーが強く回動させられた際に、弾性片が外側から突出壁とハウジングの外面との間に向けて押し込まれるように作用する。隙間がなくなった状態となって係止面と被係止面が強く係止すると、係止面が被係止面から外れようとするような大きな力が生じても、係止面と被係止面の係止状態を維持できる。
【0012】
(3)前記弾性片は、一対の側縁と、前記一対の側縁の先端同士を連結する先端縁と、を有し、前記一対の側縁のうち前記突出壁に近い側縁の基端は、前記突出壁から遠い側縁の基端よりも前記先端縁側に位置していることが好ましい。
弾性片が突出壁側に撓む際に、突出壁から遠い側縁には引っ張り荷重がかかり、突出壁に近い側縁には、圧縮荷重がかかることとなる。一般に、樹脂は圧縮荷重よりも引っ張り荷重に弱く、引っ張り荷重によって破断しやすい性質を有する。ここで、突出壁に近い側縁の基端は、突出壁から遠い側縁の基端よりも先端縁側に位置していることから、突出壁から遠い側縁の基端から先端までの長さは、突出壁に近い側縁の基端から先端までの長さよりも長くなる。したがって、突出壁から遠い側縁の基端にかかる引っ張り荷重は、より広い範囲に分散されることとなる。これにより、引っ張り荷重により弾性片が破断することを抑制できる。
【0013】
(4)前記弾性片は、先端側の中心を通る軸線が基端側の中心を通る軸線よりも前記突出壁から遠くなるように設けられていることが好ましい。
レバーの回動に伴って弾性片が強く引っ張られると、弾性片における先端側の中心位置を通る軸線は、基端側の中心位置を通る軸線に近づこうとする。このため、弾性片における先端側の中心位置を通る軸線と基端側の中心位置を通る軸線とが同軸上にある場合に比べて弾性片の変位量が大きくなり、突出壁とハウジングの外面との間により入り込み易くなる。
【0014】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のレバー式コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
本実施形態におけるレバー式コネクタ10は、
図1、
図2に示すように、雄ハウジング(相手側ハウジング)12に嵌合される雌ハウジング(ハウジング)14と、雌ハウジング14の外面16に装着されるレバー18とを備えている。レバー18は雌ハウジング14および雄ハウジング12の嵌合開始前に位置する初期位置(
図2におけるレバー18の位置)と、雌ハウジング14および雄ハウジング12の嵌合完了時に位置する嵌合完了位置(
図1におけるレバー18の位置)との間を回動可能とされている。以降の説明では雌ハウジング14の嵌合方向(
図1および
図2における図示上側から図示下側に向かう方向)は前後方向の前方であり、離脱方向は前後方向の後方である。また、
図4における雌ハウジング14における下面16Bから上面16Aに向かう方向は上下方向の上方である。また、
図1、
図2に示す図示左側から図示右側に向かう方向は左右方向の右方である。
【0016】
雌ハウジング14は合成樹脂製であって、
図2、
図4に示すように、全体として扁平な直方体形状をなしている。雌ハウジング14の前面には、
図4に示すように、雌端子(図示せず)が収容される複数のキャビティが開口して設けられている。
【0017】
図1、
図2に示すように、雌ハウジング14における外面16を構成する上面16Aには軸部20および被ロック部22が設けられている。
図5に示すように、被ロック部22は上面16Aから上方に突出して設けられている。また、雌ハウジング14における外面16を構成する下面16Bについても同様に軸部(図示せず)および被ロック部22が設けられている。
【0018】
図5に示すように、レバー18は上下一対のアーム板24を備えて構成されており、一対のアーム板24同士は操作部26において連結されている。一対のアーム板24は雌ハウジング14の上面16Aおよび下面16Bにそれぞれ平行に配されている。以降のアーム板24に関する説明では雌ハウジング14の上面16A側に位置するアーム板24についてのみ説明をし、下面16B側に位置するアーム板24については上面16A側のアーム板24と同一構成のため図面上に上面16A側のアーム板24と同じ符号を振って説明を省略する。
【0019】
図1、
図2に示すように、アーム板24には雌ハウジング14の軸部20に嵌まり込む軸孔28が開口して設けられており、レバー18は雌ハウジング14に対して軸部20を中心に回動方向D1、D2に回動可能となっている。ここで回動方向D1はレバー18が初期位置から嵌合完了位置に向かう方向とされ、回動方向D2はレバー18が嵌合完了位置から初期位置に戻る方向とされる。
【0020】
図1に示すように、アーム板24における軸孔28の図示左側にはU字形状に切欠いた形状をなすスリットが設けられており、このスリットによって弾性片30が形成されている。弾性片30は片持ち状に延びており上下方向に弾性変位可能とされる。弾性片30の周縁のうち、左右両側に位置する周縁は一対の側縁34とされ、一対の側縁34同士を連結する先端の周縁は先端縁36とされる。
【0021】
図1、
図2に示すように、アーム板24には弾性片30を囲う周壁32が設けられている。周壁32は弾性片30における一対の側縁34および先端縁36とそれぞれ対向している。一対の側縁34と対向する周壁32のうち、軸孔28に近い側の周壁32Aには突出壁38が弾性片30側に突出して設けられている。
図7、
図8に示すように、突出壁38は弾性片30の上方に位置しており、突出壁38の下面は突出壁38の基端から先端に向けて上方に傾斜するテーパ状をなしている。
【0022】
図12に示すように、弾性片30の一対の側縁34のうち突出壁38に近い側縁34の基端34Aは、突出壁38から遠い側縁34の基端34Bよりも先端縁36側に位置している。これにより基端34Bから先端縁36までの長さL2は、基端34Aから先端縁36までの長さL1よりも長さL3だけ長くなっている。
【0023】
図12に示すように、弾性片30は基端34A、34B側から先端縁36側に向かって幅広となる形状をなしており、弾性片30における先端縁36側の中心を通る軸線A1は、弾性片30における基端34A、34B側の中心を通る軸線A2よりも突出壁38から遠くなる方向に長さL4だけ離れて位置している。
【0024】
図5、
図6に示すように、弾性片30における先端縁36側には下方に突出するロック部40が設けられている。ロック部40には初期位置において雌ハウジング14における被ロック部22と対向する係止面40Aが設けられている。また、雌ハウジング14における被ロック部22にはロック部40における係止面40Aと対向する被係止面22Aが設けられている。
図2に示すように、初期位置において、レバー18が嵌合完了位置に向かう回動方向D1に回動させられると、
図10に示すように、ロック部40における係止面40Aは、被ロック部22における被係止面22Aに回動方向D1から接触する。これにより、ロック部40の係止面40Aは被ロック部22の被係止面22Aに係止され、レバー18が初期位置から嵌合完了位置に向けて回動することが抑制される。
【0025】
図5、
図6に示すように、係止面40Aは雌ハウジング14における上面16Aに近づくほど(下方に向かうほど)、弾性片30の基端側(
図5、
図6における図示左側)に向かうように傾斜する逆テーパ状をなしている。
【0026】
図
6に示すように、係止面40Aは初期位置において軸孔28から遠い外側から被係止面22Aに接触し始めるように、被係止面22Aに対して傾いて設けられている。これにより、
図10に示すように係止面40Aと被係止面22Aとの間に隙間Gが生じている。
【0027】
雄ハウジング12が雌ハウジング14に挿入されると、雄ハウジング12に設けられた係止解除部(図示せず)が弾性片30におけるロック部40を上方に押し上げ、ロック部40における被ロック部22に対する係止が解除される。これによりレバー18が回動方向D1へ回動可能となる。レバー18が回動方向D1に回動させられ、レバー18が初期位置から嵌合完了位置に移行することで、雌ハウジング14と雄ハウジング12との嵌合が完了する。
【0028】
次に、本実施形態のレバー18が初期位置から嵌合位置に向けて回動させられる動作は以下の通りである。
図3に示すように、レバー18が回動方向D1に強く回動させられると、
図11に示すように、弾性片30における係止面40Aは被係止面22Aに線で強く接触し、隙間Gがなくなった状態となる。このとき、弾性片30は
先端側から
基端側に向かう方向D5(図
10、図11に示す)に強く引っ張られ、
図12に示すように、弾性片30における先端縁36側の軸線A1は基端側の軸線A2に近づこうとする。これにより、弾性片30は突出壁38側に大きく撓むこととなり、
図3、
図8に示すように、突出壁38と雌ハウジング14の上面16Aとの間に入り込むこととなる。このように、軸線A1は、軸線A2よりも突出壁38から離れて位置していることから、軸線A1と軸線A2とが同軸上にある場合と比較して、弾性片30は突出壁38側により撓み易くなる。
【0029】
弾性片30が突出壁38と雌ハウジング14の上面16Aとの間に入り込んだ状態で、弾性片30が上方に変位しようとすると、弾性片30が突出壁38に下方から接触し、弾性片30の上方への変位が抑制される。これにより、レバー18が強く回動させられた場合においても、弾性片30における係止面40Aと被係止面22Aとの係止が解除されることを抑制できる。
【0030】
弾性片30が突出壁38と雌ハウジング14の上面16Aとの間に入り込んだ状態において、弾性片30における突出壁38から遠い側縁34Bには引っ張り荷重がかかり、近い側縁34の基端34Aには圧縮荷重がかかることとなる。一般に、樹脂は圧縮荷重よりも引っ張り荷重に弱く、引っ張り荷重によって破断しやすい性質を有する。ここで、
図12に示すように突出壁38から遠い側縁34における基端34Bから先端までの長さL2は、突出壁38に近い側縁34における基端34Aから先端までの長さL1よりも長いことから、突出壁38から遠い側縁34の基端34Bにかかる引っ張り荷重は、より広い範囲に分散されることとなる。これにより、引っ張り荷重により弾性片30が破断することを抑制できる。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、弾性片30の係止面40Aが雌ハウジング(ハウジング)14の被係止面22Aに係止することで、レバー18が初期位置から嵌合完了位置に向けて回動することを抑制できる。
また、初期位置においてレバーが嵌合完了位置に向けて強く回動させられた場合、弾性片30の係止面40Aは被係止面22Aから外れようとする。このとき、弾性片30の係止面40Aは、雌ハウジング(ハウジング)14の上面(外面)16Aに近づくほど基端側に向かうように傾斜した、いわゆる逆テーパ状とされていることから、係止面40Aが被係止面22Aから外れることを抑制できる。この結果、弾性片30は突出壁38と雌ハウジング(ハウジング)14の上面(外面)16Aとの間に入り込み、突出壁38によっても係止面40Aが被係止面22Aから外れることを抑制でき、もってレバー18を初期位置に確実に保持できる。
【0032】
また、レバー18は、雌ハウジング(ハウジング)14の上面(外面)16Aに突出して設けられた軸部20が嵌まり込む軸孔28を有し、係止面40Aは、初期位置において軸孔28から遠い外側から被係止面22Aに係止し始めるように、被係止面22Aに対して傾いて設けられている。
このように構成することで、係止面40Aは、軸孔28から遠い外側から被係止面22Aに係止し始めるように、被係止面22Aに対して傾いて設けられていることから、初期位置においては係止面40Aと被係止面22Aとの間に隙間Gが生じることになるものの、レバー18が強く回動させられた際に、弾性片30が外側から突出壁38と雌ハウジング14の上面16Aとの間に向けて押し込まれるように作用する。隙間Gがなくなった状態となって係止面40Aと被係止面22Aが強く係止すると、係止面40Aが被係止面22Aから外れようとするような大きな力が生じても、係止面40Aと被係止面22Aの係止状態を維持できる。
【0033】
また、弾性片30は、一対の側縁34と、一対の側縁34の先端同士を連結する先端縁36と、を有し、一対の側縁34のうち突出壁に近い側縁34の基端34Aは、突出壁から遠い側縁34の基端34Bよりも先端縁36側に位置している。
このように構成することで、弾性片30が突出壁38側に撓む際に、突出壁38から遠い側縁34には引っ張り荷重がかかり、突出壁38に近い側縁34には、圧縮荷重がかかることとなる。一般に、樹脂は圧縮荷重よりも引っ張り荷重に弱く、引っ張り荷重によって破断しやすい性質を有する。ここで、突出壁38に近い側縁34の基端34Aは、突出壁38から遠い側縁34の基端よりも先端縁36側に位置していることから、突出壁38から遠い側縁34の基端34Bから先端までの長さL2は、突出壁38に近い側縁34の基端34Aから先端までの長さL1よりも長くなる。したがって、突出壁38から遠い側縁34の基端34Bにかかる引っ張り荷重は、より広い範囲に分散されることとなる。これにより、引っ張り荷重により弾性片30が破断することを抑制できる。
【0034】
また、弾性片30は、先端側の中心を通る軸線A1が基端側の中心を通る軸線A2よりも突出壁38から遠くなるように設けられている。
このように構成することで、レバー18の回動に伴って弾性片30が強く引っ張られると、弾性片30における先端側の中心位置を通る軸線A1は、基端側の中心位置を通る軸線A2に近づこうとする。このため、弾性片30における先端側の中心位置を通る軸線A1と基端側の中心位置を通る軸線A2とが同軸上にある場合に比べて弾性片30の変位量が大きくなり、突出壁38とハウジングの上面(外面)16Aとの間により入り込み易くなる。
【0035】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、ロック部40は弾性片30の先端縁36側に位置する構成としたが、これに限られることはなく、例えば、ロック部は弾性片の先端縁と基端との間の中央に位置する構成としても良い。
(2)上記実施形態では、弾性片30は、一対のアーム板24に設けられる構成としたが、これに限られることはなく、例えば、弾性片は、一対のアーム板のうち一方のアーム板にのみ設けられる構成としても良い。
(3)上記実施形態では、レバー式コネクタ10は雌ハウジング14を備える雌型のレバー式コネクタ10である構成としたが、上記実施形態における構成を雄型のレバー式コネクタに対して適用しても良い。
【符号の説明】
【0036】
10:レバー式コネクタ
12:雄ハウジング(相手側ハウジング)
14:雌ハウジング(ハウジング)
16:外面
16A:上面
16B:下面
18:レバー
20:軸部
22:被ロック部
22A:被係止面
24:アーム板
26:操作部
28:軸孔
30:弾性片
32,32A:周壁
34:側縁
34A,34B:基端
36:先端縁
38:突出壁
40:ロック部
40A:係止面
A1,A2:軸線
D1,D2,D5:方向
G:隙間
L1,L2,L3,L4:長さ