(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電池配線モジュール及び電池パックアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20220913BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20220913BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20220913BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220913BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/507
(21)【出願番号】P 2019041345
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河島 祐二
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】平光 宏臣
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/017915(WO,A1)
【文献】特開2018-152193(JP,A)
【文献】特開2010-176997(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061787(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/069756(WO,A1)
【文献】特開2013-197017(JP,A)
【文献】特開2016-115442(JP,A)
【文献】特開2013-106400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルの各電池端子同士を接続するバスバーと、ねじ部品により前記バスバーと締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、
前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、
前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結され
ており、
前記電線は、前記取付片と前記電池セルとの間に配索されている、電池配線モジュール。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ねじ部品と前記電線との間を隔てる隔壁部を有することを特徴とする請求項
1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記電線の移動を規制する内側壁部と外側壁部とを有し、
前記隔壁部は、前記内側壁部から前記外側壁部に向かって延出形成され、
前記外側壁部は、前記隔壁部と対向する部位に切欠き部を有する、請求項
2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
複数の電池セルの各電池端子同士を接続するバスバーと、ねじ部品により前記バスバーと締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、
前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、
前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結されており、
前記ハウジングは、前記バスバーの本体部を収容するバスバー収容部と、該バスバー収容部と隣接して設けられ前記電線を収容する電線収容部と、を有し、
前記バスバーの平面視において、前記本体部と前記取付片とは重なることなく前記取付片は前記本体部に対して前記電線収容部側にずれた位置に設けられているとともに、前記取付片に締結されている前記電圧検知端子は前記電線収容部と重なる位置に設けられている、電池配線モジュール。
【請求項5】
複数の電池セルを含む電池パックと、該電池パック上に設けられる電池配線モジュールとを有し、
前記電池配線モジュールは、前記複数の電池セルの電池端子同士を接続するバスバーと、該バスバーとねじ部品により締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、
前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、
前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結され
ており、
前記電線は、前記取付片と前記電池セルとの間に配索されている、電池パックアッセンブリ。
【請求項6】
複数の電池セルを含む電池パックと、該電池パック上に設けられる電池配線モジュールとを有し、
前記電池配線モジュールは、前記複数の電池セルの電池端子同士を接続するバスバーと、該バスバーとねじ部品により締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、
前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、
前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結されており、
前記ハウジングは、前記バスバーの本体部を収容するバスバー収容部と、該バスバー収容部と隣接して設けられ前記電線を収容する電線収容部と、を有し、
前記バスバーの平面視において、前記本体部と前記取付片とは重なることなく前記取付片は前記本体部に対して前記電線収容部側にずれた位置に設けられているとともに、前記取付片に締結されている前記電圧検知端子は前記電線収容部と重なる位置に設けられている、電池パックアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュール及び電池パックアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両において、走行駆動用の電源として搭載される高圧の電池パックには、電池配線モジュールが装着されている。電池配線モジュールでは、電圧検知端子が電池パックを構成する複数の電池セル同士を接続するバスバーと接続されている。このような電池配線モジュールでは、電池セルから電池端子としてのスタッドボルトに対してボルトやナット等のねじ部品によってバスバー及び電圧検知端子を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池端子とバスバーとの接続において、ボルトやナット等のねじ部品による締結に代えて、レーザ溶接することが考えられる。このような場合、電圧検知端子とバスバーとを別途ねじ部品によって締結する必要があるが、ねじ部品が電池セルなどと干渉する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ねじ部品による電池セルとの干渉を抑えてバスバーと電圧検知端子とを接続できる電池配線モジュール及び電池パックアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池配線モジュールは、複数の電池セルの各電池端子同士を接続するバスバーと、ねじ部品により前記バスバーと締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片を有し、前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される。
【0007】
上記課題を解決する電池パックアッセンブリは、複数の電池セルを含む電池パックと、該電池パック上に設けられる電池配線モジュールとを有し、前記電池配線モジュールは、前記複数の電池セルの電池端子同士を接続するバスバーと、該バスバーとねじ部品により締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池配線モジュール及び電池パックアッセンブリによれば、ねじ部品による電池セルとの干渉を抑えてバスバーと電圧検知端子とを接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態における電池パックアッセンブリの斜視図。
【
図2】同実施形態における電池配線モジュールの部分拡大斜視図。
【
図3】同実施形態における電池配線モジュールの部分拡大斜視図。
【
図4】同実施形態における電池配線モジュールの部分側面図。
【
図5】同実施形態における電池配線モジュールの部分上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の電池配線モジュールは、
[1]複数の電池セルの各電池端子同士を接続するバスバーと、ねじ部品により前記バスバーと締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片を有し、前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される。
【0011】
上記態様によれば、取付片は、本体部に対して電池セルから離れる方向に位置して電圧検知端子とねじ部品により締結されるため、取付片と電池セルとの間を十分に離してねじ部品と電池セルとの干渉を抑えてバスバーと電圧検知端子とを接続できる。
【0012】
[2]前記電線は、前記取付片と前記電池セルとの間に配索されることが好ましい。この態様によれば、取付片と電池セルとの間に電線が配索されるため、取付片と電池セルとの間を結ぶ方向と直交する方向への大型化を抑えることができる。
【0013】
[3]前記ハウジングは、前記ねじ部品と前記電線との間を隔てる隔壁部を有することが好ましい。この態様によれば、ねじ部品と電線との干渉が抑えられ、電線の損傷を抑えることができる。隔壁部を樹脂等の絶縁材料で構成することで電線とねじ部品との間の絶縁性能を維持できる。
【0014】
[4]前記ハウジングは、前記電線の移動を規制する内側壁部と外側壁部とを有し、前記隔壁部は、前記内側壁部から前記外側壁部に向かって延出形成され、前記外壁部は、前記隔壁部と対向する部位に切欠き部を有することが好ましい。この態様によれば、切欠き部を有することで、外側壁部から電線を容易に配索することができ、作業性向上に寄与できる。
【0015】
また、本開示の電池パックアッセンブリは、
[5]複数の電池セルを含む電池パックと、該電池パック上に設けられる電池配線モジュールとを有し、前記電池配線モジュールは、前記複数の電池セルの電池端子同士を接続するバスバーと、該バスバーとねじ部品により締結されて前記バスバーと電気的に接続される電圧検知端子と、一端側に前記電圧検知端子が接続される電線と、前記バスバー、前記電線及び前記電圧検知端子を収容するハウジングと、を有し、前記バスバーは、前記電池端子が接続される本体部と、該本体部から延出するとともに前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される取付片と、を有し、前記取付片は、前記本体部に対して前記電池セルから離れる方向に位置して前記電圧検知端子と前記ねじ部品により締結される。
【0016】
上記態様によれば、取付片は、本体部に対して電池セルから離れる方向に位置して電圧検知端子とねじ部品により締結されるため、取付片と電池セルとの間を十分に離してねじ部品と電池セルとの干渉を抑えてバスバーと電圧検知端子とを接続できる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、電池配線モジュール及び電池パックアッセンブリの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
図1に示すように電池パックアッセンブリ10は、電池パック20と、電池パック20の上面に積層される電池配線モジュール30とを有する。
電池パック20は、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載されるものであり、車両の走行用モータに電力を供給する。電池パック20は、充電状態や車両の運転状態に応じて、走行用モータや発電用モータからの電力の供給を受ける。
【0019】
電池パック20は、略直方体状の複数の電池セル21が一方向に並んで設けられる。以下の説明において電池セル21が並ぶ方向をX軸方向として説明する。また、電池パック20と電池配線モジュール30との積層方向である上下方向をY軸方向として説明し、X軸方向と直交する方向、且つ、Y軸方向と直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0020】
各電池セル21は、X軸と直交する方向に面する側面に一対の電池端子22,23を有する。電池端子22は正極端子である。電池端子23は負極端子である。
各本実施形態の電池パック20は、前記電池セル21の電池端子22,23が同方向(Y軸方向の一方側)を向くように設けられる。このとき、X軸方向において隣接する電池セル21の内、一方の電池セル21の電池端子22と他方の電池セル21の電池端子23とが隣り合っている。すなわち、各電池セル21は、電池セル21の並ぶ方向であるX軸方向において、電池端子22と電池端子23とが交互に入れ替わるように並べられている。
【0021】
図1~
図5に示すように、電池配線モジュール30は、ハウジング31と、複数の電圧検知端子32と、複数の電線33と、複数のバスバー34とを有する。
ハウジング31は、例えば、電池セル21が並ぶ方向であるX軸方向の寸法が、Z軸方向の寸法よりも長い形状となっている。一例として、ハウジング31のX軸方向の寸法は360mm程度である。また、ハウジング31のZ軸方向の寸法は135mm程度である。また、ハウジング31のY軸方向の寸法は30mm程度である。なお、これらの寸法は電池パックアッセンブリ10の仕様等に応じて適宜変更可能である。
【0022】
ハウジング31は、その上側が開口された形状をなし、図示しないカバーによってその開口が閉塞されるものである。ハウジング31は、例えば樹脂部材で構成される。
図2~
図5に示すように、ハウジング31は、バスバー34の本体部61を収容するバスバー収容部41と、電線33を収容する電線収容部51と、を有する。
【0023】
バスバー収容部41は、X軸方向に複数(本実施形態では7個)並ぶように設けられる。また、バスバー収容部41は、ハウジング31のZ軸方向両側において、それぞれ複数(計14個)設けられる。
【0024】
バスバー収容部41は、底部42と、底部42の周囲を覆う4つの壁部43,44,45,46とを有する。各バスバー収容部41の底部42は、それぞれ電池セル21の電池端子22,23を挿通可能な貫通孔42aを2つ有する。2つの貫通孔42aの内の一方には、電池端子22が挿通される。2つの貫通孔42aの内の他方には、前記電池端子22を有する電池セル21とX軸方向において隣り合う電池セル21の電池端子23が挿通される。
【0025】
壁部43は、底部42の側縁部の内、ハウジング31におけるZ軸方向中央側(内側)からY軸方向に延出するように設けられる。
壁部44は、底部42の側縁部の内、前記壁部43とZ軸方向において対向するとともにハウジング31におけるZ軸方向外側からY軸方向に延出するように設けられる。
【0026】
壁部45は、底部42の側縁部の内、ハウジング31におけるX軸方向の一方側からY軸方向に延出するように設けられる。
壁部46は、底部42の側縁部の内、前記壁部45とX軸方向において対向するとともに、ハウジング31におけるX軸方向の他方側からY軸方向に延出するように設けられる。
【0027】
各バスバー収容部41には、バスバー34の本体部61が収容されている。
本実施形態のバスバー34は、X軸方向に長い矩形板状の本体部61と、本体部61から延出するように形成された接続片62と、接続片62の先端に設けられる取付片63と、を有する。
【0028】
図5に示すように、本体部61は、Y軸方向視でバスバー収容部41の底部42よりも小さい形状である。本体部61は、X軸方向に並ぶ2つの電池セル21の電池端子22,23に対して例えばレーザ溶接によって接続される。すなわち、電池セル21は、バスバー34によって隣り合う電池端子22,23を接続することでX軸方向において並ぶ正極端子と負極端子とが直列接続される。
【0029】
バスバー34の接続片62は、本体部61の側縁からZ軸方向外側に延出する第1延出部62aと、第1延出部62aの先端からY軸方向において電池セル21から遠ざかる方向(上方向)に延出する第2延出部62bとを有する。第2延出部62bの先端には取付片63が設けられる。
【0030】
取付片63は、第2延出部62bの先端からZ軸方向外側に延出するように設けられる。ここで、取付片63は、Y軸方向において電池セル21から遠ざかる方向に延出する第2延出部62bの先端に設けられるため、取付片63と本体部61とはY軸方向においてずれた位置に設けられることとなる。より詳しくは、取付片63は、本体部61に対してY軸方向において電池セル21から遠ざかる方向に位置して電池セル21と十分に離れている。
【0031】
図2~
図5に示すように、電線収容部51は、ハウジング31の外縁部分に位置する第1電線収容部52及び第2電線収容部56を有する。第1電線収容部52及び第2電線収容部56は、バスバー収容部41と隣接している。
【0032】
第1電線収容部52は、ハウジング31においてX軸方向一方の端部側に形成される。第1電線収容部52は、Z軸方向に延びる底部53と、底部53のX軸方向両側端部から上方に延出する内側壁部54及び外側壁部55とを有する。第1電線収容部52の内側壁部54は、複数のバスバー収容部41の内でX軸方向の一方側の端部のバスバー収容部41の壁部46を兼ねている。
【0033】
第2電線収容部56は、ハウジング31においてZ軸方向の端部のそれぞれに形成される。第2電線収容部56は、底部53から連続してX軸方向に延びる底部57と、底部57のZ軸方向両側から上方に延出する内側壁部58及び外側壁部59とを有する。第2電線収容部56の内側壁部58は、バスバー収容部41の壁部44を兼ねている。なお、本実施形態の第2電線収容部56の底部57は、バスバー収容部41の底部42並びに第1電線収容部52の底部53と同一平面上に位置している。
【0034】
第1電線収容部52並びに第2電線収容部56は、その底部53,57側に電線33が配索されている。電線33には、その先端に電圧検知端子32が接続される。
図2~
図5に示すように電圧検知端子32は、平板状の端子本体32aと、端子本体32aから連続するバレル部32bとを有する。電圧検知端子32は、端子本体32a及びバレル部32bが並ぶ方向において長い形状である。バレル部32bは、電線33の芯線と電気的に接続される。電線33の基端側には図示しない電池監視ECUとコネクタを介して接続される。
【0035】
電圧検知端子32の端子本体32aは、ボルト71及びナット72によって取付片63とねじ締結される。これにより、前記電池監視ECUは、電池セル21の電圧監視が可能となっている。
【0036】
図2~
図5に示すように、電圧検知端子32は、取付片63にねじ締結された状態で電圧検知端子32の長手方向が電線33の配索方向である第2電線収容部56の長手方向(電池配線モジュール30の長手方向)と一致している。このとき、電圧検知端子32は、Y軸方向において第2電線収容部56上に位置する。これにより、電圧検知端子32による電池配線モジュール30のZ軸方向における大型化が抑えられる。
【0037】
また、本実施形態のハウジング31は、第2電線収容部56の内側壁部58から外側壁部59側に向かってZ軸方向に延出する隔壁部80を有する。隔壁部80は、Y軸方向において電線33と取付片63(ボルト71及びナット72)との間に位置する。ここで、前述したようにハウジング31は樹脂部材で構成されるため、隔壁部80によって電線33の絶縁性が確保されている。
【0038】
隔壁部80は、略板状をなし、ボルト71及びナット72とY軸方向において重なる位置に窪み部81を有する。窪み部81は、窪み部81のX軸方向両側の側縁部82よりもY軸方向においてボルト71及びナット72と離れる方向に窪んだ形状となっている。換言すると、窪み部81のY軸方向における長さ(厚さ)T1は、側縁部82のY軸方向における長さ(厚さ)T2よりも薄い。これにより、ボルト71と隔壁部80との干渉が抑えられている。
【0039】
また、本実施形態のハウジング31を構成する外側壁部59は、隔壁部80とZ軸方向において対向(対応)する位置に切欠き部85を有する。切欠き部85は、外側壁部59をY軸方向において電池セル21側(下方)に切り欠いた形状である。換言すると、切欠き部85は、外側壁部59のY軸方向上端部(反電池セル21側の端部)よりもY軸方向下側に切り欠かれた形状となっている。
【0040】
また、本実施形態のハウジング31を構成する内側壁部54と外側壁部55とは、X軸方向において重なる位置に切欠き部54a,55aを有する。切欠き部54a,55aを設けることで、電線33を第1電線収容部52に配索する際に、作業者の指等が接触することが抑えられ、作業性向上に寄与できる。
【0041】
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の電池配線モジュール30は、複数の電池セル21を有する電池パック20上に配置される。電池配線モジュール30の電圧検知端子32は、X方向に並ぶ電池セル21の正極端子・負極端子同士を接続するバスバー34と接続される。電圧検知端子32には電線33の一端が接続され、電線33の他端は図示しない電池監視ECUと接続される。電池監視ECUは、電池セル21の電圧監視が可能となっている。
【0042】
本実施形態の効果を記載する。
(1)取付片63は、本体部61に対して電池セル21から離れる方向に位置して電圧検知端子32とねじ部品としてのボルト71及びナット72により締結されるため、取付片63と電池セル21との間を十分に離してボルト71及びナット72と電池セル21との干渉を抑えてバスバー34と電圧検知端子32とを接続できる。
【0043】
(2)取付片63と電池セル21との間に電線33が配索されるため、取付片63と電池セル21との間を結ぶ方向(Y軸方向)と直交する方向(Z軸方向)への大型化を抑えることができる。
【0044】
(3)隔壁部80によりボルト71及びナット72と電線33との干渉が抑えられ、電線33の損傷を抑えることができる。隔壁部80を樹脂等の絶縁材料で構成することで電線33とボルト71及びナット72との間の絶縁性能を維持できる。
【0045】
(4)切欠き部85を有することで、外側壁部55から電線33を容易に配索することができ、作業性向上に寄与できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・上記実施形態では、外側壁部59に切欠き部85を設ける構成としたが、切欠き部85を省略した構成を採用してもよい。また、切欠き部85のように一部のみを切り欠くのではなく、その全体を切り欠いてもよい。すなわち外側壁部59の略全体をY軸方向において低くした構成を採用してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、ハウジング31に隔壁部80を設ける構成としたが、省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、電線33を取付片63と電池セル21との間に配索したが、電線33の配索位置は適宜変更してもよい。
【0048】
・上記実施形態では、電圧検知端子32の長手方向を第2電線収容部56の長手方向と同方向(X軸方向)としたが、これに限らず、適宜変更してもよい。
以下の記述には、限定のためでなく理解の補助の目的で代表的な実施形態のいくつかの部材番号が付されている。
【0049】
・いくつかの非限定的な実装例に従う電池配線モジュールは、各々が電池端子(22,23)を有する複数の電池セル(21)と、前記複数の電池セル(21)のうち少なくとも2つの隣接する電池セル(21)の電池端子(22,23)同士を接続するバスバー(34)と、ねじ部品(71,72)により前記バスバー(34)と締結されて前記バスバー(34)と電気的に接続される電圧検知端子(32)と、前記電圧検知端子(32)と接続されて検知電圧信号を伝送する電線(33)と、前記バスバー(34)、前記電線(33)及び前記電圧検知端子(32)を収容する合成樹脂製のハウジングと、を有することができる。前記バスバー(34)は、前記電池端子が接続される本体部(61)と、該本体部(61)から延出するとともに前記電圧検知端子(32)と前記ねじ部品(71,72)により締結されて前記電圧検知端子(32)と電気的に接続される取付片(63)とを有する金属製ワンピース品であり得る。前記バスバー(34)の側面視において、前記本体部(61)は、第1の高さに広がる板面を有しており、前記バスバー(34)の側面視において、前記取付片(63)は前記第1の高さとは異なる第2の高さに広がる板面を有しており、前記バスバー(34)の平面視において前記取付片(63)と前記本体部(61)とは重なっていない。
【0050】
・上記実施形態の全ての構成要素が本発明にとって必須ではなく、いくつかの構成要素は省略することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…電池パックアッセンブリ
20…電池パック
21…電池セル
22,23…電池端子
30…電池配線モジュール
31…ハウジング
32…電圧検知端子
33…電線
34…バスバー
58…内側壁部
59…外側壁部
61…本体部
63…取付片
71…ボルト(ねじ部品)
72…ナット(ねじ部品)
80…隔壁部
85…切欠き部