(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】エスカレーターのステップ異常検出装置
(51)【国際特許分類】
B66B 29/00 20060101AFI20220913BHJP
B66B 23/14 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B66B29/00 D
B66B23/14 C
(21)【出願番号】P 2019045147
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-6721(JP,A)
【文献】特開2008-222354(JP,A)
【文献】特許第6466546(JP,B1)
【文献】特開2008-94579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0031090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレーターのステップ軸の第1方向側の端部に設けられる第1駆動ローラーの通過を前記第1方向側から検知する第1駆動側センサーと、
前記ステップ軸に取り付けられるステップの前記第1方向側において前記第1駆動ローラーに追従する第1追従ローラーの通過を前記第1方向側から検知し、前記第1駆動ローラーの前記第1方向側から前記第1駆動側センサーが対向する位置に前記ステップがあるときの前記第1追従ローラーに前記第1方向側から対向するように配置される第1追従側センサーと、
前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過の検知および前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいて前記ステップについての異常を検出する検出部と、
を備えるエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過の検知があるときに前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過の検知がない場合に、前記第1追従ローラーの脱落を検出する
請求項1に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過の検知があるときに前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過の検知がない場合に、前記第1駆動ローラーの脱落を検出する
請求項1または請求項2に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過が前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過からずれて検知される場合に、前記第1追従ローラーの浮き上がりを検出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項5】
前記第1駆動側センサーおよび前記第1追従側センサーの少なくとも一方は、静電容量式の近接センサーである
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項6】
前記第1追従側センサーは、循環移動する前記ステップが水平方向への移動を開始する位置にあるときの前記第1追従ローラーに前記第1方向側から対向するように配置される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項7】
前記第1方向側の反対側の第2方向側の前記ステップ軸の端部に設けられる第2駆動ローラーの通過を前記第2方向側から検知する第2駆動側センサーと、
前記ステップの前記第2方向側において前記第2駆動ローラーに追従する第2追従ローラーの通過を前記第2方向側から検知し、前記第2駆動ローラーの前記第2方向側から前記第2駆動側センサーが対向する位置に前記ステップがあるときの前記第2追従ローラーに前記第2方向側から対向するように配置される第2追従側センサーと、
を備え、
前記検出部は、前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過の検知、前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過の検知、前記第2駆動側センサーによる前記第2駆動ローラーの通過の検知、および前記第2追従側センサーによる前記第2追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいて前記ステップについての異常を検出する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記第1駆動側センサーによる前記第1駆動ローラーの通過の検知が前記第2駆動側センサーによる前記第2駆動ローラーの通過の検知より早い場合に、前記ステップの傾きを検出する
請求項7に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記第1追従側センサーによる前記第1追従ローラーの通過の検知が前記第2追従側センサーによる前記第2追従ローラーの通過の検知より早い場合に、前記ステップの傾きを検出する
請求項7または請求項8に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【請求項10】
前記検出部は、ステップについての異常を検出する場合に、エスカレーターを停止させる信号を出力する
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のエスカレーターのステップ異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターのステップ異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エスカレーターの駆動ローラーの脱落検出装置の例を開示する。脱落検出装置は、左右の一対の駆動ローラーの各々の通過を検知する一対のセンサーを備える。脱落検出装置は、一対のセンサーの一方による検知があってから一対のセンサーの他方による検知があるまでのずれの時間が予め設定された閾値を超える場合に、駆動ローラーの脱落を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の脱落検出装置において、一対のセンサーによる検知のずれの時間はステップの走行速度に依存する。このため、ステップの走行速度が変化する場合に、脱落を誤検出する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ステップの走行速度が変化する場合においてもステップについての異常を検出できるエスカレーターのステップ異常検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエスカレーターのステップ異常検出装置は、エスカレーターのステップ軸の第1方向側の端部に設けられる第1駆動ローラーの通過を第1方向側から検知する第1駆動側センサーと、ステップ軸に取り付けられるステップの第1方向側において第1駆動ローラーに追従する第1追従ローラーの通過を第1方向側から検知し、第1駆動ローラーの第1方向側から第1駆動側センサーが対向する位置にステップがあるときの第1追従ローラーに第1方向側から対向するように配置される第1追従側センサーと、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知および第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいてステップについての異常を検出する検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステップ異常検出装置は、第1駆動側センサーと、第1追従側センサーと、検出部と、を備える。第1駆動側センサーは、第1駆動ローラーの通過を第1方向側から検知する。第1駆動ローラーは、エスカレーターのステップ軸の第1方向側の端部に設けられる。第1追従側センサーは、第1追従ローラーの通過を第1方向側から検知する。第1追従ローラーは、ステップ軸に取り付けられるステップの第1方向側において第1駆動ローラーに追従する。第1追従側センサーは、第1駆動ローラーの第1方向側から第1駆動側センサーが対向する位置にステップがあるときの第1追従ローラーに、第1方向側から対向するように配置される。検出部は、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知および第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいてステップについての異常を検出する。これにより、ステップ異常検出装置は、ステップの走行速度が変化する場合においてもステップについての異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエスカレーターの斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るエスカレーターの要部の側面図である。
【
図3】実施の形態1に係るステップ異常検出装置の構成図である。
【
図4】実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係るステップ異常検出装置の動作の例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1に係るステップ異常検出装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエスカレーターの斜視図である。
【0011】
エスカレーター1は、例えば建築物の上階と下階との間に掛け渡される。この例において、エスカレーター1は、上階と下階との間で利用者を輸送する装置である。エスカレーター1は、駆動装置2と、一対のステップチェーン3と、複数のステップ軸4と、複数のステップ5と、一対の手摺6と、一対の手摺駆動装置7と、制御盤8と、ステップ異常検出装置9と、を備える。
【0012】
駆動装置2は、例えばエスカレーター1の上端部に設けられる。駆動装置2は、駆動力を発生させる装置である。駆動装置2は、例えばモーターおよび減速機を備える。
【0013】
一対のステップチェーン3の各々は、無端状のチェーンである。一対のステップチェーン3の一方は、エスカレーター1の左側に設けられる。一対のステップチェーン3の他方は、エスカレーター1の右側に設けられる。一対のステップチェーン3の各々は、駆動装置2が発生させる駆動力によって循環移動する機器である。
【0014】
複数のステップ軸4の各々は、一対のステップチェーン3の間にわたって設けられる。複数のステップ軸4の全体は、一対のステップチェーン3に沿って等間隔に環状に連結されている。複数のステップ軸4の各々は、一対のステップチェーン3の循環移動に追従して循環移動する機器である。
【0015】
複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々に取り付けられる。複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々の循環移動に追従して上側を往路として循環移動する機器である。複数のステップ5は、エスカレーター1の往路の一定傾斜部において階段状に配置される。
【0016】
一対の手摺6の各々は、無端状の輪である。一対の手摺6の一方は、複数のステップ5より左側に設けられる。一対の手摺6の他方は、複数のステップ5より右側に設けられる。
【0017】
一対の手摺駆動装置7の一方は、エスカレーター1の左側に設けられる。一対の手摺駆動装置7の他方は、エスカレーター1の右側に設けられる。左側の手摺駆動装置7は、駆動装置2が発生させる駆動力によって左側の手摺6を循環移動させる装置である。右側の手摺駆動装置7は、駆動装置2が発生させる駆動力によって右側の手摺6を循環移動させる装置である。
【0018】
制御盤8は、例えばエスカレーター1の上端部に設けられる。制御盤8は、駆動装置2の動作を制御する装置である。駆動装置2の動作は、例えば駆動装置2の運転または停止である。
【0019】
例えばエスカレーター1の上り運転時に、駆動装置2は、制御盤8の制御によって駆動力を発生させる。一対のステップチェーン3の各々は、駆動装置2が発生させた駆動力によって循環移動する。複数のステップ軸4の各々は、一対のステップチェーン3の循環移動に追従して循環移動する。複数のステップ5の各々は、複数のステップ軸4の各々の循環移動に追従して循環移動する。一対の手摺駆動装置7の各々は、駆動装置2が発生させる駆動力によって一対の手摺6の各々を循環移動させる。一対の手摺6の各々は、複数のステップ5の各々の移動速度と同じ移動速度で循環移動する。
【0020】
エスカレーター1の上り運転時に、利用者は、一対の手摺6の一方をつかんで下階側から複数のステップ5のいずれかに乗る。利用者は、往路を移動するステップ5の上に立ち止まって上階側に移動する。
【0021】
ステップ異常検出装置9は、例えばエスカレーター1の下部に設けられる。
【0022】
図2は、実施の形態1に係るエスカレーターの要部の側面図である。
図2において、紙面に垂直な方向がエスカレーター1の左右方向である。
図2において、エスカレーター1の下部におけるステップ5が示される。
図2において、通常時において循環移動する正常なステップ5の位置が破線で示される。
図2のステップ5は、上り運転時の循環移動により帰路において水平方向への移動を開始する位置に差し掛かっている。
【0023】
エスカレーター1は、4つの駆動レール10と、4つの追従レール11と、を備える。
【0024】
4つの駆動レール10は、往路側と帰路側とにそれぞれ一対ずつ配置される。往路側の一対の駆動レール10の一方は、エスカレーター1の左側に配置される。往路側の一対の駆動レール10の他方は、エスカレーター1の右側に配置される。帰路側の一対の駆動レール10の一方は、エスカレーター1の左側に配置される。帰路側の一対の駆動レール10の他方は、エスカレーター1の右側に配置される。帰路側の一対の駆動レール10は、往路側の一対の駆動レール10の下方に配置される。
【0025】
4つの追従レール11は、往路側と帰路側とにそれぞれ一対ずつ配置される。往路側の一対の追従レール11の一方は、エスカレーター1の左側に配置される。往路側の一対の追従レール11の他方は、エスカレーター1の右側に配置される。帰路側の一対の追従レール11の一方は、エスカレーター1の左側に配置される。帰路側の一対の追従レール11の他方は、エスカレーター1の右側に配置される。帰路側の一対の追従レール11は、往路側の一対の追従レール11の下方に配置される。
【0026】
ステップ軸4は、一対の駆動ローラー12を備える。
【0027】
一対の駆動ローラー12の一方は、ステップ軸4の左側の端部に設けられる。一対の駆動ローラー12の他方は、ステップ軸4の右側の端部に設けられる。左側の駆動ローラー12は、左側の駆動レール10の上を走行するローラーである。右側の駆動ローラー12は、右側の駆動レール10の上を走行するローラーである。左側の駆動ローラー12は、第1駆動ローラーの例である。右側の駆動ローラー12は、第2駆動ローラーの例である。
【0028】
ここで、第1方向は、左右のいずれかの方向である。第2方向は、第1方向と反対の方向である。この例において、第1方向側は、左側である。第2方向側は、右側である。あるいは、第1方向側は、右側であってもよい。このとき、第2方向側は、左側である。
【0029】
ステップ5は、前後方向の一端部においてステップ軸4に取り付けられる。ステップ5は、踏み板13と、ライザー14と、一対のブラケット15と、一対の追従ローラー16と、を備える。
【0030】
踏み板13は、エスカレーター1の利用者が搭乗する平板状の部分である。踏み板13は、エスカレーター1の往路において水平に配置される。踏み板13の表面は、エスカレーター1の往路において上方を向く。ステップ5は、踏み板13の裏面の側においてステップ軸4に取り付けられる。
【0031】
ライザー14は、前後方向においてステップ軸4と反対側の踏み板13の端部から踏み板13の裏面の側に延びる板状の部材である。
【0032】
一対のブラケット15の一方は、ステップ5の左側に設けられる。一対のブラケット15の他方は、ステップ5の右側に設けられる。左側のブラケット15は、踏み板13の裏面の左端部とブラケット15の左端部の裏面との間にわたって設けられる。右側のブラケット15は、踏み板13の裏面の右端部とブラケット15の右端部と裏面との間にわたって設けられる。一対のブラケット15の各々は、図示されない口金を備える。ブラケット15の口金は、ステップ5をステップ軸4に取り付ける機器である。
【0033】
一対の追従ローラー16の一方は、左側のブラケット15に設けられる。一対の追従ローラー16の他方は、右側のブラケット15に設けられる。左側の追従ローラー16は、左側の追従レール11の上を走行する。右側の追従ローラー16は、右側の追従レール11の上を走行する。左側の追従ローラー16は、第1追従ローラーの例である。右側の追従ローラー16は、第2追従ローラーの例である。一対の追従ローラー16の各々は、前後方向においてステップ軸4と反対方向のブラケット15の端部に設けられる。
【0034】
ステップ異常検出装置9は、一対の駆動側センサー17と、一対の追従側センサー18と、を備える。
【0035】
一対の駆動側センサー17の各々は、対応する駆動ローラー12の通過を検知するセンサーである。一対の駆動側センサー17の各々は、例えば検知領域における物体の近接の有無を検知する近接センサーである。一対の駆動側センサー17の各々は、例えば静電容量式の近接センサーである。一対の駆動側センサー17の一方は、例えば帰路側において、左側の駆動レール10に設けられる。一対の駆動側センサー17の他方は、例えば帰路側において、右側の駆動レール10に設けられる。一対の駆動側センサー17は、左右方向において互いに対向する位置に設けられる。左側の駆動側センサー17は、水平方向への移動を開始する位置にステップ5があるときの左側の追従ローラー16に左側から対向するように配置される。右側の駆動側センサー17は、水平方向への移動を開始する位置にステップ5があるときの右側の追従ローラー16に右側から対向するように配置される。左側の駆動側センサー17は、第1駆動側センサーの例である。右側の駆動側センサー17は、第2駆動側センサーの例である。
【0036】
一対の追従側センサー18の各々は、対応する追従ローラー16の通過を検知するセンサーである。一対の追従側センサー18の各々は、例えば検知領域における物体の近接の有無を検知する近接センサーである。一対の追従側センサー18の各々は、例えば静電容量式の近接センサーである。一対の追従側センサー18の一方は、例えば帰路側において、左側の追従レール11に設けられる。一対の追従側センサー18の他方は、例えば帰路側において、右側の追従レール11に設けられる。一対の追従側センサー18は、左右方向において互いに対向する位置に設けられる。左側の追従側センサー18は、水平方向への移動を開始する位置にステップ5があるときの左側の追従ローラー16に左側から対向するように配置される。右側の追従側センサー18は、水平方向への移動を開始する位置にステップ5があるときの右側の追従ローラー16に右側から対向するように配置される。左側の追従側センサー18は、左側の駆動ローラー12の左側から左側の駆動側センサー17が対向する位置にステップ5があるときの左側の追従ローラー16に、左側から対向するように配置される。右側の追従側センサー18は、右側の駆動ローラー12の右側から右側の駆動側センサー17が対向する位置にステップ5があるときの右側の追従ローラー16に、右側から対向するように配置される。左側の追従側センサー18は、第1追従側センサーの例である。右側の追従側センサー18は、第2追従側センサーの例である。
【0037】
図3は、実施の形態1に係るステップ異常検出装置の構成図である。
図3において、ライザー14の側から見た帰路を移動するステップ5が示される。
【0038】
左側の駆動側センサー17は、左側の駆動レール10の左方に配置される。左側の駆動側センサー17は、左側の駆動ローラー12の通過を左側から検知しうるように検知領域を右側に設ける。左側の駆動側センサー17は、通過する左側の駆動ローラー12の回転軸より上方に配置される。右側の駆動側センサー17は、右側の駆動レール10の右方に配置される。右側の駆動側センサー17は、右側の駆動ローラー12の通過を右側から検知しうるように検知領域を左側に設ける。右側の駆動側センサー17は、通過する右側の駆動ローラー12の回転軸より上方に配置される。
【0039】
左側の追従側センサー18は、左側の追従レール11の左方に配置される。左側の追従側センサー18は、左側の追従ローラー16の通過を左側から検知しうるように検知領域を右側に設ける。左側の追従側センサー18は、通過する左側の追従ローラー16の回転軸より上方に配置される。右側の追従側センサー18は、右側の追従レール11の右方に配置される。右側の追従側センサー18は、右側の追従ローラー16の通過を右側から検知しうるように検知領域を左側に設ける。右側の追従側センサー18は、通過する右側の追従ローラー16の回転軸より上方に配置される。
【0040】
ステップ異常検出装置9は、検出部19を備える。
【0041】
検出部19は、一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々による検知のタイミングに基づいて、ステップ5についての異常を検出する部分である。ステップ5についての異常は、例えばステップ5が取り付けられているステップ軸4の駆動ローラー12の脱落、およびステップ5の追従ローラー16の脱落を含む。また、ステップ5についての異常は、ステップ5の追従ローラー16の浮き上がりを含んでもよい。また、ステップ5についての異常は、ステップ5の傾きを含んでもよい。ここで、ステップ5の傾きは、例えばステップ5が踏み板13に垂直な面内において回転した状態である。検出部19は、通過を検知した信号を取得しうるように、一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18に接続される。検出部19は、制御信号を出力しうるように、制御盤8に接続される。
【0042】
続いて、
図4から
図8を用いて、ステップ異常検出装置9によるステップ5についての異常の検出の例を説明する。
図4から
図8は、実施の形態1に係るステップ異常検出装置によるステップについての異常の検出の例を示す図である。
【0043】
図4において、ライザー14の側から見た帰路を移動するステップ5が示される。
図4において、ステップ5が取り付けられるステップ軸4の右側の駆動ローラー12が脱落している。
【0044】
例えばエスカレーター1の上り運転時に、駆動装置2が発生させる駆動力によって、複数のステップ5の各々は循環移動する。正常なステップ5の駆動ローラー12は、駆動レール10の上を走行する。正常なステップ5の追従ローラー16は、駆動ローラー12に追従して移動する。正常なステップ5の追従ローラー16は、追従レール11の上を走行する。
【0045】
左側の駆動側センサー17は、正常なステップ5が取り付けられるステップ軸4の左側の駆動ローラー12の通過を左側から検知する。これと同時に、右側の駆動側センサー17は、正常なステップ5が取り付けられるステップ軸4の右側の駆動ローラー12の通過を右側から検知する。これと同時に、左側の追従側センサー18は、正常なステップ5の左側の追従ローラー16の通過を左側から検知する。これと同時に、右側の追従側センサー18は、正常なステップ5の右側の追従ローラー16の通過を右側から検知する。
【0046】
一方、右側の駆動ローラー12が脱落しているステップ軸4に取り付けられたステップ5について、左側の駆動側センサー17は、当該ステップ軸4の左側の駆動ローラー12の通過を左側から検知する。これと同時に、左側の追従側センサー18は、当該ステップ5の左側の追従ローラー16の通過を左側から検知する。これと同時に、右側の追従側センサー18は、当該ステップ5の右側の追従ローラー16の通過を右側から検知する。このとき、右側の駆動側センサー17は、当該ステップ軸4の右側の駆動ローラー12の通過を検知しない。
【0047】
図5において、この場合の一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々による検知の状態が示される。
図5において、横軸は時間を表す。
図5のグラフDLは、左側の駆動側センサー17による検知の状態を表す。
図5のグラフDRは、右側の駆動側センサー17による検知の状態を表す。
図5のグラフFLは、左側の追従側センサー18による検知の状態を表す。
図5のグラフFRは、右側の追従側センサー18による検知の状態を表す。
図5の4つのグラフの各々において、検知の状態は、近接ありまたは近接なしの二値によって表される。
図5の4つのグラフの各々において、上側が近接ありを表す。
図5の4つのグラフの各々において、下側が近接なしを表す。
【0048】
検出部19は、例えば、2つのセンサーの状態が同時に近接ありに切り替わった後、2つのセンサーの状態が同時に近接なしに切り替わる場合に、当該2つのセンサーによる検知が同時にあったと判定する。検出部19は、例えば、2つのセンサーのうちの一方の状態が近接ありである間、他方の状態が近接なしのままである場合に、近接なしのままであったセンサーによる検知はなかったと判定する。
【0049】
検出部19は、一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々に対応する4つのローラーの各々の通過が同時に検知される場合に、ステップ5について正常であると判定する。あるいは、検出部19は、左側の駆動側センサー17および左側の追従側センサー18の各々に対応する2つのローラーの通過が同時に検知される場合に、ステップ5の左側のローラーについて正常であると判定してもよい。また、検出部19は、右側の駆動側センサー17および右側の追従側センサー18の各々に対応する2つのローラーの通過が同時に検知される場合に、ステップ5の右側のローラーについて正常であると判定してもよい。
【0050】
ここで、例えばエスカレーター1の据付の精度またはステップ異常検出装置9の設置の精度などの範囲において、正常なステップ5についてもローラーの通過の検知のタイミングがずれる可能性がある。このため、検出部19は、ローラーの通過の検知のタイミングのずれが当該範囲に収まっている場合に、ずれを許容して同時に検知があったと判定してもよい。当該範囲は、例えばエスカレーター1について予め設定される時間の範囲であってもよい。
【0051】
一方、検出部19は、一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々に対応する4つのローラーのいずれかの通過が他のローラーの通過の検知と同時にない場合に、ステップ5について異常があると判定する。例えば、検出部19は、右側の追従側センサー18による検知と同時に右側の駆動側センサー17による検知がない場合に、右側の駆動ローラー12の脱落を検出する。あるいは、検出部19は、左側の追従側センサー18による検知と同時に左側の駆動側センサー17による検知がない場合に、左側の駆動ローラー12の脱落を検出してもよい。あるいは、検出部19は、左側の駆動側センサー17による検知と同時に左側の追従側センサー18による検知がない場合に、左側の追従ローラー16の脱落を検出してもよい。あるいは、検出部19は、右側の駆動側センサー17による検知と同時に右側の追従側センサー18による検知がない場合に、右側の追従ローラー16の脱落を検出してもよい。
【0052】
検出部19は、ステップ5についての異常を検出する場合に、エスカレーター1を停止させる制御信号を制御盤8に出力する。制御盤8は、入力された制御信号に基づいて、駆動装置2を停止させる。駆動装置2の停止によって、エスカレーター1は停止する。
【0053】
図6において、紙面に垂直な方向がエスカレーター1の左右方向である。
図6において、エスカレーター1の下部において帰路を移動するステップ5が示される。
図6において、通常時において循環移動する正常なステップ5の位置が破線で示される。
図6のステップ5は、上り運転時の循環移動により帰路において水平方向への移動を開始する位置に差し掛かっている。
図6において、ステップ5の左右の両側の追従ローラー16が追従レール11から浮き上がっている。
【0054】
ステップ5の追従ローラー16の浮き上がりは、例えば当該ステップ5の踏み板13と、当該ステップ5のステップ軸4の側において隣接するステップ5の踏み板13との間に異物が挟みこまれることなどによって発生する。このため、ステップ5の浮き上がりは、循環移動するステップ5が水平方向への移動を開始する位置において発生しやすい。この例において、浮き上がっている追従ローラー16は、ステップ軸4を中心としてステップ軸4の側に回転した状態にある。このため、この例のエスカレーター1の上り運転時において、追従ローラー16は、駆動ローラー12が駆動側センサー17の側方を通過するよりも早く追従側センサー18の側方を通過する。
【0055】
左右の両側の追従ローラー16が浮き上がっているステップ5が取り付けられるステップ軸4について、左側の駆動側センサー17は、当該ステップ軸4の左側の駆動ローラー12の通過を左側から検知する。これと同時に、右側の駆動側センサー17は、当該ステップ軸4の右側の駆動ローラー12の通過を右側から検知する。このとき、左側の追従ローラー16の通過は、左側の駆動ローラー12の通過から早い方にずれて検知される。また、右側の追従ローラー16の通過は、右側の駆動ローラー12の通過から早い方にずれて検知される。
【0056】
図7において、この場合の一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々による検知の状態が示される。
図7において、横軸は時間を表す。
図7の4つのグラフの各々は、
図5の4つのグラフの各々と同様にしてセンサーの検知の状態を表す。
【0057】
検出部19は、例えば、2つのセンサーのうちの一方の状態が近接ありに切り替わった後、当該センサーの状態が近接なしに切り替わる前に他方の状態が近接ありに切り替わる場合に、当該2つのセンサーによる検知がずれてなされたと判定する。
【0058】
検出部19は、例えば、左側の駆動側センサー17による検知と左側の追従側センサー18による検知がずれてなされた場合に、左側の追従ローラー16の浮き上がりを検出する。あるいは、検出部19は、例えば、右側の駆動側センサー17による検知と右側の追従側センサー18による検知がずれてなされた場合に、右側の追従ローラー16の浮き上がりを検出してもよい。
【0059】
なお、この例のエスカレーター1の下り運転時において、追従ローラー16は、駆動ローラー12の移動に追従して、当該駆動ローラー12よりステップ5の進行方向の前方を走行する。上り運転時と同様に浮き上がっている追従ローラー16は、駆動ローラー12が駆動側センサー17の側方を通過するよりも遅く追従側センサー18の側方を通過する。このとき、左側の追従ローラー16の通過は、左側の駆動ローラー12の通過から早い方にずれて検知される。また、右側の追従ローラー16の通過は、右側の駆動ローラー12の通過から早い方にずれて検知される。この場合においても、検出部19は、上り運転時と同様にして追従ローラー16の浮き上がりを検出してもよい。
【0060】
図8において、ステップ5の傾きがある場合の一対の駆動側センサー17および一対の追従側センサー18の各々による検知の状態が示される。
図8において、横軸は時間を表す。
図8の4つのグラフの各々は、
図5の4つのグラフの各々と同様にしてセンサーの検知の状態を表す。
【0061】
この例において、傾いているステップ5は、踏み板13に垂直な面内において回転した状態で移動している。このため、左側の駆動ローラー12が左側の駆動側センサー17の側方を通過するタイミングは、右側の駆動ローラー12が右側の駆動側センサー17の側方を通過するタイミングからずれる。また、左側の追従ローラー16が左側の追従側センサー18の側方を通過するタイミングは、右側の追従ローラー16が右側の追従側センサー18の側方を通過するタイミングからずれる。
【0062】
傾いているステップ5が取り付けられるステップ軸4について、左側の駆動側センサー17は、当該ステップ軸4の左側の駆動ローラー12の通過を左側から検知する。このとき、右側の駆動ローラー12の通過は、左側の駆動ローラー12の通過からずれて検知される。また、左側の追従側センサー18は、当該ステップ軸4の左側の追従ローラー16の通過を左側から検知する。このとき、右側の追従ローラー16の通過は、左側の追従ローラー16の通過からずれて検知される。
【0063】
検出部19は、例えば、左側の駆動側センサー17による検知と右側の駆動側センサー17による検知がずれてなされた場合に、ステップ5の傾きを検出する。あるいは、検出部19は、例えば、左側の追従側センサー18による検知と右側の追従側センサー18による検知がずれてなされた場合に、ステップ5の傾きを検出してもよい。
【0064】
続いて、
図9を用いてステップ異常検出装置9の動作の例を説明する。
図9は、実施の形態1に係るステップ異常検出装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS1において、検出部19は、一対の駆動ローラー12または一対の追従ローラー16のいずれかの通過が検知されたかを判定する。判定結果がNoの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ふたたびステップS1に進む。判定結果がYesの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS2に進む。
【0066】
ステップS2において、検出部19は、一対の駆動ローラー12および一対の追従ローラー16について、通過が検知されなかったローラーがあるかを判定する。判定結果がYesの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS3に進む。判定結果がNoの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS4に進む。
【0067】
ステップS3において、検出部19は、通過が検知されなかったローラーの脱落を検出する。その後、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS8に進む。
【0068】
ステップS4において、検出部19は、左右方向の各々において、駆動ローラー12の通過と追従ローラー16の通過とがずれて検知されたかを判定する。判定結果がYesの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS5に進む。判定結果がNoの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS6に進む。
【0069】
ステップS5において、検出部19は、追従ローラー16の浮き上がりを検出する。その後、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS8に進む。
【0070】
ステップS6において、検出部19は、追従ローラー16または駆動ローラー12の各々において、左側のローラーの通過と右側のローラーの通過とがずれて検知されたかを判定する。判定結果がYesの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS7に進む。判定結果がNoの場合に、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS8に進む。
【0071】
ステップS7において、検出部19は、ステップ5の傾きを検出する。その後、ステップ異常検出装置9の動作は、ステップS8に進む。
【0072】
ステップS8において、検出部19は、エスカレーター1の運転を停止させる制御信号を出力する。その後、ステップ異常検出装置9の動作は、終了する。
【0073】
以上に説明したように、実施の形態1に係るステップ異常検出装置9は、第1駆動側センサーと、第1追従側センサーと、検出部19と、を備える。第1駆動側センサーは、第1駆動ローラーの通過を第1方向側から検知する。第1駆動ローラーは、エスカレーター1のステップ軸4の第1方向側の端部に設けられる。第1追従側センサーは、第1追従ローラーの通過を第1方向側から検知する。第1追従ローラーは、ステップ軸4に取り付けられるステップ5の第1方向側において第1駆動ローラーに追従する。第1追従側センサーは、第1駆動ローラーの第1方向側から第1駆動側センサーが対向する位置にステップ5があるときの第1追従ローラーに、第1方向側から対向するように配置される。検出部19は、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知および第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいてステップ5についての異常を検出する。
【0074】
これにより、ステップ異常検出装置9は、センサーによる検知のずれの時間などのステップ5の走行速度に依存する量によらずにステップ5についての異常を検出する。このため、ステップ異常検出装置9は、例えば走行速度が変化したことを表す情報などをエスカレーター1から取得することなく異常の検出ができる。このため、ステップ異常検出装置9は、ステップ5の走行速度が変化する場合においてもステップ5についての異常を検出できる。また、検出部19は、検知が同時であるか否かによって異常を判定する。このため、異常の判定の処理が簡単になる。
【0075】
また、検出部19は、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知があるときに第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知がない場合に、第1追従ローラーの脱落を検出する。また、検出部19は、第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知があるときに第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知がない場合に、第1駆動ローラーの脱落を検出する。
【0076】
これにより、検出部19は、駆動ローラー12および追従ローラー16のうち脱落していないローラーがセンサーの側方を通過し終えた時点で速やかに他方のローラーの脱落を検出できる。
【0077】
また、検出部19は、第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過が第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過からずれて検知される場合に、第1追従ローラーの浮き上がりを検出する。
【0078】
これにより、検出部19は、ローラーの脱落の他の異常のモードとして追従ローラー16の浮き上がりが発生した場合においても、当該異常を検出できる。
【0079】
また、第1駆動側センサーおよび第1追従側センサーの少なくとも一方は、静電容量式の近接センサーである。
【0080】
静電容量式の近接センサーは、非接触で近接を検知する。このため、運転により近接センサーが消耗しにくい。また、近接センサーは、正常なステップ5の移動を妨げない。また、静電容量式の近接センサーは、汚れなどの付着の影響を受けにくい。
【0081】
また、第1追従側センサーは、循環移動するステップ5が水平方向への移動を開始する位置にあるときの第1追従ローラーに第1方向側から対向するように配置される。
【0082】
ステップ5が水平方向への移動を開始する位置において、ステップ5の浮き上がりが発生しやすい。このため、当該位置に設けられる追従側センサー18は、発生した浮き上がりを速やかに検出しやすくなる。また、水平方向への移動を開始する位置は、エスカレーター1の上端部または下端部であることが多い。例えば制御盤8などの機器は、エスカレーター1の上端部および下端部に設けられることがある。このため、ステップ異常検出装置9は、異常が発生したステップ5がこれらの装置に影響を及ぼす可能性を抑えられる。
【0083】
また、ステップ異常検出装置9は、第2駆動側センサーと、第2追従側センサーと、を備える。第2駆動側センサーは、第2駆動ローラーの通過を第2方向側から検知する。第2駆動ローラーは、エスカレーター1のステップ軸4の第2方向側の端部に設けられる。第2方向側は、第1方向側の反対側である。第2追従側センサーは、第2追従ローラーの通過を第2方向側から検知する。第2追従ローラーは、ステップ軸4に取り付けられるステップ5の第2方向側において第2駆動ローラーに追従する。第2追従側センサーは、第2駆動ローラーの第2方向側から第2駆動側センサーが対向する位置にステップ5があるときの第2追従ローラーに、第2方向側から対向するように配置される。検出部19は、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知、第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知、第2駆動側センサーによる第2駆動ローラーの通過の検知、および第2追従側センサーによる第2追従ローラーの通過の検知が同時にあるかに基づいてステップ5についての異常を検出する。
【0084】
検出部19は、ステップ5についての4つのローラーの検知のタイミングに基づいて異常の検出を行う。このため、例えば左右方向の一側において駆動ローラー12および追従ローラー16の両方に脱落などの異常が発生した場合においても、検出部19は、発生した異常を検出できる。
【0085】
また、検出部19は、第1駆動側センサーによる第1駆動ローラーの通過の検知が第2駆動側センサーによる第2駆動ローラーの通過の検知より早い場合に、ステップ5の傾きを検出する。また、検出部19は、第1追従側センサーによる第1追従ローラーの通過の検知が第2追従側センサーによる第2追従ローラーの通過の検知より早い場合に、ステップ5の傾きを検出する。
【0086】
これにより、検出部19は、ローラーの脱落の他の異常のモードとしてステップ5の傾きが発生した場合においても、当該異常を検出できる。
【0087】
また、検出部19は、ステップ5についての異常を検出する場合に、エスカレーター1を停止させる信号を出力する。
【0088】
これにより、異常が発生したステップ5がある場合に、エスカレーター1の運転は停止する。このため、ステップ異常検出装置9は、異常が発生したステップ5が周辺の機器などに影響を及ぼす可能性を抑えられる。
【0089】
なお、検出部19は、ステップ5についての異常を検出する場合に、検出した異常を例えばエスカレーター1の管理者などに報知してもよい。検出部19は、ステップ5についての異常を検出する場合に、検出した異常を表す信号を例えばエスカレーター1を遠隔監視する装置などに送信してもよい。
【0090】
また、ステップ異常検出装置9は、エスカレーター1の上部に設けられてもよい。ステップ異常検出装置9は、1つのエスカレーター1に対して複数設けられてもよい。
【0091】
また、検出部19は、制御盤8と一体に設けられてもよい。
【0092】
続いて、
図10を用いてステップ異常検出装置9のハードウェア構成の例について説明する。
図10は、実施の形態1に係るステップ異常検出装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0093】
ステップ異常検出装置9の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ9bと少なくとも1つのメモリ9cとを備える。処理回路は、プロセッサ9bおよびメモリ9cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア9aを備えてもよい。
【0094】
処理回路がプロセッサ9bとメモリ9cとを備える場合、ステップ異常検出装置9の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ9cに格納される。プロセッサ9bは、メモリ9cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ステップ異常検出装置9の各機能を実現する。
【0095】
プロセッサ9bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ9cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0096】
処理回路が専用のハードウェア9aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0097】
ステップ異常検出装置9の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、ステップ異常検出装置9の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。ステップ異常検出装置9の各機能について、一部を専用のハードウェア9aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア9a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでステップ異常検出装置9の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0098】
1 エスカレーター、 2 駆動装置、 3 ステップチェーン、 4 ステップ軸、 5 ステップ、 6 手摺、 7 手摺駆動装置、 8 制御盤、 9 ステップ異常検出装置、 10 駆動レール、 11 追従レール、 12 駆動ローラー、 13 踏み板、 14 ライザー、 15 ブラケット、 16 追従ローラー、 17 駆動側センサー、 18 追従側センサー、 19 検出部、 9a ハードウェア、 9b プロセッサ、 9c メモリ