(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220913BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220913BHJP
H01B 7/42 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H01B7/00 301
H01B7/42 D
(21)【出願番号】P 2019064326
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河口 智哉
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034820(JP,A)
【文献】特開2017-139881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/00
H01B 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線の外周面の周方向の一部を被覆する外装部材と、
前記電線の外周に前記外装部材を固定する固定部材と、を有し、
前記外装部材は、前記電線の軸線方向と直交する方向に開口する開口部をそれぞれ有する第1分割体及び第2分割体を有し、
前記固定部材は、前記第1分割体及び前記第2分割体の周方向の少なくとも一方の端面同士が、互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、前記外装部材を前記電線の外周に固定して
おり、
前記第1分割体の内周面と前記電線の外周面との間に設けられた第1弾性体をさらに有し、
前記第1弾性体は、前記電線の外周面に密着するとともに、前記第1分割体の内周面に密着しており、
前記第1弾性体は、前記第1分割体よりも弾性率の低い材料からなり、
前記第1弾性体は、空気層よりも熱伝導率の高い材料からなるワイヤハーネス。
【請求項2】
前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有し、
前記第1弾性体は、前記絶縁被覆よりも熱伝導率の高い材料からなる請求項
1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1分割体は、金属材料からなり、
前記第1弾性体の周方向の長さは、前記第1分割体の周方向の長さよりも長く形成されており、
前記第1弾性体の周方向の両端部は、前記第1分割体の周方向の両端部からそれぞれ露出されている請求項
1又は請求項
2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第1弾性体の軸線方向の長さは、前記第1分割体の軸線方向の長さよりも長く形成されており、
前記第1弾性体の軸線方向の両端部は、前記第1分割体の軸線方向の両端部からそれぞれ露出されている請求項
3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記第2分割体の内周面と前記電線の外周面との間に設けられた第2弾性体をさらに有し、
前記第2弾性体は、前記電線の外周面に密着するとともに、前記第2分割体の内周面に密着しており、
前記第2弾性体は、前記第2分割体よりも弾性率の低い材料からなり、
前記第2弾性体は、空気層よりも熱伝導率の高い材料からなる請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
電線と、
前記電線の外周面の周方向の一部を被覆する外装部材と、
前記電線の外周に前記外装部材を固定する固定部材と、を有し、
前記外装部材は、前記電線の軸線方向と直交する方向に開口する開口部をそれぞれ有する第1分割体及び第2分割体を有し、
前記固定部材は、前記第1分割体及び前記第2分割体の周方向の少なくとも一方の端面同士が、互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、前記外装部材を前記電線の外周に固定しており、
前記第1分割体の外周面に設けられた弾性体をさらに有し、
前記弾性体は、前記第1分割体を前記電線に向かって押圧するように形成されており、
前記弾性体は、前記第1分割体よりも弾性率の低い材料からな
るワイヤハーネス。
【請求項7】
前記電線は、直線部と、前記直線部の一端部に設けられた屈曲部とを有し、
前記第1分割体は、前記直線部のうち前記屈曲部の曲げ内側に近い部分に設けられており、
前記第2分割体は、前記直線部のうち前記屈曲部の曲げ外側に近い部分に設けられており、
前記第1分割体の軸線方向の端面のうち前記屈曲部側の端面は、前記第2分割体の軸線方向の端面のうち前記屈曲部側の端面よりも、前記屈曲部から離れた位置に設けられている請求項
6に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記固定部材は、
前記電線及び前記外装部材を保持する保持部と、
前記保持部と接続されて設けられ、被固定部に固定される固定部とを有する請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電気自動車などの車両に用いられるワイヤハーネスは、高電圧のバッテリとインバータなどの電気機器間を電気的に接続する電線を備えている(例えば、特許文献1参照)。このワイヤハーネスにおいては、電線の保護を目的として、電線が筒状の外装部材によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようにハイブリッド車や電気自動車等の車両で用いられる電気機器としては高電圧のインバータやバッテリ等があり、電線に例えば数百アンペアの大電流が流れる場合がある。電線に大電流が流れると、電線の発熱量が増大して電線の温度が上昇しやすくなるため、ワイヤハーネスにおける放熱性の向上が望まれている。
【0005】
そこで、放熱性を向上できるワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線と、前記電線の外周面の周方向の一部を被覆する外装部材と、前記電線の外周に前記外装部材を固定する固定部材と、を有し、前記外装部材は、前記電線の軸線方向と直交する方向に開口する開口部をそれぞれ有する第1分割体及び第2分割体を有し、前記固定部材は、前記第1分割体及び前記第2分割体の周方向の少なくとも一方の端面同士が、互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、前記外装部材を前記電線の外周に固定している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、放熱性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略横断面図(
図3における2-2線断面図)である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
【
図5】
図5は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
【
図6】
図6は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のワイヤハーネスは、電線と、前記電線の外周面の周方向の一部を被覆する外装部材と、前記電線の外周に前記外装部材を固定する固定部材と、を有し、前記外装部材は、横断面形状において開口部を有する第1分割体と、横断面形状において開口部を有する第2分割体とを有し、前記固定部材は、前記第1分割体及び前記第2分割体の少なくとも一方の周方向の端面同士が、互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、前記外装部材を前記電線の外周に固定している。
【0010】
この構成によれば、第1分割体と第2分割体との間に隙間が形成され、その隙間において電線の外周面の一部が外装部材から露出される。これにより、電線で発生した熱を、第1分割体と第2分割体との間の隙間から外装部材の外部に放出することができる。このため、電線の外周が周方向全周にわたって外装部材により包囲される場合に比べて、電線で発生した熱が外装部材の内部に籠もることを抑制でき、電線で発生した熱が上記隙間を通じて外装部材の外側の大気中に効率良く放出することができる。これにより、電線で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネスの放熱性を向上させることができる。
【0011】
なお、本明細書において「向かい合う(向かい合って)」と表現した場合には、周方向の端面同士が互いに相手端面の正面を向いている状態と、周方向の端面同士が互いに相手端面に対して傾いた状態で相手端面に向いている状態との両方を含むものとする。
【0012】
[2]前記第1分割体の内周面と前記電線の外周面との間に設けられた第1弾性体をさらに有し、前記第1弾性体は、前記電線の外周面に密着するとともに、前記第1分割体の内周面に密着しており、前記第1弾性体は、前記第1分割体よりも弾性率の低い材料からなり、前記第1弾性体は、空気層よりも熱伝導率の高い材料からなることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1分割体と電線との間に、第1分割体よりも弾性率の低い材料からなる第1弾性体が設けられる。この第1弾性体の弾性変形によって、電線の膨張・収縮を吸収することができる。このため、第1分割体を電線の外周面に直接接触させる場合に比べて、電線が膨張・収縮した場合に、第1弾性体を介した第1分割体と電線との密着状態を維持することができる。これにより、電線の外周面と第1分割体の内周面との間に断熱層である空気層が介在することを抑制できる。この結果、電線の外周面と第1分割体の内周面との間の熱抵抗を低くできる。このため、電線で発生した熱が、外装部材の内部に籠もることが抑制され、電線で発生した熱を第1分割体の外周面から効率良く大気中に放出することができる。これにより、電線で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネスの放熱性を向上させることができる。
【0014】
[3]前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有し、前記第1弾性体は、前記絶縁被覆よりも熱伝導率の高い材料からなることが好ましい。
この構成によれば、絶縁被覆の外周面と第1分割体の内周面との間の熱抵抗をより低くできる。これにより、電線で発生した熱を、第1弾性体を通じて第1分割体に効率良く熱伝導することができる。このため、電線で発生した熱を第1分割体の外周面から効率良く大気中に放出することができ、ワイヤハーネスの放熱性を向上させることができる。
【0015】
[4]前記第1分割体は、金属材料からなり、前記第1弾性体の周方向の長さは、前記第1分割体の周方向の長さよりも長く形成されており、前記第1弾性体の周方向の両端部は、前記第1分割体の周方向の両端部からそれぞれ露出されている。この構成によれば、第1分割体の周方向の両端縁のエッジが第1弾性体に接触することになるため、上記エッジによって電線の外周面が損傷することを抑制できる。
【0016】
[5]前記第1弾性体の軸線方向の長さは、前記第1分割体の軸線方向の長さよりも長く形成されており、前記第1弾性体の軸線方向の両端部は、前記第1分割体の軸線方向の両端部からそれぞれ露出されていることが好ましい。この構成によれば、第1分割体の軸線方向の両端縁のエッジが第1弾性体に接触することになるため、上記エッジによって電線の外周面が損傷することを抑制できる。
【0017】
[6]前記第2分割体の内周面と前記電線の外周面との間に設けられた第2弾性体をさらに有し、前記第2弾性体は、前記電線の外周面に密着するとともに、前記第2分割体の内周面に密着しており、前記第2弾性体は、前記第2分割体よりも弾性率の低い材料からなり、前記第2弾性体は、空気層よりも熱伝導率の高い材料からなることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第2分割体と電線との間に、第2分割体よりも弾性率の低い材料からなる第2弾性体が設けられる。この第2弾性体の弾性変形によって、電線の膨張・収縮を吸収することができる。このため、第2分割体を電線の外周面に直接接触させる場合に比べて、電線が膨張・収縮した場合に、第2弾性体を介した第2分割体と電線との密着状態を維持することができる。これにより、電線の外周面と第2分割体の内周面との間に断熱層である空気層が介在することを抑制できる。この結果、電線の外周面と第2分割体の内周面との間の熱抵抗を低くできる。このため、電線で発生した熱が、外装部材の内部に籠もることが抑制され、電線で発生した熱を第2分割体の外周面から効率良く大気中に放出することができる。これにより、電線で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネスの放熱性を向上させることができる。
【0019】
[7]前記第1分割体の外周面に設けられた弾性体をさらに有し、前記弾性体は、前記第1分割体を前記電線に向かって押圧するように形成されており、前記弾性体は、前記第1分割体よりも弾性率の低い材料からなる。
【0020】
この構成によれば、第1分割体よりも弾性率の低い材料からなる弾性体によって、第1分割体が電線に向かって押圧される。このため、電線の外周面と第1分割体の内周面との密着度合いを高めることができる。これにより、電線で発生した熱を、第1分割体の外周面から効率良く大気中に放出することができる。
【0021】
[8]前記電線は、直線部と、前記直線部の一端部に設けられた屈曲部とを有し、前記第1分割体は、前記直線部のうち前記屈曲部の曲げ内側に近い部分に設けられており、前記第2分割体は、前記直線部のうち前記屈曲部の曲げ外側に近い部分に設けられており、前記第1分割体の軸線方向の端面のうち前記屈曲部側の端面は、前記第2分割体の軸線方向の端面のうち前記屈曲部側の端面よりも、前記屈曲部から離れた位置に設けられている。
【0022】
この構成によれば、屈曲部の曲げ内側に近い部分に設けられた第1分割体の端面が曲げ内側から離れた位置に設けられる。このため、例えばワイヤハーネスに揺動や振動が生じた場合に、電線の屈曲部(特に、曲げ内側)が第1分割体の軸線方向の端面に接触することを抑制できる。これにより、電線の外周面が損傷することを好適に抑制できる。
【0023】
[9]前記固定部材は、前記電線及び前記外装部材を保持する保持部と、前記保持部と接続されて設けられ、被固定部に固定される固定部とを有する。この構成によれば、電線で発生した熱を、外装部材及び固定部材を通じて被固定部に効率良く熱伝達することができる。これにより、電線で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネスの放熱性を向上させることができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」や「均一」は、厳密に直交や均一の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交や均一の場合も含まれる。
【0025】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器(機器)を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両
Vの床下等を通るように配索される。インバータ11は、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0026】
ワイヤハーネス10は、1本又は複数本の電線20と、電線20の両端部に取り付けられた一対のコネクタC1と、電線20の外周を包囲する外装部材30とを有している。電線20の一端部はコネクタC1を介してインバータ11と接続され、電線20の他端部はコネクタC1を介して高圧バッテリ12と接続されている。電線20は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。電線20は、例えば、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールドを有しないノンシールド電線であってもよい。
【0027】
(電線20の構成)
図2に示すように、電線20は、導体よりなる芯線21と、芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有している。芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバを用いることができる。また、芯線21としては、撚り線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。本実施形態の芯線21は、単芯線である。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。芯線21は、例えば、押出成形によって形成されている。
【0028】
芯線21の長さ方向と直交する平面によって芯線21を切断した断面形状は、任意の形状にすることができる。すなわち、芯線21の横断面形状は、任意の形状にすることができる。芯線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状や扁平形状に形成されている。本明細書において、「扁平形状」には、例えば、長方形、長円形や楕円形などが含まれる。本明細書における「長方形」は、長辺と短辺を有するものであり、正方形を除いたものである。本明細書における「長方形」には、稜部を面取りした形状や、稜部を丸めた形状も含まれる。本実施形態の芯線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0029】
絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆22は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆22は、例えば、芯線21に対する押出成形(押出被覆)によって形成することができる。
【0030】
以下の説明では、単に「周方向」と記載した場合には、電線20の中心軸線の周方向を意味するものとし、単に「軸線方向」と記載した場合には、電線20の中心軸線が延びる方向を意味するものとする。
【0031】
図3に示すように、電線20は、例えば、二次元状又は三次元状に曲げられるように形成されている。例えば、電線20は、ワイヤハーネス10の配索経路に応じた所定形状に曲げられて形成されている。本実施形態の電線20は、車両前後方向(図中左右方向)に延びる直線部25と、直線部25の一端部に設けられた屈曲部26と、屈曲部26から車両上下方向(図中上下方向)の上方に向かって延びる直線部27とを有している。
【0032】
(外装部材30の構成)
外装部材30は、例えば、電線20の外周を被覆するように形成されている。外装部材30は、例えば、1本の電線20に対して設けられている。すなわち、外装部材30には、電線20が1本ずつ収容されている。このため、例えば、ワイヤハーネス10が複数の電線20を有する場合には、電線20が1本ずつ収容された外装部材30が複数個並んだ状態で配索される。
【0033】
外装部材30は、電線20の外周の周方向の一部を被覆するように形成されている。外装部材30は、例えば、電線20が配索される経路に沿って延びるように長尺状に形成されている。換言すると、外装部材30は、電線20の軸線方向(長さ方向)に沿って延びるように長尺状に形成されている。外装部材30は、例えば、電線20の軸線方向の一部に部分的に設けられている。例えば、1本の電線20に対して、1つの外装部材30を設けてもよいし、複数の外装部材30を設けてもよい。例えば、電線20における複数の区間(例えば、直線部及び屈曲部)が1つの外装部材30によって被覆されていてもよいし、電線20における1つの区間(例えば、直線部のみ)が複数の外装部材30によって被覆されていてもよい。また、外装部材30は、直線部のみから構成してもよいし、曲げ部を有していてもよい。
図3に示した例では、1本の電線20に対して2つの外装部材30が取り付けられている。各外装部材30は、直線部のみから構成されており、電線20の直線部25,27にそれぞれ設けられている。換言すると、本実施形態の外装部材30は、電線20の屈曲部26には設けられていない。
【0034】
(外装部材30の具体的構成)
次に、外装部材30の具体的構成について詳述する。ここで、直線部25に設けられた外装部材30と、直線部27に設けられた外装部材30とは同様の構造を有している。このため、以下の説明では、直線部25に設けられた外装部材30の具体的構成について詳述し、直線部27に設けられた外装部材30の構造については説明を割愛する。
【0035】
図2に示すように、外装部材30は、複数の分割体31,32を有している。分割体31は、横断面形状において一方向(図中下方)に開口する開口部31Xを有している。開口部31Xは、電線20の長さ方向と直交する方向に開口するように形成されている。分割体32は、横断面形状において一方向(図中上方)に開口する開口部32Xを有している。開口部32Xは、電線20の長さ方向と直交する方向に開口するように形成されている。各分割体31,32の横断面形状は、例えば、円弧状やU字状に形成されている。本実施形態の各分割体31,32の横断面形状は、外装部材30の軸線方向の全長にわたって半円弧状に形成されている。
【0036】
分割体31は、例えば、電線20の外周面のうち車両上下方向の上部分を被覆するように設けられている。例えば、分割体31の開口部31Xには、電線20の外周面のうち車両上下方向の上部分が収容されている。分割体32は、例えば、電線20の外周面のうち車両上下方向の下部分を被覆するように設けられている。例えば、分割体32の開口部32Xには、電線20の外周面のうち車両上下方向の下部分が収容されている。このように、複数の分割体31,32は、1本の電線20を図中上下から挟み込むように設けられている。但し、電線20の外周面のうち周方向の一部は、分割体31,32(つまり、外装部材30)によって被覆されていない。
【0037】
本明細書では、分割体31,32における電線20の軸線方向に沿う方向を「分割体31,32(外装部材30)の軸線方向」と称し、分割体31,32における電線20の周方向に沿う方向を「分割体31,32(外装部材30)の周方向」と称する。また、本明細書では、分割体31,32における電線20の径方向に沿う方向を「分割体31,32の径方向又は厚み方向」と称する。
【0038】
(分割体31,32の材料)
分割体31,32の材料としては、導電性を有する樹脂材料、導電性を有さない樹脂材料や金属材料を用いることができる。樹脂材料としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。金属材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系、鉄系の金属材料を用いることができる。分割体31の材料と分割体32の材料とは、互いに同じ材料であってもよいし、互いに異なる材料であってもよい。本実施形態の分割体31,32の材料としては、アルミニウム系の金属材料を用いることができる。このような分割体31,32からなる外装部材30は、電線20を飛翔物等から保護する保護機能と、電線20を電磁波から保護する電磁シールド機能と、電線20等に発生した熱を放散する放熱機能とを有している。
【0039】
各分割体31,32は、例えば、電線20よりも曲げ剛性が高い部材である。各分割体31,32は、電線20よりも曲がり難くなっている。本実施形態の各分割体31,32は、例えば、電線20の経路を維持し得る剛性を有する材料から構成されている。このような各分割体31,32は、上述した保護機能と電磁シールド機能と放熱機能とに加えて、電線20の経路を規制する経路規制機能を有している。
【0040】
各分割体31,32は、例えば、押出成形によって形成することができる。このような各分割体31,32は、例えば、軸線方向の全長にわたって横断面形状が一定の形状に形成されている。
【0041】
(分割体31の構成)
分割体31は、電線20の外周面に対向する内周面と、その内周面とは反対側の外周面と、分割体31の周方向の両端部にそれぞれ設けられた端面31A,31Bとを有している。分割体31の内周面及び外周面は、例えば、分割体31の軸線方向及び周方向に広がるように形成されている。分割体31の内周面及び外周面は、例えば、電線20の外周面に沿うように形成されている。本実施形態の分割体31の内周面及び外周面はそれぞれ、横断面形状が半円弧状に形成されている。例えば、分割体31の内周面及び外周面はそれぞれ、分割体31の径方向外側(ここでは、図中上方)に向かって突出するように円弧状に湾曲した湾曲面に形成されている。
【0042】
分割体31の各端面31A,31Bは、分割体31の内周面と外周面との間に設けられている。分割体31の各端面31A,31Bは、例えば、分割体31の周方向と交差する方向(例えば、分割体31の厚み方向)に延びるように形成されている。分割体31は、例えば、分割体31の軸線方向及び周方向の全長にわたって均一な厚みに形成されている。
【0043】
(分割体32の構成)
分割体32は、電線20の外周面に対向する内周面と、その内周面とは反対側の外周面と、分割体32の周方向の両端部にそれぞれ設けられた端面32A,32Bとを有している。分割体32の内周面及び外周面は、例えば、分割体32の軸線方向及び周方向に広がるように形成されている。分割体32の内周面及び外周面は、例えば、電線20の外周面に沿うように形成されている。本実施形態の分割体32の内周面及び外周面はそれぞれ、横断面形状が半円弧状に形成されている。例えば、分割体32の内周面及び外周面はそれぞれ、分割体32の径方向外側(ここでは、図中下方)に向かって突出するように円弧状に湾曲した湾曲面に形成されている。
【0044】
分割体32の各端面32A,32Bは、分割体32の内周面と外周面との間に設けられている。分割体32の各端面32A,32Bは、例えば、分割体32の周方向と交差する方向(例えば、分割体32の厚み方向)に延びるように形成されている。分割体32は、例えば、軸線方向及び周方向の全長にわたって均一な厚みに形成されている。
【0045】
(分割体31,32の構成)
分割体31と分割体32とは、端面31A,32A同士を向かい合わせた状態、かつ端面31A,32Aが周方向において互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。また、分割体31と分割体32とは、端面31B,32B同士を向かい合わせた状態、かつ端面31B,32Bが周方向において互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。すなわち、本実施形態の分割体31,32は、周方向の両端部において、端面31A,32A同士及び端面31B,32B同士が互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。
【0046】
分割体31の端面31Aと分割体32の端面32Aとは、周方向に所定の間隔L1を空けて設けられている。端面31Aと端面32Aとは、それら端面31A,32A同士が接触しない間隔L1を空けて設けられている。分割体31の端面31Bと分割体32の端面32Bとは、周方向に所定の間隔L2を空けて設けられている。端面31Bと端面32Bとは、それら端面31B,32B同士が接触しない間隔L2を空けて設けられている。間隔L1,L2は、例えば、車両V(
図1参照)の使用環境において想定される最大温度(例えば、80℃程度)において、電線20及び外装部材30等が熱膨張した場合であっても、端面31A,32A同士及び端面31B,32B同士が接触しない長さに設定されている。また、間隔L1,L2は、例えば、外装部材30による電磁シールド機能に影響を及ぼさない長さに設定されている。ここで、間隔L1は、例えば、間隔L2と同じ長さであってもよいし、間隔L2と異なる長さであってもよい。
【0047】
端面31Aと端面32Aとの間の隙間、及び端面31Bと端面32Bとの間の隙間においては、電線20の外周面が外装部材30によって被覆されていない。このため、端面31A,32A間の隙間及び端面31B,32B間の隙間では、電線20の外周面が外装部材30(つまり、分割体31,32)から露出されている。すなわち、電線20の外周面は、その周方向の一部が外装部材30から露出されている。
【0048】
別の見方をすると、分割体31の周方向の長さと分割体32の周方向の長さとを合わせた長さは、電線20(ここでは、絶縁被覆22)の外周面の周方向の長さよりも短く設定されている。
【0049】
図3に示すように、分割体31,32は、例えば、直線部25における電線20の軸線方向に沿って延びるように形成されている。分割体31の軸線方向に沿う寸法と分割体32の軸線方向に沿う寸法とは、互いに同じ長さであってもよいし、互いに異なる長さであってもよい。本実施形態では、分割体31の軸線方向に沿う寸法が、分割体32の軸線方向に沿う寸法よりも短く設定されている。
【0050】
ここで、本実施形態の電線20では、直線部25の一端部に屈曲部26が形成され、その屈曲部26から車両上下方向の上方に向かって延びるように直線部27が形成されている。このため、直線部25では、車両上下方向の上部分が屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分となり、車両上下方向の下部分が屈曲部26の曲げ外側26Bに近い部分となる。したがって、直線部25では、屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分の電線20が分割体31によって覆われており、屈曲部26の曲げ外側26Bに近い部分の電線20が分割体32によって覆われている。そして、分割体31の軸線方向の端面は、分割体32の軸線方向の端面よりも屈曲部26から離れた位置に設けられている。
【0051】
なお、直線部27に設けられた外装部材30でも同様に、分割体31が屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分の電線20を覆うように設けられており、分割体32が屈曲部26の曲げ外側26Bに近い部分の電線20を覆うように設けられている。そして、分割体31の軸線方向の端面は、分割体32の軸線方向の端面よりも屈曲部26から離れた位置に設けられている。
【0052】
(弾性体41,42の概略構成)
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、弾性体41,42を有している。弾性体41は、例えば、電線20の外周面と分割体31の内周面との間に設けられている。弾性体42は、例えば、電線20の外周面と分割体32の内周面との間に設けられている。弾性体41は、例えば、電線20の収縮・膨張に追従して分割体31と電線20との隙間を無くす弾性を有している。弾性体42は、例えば、電線20の収縮・膨張に追従して分割体32と電線20との隙間を無くす弾性を有している。例えば、弾性体41,42は、電線20の収縮量及び膨張量を吸収することが可能な弾性を有している。
【0053】
本明細書では、弾性体41,42における電線20の軸線方向に沿う方向を「弾性体41,42の軸線方向」と称し、弾性体41,42における電線20の周方向に沿う方向を「弾性体41,42の周方向」と称する。また、本明細書では、弾性体41,42における電線20の径方向に沿う方向を「弾性体41,42の径方向又は厚み方向」と称する。
【0054】
(弾性体41,42の材料)
弾性体41,42は、例えば、分割体31,32を構成する材料よりも弾性率の低い材料を用いることができる。弾性体41,42の材料としては、分割体31,32を構成する材料よりも高粘弾性かつ軟質な粘弾性体を用いることができる。また、弾性体41,42の材料としては、例えば、空気層よりも熱伝導率の高い材料を用いることができる。弾性体41,42の材料としては、例えば、絶縁被覆22よりも熱伝導率の高い材料であると好適である。弾性体41,42の材料としては、例えば、ゴム材料、発泡材料、接着剤や熱伝導部材(TIM:Thermal Interface Material)を用いることができる。ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどを用いることができる。接着剤としては、例えば、エポキシ系やシリコーン系などの弾性接着剤を用いることができる。熱伝導部材の材料としては、例えば、インジウム、銀等の軟質金属、シリコーンゲル、又は金属フィラー等を含有した有機系の樹脂バインダー等を用いることができる。弾性体41,42の材料としては、例えば、固形状やゲル状(半固形状)の材料を用いることができる。
【0055】
(弾性体41の具体的構成)
弾性体41は、電線20の外周面に対向する内周面と、分割体31の内周面に対向する外周面と、弾性体41の周方向の両端部にそれぞれ設けられた端面41A,41Bとを有している。
【0056】
弾性体41の内周面及び外周面は、例えば、電線20の外周面に沿うように形成されている。本実施形態の弾性体41の内周面及び外周面は、横断面形状が半円弧状に形成されている。例えば、弾性体41の内周面が電線20の外周面と密着するとともに、弾性体41の外周面が分割体31の内周面と密着している。弾性体41の内周面は、例えば、電線20の外周面と弾性接触している。弾性体41の内周面は、例えば、周方向及び軸線方向の全体にわたって電線20の外周面と弾性接触している。弾性体41の外周面は、例えば、分割体31の内周面と弾性接触している。弾性体41の外周面は、例えば、周方向及び軸線方向の全体にわたって分割体31の内周面と弾性接触している。ここで、分割体31は、例えば、弾性体41を介して電線20と熱的に接続されている。すなわち、ワイヤハーネス10では、電線20で発生した熱が、弾性体41を通じて分割体31に熱伝導される。
【0057】
弾性体41の各端面41A,41Bは、弾性体41の内周面と外周面との間に設けられている。弾性体41の各端面41A,41Bは、例えば、弾性体41の周方向と交差する方向(例えば、弾性体41の厚み方向)に延びるように形成されている。
【0058】
弾性体41は、例えば、分割体31よりも周方向に沿う長さが長く設定されている。弾性体41の周方向の両端部は、例えば、分割体31の周方向の両端部からそれぞれ露出されている。すなわち、弾性体41の各端面41A,41Bは、分割体31の各端面31A,31Bよりも、周方向において分割体32側に向かって突出した位置に形成されている。
【0059】
図3に示すように、弾性体41は、例えば、分割体31よりも軸線方向に沿う長さが長く設定されている。弾性体41の軸線方向の両端部は、例えば、分割体31の軸線方向の両端部からそれぞれ露出されている。例えば、弾性体41の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面は、分割体31の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面よりも、軸線方向において屈曲部26側に向かって突出した位置に形成されている。
【0060】
(弾性体42の具体的構成)
図2に示すように、弾性体42は、電線20の外周面に対向する内周面と、分割体32の内周面に対向する外周面と、弾性体42の周方向の両端部にそれぞれ設けられた端面42A,42Bとを有している。
【0061】
弾性体42の内周面及び外周面は、例えば、電線20の外周面に沿うように形成されている。本実施形態の弾性体42の内周面及び外周面は、横断面形状が半円弧状に形成されている。例えば、弾性体42の内周面が電線20の外周面と密着するとともに、弾性体42の外周面が分割体32の内周面と密着している。弾性体42の内周面は、例えば、電線20の外周面と弾性接触している。弾性体42の内周面は、例えば、周方向及び軸線方向の全体にわたって電線20の外周面と弾性接触している。弾性体42の外周面は、例えば、分割体32の内周面と弾性接触している。弾性体42の外周面は、例えば、周方向及び軸線方向の全体にわたって分割体32の内周面と弾性接触している。ここで、分割体32は、例えば、弾性体42を介して電線20と熱的に接続されている。すなわち、ワイヤハーネス10では、電線20で発生した熱が、弾性体42を通じて分割体32に熱伝導される。
【0062】
弾性体42の各端面42A,42Bは、弾性体42の内周面と外周面との間に設けられている。弾性体42の各端面42A,42Bは、例えば、弾性体42の周方向と交差する方向(例えば、弾性体42の厚み方向)に延びるように形成されている。
【0063】
弾性体42は、例えば、分割体32よりも周方向に沿う長さが長く設定されている。弾性体42の周方向の両端部は、例えば、分割体32の周方向の両端部からそれぞれ露出されている。すなわち、弾性体42の各端面42A,42Bは、分割体32の各端面32A,32Bよりも、周方向において分割体31側に向かって突出した位置に形成されている。
【0064】
図3に示すように、弾性体42は、例えば、分割体32よりも軸線方向に沿う長さが長く設定されている。弾性体42の軸線方向の両端部は、例えば、分割体32の軸線方向の両端部からそれぞれ露出されている。例えば、弾性体42の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面は、分割体32の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面よりも、軸線方向において屈曲部26側に向かって突出した位置に形成されている。
【0065】
(弾性体41,42の構成)
図2に示すように、弾性体41と弾性体42とは、例えば、端面41A,42A同士を向かい合わせた状態、かつ端面41A,42Aが周方向において互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。また、弾性体41と弾性体42とは、端面41B,42B同士を向かい合わせた状態、かつ端面41B,42Bが周方向において互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。すなわち、本実施形態の弾性体41,42は、周方向の両端部において、端面41A,42A同士及び端面41B,42B同士が互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。
【0066】
弾性体41の端面41Aと弾性体42の端面42Aとは、周方向に所定の間隔L3を空けて設けられている。例えば、端面41Aと端面42Aとは、それら端面41A,42A同士が接触しない間隔L3を空けて設けられている。弾性体41の端面41Bと弾性体42の端面42Bとは、周方向に所定の間隔L4を空けて設けられている。例えば、端面41Bと端面42Bとは、それら端面41B,42B同士が接触しない間隔L4を空けて設けられている。間隔L3,L4は、例えば、車両V(
図1参照)の使用環境において想定される最大温度(例えば、80℃程度)において、電線20及び外装部材30等が熱膨張した場合であっても、端面41A,42A同士及び端面41B,42B同士が接触しない長さに設定されている。ここで、間隔L3は、例えば、間隔L4と同じ長さであってもよいし、間隔L4と異なる長さであってもよい。また、本実施形態では、間隔L3が間隔L1よりも短く設定されており、間隔L4が間隔L2よりも短く設定されている。
【0067】
端面41Aと端面42Aとの間の隙間、及び端面41Bと端面42Bとの間の隙間においては、電線20の外周面が外装部材30及び弾性体41,42によって被覆されていない。このため、端面41A,42A間の隙間及び端面41B,42B間の隙間では、電線20の外周面が、外装部材30及び弾性体41,42から露出されている。
【0068】
別の見方をすると、弾性体41の周方向の長さと弾性体42の周方向の長さとを合わせた長さは、電線20(ここでは、絶縁被覆22)の外周面の周方向の長さよりも短く設定されている。
【0069】
(固定部材50の構成)
ワイヤハーネス10は、外装部材30を電線20の外周に固定する固定部材50を有している。固定部材50は、外装部材30の分割体31,32を径方向外側から電線20の外周面に向かって締め付けた状態で、電線20に対して外装部材30を固定するように設けられている。固定部材50は、例えば、電線20の外周面と分割体31,32の内周面との間に弾性体41,42を挟んだ状態で、分割体31,32及び弾性体41,42を電線20の外周に固定するように設けられている。
【0070】
固定部材50は、例えば、合成樹脂からなる結束バンドである。固定部材50は、帯状部51と、帯状部51の基端部に帯状部51と一体に形成されたロック部52とを有している。ロック部52は、帯状部51が挿入可能な挿入口53を有している。挿入口53の内面には、係止爪(図示略)が設けられている。帯状部51の先端部の外周面には、帯状部51の幅方向に沿って延びる複数の係止溝が帯状部51の長さ方向において所定の間隔を空けて形成されている。固定部材50では、帯状部51に形成された複数の係止溝のうちの1つの係止溝にロック部52の係止爪を係合させることで、ロック部52に対して帯状部51をロックする。固定部材50では、ロック部52に対する帯状部51の挿入度合に応じて、帯状部51による外装部材30の締め付け度合を調整することができる。
【0071】
固定部材50の帯状部51は、その先端部がロック部52の挿入口53に挿入された状態で、電線20の周方向全周にわたって分割体31,32の外側に巻き付けられている。帯状部51は、例えば、分割体31,32の外周面に接触するように巻き付けられている。固定部材50は、例えば、帯状部51とロック部52とにより、外装部材30を縮径するように、具体的には、分割体31,32によって囲まれる空間を小さくするように結束する。
【0072】
固定部材50は、例えば、弾性体41の内周面が電線20の外周面に密着し、分割体31の内周面が弾性体41の外周面に密着するまで分割体31を外側から締め付けるように形成されている。また、固定部材50は、例えば、弾性体42の内周面が電線20の外周面に密着し、分割体32の内周面が弾性体42の外周面に接触するまで分割体32を外側から締め付けるように形成されている。この締め付け状態において、分割体31,32は、その端面31A,32A同士及び端面31B,32B同士が互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、電線20の外周に固定されている。また、締め付け状態において、弾性体41,42はそれぞれ、厚み方向に圧縮変形された状態で電線20と分割体31,32との間に介在されている。ここで、弾性体41,42は、例えば、電線20の収縮量及び膨張量を吸収することが可能な弾性を有している。例えば、電線20の収縮時には、圧縮状態の弾性体41,42が電線20の収縮に追従して変形され、その弾性体41,42が電線20の外周面に弾性接触される。これにより、電線20の収縮時において、弾性体41,42の内周面と電線20の外周面との密着状態を維持することができる。このとき、固定部材50による締め付け力によって、分割体31,32の内周面と弾性体41,42の外周面との密着状態を維持することができる。これにより、電線20が収縮した場合であっても、電線20と弾性体41,42と分割体31,32との間の密着状態を維持できる。一方、電線20の膨張時には、弾性体41,42の弾性力に抗して電線20が膨張され、その電線20の膨張に追従して弾性体41,42が圧縮変形され、その弾性体41,42が電線20の外周面に弾性接触される。これにより、電線20が膨張した場合であっても、電線20と弾性体41,42と分割体31,32との間の密着状態を維持できる。
【0073】
図3に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10では、直線部25に設けられた外装部材30の軸線方向において所定の間隔を空けて複数(ここでは、2つ)の固定部材50が設けられている。なお、直線部27に設けられた外装部材30においても同様に、固定部材50によって、外装部材30及び弾性体41,42が電線20の外周に固定されている。
【0074】
(作用効果)
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)固定部材50は、外装部材30を構成する分割体31,32の少なくとも一方の周方向の端面31A,32A同士が、互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、外装部材30を電線20の外周に固定している。
【0075】
この構成によれば、分割体31と分割体32との間に隙間が形成され、その隙間において電線20の外周面の一部が外装部材30から露出される。これにより、電線20で発生した熱を、分割体31と分割体32との間の隙間から外装部材30の外部に放出することができる。このため、電線20の外周が周方向全周にわたって外装部材により包囲される場合に比べて、電線20で発生した熱が外装部材30の内部に籠もることを抑制でき、電線20で発生した熱を上記隙間から外装部材30の外側の大気中に効率良く放出することができる。これにより、電線20で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。
【0076】
(2)外装部材30を複数の分割体31,32により構成したため、それら各分割体31,32を電線20の外周に沿った形状に形成しやすい。また、複数の分割体31,32によって電線20を挟み込むようにし、その状態を固定部材50によって固定した。これらにより、横断面形状が閉環状の外装部材の内周面に電線20を接触させる場合に比べて、電線20と各分割体31,32との密着性を向上させることができる。さらに、ワイヤハーネス10に振動や揺動が発生した場合であっても、複数の分割体31,32によって電線20が挟み込まれた状態を固定部材50による固定によって維持できるため、電線20と各分割体31,32との密着性が低下することを抑制できる。これにより、ワイヤハーネス10の放熱性が低下することを抑制できる。
【0077】
(3)分割体31と分割体32との間に隙間を設けたことにより、各分割体31,32が周方向に変形及び移動することができる。このため、電線20が膨張・収縮した際に、電線20の変形に合わせて各分割体31,32を変形及び移動させることができる。これにより、電線20が膨張・収縮した場合であっても、電線20と各分割体31,32との密着性が低下することを抑制できる。これにより、ワイヤハーネス10の放熱性が低下することを抑制できる。
【0078】
(4)分割体31の内周面と電線20の外周面との間に設けられた弾性体41を有する。弾性体41は、電線20の外周面に密着するとともに、分割体31の内周面に密着している。弾性体41は、分割体31よりも弾性率の低い材料であって、空気層よりも熱伝導率の高い材料からなる。
【0079】
この構成によれば、分割体31と電線20との間に、分割体31よりも弾性率の低い材料からなる弾性体41が設けられる。この弾性体41の弾性変形によって、電線20の膨張・収縮を吸収することができる。このため、分割体31を電線20の外周面に直接接触させる場合に比べて、電線20が膨張・収縮した場合に、弾性体41を介した分割体31と電線20との密着状態を維持することができる。これにより、電線20の外周面と分割体31の内周面との間に断熱層である空気層が介在することを抑制できる。この結果、電線20の外周面と分割体31の内周面との間の熱抵抗を低くできる。このため、電線20で発生した熱が、外装部材30の内部に籠もることが抑制され、電線20で発生した熱を分割体31の外周面から効率良く大気中に放出することができる。これにより、電線20で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。
【0080】
(4)また、分割体31と電線20との間に、分割体31よりも弾性率の低い材料からなる弾性体41が介在する。このため、分割体31が電線20の外周面に直接押し付けられる場合に比べて、電線20の絶縁被覆22が損傷することを抑制できる。
【0081】
(5)電線20は、芯線21と、芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有する。弾性体41は、絶縁被覆22よりも熱伝導率の高い材料からなる。この構成によれば、絶縁被覆22の外周面と分割体31の内周面との間の熱抵抗をより低くできる。これにより、電線20で発生した熱を、弾性体41を通じて分割体31に効率良く熱伝導することができる。このため、電線20で発生した熱を分割体31の外周面から効率良く大気中に放出することができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。
【0082】
(6)分割体31は、金属材料からなる。弾性体41の周方向の長さは、分割体31の周方向の長さよりも長く形成されている。弾性体41の周方向の両端部は、分割体31の周方向の両端部からそれぞれ露出されている。この構成によれば、金属材料からなる分割体31の周方向における両端縁のエッジが弾性体41に接触することになるため、上記エッジによって電線20の外周面が損傷することを抑制できる。
【0083】
(7)分割体31が金属材料からなる場合には、電線20からの輻射熱が分割体31の内周面(つまり、金属表面)で反射され、外装部材30の内部に熱が籠もりやすくなる。このため、分割体31が金属材料からなる場合には、上述した(1)の効果が顕著に現れる。
【0084】
(8)弾性体41の軸線方向の長さは、分割体31の軸線方向の長さよりも長く形成されている。弾性体41の軸線方向の両端部は、分割体31の軸線方向の両端部からそれぞれ露出されている。この構成によれば、分割体31の軸線方向の両端縁のエッジが弾性体41に接触することになるため、上記エッジによって電線20の外周面が損傷することを抑制できる。
【0085】
(9)電線20は、直線部25と、直線部25の一端部に設けられた屈曲部26とを有している。分割体31は、直線部25のうち屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分に設けられている。分割体32は、直線部25のうち屈曲部26の曲げ外側26Bに近い部分に設けられている。分割体31の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面は、分割体32の軸線方向の端面のうち屈曲部26側の端面よりも、屈曲部26から離れた位置に設けられている。
【0086】
この構成によれば、屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分に設けられた分割体31の端面が曲げ内側26Aから離れた位置に設けられる。このため、例えばワイヤハーネス10に振動や揺動が生じた場合に、電線20の屈曲部26(特に、曲げ内側26A)が分割体31の軸線方向の端面に接触することを抑制できる。これにより、電線20の外周面が損傷することを好適に抑制できる。
【0087】
(10)さらに、屈曲部26の曲げ内側26Aに近い部分に設けられた分割体31の端面が曲げ内側26Aから離れた位置に設けられるため、電線20の曲げ加工性を向上させることができる。
【0088】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0089】
・上記実施形態では、固定部材50を合成樹脂製の結束バンドに具体化したが、これに限定されない。固定部材50としては、例えば、金属製のバンドや粘着テープを用いることもできる。また、固定部材50としては、車両Vの車体等に固定するための固定部を有する固定部材を用いることもできる。
【0090】
例えば
図4に示すように、
図2に示した固定部材50の代わりに、固定部材50Aを用いてもよい。固定部材50Aは、少なくとも電線20及び分割体31,32を保持する保持部60と、被固定部である車体パネル80に固定される固定部70とを有している。
【0091】
保持部60は、全体として、外装部材30を収容可能な大きさの筒状(ここでは、円筒状)をなしている。保持部60は、互いに係止可能とされたロック部61と被ロック部62との係止を解除することにより、保持部60を開いた状態にすることができる。保持部60を開くことにより、保持部60の内側に電線20及び外装部材30等を嵌合することができる。また、固定部材50Aでは、保持部60を閉じることにより、保持部60の内側に電線20及び外装部材30等を保持することができる。固定部材50Aでは、ロック部61と被ロック部62とが係止することにより、保持部60が閉じた状態でロックされる。このように保持部60がロックされた状態では、保持部60が外装部材30に対して所定の締め付け力を作用させることができる。例えば、保持部60のロック状態では、弾性体41の内周面が電線20の外周面に密着し、分割体31の内周面が弾性体41の外周面に密着するまで分割体31を外側から締め付けるようになっている。保持部60のロック状態において、分割体31,32は、その端面31A,32A同士及び端面31B,32B同士が互いに向かい合って、かつ互いに離れた状態で、電線20の外周に固定されている。また、保持部60のロック状態において、弾性体41,42はそれぞれ、厚み方向に圧縮変形された状態で電線20と分割体31,32との間に介在されている。
【0092】
固定部70は、例えば、保持部60の外周面の一部に形成されている。固定部70は、例えば、保持部60の外周面のうちロック部61及び被ロック部62と周方向に離れた位置に設けられている。
【0093】
固定部70は、土台部71と、支軸72と、支軸72の先端に形成された係止部73とを有している。土台部71は、例えば、保持部60と一体に形成されている。支軸72は、例えば、土台部71と一体に形成されている。係止部73は、例えば、支軸72と一体に形成されている。本変更例の固定部材50Aでは、保持部60と土台部71と支軸72と係止部73とが連続して一体に形成された単一部品になっている。保持部60及び固定部70の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。保持部60及び固定部70の材料としては、例えば、鉄系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0094】
土台部71は、例えば、円板状に形成されている。土台部71の保持部60とは反対側に向く面(ここでは、下面)の中央部には、支軸72が形成されている。支軸72は、その基端部が土台部71の下面に接続されている。支軸72は、土台部71の下面から保持部60から離れる方向に延びるように形成されている。支軸72は、例えば、円柱状に形成されている。支軸72の先端部には、係止部73が形成されている。係止部73は、支軸72の先端から側方に突出するように形成されている。係止部73は、例えば、支軸72の先端の周方向全周から側方に突出するように形成されている。係止部73は、例えば、円錐状に形成されている。係止部73は、車体パネル80に形成された取付孔80Xに挿入及び係止可能に形成されている。具体的には、係止部73は、取付孔80Xに挿入可能に、かつ取付孔80Xに挿入後に取付孔80Xの周縁の車体パネル80に係止可能なように弾性変形可能に形成されている。なお、取付孔80Xは、例えば、平面視円形状に形成されている。
【0095】
係止部73は、支軸72の延出方向と直交する方向に最も広がった部分の幅、ここでは円錐の底面74の直径が取付孔80Xの開口径よりも大きく設定されている。係止部73は、底面74の直径が取付孔80Xの開口径以下となるように弾性変形可能に形成されている。
【0096】
係止部73を取付孔80Xに挿入させていくと、円錐の底面74の直径が小さくなるように係止部73が弾性変形しつつ取付孔80X内を進んでいく。そして、係止部73が取付孔80Xを通り抜けると、係止部73が元の形状に戻るように弾性復帰し、係止部73の底面74が取付孔80Xの周縁に係止される。これにより、固定部材50Aが車体パネル80に固定され、固定部材50Aに保持された外装部材30及び電線20等が車体パネル80に固定される。このとき、例えば土台部71の下面が車体パネル80に接触されている。
【0097】
この構成によれば、電線20で発生した熱を、外装部材30及び固定部材50A等を通じて、表面積の広い車体パネル80に効率良く熱伝達することができる。これにより、電線20で発生した熱を効率良く放熱させることができ、ワイヤハーネス10の放熱性を向上させることができる。
【0098】
・
図4に示した変更例では、被固定部として車体パネル80に具体化したが、これに限定されない。例えば、被固定部として、車体パネルに取り付けられたブラケットに具体化してもよい。例えば、被固定部として、車両Vに搭載された電気機器が有する筐体の外側面に具体化してもよい。
【0099】
・上記実施形態における固定部材50を、電線20の膨張量及び収縮量を吸収することが可能な弾性を有するように形成してもよい。この場合には、弾性体41,42を省略することができる。
【0100】
・上記実施形態では、分割体31の軸線方向の長さと、分割体32の軸線方向の長さとを互いに異なる長さに設定したが、これに限定されない。例えば、分割体31の軸線方向の長さと、分割体32の軸線方向の長さとを同じ長さに設定してもよい。この場合に、分割体31と分割体32とを、電線20の軸線方向において互いにずらした状態で電線20に固定するようにしてもよい。
【0101】
・上記実施形態では、弾性体41の軸線方向の両端部を、分割体31の軸線方向の両端部からそれぞれ露出するようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体41の軸線方向の一方の端部のみを分割体31から露出させるようにしてもよい。また、弾性体41の軸線方向の両端部が分割体31から露出されないようにしてもよい。
【0102】
・上記実施形態では、弾性体41の周方向の両端部を、分割体31の周方向の両端部からそれぞれ露出するようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体41の周方向の一方の端部のみを分割体31から露出させるようにしてもよい。また、弾性体41の周方向の両端部が分割体31から露出されないようにしてもよい。
【0103】
・上記実施形態では、弾性体41の内周面全面を電線20の外周面に密着させるようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体41の内周面の一部が電線20の外周面に密着していなくてもよい。
【0104】
・上記実施形態では、分割体31の内周面全面に弾性体41の外周面を密着させるようにしたが、これに限定されない。例えば、分割体31の内周面の一部が弾性体41の外周面に密着していなくてもよい。
【0105】
・上記実施形態における弾性体41を省略してもよい。この場合には、例えば、分割体31の内周面が電線20の外周面に直接接触される。
・上記実施形態では、弾性体42の軸線方向の両端部を、分割体32の軸線方向の両端部からそれぞれ露出するようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体42の軸線方向の一方の端部のみを分割体32から露出させるようにしてもよい。また、弾性体42の軸線方向の両端部が分割体32から露出されないようにしてもよい。
【0106】
・上記実施形態では、弾性体42の周方向の両端部を、分割体32の周方向の両端部からそれぞれ露出するようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体42の周方向の一方の端部のみを分割体32から露出させるようにしてもよい。また、弾性体42の周方向の両端部が分割体32から露出されないようにしてもよい。
【0107】
・上記実施形態では、弾性体42の内周面全面を電線20の外周面に密着させるようにしたが、これに限定されない。例えば、弾性体42の内周面の一部が電線20の外周面に密着していなくてもよい。
【0108】
・上記実施形態では、分割体32の内周面全面に弾性体42の外周面を密着させるようにしたが、これに限定されない。例えば、分割体32の内周面の一部が弾性体42の外周面に密着していなくてもよい。
【0109】
・上記実施形態における弾性体42を省略してもよい。この場合には、例えば、分割体32の内周面が電線20の外周面に直接接触される。
・上記実施形態では、分割体31,32と電線20との間に弾性体41,42を設けるようにしたが、これに限定されない。
【0110】
例えば
図5に示すように、分割体31の外周面に弾性体41を設けるようにしてもよい。この場合には、固定部材50によって、弾性体41の内周面が分割体31の外周面に密着するように、弾性体41が外側から締め付けられる。この締め付け力により、弾性体41は、分割体31を電線20に向かって押圧するように形成されている。これにより、電線20の外周面と分割体31の内周面との密着度合いを高めることができる。また、弾性体41の弾性変形によって、電線20の膨張量及び収縮量を吸収することができる。
【0111】
・
図5に示した変更例において、分割体32の外周面に弾性体42をさらに設けるようにしてもよい。また、分割体31,32と電線20との間にも弾性体41,42を設けるようにしてもよい。
【0112】
・
図5に示した変更例において、弾性体41を、例えば、コイルばねや板ばねに具体化してもよい。
・上記実施形態では、分割体31,32を、周方向の両端部において、端面31A,32A同士及び端面31B,32B同士が互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けるようにしたが、これに限定されない。
【0113】
例えば
図6に示すように、分割体31,32の周方向の一端部において、端面31B,32B同士を接触させた状態で、分割体31,32を電線20の外周に取り付けるようにしてもよい。この場合であっても、分割体31,32は、端面31A,32A同士が互いに向かい合って、且つ互いに離れた状態で、電線20の外周に取り付けられている。なお、本変更例では、弾性体41,42の端面41B,42B同士も接触している。
【0114】
・上記実施形態では、2つの分割体31,32によって外装部材30を構成するようにしたが、外装部材30を構成する分割体の数は特に限定されない。例えば、3つ以上の分割体によって外装部材30を構成するようにしてもよい。
【0115】
・上記実施形態における外装部材30の内部に電磁シールド部材を設けるようにしてもよい。電磁シールド部材は、例えば、分割体31,32の内周面と電線20の外周面との間に設けられる。電磁シールド部材としては、例えば、可撓性を有する編組線や金属箔を用いることができる。
【0116】
・上記実施形態における外装部材30の外側に電磁シールド部材を設けるようにしてもよい。複数の電線20が並んで配索される場合には、それら複数の電線20を一括して包囲するように電磁シールド部材を設けてもよい。
【0117】
・上記実施形態では、電磁シールド機能を有するワイヤハーネス10に具体化したが、電磁シールド機能を有さないワイヤハーネスに具体化してもよい。
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10が有する電線20の本数は、特に限定されるものではなく、車両Vの仕様に応じて電線20の本数は変更することができる。例えば、ワイヤハーネス10が有する電線として、低圧バッテリと各種低電圧機器(例えば、ランプ、カーオーディオ等)とを接続する低圧電線を追加した構成としてもよい。
【0118】
・車両Vにおけるインバータ11と高圧バッテリ12の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、電線20によって接続される電気機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
【0119】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
C1 コネクタ
L1~L4 間隔
V 車両
10 ワイヤハーネス
11 インバータ
12 高圧バッテリ
20 電線
21 芯線
22 絶縁被覆
25 直線部
26 屈曲部
26A 曲げ内側
26B 曲げ外側
27 直線部
30 外装部材
31 分割体(第1分割体)
31A 端面
31B 端面
31X 開口部
32 分割体(第2分割体)
32A 端面
32B 端面
32X 開口部
41 弾性体(第1弾性体)
41A 端面
41B 端面
42 弾性体(第2弾性体)
42A 端面
42B 端面
50,50A 固定部材
51 帯状部
52 ロック部
53 挿入口
60 保持部
61 ロック部
62 被ロック部
70 固定部
71 土台部
72 支軸
73 係止部
74 底面
80 車体パネル
80X 取付孔