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特許7140156電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラム
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  • 特許-電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G06F15/02 360Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020054096
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021157233
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佐武郎
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174191(JP,A)
【文献】特開2007-189375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0237565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部と、
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部と、
ユーザがコードを入力するための入力部と、
前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部と、
を具備する電子機器。
【請求項2】
前記第1の生成部は、時間的に変動するデータに基づいて前記解除コード生成コードを生成する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記時間的に変動するデータは、前記電子機器の内部カウンタの値、前記電子機器に備えられた時計モジュールによって計時された時刻、又は前記電子機器のセットアップの状態を示す数値を含む請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の生成部は、前記解除コード生成コードの生成後の所定時間の経過後に前記解除コード生成コードを消去する請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記解除コード生成コードは、URLを示す2次元コードである請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
電子機器であって、
前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部と、
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部と、
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部と、
ユーザがコードを入力するための入力部と、
前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部と、
を具備する電子機器と、
前記出力部により出力された前記解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第3の生成部と、
前記第3の生成部により生成された解除コードを表示する表示部と、
を具備する端末と、
を有する電子機器システム。
【請求項7】
電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成ステップと、
前記第1の生成ステップにより生成された解除コード生成コードを出力する出力ステップと、
前記第1の生成ステップにより生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成ステップと、
ユーザがコードを入力するための入力ステップと、
前記出力ステップによる解除コード生成コードの出力後に前記入力ステップでユーザから入力されたコードと、前記第2の生成ステップにより生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記出力ステップによる解除コード生成コードの出力後に前記入力ステップでユーザから入力されたコードと、前記第2の生成ステップにより生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除ステップと、
を具備する電子機器の機能制限解除方法。
【請求項8】
コンピュータを、
電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部、
前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部、
ユーザがコードを入力するための入力部
前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部
前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部
として機能させるための電子機器の機能制限解除プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
計算機能を備えた卓上計算機、いわゆる電卓等の電子機器の中には、機能制限モードを有しているものがある。機能制限モードでは、電卓等の電子機器における少なくとも一部の機能を使用することができなくなる。このような機能制限モードにより、例えば試験における電子機器の不正使用が防止される。また、機能制限モードを有する電子機器は、機能制限モードを解除する機能も有している。例えば、スマートフォン等の端末との通信によって機能制限モードを解除する電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-189375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では電子機器を機能制限モードにするためのロックコードと機能制限モードを解除するための解除コードとが同時に生成される。このため、機能制限モードにした時点で解除コードが知られてしまうと、本来は機能制限をしたいタイミングであっても機能制限モードが解除され得る。
【0005】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、必要なタイミングまで機能制限モードを解除することが困難な電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の電子機器は、電子機器であって、前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部と、前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部と、前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部と、ユーザがコードを入力するための入力部と、前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部と、を具備する。
【0007】
本発明の第2の態様の電子機器システムは、電子機器であって、前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部と、前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部と、前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部と、ユーザがコードを入力するための入力部と、前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部と、を具備する電子機器と、前記出力部により出力された前記解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第3の生成部と、前記第3の生成部により生成された解除コードを表示する表示部と、を具備する端末と、を有する。
【0008】
本発明の第3の態様の機能制限モード解除方法は、電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成ステップと、前記第1の生成ステップにより生成された解除コード生成コードを出力する出力ステップと、前記第1の生成ステップにより生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成ステップと、ユーザがコードを入力するための入力ステップと、前記出力ステップによる解除コード生成コードの出力後に前記入力ステップでユーザから入力されたコードと、前記第2の生成ステップにより生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記出力ステップによる解除コード生成コードの出力後に前記入力ステップでユーザから入力されたコードと、前記第2の生成ステップにより生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除ステップと、を具備する。
【0009】
本発明の第4の態様の機能制限モード解除プログラムは、コンピュータを、電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コードを生成可能な解除コード生成コードを生成する第1の生成部前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードを出力する出力部、前記第1の生成部により生成された解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部、ユーザがコードを入力するための入力部前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致するか否かを判定する判定部前記判定部により前記出力部による解除コード生成コードの出力後に前記入力部を介してユーザから入力されたコードと、前記第2の生成部により生成された解除コードと、が一致すると判定された場合に、前記機能制限モードを解除する解除部として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、必要なタイミングまで機能制限モードを解除することが困難な機能制限モードを解除できる電子機器、電子機器システム、電子機器の機能制限解除方法及び電子機器の機能制限解除プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、電子機器の動作を示すフローチャートである。
図3図3は、端末の動作を示すフローチャートである。
図4A図4Aは、電子機器システムの動作の具体例を説明するための図である。
図4B図4Bは、電子機器システムの動作の具体例を説明するための図である。
図4C図4Cは、電子機器システムの動作の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器システム1の構成の一例を示す図である。電子機器システム1は、電子機器10と、端末20とを有している。電子機器10は、端末20との通信機能を備えていなくてよい。
【0013】
電子機器10は、例えば卓上計算機(電卓)である。電子機器10は、四則演算等の計算機能に加えて、関数計算機能を有していてもよい。さらに、電子機器10は、時計表示機能等のガジェット機能を有していてもよい。電子機器10は、プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、入力キー14と、ディスプレイ15と、時計モジュール16とを有している。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、入力キー14と、ディスプレイ15と、時計モジュール16とは、バス17を介して接続されている。なお、電子機器10は、電卓に限らず、機能制限モードを要する各種の電子機器であってよい。機能制限モードは、電子機器10の少なくとも一部の機能を制限するモードである。
【0014】
プロセッサ11は、電子機器10の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ11は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ11は、解除コード生成コードを生成する生成部として動作する。また、プロセッサ11は、解除コード生成コードの生成後に入力された解除コードが解除コード生成コードに基づいて生成されているか否かを判定する判定部として動作する。また、プロセッサ11は、入力された解除コードが解除コード生成コードに基づいて生成されているときに、機能制限モードを解除する解除部として動作する。
【0015】
RAM12は、揮発性のメモリである。RAM12は、プロセッサ11における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。
【0016】
ROM13は、不揮発性のメモリである。ROM13には、各種計算機能を実行するための電卓制御プログラム、時計表示プログラム等の各種プログラムが記憶されている。実施形態における電卓制御プログラムは、機能制限解除プログラムを含む。機能制限解除プログラムは、機能制限モードを解除するための制御プログラムである。
【0017】
入力キー14は、ユーザが電子機器10を操作するための各種のキーである。電子機器10が電卓であるとき、入力キー14は、数字入力キー、演算子入力キー、イコールキーといった計算機能に係る入力に必要なキーを含む。この他、入力キー14は、時計キー等の各種のガジェット機能を利用するためのモードキーを含んでいてもよい。入力キー14を用いた入力操作が受け付けられたとき、その入力操作に応じた入力信号がプロセッサ11に伝達される。
【0018】
ディスプレイ15は、例えば液晶ディスプレイである。ディスプレイ15は、電卓機能に係る各種の表示をする。また、ディスプレイ15は、時刻の表示等の各種のガジェット機能に応じた表示をする。
【0019】
時計モジュール16は、現在の年、月、日、時、分、秒を計時する計時回路を含む。時計モジュール16は、年、月、日、時、分、秒を示す計時信号をCPU10に出力する。
【0020】
端末20は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)といった端末である。端末20は、プロセッサ21と、RAM22と、ROM23と、ストレージ24と、入力インターフェイス25と、ディスプレイ26と、カメラ27と、通信インターフェイス28とを有している。プロセッサ21と、RAM22と、ROM23と、ストレージ24と、入力インターフェイス25と、ディスプレイ26と、カメラ27と、通信インターフェイス28とは、バス29を介して接続されている。
【0021】
プロセッサ21は、端末20の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ21は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ21は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ21は、解除コード生成コードに基づいて解除コードを生成する生成部として動作する。
【0022】
RAM22は、揮発性のメモリである。RAM22は、プロセッサ21における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。
【0023】
ROM23は、不揮発性のメモリである。ROM23には、端末20の起動プログラム等が記憶されている。
【0024】
ストレージ24は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブといった記憶装置である。ストレージ24には、端末20の制御プログラム等の各種プログラム、パラメータ等が記憶されている。また、ストレージ24には、電子機器10の機能制限解除プログラムと連携する機能制限解除プログラムが記憶されている。機能制限解除プログラムは、端末20のアプリケーションソフトウェアとして記憶されていてよい。
【0025】
入力インターフェイス25は、ユーザが端末20を操作するための各種のインターフェイスである。入力インターフェイス25は、タッチパネル、キーボード、マウス等を含む。
【0026】
ディスプレイ26は、例えば液晶ディスプレイである。ディスプレイ26は、端末20に係る各種の画面を表示する。
【0027】
カメラ27は、レンズと、イメージセンサとを備えている。カメラ27は、対象物を撮像し、対象物に係る画像を取得する。
【0028】
通信インターフェイス28は、端末20がネットワークを介して外部のサーバ等と通信するためのインターフェイスである。通信インターフェイス28は、無線による通信をサポートするように構成されていてもよいし、有線による通信をサポートするように構成されていてもよい。
【0029】
以下、電子機器システム1の動作を説明する。図2は、電子機器10の動作を示すフローチャートである。ここで、図2の動作は、電子機器10が機能制限モードに設定された後の動作である。機能制限モードは、例えばユーザによって特定のキー操作がされたときに設定される。機能制限モードでないときの電子機器10の動作は、特に限定されない。例えば、電子機器10は、ユーザのキー操作に従って計算結果をディスプレイ15に表示させたり、時計等のガジェット機能を動作させたりする。
【0030】
ステップS1において、プロセッサ11は、機能制限モードの解除指示がされたか否かを判定する。機能制限モードの解除指示は、例えばユーザによる特定のキー操作である。ステップS1において、機能制限モードの解除指示がされるまで、プロセッサ11は、処理を待機する。ステップS1において、機能制限モードの解除指示がされたときには、処理はステップS2に移行する。
【0031】
ステップS2において、プロセッサ11は、解除コード生成コードを生成する。解除コード生成コードは、端末20において機能制限モードの解除コードを生成するための情報を含むユニークなコードである。解除コード生成コードは、時間的に変動するデータを第1のアルゴリズムで変換することによって生成される。時間的に変化するデータは、プロセッサ11の内部カウンタの値、時計モジュール16によって計時されている現在の時刻、RAM22に記憶されている電子機器10のセットアップの状態を示す数値データ、RAM22の特定のアドレスに記憶されている数値データ等の電子機器10の内部パラメータを含む。また、時間的に変化するデータは、電子機器10の運動状態等のデータを含む。また、時間的に変化するデータは、電子機器10とは別の機器から取得されてもよい。さらに、解除コード生成コードの生成に電子機器10のシリアルナンバ等が組み合わせて用いられてもよい。第1のアルゴリズムは、例えば電子機器10の内部パラメータからユニークなURL文字列を含む2次元コードを生成するアルゴリズムである。このURLは、例えば解除コードを生成するためのユニークなパラメータをサーバ上で特定する文字列を含む。第1のアルゴリズムとしては、例えばハッシュ関数を用いる変換が挙げられる。第1のアルゴリズムは、電子機器10の内部パラメータ等に基づいて生成されるユニークなデータであって、端末20において認識できるデータを生成できるアルゴリズムであれば特に限定されない。
【0032】
ステップS3において、プロセッサ11は、生成した解除コード生成コードをディスプレイ15に表示させる。後で説明するが、ディスプレイ15に表示された解除コード生成コードは、端末20によって読み取られる。そして、端末20により解除コードが生成される。これにより、ユーザは解除コードを得ることができる。この後、ユーザは、電子機器10を操作して解除コードを入力する。
【0033】
ステップS4において、プロセッサ11は、解除コードが入力されたか否かを判定する。解除コードの入力は、例えば数字入力キーの操作の有無によって判定される。ステップS4において、解除コードが入力されていないときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、解除コードが入力されたときには、処理はステップS6に移行する。
【0034】
ステップS5において、プロセッサ11は、解除コード生成コードの表示から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、例えば1分、5分といった適宜に決められた時間である。ステップS5において、解除コード生成コードの表示から所定時間が経過していないと判定されたときには、処理はステップS4に戻る。この場合、解除コードの待ち受けが継続される。ステップS5において、解除コード生成コードの表示から所定時間が経過したと判定されたときには、処理はステップS10に移行する。
【0035】
ステップS6において、プロセッサ11は、解除コード生成コードから解除コードを生成する。解除コードは、解除コード生成コードを第2のアルゴリズムで変換することによって生成される数字列である。第2のアルゴリズムは、解除コード生成コードによって特定されるユニークなパラメータから解除コードを生成するアルゴリズムである。第2のアルゴリズムは、特に限定されない。また、解除コードは数字列としているが、電子機器10が数字以外の文字列を入力できるように構成されているときには、解除コードは数字列以外であってもよい。
【0036】
ステップS7において、プロセッサ11は、入力された解除コードと生成した解除コードとが一致しているか否かを判定する。つまり、プロセッサ11は、入力された解除コードと生成した解除コードとが一致しているか否かを判定することにより、入力された解除コードが第2のアルゴリズムに従って生成されたものであるか否かを判定する。ステップS7において、入力された解除コードと生成した解除コードとが一致しているとき、処理はステップS8に移行する。ステップS7において、入力された解除コードと生成した解除コードとが一致していないとき、処理はステップS9に移行する。
【0037】
ステップS8において、プロセッサ11は、機能制限モードを解除する。その後、プロセッサ11は、図2の処理を終了させる。これ以後、電子機器10は、自由に操作され得る。
【0038】
ステップS9において、プロセッサ11は、ディスプレイ15を用いてエラー表示をする。エラー表示は、例えば入力された解除コードが誤りであった旨をユーザに通知する表示である。
【0039】
ステップS5において解除コードが入力されないまま所定時間が経過した場合又はステップS7において解除コードが一致しなかったと判定されたときのステップS10において、プロセッサ11は、解除コード生成コードを消去する。その後、処理はステップS1に戻る。この場合、ユーザは、機能制限モードの解除の操作を最初からやり直すことになる。なお、図2の例では、1回の解除コードの入力誤りで解除コード生成コードが消去されるとしているが、複数回の解除コードの入力誤りで解除コード生成コードが消去されてもよいし、解除コードの入力誤りでは解除コード生成コードが消去されなくてもよい。
【0040】
図3は、端末20の動作を示すフローチャートである。ステップS101において、プロセッサ21は、機能制限解除アプリケーションが起動されたか否かを判定する。例えば、ユーザによって機能制限解除アプリケーションのアイコンが選択されたときに、機能制限解除アプリケーションが起動されたと判定する。ステップS101において、機能制限解除アプリケーションが起動されていないときには、端末20は、処理を終了させる。この場合、端末20は、機能制限解除アプリケーション以外のその他の処理を実行し得る。ステップS101において、機能制限解除アプリケーションが起動されたと判定されたときには、処理はステップS102に移行する。
【0041】
ステップS102において、プロセッサ21は、2次元コードの読み取りを開始する。例えば、プロセッサ21は、2次元コードの読み取り枠をディスプレイ26の例えば中央に表示させつつ、カメラ27を起動する。
【0042】
ステップS103において、プロセッサ21は、2次元コードが読み取られたか否かを判定する。例えば、読み取り枠の部分の画像に2次元コードが写っているときに、2次元コードが読み取られたと判定される。ステップS103において、2次元コードが読み取られたと判定されるまで、プロセッサ21は、処理を待機する。ステップS103において、2次元コードが読み取られたと判定されたとき、処理はステップS104に移行する。
【0043】
ステップS104において、プロセッサ21は、読み取られた2次元コードが解除コード生成コードであったか否かを判定する。ステップS104において、読み取られた2次元コードが解除コード生成コードでないときには、処理はステップS105に移行する。ステップS104において、読み取られた2次元コードが解除コード生成コードであるときには、処理はステップS106に移行する。
【0044】
ステップS105において、プロセッサ21は、ディスプレイ26を用いてエラー表示をする。エラー表示は、例えば読み取られた2次元コードが解除コード生成コードでない旨をユーザに通知する表示である。その後、処理はステップS103に戻る。
【0045】
ステップS106において、プロセッサ21は、解除コード生成コードから解除コードを生成する。例えば、プロセッサ21は、解除コード生成コードによって特定されるURLに基づいてサーバにアクセスして、ユニークなパラメータを取得する。そして、プロセッサ21は、このユニークなパラメータを第2のアルゴリズムで変換することによって解除コードを生成する。第2のアルゴリズムは、電子機器10の解除コードの生成に用いられる第2のアルゴリズムと同一である。ここで、解除コードは、端末20において生成されなくてもよい。例えば、端末20は解除コード生成コードに基づいて取得されるユニークなパラメータを端末20の外部のサーバに送信し、サーバはユニークなパラメータを第2のアルゴリズムで変換することによって解除コードを生成してもよい。
【0046】
ステップS107において、プロセッサ21は、解除コードをディスプレイ26に表示させる。
【0047】
ステップS108において、プロセッサ21は、機能制限解除アプリケーションを終了させるか否かを判定する。例えば、ユーザによって機能制限解除アプリケーションを終了させるための特定の操作がされた場合、所定時間が経過した場合に機能制限解除アプリケーションを終了させると判定される。ステップS108において、機能制限解除アプリケーションを終了させないときには、プロセッサ21は、処理を待機する。ステップS108において、機能制限解除アプリケーションを終了させるときには、プロセッサ21は、図3の処理を終了させる。
【0048】
図4A図4B図4Cは、図2及び図3で説明した電子機器システム1の動作の具体例を説明するための図である。電子機器10に対して機能制限モードの解除指示がされると、電子機器10の内部パラメータを第1のアルゴリズムで変換することによって解除コード生成コードが生成される。そして、図4Aに示すようにして、解除コード生成コードが電子機器10のディスプレイ15に表示される。
【0049】
電子機器10のディスプレイ15に解除コード生成コードが表示されている状態で、端末20による解除コード生成コードの読み取りが行われる。これにより、端末20において解除コード生成コードから得られるユニークなパラメータを第2のアルゴリズムで変換することによって解除コードが生成される。そして、図4Bに示すようにして、解除コードが端末20のディスプレイ26に表示される。解除コードは、例えば12桁の数字列である。
【0050】
ユーザは、端末20のディスプレイ26に表示された解除コードを、電子機器10に入力する。そして、入力された解除コードが正しいとき、電子機器10の機能制限モードが解除される。電子機器10では、解除コード生成コードから端末20と同じ第2のアルゴリズムに従って解除コードが生成されている。すなわち、電子機器10と端末20とは第2のアルゴリズムを共有している。これにより、電子機器10は、入力された解除コードが正しいか否かを端末20と通信することなく判定することができる。
【0051】
このように本実施形態によれば、機能制限モードの設定とは独立して解除コードが生成される。つまり、本実施形態では例えば試験後といった機能制限モードの解除をしてもよいと認められたタイミングにおいて機能制限解除アプリケーションが起動され、解除コードが生成される。これにより、機能制限モードの設定の時点で解除コードが取得されることがない。また、本実施形態によれば、電子機器10が通信機能を有していなくても、端末20とのやり取りを介して電子機器10の機能制限モードが解除され得る。
【0052】
ここで、機能制限モードの解除に際して電子機器10でユーザに提示されるのは、解除コードではなく、解除コード生成コードである。つまり、電子機器10だけでは機能制限モードを解除することはできない。さらに、解除コード生成コードがURLを含む2次元コードであり、解除コードを生成するためのユニークなパラメータを取得するためにこのURLを用いたサーバへのアクセスが必要であれば、端末20をネットワークに接続する必要も生じる。このため、例えば電子機器10である電卓の機能制限モードを試験中に解除することは困難である。また、解除コード生成コードは電子機器10の内部パラメータを用いて生成されるユニークなコードであり、かつ、所定時間の経過後に消去される。解除コード生成コードが消去された後は、解除コードの認証は、新たに生成された解除コード生成コードから生成される解除コードに基づいて行われる。つまり、予め生成しておいた解除コード生成コード及び解除コードを後で使用することはできない。このため、例えば電子機器10である電卓の機能制限モードを試験中に解除することはより困難である。
【0053】
ここで、前述した実施形態では、端末20は、電子機器10のディスプレイ15に表示された解除コード生成コードを読み取ることで解除コード生成コードを取得している。これに対し、電子機器10及び端末20の間での通信が可能であれば、端末20は、電子機器10との通信によって解除コード生成コードを取得してもよい。
【0054】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0055】
また、上述した実施形態による各処理は、コンピュータであるプロセッサ11、21に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサ11、21は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0057】
以下に、本願の発明の実施の形態から抽出され得る発明を付記する。
[1] 電子機器であって、
前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コード生成コードを生成する生成部と、
前記解除コード生成コードに基づいて生成される解除コードを入力するための入力部と、
前記解除コード生成コードの生成後に入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているか否かを判定する判定部と、
入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているときに、前記機能制限モードを解除する解除部と、
を具備する電子機器。
[2] 前記生成部は、時間的に変動するデータに基づいて前記解除コード生成コードを生成する[1]に記載の電子機器。
[3] 前記時間的に変動するデータは、前記電子機器の内部カウンタの値、前記電子機器に備えられた時計モジュールによって計時された時刻、又は前記電子機器のセットアップの状態を示す数値を含む[2]に記載の電子機器。
[4] 前記生成部は、前記解除コード生成コードの生成後の所定時間の経過後に前記解除コード生成コードを消去する[1]-[3]の何れか1に記載の電子機器。
[5] 前記解除コード生成コードは、URLを示す2次元コードである[1]-[4]の何れか1に記載の電子機器。
[6] 電子機器であって、
前記電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コード生成コードを生成する第1の生成部と、
前記解除コード生成コードに基づいて生成される解除コードを入力するための入力部と、
前記解除コード生成コードの生成後に入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているか否かを判定する判定部と、
入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているときに、前記機能制限モードを解除する解除部と、
を具備する電子機器と、
前記解除コード生成コードに基づいて前記解除コードを生成する第2の生成部と、
前記解除コードを表示する表示部と、
を具備する端末と、
を有する電子機器システム。
[7] 電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コード生成コードを生成することと、
前記解除コード生成コードに基づいて端末において解除コードを生成することと、
前記解除コードを前記端末の表示部に表示することと、
前記端末の表示部に表示された前記解除コードを前記電子機器に入力することと、
入力された前記解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているときに、前記機能制限モードを解除することと、
を具備する電子機器の機能制限解除方法。
[8] 電子機器の少なくとも一部の機能を制限する機能制限モードを解除するための解除コード生成コードを生成することと、
前記解除コード生成コードの生成後に入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているか否かを判定することと、
入力された解除コードが前記解除コード生成コードに基づいて生成されているときに、前記機能制限モードを解除することと、
を前記電子機器のコンピュータに実行させるための電子機器の機能制限解除プログラム。
【符号の説明】
【0058】
1 電子機器システム、10 電子機器、11 プロセッサ、12 RAM、13 ROM、14 入力キー、15 ディスプレイ、16 時計モジュール、17 バス、20 端末、21 プロセッサ、22 RAM、23 ROM、24 ストレージ、25 入力インターフェイス、26 ディスプレイ、27 カメラ、28 通信インターフェイス、29 バス。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C