(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】バッテリ冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220913BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220913BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220913BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20220913BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220913BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220913BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220913BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/6551
H01M10/647
H01M10/625
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2020117258
(22)【出願日】2020-07-07
(62)【分割の表示】P 2016156376の分割
【原出願日】2016-08-09
【審査請求日】2020-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敦司
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0295224(US,A1)
【文献】特開2013-054884(JP,A)
【文献】特開2014-232600(JP,A)
【文献】特開2016-091691(JP,A)
【文献】特開2015-011825(JP,A)
【文献】特開2015-011826(JP,A)
【文献】特開2000-036327(JP,A)
【文献】実開昭60-019148(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0093934(US,A1)
【文献】実開昭51-033728(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/633
H01M 10/613
H01M 10/6563
H01M 10/6551
H01M 10/647
H01M 10/625
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が熱伝導部材で形成され、密閉された筐体と、
前記筐体内に設置され、複数の電池セルで構成されたバッテリパックと、
前記電池セルに空気を送風する、または前記バッテリパックから空気を吸引する送風部と、
前記電池セルの温度に基づいて前記送風部を作動させる制御部と、を備え、
前記筐体は、少なくとも前記複数の電池セルが設置されている面と対向する面が放熱面として熱伝導部材で形成され、
前記送風部は、前記筐体の内側の前記放熱面に配置されており、前記複数の電池セルが設置されている領域の中央かつ上面
で、
前記バッテリパックの上部から前記筐体の上部の内面に向けて空気を流す、または、
前記筐体の上面の内側に沿って空気を吸引し、前記バッテリパックの上部に空気を吐き出すように構成されるバッテリ冷却装置。
【請求項2】
前記送風部は、前記放熱面と所定距離だけ離間し
、前記所定距離は、前記送風部と前記電池セルとの距離よりも小さく設定される請求項1に記載のバッテリ冷却装置。
【請求項3】
前記複数の電池セルそれぞれの温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサで検出された前記複数の電池セルの温度のうち少なくとも一つの前記電池セルの温度が第1の判定温度より高いことを条件に前記送風部を作動させる請求項1または請求項2に記載のバッテリ冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるバッテリパックは、複数の電池セルから構成される。バッテリパックは、充放電によって温度が上昇するが、各電池セルでは、温度にばらつきが生じる。
【0003】
各電池セルの温度のばらつきを無くし、且つバッテリパックを冷却するため、バッテリパックには冷却ファンが設置されている。
【0004】
特許文献1には、バッテリパックの近傍に冷却ファンを設置し、単位バッテリの温度と、バッテリパック周辺の雰囲気温度とに応じて冷却ファンの風量を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バッテリパックの温度が上昇したときには、バッテリパックの筐体上部の中央部分が最も温度が高くなる。
【0007】
特許文献1のように、バッテリパックの近傍に設置された冷却ファンでバッテリパックに冷却風を当てるだけでは、各電池セルの温度のばらつきが解消されないため、バッテリパックを効率よく冷却することができない。
【0008】
そこで、本発明は、バッテリパックの各電池セルを効率良く冷却することができるバッテリ冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、少なくとも一部が熱伝導部材で形成され、密閉された筐体と、前記筐体内に設置され、複数の電池セルで構成されたバッテリパックと、前記電池セルに空気を送風する、または前記バッテリパックから空気を吸引する送風部と、前記電池セルの温度に基づいて前記送風部を作動させる制御部と、を備え、前記筐体は、少なくとも前記複数の電池セルが設置されている面と対向する面が放熱面として熱伝導部材で形成され、前記送風部は、前記筐体の内側の前記放熱面に配置されており、前記複数の電池セルが設置されている領域の中央かつ上面で、前記バッテリパックの上部から前記筐体の上部の内面に向けて空気を流す、または、前記筐体の上面の内側に沿って空気を吸引し、前記バッテリパックの上部に空気を吐き出すように構成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、バッテリパックの各電池セルを効率良く冷却することができるバッテリ冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の側面から見た透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の上面から見た透視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の電池セルを示す側面から見た透視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の電池セルの接続状態を示す側面から見た透視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の電池セルの接続状態を示す上面から見た図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の温度分布を示す上面から見た図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の温度分布を示す側面から見た図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の空気の流れを示す側面から見た図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置の冷却ファン制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態に係るバッテリ冷却装置は、少なくとも一部が熱伝導部材で形成され、密閉された筐体と、筐体内に設置され、複数の電池セルで構成されたバッテリパックと、電池セルに空気を送風する、またはバッテリパックから空気を吸引する送風部と、電池セルの温度に基づいて送風部を作動させる制御部と、を備え、筐体は、少なくとも複数の電池セルが設置されている面と対向する面が放熱面として熱伝導部材で形成され、送風部は、筐体の内側の放熱面に配置されており、かつ複数の電池セルが設置されている領域の中央に設置されている。
【0013】
これにより、バッテリパックの各電池セルを効率良く冷却することができる。
【実施例】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るバッテリ冷却装置について詳細に説明する。
【0015】
図1において、本発明の一実施例に係るバッテリ冷却装置1は、バッテリパック2と、送風部としての冷却ファン3と、筐体4と、制御部5とを含んで構成される。バッテリ冷却装置1は、車両等に搭載される。
【0016】
バッテリパック2は、複数の電池セル21を備えている。電池セル21には、電池セル21の温度を検出する温度センサ22が設けられている。
【0017】
電池セル21は、略直方体形状に形成されている。複数の電池セル21は、長手方向が平行になるように揃えて並べて配置されている。複数の電池セル21同士の間には、隙間Sが介在されている。複数の電池セル21は、例えば、それぞれ図示しないフレーム部材で上記隙間Sを形成した状態で保持されてバッテリパック2を構成している。
【0018】
冷却ファン3は、バッテリパック2が設置されている面と対向する面に配置されている。すなわち、冷却ファン3は、筐体4内のバッテリパック2の上部に配置されている。冷却ファン3は、筐体4の内面と隙間Wを有して配置されている。冷却ファン3は、
図2に示すように、バッテリパック2の中央部の上部に配置されている。冷却ファン3としては、例えば軸流ファンやシロッコファンを用いることができる。冷却ファン3は、制御部5により、回転速度や回転方向が制御されるようになっている。
【0019】
冷却ファン3と筐体4の内面との隙間Wは、通気抵抗を極端に増やすことなく、流速を最大に高めるような距離に設定される。隙間Wの距離は、例えば、10mmから50mm程度が良い。
【0020】
筐体4は、略直方体形状に形成されている。筐体4は、鉄やアルミなどの熱伝導性の高い材料で形成されている。このため、筐体4のバッテリパック2が設置されている面と対向する面は、放熱面として機能する。筐体4は、例えば上部分と下部分を接合することでバッテリパック2を密閉して包囲するようになっている。筐体4は、少なくとも冷却ファン3と対向する面、すなわち放熱面が熱伝導性の高い材料で形成されていればよい。
【0021】
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0022】
このコンピュータユニットのROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部5として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部5として機能する。
【0023】
制御部5の入力ポートには、温度センサ22、外気温度センサ51を含む各種センサ類が接続されている。外気温度センサ51は、筐体4の外部の温度を検出する。制御部5の出力ポートには、冷却ファン3を含む各種制御対象類が接続されている。
【0024】
図3に示すように、電池セル21は、長手方向の両端部近傍に、正電極23と負電極24の2つの棒状の電極を有している。正電極23及び負電極24は、電池セル21の内部から電池セル21の上方に長手方向の一方の端部を露出させて設けられている。
【0025】
電池セル21の内部において、2つの電極の間には、金属フィルム25が設けられている。金属フィルム25には、活性物質が塗布されている。
【0026】
図4及び
図5に示すように、2つの電池セル21の正電極23と負電極24はバスバー26で接続される。バスバー26は、アルミや銅などで形成される。
【0027】
電池セル21の正電極23と負電極24とは、別々の他の電池セル21の負電極24と正電極23にそれぞれ接続される。すなわち、バッテリパック2の複数の電池セル21は、直列に接続されている。
【0028】
バッテリパック2を充放電させた場合、正電極23及び負電極24やバスバー26などの金属構造部品の電気抵抗による発熱と、金属フィルム25による発熱とが発生する。このため、電池セル21の上面の正電極23及び負電極24やバスバー26に熱が集まる。
【0029】
複数の電池セル21を集めたバッテリパック2では、
図6に示すように、バッテリパック2の上部の中央に熱が籠る。また、
図7に示すように、バッテリパック2の上部になるほど高温になる。
【0030】
従来は、バッテリパック2の底部から電池セル21間の隙間Sに空気を流して冷却していたため、
図7に示す熱の分布の温度の低い方向からの空冷であり、高温の空気が筐体4内に拡散してしまい、冷却効率が悪かった。
【0031】
本実施例のバッテリ冷却装置1は、冷却ファン3により、バッテリパック2の上部から筐体4の上部の内面に向けて空気を流す。これにより、
図8の矢印で示すように、バッテリパック2の上部の高温の空気が、冷却ファン3により流速を増してから、筐体4の上部内面に沿って流れる。広い筐体4の上部内面に沿って流速を増して流れることで、空気から筐体4への熱伝導が大きくなり、効率的に電池セル21で発生した熱を筐体4の外に逃がすことができる。
【0032】
また、冷却ファン3の回転を逆にして、筐体4の上面の内側に沿って空気を吸引させ、バッテリパック2の上部に空気を吐き出させるようにしてもよい。
【0033】
バッテリパック2の上部から空気を吸い込む、または、バッテリパック2の上部に空気を吐き出すことにより、電池セル21間及びバッテリパック2と筐体4間の隙間に空気を通して循環させることができる。空気の循環により温度の高い電池セル21は冷却され、温度の低い電池セル21は加温されて、電池セル21の温度のばらつきを縮小させることができる。
【0034】
制御部5は、温度センサ22の検出する各電池セル21の温度と、外気温度センサ51の検出する外気温度と、に基づいて冷却ファン3を作動させるか否かを判定する。
【0035】
制御部5は、各電池セル21の温度のうち少なくとも1つの温度が予め設定された第1の判定温度より高い場合、冷却ファン3を作動させる。
【0036】
このようにすることで、第1の判定温度より温度の高い電池セル21があると冷却ファン3が作動し、筐体4の内部の空気循環で、筐体4の内面から熱伝達して熱を外部に逃がすことで、電池セル21の温度を降下させるとともに、各電池セル21の温度のばらつきを縮小させることができる。
【0037】
なお、第1の判定温度は、予め実験等により求められ、制御部5のROMに記憶されている。
【0038】
制御部5は、各電池セル21の温度のいずれも第1の判定温度以下であり、且つ、各電池セル21の温度のうち少なくとも1つの温度が予め設定された第2の判定温度より低く、且つ、各電池セル21の温度の平均温度が外気温度より低い場合、冷却ファン3を作動させる。
【0039】
このようにすることで、例えば、深夜に外気温度が-10℃に下がり、電池セル21の温度も-10℃となり、日中の車両の走行開始時には外気温度が上昇して0℃になったが電池セル21の温度は-5℃であった場合、冷却ファン3により筐体4内の空気を攪拌させて筐体4外部から熱を吸収させ、電池セル21を加温させることができる。
【0040】
なお、第2の判定温度は、第1の判定温度より低い温度であり、予め実験等により求められ、制御部5のROMに記憶されている。
【0041】
制御部5は、各電池セル21の温度のいずれも第1の判定温度以下であり、且つ、各電池セル21の温度のうち少なくとも1つの温度が予め設定された第2の判定温度より低く、且つ、各電池セル21の温度の平均温度が外気温度以上であり、且つ、各電池セル21の温度の最高温度と最低温度の差が予め設定された第3の判定温度より大きい場合、冷却ファン3を作動させる。
【0042】
このようにすることで、例えば、早朝に外気温度が-10℃まで下がったが、深夜に車両を走行させたため電池セル21に熱が残り、バッテリパック2の中心部は10℃、バッテリパック2の端部は0℃であった場合、冷却ファン3により筐体4内の空気を攪拌させて電池セル21の温度のばらつきを解消するとともに、電池セル21間の温度差を利用して最低温度の電池セル21の温度(0℃)を引き上げることができる。
【0043】
なお、第3の判定温度は、予め実験等により求められ、制御部5のROMに記憶されている。
【0044】
制御部5は、各電池セル21の温度のいずれも第1の判定温度以下であり、且つ、各電池セル21の温度のいずれも予め設定された第2の判定温度以上である場合、冷却ファン3を停止させる。
【0045】
制御部5は、各電池セル21の温度のいずれも第1の判定温度以下であり、且つ、各電池セル21の温度のうち少なくとも1つの温度が予め設定された第2の判定温度より低く、且つ、各電池セル21の温度の平均温度が外気温度以上であり、且つ、各電池セル21の温度の最高温度と最低温度の差が第3の判定温度以下の場合、冷却ファン3を停止させる。
【0046】
このように、例えば、早朝に外気温度が-10℃まで下がり、深夜に車両を走行させてから時間が経過していて、既にバッテリパック2の熱が均一化して電池セル21の温度のばらつきが少ない場合、電池セル21間の温度差を利用して最低温度の電池セル21を加温することができない。このような場合に冷却ファン3により筐体4内の空気を攪拌させると、筐体4の外部に放熱する熱の影響で、バッテリパック2の温度が低下するため、冷却ファン3は作動させない。
【0047】
以上のように構成された本実施例に係るバッテリ冷却装置1による冷却ファン制御処理について、
図9を参照して説明する。なお、以下に説明する冷却ファン制御処理は、制御部5が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。また、バッテリパック2は、n個の電池セル21で構成されている場合を示す。
【0048】
ステップS1において、制御部5は、外気温度センサ51により外気温度Toutを検出する。
【0049】
ステップS2において、制御部5は、温度センサ22により各電池セル21の温度T(k)(k=1,2,...,n)を検出する。
【0050】
ステップS3において、制御部5は、各電池セル21の温度T(k)(k=1,2,...,n)のうち上述の第1の判定温度より高いT(k)が少なくとも1つあるか否かを判定する。第1の判定温度より高いT(k)が少なくとも1つあると判定した場合、制御部5は、ステップS4において、冷却ファン3を作動させて、処理を終了する。
【0051】
第1の判定温度より高いT(k)が少なくとも1つ無いと判定した場合、制御部5は、ステップS5において、各電池セル21の温度T(k)(k=1,2,...,n)のうち上述の第2の判定温度より低いT(k)が少なくとも1つあるか否かを判定する。第2の判定温度より低いT(k)が少なくとも1つあると判定した場合、制御部5は、各電池セルの温度T(k)(k=1,2,...,n)の平均温度が外気温度Toutより低いか否かを判定する。平均温度が外気温度Toutより低いと判定した場合、制御部5は、ステップS4において、冷却ファン3を作動させて、処理を終了する。
【0052】
平均温度が外気温度Toutより低くないと判定した場合、制御部5は、ステップS7において、各電池セル21の温度T(k)(k=1,2,...,n)のうち最高温度T(k)maxと最低温度T(k)minとの差が上述の第3の判定温度より大きいか否かを判定する。最高温度T(k)maxと最低温度T(k)minとの差が上述の第3の判定温度より大きいと判定した場合、制御部5は、ステップS4において、冷却ファン3を作動させて、処理を終了する。
【0053】
最高温度T(k)maxと最低温度T(k)minとの差が上述の第3の判定温度より大きくないと判定した場合、または、ステップS5において第2の判定温度より低いT(k)が1つも無いと判定した場合、制御部5は、ステップS8において、冷却ファン3を停止させて、処理を終了する。
【0054】
このように、上述の実施例では、少なくとも一部を熱伝導部材で形成され密閉された筐体4内に冷却ファン3を配置している。
【0055】
これにより、冷却ファン3を作動させることにより、筐体4内の空気が熱伝導部材で形成された筐体4に当たり、熱伝導部材と熱交換しながら循環する。このため、電池セル21の温度のばらつきを縮小させ、バッテリパック2の各電池セル21を効率良く冷却することができる。
【0056】
また、電池セル21間の温度のばらつきを利用して、最低温度の電池セル21の温度を引き上げることができる。
【0057】
また、冷却ファン3と筐体4の内面との隙間Wは、通気抵抗を極端に増やすことなく、流速を最大に高めるような距離に設定されている。
【0058】
これにより、冷却ファン3から吐出する気流を筐体4の内面に沿って速い速度で流すことができる。このため、速い気流で筐体4の内部の空気と熱伝導部材の筐体4との熱交換の効率を高めることができ、放熱量を増加させることができる。
【0059】
また、冷却ファン3は、バッテリパック2の中央部の上部に配置されている。これにより、バッテリパック2で一番熱が籠り電池セル21の温度が高くなる部分を従来よりも効率的に冷却することができる。なお、冷却ファン3の配置箇所は、バッテリパック2の中央部からずれた位置でもよい。また、冷却ファン3にダクトを取り付ける構成であってもよい。
【0060】
また、制御部5は、各電池セル21の温度の平均温度が外気温度以上であり、且つ、各電池セル21の温度の最高温度と最低温度の差が第3の判定温度より大きい場合、冷却ファン3を作動させる。
【0061】
これにより、低温環境下でも電池セル21の温度のばらつきが大きい場合は、冷却ファン3が作動される。このため、低温環境下で、温度が高い電池セル21の熱を奪い、奪った熱で温度の低い電池セル21に加温することができる。さらに、外気温度が高いため、外気から吸熱して電池セル21に加温することができる。
【0062】
また、電池セル21の温度のばらつきを縮小させているため、電池セル21の温度で制約される入出力性能を高めることができる。また、電池セル21の温度で制約される充電容量を高めることができる。
【0063】
また、車両の走行中にも冷却ファン3の制御を行なうことで、電池セル21の過度な温度上昇を抑えることができる。
【0064】
また、筐体4は密閉されているため、外部から水分や埃の侵入を防止することができる。また、筐体4は密閉されているため、音が外部に漏れないので、冷却ファン3は、騒音を考慮することなく最高吐出量で作動させることができる。
【0065】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0066】
1 バッテリ冷却装置
2 バッテリパック
3 冷却ファン(送風部)
4 筐体
5 制御部
21 電池セル
22 温度センサ
51 外気温度センサ