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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/42 20060101AFI20220913BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220913BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20220913BHJP
   B41J 29/48 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B41J29/42 F
B41J3/36 T
B41J25/20
B41J29/48 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020158321
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052129
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】生江 令人
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244656(JP,A)
【文献】特開2007-007964(JP,A)
【文献】特開2002-096524(JP,A)
【文献】特開平11-338653(JP,A)
【文献】特開2017-007111(JP,A)
【文献】特開平11-301078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/42
B41J 3/36
B41J 25/20
B41J 29/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出するための検出部と、
前記被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記被印刷媒体の搬送路上であって前記印刷部により印刷が行われる位置よりも上流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被印刷媒体への前記第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合であって、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分と前記第2の印刷パターンとを前記領域に印刷可能である場合は、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分と前記第2の印刷パターンとを前記領域に印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被印刷媒体への前記第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合であって、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分と前記第2の印刷パターンとを前記領域に印刷可能ではないものの、前記第1の印刷パターンの未印刷部分を前記領域に印刷可能である場合は、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分を前記領域に印刷し、前記第2の印刷パターンを前記領域に印刷しないように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の印刷パターンとして前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における印刷済み枚数を印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における総印刷枚数及び印刷済み枚数に基づいて、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を導出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように制御する
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、印刷方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺状の被印刷媒体に文字、図形等を印刷してラベルを作成する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような印刷装置において、被印刷媒体の終端を検出可能な印刷装置では、複数枚印刷を行った際に、その途中で被印刷媒体の終端が検出されると、複数枚印刷が途中で終了する。そのため、ユーザは、印刷装置に収納されている媒体カートリッジを新しいものに交換した上で、残り印刷枚数を印刷装置に設定して、残り印刷枚数の印刷を印刷装置に行わせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-028448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷装置に残り印刷枚数を設定するためには、ユーザは、まず、その残り印刷枚数を把握する必要がある。具体的には、ユーザが、印刷済み枚数を数える等して印刷済み枚数を確認し、その印刷済み枚数と複数枚印刷の際に設定した印刷枚数とから残り印刷枚数を把握する必要がある。
【0006】
しかしながら、複数枚印刷の際に設定した印刷枚数が少ない場合や印刷済み枚数が少ない場合には印刷済み枚数の確認が容易であることから残り印刷枚数の把握が容易であるものの、複数枚印刷の際に設定した印刷枚数が多く且つ印刷済み枚数が多い場合には印刷済み枚数の確認が容易でないことから残り印刷枚数の把握が容易ではなかった。
【0007】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体の終端が検出されて複数枚印刷が途中で終了した場合に、残り印刷枚数をユーザに容易に把握させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出するための検出部と、前記被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部とを備える。
【0009】
本発明の一態様に係る印刷方法は、被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、前記第1の印刷パターンの複数枚印刷における残り印刷枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように制御する処理をプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体の終端が検出されて複数枚印刷が途中で終了した場合に、残り印刷枚数をユーザに容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】印刷装置1の斜視図である。
図2】印刷装置1に収容されるテープカセット30の斜視図である。
図3】印刷装置1のカセット収容部19の斜視図である。
図4】印刷装置1の断面図である。
図5】印刷装置1のハードウェア構造を示すブロック図である。
図6】複数枚印刷処理を示すフローチャートである。
図7】複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出された場合の印刷結果を例示する図である。
図8】変形例に係る印刷結果を例示する図である。
図9】変形例に係る印刷結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、印刷装置1の斜視図である。印刷装置1は、長尺状の被印刷媒体Mに印刷を行うラベルプリンタである。以降では、感熱テープを使用する感熱方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されない。印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。また、以降では、シングルパス(ワンパス)方式で印刷を行うラベルプリンタを例示するが、印刷装置1は、マルチパス(スキャン)方式で印刷を行ってもよい。
【0014】
印刷装置1は、図1に示すように、装置筐体2と、入力部3と、表示部4と、開閉蓋18と、カセット収容部19を備える。装置筐体2の上面には、入力部3、表示部4、及び開閉蓋18が配置されている。また、図示しないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
【0015】
入力部3は、入力キー(例えば文字キーや数字キー)、十字キー、変換キー、決定キー(実行キー)、印刷キー、電源キー、などの種々のキーを備える。ユーザは、これらのキー操作により、印刷テキストの入力、印刷枚数の設定、印刷実行指示等を行うことができる。
【0016】
表示部4は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどであり、入力部3からの入力に対応する文字等、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。また、印刷中には、被印刷媒体Mへの印刷が指示された文字や図形等の内容が表示され、印刷処理の進捗状況が表示されてもよい。なお、表示部4にはタッチパネルユニットが設けられていてもよく、その場合、表示部4を入力部3の一部として看做してもよい。
【0017】
開閉蓋18は、カセット収容部19の上部に開閉可能に配置されている。開閉蓋18は、ボタン18aを押下されることにより開放される。開閉蓋18には、この開閉蓋18が閉じた状態でもカセット収容部19にテープカセット30(図2参照)が収容されているか否かを目視で確認可能とするために、窓18bが形成されている。また、装置筐体2の側面には、排出口2aが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われた被印刷媒体Mは、排出口2aから装置外へ排出される。
【0018】
図2は、印刷装置1に収容されるテープカセット30の斜視図である。図3は、印刷装置1のカセット収容部19の斜視図である。図4は、印刷装置1の断面図である。図2に示すテープカセット30は、図3に示すカセット収容部19に着脱自在に収容される。図4には、テープカセット30がカセット収容部19に収容された状態が示されている。
【0019】
テープカセット30は、図2に示すように、被印刷媒体Mを収容するカセットケース31を有する。カセットケース31には、サーマルヘッド被挿入部36及び係合部37が形成されている。また、カセットケース31には、テープコア32が設けられている。被印刷媒体Mは、カセットケース31内部のテープコア32にロール状に巻かれている。
【0020】
被印刷媒体Mは、下層から順にセパレータと、粘着層と、基材と、発色層と、保護層とが積層された5層構造を有する感熱テープである。セパレータは粘着層を覆うように剥離可能に基材に貼り付けられている。セパレータの材料は、例えば、紙であるが、紙に限らず、PET(ポリエチレンテレフタレート)であってもよい。粘着層は、基材に塗布された粘着材である。基材の材料は、例えば、有色のPETである。発色層は、熱エネルギーの加熱により発色する感熱発色層である。保護層の材料は、例えば、透明なPETである。感熱テープである被印刷媒体Mの構成は、このような5層構造の構成に限らない。例えば、被印刷媒体Mは、保護層を有さず、発色層が露出したものであってもよい。
【0021】
装置筐体2のカセット収容部19には、図3に示すように、テープカセット30を所定の位置に支持するための複数のカセット受け部20が設けられている。また、カセット受け部20には、テープカセット30が収容する被印刷媒体M(感熱テープ)の幅を検出するためのテープ幅検出スイッチ24が設けられている。
【0022】
テープ幅検出スイッチ24は、テープカセットの形状に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出するためのスイッチである。テープ幅検出スイッチ24は、カセット収容部19に複数設けられている。テープ幅の異なるテープカセットは、複数のテープ幅検出スイッチ24をそれぞれ異なる組み合わせで押下するように構成されている。これにより、後述する制御回路5(図5参照)が、押下されたテープ幅検出スイッチ24の組み合わせから、テープカセットの種類を特定し、被印刷媒体Mの幅(テープ幅)を検出する。
【0023】
カセット収容部19には、さらに、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷部であるサーマルヘッド10と、被印刷媒体Mを搬送する搬送部であるプラテンローラ21と、テープコア係合軸22が設けられている。さらに、サーマルヘッド10には、サーミスタ13が埋め込まれている。サーミスタ13は、サーマルヘッド10の温度を測定する。
【0024】
テープカセット30がカセット収容部19に収容された状態では、図4に示すように、カセットケース31に設けられた係合部37がカセット収容部19に設けられたカセット受け部20に支持されて、サーマルヘッド10がカセットケース31に形成されたサーマルヘッド被挿入部36に挿入される。また、テープコア係合軸22には、テープカセット30のテープコア32が係合する。
【0025】
印刷装置1に印刷指示が入力されると、被印刷媒体Mは、プラテンローラ21の回転によりテープコア32から繰り出され、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過する際に、サーマルヘッド10によって加熱されることで、被印刷媒体Mに印刷が行われる。
【0026】
サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した印刷済みの被印刷媒体Mは、ハーフカッター16及びフルカッター17で切断され、それによって、ラベルが排出口2aから排出される。なお、ラベルとは、被印刷媒体Mのことであり、より詳細には、被印刷媒体Mをハーフカット又はフルカットすることにより作成されたもののことをいう。
【0027】
印刷装置1は、さらに、フォトセンサ41を備えている。フォトセンサ41は、被印刷媒体Mの終端に関する情報を検出するための検出部であり、図4に示すように、被印刷媒体Mの搬送路上であってサーマルヘッド10により印刷が行われる位置よりも上流側に距離L離れて設けられている。フォトセンサ41は、例えば、発光素子と受光素子を備えている。発光素子は、例えば、発光ダイオードであり、受光素子は、例えば、フォトダイオードである。フォトセンサ41は、発光素子から出射した光の反射光を受光素子で検出し、後述する制御回路5(図5参照)へ信号を出力する。制御回路5は、例えば、受光素子で検出した反射光量の変化に基づいて、被印刷媒体Mの終端に関する情報として、被印刷媒体Mの終端を検出する。なお、フォトセンサ41は発光素子から出射した光の反射光を検出するフォトリフレクタに限らない。フォトセンサ41は、発光素子と受光素子が対向して配置されたフォトインタラプタであってもよい。
【0028】
図5は、印刷装置1のハードウェア構造を示すブロック図である。印刷装置1は、上述した構成要素に加えて、図5に示すように、制御回路5、ROM(Read Only Memory)6、RAM(Random Access Memory)7、表示駆動回路8、ヘッド駆動回路9、搬送用モータ駆動回路11、搬送用モータ12、エンコーダ26、カッターモータ駆動回路14、カッターモータ15、ハーフカッター16、フルカッター17を備える。
【0029】
制御回路5は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む制御装置である。制御回路5は、ROM6に格納されているプログラムをRAM7に展開し実行することで、印刷装置1の各部(例えば、プラテンローラ21、サーマルヘッド10)の動作を制御する。
【0030】
ROM6には、プログラム(後述の図6に示す複数枚印刷処理を行うためのプログラムを含む)、プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント等)が格納されている。RAM7は、プログラムの実行に用いられるワークメモリである。RAM7の一部は、印刷バッファとして用いられる。なお、印刷装置1での処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、ROM6、RAM7のような、物理的な(非一時的な)記録媒体が含まれる。
【0031】
表示駆動回路8は、液晶表示ドライバ回路、有機EL表示ドライバ回路である。表示駆動回路8は、制御回路5の制御下において、RAM7に格納されている表示データに基づいて表示部4を制御する。
【0032】
ヘッド駆動回路9は、制御回路5の制御下において、印刷データと制御信号に基づいてサーマルヘッド10が有する発熱素子10aへの通電を制御する。サーマルヘッド10は、主走査方向に配列された複数の発熱素子10aを有し、当該発熱素子10aで被印刷媒体Mである感熱テープを加熱することにより一ラインずつ印刷を行う。つまり、印刷装置1において、制御回路5は、ヘッド駆動回路9を介して発熱素子10aへの通電を制御することで、サーマルヘッド10を制御する制御部である。
【0033】
搬送用モータ駆動回路11は、制御回路5の制御下で、搬送用モータ12を駆動する。搬送用モータ12は、例えばステッピングモータであってもよく、直流(DC)モータであってもよい。搬送用モータ12は、プラテンローラ21を回転させる。なお、搬送用モータ12は、搬送用モータ駆動回路11の制御下で、被印刷媒体Mを繰り出す方向である順方向だけではなく、被印刷媒体Mを巻戻す方向である逆方向にも回転する。
【0034】
プラテンローラ21は、搬送用モータ12の駆動力によって回転し、被印刷媒体Mの長手方向(副走査方向、搬送方向)に沿って、被印刷媒体Mを搬送する搬送部である。プラテンローラ21は、搬送用モータ12が順方向に回転しているときには、テープカセット30から被印刷媒体Mを繰り出し、搬送用モータ12が逆方向に回転しているときには、テープカセット30から繰り出されている被印刷媒体Mを巻戻す。
【0035】
つまり、印刷装置1において、制御回路5は、搬送用モータ駆動回路11を介して搬送用モータ12を制御することで、プラテンローラ21を制御する制御装置である。
【0036】
エンコーダ26は、搬送用モータ12又はプラテンローラ21の駆動量(回転量)に応じて信号を制御回路5へ出力する。エンコーダ26は、搬送用モータ12の回転軸に設けられていてもよく、プラテンローラ21の回転軸に設けられていてもよい。制御回路5は、エンコーダ26からの信号に基づいて被印刷媒体Mの搬送量を特定することができる。
【0037】
なお、搬送用モータ12がステッピングモータである場合には、制御回路5は、搬送用モータ12を駆動する搬送用モータ駆動回路11へ入力した信号(入力パルス数)に基づいて搬送量を特定することができる。従って、搬送用モータ12がステッピングモータである場合には、エンコーダ26は省略されてもよく、制御回路5は、搬送用モータ駆動回路11へ入力した信号(入力パルス数)に基づいて搬送量を特定しても良い。搬送用モータ12にステッピングモータを使用することで装置構成を簡素化することができる。
【0038】
カッターモータ駆動回路14は、制御回路5の制御下において、カッターモータ15を駆動する。フルカッター17及びハーフカッター16は、カッターモータ15の動力によって動作し、被印刷媒体Mをフルカット又はハーフカットする。フルカットとは、被印刷媒体Mを構成する層の全てを被印刷媒体Mの幅方向に沿って切断する動作のことであり、フルカッター17は、フルカットを行う切断装置である。ハーフカットとは、被印刷媒体Mのうちのセパレータ以外の層を被印刷媒体Mの幅方向に沿って切断する動作のことであり、ハーフカッター16は、ハーフカットを行う切断装置である。
【0039】
以上のように構成された印刷装置1では、被印刷媒体Mへの第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、フォトセンサ41の検出結果に基づいて被印刷媒体Mの終端が検出された場合に、被印刷媒体Mにおける、終端検出時点の印刷位置から終端までの間の領域に、残り印刷枚数又は印刷済み枚数を表す第2の印刷パターンが印刷されるように、プラテンローラ21とサーマルヘッド10とが制御回路5によって制御される。このような制御回路5の制御により、印刷装置1では、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出されて複数枚印刷が途中で終了した場合に、残り印刷枚数をユーザに容易に把握させることができる。以下、このような制御回路5の制御に関し、図6及び図7を参照しながら、具体的に説明する。
【0040】
図6は、複数枚印刷処理を示すフローチャートであり、印刷方法を示すものでもある。なお、複数枚印刷処理は、ROM6に格納されたプログラムをプロセッサが実行することで制御回路5が行う処理である。この複数枚印刷処理は、ユーザが、入力部3に対するキー操作により、印刷する文字又は文字列である印刷テキスト、印刷枚数等を入力して、印刷実行指示を入力すると、開始する処理である。
【0041】
複数枚印刷処理が開始すると、図6に示すように、制御回路5は、まず、入力された印刷枚数(nとする)を、印刷枚数を表す変数PrnNumに設定する(PrnNum=n)(ステップS11)。また、制御回路5は、入力された印刷テキストのテキストデータを、所定形式(例えばビットマップ形式)の印刷パターン(以下、「第1の印刷パターン」という)として印刷バッファ(RAM7の一部)に展開する。
【0042】
次に、制御回路5は、印刷枚数カウンタを初期化する(ステップS12)。具体的には、制御回路5が、印刷枚数カウンタ値を表す変数PrnCntに0を設定する(PrnCnt=0)。
【0043】
次に、制御回路5は、被印刷媒体Mの終端を検出しない限り、印刷バッファ(RAMの一部)に展開されている第1の印刷パターンの1ライン目から最終ラインまで順に1ライン単位で印刷と被印刷媒体Mの順方向搬送とを繰り返して、1枚分の第1の印刷パターンを被印刷媒体Mに印刷する処理を行う(ステップS13~ステップS16)。詳しくは、制御回路5は、第1の印刷パターンの1ライン分を被印刷媒体Mに印刷し(ステップS13)、被印刷媒体Mを、第1の印刷パターンの1ライン分、順方向に搬送する(ステップS14)。次に、制御回路5は、フォトセンサ41の検出結果に基づいて、被印刷媒体Mの終端(媒体終端)を検出したか否かを判定し(ステップS15)、その判定結果がNOの場合は、第1の印刷パターンの最終ラインの印刷が終了したか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定結果がNOの場合は、処理がS13に戻り、第1の印刷パターンの次の1ラインについての処理が開始する。
【0044】
一方、ステップS16の判定結果がYESの場合、制御回路5は、PrnCntをインクリメントし(PrnCnt=PrnCnt+1)(ステップS17)、PrnCnt=PrnNumであるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18の判定結果がNOの場合、制御回路5は、ハーフカッター16により被印刷媒体Mをハーフカットする(ステップS19)。ステップS19の後は、処理がS13に戻り、次の1枚分の第1の印刷パターンの印刷が開始する。
【0045】
一方、ステップS18の判定結果がYESの場合、制御回路5は、被印刷媒体Mを、所定量分、順方向に搬送する(ステップS20)。ここで、所定量分とは、サーマルヘッドによる印刷位置からフルカッター17によるフルカット位置までの距離分のことである。次に、制御回路5は、フルカッター17により被印刷媒体Mをフルカットする(ステップS21)。これにより、印刷枚数分のテープ片がハーフカットされているテープ片が作成される。ステップS21が終了すると、図6に示した複数枚印刷処理が終了する。
【0046】
一方、ステップS15の判定結果がYESの場合、制御回路5は、PrnNumからPrnCntを減算する(PrnNum-PrnCnt)ことにより、残り枚数(残り印刷枚数)を算出する(ステップS22)。
【0047】
次に、制御回路5は、残り枚数文字列印刷処理を行う(ステップS23)。この処理では、制御回路5が、ステップS22で算出した残り印刷枚数を表すテキストのテキストデータを、所定形式(例えばビットマップ形式)の印刷パターン(以下、「第2の印刷パターン」という)として印刷バッファ(RAM7の一部)に展開し、その第2の印刷パターンを、被印刷媒体Mにおける、終端検出時点の印刷位置から終端までの間の領域(以下、「終端領域」という)に印刷する。この終端領域の搬送方向長さは、図4に示した距離Lになる。なお、第2の印刷パターンの印刷は、上述のステップS13からステップS16(但しステップS15を除く)と同様にして行われる。これにより、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出された場合には、その終端までの間に残り印刷枚数が印刷されるようになるので、ユーザは、印刷済み枚数を数えることなく容易に把握することができる。ステップS23が終了すると、図6に示した複数枚印刷処理が終了する。
【0048】
図7は、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出された場合の印刷結果を例示する図である。この例では、印刷テキスト「あいう」の複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出され、被印刷媒体Mにおける終端領域R(終端検出時点の印刷位置から終端までの間の領域)に、残り印刷枚数として「残り15」が印刷されている。これにより、ユーザは、残り印刷枚数が「15」であることを容易に把握することができる。なお、終端領域Rの搬送方向長さは、図4に示す距離L、即ち、サーマルヘッド10による印刷位置からフォトセンサ41による検出位置までの距離Lになる。
【0049】
以上のように、印刷装置1によれば、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出されて複数枚印刷が途中で終了した場合に、残り印刷枚数をユーザに容易に把握させることができる。
【0050】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置、印刷方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0051】
例えば、図6に示した複数枚印刷処理では、複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出された場合に、被印刷媒体Mの終端領域に残り印刷枚数を印刷したが、残り印刷枚数の代わりに印刷済み枚数を印刷するようにしてもよい。
【0052】
また、図6に示した複数枚印刷処理におけるステップS23の残り枚数文字列印刷処理において、制御回路5は、被印刷媒体Mの終端検出時点で印刷途中の第1の印刷パターンの未印刷部分と第2の印刷パターンとを終端領域に印刷可能である場合に、その未印刷部分と第2の印刷パターンとを終端領域に印刷するように、プラテンローラ21とサーマルヘッド10とを制御するようにしてもよい。但し、この場合は、第2の印刷パターンとして印刷される残り印刷枚数は、ステップS22で算出された残り印刷枚数から1を引いた値になる。図8は、このような変形例に係る印刷結果を例示する図である。この例では、印刷テキスト「かき」の複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出され、当該検出時点で印刷途中の「かき」の未印刷部分(「き」の右半分)と残り印刷枚数を表す「残り10」とを終端領域Rに印刷可能であったために、その未印刷部分(「き」の右半分)と「残り10」とが終端領域Rに印刷されている。このような変形例によれば、被印刷媒体Mの終端領域を用いて印刷途中の第1の印刷パターンの印刷を完結できるので、第1の印刷パターン1枚分の、被印刷媒体Mの節約が可能になる。
【0053】
なお、制御回路5は、被印刷媒体Mの終端検出時点で印刷途中の第1の印刷パターンの未印刷部分と第2の印刷パターンとを終端領域に印刷可能ではないものの、その未印刷部分を終端領域に印刷可能である場合に、その未印刷部分のみを終端領域に印刷するように、プラテンローラ21とサーマルヘッド10とを制御するようにしてもよい。図9は、そのような変形例に係る印刷結果を例示する図である。この例では、印刷テキスト「さしすせ」の複数枚印刷の実行中に被印刷媒体Mの終端が検出され、当該検出時点で印刷途中の「さしすせ」の未印刷部分(「す」の右半分と「せ」)と残り印刷枚数とを終端領域Rに印刷可能ではないものの、その未印刷部分(「す」の右半分と「せ」)を終端領域Rに印刷可能であったために、その未印刷部分(「す」の右半分と「せ」)のみが終端領域Rに印刷されている。このような変形例によれば、残り印刷枚数の印刷は行われないものの、第1の印刷パターン1枚分の、被印刷媒体Mの節約が可能になる。
【0054】
上述の変形例において、被印刷媒体Mの終端検出時点で印刷途中の第1の印刷パターンの未印刷部分と第2の印刷パターンとを終端領域に印刷可能であるか否かの判定や、その未印刷部分を終端領域に印刷可能であるか否かの判定は、その未印刷部分のライン数分の搬送方向長さと、第2の印刷パターンのライン数分の搬送方向長さと、距離Lとに基づいて、行うことができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、印刷装置1が入力部3と表示部4を有する具体例を示したが、印刷装置1は、入力部3や表示部4を有しなくてもよく、印刷テキストデータや印刷実行指示等を印刷装置とは別の電子機器から受信してもよい。
また、上述した実施形態において、制御回路5は、フォトセンサ41の検出結果に基づいて被印刷媒体Mの終端に関する情報として被印刷媒体の終端を検出するようにしたが、これに限らず、例えば、エンコーダ26からの信号に基づいて被印刷媒体Mの終端に関する情報を検出するようにしてもよい。この場合、制御回路5は、エンコーダ26からの信号に基づいて特定した被印刷媒体Mの搬送量から、被印刷媒体Mの終端までの残りの長さ(搬送方向長さ)が所定の長さ(例えば上述の距離Lに相当する長さ)になったことを、被印刷媒体Mの終端に関する情報として検出するようにしてもよい。そして、それを検出したら、第2の印刷パターンを印刷するように制御してもよい。なお、この場合のエンコーダ26は、被印刷媒体Mの終端に関する情報を検出するための検出部でもある。
【0056】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出するための検出部と、
前記被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、残り印刷枚数又は印刷済み枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記検出部は、前記被印刷媒体の搬送路上であって前記印刷部により印刷が行われる位置よりも上流側に設けられる
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
[付記3]
前記制御部は、前記被印刷媒体への前記第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、前記検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合であって、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分と前記第2の印刷パターンとを前記領域に印刷可能である場合は、前記検出時点で印刷途中の前記第1の印刷パターンの未印刷部分と前記第2の印刷パターンとを前記領域に印刷するように、前記搬送部と前記印刷部とを制御する
ことを特徴とする付記1又は2記載の印刷装置。
[付記4]
被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、残り印刷枚数又は印刷済み枚数を表す第2の印刷パターンを印刷する
ことを特徴とする印刷方法。
[付記5]
被印刷媒体への第1の印刷パターンの複数枚印刷の実行中において、検出部の検出結果に基づいて前記被印刷媒体の終端に関する情報を検出した場合に、前記被印刷媒体における、前記検出時点の印刷位置から前記終端までの間の領域に、残り印刷枚数又は印刷済み枚数を表す第2の印刷パターンを印刷するように制御する
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0057】
1 印刷装置
2 装置筐体
2a 排出口
3 入力部
4 表示部
5 制御回路
6 ROM
7 RAM
8 表示駆動回路
9 ヘッド駆動回路
10 サーマルヘッド
10a 発熱素子
11 搬送用モータ駆動回路
12 搬送用モータ
13 サーミスタ
14 カッターモータ駆動回路
15 カッターモータ
16 ハーフカッター
17 フルカッター
18 開閉蓋
18a ボタン
18b 窓
19 カセット収容部
20 カセット受け部
21 プラテンローラ
22 テープコア係合軸
24 テープ幅検出スイッチ
26 エンコーダ
30 テープカセット
31 カセットケース
32 テープコア
36 サーマルヘッド被挿入部
37 係合部
41 フォトセンサ
M 被印刷媒体
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9