(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】錫合金めっき液
(51)【国際特許分類】
C25D 3/60 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
C25D3/60
(21)【出願番号】P 2020194825
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2022-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【氏名又は名称】須田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】巽 康司
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-193916(JP,A)
【文献】特開2019-163507(JP,A)
【文献】特開2019-077949(JP,A)
【文献】特開2001-181889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/30,3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩と、
(B)錫よりも貴な金属の可溶性塩と、
(C)分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤と、
(D)分子内にフェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤と、
(E)遊離酸と
を含
み、
前記可溶性錫塩(A)の含有量は、錫の量に換算して、5g/L以上200g/L以下の範囲にあり、
前記錫より貴な金属の可溶性塩(B)の含有量は、金属の量に換算して、0.01g/L以上10g/L以下の範囲にあり、
前記アルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤(C)の含有量は、0.01g/L~1g/Lの範囲にあり、
前記ノニオン系界面活性剤(D)の含有量は、0.01g/L以上50g/L以下の範囲にあり、
前記遊離酸(E)の含有量は、5g/L以上500g/L以下の範囲にある錫合金めっき液。
【請求項2】
前記アルカンスルホン酸又はその塩の分子内の炭素原子の数が10個~17個である請求項1記載の錫合金めっき液。
【請求項3】
前記アルカンスルホン酸が第二級アルカンスルホン酸又はその塩である請求項1記載の錫合金めっき液。
【請求項4】
前記錫よりも貴な金属が、銀又は銅である請求項1ないし
3いずれか1項に記載の錫合金めっき液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路チップを回路基板に搭載する際に基板上に錫合金の突起電極となるバンプを製造するための錫合金めっき液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、(A)少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩と、(B)有機酸及び無機酸から選ばれた酸又はその塩と、(C)界面活性剤と、(D)レベリング剤と、(E)添加剤とを含み、複数種類のビア径を有するビアが存在する基板にめっきするための錫又は錫合金めっき液を用いて、前記基板上に錫又は錫合金めっき堆積層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0020]、段落[0043]、段落[0044]参照。)。この錫又は錫合金めっき堆積層の形成方法では、界面活性剤が次の一般式(1)で表される化合物(C1)又は一般式(2)で表される化合物(C2)である。
【0003】
【0004】
ただし、式(1)中、Rは炭素数7~13のアルキル基、mは8~11、nは1~3であり、mとnは異なる。
【0005】
【0006】
ただし、式(2)中、Rは炭素数9~13のアルキル基、mは6~8、nは2~3であり、mとnは異なる。
【0007】
レベリング剤(D)は、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成するとともにめっき皮膜を平滑にするために加える。そして、ビアフィリング性を高め、ボイドの発生を抑制するために、第1レベリング剤(D-1)及び第2レベリング剤(D-2)の2種類が用いられる。第1レベリング剤(D-1)としては、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド、脂肪族ケトン及び芳香族ケトンよりなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられ、第2レベリング剤(D-2)としては、α,β-不飽和カルボン酸又はそのアミド、或いはこれらの塩が挙げられる。上記芳香族ケトンとしては、ベンザルアセトン、2-クロロアセトフェノン、3-クロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,4-ジクロロアセトフェノン、2,4,6-トリクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0008】
このように構成された錫又は錫合金めっき堆積層の形成方法では、界面活性剤(C1,C2)が、一般式(1)及び一般式(2)におけるポリオキシプロピレンアルキル基のm及びポリオキシエチレン基のnをそれぞれ所定の範囲にした特定の非イオン(ノニオン)構造を持つことにより、めっき時に、Snイオンの析出を抑制し、めっき対象表面に良好にめっきすることが可能にする。特にこのめっき液によれば、バンプ径が異なるパターンの場合、バンプ径が大きくても或いは小さくても、基板上のビアへのビアフィリング性に優れ、かつ形成されたバンプの高さが均一になる。これは、分極抵抗が大きくなるためであると考えられる。
【0009】
一方、電気めっきにより半導体チップ又はパッケージに低温融解性金属バンプを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2(請求項1、段落[0013]、段落[0019])参照。)。この低融点金属バンプの形成方法では、電気めっき浴として次の成分、(a)少なくとも一種のアルカンスルホン酸イオン又はアルカノールスルホン酸イオンを5~300g/l、(b)Agイオンを0.01~10g/l、(c)Sn2+およびBi3+から選ばれた金属イオンの1種を0.1~40g/L、(d)含イオウ化合物の1種を0.01~40g/l、(e)非イオン界面活性剤を0.5~30g/lを含有する銀系合金めっき浴を用い、電流を矩形パルス波又は多段矩形波の繰り返しで与える。また、また、酸性成分として、アルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸を用いることが必要であり、アルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸の好ましい例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等が挙げられる。
【0010】
このように構成された低融点金属バンプの形成方法では、鉛を使用することなしに、良好な形状のバンプを形成することが可能となる。そして、この低融点金属バンプの形成方法により得られるパンプは鉛を含まないためα線による半導体メモリー素子を反転させるような誤操作を引き起こすことなく、また環境汚染の面からも有利である。従って、この低融点金属バンプの形成方法は、半導体チップやパッケージのバンプ形成を電気めっきで行う方法として極めて有利なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第6635139号公報
【文献】特開2000-100850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記特許文献1に示された錫又は錫合金めっき堆積層の形成方法では、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成するとともにめっき皮膜を平滑にするために加えるレベリング剤としての芳香族カルボニル化合物(ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドなど)などは、電気めっきにおける電解により減少するため、濃度を維持するための分析管理及び補給作業が煩雑になるとともに、レベリング剤の分解物がめっき液中に蓄積することにより、めっき性が悪化する不具合があった。また、上記特許文献2に示された低融点金属バンプの形成方法では、酸性成分としてアルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸が用いられるけれども、アルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸は、炭素数の少ないメタンスルホン酸又はエタンスルホン酸であり、水溶性が高いため、遊離酸としての機能を有するけれども、めっき皮膜を平滑にするレベリング剤としての機能を有しない。
【0013】
本発明の目的は、レベリング剤として芳香族カルボニル化合物(ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドなど)を用いずに、電気めっき時に長期間にわたりレベリング剤を補給することなく、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成できるとともにめっき皮膜を平滑にすることができる、錫合金めっき液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点は、(A)少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩と、(B)錫よりも貴な金属の可溶性塩と、(C)分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤と、(D)フェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤と、(E)遊離酸とを含み、前記可溶性錫塩(A)の含有量は、錫の量に換算して、5g/L以上200g/L以下の範囲にあり、前記錫より貴な金属の可溶性塩(B)の含有量は、金属の量に換算して、0.01g/L以上10g/L以下の範囲にあり、前記アルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤(C)の含有量は、0.01g/L~1g/Lの範囲にあり、前記ノニオン系界面活性剤(D)の含有量は、0.01g/L以上50g/L以下の範囲にあり、前記遊離酸(E)の含有量は、5g/L以上500g/L以下の範囲にある錫合金めっき液である。
【0016】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にアルカンスルホン酸又はその塩の分子内の炭素原子の数が10個~17個であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にアルカンスルホン酸が第二級アルカンスルホン酸又はその塩であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかに基づく発明であって、更に錫よりも貴な金属が、銀又は銅であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の観点の錫合金めっき液では、(A)少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩と、(B)錫よりも貴な金属の可溶性塩と、(C)分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤と、(D)分子内にフェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤と、(E)遊離酸とを含む錫合金めっき液であるので、レベリング剤として芳香族カルボニル化合物(ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドなど)を用いずに、電気めっき時に長期間にわたりレベリング剤を補給することなく、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成できるとともにめっき皮膜を平滑にすることができる。ここで、レベリング剤として炭素原子の数が8以下であるアルカンスルホン酸又はその塩(例えば、メタンスルホン酸やエタンスルホン酸)を用いると、アルカンスルホン酸の水溶性が高く、被めっき物表面への吸着が起こらないため、レベリング剤として作用せず、めっき皮膜を平滑にする効果がない。また、レベリング剤として炭素原子の数が19個以上であるアルカンスルホン酸又はその塩を用いると、アルカンスルホン酸又はその塩の水溶性が低いため、めっき液中にアルカンスルホン酸又はその塩を溶解することができない。これらに対し、本発明では、レベリング剤として炭素原子の数が9個~18個であるアルカンスルホン酸又はその塩を用いたので、めっき液中でフェニル基含有のノニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸を可溶化させる相互作用が生じる。この結果、この炭素原子の数が9個~18個であるアルカンスルホン酸又はその塩とフェニル基含有のノニオン系界面活性剤による錫表面への特異吸着により、平滑な錫合金めっきが得られる。
【0020】
また、本発明の第1の観点の錫合金めっき液では、アルカンスルホン酸又はその塩の含有量が0.01g/L~1g/Lであるので、フェニル基含有のノニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸を容易に可溶化させることができ、相互作用が生じ易いという効果を奏する。
【0021】
本発明の第2の観点の錫合金めっき液では、アルカンスルホン酸又はその塩の分子内の炭素原子の数が10個~17個であるので、液中でフェニル基含有のノニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸又はその塩を可溶化させる相互作用がより速やかに生じる。この結果、炭素原子の数が10個~17個であるアルカンスルホン酸又はその塩とフェニル基含有の界面活性剤による錫表面への特異吸着により、より平滑な錫合金めっきが得られる。
【0022】
本発明の第3の観点の錫合金めっき液では、アルカンスルホン酸が第二級アルカンスルホン酸又はその塩であるので、第一級アルカンスルホン酸又はその塩よりも、めっき液中への溶解性が僅かに向上しつつ、フェニル基含有のノニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸を溶解させる相互作用がより速やかに生じるという効果を奏する。
【0023】
本発明の第4の観点の錫合金めっき液では、錫よりも貴な金属が銀又は銅であるので、はんだ濡れ性、実装強度、曲げ性及びリフロー性に優れ、ウィスカーが生成しにくいなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明実施例3のバンプ外観を示す走査型電子顕微鏡写真図である。
【
図2】比較例2のバンプ外観を示す走査型電子顕微鏡写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明の錫合金めっき液は、(A)少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩と、(B)錫よりも貴な金属の可溶性塩と、(C)分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤と、(D)フェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤と、(E)遊離酸とを含む。
【0026】
〔錫合金〕
本実施形態の錫合金めっき液で作られる錫合金は、錫(Sn)と、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ビスマス(Bi)より選ばれた所定金属との合金であり、例えば、SnAg合金、SnCu合金、SnAu合金、SnBi合金等の2元合金、SnCuAg合金等の3元合金が挙げられる。
【0027】
〔少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)〕
本実施形態の錫合金めっき液において用いられる少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)は、水に溶解して二価の錫イオンを生成する塩である。可溶性塩の例としては、ハロゲン化物、硫酸塩、酸化物、炭素数9未満のアルカンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩及びアルカノールスルホン酸塩が挙げられる。アルカンスルホン酸塩の具体例としては、メタンスルホン酸塩及びエタンスルホン酸塩が挙げられる。アリールスルホン酸塩の具体例としては、ベンゼンスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩、クレゾールスルホン酸塩及びトルエンスルホン酸塩が挙げられる。アルカノールスルホン酸塩の具体例としては、イセチオン酸塩が挙げられる。
【0028】
少なくとも第一錫塩を含む可溶性塩(A)(以下、可溶性錫塩(A)という)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態の錫合金めっき液における可溶性錫塩(A)の含有量は、錫の量に換算して、好ましくは5g/L以上200g/L以下の範囲、更に好ましくは20g/L以上100g/L以下の範囲である。可溶性錫塩(A)の含有量が過度に少ない場合は、一般的にバンプめっきで使用される電流密度1~20ASD(1平方デシメートル当りのアンペア)の範囲で、錫の析出が正常に起きにくくなり、良好なバンプ成形ができなくなるおそれがある。一方、可溶性錫塩(Aの含有量が過度に高い場合には、めっき液の粘度が高くなることによりバンプ形成ができにくくなる他、必要以上に錫を含むため、めっき浴のコストが高くなるおそれがある。
【0029】
〔錫より貴な金属の可溶性塩(B)〕
本実施形態の錫合金めっき液において用いられる錫より貴な金属の可溶性塩(B)は、水に溶解する塩である。錫より貴な金属としては、銀、銅、金及びビスマスより選ばれる少なくとも1種又は2種以上の金属を挙げることができる。これらの錫より貴な金属の可溶性塩(B)の例は、可溶性錫塩(A)の例と同じである。これらの金属の中で、銀又は銅を含むことが好ましい。これは、はんだ濡れ性、実装強度、曲げ性及びリフロー性に優れ、ウィスカーが生成しにくいなどの効果があるからである。錫と銀の合金(SnAg合金)は、共晶組成(Sn-3.5質量%Ag)での融点が221℃と低融点であり、また錫と銅の合金(SnCu合金)は、共晶組成(Sn-1.7質量%Cu)での融点227℃と低融点であり、いずれも、はんだ濡れ性、実装強度、曲げ性及びリフロー性に優れ、ウィスカーが生成しにくいなどの利点がある。錫より貴な金属の可溶性塩(B)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態のめっき液における錫より貴な金属の可溶性塩(B)の含有量は、金属の量に換算して、好ましくは0.01g/L以上10g/L以下の範囲、更に好ましくは0.1g/L以上2g/L以下の範囲である。錫より貴な金属の可溶性塩(B)の含有量が過度に少ない場合、又は過度に多い場合は、析出するはんだ合金の組成を共晶組成とすることができず、はんだ合金としての特性が得られなくなる。
【0030】
〔レベリング剤(C)〕
分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤(C)は、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成するとともにめっき皮膜を平滑にし、更にビアフィリング性を高め、ボイドの発生を抑制するために添加される。分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸は、次の式(1)又は式(2)で示され、分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸塩は、次の式(3)又は式(4)で示される。
R1-SO3H ……(1)
R2-HC(SO3H)-R3 ……(2)
R1-SO3Na ……(3)
R2-HC(SO3Na)-R3 ……(4)
式(1)及び式(3)において、R1はアルキル基であり、分子内にR1の炭素原子の数(分子内の総炭素数)が9個~18個、好ましくは10個~17個である。また、式(2)及び式(4)において、R2及びR3はアルキル基であり、分子内の炭素原子の合計数(分子内の総炭素数)が9個~18個、好ましくは10個~17個である。
【0031】
ここで、分子内の総炭素数が8個以下のアルカンスルホン酸又はその塩を用いると、例えばメタンスルホン酸やエタンスルホン酸を用いると、アルカンスルホン酸の水溶性が高く、被めっき物表面への吸着が起こらないため、レベリング剤として作用せず、めっき皮膜を平滑にする効果がないという不具合がある。また、分子内の総炭素数が19個以上であるアルカンスルホン酸又はその塩を用いると、アルカンスルホン酸の水溶性が低いため、めっき液中にアルカンスルホン酸が溶解することができないという不具合がある。
【0032】
アルカンスルホン酸は、第一級アルカンスルホン酸、第二級アルカンスルホン酸又はそれらの塩であることが好ましく、第二級アルカンスルホン酸又はその塩であることが更に好ましい。ここで、レベリング剤(C)として第二級アルカンスルホン酸又はその塩を用いることが更に好ましいのは、第一級アルカンスルホン酸又はその塩よりも、めっき液中への溶解性が僅かに向上し、めっき液中でフェニル基含有のノニオン系界面活性剤がアルカンスルホン酸又はその塩を可溶化させる相互作用がより速やかに生じるという理由に基づく。式(1)で示される第一級アルカンスルホン酸としては、1-ノナンスルホン酸、1-デカンスルホン酸、1-ドデシルスルホン酸、1-テトラデカンスルホン酸、1-ヘキサデカンスルホン酸、1-オクタデカンスルホン酸等が挙げられる。また、式(3)で示される第一級アルカンスルホン酸塩としては、1-ノナンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸カリウム、1-ドデシルスルホン酸ナトリウム、1-ドデシルスルホン酸カリウム、1-テトラデカンスルホン酸カリウム、1-ヘキサデカンスルホン酸なトリム、1-オクタデカンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
一方、式(2)で示される第二級アルカンスルホン酸としては、ノナン-sec-スルホン酸、ドデシル-sec-スルホン酸、テトラデシル-sec-スルホン酸、ヘプタデシル-sec-スルホン酸、オクタデカン-sec-スルホン酸等が挙げられる。また、式(4)で示される第二級アルカンスルホン酸塩としては、ノナン-sec-スルホン酸ナトリウム、ドデシル-sec-スルホン酸カルシウム、テトラデシル-sec-スルホン酸ナトリウム、ヘプタデシル-sec-スルホン酸カリウム、オクタデカン-sec-スルホン酸ナトリウム等が挙げられる。ここで、アルカンスルホン酸又はその塩の含有量が0.01g/L~1g/Lであることが好ましく、0.02g/L~0.5g/Lであることが更に好ましい。アルカンスルホン酸又はその塩の好ましい含有量を0.01g/L~1g/Lの範囲内に限定したのは、0.01g/L未満ではその添加効果が十分でなく、1g/Lを超えるとめっき皮膜の平滑化を阻害するおそれがあるからである。
【0034】
〔分子内にフェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤(D)〕
分子内にフェニル基を1個以上含むノニオン系界面活性剤(D)(以下、フェニル基含有ノニオン系界面活性剤(D)という)は、錫合金めっき液と被めっき物との親和性を高める作用と、錫合金めっき膜形成時にめっき膜の表面に吸着してめっき膜内の錫合金の結晶成長を抑制して、結晶を微細化することにより、めっき膜の外観向上、被めっき物との密着性向上、膜厚均一化などの作用がある。
【0035】
フェニル基含有ノニオン系界面活性剤(D)の具体例としては、フェノール、オチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールF、クミルフェノール、ポリスチレン化フェノール、ポリスチレン化クレゾール、トリベンジルフェノール、β-ナフトールなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を5モル~50モル付加縮合させたものが挙げられる。これらのフェニル基含有ノニオン系界面活性剤(D)は2種以上を混合して併用してもよい。また、本実施形態の錫合金めっき液におけるフェニル基含有ノニオン系界面活性剤(D)の添加量は、0.01g/L以上50g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上40g/L以下の範囲、より好ましくは1g/L以上30g/L以下の範囲である。
【0036】
〔遊離酸(E)〕
遊離酸(E)としては、塩化水素、臭化水素、硫酸、アルカンスルホン酸(炭素原子の数:1~6)、アリールスルホン酸又はアルカノールスルホン酸が挙げられる。アルカンスルホン酸の具体例としては、メタンスルホン酸(炭素原子の数:1)や、エタンスルホン酸(炭素原子の数:2)が挙げられるが、本実施の形態のレベリング剤(C)として用いられる炭素原子の数が7以上18以下であるアルカンスルホン酸は、遊離酸(E)としては用いられない。アリールスルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸又はトルエンスルホン酸が挙げられる。アルカノールスルホン酸の具体例としては、イセチオン酸が挙げられる。遊離酸(E)は、錫合金めっき液の導電性を高める作用がある。また、遊離酸(E)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態の錫合金めっき液における遊離酸の含有量は、好ましくは5g/L以上500g/L以下の範囲、更に好ましくは30g/L以上300g/L以下の範囲である。
【0037】
〔添加剤〕
本実施形態の錫合金めっき液は、酸化防止剤、錫用の錯体化剤、pH調整剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。
【0038】
〔酸化防止剤〕
本実施形態の錫合金めっき液は、必要に応じて酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は錫合金めっき液中のSn2+の酸化防止を目的としたものである。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸又はその塩、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシノール、トリヒドロキシベンゼン、カテコール、クレゾールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。例えば、酸性浴では、ヒドロキノンスルホン酸又はその塩、中性浴ではアスコルビン酸又はその塩などが好ましい。また、酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態の錫合金めっき液における酸化防止剤の添加量は、一般に0.01g/L以上20g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上10g/L以下の範囲、より好ましくは0.1g/L以上5g/L以下の範囲である。
【0039】
〔錫用の錯体化剤〕
本実施形態の錫合金めっき液は、酸性、弱酸性、中性などの任意のpH領域の錫合金めっき浴に適用できる。Sn2+イオンは強酸性(pH:<1)では安定であるが、酸性から中性付近(pH:1~7)では白色沈澱を生じ易い。このため、本実施形態の錫合金めっき液を中性付近の錫めっき浴に適用する場合には、Sn2+イオンを安定化させる目的で、錫用の錯体化剤を添加するのが好ましい。
【0040】
錫用の錯体化剤としては、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸を使用できる。具体例としては、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。また、エチレンジアミン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)-N,N,N',N'-テトラ酢酸、メルカプトトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、或はこれらの塩などのポリアミンやアミノカルボン酸類も錫用の錯体化剤として有効である。
【0041】
錫用の錯体化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態の錫合金めっき液における錫用の錯体化剤の添加量は、0.01g/L以上20g/L以下の範囲、好ましくは0.1g/L以上10g/L以下の範囲である。
【0042】
〔pH調整剤〕
本実施形態の錫合金めっき液は、必要に応じてpH調整剤を含むことができる。pH調整剤の例としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられる。また、pH調整剤としては、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
【0043】
本実施形態の錫合金めっき液は、可溶性錫塩(A)と、錫よりも貴な金属の可溶性塩(B)と、分子内に炭素原子を9個~18個含むアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤(C)と、フェニル基含有ノニオン系界面活性剤(D)と、遊離酸(E)と、その他の成分(錫の錯体化剤等)と、水とを混合することによって調製することができる。錫合金めっき液が上記成分を含むことにより、レベリング剤として芳香族カルボニル化合物(ベンザルアセトン、桂皮酸、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒドなど)を用いずに、電気めっき時に長期間にわたりレベリング剤を補給することなく、めっき皮膜を均一かつ緻密に形成できるとともにめっき皮膜を平滑にすることができる。
【0044】
本実施形態のめっき液を用いためっき膜の形成方法としては、上述したように電気めっきを用いる。電気めっきによるめっき膜形成時の電流密度は、0.1ASD以上100A/SD以下の範囲、好ましくは0.5ASD以上20ASD以下の範囲である。液温は、10℃以上50℃以下の範囲、より好ましくは20℃以上40℃以下の範囲である。
【実施例】
【0045】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0046】
<実施例1>
メタンスルホン酸錫水溶液に、遊離酸としてのメタンスルホン酸と、銀の錯体化剤として3,6-ジチア-1,8-オクタンジオールと、フェニル基含有ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンフェニルエーテル(フェノールにエチレンオキシド(EO)を5モル付加縮合して得られたもの)と、アルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤として1-ノナンスルホン酸ナトリウムとを混合して溶解させた後、更にメタンスルホン酸銀液を加えて混合した。そして、最後にイオン交換水を加えて、下記組成のSnAgめっき液(錫合金めっき液)を建浴した。なお、メタンスルホン酸錫水溶液は、金属錫板を、メタンスルホン酸銀水溶液は、金属銀板を、それぞれメタンスルホン酸水溶液中で電解させることにより調製した。
【0047】
(SnAgめっき液(錫合金めっき液)の組成)
メタンスルホン酸錫(Sn2+として):50g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として):0.5g/L
3,6-ジチア-1,8-オクタンジオール(銀用の錯体化剤として):1g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として):100g/L
ポリオキシエチレンフェニルエーテル(フェニル基含有ノニオン系界面活性剤):5g/L
1-ノナンスルホン酸ナトリウム(アルカンスルホン酸塩からなるレベリング剤として):1g/L
イオン交換水:残部
【0048】
<実施例2~18及び比較例1~7>
フェニル基含有ノニオン系界面活性剤の種類及びその含有割合と、アルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤の種類及びその含有割合を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてSnAgめっき液(錫合金めっき液)を建浴した。なお、実施例2~9、15、17、及び比較例2~7のSnAgめっき液において、フェニル基含有ノニオン系界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)を表2に示すモル数(EO付加モル数)だけ付加縮合して得たけれども、プロピレンオキシド(PO)は添加しなかった。また、実施例10~14、16及び18のSnAgめっき液において、フェニル基含有ノニオン系界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)の双方を表2に示すそれぞれのモル数(EO付加モル数及びPO付加モル数)だけ付加縮合して得た。更に、表2中、分類A~Oで示されるフェニル基含有ノニオン系界面活性剤と、分類A~Sで示されるアルカンスルホン酸又はその塩からなるレベリング剤を表1に示す。
【0049】
一方、表2のアルカンスルホン酸又はその塩の欄における『式』は、次の式(1)~式(4)のいずれかである。
R1-SO3H ……(1)
R2-HC(SO3H)-R3 ……(2)
R1-SO3Na ……(3)
R2-HC(SO3Na)-R3 ……(4)
式(1)及び式(3)におけるR1と、式(2)及び式(4)におけるR2及びR3は、アルキル基である。また、表2のアルカンスルホン酸又はその塩の欄における『含有割合』は、SnAgめっき液を100質量%としたときのアルカンスルホン酸又はその塩の含有割合である。
【0050】
<比較試験1>
実施例1~18及び比較例1~7のSnAgめっき液(錫合金めっき液)を電解液とし、この電解液を液温30℃に調整して、電解液にシリコンウェーハ(中央に直径75μmの円形の露出部を残した状態で、表面に厚さ50μmのレジスト膜を形成した。)を浸漬し、4ASDの電流密度で電解めっきを行って、シリコンウェーハの円形の露出部に厚さ40μmのバンプを形成した。次に、このバンプが形成されたシリコンウェーハ表面から有機溶媒でレジストを剥離した。更に、レーザ顕微鏡(オリンパス社製:OLS3000)を用いて、バンプ頭頂部の中央付近10μm四方の算術平均表面粗さRaを算出した。そして、Raが0.5μm未満であったものを『良』とし、Raが0.5μm以上0.7μm未満であったものを『可』とし、Raが0.7μm以上であったものを『不可』とした。
【0051】
【0052】
【0053】
<評価1>
表1及び表2から明らかなように、比較例1では、フェニル基を有しないノニオン系界面活性剤を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.94μmと大きくなり不可であった。
【0054】
比較例2では、アルカンスルホン酸塩が式(3)に該当するけれども、分子内の総炭素数が8個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)より少ないアルカンスルホン酸塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.79μmと大きくなり不可であった。
【0055】
比較例3では、アルカンスルホン酸が式(1)に該当するけれども、分子内の総炭素数が19個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)より多いアルカンスルホン酸塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.96μmと大きくなり不可であった。
【0056】
比較例4では、アルカンスルホン酸塩が式(4)に該当するけれども、分子内の総炭素数が8個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)より少ないアルカンスルホン酸塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.87μmと大きくなり不可であった。
【0057】
比較例5では、アルカンスルホン酸塩が式(4)に該当するけれども、分子内の総炭素数が19個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)より多いアルカンスルホン酸塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.81μmと大きくなり不可であった。
【0058】
比較例6では、式(3)及び式(4)のいずれにも該当しないアルカンスルホン酸塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.82μmと大きくなり不可であった。
【0059】
比較例7では、アルカンスルホン酸又はその塩を含まないSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは1.02μmと大きくなり不可であった。
【0060】
これらに対し、実施例1~9、15及び16では、式(1)又は式(3)に該当するアルカンスルホン酸又はその塩であって、分子内の総炭素数が9個~18個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)内にあるアルカンスルホン酸又はその塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.12μm~0.62μmと小さくなり良又は可であった。
【0061】
但し、実施例15では、アルカンスルホン酸塩の含有割合が2g/Lと好ましい範囲(0.01~1g/L)より多いSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.59μmとやや大きくなり可であった。
【0062】
また、実施例16では、アルカンスルホン酸の含有割合が0.005g/Lと好ましい範囲(0.01~1g/L)より少ないSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.62μmとやや大きくなり可であった。
【0063】
一方、実施例10~14、17及び18では、式(2)又は式(4)に該当するアルカンスルホン酸又はその塩であって、分子内の総炭素数が9個~18個と適切な範囲(分子内の総炭素数:9個~18個)内にあるアルカンスルホン酸又はその塩を含むSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.21μm~0.65μmと小さくなり良又は可であった。
【0064】
但し、実施例17では、アルカンスルホン酸塩の含有割合が1.5g/Lと好ましい範囲(0.01~1g/L)より多いSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.65μmとやや大きくなり可であった。
【0065】
また、実施例18では、アルカンスルホン酸塩の含有割合が0.005g/Lと好ましい範囲(0.01~1g/L)より少ないSnAgめっき液を用いてバンプを形成した。このため、バンプ頭頂部の表面粗さRaは0.51μmとやや大きくなり可であった。
【0066】
<比較試験2>
実施例3及び比較例2のめっき液を用いて形成されたバンプの外観を走査型電子顕微鏡にて撮影した。その結果を
図1及び
図2に示す。
【0067】
<評価2>
比較例2のめっき液を用いて形成されたバンプの頭頂部の表面粗さは
図2から明らかなように大きかったのに対し、実施例3のめっき液を用いて形成されたバンプの頭頂部の表面粗さは
図1から明らかなように小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の錫合金めっき液は、半導体ウエハやプリント基板のバンプ電極などのような電子部品の一部を形成するために利用することができる。