(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】バリデーション装置、バリデーション方法およびバリデーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/00 F
G01N35/00 Z
(21)【出願番号】P 2020539968
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2018032226
(87)【国際公開番号】W WO2020044517
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 覚
(72)【発明者】
【氏名】岡本 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】安井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-340907(JP,A)
【文献】特開2005-283332(JP,A)
【文献】米国特許第9298906(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部を備え
、
前記点検実行部は、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が前記表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す、バリデーション装置。
【請求項2】
前記分析制御ソフトウエアによる点検の結果が記載された報告書を作成する報告書作成部をさらに備えた、請求項
1記載のバリデーション装置。
【請求項3】
前記分析制御ソフトウエアを起動することにより前記1または複数の操作画像を前記表示部に表示させる起動部をさらに備えた、請求項1
または2記載のバリデーション装置。
【請求項4】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部と、
動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるモード切替部
とを備え、
前記点検実行部は、前記自動モード時に動作し、
前記分析制御ソフトウエアは、前記手動モード時に、前記自動モード時における前記1または複数の操作画像と同一の操作画像を前記表示部に表示させる
、バリデーション装置。
【請求項5】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部を備え、
前記1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、
前記1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、
前記点検実行部は、前記マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する
、バリデーション装置。
【請求項6】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを含
み、
前記点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が前記表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す、バリデーション方法。
【請求項7】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップと、
動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるステップとを含み、
前記点検を実行させるステップは、前記自動モード時に動作し、
前記分析制御ソフトウエアは、前記手動モード時に、前記自動モード時における前記1または複数の操作画像と同一の操作画像を前記表示部に表示させる、バリデーション方法。
【請求項8】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを含み、
前記1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、
前記1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、
前記点検を実行させるステップにおいて、前記マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する
、バリデーション方法。
【請求項9】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを、処理装置に実行させ
、
前記点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が前記表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す、バリデーションプログラム。
【請求項10】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップと、
動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるステップとを、処理装置に実行させ、
前記点検を実行させるステップは、前記自動モード時に動作し、
前記分析制御ソフトウエアは、前記手動モード時に、前記自動モード時における前記1または複数の操作画像と同一の操作画像を前記表示部に表示させる、バリデーションプログラム。
【請求項11】
分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、
前記分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、
前記分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、
前記表示部に前記1または複数の操作画像が表示された状態で前記1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより前記分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを、処理装置に実行させ、
前記1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、
1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、
前記点検を実行させるステップにおいて、前記マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する
、記載のバリデーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析制御ソフトウエアの検証を行うバリデーション装置、バリデーション方法およびバリデーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
分析システムにおいては、液体クロマトグラフまたはガスクロマトグラフ等の1以上の分析装置と、各分析装置を制御するための分析制御装置とが設けられることがある。分析制御装置は例えばパーソナルコンピュータであり、分析制御装置には所定の分析制御ソフトウエアがインストールされる。分析制御装置上で分析制御ソフトウエアが動作することにより、各分析装置の制御、データ収集、データ管理またはデータ処理が実行される。
【0003】
分析制御装置に分析制御ソフトウエアがインストールされた後には、当該インストールの妥当性の検証を行う必要がある。このような検証は、バリデーションと呼ばれ、据付時の分析制御ソフトウエアが仕様通りであることの検証、および分析制御ソフトウエアが定められた性能を満たしていることの検証を含む(例えば、特許文献1参照)。一般に、フィールドエンジニア等の技師(以下、点検作業者と呼ぶ。)が分析制御ソフトウエアについての点検項目を点検することにより検証が行われる。また、点検作業者は、点検結果等を記載した報告書を作成する。
【文献】特開2013-167593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の検証には多数の点検項目が含まれるため、これらの点検項目の各々を手作業により点検することは面倒である。そのため、検証を自動化することが望まれる。しかしながら、検証を自動化した場合、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができず、検証の信頼性が低下する。このように、検証の手間を軽減することと検証の信頼性を維持することとは相反し、これらの要求を両立することは容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することが可能なバリデーション装置、バリデーション方法およびバリデーションプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一局面に従うバリデーション装置は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーション装置は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部を備え、点検実行部は、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。
【0007】
このバリデーション装置においては、分析制御ソフトウエアにより表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドが順次生成される。この場合、分析制御ソフトウエアの点検のための一連の操作が当該分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、分析制御ソフトウエアの点検が実行される。
【0008】
この構成によれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
【0009】
また、点検実行部は、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。この構成によれば、分析制御ソフトウエアがインストールされた分析制御装置の性能が低く、表示部に表示される1または複数の操作画像の応答が遅い場合でも、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、当該1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを生成することができる。
【0010】
(2)バリデーション装置は、分析制御ソフトウエアによる点検の結果が記載された報告書を作成する報告書作成部をさらに備えてもよい。この場合、点検作業者は、分析制御ソフトウエアによる点検の結果が記載された報告書を手作業で作成する必要がない。これにより、点検作業者の手間をより低減することができる。また、点検の結果の転記ミスを防止することができる。
【0011】
(3)バリデーション装置は、分析制御ソフトウエアを起動することにより1または複数の操作画像を表示部に表示させる起動部をさらに備えてもよい。この場合、点検作業者は、分析制御ソフトウエアを手作業で起動する必要がない。これにより、点検作業者の手間をより低減することができる。
【0012】
(4)本発明の他の局面に従うバリデーション装置は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーション装置は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部と、動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるモード切替部とを備え、点検実行部は、自動モード時に動作し、分析制御ソフトウエアは、手動モード時に、自動モード時における1または複数の操作画像と同一の操作画像を表示部に表示させる。
この場合、自動モード時に表示部に表示される1または複数の操作画像が、手動モード時に点検作業者の手作業により表示部に表示される1または複数の操作画像と同一である。そのため、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かをより容易に確認することができる。
【0013】
(5)本発明のさらに他の局面に従うバリデーション装置は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部を備え、1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、点検実行部は、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する。
(6)本発明のさらに他の局面に従うバリデーション方法は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーション方法は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを含み、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。
【0014】
このバリデーション方法によれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
【0015】
また、バリデーション方法は、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。この構成によれば、分析制御ソフトウエアがインストールされた分析制御装置の性能が低く、表示部に表示される1または複数の操作画像の応答が遅い場合でも、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、当該1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを生成することができる。
(7)本発明のさらに他の局面に従うバリデーション方法は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーション方法は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップと、動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるステップとを含み、点検を実行させるステップは、自動モード時に動作し、分析制御ソフトウエアは、手動モード時に、自動モード時における1または複数の操作画像と同一の操作画像を表示部に表示させる。
この場合、自動モード時に表示部に表示される1または複数の操作画像が、手動モード時に点検作業者の手作業により表示部に表示される1または複数の操作画像と同一である。そのため、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かをより容易に確認することができる。
(8)本発明のさらに他の局面に従うバリデーション方法は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーション方法は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを含み、1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、バリデーション方法は、点検を実行させるステップにおいて、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する。
(9)本発明のさらに他の局面に従うバリデーションプログラムは、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーションプログラムは、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを、処理装置に実行させ、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。
【0016】
このバリデーションプログラムによれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
また、バリデーションプログラムは、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返す。この構成によれば、分析制御ソフトウエアがインストールされた分析制御装置の性能が低く、表示部に表示される1または複数の操作画像の応答が遅い場合でも、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、当該1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを生成することができる。
(10)本発明のさらに他の局面に従うバリデーションプログラムは、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーションプログラムは、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップと、動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるステップとを、処理装置に実行させ、点検を実行させるステップは、自動モード時に動作し、分析制御ソフトウエアは、手動モード時に、自動モード時における1または複数の操作画像と同一の操作画像を表示部に表示させる。
この場合、自動モード時に表示部に表示される1または複数の操作画像が、手動モード時に点検作業者の手作業により表示部に表示される1または複数の操作画像と同一である。そのため、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かをより容易に確認することができる。
(11)本発明のさらに他の局面に従うバリデーションプログラムは、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、分析制御ソフトウエアは、所定の操作画像が操作されることにより、当該操作画像に対応する点検項目の点検を実行可能であり、バリデーションプログラムは、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを、処理装置に実行させ、1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、バリデーションプログラムは、点検を実行させるステップにおいて、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行する。
【発明の効果】
【0017】
分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の一実施の形態に係るバリデーション装置を含む分析システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は自動モードにおいて表示部に表示される初期画面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は自動モードにおける表示部の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は点検結果を示す報告書の一例を示す図である。
【
図5】
図5はバリデーション装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6はバリデーションプログラムにより行われるバリデーション処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図7】
図7はバリデーションプログラムにより行われるバリデーション処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)分析システムの構成
以下、本発明の実施の形態に係るバリデーション装置、バリデーション方法およびバリデーションプログラムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るバリデーション装置を含む分析システムの構成を示す図である。
図1に示すように、分析システム100は、分析制御装置10および分析装置20を含む。分析システム100は、複数の分析装置20を含んでもよい。分析装置20は、液体クロマトグラフまたはガスクロマトグラフである。
【0020】
分析制御装置10は、CPU(中央演算処理装置)11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、ROM(リードオンリメモリ)13、記憶部14、操作部15、表示部16および入出力I/F(インターフェイス)17により構成される。CPU11、RAM12、ROM13、記憶部14、操作部15、表示部16および入出力I/F17はバス18に接続される。CPU11、RAM12およびROM13がバリデーション装置1を構成する。
【0021】
RAM12は、CPU11の作業領域として用いられる。ROM13にはシステムプログラムが記憶される。記憶部14は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含む。記憶部14に分析装置20を制御するための分析制御プログラムが記憶されることにより、分析制御装置10に分析制御ソフトウエアがインストールされる。
【0022】
分析制御装置10に分析制御ソフトウエアがインストールされた後には、当該インストールの妥当性の検証を行う必要がある。この妥当性は、分析制御ソフトウエアについて所定の点検が行われることにより検証される。分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部16に表示させる機能を有する。
【0023】
また、記憶部14には、バリデーションプログラムが記憶されている。なお、バリデーションプログラムは、記憶部14とは異なる記憶媒体に記憶されていてもよい。CPU11が記憶部14等に記憶されたバリデーションプログラムをRAM12上で実行することにより、バリデーション処理が行われる。バリデーション処理は、表示部16に表示された上記の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させる処理である。
【0024】
操作部15は、キーボード、マウスまたはタッチパネル等の入力デバイスである。表示部16は、液晶表示装置等の表示デバイスである。後述する点検作業者は、操作部15を用いてバリデーション装置1に各種指示を行うことができる。表示部16は、分析制御ソフトウエアによる制御の実行画面またはバリデーション装置1によるバリデーション処理の実行画面等を表示する。入出力I/F17は、分析装置20に接続される。
【0025】
(2)バリデーション装置の動作
バリデーション装置1は、手動モードと自動モードとで選択的に動作する。手動モードにおいては、フィールドエンジニア等の技師(以下、点検作業者と呼ぶ。)が分析装置20の種類に応じて必要な点検項目の各々を手作業により点検する。なお、点検項目の一例としては、時刻設定およびその確認、分析制御プログラムの改ざんチェックおよび分析制御ソフトウエアのバージョン確認ならびに使用者の認証機能の動作確認等が含まれる。
【0026】
各点検項目の点検時には、分析制御ソフトウエアにより当該点検項目に対応したウィンドウがGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)として表示部16に表示される。ウィンドウには、1以上のメニューまたはボタン等のアイコンが操作画像として表示される。点検作業者は、操作部15を用いて各点検項目に対応するウィンドウの所定の操作画像を操作することにより、当該点検項目を点検することができる。また、点検作業者は、点検結果、点検作業者の氏名および点検実施日時等を記載した報告書を作成する。
【0027】
自動モードにおいては、点検作業者により指定された点検項目の少なくとも一部が自動的に点検される。
図2は、自動モードにおいて表示部16に表示される初期画面の一例を示す図である。
図2に示すように初期画面30は、複数の情報入力部31、項目選択リスト32および開始ボタン33を含む。各情報入力部31は、文字列を入力するための欄またはプルダウンメニューである。点検作業者は、操作部15を用いて各情報入力部31を操作することにより、分析システム100の使用者に関する情報および分析装置20に関する情報等をバリデーション装置1に設定することができる。
【0028】
開始ボタン33には、設定された分析装置20に対応する複数(
図2の例では12個)の点検項目が表示されるとともに、複数の点検項目にそれぞれ対応する複数のチェックボックス32aが表示される。以下の説明では、N個の点検項目をそれぞれ第1~第Nの点検項目(Nは1以上の整数)と呼ぶ。点検作業者は、操作部15を用いて所望の点検項目に対応するチェックボックス32aを操作することにより、必要な点検項目を指定することができる。
【0029】
その後、点検作業者が操作部15を用いて開始ボタン33を操作することにより、分析制御ソフトウエアが起動し、指定された点検項目の点検が自動的に開始される。ここで、点検項目の点検を自動化した場合、手作業による点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができない。そこで、自動モードにおける各点検項目の点検時には、手動モードにおける点検項目の点検時に表示されるGUIと同一のGUIが表示部16に表示される。自動モードにおいて、GUIの表示を視認することにより、手作業による点検と同一の点検が行われていることを容易に確認することができる。
【0030】
図3は、自動モードにおける点検の実行画面40の一例を示す図である。
図3の例においては、所定の点検項目の点検に対応する複数のウィンドウ41,42が状態で表示されている。ウィンドウ41には複数の操作画像41aが表示され、ウィンドウ42には複数の操作画像42aが表示される。この例においては、ウィンドウ41の所定の操作画像41aが操作されることにより、ウィンドウ42が表示され、ウィンドウ41が非アクティブ状態となる。その後、ウィンドウ42の所定の操作画像42aが操作されることにより、当該点検項目の点検が終了する。
【0031】
なお、複数の操作画像の各々には、固有の識別子が付与されている。自動モードにおいては、所定の操作画像が表示部16に表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドが生成されることにより、当該操作画像の操作が行われることとなる。したがって、複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロを予め生成することにより、一連の操作画像の操作からなる点検を自動的に行うことができる。
【0032】
ここで、いずれかのウィンドウにおいて操作画像が操作された後、次のウィンドウが表示されるまでの応答時間は分析制御装置10の性能により異なる。所定の操作画像を含むウィンドウが表示される前に当該操作画像の識別子を指定するための操作コマンドが生成されても、当該操作画像の操作は行われない。そこで、各操作コマンドによる操作画像の識別子の指定が受け付けられない場合には、所定の待機時間が設けられ、待機時間の経過後に当該操作コマンドが再度生成される。これにより、ウィンドウの表示の応答が遅い場合でも、当該ウィンドウに含まれる操作画像の操作を行うことができる。
【0033】
指定された点検項目の点検の終了後、点検結果を示す報告書が自動的に作成される。
図4は、点検結果を示す報告書の一例を示す図である。報告書50は、例えばPDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)形式の電子ファイルであり、
図4には報告書50の第1頁目のみが図示されている。報告書50は、点検結果、点検作業者の氏名および点検実施日時等が所定のフォーマットに転記されることにより作成される。そのため、点検作業者は報告書を手作業で作成する必要がない。これにより、点検作業者の手間がより低減される。また、点検結果等の転記ミスを防止することができる。
【0034】
(3)バリデーション処理
図5は、バリデーション装置1の構成を示す図である。
図6および
図7は、バリデーションプログラムにより行われるバリデーション処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
図5に示すように、バリデーション装置1は、機能部として、モード切替部A、指定受付部B、点検項目設定部C、起動部D、点検受付部E、点検実行部Fおよび報告書作成部Gを含む。
【0035】
図1のCPU11が記憶部14等に記憶されたバリデーションプログラムを実行することにより、バリデーション装置1の機能部が実現される。バリデーション装置1の機能部の一部または全てが電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。以下、
図5のバリデーション装置1ならびに
図6および
図7のフローチャートを用いてバリデーション処理を説明する。
【0036】
モード切替部Aは、点検作業者による操作部15の操作に基づいてバリデーション装置1の動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えることができる。ここで、モード切替部Aは、動作モードが自動モードであるか否かを判定する(ステップS1)。動作モードが自動モードでない場合、すなわち手動モードである場合、モード切替部Aはバリデーション処理を終了する。この場合、点検作業者の手作業により分析制御ソフトウエアのインストールの妥当性の検証および報告書の作成が行われる。
【0037】
動作モードが自動モードである場合、指定受付部Bは点検項目の指定が受け付けられたか否かを判定する(ステップS2)。点検作業者は、操作部15を用いて
図2の初期画面30に所定の操作を行うことにより1以上の点検項目を指定することができる。点検項目の指定が受け付けられない場合、指定受付部Bは、点検項目の指定が受け付けられるまで待機する。
【0038】
点検項目の指定が受け付けられた場合、点検項目設定部Cは、受け付けられた点検項目を設定する(ステップS3)。その後、起動部Dは、分析制御ソフトウエアを起動させる(ステップS4)。また、点検項目設定部Cは、変数iの値を1に設定し(ステップS5)、第1の点検項目が設定されているか否かを判定する(ステップS6)。第1の点検項目が設定されていない場合、点検項目設定部CはステップS8に進む。
【0039】
第1の点検項目が設定されている場合、点検受付部Eは、第1の点検項目の点検が終了したか否かを判定する(ステップS7)。本例においては、第1の点検項目は、時刻設定およびその確認に該当する。この場合、点検作業者は、時報等により現時刻を確認し、確認された現時刻を操作部15を用いて点検受付部Eに入力する。
【0040】
点検受付部Eが当該入力を受け付け、受け付けられた入力を分析制御ソフトウエアに設定することにより、第1の点検項目の点検が終了する。第1の点検項目の点検が終了していない場合、点検受付部Eは、第1の点検項目の点検が終了するまで待機する。第1の点検項目の点検が終了した場合、点検受付部EはステップS8に進む。
【0041】
ステップS8で、点検項目設定部Cは、変数iの値がNであるか否かを判定する(ステップS8)。変数iの値がNである場合、点検項目設定部CはステップS16に進む。変数iの値がNでない場合、点検項目設定部Cは、変数iの値を1だけ増加させ(ステップS9)、第iの点検項目が設定されているか否かを判定する(ステップS10)。第iの点検項目が設定されていない場合、点検項目設定部CはステップS8に戻る。
【0042】
第iの点検項目が設定されている場合、点検実行部Fは、操作画像の識別子を指定する操作コマンドを生成する(ステップS11)。次に、生成された操作コマンドが分析制御ソフトウエアに受け付けられたか否かを判定する(ステップS12)。ここで、生成された操作コマンドに対応するGUIの操作画像が表示部16に表示されている場合、当該操作コマンドが分析制御ソフトウエアに受け付けられ、第iの点検項目の点検の少なくとも一部が実行される。
【0043】
この場合、点検実行部Fは、第iの点検項目の点検が終了したか否かを判定する(ステップS13)。第iの点検項目の点検が終了していない場合、点検実行部Fは、ステップS11に戻る。第iの点検項目の点検が終了した場合、点検実行部FはステップS8に戻る。
【0044】
一方、ステップS11で生成された操作コマンドに対応するGUIの操作画像が表示部16に表示されていない場合、当該操作コマンドは分析制御ソフトウエアに受け付けられない。この場合、点検実行部Fは待機を終了するか否かを判定する(ステップS14)。ここで、後述するステップS15が予め定められた回数だけ実行された場合、点検実行部Fは待機を終了すると判定する。待機を終了する場合、点検は中断され、点検実行部FはステップS16に進む。待機を終了しない場合、点検実行部Fは、所定時間だけ待機し(ステップS15)、ステップS11に戻る。
【0045】
ステップS16で、報告書作成部Gは報告書50を作成し(ステップS16)、バリデーション処理を終了する。ここで、ステップS8からステップS16に進んだ場合、生成された報告書50には、ステップS3で設定された全ての点検項目についての点検結果が記載される。一方、ステップS14からステップS16に進んだ場合、生成された報告書50には、中断された点検項目についての点検結果としては「不合格」である旨が記載され、それ以降の点検項目についての点検結果は記載されない。
【0046】
(4)効果
本実施の形態に係るバリデーション装置1においては、分析制御ソフトウエアにより表示部16にGUIが表示された状態で、GUIを操作するための操作コマンドが点検実行部Fにより順次生成される。この場合、分析制御ソフトウエアの点検のための一連の操作が当該分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、分析制御ソフトウエアの点検が実行される。
【0047】
この構成によれば、点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部16に表示されたGUIの挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
【0048】
また、自動モード時に表示部16に表示されるGUIは、手動モード時に点検作業者の手作業により表示部16に表示されるGUIと同一である。そのため、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かをより容易に確認することができる。さらに、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が行われていることを分析システム100の使用者に容易に説明することができる。
【0049】
(5)他の実施の形態
上記実施の形態において、第1の点検項目の点検は自動的に行われず、点検作業者により手作業で行われるが、本発明はこれに限定されない。分析制御装置10が、例えばインターネットまたはGPS(全地球測位システム)衛星等に接続可能に設置され、現時刻の取得が可能である場合には、第1の点検項目の点検は自動的に行われてもよい。この場合、バリデーション処理におけるステップS6,S7は実行されず、点検項目設定部Cは、ステップS5の後にステップS10を実行する。
【0050】
また、上記実施の形態において、バリデーション装置1は起動部Dおよび報告書作成部Gを含むが、本発明はこれに限定されない。点検作業者が分析制御ソフトウエアを手作業で起動する場合には、バリデーション装置1は起動部Dを含まなくてもよい。同様に、点検作業者が手作業で報告書を作成する場合には、バリデーション装置1は報告書作成部Gを含まなくてもよい。
(6)参考形態
(6-1)本発明の第1の参考形態に係るバリデーション装置は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション装置であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、バリデーション装置は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させる点検実行部を備える。
このバリデーション装置においては、分析制御ソフトウエアにより表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドが順次生成される。この場合、分析制御ソフトウエアの点検のための一連の操作が当該分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、分析制御ソフトウエアの点検が実行される。
この構成によれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
(6-2)点検実行部は、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返してもよい。この構成によれば、分析制御ソフトウエアがインストールされた分析制御装置の性能が低く、表示部に表示される1または複数の操作画像の応答が遅い場合でも、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で、当該1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを生成することができる。
(6-3)バリデーション装置は、分析制御ソフトウエアによる点検の結果が記載された報告書を作成する報告書作成部をさらに備えてもよい。この場合、点検作業者は、分析制御ソフトウエアによる点検の結果が記載された報告書を手作業で作成する必要がない。これにより、点検作業者の手間をより低減することができる。また、点検の結果の転記ミスを防止することができる。
(6-4)バリデーション装置は、分析制御ソフトウエアを起動することにより1または複数の操作画像を表示部に表示させる起動部をさらに備えてもよい。この場合、点検作業者は、分析制御ソフトウエアを手作業で起動する必要がない。これにより、点検作業者の手間をより低減することができる。
(6-5)バリデーション装置は、動作モードを自動モードと手動モードとの間で切り替えるモード切替部をさらに備え、点検実行部は、自動モード時に動作し、分析制御ソフトウエアは、手動モード時に、自動モード時における1または複数の操作画像と同一の操作画像を表示部に表示させてもよい。この場合、自動モード時に表示部に表示される1または複数の操作画像が、手動モード時に点検作業者の手作業により表示部に表示される1または複数の操作画像と同一である。そのため、点検作業者は、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かをより容易に確認することができる。
(6-6)1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、点検実行部は、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行してもよい。
(6-7)本発明の第2の参考形態に係るバリデーション方法は、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーション方法であって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、バリデーション方法は、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを含む。
このバリデーション方法によれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
(6-8)バリデーション方法は、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返してもよい。
(6-9)1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、バリデーション方法は、点検を実行させるステップにおいて、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行してもよい。
(6-10)本発明の第3の参考形態に係るバリデーションプログラムは、分析装置を制御する分析制御ソフトウエアを検証するためのバリデーションプログラムであって、分析制御ソフトウエアは、当該分析制御ソフトウエアの点検のための操作を受け付ける1または複数の操作画像を表示部に表示させる機能を有し、バリデーションプログラムは、表示部に1または複数の操作画像が表示された状態で1または複数の操作画像を操作するための操作コマンドを順次生成することにより分析制御ソフトウエアに点検を実行させるステップを、処理装置に実行させる。
このバリデーションプログラムによれば、分析制御ソフトウエアの点検を管理する点検作業者は、分析制御ソフトウエアを点検するための手作業を行う必要がない。そのため、分析制御ソフトウエアの検証の手間が軽減される。また、点検作業者は、表示部に表示された1または複数の操作画像の挙動を視認することにより、操作コマンドが分析制御ソフトウエアに順次受け付けられ、受け付けられた操作コマンドに応答して分析制御ソフトウエアの点検の手順が進行する様子を認識することができる。したがって、手作業により行われるべき点検と同一の点検が適切に行われたか否かを容易に確認することができる。これらの結果、分析制御ソフトウエアの検証の手間を軽減しつつ検証の信頼性を維持することができる。
(6-11)バリデーションプログラムは、点検を実行させるステップにおいて、各操作画像を操作するための操作コマンドの生成時に当該操作画像が表示部に表示されていない場合には、所定時間ごとに当該操作コマンドの生成を繰り返してもよい。
(6-12)バリデーションプログラムは、1または複数の操作画像の各々には固有の識別子が付与されており、1または複数の操作画像の識別子を順次指定するための複数の操作コマンドからなるマクロが予め設定されており、点検を実行させるステップにおいて、マクロに基づいて、所定の操作画像が表示された状態で当該操作画像の識別子を指定する操作コマンドを順次生成することにより、当該操作画像の操作を順次実行してもよい。