(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】会議室管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220913BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20220913BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220913BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q10/02
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2021051687
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】壁谷 昇吾
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182408(JP,A)
【文献】特開2018-181223(JP,A)
【文献】特開2019-074977(JP,A)
【文献】特開2016-218557(JP,A)
【文献】特開2018-085045(JP,A)
【文献】特開2010-049456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議室の利用を管理する会議室管理システムであって、
前記会議室に設けられ、当該会議室内の人を検知する在室センサと、
前記在室センサの検知結果に基づいて前記会議室が現時点で利用中であるか否かを判定する判定部と、
前記会議室の利用を開始する開始時刻と終了する終了時刻とを含む予約状況、および、前記判定部によって判定された現時点での会議室の利用状況を併せて提示する提示部と、を備え、
前記判定部は
、開始時刻後に設定されている所定の保留期間が経過
するまでの間に前記在室センサにより人が検知されなかった場合には前記会議室が利用中ではないと判定する一方、
前記保留期間が経過するまでの間に前記在室センサにより人が検知された場合には前記会議室が利用中であると判定するとともに、前記会議室が利用中であると判定した後
の期間において
は、前記在室センサの検知結果に関わらず前記会議室が利用中であると
の判定
を維持する会議室管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記保留期間の前に設定されている所定の猶予期間においては、
前記在室センサの検知結果に関わらず前記会議室が利用中であるか否かの判定を行わない請求項1記載の会議室管理システム。
【請求項3】
前記会議室を利用するユーザが操作する装置との間で通信を行う通信部を備え、
前記判定部は、
前記会議室が利用中であると判定した後に
前記在室センサによって人
が検知されなくなった
場合であって、前記会議室を予約したユーザから利用を継続しない旨の通知を
前記通信部で受信した場合には前記会議室が利用中ではないと判定する一方、
前記会議室を予約したユーザから利用を継続しない旨の通知を前記通信部で受信していない場合には前記会議室が利用中であると
の判定
を維持する請求項1または2記載の会議室管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議室の利用を管理する会議室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議室に人の有無を検知するセンサを設けてその会議室の利用状況を把握することにより、未利用の会議室を有効活用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、センサを活用して会議室に人が居るか否かを検出することにより、会議室の現在の利用状況を自動的且つリアルタイムに把握することが可能になると考えられる。これにより、例えば会議室を仮予約したものの実際には会議が行われなかったときに利用中ではないと判定でき、予定した終了時刻よりも早く会議が終了した場合や予約をキャンセルし忘れた場合であっても、未利用の会議室を他の会議に利用することができるなど、会議室を有効利用できるようになると考えられる。
【0005】
しかしながら、実際の会議の実情に鑑みた場合、センサを用いて利用状況を把握する場合には、さらなる問題が発生することが想定される。すなわち、センサによって人が居るか否かは検知できるものの、その検知結果が必ずしも会議室の実際の利用状況にそぐわない状況が発生することが想定される。
【0006】
例えば会議中に短期間の休憩が設定されていたり、昼休みをはさんで会議室が予約されていたりする場合において、会議室を継続して利用する意思があるにも関わらずセンサの検出結果によって不在と判定されてしまい、利用者の意図に反して会議室が利用中ではないと判定されてしまう状況が想定される。その一方で、ユーザに対して利用の継続や終了の操作を要求する構成にしてしまうと、せっかくセンサを用いて利用状況を自動的に把握する構成にした技術的意義が揺らいでしまう。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、会議室の利用の管理を実情に即した形で行うことが可能となり、会議室を有効活用することができる会議室管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明では、会議室管理システムは、会議室の利用を管理するものであって、会議室に設けられ、当該会議室内の人を検知する在室センサと、在室センサの検知結果に基づいて会議室が現時点で利用中であるか否かを判定する判定部と、会議室の利用を開始する開始時刻と終了する終了時刻とを含む予約状況、および、判定部によって判定された現時点での会議室の利用状況を併せて提示する提示部とを備えている。
【0009】
これにより、まず、会議室を誰が予約しているかの予約状況と実際に使用しているか否かの利用状況とを同時に可視化して提示することができ、会議室を効率的に利用することができる。
【0010】
そして、判定部は、開始時刻後に設定されている所定の保留期間が経過するまでの間に在室センサにより人が検知されなかった場合には会議室が利用中ではないと判定する一方、保留期間が経過するまでの間に在室センサにより人が検知された場合には会議室が利用中であると判定するとともに、会議室が利用中であると判定した後の期間においては、在室センサの検知結果に関わらず会議室が利用中であるとの判定を維持する。
【0011】
これにより、予約をキャンセルし忘れた場合には適切にキャンセル扱いとすることができるとともに、休憩時間等に利用者の意図に反して会議室が利用中ではないと判定されることを防止できる。したがって、会議室の利用の管理を実情に即した形で行うことが可能となり、会議室を有効活用することができる。
【0012】
請求項2に記載した発明では、判定部は、保留期間の前に設定されている所定の猶予期間においては、在室センサの検知結果に関わらず会議室が利用中であるか否かの判定を行わない。これにより、例えばある会議の参加者が後片付けのために会議室内に残留しており、その後に予約された会議がキャンセルされたような場合であっても、誤って次の会議で利用中であると判定してしまうことなどを抑制でき、利用状況を精度よく判定することができる。
【0013】
請求項3に記載した発明では、会議室を利用するユーザが操作する装置との間で通信を行う通信部を備え、判定部は、会議室が利用中であると判定した後に在室センサによって人が検知されなくなった場合であって、会議室を予約したユーザから利用を継続しない旨の通知を通信部で受信した場合には会議室が利用中ではないと判定する一方、会議室を予約したユーザから利用を継続しない旨の通知を通信部で受信していない場合には会議室が利用中であるとの判定を維持する。
【0014】
これにより、在室か不在かを自動的に検知する構成において、例えば予約者からの確認が無かった場合などには、設備が利用中であると判定することから、意図せずに利用中でないと判定されてしまうことを抑制できる。また、利用者に負担をかけることもないことから、つまりは、利用を継続する場合には確認通知が来ても放置すればよいことから、自動化の技術的意義が揺らいでしまうことも抑制できる。
【0015】
そして、予約者から利用しない旨の意思が明確に示された場合には、利用中でないと判定する。これにより、予定した終了時刻よりも早く会議が終了しているにも関わらず利用中と判定され続けて、その設備を他の会議に利用できなくなくなって業務の妨げになるおそれを低減することができる。
【0016】
なお、上記では便宜的に会議室と称しているが、会議室管理システムは、不特定の人が適宜利用可能なスペースを有する設備の利用を管理することを想定しており、会議室という名称に限らず応接室等も管理対象に含まれるし、複数の人ではなく個人利用するブースなどの設備も管理対象に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の会議室管理システムの構成例を模式的に示す図
【
図3】利用状況を確認する処理の流れを示す図その1
【
図4】利用状況を確認する処理の流れを示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の会議室管理システム1は、管理装置2、在室センサ3、およびユーザが使用する操作端末4や携帯端末5などによって構成されている。ただし、会議室管理システム1の管理対象は、会議室6や応接室7あるいは役員室8などのように人が適宜利用可能な部屋を想定している。
【0019】
より平易に言えば、会議室管理システム1は、不特定の人が適宜利用可能なスペースを有する設備の利用を管理するものであり、会議室6という名称の部屋に限らず、また、複数の人が利用するのではなく例えばWEB会議などの個人利用のブース等も管理対象に含まれる。そのため、以下では、会議室管理システム1の管理対象を総称して設備としている。なお、個別に説明する場合には会議室6や応接室7などとも称する。また、各設備や操作端末4あるいは携帯端末5の数は一例であり、
図1に示すものに眼底されない。
【0020】
管理装置2は、本実施形態ではいわゆるサーバによって構成されており、制御部10、記憶部11、通信部12などを備えている。制御部10は、図示しないCPUなどを有するコンピュータにより構成されており、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することで管理装置2を制御するとともに、会議室管理システム1としての各種の機能を実現している。この制御部10には、本実施形態ではソフトウェアで実現されている予約部13、判定部14および提示部15が設けられている。
【0021】
予約部13は、操作端末4や携帯端末5からの操作に基づいて設備の予約を受け付ける。予約を受け付ける方法は周知の技術を利用すればよいが、例えば
図2に示すように操作端末4や携帯端末5に予約画面を表示し、ユーザが各項目を設定することにより予約することができる。この予約画面には、例えば設備を予約する予約者名、日付、開始時刻、終了時刻、参加者、連絡事項、会議の開始を通知する時刻を設定する開始前時刻、会議の終了を通知する時刻を設定する終了前時刻などが項目として設定されている。
【0022】
そして、各項目のうち必要な項目に記入されて予約ボタンが押されると、予約が完了する。ただし、
図2に示す予約画面は一例であり、表示される項目の数や種類はこれに限定されない。例えば、所定のフォーマットで項目を記載したメールを管理装置2宛てに送信することにより予約する構成などを採用することもできる。
【0023】
判定部14は、詳細は後述するが、在室センサ3の検知結果に基づいて、現時点で設備が利用中であるか否かを判定する。提示部15は、
図2に示す提示画面のように、設備の利用状況と予約状況とを同じ画面に提示するなど、各設備の利用を可視化するためのデータを提供する。この提示部15は、基本的にはデータを提供する処理を実行しており、提示画面の表示は操作端末4や携帯端末5側で提供されたデータに基づいて行われる。
【0024】
本実施形態の場合、提示画面には、設備名、利用状況、予約状況などが提示されるとともに、利用中の設備については終了時刻を併せて表示する。また、提示画面で設備名をクリックすることにより予約画面に遷移する。ただし、
図2に示す提示画面は一例であり、表示される項目の数や種類はこれに限定されない。また、予約画面への遷移手法もこれに限定されない。
【0025】
記憶部11は、例えば半導体メモリやハードディスクドライブなどによって構成されており、上記したプログラムや各設備の利用状況や予約状況を記憶している。なお、本実施形態では管理装置2をインターネット上のいわゆるクラウドサーバとして構築しているが、管理装置2をローカルに設置し、記憶部11としてクラウドサーバを利用する構成とすることもできる。
【0026】
通信部12は、通信経路20を介して在室センサ3や操作端末4あるいは携帯端末5などと通信する。なお、
図1では操作端末4や在室センサ3側との間を便宜的に線で結んでいるが、通信経路20は、携帯端末5との間のように無線通信方式のものであってもよいし、有線通信方式のものであってもよいし、それらが混在していてもよい。
【0027】
在室センサ3は、各設備にそれぞれ設けられており、その設備内に居る人を検知する。
図1の場合であれば、在室センサ3は、設備として登録されている会議室6A、会議室6B、会議室6N、応接室7A、応接室7B、および役員室8にそれぞれ設けられている。以下、在室センサ3によって設備内に人が検知されている状態を在室と称し、人が検知されていない状態を不在と称する。
【0028】
この在室センサ3は、人の存在を検知することができるものであれば任意のセンサで構成することができる。例えば、在室センサ3は、赤外線センサ、カメラなどのように人を直接的に検知可能なセンサを用いることができる。あるいは、在室センサ3は、照明が点灯しているか否かを検知する照度センサ、設備内で消費されている電力を検知する電力センサ、設備の照明スイッチのオン/オフを検知するスイッチセンサなど、人を間接的に検知可能なセンサものものなどを適宜採用することができる。ただし、ここで例示したセンサは一例であり、他のセンサを用いることもできるし、複数のセンサを組み合わせて在室センサ3とすることもできる。
【0029】
また、本実施形態の在室センサ3は、無線通信方式のものが採用されており、各設備に設けられていて通信経路20を経由して管理装置2と通信可能に接続されているゲートウェイ装置21との間で通信する。そのため、在室センサ3は、設備内の任意の場所に設置することができる。また、例えば会議室6Aと会議室6Bとが隣り合っている場合などには、1つのゲートウェイ装置21で会議室6A用の在室センサ3と会議室6B用の在室センサ3と通信する構成、つまりは、1つのゲートウェイ装置21を複数の設備で共有する構成とすることもできる。
【0030】
次に、上記した会議室管理システム1の作用について説明する。
在室センサ3を活用して人を検知することにより、設備の利用状況をリアルタイム且つ自動的に把握することができると考えられる。これにより、例えば設備を仮予約したものの実際には会議が行われなかったときに利用中ではない判定することが可能となり、予約をキャンセルし忘れた場合であってもその設備を他の会議に利用することができるなど、設備を有効利用できるようになると考えられる。
【0031】
しかし、実際の会議の様子に鑑みた場合、在室センサ3の検出結果が必ずしも会議室6の実際の利用状況にそぐわない状況が発生することが想定される。例えば会議中に短期間の休憩が設定されていたり、昼休みをはさんで予約されていたりして人が居なくなった場合においては、設備を継続して利用する意思があるにも関わらず不在と判定され、利用者の意図に反して設備が利用中ではないと判定されてしまう状況が想定される。
【0032】
その一方で、ユーザに対して利用の一時的な中断や終了といった操作を要求する構成にしてしまうと、せっかく在室センサ3を用いて利用状況を自動的に把握する構成にした技術的意義が揺らいでしまう。
【0033】
そこで、会議室管理システム1は、
図3、
図4に示す処理を実行することにより、実情に即した利用状況を把握して会議室6を有効活用することができるようにしている。なお、これら
図3、
図4に示す処理は主として制御部10において実行される処理であるが、説明を分かりやすくするために、以下では主体を会議室管理システム1にして説明する。また、これらの処理は対象となる設備ごと且つ予約ごとに実行されるとともに、図示は省略するが、在室センサ3による人の検知は電源が入っている場合には基本的に常に実行されているものとする。
【0034】
会議室管理システム1は、
図3示すように、予約時に設定された開始予約時刻、例えば開始時刻の5分前になったかを判定する(S1)。そして、会議室管理システム1は、開始予告時刻になっていない場合には(S1:NO)、開始予告時刻になるまで待機する。一方、会議室管理システム1は、開始予告時刻になった場合には(S1:YES)、設備を予約した時刻が近づいてきたことを予約者に通知する(S2)。この場合、例えば予約者のメールアドレスにメールを送信することにより通知することができる。また、予約者に限らず、参加者に対して通知する構成とすることもできる。
【0035】
続いて、会議室管理システム1は、開始時刻になったかを判定し(S3)、開始時刻になっていない場合には(S3:NO)、開始時刻になるまで待機する。一方、会議室管理システム1は、開始時刻になった場合には(S3:YES)、猶予期間中であるか否かを判定する(S4)。本実施形態では、猶予期間は開始時刻から3分間で設定されている。ただし、猶予期間は3分よりも短く、あるいは、3分よりも長く設定することができるし、予約時に変更可能な構成とすることもできる。
【0036】
また、この猶予期間は、利用中で春か否かを誤判定することを防ぐために設けられている。例えば会議室6Aにおいて終了時刻が11時で予約されており、次の会議が11時から予約されていたとする。その場合、先の会議が11時に終了すると、11時の時点では先の会議の参加者が後片付けのために会議室6A内に残留している可能性がある。
【0037】
しかし、その状況は、次の会議の参加者が居る状態ではないため、利用中と判定すべきではないと考えられる。そのため、会議室管理システムは、猶予期間である場合には(S4:YES)、そのまま猶予期間が経過することを待機する。これにより、利用状況を誤判定するおそれを低減することができる。
【0038】
一方、会議室管理システム1は、猶予期間が経過すると(S4:NO)、在室センサ3の検知結果に基づいて在室であるか否かを判定する(S5)。そして、会議室管理システム1は、在室ではないと判定した場合には(S5:NO)、保留期間中であるか否かを判定する(S6)。この保留期間は、本実施形態では開始時刻の10分後までの期間として設定されている。
【0039】
これは、開始時刻から10分が経過しても1人の参加者も検知されない場合であれば、会議が行われない可能性が高いと考えられるためである。この点、本実施形態のように開始時刻の前に通知する構成であれば、会議が忘れられている可能性は低いと想定され、参加者が検知されないのは会議がキャンセルされた可能性が高いと考えることができる。ただし、保留期間は10分後よりも短く、あるいは、10分後よりも長く設定することができるし、予約時に変更可能な構成とすることもできる。
【0040】
この保留期間は、利用中であるか否かの判定を保留する期間として設定されている。例えば、予約された開始時刻を過ぎても人が来なくて不在になっている場合、会議がキャンセルされた可能性があると考えられる。その一方で、不在だからといって直ぐに利用中ではないと判定してしまうと、何らかの事情で開始が少し遅れたときなどに予約がキャンセルされて必要な会議ができなくなってしまう可能性も考えられる。
【0041】
そこで、会議室管理システム1は、人が検知されていなくても、待機期間中の場合には(S6:YES)、ステップS5に移行して在室であるかの判定を繰り返すことにより、会議室6が利用中であるか否かの判定を保留する。そして、会議室管理システム1は、人が検知されないまま保留期間が経過した場合には(S6:NO)、会議室6が利用中ではないと判定して(S7)、処理を終了する。そして、本実施形態では、処理を終了するタイミングで予約もキャンセルする。
【0042】
これにより、少し遅れたという場合に誤って利用中ではないと判定されて予約がキャンセルされたりすることを抑制しつつ、会議が行われない可能性が高いと想定される場合に利用中ではないと判定することでその設備を他の人が利用することが可能になる。すなわち、設備を有効利用することが可能になる。また、処理が終了した場合には、設備が利用中ではなくなったことを意味することから、提示画面には現在の利用状況に即した提示が行われる。
【0043】
さて、会議室管理システム1は、猶予期間が経過した後において在室と判定した場合には(S5:YES)、その設備を利用中であると判定し(S8)、
図4に示すように不在であるかを判定する(S9)。つまり、会議室管理システム1は、一旦利用中であると判定した後において、在室か不在かの判定を継続して行っている。
【0044】
そして、会議室管理システム1は、人が検知されていて不在ではないと判定した場合には(S9:NO)、予約時に設定された終了予告時刻、例えば終了時刻の10分前になったか否かを判定し(S10)、終了予告時刻になっていない場合には(S10:NO)、ステップS9に移行する。
【0045】
一方、会議室管理システム1は、終了予告時刻になった場合には(S10:YES)、予約者に終了予告時刻であることを通知する(S11)。この場合、会議室管理システム1は、あと少しで予約した時間が終わることを予約者に例えばメールを送信することなどにより通知する。ただし、通知の方法は一例であり、メールに限定されず、メッセージアプリによる通知や会議室6のモニタへの表示などの他の方法や、幾つかの方法を組み合わせる構成とすることができる。
【0046】
その後、会議室管理システム1は、終了時刻になったかを判定し(S12)、終了時刻になっていない場合には(S12:NO)、ステップS9に移行する一方、終了時刻になった場合には(S12:YES)、処理を終了する。
【0047】
ところで、会議に休憩が設定されていたり、会議が昼食時間をはさんで開催されたりする場合には、会議が開始されて利用中と判定された後に、休憩等で設備内に人が居なくなり不在と判定される可能性がある。その場合、上記したように利用者の意図に反して設備が利用中ではないと判定されたり、終了時刻よりも早く会議が終了して利用していないにも関わらず利用中と判定され続け、他の会議に利用できなくなくなったりする可能性がある。
【0048】
そのため、会議室管理システム1は、ステップS8において設備を利用中であると判定した後に不在であると判定した場合には(S9:YES)、予約者への確認が済んでいるか否かを判定する(S13)。このステップS13の処理は、ステップS14の処理が実行済みであるか否かを確認するため、つまりは、確認通知を何度も送信しないようにするために設けられている。
【0049】
そして、会議室管理システム1は、利用者への確認が済んでいない場合には(S13:NO)、予約者に終了を確認する(S14)。この確認は、例えば会議室6の利用を継続するか否かを問い合わせるメールを送信することなどにより実施することができる。ただし、メールでの確認の方法は一例であり、それ限定されず、例えばメッセージアプリによる通知などの他の方法や幾つかの方法を組み合わせる構成とすることができる。
【0050】
会議室管理システム1は、ステップS14で予約者に確認をした後、または、すでに確認済みである場合には(S13:NO)、予約者から終了の確認があったか否かを判定する(S15)。そして、会議室管理システム1は、予約者からの確認が無かった場合には(S15:NO)、ステップS12に移行する。
【0051】
つまり、会議室管理システム1は、基本的には、人が検知されて設備が利用中であると判定した後において人が検知されなくなったとしても、当該設備が利用中であると判定する。これにより、意図せずに利用中でないと判定されてしまうことを抑制できる。また、利用者に負担をかけることもないことから、つまりは、利用を継続する場合には確認通知が来ても放置すればよいことから、自動化の技術的意義が揺らいでしまうことも抑制できる。
【0052】
一方、会議室管理システム1は、予約者から予約の取り消しなどのキャンセル操作といった終了の確認があった場合には(S15:YES)、設備の利用状態を更新した後(S16)に処理を終了する。本実施形態では、会議室管理システム1は、ステップS16において設備の利用状態を未利用にするとともに、その時間帯の予約についてもキャンセルして処理を終了する。
【0053】
これは、予約者から利用しない旨の意思が明確に示されたことから、利用中でないと判定することができるためである。なお、例えば会議中に確認の通知に気が付かなかった場合であっても会議が終われば自身の操作端末4や携帯端末5を確認した際に確認通知に気づき、確認通知に気づけは返信やキャンセル操作をすると考えられることから、確認が無駄になることはない。
【0054】
以上説明した会議室管理システム1によれば、次のような効果を得ることができる。
会議室管理システム1は、会議室6や役員室8あるいは応接室7等の設備の利用を管理するものであって、設備に設けられ、当該設備内の人を検知する在室センサ3と、在室センサ3の検知結果に基づいて設備が現時点で利用中であるか否かを判定する判定部14と、設備の利用を開始する開始時刻と終了する終了時刻とを含む予約状況、および、判定部14によって判定された現時点での設備の利用状況を併せて提示する提示部15と、を備えている。
【0055】
これにより、まず、設備を誰が予約しているかの予約状況と実際に使用しているか否かの利用状況とを同時に可視化して提示することができ、設備を効率的に利用することができる。
【0056】
そして、判定部14は、人が検知されないまま開始時刻後に設定されている所定の保留期間が経過した場合には設備が利用中ではないと判定する一方、人が検知されて設備が利用中であると判定した後において人が検知されなくなったとしてもその設備が利用中であると判定する。
【0057】
これにより、利用者の意図に反して設備が利用中ではないと判定されるおそれを低減することが可能となり、設備の利用の管理を実情に即した形で行うことができ、設備を有効活用することができる。
【0058】
また、判定部14は、保留期間の前に設定されている所定の猶予期間においては、設備が利用中であるか否かの判定を行わない。これにより、例えばある会議の参加者が後片付けのために設備内に残留しており、その後に予約された会議がキャンセルされたような場合であっても、誤って次の会議で利用中であると判定してしまうことなどを抑制でき、利用状況を精度よく判定することができる。
【0059】
また、判定部14は、利用中であると判定した後に人が検知されなくなった際、予約したユーザから利用を継続しない旨の通知を受けた場合には設備が利用中ではないと判定する一方、予約したユーザからの通知を受けなかった場合には設備が利用中であると判定する。
【0060】
これにより、在室か不在かを自動的に検知する構成において、例えば予約者からの確認が無かった場合などには、設備が利用中であると判定することから、意図せずに利用中でないと判定されてしまうことを抑制できる。また、利用者に負担をかけることもないことから、つまりは、利用を継続する場合には確認通知が来ても放置すればよいことから、自動化の技術的意義が揺らいでしまうことも抑制できる。
【0061】
そして、予約者から利用しない旨の意思が明確に示された場合には、利用中でないと判定する。これにより、予定した終了時刻よりも早く会議が終了しているにも関わらず利用中と判定され、その設備を他の会議に利用できなくなくなって業務の妨げになる恐れを低減することができる。
【0062】
本発明は上記した、あるいは図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変形又は拡張することができるとともに、それらの変形や拡張は均等の範囲に含まれる。
【0063】
実施形態では在室センサ3による在室か不在かの検知を常に実行する例を示したが、開始時刻の例えば15分前程度から人の検知を開始する構成とすることができる。これにより、予約が入ってない設備を不必要に検知することが抑制され、電力消費量を削減することができる。あるいは、例えば10分程度ごとに在室か不在かを検知する構成や、予約画面から検知を開始させる構成とすることもできる。これにより、予約が無いものの設備が利用されていて利用できない状態であるといった現時点における設備の利用の可否を即座に把握することなどができる。
【0064】
実施形態では確認通知を1回送る例を示したが、終了時間内に複数回送る構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は会議室管理システム、3は在室センサ、6は会議室、7は応接室(会議室)、8は役員室(会議室)、14は判定部、15は提示部を示す。
【要約】
【課題】会議室の利用の管理を実情に即した形で行うことが可能となり、会議室を有効活用することができる会議室管理システムを提供する。
【解決手段】実施形態の会議室管理システム1は、会議室6や役員室8あるいは応接室7等の設備の利用を管理するものであって、設備内の人を検知する在室センサ3と、設備が現時点で利用中であるか否かを判定する判定部14と、設備の予約状況と利用状況とを併せて提示する提示部15とを備え、人が検知されないまま所定の保留期間が経過した場合には設備が利用中ではないと判定する一方、利用中であると判定した後において人が検知されなくなったとしてもその設備が利用中であると判定する。
【選択図】
図1