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特許7140232電子機器、学習支援システム、学習支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電子機器、学習支援システム、学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G06F15/02 315G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021085457
(22)【出願日】2021-05-20
(62)【分割の表示】P 2017055638の分割
【原出願日】2017-03-22
(65)【公開番号】P2021119546
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】畑山 誉
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-316770(JP,A)
【文献】特開2004-069377(JP,A)
【文献】特開2016-076227(JP,A)
【文献】特開2004-126684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段と、
前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記式特定手段により特定された科学理論式を前記表示部に表示させる際は、前記センサにより科学的特性値が測定された科学的特性を、前記式特定手段により特定された科学理論式に基づいてグラフ表示させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記式特定手段が前記科学理論式を特定できなかった場合には、前記センサにより科学的特性値が測定された科学的特性を、時系列的変化グラフで表示させる、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
科学的特性値を測定するためのセンサと、
前記センサを接続可能な電子機器と、
を備え、
前記電子機器は、
前記センサが接続された場合に、前記センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段と、
前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段と、
を備える、学習支援システム。
【請求項5】
電子機器が実行する学習支援方法であって、
科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定ステップと、
前記式特定ステップで特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御ステップと、
を有する学習支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、
科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段、
前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、学習支援システム、学習支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサによる測定データに基づくグラフを描画する装置として、卓上計算機やパソコンを利用したものがあった。
【0003】
いずれの場合も、例えば、電圧や電流、圧力、温度といった各種科学的特性をセンサで測定し、その測定中あるいは測定後に、測定されたデータを、別途設定された座標軸を有する座標系にプロットすることで、グラフをディスプレイに表示していた。
【0004】
このとき、横軸を時間、縦軸を測定された科学的特性とする座標系を自動で設定するものや、ユーザが手動で操作することにより各座標軸を任意に設定するものがあった。
【0005】
これらの描画装置は、一般的に、物理や化学などの各教科で学習する公式(科学理論式)の学習効果を高める狙いで、学校の授業中に用いられることが多かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】カシオ計算機株式会社、“fx-CG20 ソフトウエア バージョン2.02 取扱説明書”、[online]、平成27年10月13日、E-CON3モード(データロガーコントローラー)、[平成29年2月23日検索]、インターネット<URL:http://support.casio.jp/storage/pdf/004/fx-CG20_soft.J.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら従来の描画装置では、ユーザがある科学理論式を学習したい場合に、横軸に時間以外を設定した座標系に測定データをプロットすることが望ましい場合であっても、少なくとも一度は横軸に時間を設定した座標系に測定データがプロットされてしまっていた
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、測定した科学的特性値に対応した科学理論式を容易に学習することが可能な電子機器、学習支援システム、学習支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段と、前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段と、を備えること特徴とする。
また、本発明に係る学習支援システムは、科学的特性値を測定するためのセンサと、前記センサを接続可能な電子機器と、を備え、前記電子機器は、前記センサが接続された場合に、前記センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段と、前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段と、を備えること特徴とする。
また、本発明に係る学習支援方法は、電子機器が実行する学習支援方法であって、科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定ステップと、前記式特定ステップで特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御ステップと、を有すること特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、科学的特性値を測定するためのセンサが接続された場合に当該センサに関連付けられた属性情報に基づいて前記科学的特性値に適用される単位を特定するとともに、この特定された単位で前記科学的特性値が入力される科学理論式を特定する式特定手段、前記式特定手段により特定された科学理論式を所定の表示部にユーザの学習用に表示させる表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定した科学的特性値に対応した科学理論式を容易に学習することが可能な電子機器、学習支援システム、学習支援方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の電子機器の実施形態に係るグラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図。
図2】前記グラフ関数電卓10のメモリ12に記憶されるセンサデータベース12bの内容を示す図。
図3】前記グラフ関数電卓10のメモリ12に記憶される公式データベース12cの内容を示す図。
図4】前記グラフ関数電卓10の測定データ解析処理を示すフローチャート。
図5】前記グラフ関数電卓10の測定データ解析処理におけるグラフ描画処理を示すフローチャート。
図6】前記測定データ解析処理の実施形態において測定対象とする直流回路を示す図。
図7】前記測定データ解析処理のグラフ描画処理に従い描画されて表示されるグラフを示す図であり、同図(A)は、横軸を時間T(s)とし縦軸を電流及び電圧の測定データI(A),V(V)としてプロット描画した測定結果グラフを示す図、同図(B)は公式V=RIに対応して横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)としてプロット描画した測定結果グラフを示す図。
図8】前記公式V=RIに対応して横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)としてプロット描画した測定結果グラフに対して、回帰グラフreと回帰式[V=aI+b]を追加で表示させた状態を示す図。
図9】公式[W=VI=RI]に対応して横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)に電流の測定データI(A)を乗じた値である[W]としてプロット描画したグラフに対して、二次回帰の回帰グラフreと回帰式[W=aI+bI+c]を追加で表示させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の電子機器の実施形態に係るグラフ関数電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0014】
前記電子機器は、前記グラフ関数電卓10やタブレット端末として構成する他、測定データ(科学的特性)の入力機能とグラフ描画機能を有する(測定データ解析処理プログラムが実装された)パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、タッチパネル式PDA(personal digital assistants)、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成することができる。
【0015】
なお、前記グラフ関数電卓10のような物理的なキー(ボタン)が実装されていない前記タブレット端末のような電子機器は、前記グラフ関数電卓10のキーと同様なソフトウェアキーボードを表示し、このソフトウェアキーボードに対するキー操作に応じて処理を実行する。
【0016】
以下、グラフ関数電卓10について説明する。
【0017】
このグラフ関数電卓10の電子回路は、コンピュータであるCPU11を備え、CPU11には、制御及びデータバスBusを介して、メモリ12、記録媒体読取部14、通信部15、キー入力部16、表示部17、外部機器I/F(インターフェース)18が接続される。
【0018】
前記CPU11は、メモリ12に記憶されている測定データ解析処理プログラム12aに従い回路各部の動作を制御し、キー入力部16からのキー入力信号に応じた各種の演算処理を実行する。この測定データ解析処理プログラム12aは、メモリ12に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ12に読み込まれて記憶されたものでもよいし、あるいは通信部15及び通信ネットワーク(インターネット)Nを経由してアクセスされる外部のWebサーバ30からダウンロードされてメモリ12に記憶されたものでもよい。この測定データ解析処理プログラム12aは、ユーザがキー入力部16の操作によって書き換えできないようになっている。
【0019】
前記メモリ12には、このようなユーザ書き換え不可能なデータとして、更に、センサデータベース12b、公式データベース12cが記憶される。
【0020】
図2は、前記グラフ関数電卓10のメモリ12に記憶されるセンサデータベース12bの内容を示す図である。
【0021】
このセンサデータベース12bには、電流、電圧、温度、圧力、加速度等の様々な種類のデータを測定する各種のセンサを識別するためのセンサID[0001][0002][0003]…に対応付けられて、当該センサが測定対象とするデータ(科学的特性)の種類(センサの種類)[電流][電圧][温度]…と測定データ(科学的特性)の出力単位[A][V][℃]…とが記憶される。
【0022】
図3は、前記グラフ関数電卓10のメモリ12に記憶される公式データベース12cの内容を示す図である。
【0023】
この公式データベース12cには、前記センサデータベース12bに記憶されている各種のセンサが測定対象とするデータの種類(センサの種類)(1又は複数)に対応付けられて、該当する種類のデータを式の要素として含む各種の公式(科学理論式)と当該公式に対応した回帰式とが記憶される。
【0024】
図3に示すように、公式データベース12cの1行目乃至2行目には、電流I(A)と電圧V(V)との関係を示す公式が2つ記憶されていて、3行目には、距離L(m)と時間T(s)との関係を示す公式が1つ記憶されている。
【0025】
なお、前記公式データベース12cには、前記センサによる測定データの単位が、公式を構成する式の要素の単位と異なる場合に、その測定データを当該公式の規定の単位に変換するための単位変換式も記憶される。
【0026】
また、前記メモリ12の書き換え可能なデータを記憶するエリアには、座標設定データエリア12d、測定データエリア12e、グラフ描画データエリア12f、表示データエリア12gが確保されている。
【0027】
前記座標設定データエリア12dには、1又は複数のセンサによって測定されたデータの種類とその値に応じて設定されたグラフ描画のための座標領域(座標系)(Xmin,max/Ymin,max)のデータが記憶される。
【0028】
前記測定データエリア12eには、前記外部機器I/F18に接続されたデータロガー20を介して入力される1又は複数のセンサ<1>SE1,センサ<2>SE2,…により測定された測定データ(科学的特性)が記憶される。
【0029】
前記グラフ描画データエリア12fには、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域(座標系)のデータに基づき前記測定データエリア12eに記憶された測定データをプロットして生成される測定結果グラフの描画データが記憶される。
【0030】
前記表示データエリア12gは、前記表示部17を構成する液晶表示ユニットの表示画面のサイズに対応したメモリエリアを有し、このメモリエリアには、前記表示画面に表示させるべき表示データがビットマップデータ(ここでは前記座標領域のデータとグラフの描画データに応じて展開したビットマップデータ)として記憶される。
【0031】
前記データロガー20は、前記外部機器I/F18と接続するためのI/F21と、各種センサ<1>SE1,センサ<2>SE2,…と接続するためのチャネルCH1,CH2,…と、当該チャネルCH1,CH2,…を介して入力された各種センサ<1>SE1,センサ<2>SE2,…の測定データ(科学的特性)を一時記憶するための測定データメモリ22を含んで構成される。
【0032】
このように構成されたグラフ関数電卓(電子機器)10は、前記CPU11が前記測定データ解析処理プログラム12aに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、後述の動作説明で述べるような測定データ解析機能を実現する。
【0033】
次に、前記構成によるグラフ関数電卓10の測定データ解析機能に従った動作について説明する。
【0034】
図4は、前記グラフ関数電卓10の測定データ解析処理を示すフローチャートである。
【0035】
図5は、前記グラフ関数電卓10の測定データ解析処理におけるグラフ描画処理を示すフローチャートである。
【0036】
図6は、前記測定データ解析処理の実施形態において測定対象とする直流回路を示す図である。
【0037】
本実施形態では、図6に示すように、直流電源Eを抵抗Rに印加した直流回路を対象に、電源Eの電圧Vを変化したときの当該電圧Vと抵抗Rに流れる電流Iとを測定して解析する動作例について説明する。
【0038】
キー入力部16のユーザ操作に応じて、CPU11により、前記測定データ解析処理プログラム12aが起動されると、表示部17にセンサの接続を要求するメッセージが表示され、接続待機の状態になる(ステップS1)。
【0039】
ここで、ユーザが、外部機器I/F18に接続したデータロガー20のチャネルCH1に対して電流センサ<1>SE1を接続し、チャネルCH2に対して電圧センサ<2>SE2を接続すると、各センサ<1>SE1,センサ<2>SE2のセンサID[0001][0002]が読み込まれ、前記センサデータベース12b(図2参照)に従い、当該センサ<1>SE1[ID=0001]の種類が電流センサ、センサ<2>SE2[ID=0002]の種類が電圧センサであると自動で特定される(ステップS2)。
【0040】
なお、キー入力部16のユーザ操作に応じて、前記データロガー20のチャネルCH1に接続したセンサ<1>SE1を電流センサ、チャネルCH2に接続したセンサ<2>SE2を電圧センサとして手動で特定してもよい。
【0041】
そして、キー入力部16のユーザ操作に応じて、前記電流センサ<1>SE1と電圧センサ<2>SE2による測定の開始が指示されると、当該電流センサ<1>SE1により測定されている電流の測定データI(A)と電圧センサ<2>SE2により測定されている電圧の測定データV(V)とが、予め設定されるかユーザ任意に設定されたサンプリング周期とサンプル数に従い収集され、メモリ12内の測定データエリア12eに保存される(ステップS3)。
【0042】
なお、前記測定データのサンプリング周期が、前記外部機器I/F18とデータロガー20との間でのデータ転送速度を上回る場合は、前記各測定データI(A),V(V)はデータロガー20内の測定データメモリ22に一旦保存された後に、グラフ関数電卓10に一括して収集されその測定データエリア12eに保存される。
【0043】
こうして、前記電流センサ<1>SE1により測定された電流の測定データI(A)と電圧センサ<2>SE2により測定された電圧の測定データV(V)とが収集されて保存されると、当該保存された各測定データI(A),V(V)に応じたグラフ描画処理(図5参照)が実行される(ステップSD)。
【0044】
図7は、前記測定データ解析処理のグラフ描画処理に従い描画されて表示されるグラフを示す図であり、同図(A)は、横軸を時間Tとし縦軸を測定データI(A),V(V)としてプロット描画した測定結果グラフを示す図、同図(B)は公式V=RIに対応して横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)としてプロット描画した測定結果グラフを示す図である。
【0045】
図8は、前記公式V=RIに対応して横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)としてプロット描画した測定結果グラフに対して、回帰グラフreと回帰式[V=aI+b]を追加で表示させた状態を示す図である。
【0046】
前記グラフ描画処理(図5参照)に移行されると、メモリ12内の公式データベース12c(図3参照)に従い、前記ステップS2において特定された接続中のセンサの種類(センサ<1>SE1:電流センサ、センサ<2>SE2:電圧センサ)に対応した式の要素を含む公式が特定される。具体的には、前記公式データベース12cのセンサの種類の列において、電流I及び電圧Vの少なくともいずれかを要素として含む公式として、[V=RI]と[W=VI=RI]の2つの公式が存在することが特定される(ステップD11:Yes、D12:Yes)。
【0047】
次いで、当該2つの公式の中から1つを選択することを促すメッセージが表示部17に表示され、ユーザ操作に応じてその何れかの公式が選択される(ステップD13)。ここで、公式[V=RI]がユーザに選択されて特定された場合について説明する(ステップD14)。
【0048】
このように、接続中のセンサの種類に対応した公式が複数存在することが特定された場合、ユーザ操作に応じてその中の何れか1つが選択されたことをもって、公式が特定されたものとする。なお、接続中のセンサの種類に対応した公式が1つだけ存在することが特定された場合や、接続中のセンサの種類に対応した公式が1つも存在しないことが特定された場合については、後述する。
【0049】
上記の処理によりステップD14で公式が特定されると、特定された公式の一部を横軸および縦軸の少なくともいずれかに割り当てた座標軸を有する座標系が設定される(ステップD21)。本実施形態では、特定された公式の一部に、測定済みのデータに対応する項、そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)に対応する項、および、それらの少なくともいずれかの演算値に対応する項、のいずれかが含まれているか否かが判定され、含まれている場合、それらが自動的に横軸および縦軸に割り当てられる。こうすることで、測定データが得られた時点で、ステップD21において定めた座標系にプロットすべき座標値が既知であるので、特定された公式に則って、測定データを用いて一意的にグラフを生成できるようになる。
【0050】
また、公式の右辺を横軸に対応させて割り当て、左辺を縦軸に対応させて割り当てることが好ましい。こうすることで、公式とグラフとの対応関係が把握しやすくなり、学習効果が高められると考えられるからである。しかしながら、学習の目的に適合していれば良いので、これとは逆に、右辺を縦軸に対応させ、左辺を横軸に対応させてもよい。
【0051】
ステップD21で行われる処理について、具体的に説明する。上述のステップD14において公式[V=RI]が特定されると、公式の右辺には測定済みのデータである電流I(A)が含まれ、公式の左辺には測定済みのデータである電圧V(V)が含まれると判定される。したがって、この場合、右辺を横軸に対応させることで、横軸に電流I(A)が割り当てられ、左辺を縦軸に対応させることで、縦軸に電圧V(V)が割り当てられた座標系が自動的に設定される。設定された座標系の横軸および縦軸の各座標範囲は、各測定データ電流I(A)、電圧V(V)の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定される。具体的には、前記特定された公式[V=RI]と前記測定データエリア12eに保存された各測定データI(A),V(V)の値に応じて、横軸をImin~Imax(A)とし縦軸をVmin~Vmax(V)とした座標領域(座標系)データが設定され、メモリ12内の座標設定データエリア12dに記憶される。
【0052】
そして、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域データに基づき、図7(B)に示すように、横軸をI(A)とし縦軸をV(V)とした座標領域(座標系)が表示部17に表示され、その座標領域上に前記測定データエリア12eに保存された各測定データI(A),V(V)がプロットP1,P2,…されて描画される。更に、前記特定された公式[V=RI]が表示される(ステップD31)。
【0053】
なおこの際、図7(A)に示すように、横軸を時間Tとし縦軸を測定データI(A),V(V)としてプロット描画した測定結果グラフを、前記図7(B)で示した公式[V=RI]に対応する測定結果グラフと並べて表示させてもよい。
【0054】
こうして、前記電流センサ<1>SE1と電圧センサ<2>SE2による各測定データI(A),V(V)について、当該各測定データを式の要素として含む公式[V=RI]に対応した測定結果グラフが描画されて表示されると、この測定結果グラフに応じた回帰グラフの描画を、ユーザが要求するか否かを確認するメッセージが表示部17に表示される(ステップD4)。
【0055】
ここで、ユーザ操作に応じて、CPU11により、回帰グラフの描画をユーザが要求したことが確認されると、メモリ12内の公式データベース12c(図3参照)に従い、前記ステップD1において特定された公式[V=RI]に対応した回帰式[y=ax+b]が特定される(ステップD5)。
【0056】
すると、前記公式[V=RI]を構成する各要素を前記回帰式[y=ax+b]を構成する各要素に対応付けた回帰式[V=aI+b]に基づき、未知数である係数aが決定され、前記各測定データI(A),V(V)からその解(係数)aが前記抵抗R(Ω)の値として算出される(ステップD6)。
【0057】
すると、図8に示すように、前記公式[V=RI]に対応して各測定データI(A),V(V)をプロットP1,P2,…して描画した測定結果グラフと同一の座標領域上に重ねて、前記係数aの値を代入した回帰式[V=aI+b]に対応する回帰グラフreが描画され、また、当該回帰式[V=aI+b]とその解a(=R)が共に表示される(ステップD7)。
【0058】
なお、前記ステップD1~D3に従い公式[V=RI]が特定されて描画された測定結果グラフ(図7(B)参照)は、各測定データI(A),V(V)を収集して測定データエリア12eに保存した後に、当該保存された各測定データI(A),V(V)についてプロットP1,P2,…して描画する構成としたが、前記各センサ<1>SE,センサ<2>SE2からの各測定データI(A),V(V)がデータロガー20及び外部機器I/F18を介して入力される都度、リアルタイムに当該各測定データI(A),V(V)をプロットP1,P2,…して描画する構成としてもよい。
【0059】
以上が、グラフ描画処理の一例についての説明であるが、次に、接続中のセンサの種類に対応した公式が1つだけ存在することが特定された場合について説明する。この場合は、対応する公式が複数存在していた場合に行う、公式を選択する上記のユーザ操作は省略できる。例えば、図3の3行目のように、公式データベース12cには、距離センサに対応する公式が1つだけ記憶されていたとする。なおかつ、データロガー20に距離センサだけが接続されていた場合には、公式データベース12cには距離センサに対応する1つの公式[L=L+vt+(1/2)at]だけが存在することが特定され、これをもって、ユーザ操作によらず自動的に公式が特定されるものであってよい(ステップD11:Yes、D12:No、D14)。
【0060】
上記の処理によりステップD14で公式[L=L+vt+(1/2)at]が特定されると、特定された公式の一部に、測定済みのデータに対応する項、そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)に対応する項、および、それらの少なくともいずれかの演算値に対応する項、のいずれかが含まれているか否かが判定される。上記の公式[L=L+vt+(1/2)at]の場合、測定済みのデータは距離L(m)であるので、公式の左辺の[L]が「測定済みのデータに対応する項」に該当し、時間t(s)が「そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)に対応する項」に該当する。したがって、上記の公式[L=L+vt+(1/2)at]に基づいて、時間T(s)を横軸に割り当て、距離L(m)を縦軸に割り当てた座標系が自動的に設定される。なお、公式の右辺のうち[L]、[v]、[a]は、測定データが得られた時点で未知であるので、これを含む項を軸に割り当ててしまうと、グラフ描画のための座標値を決定できない。したがって、[L]、[v]、[a]およびそれらの少なくともいずれかの演算値が、横軸または縦軸に割り当てられることはない。
【0061】
次いで、設定された座標系の横軸の座標範囲は、時間T(s)の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、縦軸の座標範囲は、距離L(m)の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、メモリ12内の座標設定データエリア12dに記憶される。
【0062】
そして、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域データに基づき、図9に示すように、横軸を時間T(s)とし、縦軸を距離L(m)とした座標領域(座標系)が表示部17に表示され、その座標領域上に前記測定データエリア12eに保存された各測定データおよび演算値がプロットされて描画される。更に、前記特定された公式[L=L+vt+(1/2)at]が表示される(ステップD31)。
上記の処理によりステップD31でグラフが描画された後の処理は、前述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
次に、図5に示すグラフ描画処理のステップD11で、前記ステップS2において特定された接続中のセンサの種類に対応した式の要素を含む公式が特定されなかった場合について、説明する。
【0064】
上記のステップD11で、接続中のセンサの種類に対応した式の要素を含む公式が、公式データベース12cの中に見つからなかった場合、即ち、公式が1つも特定されなかった場合は、ステップD22へ処理が移行する。
【0065】
ステップD22では、時間T(s)を横軸に割り当てるとともに、接続中の各センサによる測定データを縦軸に割り当ててよいか否かを問い合わせるメッセージが表示部17に表示され、ユーザ操作に応じて[Yes]または[No]のいずれかが選択される(ステップD22:Yes/No)。
【0066】
ここで、ステップD22において[Yes]が選択された場合、横軸に時間T(s)が割り当てられ、縦軸に1以上の測定データが割り当てられた座標軸を有する座標系が設定される(ステップD23)。また、設定された座標系の横軸の座標範囲は、測定が行われた時間全体がプロットできるように自動的に設定され、縦軸の1以上の座標範囲は、1以上の測定データの各最大値および各最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、メモリ12内の座標設定データエリア12dに各値が記憶される。
【0067】
そして、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域データに基づき、設定された座標領域(座標系)が表示部17に表示され、その座標領域上に前記測定データエリア12eに保存された各測定データがプロットされて描画される。なおこの場合、公式は1つも特定されないので、公式は表示されない(ステップD32)。
また、公式が特定されなかった場合、回帰式も不明であるので、上述のステップD4、D5、D6及びD7の各処理は実行されずに、グラフ描画処理が終了する。
【0068】
ここで、前述したように、ステップD14で特定された公式が「測定済みのデータに対応する項」および「そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)に対応する項」を含んでいた場合、横軸を時間T(s)とし、縦軸を測定データとした座標領域(座標系)が設定される。一方、こちらも上述のように、公式が1つも特定されず(ステップD11:No)、かつ、時間T(s)を横軸に割り当てるとともに、接続中の各センサによる測定データを縦軸に割り当てることがユーザ操作により選択された場合(ステップD22:Yes)にも、横軸に時間T(s)が割り当てられ、縦軸に1以上の測定データが割り当てられた座標軸を有する座標系が設定される(ステップD23)。
【0069】
このように、これらの異なる条件下において、表示部17に表示されるグラフは、結果的に互いに同じ見た目となる。しかしながら、本実施形態において、図5のステップD14の処理を経る場合は、ステップD11において[Yes]、即ち、公式が特定された場合であり、この場合には、グラフとともに、特定された公式(上記例の場合[L=L+vt+(1/2)at])が表示されるが、公式が1つも特定されなかった場合には、公式を表示することができないので、グラフのみが表示され、公式は表示されないことは言うまでもない。
【0070】
次に、上記のステップD22において[No]が選択された場合について説明する。この場合、横軸および縦軸に割り当てる各値をどうするかを問い合わせるメッセージが表示部17に表示され、ユーザ操作に応じて横軸および縦軸に割り当てる各値が決定される。なお、ユーザが横軸および縦軸に割り当てることを指示した値が、測定済みのデータ、そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)、および、それらの少なくともいずれかの演算値、のいずれかであるか否かが判定される。これらのいずれかの値であれば、測定データが得られた時点で、ステップD24において定められる座標系にプロットすべき座標値が既知であるので、測定データを用いて一意的にグラフを生成できるようになるからである。ユーザが指示した値が上記の条件を満たさない場合は、エラーであるので、グラフ描画処理を終了する。
【0071】
ステップD24においてユーザが指示した値が上記の条件を満たしていた場合は、横軸および縦軸にユーザが指示した値が割り当てられた座標軸を有する座標系が設定される(ステップD24)。また、設定された座標系の横軸および縦軸に割り当てられた各値が算出され、座標系の座標範囲は、算出された各値の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、メモリ12内の座標設定データエリア12dに各値が記憶される。
【0072】
そして、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域データに基づき、設定された座標領域(座標系)が表示部17に表示され、その座標領域上に前記測定データエリア12eに保存された各測定データがプロットされて描画される。なおこの場合も、公式は1つも特定されないので、公式は表示されない(ステップD32)。
また、公式が特定されなかった場合、回帰式も不明であるので、上述のステップD4、D5、D6及びD7の各処理は実行されずに、グラフ描画処理が終了する。
【0073】
なお、図5に示すグラフ描画処理のステップD11で、前記ステップS2において特定された接続中のセンサの種類に対応した式の要素を含む公式が特定されなかった場合、ステップD22の処理を省略して、時間T(s)を横軸に割り当て、各測定データを縦軸に割り当てた座標軸を有する座標系を自動的に設定するようにしてもよい。
【0074】
したがって、前記構成のグラフ関数電卓10の測定データ解析機能によれば、電流センサ<1>SE1と電圧センサ<2>SE2を接続すると、当該センサ<1>SE1,センサ<2>SE2のセンサID[0001][0002]に基づき、メモリ12内のセンサデータベース12bから前記センサ<1>SE1,センサ<2>SE2の種類[電流][電圧]が特定され、更に、センサ<1>SE1,センサ<2>SE2の種類[電流][電圧]に基づき、メモリ12内の公式データベース12cから当該センサ<1>SE1,センサ<2>SE2の種類[電流][電圧]を式の要素として含む公式[V=RI]が特定される。そして、前記特定された公式[V=RI]に応じて、横軸をI(A)とし縦軸をV(V)とした座標領域(座標系)が設定され、その座標領域上に前記センサ<1>SE1,センサ<2>SE2の測定データI(A),V(V)がプロットP1,P2,…されて描画され、測定結果グラフとして表示部17に表示される。
【0075】
このように、科学的特性を測定したデータをプロットしたグラフを描画するにあたって、データが測定されたその科学的特性に関する公式(科学理論式)に対応する座標系を、自動的に設定することができる。
【0076】
ひいては、物理や化学などの各教科で学習する公式の学習効果を高める狙いに沿ったグラフを描画する際の、従来煩雑であったユーザ操作を簡略化できる。
【0077】
なお、前記実施形態では、ステップD13において、ユーザが電流センサ<1>SE1と電圧センサ<2>SE2に対応して特定される公式[V=RI]を選択したことに応じて、横軸を電流の測定データI(A)とし縦軸を電圧の測定データV(V)としてプロット描画したグラフを表示させ、一次回帰の回帰式[V=aI+b]に基づく回帰グラフreを描画して表示させる動作例について説明した。
【0078】
他の動作例として、ステップD13において、ユーザが電流センサ<1>SE1と電圧センサ<2>SE2に対応して特定される公式[W=VI=RI]を選択した場合の動作例について説明する。
【0079】
上記の処理によりステップD14で公式[W=VI=RI]が特定されると、特定された公式の一部に、測定済みのデータに対応する項、そのデータが測定された時間(基準とする時点からの経過時間)に対応する項、および、それらの少なくともいずれかの演算値に対応する項、のいずれかが含まれているか否かが判定される。上記の公式[W=VI=RI]の場合、測定済みのデータは電流I(A)および電圧V(V)であるので、[I]、[VI]のそれぞれが、「測定済みのデータに対応する項」、「測定済みのデータの少なくともいずれかの演算値に対応する項」に該当する。したがって、上記の公式[W=VI=RI]に基づいて、電流I(A)を横軸に割り当て、電流I(A)と電圧V(V)を乗じて得られる積(V・I即ちW)を縦軸に割り当てた座標系が自動的に設定される。なお、公式の左辺[RI]は、測定データが得られた時点でR(Ω)が未知であるので、これを軸に割り当ててしまうと、グラフ描画のための座標値を決定できない。したがって、[RI]が横軸または縦軸に割り当てられることはない。
【0080】
次いで、設定された座標系の横軸の座標範囲は、電流I(A)の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、縦軸の座標範囲は、電流I(A)と電圧V(V)の積の最大値および最小値が少なくともプロットできるように自動的に設定され、メモリ12内の座標設定データエリア12dに記憶される。
【0081】
そして、前記座標設定データエリア12dに記憶された座標領域データに基づき、図9に示すように、横軸をI(A)とし、縦軸を電流I(A)と電圧V(V)の積とした座標領域(座標系)が表示部17に表示され、その座標領域上に前記測定データエリア12eに保存された各測定データおよび演算値がプロットされて描画される。更に、前記特定された公式[V=VI=RI]が表示される(ステップD31)。
上記の処理によりステップD31でグラフが描画された後の処理は、前述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
また、前記実施形態では、センサ<n>SEnの種類によって特定された公式に対応して横軸と縦軸を設定した座標領域に、当該センサ<n>SEnの測定データをプロット描画した測定結果グラフを表示させ、この後、回帰グラフの描画をユーザが要求したことを確認してから、前記公式に対応する回帰式を特定して回帰グラフを描画する構成としたが、前記測定結果グラフのプロット描画後にユーザの要求を確認することなく、自動的に回帰式を特定して回帰グラフreを描画する構成としてもよい。
【0083】
なお、前記各実施形態において記載したグラフ描画装置(電子機器)10による各処理の手法、すなわち、図4のフローチャートに示す測定データ解析処理、図5のフローチャートに示す前記測定データ解析処理でのグラフ描画処理等の各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、表示機能を備えた電子機器のコンピュータ(CPU)は、この外部記録装置の媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した測定データ解析機能及びそのグラフ描画機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0084】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記プログラムのデータを、表示機能を備えた電子機器に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した測定データ解析機能及びそのグラフ描画機能を実現することもできる。
【0085】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0086】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0087】
[請求項1]
データが測定された科学的特性に関する科学理論式を特定する式特定手段と、
前記式特定手段により特定された前記科学理論式の一部を割り当てた座標軸を有する座標系を設定し、設定した前記座標系に測定された前記科学的特性の前記データをプロットすることで生成される測定結果グラフを表示部に描画するグラフ生成描画手段と、
を備える電子機器。
【0088】
[請求項2]
前記式特定手段によって前記科学理論式が1つだけ特定されたとき、
グラフ生成描画手段は、前記1つの科学理論式の一部を割り当てた座標軸を有する座標系を自動的に設定する、
請求項1に記載の電子機器。
【0089】
[請求項3]
前記式特定手段は、データが測定された科学的特性に関する科学理論式について複数の候補が存在する場合、前記複数の科学理論式の中から1つを選択して特定するユーザ操作を受け付ける式選択受付手段を有する、
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【0090】
[請求項4]
前記グラフ生成描画手段は
前記式特定手段によって前記科学理論式が1つも特定されないとき、
時間軸と、測定された前記科学的特性の前記データを割り当てた座標軸と、を有する座標系を、前記座標系として自動的に設定する、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。
【0091】
[請求項5]
前記式特定手段によって前記科学理論式が1つも特定されないとき、前記グラフ生成描画手段が設定する前記座標系の座標軸を指定するユーザ操作を受け付ける座標軸受付手段、
をさらに備え、
前記グラフ生成描画手段は、前記座標軸受付手段が受け付けた前記ユーザ操作に基づいて前記座標系を設定する、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。
【0092】
[請求項6]
前記式特定手段によって前記科学理論式が特定されたとき、特定された前記科学理論式を回帰式に設定して、測定された前記科学的特性の前記データに基づいて、前記回帰式の係数を算出する回帰手段、
をさらに備え、
前記グラフ生成描画手段は、
前記回帰手段によって算出された前記係数が代入された前記回帰式に対応した回帰グラフを、前記測定結果グラフとともに同一の前記座標系にプロットすることで、前記表示部に描画する、
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電子機器。
【0093】
[請求項7]
前記式特定手段は、センサにより測定される前記データの前記科学的特性に関する科学理論式を特定する、
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の電子機器。
【0094】
[請求項8]
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の電子機器と、
前記科学的特性の前記データを測定するセンサと、を備える、
電子機器システム。
【0095】
[請求項9]
データが測定された科学的特性に関する科学理論式を特定すること、
前記特定された前記科学理論式の一部を割り当てた座標軸を有する座標系を設定し、設定した前記座標系に測定された前記科学的特性の前記データをプロットすることで生成される測定結果グラフを表示部に描画すること、
からなるグラフ描画方法。
【0096】
[請求項10]
コンピュータを、
データが測定された科学的特性に関する科学理論式を特定する式特定手段、
前記式特定手段により特定された前記科学理論式の一部を割り当てた座標軸を有する座標系を設定し、設定した前記座標系に測定された前記科学的特性の前記データをプロットすることで生成される測定結果グラフを表示部に描画するグラフ生成描画手段、
として機能させるためのコンピュータ読み込み可能なプログラム。
【符号の説明】
【0097】
10 …グラフ関数電卓
11 …CPU
12 …メモリ
12a…測定データ解析処理プログラム
12b…センサデータベース
12c…公式データベース
12d…座標設定データエリア
12e…測定データエリア
12f…グラフ描画データエリア
12g…表示データエリア
13 …外部記録媒体
14 …記録媒体読取部
15 …通信部
16 …キー入力部
17 …表示部
18 …外部機器I/F
20 …データロガー
22 …測定データメモリ
SE1,SE2…センサ
30 …Webサーバ
N …通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9