(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 24/48 20060101AFI20220913BHJP
B01D 29/60 20060101ALI20220913BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20220913BHJP
B01D 29/48 20060101ALI20220913BHJP
B01D 37/02 20060101ALI20220913BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20220913BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B01D29/36 C
B01D29/38 510D
B01D29/38 520B
B01D29/38 540
B01D29/48 A
B01D37/02 D
B01D37/04
B60P3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018130512
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391024951
【氏名又は名称】JR東日本テクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000148298
【氏名又は名称】株式会社アサヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】本田 善茂
(72)【発明者】
【氏名】細川 直昭
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-184151(JP,A)
【文献】米国特許第04764271(US,A)
【文献】特開平02-090911(JP,A)
【文献】特開2006-102589(JP,A)
【文献】特開2007-275841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
B01D61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の空気調和機を洗浄して排出された原液を濾過して処理するための排水処理装置であって、
排水処理装置本体と、該排水処理装置本体を搭載可搬する支持体と、を備え、
前記排水処理装置本体が、処理対象となる原液を貯留する集水タンクと、助剤及び水が混ざって得られたプリコート水を貯留するプリコートタンクと、前記集水タンクに貯留された原液を濾過するための濾過フィルターと、を備え、
前記集水タンクから前記濾過フィルターに原液を送出し、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する濾過排水経路と、
前記プリコートタンクから前記濾過フィルターにプリコート水を送出し、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を前記プリコートタンクに戻す濾過膜形成経路と、
前記集水タンクから前記濾過フィルターに流入されて濾過された処理水の少なくとも一部を、前記プリコートタンクに流入させる処理水補充経路と、を有し
、
前記濾過排水経路が、前記集水タンク及び前記濾過フィルターを接続する第1経路と、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する第2経路と、を有し、
前記濾過膜形成経路が、前記プリコートタンク及び前記濾過フィルターを接続する第3経路と、前記濾過フィルター及び前記プリコートタンクを接続する第4経路と、を有し、
前記処理水補充経路が、前記第1経路及び前記第4経路により構成され、
前記第1経路及び前記第3経路は、第1バルブを有し一端が前記集水タンクに接続された第1配管と、第2バルブを有し一端が前記プリコートタンクに接続された第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管の各他端との間に設けられたポンプと、一端が前記第1配管及び前記第2配管に前記ポンプを介して接続され、他端が前記濾過フィルターに接続された第3配管と、を備えていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記第2経路は、第4バルブを有し、前記濾過フィルターに接続されて処理水を放水するための放水用配管を備え、
前記第4経路は、第5バルブを有し、前記濾過フィルター及び前記プリコートタンクに接続されて処理水を前記プリコートタンクに戻す処理水戻し用配管を備えていることを特徴とする請求項
1に記載の排水処理装置。
【請求項3】
制御部を備え、
該制御部は、前記第1バルブを閉状態とし、前記第2バルブを開状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記プリコートタンク、前記第2配管、前記第3配管の順にプリコート水を通過させ、前記濾過フィルターにプリコート水を通過させることで、該プリコート水に含まれた助剤を前記濾過フィルターに付着させることを特徴とする請求項
1に記載の排水処理装置。
【請求項4】
制御部を備え、
該制御部は、前記第1バルブ及び前記第4バルブを開状態とし、前記第2バルブ及び前記第5バルブを閉状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記集水タンクに貯留された原液を、前記第1配管、前記第3配管、及び前記濾過フィルターの順に通過させ、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を、前記放水用配管を用いて放水することを特徴とする請求項
2に記載の排水処理装置。
【請求項5】
制御部を備え、
該制御部は、前記第2バルブ及び前記第5バルブを開状態とし、前記第1バルブ及び前記第4バルブを閉状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記濾過フィルターに
より濾過された処理水を、前記処理水戻し用配管を用いて前記プリコートタンクに戻すことを特徴とする請求項
2または
4に記載の排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、助剤を収納する助剤タンクと、助剤を所望の濃度に調整するためのプリコートタンクと、フィルターエレメントが収容される筐体と、処理対象となる原液を収納する原液タンクと、ゴミや不純物等が取り除かれて清浄化された液体を収納する処理液タンクと、を備えて構成された濾過装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の濾過装置は、助剤タンク、プリコートタンク、原液タンク、処理液タンクの少なくとも4個のタンクを有して構成されており、大型であるが故に排水処理場等の施設に設置されている。このため、例えば、洗車場等の原液が排出される洗浄場と排水処理場とが離れた場所にある場合には、処理対象となる原液を、排水処理場まで移送させなければならなかった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、利便性の向上を図った排水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の本発明によって解決される。
即ち、請求項1記載の本発明は、鉄道車両の空気調和機を洗浄して排出された原液を濾過して処理するための排水処理装置であって、
排水処理装置本体と、該排水処理装置本体を搭載可搬する支持体と、を備え、
前記排水処理装置本体が、処理対象となる原液を貯留する集水タンクと、助剤及び水が混ざって得られたプリコート水を貯留するプリコートタンクと、前記集水タンクに貯留された原液を濾過するための濾過フィルターと、を備え、
前記集水タンクから前記濾過フィルターに原液を送出し、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する濾過排水経路と、
前記プリコートタンクから前記濾過フィルターにプリコート水を送出し、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を前記プリコートタンクに戻す濾過膜形成経路と、
前記集水タンクから前記濾過フィルターに流入されて濾過された処理水の少なくとも一部を、前記プリコートタンクに流入させる処理水補充経路と、を有し、
前記濾過排水経路が、前記集水タンク及び前記濾過フィルターを接続する第1経路と、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する第2経路と、を有し、
前記濾過膜形成経路が、前記プリコートタンク及び前記濾過フィルターを接続する第3経路と、前記濾過フィルター及び前記プリコートタンクを接続する第4経路と、を有し、
前記処理水補充経路が、前記第1経路及び前記第4経路により構成され、
前記第1経路及び前記第3経路は、第1バルブを有し一端が前記集水タンクに接続された第1配管と、第2バルブを有し一端が前記プリコートタンクに接続された第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管の各他端との間に設けられたポンプと、一端が前記第1配管及び前記第2配管に前記ポンプを介して接続され、他端が前記濾過フィルターに接続された第3配管と、を備えていることを特徴とする排水処理装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記第2経路は、第4バルブを有し、前記濾過フィルターに接続されて処理水を放水するための放水用配管を備え、前記第4経路は、第5バルブを有し、前記濾過フィルター及び前記プリコートタンクに接続されて処理水を前記プリコートタンクに戻す処理水戻し用配管を備えていることが好ましい。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、制御部を備え、該制御部は、前記第1バルブを閉状態とし、前記第2バルブを開状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記プリコートタンク、前記第2配管、前記第3配管の順にプリコート水を通過させ、前記濾過フィルターにプリコート水を通過させることで、該プリコート水に含まれた助剤を前記濾過フィルターに付着させることが好ましい。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において、制御部を備え、該制御部は、前記第1バルブ及び前記第4バルブを開状態とし、前記第2バルブ及び前記第5バルブを閉状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記集水タンクに貯留された原液を、前記第1配管、前記第3配管、及び前記濾過フィルターの順に通過させ、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を、前記放水用配管を用いて放水することが好ましい。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、請求項2または4に記載の本発明において、制御部を備え、該制御部は、前記第2バルブ及び前記第5バルブを開状態とし、前記第1バルブ及び前記第4バルブを閉状態として、前記ポンプを駆動することにより、前記濾過フィルターにより濾過された処理水を、前記処理水戻し用配管を用いて前記プリコートタンクに戻すことが好ましい。
【0012】
また、前記支持体が、前記排水処理装置本体を載置させる載置板と、該載置板に支持されて前記載置板を所定の方向に移動させるクローラーと、を有していることが好ましい。
【0013】
また、前記濾過フィルターは、線材が螺旋状に巻かれて形成されたコイルばねを有したばね式フィルターであって、前記コイルばねにおける前記線材の間に前記助剤が付着されていることが好ましい。
【0014】
また、前記集水タンクから前記濾過フィルターに原液が送出される濾過方向とは逆向きにエアーを前記濾過フィルターに送出するための第1エアー送出管を有し、前記第1エアー送出管から送出されたエアーの圧力で、前記濾過フィルターに付着した助剤を剥離させることが好ましい。
【0015】
また、前記濾過フィルターが、線材が螺旋状に巻かれて形成されたコイルばねと、該コイルばねを収容する筐体と、を有し、前記集水タンクから前記コイルばねに原液が送出される濾過方向と同じ向きにエアーを前記筐体に送出するための第2エアー送出管を有し、前記第2エアー送出管から送出されたエアーの圧力で、前記濾過フィルターに付着した助剤を剥離させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、鉄道車両の空気調和機を洗浄して排出された原液を濾過して処理するための排水処理装置本体と、該排水処理装置本体を搭載可搬する支持体と、を備えている。即ち、排水処理装置が支持体を有していることで、排水処理装置本体は移動可能(可搬式)に構成されている。このため、複数個所で連結された各鉄道車両の空気調和器を順次洗浄する場合に、各鉄道車両の適宜な場所に排水処理装置を順次移動させることで、排出された原液の排水処理を適宜行うことができる。即ち、排水処理装置を可搬式とすることで、処理対象となる原液を移送する必要がなくなり、利便性の向上を図ることができる。
【0017】
また、排水処理装置本体は、集水タンクから濾過フィルターに原液を送出し、濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する濾過排水経路と、プリコートタンクから濾過フィルターにプリコート水を送出し、濾過フィルターにより濾過された処理水をプリコートタンクに戻す濾過膜形成経路と、集水タンクから濾過フィルターに流入されて濾過された処理水の少なくとも一部を、プリコートタンクに流入させる処理水補充経路と、を有している。即ち、濾過排水経路を用いて濾過排水処理を行い、濾過膜形成経路を用いて濾過膜形成処理を行いつつ、処理水補充経路を用いて、処理水補充処理を適宜行うことができる。処理水補充経路を用いて、処理水補充処理を行うことにより、プリコートタンクに処理水が供給され、プリコートタンクに所定の貯水量が確保されるから、水道等の給水手段がない場所であっても連続した濾過排水処理が可能とされる。
【0018】
また、濾過排水経路が、集水タンク及び濾過フィルターを接続する第1経路と、濾過フィルターにより濾過された処理水を放水する第2経路と、を有し、濾過膜形成経路が、プリコートタンク及び濾過フィルターを接続する第3経路と、濾過フィルター及びプリコートタンクを接続する第4経路と、を有し、処理水補充経路が、第1経路及び第4経路により構成されている。また、第1経路が、第1バルブを有する第1配管と、第1配管にポンプを介して接続された第3配管と、を有して構成され、第3経路が、第2バルブを有する第2配管と、第2配管にポンプを介して接続されて、第1経路と共通の第3配管と、を有して構成されている。これにより、第1配管と第2配管の各々にポンプを設置せずとも、第1経路及び第3経路の切り替えを行うことが出来る。従って、第1配管と第2配管の各々にポンプを設置する場合に比して、装置の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、第2経路は、第4バルブを有し、濾過フィルターに接続されて処理水を放水するための放水用配管を備え、第4経路は、第5バルブを有し、濾過フィルター及びプリコートタンクに接続されて処理水をプリコートタンクに戻す処理水戻し用配管を備えている。即ち、第1バルブ及び第4バルブのみを開放してポンプを駆動することで濾過排水処理が行われ、第2バルブ及び第5バルブのみを開放してポンプを駆動することで濾過膜形成処理が行われ、第1バルブ及び第5バルブを開放してポンプを駆動することで処理水補充処理が行われるから、各経路毎にポンプを配置する場合に比して、装置の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項3に記載の本発明によれば、制御部を備え、該制御部は、第1バルブを閉状態とし、第2バルブを開状態として、ポンプを駆動することにより、プリコートタンク、第2配管、第3配管の順にプリコート水を通過させ、濾過フィルターにプリコート水を通過させることで、該プリコート水に含まれた助剤を濾過フィルターに付着させる。これによれば、制御部の制御によって、濾過排水処理を自動で行うことができる。
【0021】
請求項4に記載の本発明によれば、制御部を備え、該制御部は、第1バルブ及び第4バルブを開状態とし、第2バルブ及び第5バルブを閉状態として、ポンプを駆動することにより、集水タンクに貯留された原液を、第1配管、第3配管、及び濾過フィルターの順に通過させ、濾過フィルターにより濾過された処理水を、放水用配管を用いて放水する。これによれば、制御部の制御によって、濾過排水処理を自動で行うことができる。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、制御部を備え、該制御部は、第2バルブ及び第5バルブを開状態とし、第1バルブ及び第4バルブを閉状態として、ポンプを駆動することにより、濾過フィルターにより濾過された処理水を、処理水戻し用配管を用いてプリコートタンクに戻す。これによれば、制御部の制御によって、処理水補充処理を自動で行うことができる。
【0023】
また、支持体が、排水処理装置本体を載置させる載置板と、該載置板に支持されて載置板を所定の方向に移動させるクローラーと、を有している。これによれば、支持体が、クローラーを有していることで、軌道(線路)を横断する際に脱輪し難くすることができる。また、整備されていない路面においても載置板を所定の方向に規制しつつ、移動させることができる。これにより、より一層、利便性の向上を図ることができる。
【0024】
また、濾過フィルターは、線材が螺旋状に巻かれて形成されたコイルばねを有したばね式フィルターであって、コイルばねにおける線材の間に前記助剤が付着されている。このようにばね式フィルターが用いられることで、コイルばねから助剤を剥す際に、コイルばねを引っ張って、線材間を大きくすることで、助剤を剥し易くできる。
【0025】
また、集水タンクから濾過フィルターに原液が送出される濾過方向とは逆向きにエアーを濾過フィルターに送出するための第1エアー送出管を有し、第1エアー送出管から送出されたエアーの圧力で、濾過フィルターに付着した助剤を剥離させる。これによれば、逆洗浄が行われ、効率よく濾過フィルターから助剤を剥すことができる。
【0026】
また、濾過フィルターが、線材が螺旋状に巻かれて形成されたコイルばねと、該コイルばねを収容する筐体と、を有し、集水タンクからコイルばねに原液が送出される濾過方向と同じ向きにエアーを筐体に送出するための第2エアー送出管を有し、第2エアー送出管から送出されたエアーの圧力で、濾過フィルターに付着した助剤を剥離させる。即ち、第2エアー送出管から濾過フィルターの筐体にエアーが圧入される。これにより、筐体内に下部から気泡が発生し、この気泡が上昇する力を利用して、濾過フィルターから使用済の助剤が剥される。このように、気泡が上昇する力を利用したバブリング洗浄を行うことにより、効率よく濾過フィルターから助剤を剥すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかる排水処理装置を示すブロック図である。
【
図2】前記排水処理装置を模式的に示す正面図である。
【
図3】前記排水処理装置を用いた処理工程を模式的に示す図である。
【
図4】前記排水処理装置を構成するμCOMにおける濾過膜形成処理を示すブロック図である。
【
図5】前記μCOMにおける濾過排水処理を示す図である。
【
図6】前記μCOMにおける逆洗浄処理を示す図である。
【
図7】前記μCOMにおけるバブリング洗浄処理を示す図である。
【
図8】前記μCOMにおける濾過後貯水処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の例示的一態様である実施形態にかかる排水処理装置を、
図1~
図8を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる排水処理装置を示すブロック図である。
図2は、排水処理装置1を模式的に示す正面図である。本実施形態に係る排水処理装置1は、
図2に示すように、鉄道車両TCの空気調和機(不図示)を洗浄した原液を、下水や河川等に放水するために、濾過フィルターFを用いて処理し、下水や河川等に放水可能な程度となるように処理するためのものである。
【0030】
図1、2に示すように、排水処理装置1は、排水処理装置本体100と、排水処理装置本体100を搭載する台車90(支持体、
図2に示す)と、を備えて構成されている。
【0031】
排水処理装置本体100は、
図1、2に示すように、珪藻土(助剤)及び水(処理水)が混ざって得られたプリコート水を貯留するプリコートタンクCと、集水タンクSと、濾過フィルターFと、を備えている。このような排水処理装置本体100は、集水タンクSから濾過フィルターFに原液を送出し、濾過フィルターFにより濾過された処理水の一部を放水する濾過排水経路R11と、プリコートタンクCから濾過フィルターFにプリコート水を送出し、濾過フィルターFからプリコートタンクCに処理水を戻す濾過膜形成経路R12と、集水タンクSから濾過フィルターFに流入されて濾過された処理水の少なくとも一部を、プリコートタンクCに流入させる処理水補充経路R13と、を有している。即ち、排水処理装置本体100は、濾過排水経路R11を用いて後述する濾過排水処理を行い、濾過膜形成経路R12を用いて後述する濾過膜形成処理を行いつつ、処理水補充経路R13を用いて後述する処理水補充処理を行っている。
【0032】
さらに、排水処理装置本体100は、集水タンクS及び濾過フィルターFを接続する第1経路R1(
図1に示す)と、濾過フィルターFにより濾過された処理水を放水する第2経路R2(
図1に示す)と、プリコートタンクC及び濾過フィルターFを接続する第3経路R3(
図1に示す)と、濾過フィルターF及びプリコートタンクCを接続する第4経路R4(
図1に示す)と、これらの第1経路R1、第2経路R2、第3経路R3、第4経路R4に設けられた後述するバルブB1~B9(
図1に示す)やポンプP(
図1に示す)を制御する制御盤20(制御部、
図2に示す)と、を有して構成されている。
【0033】
濾過排水経路R11は、第1経路R1と第2経路R2とを有して構成され、濾過膜形成経路R12は、第3経路R3と第4経路R4とを有して構成され、処理水補充経路R13は、第1経路R1と第4経路R4とを有して構成されている。
【0034】
第1経路R1及び第3経路R3は、
図4に示すように、第1バルブB1を含む第1配管11、第2バルブB2を含む第2配管12、第3バルブB3を含む第3配管13、及びポンプPを有して構成されている。即ち、第1経路R1は、第1配管11、ポンプP、及び第3配管13を有して構成され、第3経路R3は、第2配管12、ポンプP、及び第3配管13を有して構成されている。第1経路R1及び第3経路R3において、第3配管13は、共通して用いられている。
【0035】
第1配管11及び第2配管12は、
図4に示すように、各下流端11A、12AがポンプPに接続されている。そして、第1配管11の上流端11B(一端)は、集水タンクSに接続され、第2配管12の上流端12B(一端)は、プリコートタンクCに接続されている。第3配管13は、上流端13AがポンプPに接続され、下流端13Bが濾過フィルターFに接続されている。
【0036】
第2経路R2は、第4バルブB4を含む放水用配管14を有して構成されている。放水用配管14は、上流端14Aが濾過フィルターFに接続され、下流側14Bが例えば下水に接続されている。第4経路R4は、第5バルブB5を含む処理水戻し用配管15を有して構成されている。処理水戻し用配管15は、上流端15Aが濾過フィルターFに接続され、下流端15BがプリコートタンクCに接続されている。
【0037】
プリコートタンクCは、
図4に示すように、助剤(珪藻土)を所望の濃度に調整するために用いられるタンクである。プリコートタンクCは、処理水戻し用配管15(第4経路R4)を介して、濾過フィルターFに接続されている。また、プリコートタンクCは、第2配管12及び第3配管13(第3経路R3)を介して濾過フィルターFに接続されている。
【0038】
集水タンクSは、
図2、4に示すように、鉄道車両TCの空気調和機を洗浄した原液を貯留するためのタンクである。集水タンクSは、原液を移送するための原液用配管10(
図2に示す)及び第1配管11に接続されている。そして、集水タンクSは、原液用配管10により流入された原液を貯留する。また、集水タンクSに貯留された原液は、第1配管11、ポンプP、及び第3配管13(第1経路R1)を通過して、濾過フィルターFに移送される。
【0039】
濾過フィルターFは、
図4に示すように、集水タンクSに貯留された原液を濾過して処理水を生成するためものである。濾過フィルターFは、原液又はプリコート水を濾過フィルターFに移送するための第3配管13と、処理水の一部を下水に放水するための放水用配管14と、処理水の一部をプリコートタンクCに送出するための処理水戻し用配管15と、が接続されている。このような濾過フィルターFは、第3配管13を通過して原液又はプリコート水が流入される。また、濾過フィルターFにて濾過された処理水のうち、一部が、放水用配管14を通過して下水に放水され、他の一部が、処理水戻し用配管15を通過して、プリコートタンクCに流入される。
【0040】
濾過フィルターFは、
図3に示すように、ステンレス製の線材31Aが螺旋状に巻かれて形成されたコイルばね31を有したばね式フィルターである。濾過フィルターFは、有底筒状の筐体30と、筐体30に収容された中空部を有するコイルばね31と、中空部に挿入される芯金32と、芯金32の軸方向の両端部に固定されるとともにコイルばね31を所定の状態となるように支持する一対の支持金具33、33と、を有して構成されている。
【0041】
コイルばね31は、線材31Aが所定の内径を保ちつつ巻きバネ状に巻かれて構成されたものであり、隣接する線材31A同士が所定の間隔を有して密に設けられてフィルターとして機能する。本実施形態における濾過フィルターFは、コイルばね31の軸方向に、所望の濃度となるように調整されたプリコート水を通過させることにより、線材31Aにおけるコイルばね31の軸方向の間に珪藻土(助剤)が付着されている。
【0042】
コイルばね31は、軸方向の一方が開口され、他方が支持金具33の一方により閉塞されている。このような濾過フィルターFは、濾過方向と同じ向きに原液またはエアー等の流体が流入された場合には、流体が、コイルばね31の外周面から線材31A間を通過してコイルばね31の中心軸側に移動し、コイルばね31の開口から流体が送出されるように構成されている。また、濾過フィルターFは、濾過方向と逆向き(濾過逆方向)に流体が流入された場合には、流体が、コイルばね31の開口からコイルばね31の軸方向に流入され、コイルばね31の軸から離れる方向に放射状に線材31A間を通過する。この際、使用済みの助剤が剥がれて排出される。
【0043】
さらに、排水処理装置本体100は、
図1、4に示すように、使用済みの助剤が排出される廃液タンクH(
図1に示す)と、濾過フィルターFに濾過方向と逆向きにエアーを送出するための逆洗用エアー配管16と、濾過フィルターFに濾過方向と同じ向きにエアーを送出するための順洗用エアー配管17と、濾過フィルターF及び廃液タンクHを接続するための第1廃液用配管18及び第2廃液用配管19と、を備えている。逆洗用エアー配管16は、第8バルブB8を含みつつ、一端が濾過フィルターFに接続され、他端から取り込んだ圧縮空気(エアー)を濾過フィルターFに供給可能に構成されている。順洗用エアー配管17は、第9バルブB9を含みつつ、一端17Aが濾過フィルターFに接続され、他端17Bから取り込んだ圧縮空気(エアー)を濾過フィルターFに供給可能に構成されている。第1廃液用配管18は、第6バルブB6を含んで構成され、第2廃液用配管19は、第7バルブB7を含んで構成されている。
【0044】
このような逆洗用エアー配管16及び第1廃液用配管18を有していることにより、
図3、6に示すように、逆洗用エアー配管16から濾過フィルターFの筐体30内にエアーが圧入される。筐体30内にてエアーは、濾過方向とは逆向きにコイルばね31内から放射状に線材31A間を通過することで、濾過フィルターFから使用済の助剤を剥がす。そして、剥された助剤を含む筐体30内のプリコート水が、第1廃液用配管18を通過して、廃液タンクHに排出される。こうして、濾過フィルターFは洗浄される。なお、この際、コイルばね31が軸方向に引っ張られて、線材31A間が大きくされてもよい。その場合には、より一層、線材31Aに付着した助剤が剥がれ易くなる。
【0045】
また、順洗用エアー配管17及び第2廃液用配管19を有していることにより、
図3、7に示すように、順洗用エアー配管17から濾過フィルターFの筐体30にエアーが圧入される。筐体30内に下部から気泡が発生し、この気泡が上昇する力を利用して、濾過フィルターFから使用済の助剤が剥される(バブリング洗浄)。そして、剥された助剤及び筐体30内のプリコート水が、第2廃液用配管19を通過して、廃液タンクHに流入される。こうして、濾過フィルターFは洗浄される。
【0046】
台車90は、
図2に示すように、排水処理装置本体100を載置させる長方形状の載置板91と、載置板91の4隅に設けられた4つの車輪92と、載置板91の長手方向の両端に位置する車輪92間に設けられて、載置板91を所定の方向に移動案内させる一対のクローラー93、93と、を有して構成されている。各クローラー93は、一対の誘導輪94、94と、一対の誘導輪94、94に架け渡される無端ベル95と、一対の誘導輪94、94を支持する支持板96と、を有して構成されている。排水処理装置1がクローラー93を含む台車90を有していることにより、軌道(線路)を横断する際に脱輪し難くすることができる。また、整備されていない路面においても載置板91を所定の方向に規制しつつ、移動させることができる。
【0047】
次に、制御盤20に搭載されたμCOMの動作について、
図3~8を参照して説明する。プリコートタンクCには、所望の濃度に調整されたプリコート水が予め貯留されている。
【0048】
<濾過膜形成処理>
μCOMは、
図3、4に示すように、まず、第2バルブB2、第3バルブB3及び第5バルブB5のみを解放し、第2バルブB2、第3バルブB3及び第5バルブB5以外の他のバルブは閉塞して、ポンプPを駆動する。これにより、濾過膜形成処理が行われる。即ち、プリコートタンクCに貯留されたプリコート水は、第2配管12及び第3配管13を通過して濾過フィルターFに送出される。また、濾過フィルターFに流入されたプリコート水は、濾過フィルターFのコイルばね31の周囲から線材31A間を通過して中心軸側に流入されて、コイルばね31の開口側に向かい、処理水戻し用配管15を通過してプリコートタンクCに戻される。これにより、コイルばね31の線材31A間にプリコート水に含まれる助剤が付着される。即ち、濾過膜が形成される。
【0049】
<濾過排水処理>
次に、μCOMは、
図3、5に示すように、第1バルブB1、第3バルブB3及び第4バルブB4のみを解放し、第1バルブB1、第3バルブB3及び第4バルブB4以外の他のバルブは閉塞して、ポンプPを駆動する。これにより、濾過排水処理が行われる。即ち、集水タンクSに貯留された原液は、第1配管11及び第3配管13を通過して濾過フィルターFに送出される。また、濾過フィルターFにて濾過され処理水は、放水用配管14を通過して下水に排水される。
【0050】
<逆洗浄処理>
ここで、μCOMは、適宜のタイミングで、濾過フィルターFの逆洗浄を行う。即ち、μCOMは、
図3、6に示すように、第6バルブB6及び第8バルブB8のみを解放し、第6バルブB6及び第8バルブB8以外の他のバルブは閉塞して、ポンプPを駆動する。これにより、逆洗用エアー配管16から濾過フィルターFの筐体30にエアーが圧入される。筐体30内にてエアーは、濾過方向とは逆向きにコイルばね31内から放射状に線材31A間を通過することで、濾過フィルターFから使用済の助剤を剥がす。そして、剥された助剤及び筐体30内のプリコート水が、第1廃液用配管18を通過して、廃液タンクHに排出される。こうして、濾過フィルターFは逆洗浄により洗浄される。
【0051】
<バブリング洗浄処理>
さらに、μCOMは、適宜のタイミングで、濾過フィルターFのバブリング洗浄を行う。即ち、μCOMは、
図7に示すように、第7バルブB7及び第9バルブB9のみを解放し、第7バルブB7及び第9バルブB9以外の他のバルブは閉塞して、ポンプPを駆動する。これにより、順洗用エアー配管17から濾過フィルターFの筐体30にエアーが圧入される。筐体30内に下部から気泡が発生し、この気泡が上昇する力を利用して、濾過フィルターFから使用済の助剤が剥される。そして、剥された助剤及び筐体30内のプリコート水が、第2廃液用配管19を通過して、廃液タンクHに排出される。こうして、濾過フィルターFはバブリング洗浄(順洗浄)により洗浄される。
【0052】
<濾過後貯水処理(処理水補充処理)>
ところで、逆洗浄処理やバブリング洗浄処理後、再び、濾過膜形成処理を行って、濾過膜を形成した場合には、プリコートタンクCが所定の貯水量を確保するために、給水する必要がある。この場合には、μCOMは、
図8に示すように、第1バルブB1、第3バルブB3及び第5バルブB5のみを解放し、第1バルブB1、第3バルブB3及び第5バルブB5以外の他のバルブは閉塞して、ポンプPを駆動する。これにより、集水タンクSに貯留された原液は、第1配管11及び第3配管13を通過して濾過フィルターFに送出される。また、濾過フィルターFにより濾過された処理水は、濾過フィルターFのコイルばね31の周囲から線材31A間を通過して中心軸側に流入されて、濾過方向に向かい、処理水戻し用配管15を通過して、プリコートタンクCに流入される。即ち、濾過フィルターFによって濾過された処理水がプリコートタンクCに補充される濾過後貯水処理(処理水補充処理)が行われる。これにより、プリコートタンクCに処理水が供給され、プリコートタンクCに所定の貯水量が確保されるから、水道等の給水手段がない場所であっても連続した濾過排水処理が可能とされる。
【0053】
上述した実施形態によれば、鉄道車両TCの空気調和機を洗浄して排出された原液を濾過して処理するための排水処理装置本体100と、該排水処理装置本体100を搭載可搬する台車90(支持体)と、を備えている。即ち、排水処理装置1が台車90を有していることで、排水処理装置本体100は移動可能(可搬式)に構成されている。このため、複数個所で連結された各鉄道車両TCの空気調和器を順次洗浄する場合に、各鉄道車両TCの適宜な場所に排水処理装置1を順次移動させることで、排出された原液の排水処理を適宜行うことができる。即ち、排水処理装置1を可搬式とすることで、処理対象となる原液を移送する必要がなくなり、利便性の向上を図ることができる。
【0054】
また、排水処理装置本体100は、集水タンクSから濾過フィルターFに原液を送出し、濾過フィルターFにより濾過された処理水を放水する濾過排水経路R11と、プリコートタンクCから濾過フィルターFにプリコート水を送出し、濾過フィルターFにより濾過された処理水をプリコートタンクCに戻す濾過膜形成経路R12と、集水タンクSから濾過フィルターFに流入されて濾過された処理水の少なくとも一部を、プリコートタンクCに流入させる処理水補充経路R13と、を有している。即ち、濾過排水経路R11を用いて濾過排水処理を行い、濾過膜形成経路R12を用いて濾過膜形成処理を行いつつ、処理水補充経路R13を用いて、処理水補充処理を適宜行うことができる。これにより、プリコートタンクCに処理水が供給され、プリコートタンクCに所定の貯水量が確保されるから、水道等の給水手段がない場所であっても連続した濾過排水処理が可能とされる。
【0055】
また、濾過排水経路R11が、集水タンクS及び濾過フィルターFを接続する第1経路R1と、濾過フィルターFにより濾過された処理水を放水する第2経路R2と、を有し、濾過膜形成経路R12が、プリコートタンクC及び濾過フィルターFを接続する第3経路R3と、濾過フィルターF及びプリコートタンクCを接続する第4経路R4と、を有し、処理水補充経路R13が、第1経路R1及び第4経路R4により構成されている。また、第1経路R1が、第1バルブB1を有する第1配管11と、第1配管11にポンプPを介して接続された第3配管13と、を有して構成され、第3経路R3が、第2バルブB2を有する第2配管12と、第2配管12にポンプPを介して接続されて、第1経路R1と共通の第3配管13と、を有して構成されている。これにより、第1配管11と第2配管12の各々にポンプPを設置せずとも、第1経路R1及び第3経路R3の切り替えを行うことが出来る。従って、第1配管11と第2配管12の各々にポンプPを設置する場合に比して、装置の小型化を図ることができる。
【0056】
また、第2経路R2は、第4バルブB4を有し、濾過フィルターFに接続されて処理水を放水するための放水用配管14を備え、第4経路R4は、第5バルブB5を有し、濾過フィルターF及びプリコートタンクCに接続されて処理水をプリコートタンクCに戻す処理水戻し用配管15を備えている。即ち、第1バルブB1及び第4バルブB4のみを開放してポンプPを駆動することで濾過排水処理が行われ、第2バルブB2及び第5バルブB5のみを開放してポンプPを駆動することで濾過膜形成処理が行われ、第1バルブB1及び第5バルブB5を開放してポンプPを駆動することで処理水補充処理が行われるから、各経路R1~R4毎にポンプPを配置する場合に比して、装置の小型化を図ることができる。
【0057】
また、μCOMを含む制御盤20(制御部)を備え、該制御盤20は、第1バルブB1を閉状態とし、第2バルブB2を開状態として、ポンプPを駆動することにより、プリコートタンクC、第2配管12、第3配管13の順にプリコート水を通過させ、濾過フィルターFにプリコート水を通過させることで、該プリコート水に含まれた助剤を濾過フィルターFに付着させる。これによれば、制御盤20の制御によって、濾過排水処理を自動で行うことができる。
【0058】
また、μCOMを含む制御盤20(制御部)を備え、該制御盤20は、第1バルブB1及び第4バルブB4を開状態とし、第2バルブB2及び第5バルブB5を閉状態として、ポンプPを駆動することにより、集水タンクSに貯留された原液を、第1配管11、第3配管13、及び濾過フィルターFの順に通過させ、濾過フィルターFにより濾過された処理水を、放水用配管14を用いて放水する。これによれば、制御盤20の制御によって、濾過排水処理を自動で行うことができる。
【0059】
また、μCOMを含む制御盤20(制御部)を備え、該制御盤20は、第2バルブB2及び第5バルブB5を開状態とし、第1バルブB1及び第4バルブB4を閉状態として、ポンプPを駆動することにより、濾過フィルターFにより濾過された処理水を、処理水戻し用配管15を用いてプリコートタンクCに戻す。これによれば、制御盤20の制御によって、処理水補充処理を自動で行うことができる。
【0060】
また、台車90(支持体)が、排水処理装置本体100を載置させる載置板91と、該載置板91に支持されて載置板91を所定の方向に移動させるクローラー93と、を有している。これによれば、台車90が、クローラー93を有していることで、軌道(線路)を横断する際に脱輪し難くすることができる。また、整備されていない路面においても載置板を所定の方向に規制しつつ、移動させることができる。これにより、より一層、利便性の向上を図ることができる。
【0061】
また、濾過フィルターFは、線材31Aが螺旋状に巻かれて形成されたコイルばね31を有したばね式フィルターであって、コイルばね31における線材31Aの間に助剤が付着されている。このようにばね式フィルターが用いられることで、コイルばね31から助剤を剥す際に、コイルばね31を引っ張って、線材31A間を大きくすることで、助剤を剥し易くできる。
【0062】
また、集水タンクSから濾過フィルターFに原液が送出される濾過方向とは逆向きにエアーを濾過フィルターFに送出するための逆洗用エアー配管16(第1エアー送出管)を有し、逆洗用エアー配管16から送出されたエアーの圧力で、濾過フィルターFに付着した助剤を剥離させる。これによれば、逆洗浄が行われ、効率よく濾過フィルターFから助剤を剥すことができる。
【0063】
また、濾過フィルターFが、線材31Aが螺旋状に巻かれて形成されたコイルばね31と、該コイルばね31を収容する筐体30と、を有し、集水タンクSからコイルばね31に原液が送出される濾過方向と同じ向きにエアーを筐体30に送出するための順洗用エアー配管17(第2エアー送出管)を有し、順洗用エアー配管17から送出されたエアーの圧力で、濾過フィルターFに付着した助剤を剥離させる。即ち、順洗用エアー配管17から濾過フィルターFの筐体30にエアーが圧入される。これにより、筐体30内に下部から気泡が発生し、この気泡が上昇する力を利用して、濾過フィルターFから使用済の助剤が剥される。このように、気泡が上昇する力を利用したバブリング洗浄を行うことにより、効率よく濾過フィルターFから助剤を剥すことができる。
【0064】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 排水処理装置
100 排水処理装置本体
11 第1配管
11B 第1配管の上流端(第1配管の一端)
12 第2配管
12B 第2配管の上流端(第2配管の一端)
13 第3配管
14 放水用配管
15 処理水戻し用配管
16 逆洗用エアー配管(第1エアー送出管)
17 順洗用エアー配管(第2エアー送出管)
20 制御盤(制御部)
30 筐体
31 コイルばね
31A 線材
90 台車(支持体)
91 載置板
93 クローラー
B1 第1バルブ
B2 第2バルブ
B4 第4バルブ
B5 第5バルブ
TC 鉄道車両
S 集水タンク
C プリコートタンク
F 濾過フィルター
P ポンプ
R1 第1経路
R2 第2経路
R3 第3経路
R4 第4経路
R11 濾過排水経路
R12 濾過膜形成経路
R13 処理水補充経路