(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/20 20060101AFI20220913BHJP
G06F 13/14 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G06F11/20 697
G06F13/14 310F
(21)【出願番号】P 2018048763
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(72)【発明者】
【氏名】竹森 康
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-226736(JP,A)
【文献】特開2015-215863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
G06F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重化システムを構成する他の系の装置と接続された情報処理装置であって、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、を備え、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御
し、
さらに、前記制御部は、前記第1通信経路と接続された第1伝送経路と、当該第1伝送経路とは他の伝送経路であり前記第1通信経路とは接続されていない第2伝送経路と、による2本の伝送経路で、前記情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の伝送経路のうちいずれか一方を前記接続部に接続するよう切り換える切換部を備えた、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1通信経路と前記第2通信経路とにより並行して、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記情報処理装置に装備されたメモリと前記他の系の装置に装備されたメモリとの間でデータコピーを行うときに、前記切換部を制御して前記第2伝送経路を前記接続部に接続するよう切り換える、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記接続部を複数備えており、
前記制御部は、前記第1通信経路と、複数の前記接続部に接続された複数の前記第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記接続部は、PCIeスロットである、
情報処理装置。
【請求項6】
二重化システムを構成する一方の系の情報処理装置と他方の系の情報処理装置と、が接続された情報処理システムであって、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置とは、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との間で相互に二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、をそれぞれ備え、
さらに、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部間を二重化処理のために接続する第1通信経路と、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記接続部にそれぞれ接続された前記インタフェース装置間を接続する第2通信経路と、を備え、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部は、前記情報処理装置間でメモリデータコピーを行うよう制御
し、
前記一方の系の情報処理装置の前記制御部は、前記第1通信経路と接続された一方側の第1伝送経路と、当該一方側の第1伝送経路とは他の伝送経路であり前記第1通信経路とは接続されていない一方側の第2伝送経路と、による2本の一方側の伝送経路で、前記一方の系の情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の一方側の伝送経路のうちいずれか一方を前記一方の系の情報処理装置の前記接続部に接続するよう切り換える一方側の切換部を備え、
前記他方の系の情報処理装置の前記制御部は、前記第1通信経路と接続された他方側の第1伝送経路と、当該他方側の第1伝送経路とは他の伝送経路であり前記第1通信経路とは接続されていない他方側の第2伝送経路と、による2本の他方側の伝送経路で、前記他方の系の情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の他方側の伝送経路のうちいずれか一方を前記他方の系の情報処理装置の前記接続部に接続するよう切り換える他方側の切換部を備える、
情報処理システム。
【請求項7】
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置に、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部を実現させると共に、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御
し、
さらに、前記制御部は、前記第1通信経路と接続された第1伝送経路と、当該第1伝送経路とは他の伝送経路であり前記第1通信経路とは接続されていない第2伝送経路と、による2本の伝送経路で、前記情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の伝送経路のうちいずれか一方を前記接続部に接続するよう切り換える、
ことを実現させるためのプログラム。
【請求項8】
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置に装備された制御部が、前記他の系の装置との二重化処理を行うと共に、
前記制御部が、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御
し、
さらに、前記制御部が、前記第1通信経路と接続された第1伝送経路と、当該第1伝送経路とは他の伝送経路であり前記第1通信経路とは接続されていない第2伝送経路と、による2本の伝送経路で、前記情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の伝送経路のうちいずれか一方を前記接続部に接続するよう切り換える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリコピーを行う情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野でコンピュータシステムが利用されるようになったことで、コンピュータの障害発生時においても、コンピュータシステムでそれまで行っていた処理を継続させることが必要となっている。このため、複数のコンピュータを同期させて二重化し、一のコンピュータに障害が発生しても他のコンピュータに処理を継続させ、連続運用させる仕組みとして、フォールトトレラントシステムがある。例えば、フォールトトレラントシステムで2つの系を同期させる方法として、各系のコンピュータが有するCPU(Central Processing Unit)やメモリを備えたCPUサブシステムが、クロックを合わせた状態で全く同一の動作を行うロックステップ方式が知られている。そして、フォールトトレラントシステムにおいて各系を構成するコンピュータは、上述したロックステップ動作を行うためのコントローラであるFT(Fault tolerant)チップセットを備えている。
【0003】
フォールトトレラントシステムでは、2つの系を二重化して同期させるために、各系のコンピュータ間でメモリコピーを行う必要がある。各系のコンピュータ間でのメモリコピーは、特許文献1に示すように、各系のコンピュータにそれぞれ搭載されたFTチップセット間をクロスリンクで接続し、かかるクロスリンクを介して各系のコンピュータ間でデータを転送することで行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年は、メモリの大容量化が進んでおり、上述したフォールトトレラントシステムにおいてコピーする必要があるメモリの量が増加している。このため、二重化動作を行うためのメモリコピー時に、コピー処理にかかる時間が増加し、二重化動作状態になるまでの時間がかかる。その結果、迅速なシステム運用ができない、という問題が生じる。
【0006】
一方で、メモリコピーの時間を短縮させるために、メモリコピーに使用している上記クロスリンクのバス幅を増加させることも考えられる。しかしながら、既存の構成を変更することとなると、これまでの装置との共用ができなくなり、汎用性が低下し、コストが増加してしまう、という問題が生じる。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、二重化システムにおいてメモリコピーの時間がかかること、を解決することができる情報処理装置、情報処理システム、プログラム、情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である情報処理装置は、
二重化システムを構成する他の系の装置と接続された情報処理装置であって、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、を備え、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態である情報処理システムは、
二重化システムを構成する一方の系の情報処理装置と他方の系の情報処理装置と、が接続された情報処理システムであって、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置とは、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との間で相互に二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、をそれぞれ備え、
さらに、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部間を二重化処理のために接続する第1通信経路と、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記接続部にそれぞれ接続された前記インタフェース装置間を接続する第2通信経路と、を備え、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部は、前記情報処理装置間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
という構成をとる。
【0010】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置に、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部を実現させると共に、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
ことを実現させる、
という構成をとる。
【0011】
また、本発明の一形態である情報処理方法は、
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置に装備された制御部が、前記他の系の装置との二重化処理を行うと共に、
前記制御部が、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されることにより、二重化システムにおけるメモリコピー時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1における情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に開示した情報処理システムの構成の変化を示す図である。
【
図3】
図2に開示した情報処理システムの構成時におけるデータの流れを示す図である。
【
図4】
図1に開示した情報処理システムの構成の変化を示す図である。
【
図5】
図4に開示した情報処理システムの構成時におけるデータの流れを示す図である。
【
図6】
図1に開示した情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態2における情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、情報処理システムの構成を説明するための図である。
図2乃至
図6は、情報処理システムの動作を説明するための図である。
【0015】
[構成]
図1に示す情報処理システムは、A系のサーバ1a(情報処理装置)とB系のサーバ1b(情報処理装置)とを備えたフォールトトレラントシステムを構成している。つまり、A系のサーバ1aとB系のサーバ1bとは、一方が主系となって所定のサービスを提供し、他方が従系となり、常に同期して同一の動作を行うロックステップ方式で作動している。
【0016】
そして、A系のサーバ1aは、
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)2aと、メモリ3aと、FT(Fault tolerant)チップセット4aと、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)スロット5aと、を備えている。また、B系のサーバ1bも同様に、CPU2bと、メモリ3bと、FTチップセット4bと、PCIeスロット5bと、を備えている。なお、両サーバ1a,1bの構成は同一であるため、以下では、主にA系のサーバ1aの構成について説明する。
【0017】
上記CPU2aは、演算装置であり、A系のサーバ1aの動作を制御し、サービス提供処理やサーバ1a,1b間の同期処理、メモリデータ転送処理などを制御する。
【0018】
上記メモリ3aは、記憶装置であり、例えば、A系のサーバ1aで提供されるサービスに使用されるデータが記憶される。このため、メモリ3aに記憶されているデータは、二重化処理を開始する際に、B系のサーバ1bのメモリ3bと同期されている必要があるため、一方から他方へコピーが行われることとなる。例えば、A系のサーバ1aが稼働しており、B系のサーバ1bが障害から復旧した場合には、A系のサーバ1aからB系のサーバ1bへメモリデータコピーが行われることとなる。なお、メモリデータコピーの詳細については後述する。
【0019】
上記FTチップセット4a(制御部)は、演算装置や記憶装置、各種回路を備えた電子回路にて構成されている。そして、FTチップセット4aは、演算装置がプログラムを実行することで、フォールトトレラントシステムとして必要な機能を実現するよう構成されている。例えば、FTチップセット4aは、他系のサーバとクロスリンク10(第1通信経路)で接続されており、両サーバ1a,1bで同期して二重化処理を行う。また、FTチップセット4aは、両サーバ1a,1b間でメモリデータコピーが必要な場合に、上記クロスリンク10による経路に加え、後述する外部ケーブル11による経路も用いて、並行してメモリデータコピーを行う。
【0020】
上述したメモリデータコピーを行うために、FTチップセット4aは、
図1に示すように、スイッチ7a(切換部)を備えている。スイッチ7aは、CPU2aと2本の伝送経路8a,9aで接続されている。このうち、第1伝送経路8aは、上述したクロスリンク10と接続されており、これにより、両サーバ1a,1bのFTチップセット4a,4bが相互に接続されている。また、第2伝送経路9aは、上記クロスリンク10とは接続されておらず、単にCPU2aとスイッチ7aとを接続しているだけである。そして、スイッチ7aは、第1伝送経路8aと第2伝送経路9aとのうちいずれか一方を、PCIeスロット5aに接続するよう切り換える(
図2及び
図4参照)。
【0021】
具体的に、スイッチ7aは、上述したメモリデータコピー時には、上記CPU2aやFTチップセット4aからの指令に応じて、
図4に示すように、クロスリンク10と接続していない第2伝送経路9aをPCIeスロット5aと接続するよう切り換える。これにより、CPU2aは、第1伝送経路8aを介してクロスリンク10と接続されつつ、第2伝送経路9aを介してPCIeスロット5aと接続された状態になる。
【0022】
上記PCIeスロット5a(接続部)は、他の外部装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な外部接続端子である。本実施形態では、PCIeスロット5aに、インタフェース装置としてのメモリコピーボード6aを接続することができる。そして、メモリコピーボード6aに外部ケーブル11を接続することで、当該ケーブル11の他端をB系のサーバ1bに接続することができる。これにより、PCIeスロット5aを介して、両サーバ1a,1b間をクロスリンク10とは異なる手段で接続することができる。つまり、両サーバ1a,1b間を、クロスリンク10と外部ケーブル11とで接続でき、後述するように、クロスリンク10経由と外部ケーブル11経由とで並行して上述したメモリデータコピーを行うことができる。
【0023】
なお、PCIeスロット5aには、
図2に示すように、インタフェース装置として他のPCIeカード12aを接続することができる。このため、サーバ1aには、PCIeカード12aを介して他の装置を接続することができる。
【0024】
[動作]
次に、上述した構成の情報処理システムの動作を説明する。まず、
図2乃至
図3を参照して、PCIeスロット5a,5bにPCIeカード12a,12bを装着する場合の動作を説明する。
【0025】
図2に示すように、PCIeスロット5a,5bに通常のPCIeカード12a,12bを接続する場合は、スイッチ7a,7bを第1伝送経路8a,8bに切り換える。つまり、クロスリンク10と接続された第1伝送経路8a,8bが、PCIeスロット5a,5bに装着されたPCIeカード12a,12bと接続されるよう、スイッチ7a,7bを切り換える。このように接続することで、両サーバ1a,1bは、
図3の経路P1に示すように、クロスリンク10を介して同期を行いつつ、一方のサーバに接続されたPCIeカードにアクセス可能となる。
【0026】
例えば、
図3の例では、A系のサーバ1aは、経路P11に示すように、CPU2aから第1伝送経路8a、スイッチ7a、PCIeスロット5aを経由してPCIeカード12aへアクセスできる。そして、B系のサーバ1bも、経路P12に示すように、CPU2bから第1伝送経路8b、クロスリンク10、スイッチ7a、PCIeスロット5aを経由してPCIeカード12aへのアクセスが可能となる。これにより、A系とB系の両サーバ1a,1bから、同じPCIeカード12aに接続された外部装置へのアクセスが可能となる。
【0027】
次に、
図4乃至
図6を参照して、A系のサーバ1aのメモリ3aからB系のサーバ1bのメモリ3bへ、データコピーを行う場合の動作を説明する。まず、
図4に示すように、両サーバ1a,1bのPCIeスロット5a,5bに、それぞれメモリコピーボード6a,6bを接続し、メモリコピーボード6a,6b同士を外部ケーブル11で接続する。そして、メモリコピー開始時には(
図6のステップS1)、両サーバ1a,1bのFTチップセット4a,4bに含まれているスイッチ7a,7bを、それぞれ第2伝送経路9a,9bに切り替える(
図6のステップS2)。このように接続することで、両サーバ1a,1bは、
図5に示すように、クロスリンク10を介した経路P1と、外部ケーブル11を介した経路P2と、の2つの経路P1,P2で接続され、当該2つの経路P1,P2で並行してメモリデータコピーを行うことができる(
図6のステップS3)。
【0028】
具体的には、まず、A系のサーバ1aのFTチップセット4aは、第1伝送経路8aを使用してCPU2aを経由してメモリ3aのメモリデータを取得する。そして、クロスリンク10を経由した経路P1で、B系のFTチップセット4bにメモリデータを送信する。B系のFTチップセット4bは、第1伝送経路8b、CPU2bを経由してメモリ3bに受信したデータをコピーする。
【0029】
また、上記クロスリンク10を経由した経路P1でのメモリデータコピーと並行して、FTチップセット4aは、第2伝送経路9aを使用してCPU2aを経由してメモリ3aのメモリデータを取得する。そして、経路P2で、スイッチ7aを経由して、PCIeスロット5a、メモリコピーボード6aにメモリデータを送信し、メモリコピーボード6aは外部ケーブル11を経由してB系のメモリコピーボード6bにメモリデータを送信する。B系のメモリコピーボード6bは、PCIeスロット5b、スイッチ7b、第2伝送経路9b、CPU2bを経由してメモリ3bにデータをコピーする。
【0030】
そして、上述した2つの経路P1,P2による動作を、全メモリデータのコピーが完了するまで繰り返すことで、両方の系のメモリデータが一致するようになる。
【0031】
以上のように、本発明における情報処理システムでは、2つの経路P1,P2で並行してメモリデータコピーを行っているため、高速にコピー処理を行うことができる。このとき、既存のクロスリンク10の経路P1とは異なる外部ケーブル11を用いた経路P2は、サーバ1a,1bに装備された既存の未使用のPCIeスロット5a,5bを活用している。このため、既存のシステム構成の形状を保っているため、汎用性が高くなり、設備コストの増加を抑制できる。
【0032】
なお、上記では、両サーバ1a,1bにPCIeスロット5a,5bが搭載されている場合を例示したが、両サーバ1a,1bを外部ケーブル11で接続する接続部はPCIeスロット5a,5bであることに限定されず、他の規格のものであってもよい。また、両サーバ1a,1bをクロスリンク10以外で接続する際には、必ずしも有線ケーブルで接続することに限定されず、無線通信にて接続してもよい。
【0033】
また、上述した例では、両サーバ1a,1bがPCIeスロット5a,5bを1つ有している場合を例示したが、両サーバ1a,1bは複数のPCIeスロット5a,5bあるいはこれに相当する複数の接続部をそれぞれ備えていてもよい。この場合、スイッチ7a,7bが、複数の第2伝送経路9a,9bとそれぞれ接続されるよう切り換える。そして、両サーバ1a,1bが、複数のPCIeスロット5a,5b間をそれぞれ複数の外部ケーブル11で接続されることで、クロスリンク10を経由した経路P1の他に、さらに複数の経路P2でメモリデータコピーを行うことができる。これにより、さらなるメモリデータコピーの性能の向上を図ることができる。
【0034】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態における情報処理装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、実施形態1で説明したサーバ1aの構成の概略を示している。
【0035】
図7に示すように、本実施形態における情報処理装置100は、
二重化システムを構成する他の系の装置200と接続されており、
他の系の装置200との二重化処理を行う制御部101と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部102と、
を備えている。
そして、上記制御部101は、当該制御部101と他の系の装置200とを二重化処理のために接続した第1通信経路111と、接続部102に接続されたインタフェース装置と他の系の装置200とを接続した第2通信経路112と、を用いて、情報処理装置100と他の系の装置200との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
という構成をとる。
【0036】
なお、上記制御部101は、情報処理装置100に装備された演算装置がプログラムを実行することで実現されるものである。
【0037】
上記発明によると、2つの経路で並行してメモリデータコピーを行うことができるため、高速にコピー処理を行うことができる。その結果、二重化システムにおいて迅速に二重化運用を開始することができる。
【0038】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0039】
(付記1)
二重化システムを構成する他の系の装置と接続された情報処理装置であって、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、を備え、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理装置。
【0040】
(付記2)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1通信経路と前記第2通信経路とにより並行して、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理装置。
【0041】
(付記3)
付記1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1通信経路と接続された第1伝送経路と、当該第1伝送経路とは他の伝送経路である第2伝送経路と、による2本の伝送経路で、前記情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の伝送経路のうちいずれか一方を前記接続部に接続するよう切り換える切換部を備えた、
情報処理装置。
【0042】
(付記4)
付記3に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記情報処理装置に装備されたメモリと前記他の系の装置に装備されたメモリとの間でデータコピーを行うときに、前記切換部を制御して前記第2伝送経路を前記接続部に接続するよう切り換える、
情報処理装置。
【0043】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記接続部を複数備えており、
前記制御部は、前記第1通信経路と、複数の前記接続部に接続された複数の前記第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理装置。
【0044】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記接続部は、PCIeスロットである、
情報処理装置。
【0045】
(付記7)
二重化システムを構成する一方の系の情報処理装置と他方の系の情報処理装置と、が接続された情報処理システムであって、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置とは、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との間で相互に二重化処理を行う制御部と、
所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部と、をそれぞれ備え、
さらに、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部間を二重化処理のために接続する第1通信経路と、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記接続部にそれぞれ接続された前記インタフェース装置間を接続する第2通信経路と、を備え、
前記一方の系の情報処理装置と前記他方の系の情報処理装置との前記制御部は、前記情報処理装置間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理システム。
【0046】
(付記8)
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置に、
前記他の系の装置との二重化処理を行う制御部を実現させると共に、
前記制御部は、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
ことを実現させるためのプログラム。
【0047】
(付記9)
二重化システムを構成する他の系の装置と接続され、所定の他の装置と接続するためのインタフェース装置を接続可能な接続部を備えた情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置に装備された制御部が、前記他の系の装置との二重化処理を行うと共に、
前記制御部が、当該制御部と前記他の系の装置とを二重化処理のために接続した第1通信経路と、前記接続部に接続された前記インタフェース装置と前記他の系の装置とを接続した第2通信経路と、を用いて、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理方法。
【0048】
(付記9.1)
付記9に記載の情報処理方法であって、
前記制御部は、前記第1通信経路と前記第2通信経路とにより並行して、前記情報処理装置と前記他の系の装置との間でメモリデータコピーを行うよう制御する、
情報処理方法。
【0049】
(付記9.2)
付記9又は9.1に記載の情報処理方法であって、
前記制御部は、前記第1通信経路と接続された第1伝送経路と、当該第1伝送経路とは他の伝送経路である第2伝送経路と、による2本の伝送経路で、前記情報処理装置に装備された演算装置と接続されており、前記2本の伝送経路のうちいずれか一方を前記接続部に接続するよう切り換え可能であり、前記情報処理装置に装備されたメモリと前記他の系の装置に装備されたメモリとの間でデータコピーを行うときに、前記切換部を制御して前記第2伝送経路を前記接続部に接続するよう切り換える、
情報処理方法。
【0050】
なお、上述したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0051】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1a,1b サーバ
2a,2b CPU
3a,3b メモリ
4a,4b FTチップセット
5a,5b PCIeスロット
6a,6b メモリコピーボード
7a,7b スイッチ
8a,8b 第1伝送経路
9a,9b 第2伝送経路
10 クロスリンク
11 外部ケーブル
12a,12b PCIeカード
100 情報処理装置
101 制御部
102 接続部
111 第1通信経路
112 第2通信経路
200 他の系の装置