(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】シラミの卵駆除剤
(51)【国際特許分類】
A01N 37/02 20060101AFI20220913BHJP
A01N 55/10 20060101ALI20220913BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A01N37/02
A01N55/10 500
A01P7/04
(21)【出願番号】P 2018080413
(22)【出願日】2018-04-19
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】梶原 寛
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-139424(JP,A)
【文献】特表2005-529896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0296182(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0165094(US,A1)
【文献】国際公開第2016/063963(WO,A1)
【文献】特開2012-031169(JP,A)
【文献】特開2017-206455(JP,A)
【文献】BARNETT, E. et al.,Effectiveness of isopropyl myristate/ cyclomethicone D5 solution of removing cuticular hydrocarbons from human head lice (Pediculus humanus capitis),BMC Dermatology,2012年,Vol.12, No.15,URL:http://www.biomedcentral.com/1471-5945/12/15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸イソプロピル又はミリスチン酸イソプロピルである脂肪酸エステル
0.1 ~40重量%と
、
直鎖状の骨格を有し、25℃の常温で油状のシロキサン
0.1~40重量%と、
非イオン性界面活性剤0.1~40重量%と、
炭素数12~18の脂肪酸0.1~30重量%と、
炭素数12~18のアルコール0.1~30重量%と、
流動パラフィン21~43.1重量%を含有することを特徴とするシラミの卵駆除剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラミの卵からシラミが孵化することを阻害するシラミの卵駆除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シラミからの被害を防ぐために、また、被害の拡散を防ぐために、人や動物に塗布して使用する衛生害虫駆除剤が知られている。一般的に、シラミには効果があるとされる組成物であっても、シラミの卵には効果がないことが多い。シラミの卵は硬い殻で構成されておりシラミの体の構造とは全く異なるからである。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭素数が9~24である高級アルコール又は炭素数が1~22である脂肪酸の少なくともいずれか一方を含有するシラミ駆除剤が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ノミ・シラミ・ダニ・アリ・ゴキブリ・蜘蛛などの匍匐害虫の卵や、蚊・ハエ・蛾などの飛翔害虫の卵に対する殺卵効果を発現するように、安息香酸デナトリウムまたは八アセチル化ショ糖と、非イオン性界面活性剤を含有する害虫用殺卵剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-31169号公報
【文献】特開2017-206455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシラミ駆除剤について、シラミに対して駆除効果があったとしても、シラミの卵には駆除効果がなくシラミが孵化してしまうという課題があった。
【0007】
そして、特許文献2に記載の害虫用殺卵剤について、明細書中にはシラミの卵にも言及はされているが、実施例において、アカイエカ、アリ、ゴキブリの卵には孵化を阻害する効果が開示されているだけで、シラミの卵に対して駆除効果があるか否かは判然としない。
【0008】
そこで、本発明では、シラミよりも駆除することが困難であるシラミの卵の孵化を阻害することができるシラミの卵駆除剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔1〕すなわち、本発明は、パルミチン酸イソプロピル又はミリスチン酸イソプロピ ルである脂肪酸エステル0.1~40重量%と、直鎖状の骨格を有し、25℃の常温で 油状のシロキサン0.1~40重量%と、非イオン性界面活性剤0.1~40重量%と 、炭素数12~18の脂肪酸0.1~30重量%と、炭素数12~18のアルコール0 .1~30重量%と、流動パラフィン21~43.1重量%を含有することを特徴とす るシラミの卵駆除剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシラミの卵駆除剤によれば、シラミよりも駆除することが困難であるシラミの卵の孵化を阻害することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のシラミの卵駆除剤に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0016】
本発明において使用される脂肪酸エステルは、アルコールと脂肪酸が脱水縮合して得られる化合物であり、より詳細には、一価のアルコールと炭素数12~18の脂肪酸が脱水縮合して得られる化合物である。作用機序は明らかではないが、脂肪酸エステルを用いることにより、シラミの卵からシラミが孵化することを著しく抑制する効果を発現させることができる。
【0017】
具体的に、脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチルヘキシルなどの炭素数が1~8の直鎖又は分岐鎖を有する一価のアルコールと炭素数12~18の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸が脱水縮合して得られる化合物などが好ましい。また、上記脂肪酸エステルは1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、本発明であるシラミの卵駆除剤のうち、脂肪酸エステルの含有割合は、0.1~40重量%が好ましく、1~30重量%がさらに好ましく、2~20重量%が最も好ましい。脂肪酸エステルの含有割合が、この範囲であれば、シラミの卵からシラミが孵化することを著しく抑制することができる。
【0019】
本発明において使用されるシロキサンは、ケイ素と酸素を骨格とし、シロキサン結合(Si-O-Si結合)を有する化合物である。例えば、オルガノアルコキシシランを加水分解および脱水縮合されて得られる有機化合物である。作用機序は明らかではないが、シロキサンを用いることにより、シラミの卵からシラミが孵化することを著しく抑制する効果を発現させることができる。
【0020】
具体的に、シロキサンとしては、メチルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、などの直鎖状のシロキサンや、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチコン、ビニルジメチコンなどの環状のシロキサンなどが好ましい。そして、シロキサンが直鎖状の骨格を有し、25℃の常温で油状であることがさらに好ましく、25℃における動粘度が1~500mm2/sであることが最も好ましい。また、上記シロキサンは1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、本発明であるシラミの卵駆除剤のうち、シロキサンの含有割合は、0.1~40重量%が好ましく、1~30重量%がさらに好ましく、2~20重量%が最も好ましい。シロキサンの含有割合が、この範囲であれば、シラミの卵からシラミが孵化することを著しく抑制することができる。
【0022】
本発明において、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であり、本発明であるシラミの卵駆除剤を作製するときにおいて、水溶性成分を配合するときに各成分の分離を防止するため、脂肪酸エステルとシロキサンを分散させるため、さらには、本発明であるシラミの卵駆除剤に起泡性又は消泡性を持たせるために添加される。
【0023】
具体的に、界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、そして、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、そして、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンポリグリセリンエステル等の非イオン性界面活性剤、そして、アルキル基を有するイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミノ酸系、アミンオキシド系等の両性界面活性剤が好ましい。また、上記の界面活性剤は1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
また、上記の種類の界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤が含有されていることが好ましい。その中でもエステル型、エーテル型、エステルエーテル型から選ばれる少なくとも一種がさらに好ましく、液状、又は固形である100%純分の化合物だけでなく、それらを所定量の水で希釈した水溶液であってもよい。
【0025】
エステル型の非イオン性界面活性剤としては、炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基及びアシル基、芳香族基並びにそれらの組み合わせの主鎖を有するカルボン酸と多価アルコールから得られる化合物であることが好ましい。また、炭化水素基は炭素数1~18の直鎖又は分岐鎖や飽和又は不飽和であってもよい。具体的には、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレートなどのソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステルなどを使用することができる。
【0026】
エーテル型の非イオン性界面活性剤としては、炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基及びアシル基、芳香族基並びにそれらの組み合わせの主鎖を有する一価のアルコールと多価アルコールから得られる化合物であることが好ましい。また、炭化水素基は炭素数1~18の直鎖又は分岐鎖や飽和又は不飽和であってもよい。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどを使用することができる。
【0027】
エステルエーテル型の非イオン性界面活性剤としては、炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基及びアシル基、芳香族基並びにそれらの組み合わせの主鎖を有するカルボン酸とポリアルキレンオキサイド又はポリアルキレンオキサイドが付加された多価アルコールから得られる化合物であることが好ましい。また、炭化水素基は炭素数1~18の直鎖又は分岐鎖や飽和又は不飽和であってもよい。具体的には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレエートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどを使用することができる。
【0028】
また、本発明であるシラミの卵駆除剤のうち、界面活性剤の含有割合は、他の成分の種類や配合量とのバランスを調整し、0.1~40重量%が好ましく、1~30重量%がさらに好ましく、2~20重量%が最も好ましい。界面活性剤の含有割合が、この範囲であれば、水溶性成分を配合するときに各成分の分離を防止することができ、脂肪酸エステルとシロキサンを分散させることができ、さらには、本発明であるシラミの卵駆除剤に起泡性又は消泡性を持たせることができる。
【0029】
本発明において、脂肪酸を配合することができる。より詳細には、脂肪酸は、一般式CnHmCOOHで表わされる1価のカルボン酸で、nが0以上、mが1以上の整数である脂肪酸であり、直鎖又は分岐構造を有し、また飽和又は不飽和構造を有する化合物である。脂肪酸を用いることにより、シラミの卵からシラミが孵化することを抑制する効果を発現させることができる。
【0030】
具体的に、脂肪酸としては、ギ酸、酢酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラギン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられ、また天然油脂から採取されるヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸なども挙げられる。好ましくは、汎用で入手しやすいため、炭素数1~22の脂肪酸が用いられる。さらに好ましくは、安価で入手しやすいため、炭素数8~20の脂肪酸が用いられる。また、上記の脂肪酸は1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、本発明であるシラミの卵駆除剤のうち、脂肪酸の含有割合は、他の成分の種類や配合量とのバランスを調整し、0.1~30重量%が好ましく、1~20重量%がさらに好ましく、2~10重量%が最も好ましい。脂肪酸の含有割合が、この範囲であれば、シラミの卵からシラミが孵化することを抑制する効果を発現させることができる。
【0032】
本発明において、高級アルコールを配合することができる。より詳細には、高級アルコールは、炭素数が6~22の脂肪族系1級アルコールであり、直鎖又は分岐構造を有する化合物である。高級アルコールを用いることにより、シラミの卵からシラミが孵化することを抑制する効果を発現させることができる。
【0033】
例えば、1-ヘキサノール、カプリルアルコール、2-エチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。好ましくは、汎用で入手しやすいため、炭素数9~24の高級アルコールが用いられる。さらに好ましくは、安価で入手しやすいため、炭素数10~22の高級アルコールが用いられる。また、上記の高級アルコールは1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
また、本発明であるシラミの卵駆除剤のうち、高級アルコールの含有割合は、他の成分の種類や配合量とのバランスを調整し、0.1~30重量%が好ましく、1~20重量%がさらに好ましく、2~10重量%が最も好ましい。高級アルコールの含有割合が、この範囲であれば、シラミの卵からシラミが孵化することを抑制する効果を発現させることができる。
【0035】
本発明において、炭化水素化合物を配合することができる。より詳細には、炭化水素化合物は、飽和脂肪族炭化水素であって25℃において液状の化合物である。炭化水素化合物を用いることにより、本発明のシラミの卵駆除剤を使用者の皮膚や毛髪などに塗布したときに延びやすく、浸透しやすくすることができる。
【0036】
また、本発明において、水溶性化合物として、炭素数が1~4である低級アルコールや水を配合することができる。例えば、低級アルコールとしては、エタノール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどを用いることができる。なお、前記アルコールは1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
さらに製剤の酸化による劣化などの腐食を防止するため、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(α-トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤を添加することができる。また、防腐を目的に、パラオキシ安息香酸エステルを添加することもできる。また、抗炎症作用などを目的に、グリチルリチン酸二カリウムを添加することもできる。また、製剤のpHを調整することを目的に、リン酸緩衝液などを添加することもできる。
【0038】
そして、シラミの卵に付着したときに液だれを防いだり有効成分を長くシラミの卵に滞留させたりしておくために、増粘剤を添加することができる。具体的に、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシビニルポリマーなどを使用することができる。
【0039】
本発明において、殺虫剤を使用しなくても良いが、使用することを妨げるものではなく、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系、マクロライド系などの種々の殺虫剤を配合することもできる。具体的に、ピレスロイド系としては、ペルメトリン、フェノトリン、ジョチュウギクエキスなどが好ましく、ネオニコチノイド系としては、イミダクロプリド、ジノテフランなどが好ましく、マクロライド系としては、イベルメクチン、エマメクチンなどが好ましい。
【0040】
さらに、爽快感を付与するためにl-メントールや、香りを付けるために種々の香料を添加することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
容量が200mlのグリフィンビーカーに、脂肪酸エステルとしてパルミチン酸イソプロピル(商品名「エキセパールIPP」、花王株式会社製)7g、シロキサンとしてメチルポリシロキサン(商品名「KF-96A-10CS」、信越化学工業株式会社製)3.5g、
界面活性剤として、モノラウリン酸ポリオキシエチレングリコール (12E.O.)19.4g、脂肪酸としてイソステアリン酸5.3g、高級アルコールとしてミリスチルアルコール3.1g、炭化水素化合物として流動パラフィン43.1g、水溶性化合物としてエタノール5.3g、精製水3gを混合し、89.7g(100ml)の製剤を作製した。そして、これを40℃のウォーターバスで間接的に加温しながら均一になるまで攪拌混合した後に、放冷して組成物を得た。
【0043】
<実施例2>
流動パラフィンを22.1gとし、精製水を24gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0044】
<実施例3>
流動パラフィンを21gとし、精製水を25.1gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0045】
<実施例4>
脂肪酸エステルとしてパルミチン酸イソプロピルに替えてミリスチン酸イソプロピル(商品名「エキセパールIPM」、花王株式会社製)7gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0046】
<比較例1>
メチルポリシロキサンを用いずに、精製水を6.5gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0047】
<比較例2>
脂肪酸エステルを用いずに、精製水を10gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0048】
<比較例3>
脂肪酸エステル、メチルポリシロキサンおよび流動パラフィンを用いずに、精製水を56.6gとした以外は、実施例1と同様に組成物を得た。
【0049】
実施例1~4、比較例1~3で得られた組成物を用いて、シラミの卵における孵化の試験を行った。
【0050】
〔シラミ卵孵化試験〕
実施例1~4、比較例1~3で得られた組成物を、シラミの卵約30個に塗布して、10から14日静置後に、それらシラミの卵シラミを孵化しているか否かを目視にて確認した。そして、孵化抑制率として、試験に用いたシラミの卵の数に対する、孵化しなかったシラミの卵の数の割合を、(式1)によって算出した。孵化抑制率が70%以上である組成物を良好であると判断した。
孵化抑制率(%)={(孵化しなかったシラミの卵の数)/(試験に用いたシラミの卵の数)}・・・(式1)
なお、各組成物を処理したシラミの卵の孵化に関して、それぞれ組成物を処理しないコントロールであるシラミの卵約30個のうち9割以上孵化した日を基準にして、孵化の有無を確認するとともに、コントロールにおける孵化の割合を補正係数として、補正孵化抑制率を算出した。
【0051】
この結果、実施例1~4で得られた組成物では、補正孵化抑制率が93~100%であったが、比較例1~3で得られた組成物では48~65%であった。
【0052】
これらの結果を、表1に示す。
【0053】
【0054】
表1に示すように、実施例1~4では、脂肪酸エステルであるパルミチン酸イソプロピルとシロキサンであるメチルポリシロキサンが併用されているため、補正孵化抑制率が93~100%とほぼ完全にシラミの孵化を抑制することができた。一方、比較例1~3では、パルミチン酸イソプロピル及びメチルポリシロキサンの少なくとも一方を配合されていないため、孵化抑制率が48~65%と半分程度しかシラミの孵化を抑制することができなかった。このことから、脂肪酸エステル及びシロキサンの相乗効果により、シラミの卵からシラミが孵化することを著しく抑制する効果を発現することが明らかとなった。