(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】商品陳列フック用カード類表示具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20220913BHJP
G09F 1/10 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A47F5/00 E
G09F1/10 Z
(21)【出願番号】P 2018128192
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2021-07-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年1月17日三協立山株式会社タテヤマアドバンス社にて販売
(73)【特許権者】
【識別番号】592094678
【氏名又は名称】扶桑産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】石田 陞治
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018039(JP,A)
【文献】特開2005-192587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
G09F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列棚に取り付つく基部から商品を吊支する1本の商品吊支バーだけが前向きに延びているシングルフック、又は、陳列棚に取り付つく基部から商品吊支バーとその上に位置した表示用バーとが前向きに延びている十手フックに使用されるカード類表示具であって、
前記シングルフックの基部又は前記十手フックにおける表示用バーの前端部に取付けられる本体と、前記本体の前端部に取り付けられると共にカード類を保持するカードホルダーとから成っており、
前記カードホルダーの後面に、水平状の支軸を設けている一方、
前記本体の前端に、前記カードホルダーの支軸を前向き移動させることによって当該支軸を上下から挟持する軸受け部が形成されている、
商品陳列フック用カード類表示具。
【請求項2】
前記本体のカードホルダー保持部は、前記カードホルダーの支軸を上下から挟持する上下の挟持部と、前記上下の挟持部の前端に繋がったジョイント部とを備えており、前記
上下の挟持部の後方に、前記支軸を後ろ向き移動させると当接するストッパーを設けており、従って、前記支軸は、下向き動させてから手前に引くことによって前記
上下の挟持部で挟持されるようになっている、
請求項1に記載した商品陳列フック用カード類表示具。
【請求項3】
前記カードホルダーは、前記上下の挟持部に水平旋回可能な状態で挟まれており、前記
上下の挟持部のうちいずれか一方又は両方に、前記カードホルダーを特定の姿勢に保持する複数の姿勢保持手段を設けており、前記
上下の挟持部を弾性変形させることにより、異なる姿勢の変更が可能になっている、
請求
項2に記載した商品陳列フック用カード類表示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、商品が吊支されるフックに取り付けて価格やバーコード等の各種情報を表示するカード類表示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア,ホームセンター等の多くの小売り店では、商品を陳列するための方法として、棚本体に装着したフックに商品を吊り下げることが多用されている。
【0003】
この商品吊り下げ用のフックは、棚本体に水平状に設けた角筒状の桟材に取り付けられる方式と、ネット状の棚本体に取付けられる方式とがあり、また、いずれの方式でも、商品が吊り下げられる商品吊支バーだけが前向きに突出しているシングルフックと呼ばれているタイプと、支持吊支バーの上方にカードホルダーを取り付けるための表示用バーが配置されている十手フック(2段式フック)と呼ばれているタイプとがある。十手フックにおいて、表示用バーの前端には上向きの起立部が形成されており、この起立部を利用してカードホルダーを取付けている。
【0004】
シングルフックは単純であるため採用している店舗も多いが、価格を個々の商品に表示しなければならないため、店舗にとって多大の手間が掛かるという問題がある。そこで、シングルフックにプライスカードを取り付けできるようにすることが考えられており、本願出願人は、その例の表示具を特許文献1に開示した。
【0005】
特許文献1の表示具は、カードホルダーの後面に水平状の支軸を設ける一方、シングルフックの後端部に取り付く本体の前後長手のアームを設けて、アームの前端に、カードホルダーの支軸を挟持する軸受け部が前向きに開口した状態に形成されている。
【0006】
従って、特許文献1では、カードホルダーの支軸は、前から後ろに向けて移動させることによって軸受け部に嵌め込まれている。また、軸受け部には、平面視で支軸をシングルフックと直交した姿勢と、支軸をシングルフックに対して傾斜させた姿勢とに選択的に保持する姿勢保持手段を設けており、軸受け部の弾性に抗して姿勢変更できるようになっている。
【0007】
また、十手フック用のカードホルダーとして、本願出願人は、特許文献2を開示した。この特許文献2では、カードホルダーは、十手フックにおける表示用バーの前端部に取り付く本体と、この本体に水平回転可能でかつ跳ね上げ可能に取付けられた表示部とを有している。この特許文献2でも、表示部の背面に水平状の支軸を設ける一方、本体部には、支軸が弾性に抗して嵌め込まれる軸受け部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-192586号公報
【文献】特許第5231764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の表示具は、シングルフックに価格表示機能を持たせることができるのみでなく、カードホルダーの姿勢も変更できるため、例えば、商品の幅が小さい場合はカードホルダーを傾斜姿勢にすることで陳列密度を高めることができる等の利点があり、また、特許文献2の表示具は、例えば、表示部を商品吊支バーの前方に配置できるため、表示部が商品吊支バーの前端に人の手などが当たることを防止して、安全性を向上できる利点がある。
【0010】
しかし、本願発明者が検討したところ、改良の余地が見出された。すなわち、特許文献1,2では、本体に設けた軸受け部は上下の挟持部を備えており、この上下の挟持部が広がり変形することによって支軸の挿脱が可能になっているが、誤ってカードホルダーを手前に強く引っ張るとカードホルダーが外れてしまうおそれがあり、さりとて、外れにくくすると、嵌め込みに大きな力を要するという問題があり、カードホルダーの取付けの容易性と外れにくさとが相反するという問題があった。
【0011】
本願発明は、特許文献1の考え方を踏襲しつつ、取付け易くて不用意な外力で外れることがないなど、改良された形態のシングルフック用表示具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、
「陳列棚に取り付つく基部から商品を吊支する1本の商品吊支バーだけが前向きに延びているシングルフック、又は、陳列棚に取り付つく基部から商品吊支バーとその上に位置した表示用バーとが前向きに延びている十手フックに使用されるカード類表示具であって、
前記シングルフックの基部又は前記十手フックにおける表示用バーの前端部に取付けられる本体と、前記本体の前端部に取り付けられると共にカード類を保持するカードホルダーとから成っており、
前記カードホルダーの後面に、水平状の支軸を設けている一方、
前記本体の前端に、前記カードホルダーの支軸を前向き移動させることによって当該支軸を上下から挟持する軸受け部が形成されている」
という構成になっている。
【0013】
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記本体のカードホルダー保持部は、前記カードホルダーの支軸を上下から挟持する上下の挟持部と、前記上下の挟持部の前端に繋がったジョイント部とを備えており、前記上下の挟持部の後方に、前記支軸を後ろ向き移動させると当接するストッパーを設けており、従って、前記支軸は、下向き動させてから手前に引くことによって前記上下の挟持部で挟持されるようになっている」
という構成になっている。
【0014】
請求項3は請求項2を具体化したもので、
「前記カードホルダーは、前記上下の挟持部に水平旋回可能な状態で挟まれており、前記上下の挟持部のうちいずれか一方又は両方に、前記カードホルダーを特定の姿勢に保持する複数の姿勢保持手段を設けており、前記上下の挟持部を弾性変形させることにより、異なる姿勢の変更が可能になっている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、本体の前端に設けた軸受け部は、側面視でおおよそ後ろ向きに開口したコ字形になっており、上下の挟持部は軽い力で上下に広がり変形しやすい。このため、カードホルダーの取付けを軽い力で行うことができる。また、商品を陳列した状態で人が誤ってカードホルダーを手前に引っ張ることがあっても、カードホルダーが外れることはない。
【0016】
従って、本願発明では、カードホルダーの取付けの容易性を確保しつつ、カードホルダーに意図しない外力が作用しても外れないように保持できる。請求項2の構成を採用すると、カードホルダーに後ろ向きの外力が作用しても、カードホルダーの後退動はストッパーによって阻止されるため、カードホルダーが意図しない外力によって外れないよう保持することを確実化できる。
【0017】
請求項3の構成を採用すると、カードホルダーの平面視姿勢を変更できるため、特許文献1と同様に、横幅が小さい商品を高い密度で陳列できる利点や、顧客の通行方向が一定しているときにカードホルダーの表示を視認し易くできる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態を示す図で、(A)はシングルフックに装着した状態を前から見た斜視図、(B)はシングルフックから分離した状態の斜視図、(C)は後ろから見た斜視図、(D)は正面図である。
【
図2】第1実施形態を示す図で、(A)はシングルフックから分離した状態の後方斜視図、(B)は背面図、(C)は使用状態での側面図、(D)は平面図である。
【
図3】第1実施形態を示す図で、(A)は底面図、(B)は分離平面図、(C)はカードホルダーと本体とを上下に分離した状態での
図2(C)のIIIC-IIIC 視断面図、(D)は(B)のD-D視図である。
【
図4】第1実施形態を示す図で、(A)は後ろ上方から見た分離斜視図、(B)は手前から見た分離斜視図、(C)は後ろ下方から見た分離斜視図である。
【
図5】第2実施形態を示す図で、(A)は部分側面図、(B)は部分平面図、(C)は(A)のC-C視断面図である。
【
図6】第1参考例を示す図で、(A)は後ろから見た斜視図、(B)は正面図、(C)は後ろ上方から見た一部省略分離斜視図、(D)は背面図、(E)は横から見た一部省略分離斜視図である。
【
図7】(A)は第1参考例の左側面図、(B)は第1参考例の右側面図、(C)は第1参考例の平面図、(D)は第1参考例の底面図、(E)は第2参考例を前から見た斜視図である。
【
図8】第2参考例を示す図で、(A)は後ろから見た斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は平面図、(E)は底面図である。
【
図9】(A)は第2参考例の左側面図、(B)(C)(D)は第2参考例の一部省略分離斜視図、(E)は本願発明及び参考例のいずれにも適用できる別例図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本願発明では前後の方向を使用しているが、前後方向はフックの長手方向であり、フックの突出方向を前としている。
【0020】
(1).第1実施形態の全体と取付け構造
図1~4で第1実施形態を示している。実施形態に係る表示具1は、シングルフック2に使用される。シングルフック2は、棚本体を構成する角筒状の桟材3に上方から着脱自在に嵌まるベース(ハンガー)4bと、ベース4bの上面に溶接されて手前に向けて延びる前後長手の吊支バー4aとから成っている。商品吊支バー4aの先端部は、水平に対して30°程度の角度で上向きに傾斜している。ベース4bは板金製であり、商品吊支バー4aは金属線材製である。
【0021】
表示具1は、シングルフック2に取り付く本体6と、プライスカード等のカード類Cを装着するカードホルダー7とで構成されている。本体6は合成樹脂を素材にした一体成形品であり、シングルフック2のベース4bの上端部及び商品吊支バー4aの後端部に弾性に抗して上から嵌め込まれる取付け部8と、取付け部8の上端から手前に向けて延びるアーム9とを備えており、アーム9の前端に、カードホルダー7を取り付けるための軸受け部10が形成されている。
【0022】
取付け部8は、商品吊支バー4aのうちベース4bに固着された部分に上から嵌着するドーム部11と、ドーム部11に連続した左右のサイドクランプ部12と、ドーム部11から立ち上がった起立板13とを備えており、ドーム部11の下端に、
図1(D)や
図2(B)等に示すように、商品吊支バー4aに対して下方から引っ掛かるくびれ部14を形成している。従って、くびれ部14を弾性に抗して広がり変形させることにより、取付け部8をシングルフック2の後端部に着脱することができる。
【0023】
サイドクランプ部12は、ベース4bをきっちり掴持するように側面視で下向き開口コ字形に形成されている。なお、サイドクランプ部12の下端はベース4bの中途高さで止まっているが、ベース4bの下端まで延ばして、ベース4bの下端面に引っ掛かる係合爪を形成してもよい。
【0024】
起立板13の前端にはリブ板13aを形成している。従って、起立板13は平面視T形の形態を成しており、これにより、厚さをできるだけ均等化しつつ高い剛性を確保している。
【0025】
アーム9は、取付け部8のリブ板13aの左右幅と同じ幅になっており、
図3(C)に示すように、基本的にはカマボコ形としつつ、下面には2本の溝15を形成している。或いは、下向き開口のU形に形成して、中央にリブを形成していると見ることもできる。いずれにしても、厚さを均等化して高い剛性と寸法精度とを確保することができる。
【0026】
(2).カードホルダーと軸受け部
図4(B)に示すように、カードホルダー7は、四角形(横長長方形)の樹脂製基板17とその手前に配置した透明樹脂製のカバー板18とから成っており、両者の間には、カード類Cを挿入できる若干の隙間が空いている。また、基板17の前面には、カード類Cのずれを阻止する上下長手の2本のリブ19が形成されている。カバー板18は、基板17を左右の下方から囲う壁部20を有しており、左右の壁部20が、図示しない係合手段によって基板17の左右側部に固定されている。基板17の上端部には、カード類Cの抜き外しを容易にするため、指先が遊嵌する切欠き溝21を形成している。
【0027】
例えば
図4の各分図に示すように、カードホルダー7の基板17の背面には、左右のブラケット片22を介して左右横長の支軸23が形成されている。一方、アーム9の前端に設けた軸受け部10は、カードホルダー7の支軸23を保持する上下の挟持部24,25と、上下
の挟持部の24,25の前端に繋がったジョイント部26とを備えており、上挟持部24とアーム9との間には、支軸23を上下動させ得る空間が空いている。
【0028】
従って、カードホルダー7の支軸23は、上挟持部24とストッパー28との間の空間に上から嵌め入れ、次いで、手間に移動させる(引く)ことにより、上下の挟持部24,25で水平姿勢に保持される。これにより、カードホルダー7が軸受け部10に取付けられる。取り外しは逆の手順で行われる。アーム9の前端は、支軸23が過剰に後退することを阻止するストッパー28になっている。
【0029】
なお、上記ではカードホルダー7を移動させて本体6に取り付ける手順を説明したが、本体6を動かしてカードホルダー7を組み付けることも有り得るし、両方を動かして組み付けることも有り得る(すなわち、本体6とカードホルダー7とは、相対動させて組み付けられる。)。請求項で記載した手順は、使用状態を基準にして方向を特定したものであり、実際の組み付け作業では、本体及びカードホルダー7の姿勢は任意に設定できる。
【0030】
上挟持部24は、円の一部を切除した形態になっている。一方、下挟持部25には円形の逃がし穴29が空いており、上挟持部24は、平面視(或いは底面視)で逃がし穴29の内側に位置する大きさになっている。従って、本体6は、密着・離反する一対の金型(いわゆるキャビとコア)で製造できる。
【0031】
上挟持部24の下面は平滑面になっている一方、下挟持部25の上面には、平面視で支軸23をアーム9と直交した姿勢に保持する第1係合溝31と、平面視で支軸23をアーム9に対して左回りに傾斜させた姿勢に保持する第2係合溝32と、平面視で支軸23をアーム9に対して右回りに傾斜させた姿勢に保持する第3係合溝33とが形成されている。
【0032】
従って、カードホルダー7は、軸受け部10の弾性に抗して支軸23が隣り合った係合溝31,32,33の間の山を乗り越えることにより、表示面を正面に向けた姿勢と、左に向けた姿勢と、右に向けた姿勢との3つの姿勢に保持できる。傾斜姿勢は30°程度に設定しているが、他の角度に設定することも可能である。また、4つ以上の姿勢に変更できるようにすることも可能であるし、下挟持部25の上面を細かい波形に形成して、カードホルダー7の姿勢を小刻みに変更できるように構成することも可能である。
【0033】
下挟持部の外周は円形(真円形)になっており、カードホルダー7をいずれの姿勢にしても、ブラケット片22が外周縁に上から載るように設定している。従って、カードホルダー7が下向きに倒れることはない。また、支軸23は円形(真円形)であるため、いずれの姿勢においても上向きに跳ね上げ回動させることができる。従って、商品の出し入れを阻害することはない。
【0034】
なお、商品の出し入れの容易性のためには、支軸23が係合溝31,32,33に嵌まった状態で、支軸23に
せん断力が作用しないように設定しておくのが好ましい。また、カードホルダー7の大きさは何種類かあり(特に、横幅が相違するものが何種類か存在する)、正方形に近いものも存在する。また、
図8(E)に示すように、カバー板を備えずに、カード類を貼り付けるタイプも存在する。
【0035】
(3).第1実施形態のまとめ
既述のとおり、本実施形態では、カードホルダー7の支軸23は、後ろから手前に移動させることで軸受け部10に取付けられるが、軸受け部10は側面視で略コ字形になっているため、上下の挟持部24,25を容易に広がり変形させることができる。
【0036】
すなわち、軸受け部10の広い範囲にわたって曲がり変形させることができるため、応力の集中を防止して、軸受け部10を軽い力で広がり変形させることができるのであり、その結果、係合溝31,32,33の深さを深くしてカードホルダー7の姿勢保持機能を確保しつつ、折損を招来することなくカードホルダー7を軸受け部10に容易に着脱できるのである。
【0037】
また、商品の陳列状態で人が誤ってカードホルダー7を強く引っ張ってもカードホルダー7が外れることは無いし、逆に、誤ってカードホルダー7を後ろに強く押しても、支軸23がストッパー28に当たるため、カードホルダー7が外れ落ちることはない。従って、カードホルダー7に意図しない外力が作用しても、カードホルダー7が外れ落ちることはない。
【0038】
本体の取付け部8は、ドーム部11によって上向き抜けが阻止されて、サイドクランプ部12によって前後移動と左右方向の傾きとが阻止されている。このため、安定性に優れている。また、起立板13はリブ板13aを有するT形に形成されているため、薄型でありながら、曲がりや捩じりに対して高い抵抗を発揮する。
【0039】
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、取付け部8をアーム9とを別の部材で構成して、アーム9を取付け部8に固定するといったことも可能である。すなわち、本体6を複数のパーツで構成することも可能である。
【0040】
また、姿勢保持手段として突起も採用可能である。また、係合溝や突起のような姿勢保
持手段は、上挟持部のみに形成してもよいし、上下の挟持部の両方に形成してもよい。アーム9は、円形の丸棒状や角形などに形成することも可能である。上下の挟持部は、平面視で多角形に形成することも可能である。
【0042】
(4).第2実施形態(
図5)
図5では、十手フックに適用した第2実施形態を示している。十手フック2′は一般的なものであり、商品吊支バー4aとその上に配置した前後長手の表示用バー4cとを備えており、表示用バー4cの前端には起立部4dを折り曲げ形成している。商品吊支バー4aの基端と表示用バー4cの基端とは一体に繋がっており、商品吊支バー4aの後端部が第1実施形態と同様に、ベースの上面に溶接されている(特許文献2と同様である。)。
【0043】
そして、この実施形態では、本体6は、表示用バー4cの起立部4dに嵌まる下向き開口の筒状部6aと、表示用バー4cにおける水平状部の前端部に上から嵌まる溝状部6bとで側面視L字に構成されており、本体の前端に、第1実施形態と同様の軸受け部10を一体に設けている。本体6が水平回動することは溝状部6bで阻止されて、本体6が表示用バー4cの軸心回りに回動すること、及び、前向きに抜けることは筒状部6aで阻止される。
【0044】
溝状部6bには、上向きの外力で不用意に抜けることを防止するため、一対の内向き突起(くびれ部)6cを設けている。また、内向き突起6cよりも下方の部分の内面は、下に向けて間隔が広がる傾斜面6dになっている。これは、フック2の表示用バー4cへの嵌め込みをガイドするためである。
【0045】
筒状部6aの上端は天蓋部で塞がっているが、上下に開口させてもよい。この場合は、起立部4dの長さの違いを吸収できる。また、筒状部6aの上端に天蓋部を設ける場合、天蓋部と起立部4dとの間に隙間が空くように設定しておくことによっても、起立部4dの長さの違いを吸収できる。
【0046】
この第2実施形態では、カードホルダー7で商品吊支バー4aの前端をカバーできるため、消費者が誤って商品吊支バー4aの前端に顔や手を当てることを防止できるが、カードホルダー7は上向きに跳ね上げ回動させることができるため、商品の出し入れには問題はない。
【0047】
(5).参考例
図6~
図7(D)では第1参考例を示している。この参考例は、実施形態とは軸受け部35の形態が相違しており、他の構造は実施形態と同じである。すなわち、この参考例では、軸受け部35が下向き開口U形の樋状に形成されており、支軸23は下方から嵌め込まれる。支軸23が抜け落ちないように、軸受け部35の下端には前後のくびれ部36が形成されている。
【0048】
また、軸受け部10の左右端部のうち片方の端部の後端に、カードホルダー7の上向き回動姿勢を規制するストッパー37が形成されている。すなわち、商品を取り出すに際してカードホルダー7を上向きに跳ね上げ回動させたときに、カードホルダー7が支点越えして跳ね上がった状態になってしまうことを防止している。なお、ストッパー37は軸受け部10の左右両側部に設けてもよい。
【0049】
軸受け部35は上向きに開口させてもよいが、図示のように下向きに開口した状態に形成すると、本体6を一対の金型で製造するに当たって、くびれ部36は可動型であるコアで形成されるため、型抜きが容易になる。すなわち、成形に当たっては、先に固定型(キャビ)から製品を抜き外し、次いでコアから製品を突き出すが、くびれ部36をコアで形成すると、突き出しがキャビから離脱した後で行われるため、型抜きに際して軸受け部35を容易に変形させることができるのであり、従って、製品を変形させて金型から取り出すいわゆる無理抜きを容易に行える。
【0050】
図7(E)~
図9(D)では、第2参考例を示している。この第2参考例が実施形態と相違している点は、支軸23を手前から後ろ向き移動させて軸受け部39に嵌め込む点である。従って、軸受け部39は前向きに開口している。実施形態と同様に、下挟持部25に3本の係合溝31~33を形成している。
【0051】
図5の第2実施形態は、本体6が筒状部6aと溝状部6bとからなるL型である点を1つの特徴にしており、既述のとおり、この形態によって表示用バー4cに簡単に着脱できる利点があるが、このL型の本体6と、
図6~9の参考例の軸受け部と組み合わせて独立した請求項と成すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本願発明は、シングルフック用表示具に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 表示具
2 シングルフック
3 陳列装置の一部を構成する桟材
4a 商品吊支バー
4b ベース
4c 表示用バー
4d 起立部
6 本体
6a 筒状部
6b 溝状部
7 カードホルダー
8 取付け部
9 アーム
10 軸受け部
17 基板
18 カバー板
22 ブラケット片
23 支軸
24 上挟持部
25 下挟持部
27 ジョイント部
28 ストッパー
29 逃がし穴
31,32,33 姿勢保持手段の一例としての係合溝