(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】米飯加工機器管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/654 20180101AFI20220913BHJP
【FI】
G06F8/654
(21)【出願番号】P 2018134909
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】三村 聡
(72)【発明者】
【氏名】細金 隆
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-008822(JP,A)
【文献】特開2015-087954(JP,A)
【文献】特開平07-210394(JP,A)
【文献】特開平04-338821(JP,A)
【文献】特開2007-128452(JP,A)
【文献】特開2013-169155(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0095218(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103250960(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107114557(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60-8/77
A21C 1/00-15/04
A21D 2/00-17/00
A23L 5/00- 5/30
A23L 7/00- 7/104
A23L 29/00-29/10
A23P 10/00-30/40
A47J 27/00-27/13
A47J 27/20-29/06
A47J 33/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯加工機器
で成形される加工品の出来に不具合がある場合における前記米飯加工機器の
動作を、管理装置により通信を介して行う米飯加工機器管理システムであって、
前記米飯加工機器の動作は、複数のパラメータに基づいて制御され、
複数の前記パラメータは、
第1のパラメータと、
第2のパラメータと、
を含み、
前記管理装置は、
第1のCPUと、
複数の
前記パラメータ
それぞれの既定値を記憶する第1の記憶装置と、
前記米飯加工機器と通信を行うための第1の通信手段と、
を有し、
前記米飯加工機器は、
前記米飯加工機器の動作制御を行う第2のCPUと、
前記第1のパラメータの設定値を記憶する第2の記憶装置と、
前記第2のパラメータの値を測定する測定手段と、
前記管理装置と通信を行うための第2の通信手段と、
を有し、
前記第2の記憶装置は、前記第2のパラメータの値と、前記第2のパラメータの値の変化量に応じた前記第1のパラメータの値の増減値と、を記憶し、
前記管理装
置は、
前
記第2のCPU
を介して前記
第1のパラメータ
の設定値を取得して、
取得された前記第1のパラメータの設定値と、前記第1の記憶装置に記憶
されている前記第1のパラメータの既定値と
、を比較し
て、
前記第1のパラメータの設定値が前記第1のパラメータの既定値と異なるとき、前記米飯加工機器の
前記第1のパラメータ
の設定値を
前記第1のパラメータの既定値に
更新して、前記米飯加工機器で成形される前記加工品が正しく成形されるか否かを判定し、
前記米飯加工機器で成形された前記加工品が正しく成形されていないと判定されたとき、前記第2の記憶装置に記憶されている前記第2のパラメータの値の変化量に応じた前記第1のパラメータの値の増減値に基づいて、前記測定手段に測定される前記第2のパラメータの値が変化するように前記米飯加工機器の動作を制御させる、
ことを特徴とする米飯加工機器管理システム。
【請求項2】
前記測定手段は、
前記米飯加工機器で用いられる米の攪拌に用いるモータのトルクに係る情報を測定する手段と、
前記米の温度を測定する手段と、
前記米の分量を測定する手段
と、
のいずれかを少なくとも含む
、
ことを特徴とする請求項1に記載された米飯加工機器管理システム。
【請求項3】
前
記第1のCPUは
、1つまたは複数の
前記米飯加工機器における不具合またはエラーのデータを前記第1の記憶装置に蓄積し
て統計を得る
、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された米飯加工機器管理システム。
【請求項4】
前
記第1のCPUは
、1つまたは複数の
前記米飯加工機器に対し、通信を介し、一括して前記第2の記憶装置に記憶されたプログラムを更新する
、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された米飯加工機器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯加工機器管理システムに関し、特に複数の米飯加工機器において生成される米飯が常に所望の品質となるよう管理することのできる米飯加工機器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国では日本食の需要が年々増加している。そのため、調理した「米食品」を取り扱う店舗も増加している。地域性に合わせた柔軟でハイクオリティな食を迅速に提供するためには、米飯加工機器の性能向上、サービス拡張は必須である。
ところで、「米」は、品種・水質・炊き方・保管温度・国や地域などによって性質が大きく変わる。そのため、取り扱う「米」に適した機械のメンテナンス(設定やケア)が現場単位で必要である。
【0003】
しかしながら、従来、米飯加工機器を取り扱う作業者(調理人)は、特別な訓練を受けておらず、また、作業者の入れ替わりも頻繁であるため、米飯加工機器への理解が乏しい場合が多々ある。その結果、機器の性能を十分に発揮できないという問題や、機器のエラー/故障といったトラブルが引き起こされることになる。特にエラー/故障は、作業者による修復が困難であり、随時クレームとして報告が上がっている。
【0004】
現状、そのようなクレームの報告に関しては、電話対応もしくはエンジニアの現場対応などにより行っているが、より多様な要望に応えられないという課題があった。
特許文献1には、携帯電話、パソコン等の端末からインターネットを介して、自宅の炊飯器の米または水の残存量を確認することが記載されている。即ち、この考えに基づくと、米飯加工機の状態の確認、及び機器の操作制御を遠隔操作により行えれば、ハイクオリティな食の提供、及び機器のエラー/故障などのトラブルにも対応できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明によれば、電話回線やインターネットを介した遠隔からの制御は、米や水の重量が十分か否かを知るためのリミットスイッチのオンオフ信号の検知のみであり、クオリティの高い米飯の提供やトラブルに対応できないという課題があった。
【0007】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、1つ又は複数の米飯加工機器に対し、通信を介してその状態を把握し、各米飯加工機器をメンテナンスすることにより適切な米飯加工を提供することのできる米飯加工機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明に係る米飯加工機器管理システムは、米飯加工機器のメンテナンスを、管理装置により通信を介して行う米飯加工機器管理システムであって、前記管理装置は、第1のCPUと、前記米飯加工機器の動作に係る複数のパラメータの既定値を記憶する第1の記憶装置と、前記米飯加工機器と通信を行うための第1の通信手段と、を有し、前記米飯加工機器は、当該機器の動作制御を行う第2のCPUと、当該機器の動作に係る複数のパラメータの一部の設定値を記憶する第2の記憶装置と、前記第2の記憶装置に記憶されたパラメータ以外のパラメータの値を測定する測定手段と、前記管理装置と通信を行うための第2の通信手段と、を有し、前記管理装置が有する第1のCPUは、前記米飯加工機器が有する第2のCPUから取得した前記パラメータと、前記第1の記憶装置に記憶する既定値とを比較し、前記第2のCPUに対し、前記米飯加工機器のパラメータを適正値に修正するよう該米飯加工機器の動作を制御させることに特徴を有する。
【0009】
尚、前記測定手段は、米の攪拌に用いるモータのトルクに係る情報を測定する手段と、加工品を成形するための米の温度を測定する手段と、加工品を成形するための米の分量を測定する手段のいずれかを少なくとも含むことが望ましい。
また、前記管理装置の第1のCPUは、前記1つまたは複数の米飯加工機器における不具合またはエラーのデータを前記第1の記憶装置に蓄積し統計を得ることが望ましい。
また、前記管理装置の第1のCPUは、前記1つまたは複数の米飯加工機器に対し、通信を介し、一括して前記第2の記憶装置に記憶されたプログラムを更新することが望ましい。
【0010】
このような構成によれば、1つ又は複数の米飯加工機器のそれぞれに通信手段を持たせ、管理装置により各米飯加工機器の状態を把握するための各種パラメータを取得するとともに、取得したパラメータの値が既定値と異なる場合に、管理装置がそれを修正する制御を行うものとした。
それにより、例えば複数カ所に散在する米飯加工機器において成形品に不具合が生じた場合に、容易に不具合の原因を特定することができ、また、それを短時間に修正することができる。
また、各設定値等の管理は、米飯加工機器毎に行うことができるため、作業者や地域性に合わせた不具合やエラーに対し迅速かつ的確な解決策を提供することができる。
また、管理装置は、複数の米飯加工機器に対し不具合・エラーのデータを第1の記憶装置に蓄積して統計を得ることができるため、より良い製品の開発設計が可能となる。
さらには、各米飯加工機器に対し通信を介してプログラムの更新を一括して行うことができ、例えば世界各国に均一なサービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つ又は複数の米飯加工機器に対し、通信を介してその状態を把握し、各米飯加工機器をメンテナンスすることにより適切な米飯加工を提供することのできる米飯加工機器管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明に係る米飯加工機器管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、米飯加工機器のメンテナンス管理を行う場合の手順を示すフローである。
【
図3】
図3(a)、(b)は、表示部に表示されるパラメータテーブルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る米飯加工機器管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す米飯加工機器管理システム100は、米飯を提供する複数の飲食店(例えば回転寿司店)などに設置された複数の米飯加工機1と、それらを管理するための1つの管理装置10とで構成されている。
【0014】
前記管理装置10は、複数の米飯加工機1を一括管理する管理センタ(図示せず)に設置され、前記複数の米飯加工機1に対しネットワーク30(通信網)を介して遠隔からの情報取得或いは動作指示を行うように構成されている。具体的には、米飯加工機器1にあっては、十分に性能を発揮できない場合や、機械のエラー、故障などのトラブルが発生することがあるため、それを解決するために管理装置10がネットワーク30を介して各米飯加工機器1のメンテナンスを行うように構成されている。
【0015】
前記ネットワーク30は、インターネット回線を利用するものであってもよく、或いは専用の通信回線網でもよい。各米飯加工機器1はWiFi(無線LAN)によりネットワーク30に接続することもできるし、或いは専用通信のためのSIMカードを用いてネットワーク30に接続するようにしてもよい。尚、ネットワーク30を用いた通信プロトコル、通信速度、暗号化方法などは特に限定されるものではない。
【0016】
各米飯加工機器1は、炊飯した米の撹拌、搬送、成形、切断等を行う機器本体(図示せず)を有し、例えば寿司用のものであれば、米を寿司用のシャリ板に加工する。
また、米飯加工機器1は、米を炊飯及び保温するためのヒータ9と、炊いた米(加工品を成形するための米)の温度を測定するための熱電対2(測定手段)と、米を撹拌するために用いるモータ3と、米の分量を測定するためのロードセル4(測定手段)とを備える。
【0017】
更に、米飯加工機器1は、前記熱電対2、モータ3、ロードセル4等の動作制御等を行うためのCPU5(第2のCPU)と、米飯加工のためのプログラム等のデータを記憶しておくためのROM6(第2の記憶装置)と、一時的にデータ等を保持しておくためのRAM7と、前記ネットワーク30に接続するための通信インタフェース8(第2の通信手段)とを備えている。尚、この通信インタフェース8とは、例えば無線LANモジュールやSIM通信モジュール等を指す。
【0018】
一方、管理装置10は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータにより構成することができる。具体的には、
図1に示すように、管理者(管理装置10の操作者)が入力操作を行うための操作部11(キーボード、マウスなど)と、管理画面等を表示するための表示部12(液晶モニタなど)とを備えている。
【0019】
また、装置筐体内に演算と制御を行うCPU13(第1のCPU)と、プログラム等が記憶されたROM14(第1の記憶手段)と、データを一時記憶するRAM15とを備える。更には、操作部11及び表示部12をCPU13に接続するための入出力インタフェース16と、ネットワーク30に接続するための通信インタフェース17(第1の通信手段)とを備えている。尚、この通信インタフェース17は、無線LANモジュールやSIM通信モジュール等により構成することができる。
【0020】
前記管理装置10は、複数の米飯加工機器1の識別を例えばIPアドレスにより行い、各米飯加工機器1への指示や情報の取得は前記IPアドレスを用いることにより可能となる。
【0021】
続いて、
図2のフローを用いて、米飯加工機器1のメンテナンス管理を行う場合の手順について説明する。この例では、例えば1台の米飯加工機器1がシャリ板を成形する場合に、その出来に不具合がある状況でのメンテナンス制御(原因究明と修正)について説明する。
先ず、管理装置10のCPU13は、管理する複数の米飯加工機器1に対し、各機器における各設定値(パラメータ)の吸い上げ(アップロード)を指示する(
図2のステップS1)。
【0022】
前記設定値とは、出力するシャリ板の厚さ、密度、長さ、位置などであり、それら設定値は米飯加工機器1毎に、そのROM6に記録されている。
管理装置10のCPU13は、吸い上げた各設定値をRAM15に一時記憶する。そして、予めROM14に保持するシャリ板用の基準値として設定された既定値と比較し、吸い上げた値が正常値か否かを判定する(
図2のステップS2)。
ここで、基準値は下限値と上限値を有する所定範囲の値であり、吸い上げた各設定値が基準値の範囲内にあるか否かによって正常値か否かを判定する。
尚、吸い上げた設定値と、それに対応する既定値とは、例えば、
図3(a)に示す管理データ表T1のようにして管理装置10の表示部12に表示することが望ましい。それにより管理者は、各設定値が正しいか否かを容易に知ることができる。
【0023】
前記ステップS2において、吸い上げた設定値が既定値と異なる場合(誤りである場合)には、CPU13は、当該米飯加工機器1のCPU5に対し、ROM6に記録されている設定値を正しい値に更新するように命令する(
図2のステップS3)。
そして設定値が正しく更新された後のシャリ板成形において、正しくシャリ板が成形されるかを判定する(
図2のステップS4)。
【0024】
ここで、正しくシャリ板が成形されるならば検証終了となるが、前記設定値の更新でも改善されない場合、管理装置10は各米飯加工機器1のCPU5に対し、熱電対2で測定するシャリ板の温度情報(パラメータ)を要求する(
図2のステップS5)。これによりシャリ板の温度が管理装置10のCPU13に吸い上げられ、
図3(b)のテーブルT2に示すように表示部12に表示される。
【0025】
管理装置10のCPU13は、吸い上げた温度情報が適温か否かを判定し(
図2のステップS6)、適温でない場合には、その米飯加工機器1のCPU5に対し、シャリ板温度が適温となるようヒータ9の出力を制御する(あるいは図示しない冷却装置により冷却する)よう命令する(
図2のステップS7)。
具体的には、ROM14にシャリ板の温度あるいは温度変化に対するシャリ板厚の増減値を記憶しておき、シャリ板厚が既定値からどの程度乖離しているかによって、ROM14からシャリ板温度あるいは温度変化を読み出してシャリ板温度が適温となるようヒータ9の出力を制御する。
なお、シャリ板の温度あるいは温度変化に対するシャリ板長やシャリ板密度の増減値を記憶してシャリ板温度を制御してもよい。
これにより、より良状態の米が得られるが、その米で形成したシャリ板が正しく成形されたか否かが判定される(
図2のステップS8)。
【0026】
前記ステップS8において、正しくシャリ板が成形されていれば終了となる。しかし、シャリ板の温度制御を行っても依然として正しく形成されていなければ、管理装置10のCPU13はCPU5に対しモータ3のトルク情報(パラメータ)を要求する(
図2のステップS9)。モータ3は、米の撹拌に用いられ、前記トルク情報とは、トルク電流量(mA)、回転数(rpm)、駆動時間(min)等である。
【0027】
これによりモータのトルク情報が管理装置10のCPU13に吸い上げられ、
図3(b)のテーブルT2に示すように表示部12に表示される。
管理装置10のCPU13は、得られたトルク情報が十分なものであると判定すれば(
図2のステップS10)、シャリ板が正しく成形されない原因が、未だ吸い上げていない要因にあるものと判断する(
図2のステップS13)。
【0028】
尚、未だ吸い上げていない要因とは、例えば、ロードセル4が測定可能な米の重量などが挙げられる。
さらには、データとして吸い上げ難い要因として、米の品種による要因、食品機器用植物油の塗布が不十分または過剰という要因、成形部品の変形、経年劣化による要因も考えられる。このようなデータとして吸い上げ難い要因の場合には、管理装置10側と米飯加工機器1側との間で、電話やメールを介してのオペレーションにより解決を図ることができる(ステップS14)。
【0029】
一方、モータトルクが十分でないと判定すれば(
図2のステップS10)、その米飯加工機器1のCPU5に対し、モータ3のトルク出力を上昇あるいは下降するよう命令する。即ち、モータ3に供給する電流(mA)、回転数(rpm)などを制御させトルク出力を上昇あるいは下降させる(
図2のステップS11)。
具体的には、シャリ板の温度と同様に、ROM14にトルク情報の値やトルク情報変化に対するシャリ板厚(あるいはシャリ板長やシャリ板密度)の増減値を記憶しておき、シャリ板厚(あるいはシャリ板長やシャリ板密度)が既定値からどの程度乖離しているかによって、ROM14からトルク情報値やトルク情報変化を読み出してモータ3のトルクが最適となるように制御する。
トルク出力の上昇後にシャリ板を正しく成形できた場合は検証終了となり、正しく成形できなかった場合には(
図2のステップS12)、シャリ板が正しく成形されない原因が、未だ吸い上げていない要因にあるものと判断する(
図2のステップS13)。
【0030】
尚、
図2のフローでは、各米飯加工機器1から吸い上げる情報は、シャリ板の設定値、シャリ板温度、モータトルク情報のみ記載したが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではなく、その他の情報(測定値)を吸い上げ、値を修正するよう制御すればよい。
【0031】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、複数の米飯加工機器1のそれぞれに通信手段を持たせ、管理装置10により各米飯加工機器1の状態を把握するための各種パラメータを取得するとともに、取得したパラメータの値が既定値と異なる場合に、管理装置10がそれを修正する制御を行うものとした。
それにより、複数カ所に散在する米飯加工機器1において成形品に不具合が生じた場合に、容易に不具合の原因を特定することができ、また、それを短時間に修正することができる。
【0032】
また、各設定値等の管理は、米飯加工機器1毎に行うことができるため、作業者や地域性に合わせた不具合やエラーに対し迅速かつ的確な解決策を提供することができる。
また、管理装置10は、複数の米飯加工機器1に対し不具合・エラーのデータをROM14に蓄積して統計を得ることができるため、より良い製品の開発設計が可能となる。
さらには、各米飯加工機器1に対しネットワーク30を介してプログラムのアップデートを一括して行うことができ、例えば世界各国に均一なサービスを提供することができる。
【0033】
尚、前記実施の形態においては、管理装置10が米飯加工機器1からシャリ板形成の要因候補となる情報を、順次取得して検証していくものとしたが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、複数の要因候補の情報を一括して取得し、既定値と異なる情報を修正後、シャリ板を成形して出来具合を検証するようにしてもよい。
【0034】
また、各米飯加工機器1の使用者と管理者側との契約により米飯加工機器1の使用者がメンテナンス管理を依頼する場合、契約形態(例えば、通信SIMによる専用の回線を用いる契約やWIFI接続のみの契約など)によりメンテナンスのサービス内容に差異を持たせるようにしてもよい。
具体的には、例えば基本的な通信を介してのメンテナンスはいずれの料金形態での契約でも行うが、料金形態の高い通信SIMを利用した契約の場合には、より付加的サービス(電話でのサポート、故障時の人材派遣など)を含めるようにしてもよい。
【0035】
また、前記実施の形態にあっては、米飯加工機器1は巻き寿司用のシャリ板を形成するものとしたが、本発明にあっては、その形態に限らず、シャリ玉や酢合わせを行う米飯加工機器1であっても好適に用いることができる。
【0036】
また、前記実施の形態においては、複数の米飯加工機器1に対するメンテナンス管理を行う例を示したが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではなく、1台の米飯加工機器1のメンテナンス管理を行う場合にも好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 米飯加工機器
2 熱電対(測定手段)
3 モータ
4 ロードセル(測定手段)
5 CPU(第2のCPU)
6 ROM(第2の記憶装置)
7 RAM
8 通信インタフェース(第2の通信手段)
9 ヒータ
10 管理装置
11 操作部
12 表示部
13 CPU(第1のCPU)
14 ROM(第1の記憶装置)
15 RAM
16 入出力インタフェース
17 通信インタフェース(第1の通信手段)
30 ネットワーク(通信網)
100 米飯加工機器管理システム