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特許7140387新規な重合性単量体及びこれを用いた歯科用重合硬化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】新規な重合性単量体及びこれを用いた歯科用重合硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/12 20060101AFI20220913BHJP
   C08F 20/26 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 6/30 20200101ALI20220913BHJP
   A61K 6/40 20200101ALI20220913BHJP
【FI】
C07D307/12 CSP
C08F20/26
A61K6/30
A61K6/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019022251
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2020128359
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391003576
【氏名又は名称】株式会社トクヤマデンタル
(72)【発明者】
【氏名】坂田 英武
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】風間 秀樹
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206618(JP,A)
【文献】特開2017-149650(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)で示される重合性単量体。
【化1】
〔上記式中、
´は、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの4価の有機残基であり、
【化2】
(式中、lは1以上50以下の整数を表し、oは、0以上10以下の整数を表す。)
´はA ´とXとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
【化3】
(式中、Rは炭素数1~50の炭化水素基であって、枝分かれ構造や環状構造を有していてもよい。また。一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子に置換されていてもよい。)
´はA ´とYとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
【化4】
(式中、Rは炭素数1~50の炭化水素基であって、枝分かれ構造や環状構造を有していてもよい。また。一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子に置換されていてもよい。)
Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、AにL ´を介して複数結合するXは互いに異なっていてもよく、
Yは以下に示される環状エーテル
【化5】
である。
【請求項2】
量が100以上、2000以下である請求項1に記載の重合性単量体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の重合性単量体及び重合開始剤を含んでなることを特徴とする歯科用重合硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な重合性単量体及びこれを用いた歯科用重合硬化性組成物に関する。詳しくは、酸性基を有する各種添加成分に対して相溶性が高く、高強度且つ耐水性の高い硬化体を与える(メタ)アクリレート系重合性単量体及び該重合性単量体を含んでなる歯科用重合硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレート系重合性単量体は、歯科用組成物、印刷製版、フォトレジスト材料、塗料、接着剤、インク、光造形樹脂などの幅広い分野で利用可能である。このような重合性単量体には、硬化体の機械的強度、取り扱いの容易さなど、用途に応じてさまざまな物性が求められる。たとえば特許文献1に例示されるビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis-GMA)やトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)などの重合性単量体は、2つ以上の重合性基と官能基を有しているため、架橋構造により機械的強度に優れた硬化体を与えることができる。
【0003】
また、(メタ)アクリレート系重合性単量体は、一般的にその用途に応じて、他の成分と混合した混合組成物として用いられることが多い。このような場合、(メタ)アクリレート系重合性単量体がその他の重合性単量体や重合開始剤や安定剤などの添加剤との相溶性に優れることは、(メタ)アクリレート系重合性単量体をその他成分と混合する上で、極めて重要である。
【0004】
ところが、添加成分の種類によっては当該添加成分を十分に溶解できないことがある。たとえば、歯科用修復剤として使用する場合に添加される、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基などの酸性成分を含有する重合性単量体(特許文献2乃至4参照);ヨードニウム塩(特許文献5参照);ホスホン酸エステル系重合開始剤(特許文献6参照)などに対しては、相溶が困難となることがある。また、上記の酸性基重合性単量体がスメア層を脱灰した後に析出する、歯質由来のカルシウムイオンと酸性基含有重合性単量体との“塩化合物”は、酸性基を有さない重合性単量体等に対して酸性基含有重合性単量体そのものよりもさらに難溶性であり、相溶性が低い。歯科用修復剤などの歯科用重合硬化性組成物のこれらの塩化合物に対する相溶性が低い場合、接着が阻害され、十分な接着性を得ることができない場合がある。
【0005】
酸性成分を含有する重合性単量体や前記塩化合物のような難溶性成分に対する相溶性を高める方法としては、(メタ)アクリレート系重合性単量体の分子内に(1)アセトアミド基を導入する方法(特許文献6参照)や(2)テトラヒドロフリル基などの環状エーテル基を導入する方法(特許文献7参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2008-534356号公報
【文献】特開2013-82703号公報
【文献】特開2014-91692号公報
【文献】特開2005-225839号公報
【文献】米国特許第3729313号明細書
【文献】特開2002-201281号公報
【文献】特開平8-277207号公報
【文献】特開平8-99815号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】J.Polym.Sci.Part A 2016,54,473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な(メタ)アクリレート系重合性単量体の極子モーメントが小さい。これに対し、前記難溶性成分は、何れも双極子モーメントが大きな物質である。このことから、分子の双極子モーメントの違いがこれら物質を難溶としていると考えられる。上記(1)及び(2)に示す方法は、このような考えに基づいて、(メタ)アクリレート系重合性単量体の双極子モーメントを高める基を導入して相溶性を高めようとするものである。そして、このような考えに従えば、アセトアミド基以外のピロリドン基、メチルスルフィニル基などを導入することによっても単量体の双極子モーメントを高めることができ、同様の効果を得ることができると考えられる。事実、本発明者らは、このような基を導入した(メタ)アクリレート系重合性単量体(特許文献6及び8参照)を使用した場合に前記難溶性物質に対する相溶性が向上することを確認している。
【0009】
ところが、このような官能基の導入は、重合性単量体の親水度を高め、重合性単量体の吸湿性が高くなったり、硬化体の耐水性が低下したりするという問題が発生することが明らかとなった。たとえば特許文献6に示されるアセトアミド基を有する重合性単量体およびその硬化体は、非常に吸水し易く、特に硬化体に関しては、(湿度が一定以上の)大気中に長期間放置した際や、水中に浸漬した後に、その強度が著しく低下することが明らかとなった。また、前記特許文献7に開示されているテトラヒドロフルフリルメタクリレートを硬化させた硬化体は、水中浸漬後に強度低下を起こすだけでなく、硬化直後においても十分な機械的強度が得られないことも判明した。したがって、これら重合性単量体を含む重合硬化性組成物やその硬化体は、水分存在下での使用が前提となる歯科用補綴材や修復材として使用するには問題が発生する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、歯科用補綴材や修復材として好適な重合硬化性組成物であって、双極子モーメントの大きな成分に対する相溶性が高く、吸湿性の問題が起こり難く、更に機械的強度に優れ、且つ実用的な耐水性を有する硬化体を与える重合硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、前記(2)の方法において、分子末端にアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を合計で2個以上導入した適度な分子量を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体(該重合性単量体は、本発明者らによって新たに見出された新規な化合物を含む。)を用いた重合硬化性組成物は、前記課題を解決できることを見出し、「下記一般式(1)で示される構造を有する、分子量100~2000の環状エーテル基含有多官能(メタ)アクリレート系重合性単量体を含んでなる重合硬化性組成物」を既に提案している(特願2018-101644号)。
【0012】
【化1】
【0013】
(上記式中、Aは、4~8価の有機残基であり、mはAに結合するXの数を表す2~4の整数であり、Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Aに複数結合するXは互いに異なっていてもよく、nはAに結合するYの数を表す2~4の整数であり、Yは末端に環状エーテル構造を有する1価の有機残基であり、Aに複数結合するYは互いに異なっていてもよい。)
上記重合硬化性組成物は、高い双極子モーメントを有する難溶性の化合物との相溶性が高く、かつ親水性が高すぎないという特徴を有するばかりでなく、その硬化体は機械的強度に優れ、実用的な耐水性、具体的には水中浸漬後の強度低下が起こり難いという性質をも有するものである。
【0014】
本発明者等は、上記したような効果が得られるのは、前記重合性単量体中の環状エーテル基により親水性をあまり高めることなく高い双極子モーメントを有する難溶性の化合物との相溶性を高めることができるようになり、更に分子中に2以上の重合性基を有することに硬化体中に架橋構造が導入されて硬化体強度が高まるとともに耐水性が発現したものと考え、前記一般式(1)で示される構造を有する環状エーテル基含有多官能(メタ)アクリレート系重合性単量体について更に検討を行った。
【0015】
その結果、上記環状エーテル基含有多官能(メタ)アクリレート系重合性単量体の範疇に含まれる新規な重合性単量体を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち第一の本発明は、下記一般式(2)で示される重合性単量体である。
【0017】
【化2】
【0018】
〔上記式中、
´は、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの4価の有機残基であり、
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、lは1以上50以下の整数を表し、oは、0以上10以下の整数を表す。)
´はA ´とXとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、Rは炭素数1~50の炭化水素基であって、枝分かれ構造や環状構造を有していてもよい。また。一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子に置換されていてもよい。)
´はA ´とYとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、Rは炭素数1~50の炭化水素基であって、枝分かれ構造や環状構造を有していてもよい。また。一部が酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子に置換されていてもよい。)
Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、AにL ´を介して複数結合するXは互いに異なっていてもよく、
Yは以下に示される環状エーテル基である。

【0025】
【化6】

【0026】
記本発明の重合性単量体の分子量は100以上、2000以下であることが好ましい。

【0027】
第二の本発明は、前記本発明の重合性単量体及び重合開始剤を含んでなる歯科用重合硬化性組成物である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の重合性単量体は、新規な化合物であり、歯科分野に限らず、双極子モーメントが高い成分を混合し、水分存在下で使用されるような硬化体樹脂を必要とする様々な分野で好適に使用できる。このような効果は、本発明の重合性単量体が環状エーテル基を有することで、親水性をあまり高めることなく高い双極子モーメントを有する難溶性の化合物との相溶性を高め、2以上の重合性基を有することに起因して硬化体中に架橋構造が導入されて硬化体強度が高まるとともに耐水性が発現したものと考えられる。
【0029】
本発明の重合性単量体を含んでなる硬化性組成物は、歯科用接着性組成物として好適に使用でき、このような歯科用接着性組成物は、例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基を有する重合性単量体との相溶が短時間の撹拌で可能であるばかりでなく、脱灰により生じた酸性基含有の重合性単量体とカルシウムイオンの難溶性の塩化合物との相溶性を向上させることができ、接着性能及びその持続性も高いという優れた特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の重合性単量体は、新規化合物であり、下記一般式(2)で示される。
【0031】
【化7】
【0032】
前記一般式(2)における各記号について以下に説明する。
式中のXは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。分子中に含まれる2つのXは、互いに異なっていてもよいが、合成の容易さの観点からは同一種であることが好ましい。
【0033】
また、式中のYは、以下に示される環状エーテル基である。

【0034】
【化8】

【0035】
式中における「A´」は、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの4価の有機残基である。
【0036】
【化9】
【0037】
(式中、lは1以上50以下の整数を表し、oは、0以上10以下の整数を表す。)
´は、下記の「A´´」に示すいずれかから選択されるのがより好ましい。
【0038】
【化10】
【0039】
前記一般式(2)で表わされる重合性単量体は、何れも高い双極子モーメントを有する難溶性の化合物との相溶性が高い。これは、環状エーテル基:Yが分子末端に存在するため、前記難溶性化合物との相互作用が主鎖の立体障害を受けずに有効に働くためであると考えられる。また、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体のうち、特に分子量100~2000のものは、その硬化体の耐水性が高く、水中浸漬した際の機械的強度が維持されるといった特徴を有する。これは、適度の分子量を有することによって環状エーテル基:Yが主鎖から離れすぎずに、硬化時において架橋構造の形成が阻害され難くなっているためであると思われる。すなわち、前記一般式(2)で表わされる重合性単量体、特に分子量100~2000のものは、多官能(メタ)アクリレート基含有の重合性単量体であることに加え、環状エーテル基:Yが、硬化物の強度を維持しつつ、双極子モーメントの高い化合物との相溶性を高く保てるように、主鎖から適度な距離をもって導入されているため、このような優れた効果が得られたものと思われる。
【0040】
前記一般式(2)で表わされる重合性単量体は、下記一般式(3)で示す酸無水物と下記一般式(4)に示すアルコール化合物との反応よって下記一般式(5)で示すカルボン酸化合物を合成後、該カルボン酸化合物(5)と下記一般式(6)に示す化合物とを反応させることにより合成することができる。
【0041】
【化11】
【0042】
上記一般式(3)中、「A´」は前記一般式(2)におけるものと同義である。
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
上記一般式(4)、(5)中のRは一般式(2)のL ´におけるRと同義である。
【0046】
【化14】
【0047】
上記一般式(6)中のRは、一般式(2)のL ´におけるRと同義である。
【0048】
以下、一般式(3)で示される酸無水物と一般式(4)で示されるアルコール化合物を反応させて、前記一般式(5)に示される化合物を得る方法について説明する。
【0049】
一般式(3)の酸無水物と一般式(4)のアルコール化合物の反応において、酸無水物とアルコール化合物の混合モル比は未反応の成分が残留し難いという理由から、酸無水物(モル)/アルコール化合物(モル)=0.2~10.0であることがより好ましく、0.8~2.0であることがさらに好ましい。
【0050】
また、一般式(3)の酸無水物と一般式(4)のアルコール化合物の反応において、反応速度を向上させる目的で、塩基性化合物を添加してもよい。用いる塩基性化合物は特に制限されないが、トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ピリジン等の含窒素化合物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などが挙げられる。塩基性化合物の使用量は特に制限がないが、一般式(3)の酸無水物に対して0.01~2.0倍モルであることが好ましく、0.1~1.5倍モルであることがより好ましい。
【0051】
一般式(3)の酸無水物と一般式(4)のアルコール化合物の反応は、溶媒の存在下または不存在下に実施することができる。使用できる溶媒は反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の含塩素化合物類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、ピリジン、トリエチルアミン等の含窒素化合物類が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に制限は無いが、一般式(3)で表わされる化合物に対して、1~500倍質量の範囲の範囲から選択されることが好ましく、3~100倍質量の範囲から選択されることがより好ましい。
【0052】
一般式(3)の酸無水物と一般式(4)のアルコール化合物の反応における反応温度は、通常、-50℃~150℃の範囲であり、好ましくは0℃~100℃の範囲である。
【0053】
また、上記の合成法によって得られたカルボン酸化合物(5)は複数の構造異性体混合物として製造されるが、特に単離生成することなく、構造異性体混合物として用いてもよい。また、必要に応じて洗浄などの操作を行ってもよい。
【0054】
続いて、上記の工程において得られたカルボン酸化合物(5)と一般式(6)の化合物を反応させて、本発明の重合性単量体を得る方法を説明する。
【0055】
一般式(5)の化合物と一般式(6)の化合物との反応において、一般式(5)の化合物と一般式(6)の化合物の混合モル比は、特に制限されないが、一般式(5)の化合物(モル)/一般式(6)の化合物(モル)=0.25~2.0であることがより好ましく、0.8~1.5であることがさらに好ましい。
【0056】
反応に際しては、反応速度を上げる目的で、酸性化合物若しくは塩基性化合物、またはアンモニウム塩などを添加してもよい。用いる酸性化合物は特に制限されないが、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸や四塩化チタン、テトラフルオロボランなどのルイス酸を挙げることができる。また、用いる塩基性化合物は特に制限されないが、トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ピリジン等の含窒素化合物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などが挙げられる。また、用いるアンモニウム塩は特に制限されず、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが用いることができ、カウンターアニオンとしては臭化物イオンなどハロゲン化物イオン、トシル酸化物イオン等の有機酸の共役塩基、水酸化物イオンなどの無機酸の共役塩基などを用いることができる。添加する酸性化合物、塩基性化合物、アンモニウム塩の使用量は特に制限はないが、一般式(5)の化合物に対して0.0001~2.0倍モルであることが好ましく、0.001~1.2倍モルであることがより好ましい。
【0057】
前記反応は、溶媒の存在下または不存在下に実施することができる。使用できる溶媒は反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の含塩素化合物類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、ピリジン、トリエチルアミン等の含窒素化合物類が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に制限は無いが、一般式(5)で表わされる化合物に対して、2~500倍質量の範囲の範囲から選択されることが好ましく、5~100倍質量の範囲から選択されることがより好ましい。
【0058】
また、本発明の重合性単量体は複数の構造異性体混合物として製造されることもあるが、その場合には、特に単離生成することなく、構造異性体混合物として用いることができる。
【0059】
本発明の重合性単量体を用いて歯科用接着剤等の重合硬化性組成物を得る場合には、本発明の重合性単量体の他に、他の重合性単量体及び重合開始剤を配合することが好ましく、また、反応性を持たない低分子有機化合物、樹脂、フィラー、有機-無機複合材料、重合開始剤以外の各種の添加剤、溶媒等を適宜配合してもよい。
【0060】
前記他の重合性単量体としては、本発明の重合性単量体との共重合性が高いという理由から、(メタ)アクリレート系重合性単量体を使用することが好ましい。(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、トリエチレングリコールジメタクリレート(3G)などのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(より具体的には、アルキレングリコール単位の重合度が1以上14以下のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール単位の重合度が1以上7以下のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、炭素数2~10ポリメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレートなどのアルカンジ(メタ)アクリレート(より具体的には、炭化水素が2以上20以下のアルカンジ(メタ)アクリレートなど)、ビスフェノールAジメタクリレート(BisGMA)、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどの酸性基非含有重合性単量体;メタクリロイロキシエチルリン酸(P1M)、ジメタクリロイロキシエチルリン酸(P2M)、メタクリロイロキシデカンリン酸(MDP)、4-(メタ)アクリロイロキシエチルトリメリット酸無水物などの酸性基含有重合性単量体を挙げることができる。これらの中でも本発明の重合硬化性組成物を歯科用接着剤性組成物として使用する場合には、少なくとも1種類以上の酸性基含有重合性単量体を用いることが好ましい。酸性基含有重合性単量体としては、メタクリロイロキシエチルリン酸(P1M)、ジメタクリロイロキシエチルリン酸(P2M)、メタクリロイロキシデカンリン酸(MDP)、4-(メタ)アクリロイロキシエチルトリメリット酸無水物などが例示できる。
【0061】
これら他の重合性単量体の配合量は、通常、本発明の重合性単量体100質量部に対して1~700質量部であるが、歯科用接着性組成物として使用する場合には、5~300質量部配合することが好ましい。
【0062】
前記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、ラジカル型光重合開始剤や、アゾ系あるいは過酸化物系の熱重合開始剤、レドックス重合開始剤など、各種の重合開始剤を適宜利用することができる。たとえば、光照射によって重合、硬化させる場合は、カンファーキノンやp-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの光重合開始剤を用いることができる。また、加熱重合によって重合、硬化させる場合は、ベンゾイルパーオキシドのような有機過酸化物、アゾイソブチロニトリルのようなアゾ化合物を用いることができる。化学重合によって重合、硬化させる場合は、ベンゾイルパーオキシドのような有機過酸化物とN,N-ジメチルパラトルイジン、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルやp-トリルジエタノールアミンなどのアミン化合物を用いることができる。これらの重合開始剤は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。重合開始剤の配合量は、通常、重合硬化性組成物に含まれる全重合性単量体100質量部に対して0.0001~10質量部、特に0.001~3質量部であることが好ましい。
【0063】
さらに、重合開始剤と共に、重合禁止剤や増感剤等、その他の添加物を併用することもできる。例えば、重合禁止剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ニトロベンゼンなどを用いることができる。重合禁止剤の配合量は、通常、重合硬化性組成物に含まれる前重合性単量体100重量部に対して、0.0001~10質量部、特に0.001~3質量部であることが好ましい。
【0064】
その他の添加材としては、増感剤としてスルホニウム系およびヨードニウム塩系、トリアジン系の光酸発生剤を用いることができる。紫外線吸収剤として、例えば、(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物や(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールのようなトリアゾール系化合物などを用いることができる。これらの添加材はその目的に応じて、適宜決定すればよいが、通常は、全重合性単量体100重量部に対して、0.0001~10質量部、好ましくは0.001~3質量部である。
【0065】
また、硬化体の機械的強度の向上、耐摩耗性の向上、熱膨張係数の低減、操作性の改良、吸水性、溶解性の低減などを図ることを目的に、充填剤を添加してもよい。無機充填剤としては、たとえば、非晶質シリカ、シリカ-チタニア、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物の粒子からなる無機充填剤を用いることができ、また、有機充填剤や、有機無機複合充填剤を用いることもできる。充填剤の粒径、形状は特に限定されず、たとえば、球形状または不定形状で、平均粒子径0.01μm~100μm程度の粒子を目的に応じて適宜使用することができる。また、これらの充填剤は、重合性単量体等とのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させる観点から、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理されていてもよい。これらの充填剤の添加量はその目的に応じて任意の配合量で用いることができる。
【0066】
本発明の重合性単量体を歯科用接着剤や歯科用セメント、歯冠修復用プライマー、歯科用接着性コンポジットレジに用いることで、これらに高い接着力を与えることが可能であり、長期間水中浸漬した後も高い接着力を維持できる。このため、本発明の重合性単量体は、このような用途に使用することが好ましい。
【実施例
【0067】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。以下に、各実施例および比較例のサンプルの作製に用いた物質の略称・略号およびその構造式または物質名と、各種サンプルの調製方法と、各種の評価方法とについて説明する。
【0068】
1.略称・略号およびその構造式または物質名
[第一の重合性単量体]
(1)一般式(2)に示される重合性単量体
・PhTGMA:ビス(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ビス(テトラヒドロフラン2-イル)メチル)ベンゼン-1、2、4,5-テトラカルボキシレート
PhTGMAの構造式を以下に示す。
【0069】
【化15】
【0070】
・BPTGMA:ビス(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ビス(テトラヒドロラン-2-イル)メチル)ビフェニル-3、3´、4、4´-テトラカルボキシレート
BPTGMAの構造式を以下に示す。
【0071】
【化16】
【0072】
・DPETGMA:ビス(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ビス(テトラヒドロラン-2-イル)メチル)4、5´オキシジフタレート
DPETGMAの構造式を以下に示す。
【0073】
【化17】
【0074】
・CyTGMA:(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ビス(テトラヒドロラン-2-イル)メチル)シクロヘキサン-1、2、4、5-テトラカルボキシレート
CyTGMA構造式を以下に示す。
【0075】
【化18】
【0076】
(2)一般式(1)以外の分子構造を持つ重合性単量体
・Bis-GMA:ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート
・MEAMA:メタクリロイルオキシメチルアセトアミド。
【0077】
[第二の重合性単量体]
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
MDP:10-メタクリロイルデカンリン酸。
【0078】
[光重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
DMBE:p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル。
【0079】
[重合禁止剤]
BHT:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール。
【0080】
2.溶解時間試験用マトリックスモノマーサンプルの調製
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表1に示す所定の質量比で混合し、これら重合性単量体の混合物として、暗所にて均一になるまで撹拌した。これにより、溶解時間試験用マトリックスモノマーサンプルを得た。
【0081】
3.接着試験用マトリックスモノマーサンプルの調製
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表2に示す所定の質量比で混合し、これら重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ0.5質量部、DMBE1.0質量部、およびBHT0.1質量部を添加した後、暗所にて均一になるまで撹拌した。これにより、接着試験用マトリックスモノマーサンプルを得た。
【0082】
4.評価方法および評価基準
後述する実施例、比較例のサンプルについての溶解時間試験、接着試験は、以下の通りである。
【0083】
(1)溶解時間試験
前述の接着試験用マトリックスモノマーサンプルを100質量部に対して、10-メタクリロイルデカンリン酸(MDP)20重量部を加え、23℃でマトリックスモノマーが均一になるまでの時間を観察し、これを溶解時間とした。
【0084】
(2)接着試験
接着試験は、接着対象物として、表面が親水性を示す部材を用いて評価を行った。ここで、表面が親水性を示す部材としては、エナメル質が表面に露出した歯牙、及び象牙質が表面に露出した歯牙を選択した。
まず、屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質、あるいは、象牙質面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約5秒間吹きつけて乾燥させた。そして、この平面に直径3mmの孔を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの孔を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの孔の中心に、パラフィンワックスの孔の中心を合わせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に前述の接着試験用マトリックスモノマーサンプルを塗布し、20秒放置後、可視光照射機(LCT、カボデンタルシステムズジャパン社製)により可視光照射を20秒間行い、マトリックスモノマーサンプルを硬化させた。さらに、その上にコンポジットレジン(トクヤマデンタル社製エステライトシグマクイック)を充填し、ポリエステルシートで圧接し、充填後可視光を10秒間照射して硬化させた。
接着試験片のコンポジットレジン硬化体の上面にレジンセメント(トクヤマデンタル社製ビスタイトII)を塗布し、さらに直径8mm、長さ25mmの円筒状のSUS製アタッチメントを接着させた。23度で30分レジンセメントを硬化させた後、接着試験片を37度の水中に24時間浸漬することにより、アタッチメント付き接着試験片を得た。
万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、アタッチメント付き接着試験片をクロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、歯牙とコンポジットレジン硬化体との引張接着強度を測定した。引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例について準備した8本の試験片のそれぞれについて測定した。そして、8回の引張接着強度の平均値を、各実施例あるいは比較例の接着強度とした。また、接着強度の測定方法と同様の方法で準備した8本の試験片をさらに水温5度の水槽と、水温55度の水槽とに、それぞれ30秒間ずつ交互に浸漬する浸漬処理を1セットとし、これを3000回繰り返し実施した後の接着強度を耐久試験後接着強度とした。
マトリックスモノマーサンプルの調製に際して用いた重合性単量体の内、一般式(1)に示される重合性単量体に該当するものについては、以下の手順で合成した。
【0085】
実施例1 <PhTGMAの合成>
ピロメリット酸無水物115mmol(25g)に対して、トリエチルアミン0.06モル当量、BHT0.0010モル当量とメチルイソブチルケトン(MIBK)100mL中で混合し、窒素雰囲気下とし氷冷後に、テトラヒドロフルフリルアルコール2モル当量を滴下した。滴下終了後に、90℃まで加熱後2.5時間撹拌した。続いて、反応液を室温になるまで放置した後に、グリシジルメタクリレート(GMA)2モル当量、BHT0.0010モル当量の混合液を滴下後、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)0.06モル当量を反応液に加えた。80℃で3時間撹拌後、再び室温になるまで放置し、続いて10%炭酸カリウム水溶液、1%塩酸水溶液、2%炭酸カリウム水溶液、蒸留水の順で洗浄した。ロータリーエバポレーターおよび真空乾燥機を用いて、除媒することで、PhTGMAの高粘性の黄色の液体を42.6g (収率55%)で得た。得られたPhTGMAのH1―NMRのスペクトルデータを以下に示す。
H NMRδ 8.90(t,2H)、6.15(s,2H)、5.58(s,2H)、4.68-4.20(m,16H)、3.98.-3.78(m,4H)、2.17-1.86(m,14H)、1.72―1.56(m,4H)。
【0086】
実施例2<BPTGMAの合成>
ピロメリット酸無水物の代わりに、3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸2無水物を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、BPTGMAの高粘性の黄色の液体を49.9g(収率52%)で得た。得られたBPTGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
H NMRδ 8.30(d,2H)、8.14(d,2H)、7.96(d,2H)、6.15(s,2H)、5.57(s,2H)、4.64-4.11(m,16H)、4.00-3.77(m,4H)、2.12-1.88(m,14H)、1.70―1.55(m,4H)。
【0087】
実施例3<DPETGMAの合成>
ピロメリット酸無水物の代わりに、4,4´―オキシジフタル酸無水物を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、DPETGMAの高粘性の黄色の液体を54.2g(収率60%)で得た。得られたDPETGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
H NMRδ 7.61(d,2H)、7.06(d,2H)、6.88(d,2H)6.14(s,2H)、5.20(s,2H)、4.66-4.22(m,16H)、4.12-3.88(m,4H)、2.22-1.90(m,14H)、1.76―1.50(m,4H)。
【0088】
実施例4<CyTGMAの合成>
ピロメリット酸無水物の代わりに、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、CyTGMAの高粘性の黄色の液体を41.1g(収率52%)で得た。得られたDPETGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
H NMRδ 6.18(s,2H)、5.60(s,2H)、4.66-4.22(m,18H)、4.12-3.88(m,4H)、2.22-1.90(m,14H)、1.76―1.50(m,4H)。
【0089】
実施例A1
第一の重合性単量体としてPhTGMA60質量部、第二の重合性単量体としてTEGDMA40質量部を混合し、溶解時間試験用マトリクスルモノマーを調製し、該溶解時間試験用マトリクスルモノマーを用いてMDPの溶解時間試験を行った。結果を表1に示す。
【0090】
実施例A2~A14、比較例A1、A2
第一の重合性単量体を表1に示すものに変えた以外は実施例A1と同様にして、MDPの溶解時間試験を行った。結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例B1
第一の重合性単量体としてPhTGMA60質量部、第二の重合性単量体としてTEGDMA10質量部、HEMA20質量部及びMDP20質量を混合し、得られた重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ0.5質量部、DMBE1.0質量部、およびBHT0.1質量部を添加して接着試験用マトリックスモノマーサンプルを調製した。該接着試験用マトリクスルモノマーを用いて牛歯への接着試験を行い、初期の接着強度及び耐久試験後接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0093】
実施例B2~B14、比較例A1、A2
第一の重合性単量体を表2に示すものに変えた以外は実施例B1と同様にして、接着試験を行った。結果を表3に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】