(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】仮想アイテム出品受付プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220913BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
(21)【出願番号】P 2019131432
(22)【出願日】2019-07-16
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】515023442
【氏名又は名称】ジャパンモード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 竜二
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022258(JP,A)
【文献】特表2007-529817(JP,A)
【文献】特開2019-016069(JP,A)
【文献】特開2018-171271(JP,A)
【文献】特開2018-036893(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0054157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0199518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、
上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録ステップと、
上記記録ステップにおいて記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、
上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度に基づいて各仮想アイテムを評価する評価ステップとをコンピュータに実行させ、
上記評価ステップは、上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについてより評価を高く設定すること
を特徴とする仮想アイテム出品受付プログラム。
【請求項2】
ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、
上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録ステップと、
上記記録ステップにおいて記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、
上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す
度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする仮想アイテム出品受付プログラム。
【請求項3】
ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、
上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムと、ネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに既に記録されている他の仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、
上記類似度判別ステップを通じて、当該新たに出品された仮想アイテムについて判別された類似度に基づいてこれをブロックに記録するか否かを決定する記録制御ステップとをコンピュータに実行させ
、
上記記録制御ステップでは、判別された類似度が閾値を超える旨を判別した場合には、これをブロックに記録をしない処理を行い、上記類似度が閾値以下である旨を判別した場合には、これをブロックに記録する処理を行い、
上記ブロックに記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進ステップを更に有すること
を特徴とする仮想アイテム出品受付プログラム。
【請求項4】
ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付手段と、
上記出品受付手段により新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録手段と、
上記記録手段により記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別手段と、
上記類似度判別手段を通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す
度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進手段とを備えること
を特徴とする仮想アイテム出品受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける仮想アイテム出品受付プログラム及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工的に構築される仮想空間をユーザに対して表示させ、様々な仮想現実(VR:Virtual Reality)コンテンツを体験してもらう技術が普及している。特に仮想空間内に存在するアバターをユーザが操作することで、高い操作性を達成するとともに、高い臨場感を体験してもらうための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような仮想現実コンテンツを体験するためには、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をユーザの頭部に装着させる。これにより、ユーザは没入感のあるゲームコンテンツも体験することが可能となる。このようなゲームコンテンツでは、通常のゲームパットではなく、身体動作をゲーム操作に用いることで、より没入感のある体験を可能としている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-150978号公報
【文献】特開2012-79177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては、HMDを介して表現される仮想現実コンテンツの仮想環境内において、ユーザ自らが創作した仮想アイテムを出品し、販売するサービスが実用化されている。このような仮想アイテムを安心して出品できるようにするためには、当該仮想環境内における仮想アイテムの健全な売買市場を形成する必要がある。そして、この健全な売買市場を形成するためには、出品を許可する仮想アイテムが決して偽物ではなく、また他の創作者の単なる模倣ではないもののみに限定する必要がある。偽物や単なる模倣からなる仮想アイテムを取引市場から排除するためには、出品を許可する仮想アイテムが、真の創作者により創作された、唯一存在するものであることを検証する必要があり(以下、唯一性という。)、また最先に創作されて出品されたものに絞る必要がある。
【0006】
しかしながら、従来において、この出品される仮想アイテムについて、唯一性を検証し、しかも最先に創作されて出品されたものであるか否かを検証するシステムが提案されていなかったため、このような仮想環境内における仮想アイテムの健全な売買市場を形成する途が開けてこないという問題点があった
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、仮想環境内における仮想アイテムの健全な売買市場を形成する上で、出品される仮想アイテムについて、唯一性を検証し、しかも最先に創作されて出品されたものであるか否かを検証することが可能な仮想アイテム出品受付プログラム及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る仮想アイテム出品受付プログラムは、ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録ステップと、上記記録ステップにおいて記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度に基づいて各仮想アイテムを評価する評価ステップとをコンピュータに実行させ、上記評価ステップは、上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについてより評価を高く設定することを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係る仮想アイテム出品受付プログラムは、ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録ステップと、上記記録ステップにおいて記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、上記類似度判別ステップを通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係る仮想アイテム出品受付プログラムは、ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付ステップと、上記出品受付ステップにより新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムと、ネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに既に記録されている他の仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別ステップと、上記類似度判別ステップを通じて、当該新たに出品された仮想アイテムについて判別された類似度に基づいてこれをブロックに記録するか否かを決定する記録制御ステップとをコンピュータに実行させ、上記記録制御ステップでは、判別された類似度が閾値を超える旨を判別した場合には、これをブロックに記録をしない処理を行い、上記類似度が閾値以下である旨を判別した場合には、これをブロックに記録する処理を行い、上記ブロックに記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進ステップを更に有することを特徴とする。
【0011】
第4の発明に係る仮想アイテム出品受付プログラムは、ユーザ端末を介して表現される仮想環境内において活用される仮想アイテムの出品を受け付ける出品受付手段と、上記出品受付手段により新たに出品が受け付けられる都度、新たに出品された仮想アイテムをネットワーク内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する記録手段と、上記記録手段により記録される仮想アイテムとの間で類似度を判別する類似度判別手段と、上記類似度判別手段を通じて判別された類似度が閾値を超える仮想アイテム間のうち、より先に記録された仮想アイテムについて上記ネットワークを介して販売を促す度合いを、より後に記録された仮想アイテムよりも高く設定する販売促進手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、出品された仮想アイテムについて、実際に販売を促進するものについて、予め他の仮想アイテムとの間で類似度を判別し、仮に類似度の高い仮想アイテムについては、最先に記録されたもののみ販売促進するように制御する。その結果、出品を許可する仮想アイテムが決して偽物ではなく、また他の創作者の単なる模倣ではないもののみに限定することが可能となる。偽物や単なる模倣からなる仮想アイテムを取引市場から排除するすることで、出品を許可する仮想アイテムが、真の創作者により創作された、唯一存在するものであることを検証する必要があり、いわば唯一性を確保することができ、また最先に創作されて出品されたものに絞ることが可能となる。その結果、仮想アイテムの健全な売買市場を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】仮想アイテム出品受付システムの一例を示すブロック図である
【
図2】仮想アイテム出品管理装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】仮想アイテム出品管理装置の機能の一例を示す模式図である。
【
図4】ユーザ端末の構成について説明するための図である。
【
図5】ユーザ端末のブロック構成について説明するための図である。
【
図6】データベースに記録されるコンテンツ管理テーブルの一例を示す図である。
【
図7】仮想アイテム出品受付システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【
図8】判断された類似度に基づいて各仮想アイテムを評価する例を示すフローチャートである。
【
図9】仮想アイテム出品受付システムの動作について説明するための他のフローチャートである。
【
図10】仮想アイテムの類似性を人工知能により判別させる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態における仮想アイテム出品受付プログラム及びシステムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態:仮想アイテム出品管理装置1の構成)
図1~
図5を参照して、仮想アイテム出品受付システム100の構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態における仮想アイテム出品受付システム100の全体構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、仮想アイテム出品受付システム100は、仮想アイテム出品管理装置1を備える。仮想アイテム出品管理装置1は、例えば、公衆通信網40(ブロックチェーンネットワーク40c)を介して、ユーザ端末5(5a~5c、等)、及びデータベース6の少なくともいずれかと接続されていてもよい。
【0023】
<仮想アイテム出品管理装置1>
本実施形態における仮想アイテム出品管理装置1は、主にネットワーク上に設けられ、例えば、ユーザがゲームを始めとした各種仮想現実コンテンツを体験するためのシステムである。
【0024】
図2は、仮想アイテム出品受付システム100における仮想アイテム出品管理装置1の構成の一例を示す模式図である。仮想アイテム出品管理装置1として、メインフレーム、ミッドレンジ、ワークステーション、スーパーコンピュータ等の電子機器が用いられる。仮想アイテム出品管理装置1は、筐体10と、CPU11と、ROM12と、RAM13と、記憶部14と、I/F15~17とを備える。I/F15~17は、内部バス18により接続される。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)11は、仮想アイテム出品管理装置1全体を制御する。ROM(Read Only Memory)12は、CPU11の動作コードを格納する。RAM(Random Access Memory)13は、CPU11の動作時に使用される作業領域である。記憶部14は、アプリケーションプログラム、解析ロジック、語彙・構文プログラム等の各種情報が記憶される。記憶部14として、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(solid state drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば仮想アイテム出品管理装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。GPUを有することで、通常よりも高速演算処理が可能となる。
【0026】
I/F15は、公衆通信網40を介してユーザ端末5、外部データベース(図示せず)等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F16は、入力部20との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部20として、例えばキーボードやタッチパネルが用いられ、仮想アイテム出品受付システム100の管理者や運営者等は、入力部20を介して、各種情報又は仮想アイテム出品管理装置1の制御コマンド等を入力する。I/F17は、出力部19との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。出力部19は、記憶部14に保存された各種情報、又は仮想アイテム出品管理装置1の処理状況等を出力する。出力部19として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0027】
図3は、仮想アイテム出品受付システム100における仮想アイテム出品管理装置1の機能の一例を示す模式図である。仮想アイテム出品管理装置1は、出品受付管理部7、ブロックチェーン部3、記憶手段24、送受信手段26、判定手段27、を少なくとも備え、さらにデータベース6が接続されている。なお、
図3に示した機能は、CPU11が、RAM13を作業領域として、記憶部14等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0028】
<記億手段24>
記憶手段24は、例えば、新たにユーザから仮想アイテムが出品された場合に、これを一時的に記憶する手段である。記憶部14は、例えば、新たな仮想アイテムを取得する都度、すでにブロック上において記録した内容の履歴を蓄積する。記憶手段24は、各情報の単位、又はあるまとまったグループ毎に記憶する、又は随時、所定の間隔で記憶するようにしてもよい。
【0029】
<送受信手段26>
送受信手段26は、例えば、仮想アイテム出品管理装置1と公衆通信網40(ブロックチェーンネットワーク40c)を介して接続されるユーザ端末5(5a~5c、等)、及びデータベース6との各データ及び情報等と送受信を行う。送受信手段26を介して送受信された各履歴は、対応する各ブロック上に記録される。
【0030】
<判定手段27>
判定手段27は、例えば、新たにユーザから仮想アイテムが出品された場合に、以前よりブロックチェーンネットワーク40c内に記録されている他の仮想アイテムとの間で類似性を判定する。この類似性の判定は、必要に応じてデータベース6を参照して行う。
【0031】
<ブロックチェーン部3>
ブロックチェーン部3は、仮想アイテム出品管理装置1において、例えば、ブロックチェーン技術に関するブロックチェーン制御手段31、メタデータ生成手段32、暗号化手段33、電子署名手段34を少なくとも備える。ブロックチェーン部3は、例えば、公衆通信網40上にブロックチェーンネットワーク40cを形成し、送受信手段26を介してブロックチェーンネットワーク40c上でやり取りされる全ての記録を記憶し、データベース6に蓄積する。
【0032】
ブロックチェーンネットワーク40cには、ユーザ端末5のうち、例えば、会員として登録されるユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末が接続される。ユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末は、ブロックチェーンネットワーク40cにより相互に接続され、集中管理の役割を担う端末のない「ピア・ツー・ピア型」の管理で構成される。
【0033】
<ブロックチェーン制御手段31>
ブロックチェーン制御手段31は、仮想アイテム出品管理装置1とブロックチェーンネットワーク40cで接続されるユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末間において、仮想アイテム出品管理装置1とユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末との各やり取り、トランザクション等の一連の情報を、一定時間間隔もしくは一定数に到達した場合にブロックとしてグルーピングすることを試み、ブロックの生成に成功した場合、もしくは他のブロック生成装置から新しいブロックを受信した場合は、新しいブロックチェーンとして現状のブロックチェーンに連鎖させる制御を行う。
【0034】
また、ブロックチェーン制御手段31は、仮想アイテム出品管理装置1又はユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末により、新しいブロックを受信した場合には、ブロックおよびブロック内に含まれている各情報及びトランザクション等の検証を行った上で、正当と認められる場合のみ、続くブロックに連鎖させる。
【0035】
また、ブロックチェーン制御手段31でのやり取りは、例えば、分散型台帳技術によりアプリケーションが実行され、各記憶された履歴の連続性が保証される。これにより、仮想アイテム出品管理装置1と各ノードによるブロックチェーンデータ、各仮想アイテム、履歴等の共同保有、ブロックチェーンネットワーク40cを介したデータや情報、各種コンテンツの送受信が可能となる。
【0036】
<メタデータ生成手段32>
メタデータ生成手段32は、仮想アイテム出品受付システム100において仮想アイテム出品管理装置1とユーザ端末5b~ユーザ端末5c等の端末でやり取りされる各仮想アイテムに関するメタデータを生成する。各仮想アイテムは、データベース6に記憶されている。メタデータ生成手段32は、例えば、各仮想アイテムのメタデータに基づき、各仮想アイテムの生成日、作成者(ユーザ端末ID)、各仮想アイテムの生成に利用したソフトウェアやハードウェアの情報等、各仮想アイテムの生成に関連したソフトウェアやハードウェアの情報を含める。これにより、例えば、各仮想アイテムの真正性を担保することが可能となり、全てのブロックに記録された情報を唯一絶対のブロックチェーンをそれぞれ有することが可能となる。
【0037】
暗号化手段33は、各種コンテンツに付与するライセンス(公開/限定公開)に基づいて、仮想アイテム出品管理装置1でやり取りされる各仮想アイテムを暗号化する。各仮想アイテムの暗号化に関する管理情報は、データベース6に記憶される。暗号化手段33は、例えば、仮想アイテム出品受付システム100及び、仮想アイテム出品管理装置1のポリシーや規約に則り、各仮想アイテムを暗号化してもよい。さらに、各仮想アイテムの権利者(権利保持者)の指示に応じて、暗号化するようにしてもよい。暗号化手段33は、例えば、データベース6に登録される各仮想アイテムのうち、自由なアクセスを可能とする、又は自由な配布を可能とするような仮想アイテムの場合は、暗号化せずに非暗号化のコンテンツとするようにしてもよい。
【0038】
<電子署名手段34>
電子署名手段34は、例えば、各仮想アイテムのハッシュ値とメタデータへの電子署名付けを行う。暗号化手段33は、各仮想アイテムを暗号化し、暗号化した仮想アイテムのハッシュ値を計算し、元の仮想アイテムのハッシュ値とメタデータとともに電子署名を付ける。暗号化手段33は、エンコーダーチップが電子署名に対応している場合には、仮想アイテムのハッシュ値と仮想アイテムのメタデータに対するエンコーダーチップの電子署名を得る。暗号化手段33は、各仮想アイテム内に記載されたメタデータ以外に、メタデータ生成手段32が生成し、付与したメタデータと、仮想アイテムを暗号化した場合には、その暗号化した仮想アイテムのハッシュ値とを含めて電子署名を付与する。
【0039】
<公衆通信網40>
公衆通信網40は、通信回路を介して接続されるインターネット網等であり、光ファイバ通信網で構成されてもよい。公衆通信網40は、有線通信網には限定されず、無線通信網で実現してもよい。公衆通信網40は、ブロックチェーンネットワーク40cがさらに構成される。
【0040】
<ブロックチェーンネットワーク40c>
ブロックチェーンネットワーク40cは、ブロックチェーン技術(分散台帳技術)により実現される。各ブロック(Block)では、多数のトランザクションと、ナンス(Nonce)と呼ばれる特別な値と、直前のブロックのハッシュとを有している。ブロックに含まれたトランザクション(取引)のみを「正しい取引」と認める。これにより、全体で「唯一のブロックの鎖」を持つことができる。
【0041】
ブロックチェーンネットワーク40cは、接続される仮想アイテム出品管理装置1とブロックチェーンネットワーク40cにより接続されるユーザ端末5との間で、一貫したやり取りの履歴をブロックチェーンネットワーク40c全体で分散及び共有することが可能となる。さらに、ブロックチェーンネットワーク40cは、例えば、公衆通信網40で接続される間において、電子(各仮想アイテム)の存在証明機能を備える。この存在証明機能は、ある特定の電子データが、公衆通信網40で接続される機器上、各仮想アイテムが、公衆通信網40上に、ある特定の時点で存在していたことを証明する機能を有する。
【0042】
ブロックチェーンネットワーク40cは、存在証明の対象とする電子データとしては、例えば、後述する仮想アイテム管理テーブル200に登録される仮想アイテムが対象となり、テキストメッセージ(文字列)、ドキュメント、静止画、動画等といった各種のデータやファイルが登録される。また、解決コンセプトを提示するため、AIに学習させるための大量の教師データ(図示せず)も含まれる。
【0043】
<ユーザ端末5>
ユーザ端末5は、複数のユーザ端末5a~5c等と公衆通信網40を介して接続される。ユーザ端末5b~ユーザ端末5cは、仮想アイテム出品管理装置1にユーザ登録することで、仮想アイテム出品管理装置1が提供するコンテンツ流通サービスを受けることが可能となる。また、ユーザ端末5b~ユーザ端末5cは、各ユーザが創作した仮想アイテムを仮想アイテム出品管理装置1に登録することで、別の登録ユーザに対して仮想アイテム出品管理装置1を介し、登録されているコンテンツの提供等することができるようになる。
【0044】
ユーザ端末5は、PC、スマートフォン、携帯電話機、ウェアラブル端末等で構成されていてもよいが、本発明においてはユーザの頭部に装着可能なヘッドマウントディスプレイ(HMD)を適用する場合を例にとり説明をする。このHMDによれば、仮想現実(VR:Virtual Reality)コンテンツを体験してもらうことができる。
【0045】
図4は、ユーザ端末5として、このHMDを適用する場合の例を示している。ユーザ端末5は、いわゆる視聴者に頭部に装着可能ないわゆるヘッドマウントディスプレイとして構成される。ユーザ端末5は、メガネ型又はゴーグル型の表示装置であり、頭部装着部41と、映像表示部42と、ヘッドホン43と、撮像部44と、動きセンサ59と、マイク60を備えている。またユーザ端末5は、ユーザが仮想環境内で自らのアバターを操作するための操作部65を備えている。ユーザ端末5は、をゴーグル型で構成する場合には、外部の視覚刺激を完全に遮断するためのシールドをもたせることが望ましい。
【0046】
頭部装着部41は、右フレーム41aと左フレーム41bが互いに内側方向に近接する方向へ付勢されており、装着者は、この右フレーム41aと左フレーム41bを押し広げて頭部への装着、又は取り外しを自在に行うことが可能となる。これら右フレーム41a、左フレーム41bの終端にヘッドホン43が取り付けられている。頭部装着部41は、装着後に後頭部に伸びるループを締めることで全体を頭部に固定可能とされている。
【0047】
映像表示部42は、装着者の網膜に映像を直接投影して映像を視認させることを目的としたものである。この映像表示部42には、ユーザ端末5による映像表示や音声出力等を制御するためのユニットが内部に実装されることとなる。またこの映像表示部42の下端には、装着者の鼻に載せることで安定した装着を実現するための鼻当て部42aが設けられていてもよい。
【0048】
ヘッドホン43は、装着者の耳に装着可能とされている。このヘッドホン43は、装着者の耳を完全に被包するような形状、サイズで構成される場合に限定されるものではなく、小型のイヤホン式で構成されていてもよい。また、このヘッドホン43の構成は必須ではなく、必要に応じて省略するようにしてもよいが、使用時にはノイズキャンセリング機能を持つものが望ましい。ヘッドホン43自体の構成は省略してもよく、また他の周知のイヤホン等で代替されるものであってもよい。
【0049】
撮像部44は、映像表示部42の略中央部近傍に設けられている。これにより、撮像部44は、装着者と略同一の視点で現実空間をライブ映像として撮像することが可能となる。動きセンサ59は、撮像部44のように映像表示部42と一体として固定される。またマイク60は、ヘッドホン43の近傍に設けられているが、これに限定されるものではなく、いかなる箇所に設けられていてもよい。
【0050】
操作部65は、ユーザが把持しやすい外観形状で構成されており、更にユーザによる指で操作が出るようなキー65a等が配設されている。
【0051】
図5は、このユーザ端末5のブロック構成を示している。ユーザ端末5は、動きセンサ59、マイク60、映像表示部42、ヘッドホン43、撮像部44を有し、この映像表示部42は、表示パネル62を有している。ユーザ端末5は、周辺インターフェース(I/F)57と制御アプリケーション20とを備えている。電源スイッチ58、操作部65はこの周辺I/F57に接続されている。動きセンサ59、マイク60、表示パネル62、ヘッドホン43、撮像部44はそれぞれ周辺I/F57に接続されている。
【0052】
表示パネル62は、撮像部44により撮像された映像、又は制御アプリケーション20から送信されてくる映像を表示する。この表示パネル62は、映像信号が入力された場合に、当該映像信号に基づいて画像を生成するための要素となる各信号(R,G,Bの3原色の信号)を発生する。また、発生した各RGB信号に基づく光を出射して合波し、その光を2次元に走査する。2次元に走査された光は、その中心線が装着者の瞳孔に収束するように変換され、装着者の眼の網膜に投影される。
【0053】
ヘッドホン43は、音声信号が入力される。ヘッドホン43は、この入力されてくる音声信号に基づいた音声を出力する。
【0054】
周辺I/F57は、動きセンサ59やマイク60、操作部65等から取得した情報を制御アプリケーション20へ伝達するための各種情報の送受信を中継する役割を担うインターフェースである。
【0055】
電源スイッチ58は、例えば外部に露出した押圧可能なボタン型のスイッチで構成され、装着者がこれを押圧することで、ユーザ端末5による処理動作を開始し、或いは当該処理動作を終了させる。電源スイッチ58の押圧が行われた場合には、周辺I/F57を介してユーザ端末5のON/OFFが切り換えられる。
【0056】
動きセンサ59は、装着者の頭部の動きを検出する。この動きセンサ59は、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ等が用いられ、装着者の頭部の角度や傾きを検出する。この動きセンサ59は、頭部の位置そのものを検出するものであってもよい。また動きセンサ59は、体験環境に設置した図示しないカメラによるモーションキャプチャーシステムに置換するようにしてもよい。この動きセンサ59により取得された装着者の頭部の動きに関するデータは、周辺I/F57を介して制御アプリケーション20へと送信される。
【0057】
マイク60は、周囲の音声を集音し、これを音声信号に変換する。マイク60は、この変換した音声信号を周辺I/F57を介してヘッドホン43へと送信する。この送信される過程で、音声信号に何らかの処理が施されるようにしてもよい。
【0058】
操作部65は、ユーザが自らの意思に基づく入力を行うためのいわゆるユーザインターフェースである。この操作部65において何らかの入力が行われた場合、その情報は、周辺I/F57を介して制御アプリケーション20へと送信される。
【0059】
制御アプリケーション20は、ユーザ端末5全体を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。制御アプリケーション20を通じてユーザは各種VRコンテンツを楽しむことが可能となり、更には没入感のあるゲームコンテンツも体験することが可能となる。
【0060】
<データベース6>
データベース6は、
図6に示すような仮想アイテム管理テーブル200が記憶される。仮想アイテム管理テーブル200は、仮想アイテム出品管理装置1により提供される各仮想アイテムの登録に関する情報等が記憶される。
【0061】
仮想アイテム管理テーブル200には、本サービスで登録される全ての仮想アイテム及びこれに関連する情報が各々対応づけられて記憶される。仮想アイテム管理テーブル200には、例えば、「仮想アイテムID」、「仮想アイテムタイトル」、「登録仮想アイテム情報」、「登録日」、「登録者ID」等の項目が、各々対応付けられ、所定のデータ形式のファイルで記憶される。
【0062】
「仮想アイテムID」には、例えば、各仮想アイテムを識別するために付与される識別情報であり、ユニークな識別子として記憶される。
【0063】
「仮想アイテムタイトル」には、例えば、登録される仮想アイテムの名称であり、婦人服であれば、「婦人服」等、ゲームに使用する防具であれば「鉄の鎧」、「青銅の盾」等として記憶される。
【0064】
「登録仮想アイテム情報」には、例えば、仮想アイテムの静止画像や動画像、説明文、図面やそのスペックを構成する各種データが、各々対応付けられて記憶される。各登録仮想アイテムのレコード領域には、例えば、仮想アイテムの詳細な記述(テキスト)が登録されるようにしてもよい。
【0065】
「登録日」は、ブロックチェーン部3のブロックチェーン制御手段31に備わるタイムスタンプ機能(図示せず)に基づき、各コンテンツに逐次に記録されてもよい。
【0066】
「登録者ID」には、仮想アイテム出品管理装置1の登録者に関する識別情報であり、登録された各コンテンツと対応付けられて記憶される。
【0067】
コンテンツ管理テーブル200は、例えば、「No.1」のデータレコードでは、仮想アイテムIDには、「00001」、仮想アイテムタイトルには、「婦人服」、登録仮想アイテム情報には静止画像「AAA1」、動画像「AAA2」、説明文「AAA3」、図面「AAA4」が、各々対応付けられて記憶される。
【0068】
次に、上述した構成からなる仮想アイテム出品受付システム100の動作について
図7に示すフローチャートに基づいて説明をする。
【0069】
ユーザは、先ずユーザ端末5を介して表現される仮想環境内において仮想現実(VR:Virtual Reality)コンテンツにおいて活用される仮想アイテムを創作する。この仮想アイテムは、通常は仮想環境においてのみ使用される各種アイテム(服、武器、防具、帽子、靴、道具、文房具、情報やデータ、ロボット、機械、PC、スマートフォン、電気製品、生活雑貨、家具、スポーツ用品、インテリア、ホビー用品、車両、アクセサリー、工具、住宅等)が含まれる。このような仮想アイテムも創作は、市販の画像制作ソフト、動画制作ソフト等を用いてもよく、また市販されていなくても周知の画像や動画の製作技術を利用して創作してもよいし、自社のみの独自技術を駆使して創作してもよい。いずれの方法で創作された仮想アイテムであっても、仮想環境内で活用でき、しかも電子データとして出品することができればよい。
【0070】
ユーザは、創作した仮想アイテムの出品をユーザ端末5を介して行う(ステップS110)。しかし、この仮想アイテムの出品は、VRコンテンツを楽しむユーザ端末5を介して行う場合に限定されるものではなく、他のいかなるデバイス(PC、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等)を介して出品するようにしてもよい。
【0071】
このようにして出品された仮想アイテムは、公衆通信網40へ送られ、ひいては仮想アイテム出品管理装置1へと送られる。
【0072】
次にステップS120に移行し、仮想アイテム出品管理装置1は、出品されてきた仮想アイテムをデータベース6に記録するとともに、ブロックチェーンネットワーク40cに記録する。仮想アイテム出品管理装置1は、出品されてきた仮想アイテムをデータベース6に記録する際には、例えば
図6に示すようにコンテンツ管理テーブル200に対して順次記録していく。その結果、このコンテンツ管理テーブル200には、No1から順に新たな仮想アイテムが書き加えられることとなる。同様にブロックチェーンネットワーク40cにおいても新たに出品されてきた仮想アイテムが順次記録されていくことになる。
【0073】
次にステップS130へ移行し、仮想アイテム間で類似度を判別する。この類似度は、一の仮想アイテムについて、既にブロックチェーンネットワーク40cに記録されている他の仮想アイテムとの間で類似度を比較する。このとき、新たに出品されてきた仮想アイテムについてブロックチェーンネットワーク40cに記録する際に、これよりも以前に記録された他の仮想アイテムとの間で、都度、類似度を判別するようにしてもよい。
【0074】
この類似度の判別は、例えば一の仮想アイテムと類似する他の仮想アイテムをソート・検索することで絞り込む。このとき、コンテンツ管理テーブル200を参照し、一の仮想アイテムと類似する他の仮想アイテムを絞り込むようにしてもよい。
【0075】
例えば新たに出品されてきた一の仮想アイテムが、
図6に示すコンテンツ管理テーブル200において、No.が「n」であり、仮想アイテムIDが「Nnnn1」であり、仮想アイテムタイトルが「婦人服」であるものとする。これと類似する他の仮想アイテムを検索する際には、この仮想アイテムタイトルにおいて同一、類似するものがあるか否かに基づいて行うようにしてもよい。
図6の例では、「No.1」、仮想アイテムIDが「00001」において仮想アイテムタイトルが「婦人服」であることから、これを比較対象としての他の仮想アイテムとして拾い出す。
【0076】
次に、一の仮想アイテム(仮想アイテムID:「Nnnn1」)と他の仮想アイテム(仮想アイテムID:「00001」)との間で、登録仮想アイテム情報の内容を比較することにより、類似度を判別する。実際には、一の仮想アイテム(仮想アイテムID:「Nnnn1」)と他の仮想アイテム(仮想アイテムID:「00001」)との間で、それぞれの静止画像、動画像、説明文、図面等を比較し、一致度合い、不一致度合いを判別する。静止画像、動画像の類似度の判別は、例えば画像上に現れてくる形状、模様、色彩等の同一性や類似性、非類似性を確認することで行う。この画像間の類似度の判別は、例えば人工知能やディープラーニング技術を利用することで画像上に現れる特徴的な領域の同一性、類似性、非類似性を判別するようにしてもよい。
【0077】
このような類似度の具体的な判断基準はいかなるものであってもよいが、例えば仮想アイテムの画像の形状において同一のものが全体の何%、或いは何個含まれているかを判別するものであってもよいし、同一の彩色や模様が全体の何%、或いは何個含まれているかに基づいて判別するようにしてもよい。
【0078】
また説明文を介して類似度を判別する場合には、説明文中の単語、キーワード、形態素等について同一、類似のものが全体の何%、或いは何個含まれているかを判別するものであってもよい。
【0079】
類似度は最終的に度数で表されるものであってもよい。この度数は、同一に近づくにつれて高くなり、非類似に近づくにつれて低くなる。類似度がある閾値を超える場合に同一又は類似と判断し、類似度がある閾値以下の場合には、非類似と判断するようにしてもよい。
【0080】
このようにして類似度を判断した後、ステップS140へ移行する。ちなみに、この類似度は、一の仮想アイテムと他の仮想アイテムとの1対1での判断のみならず、一の仮想アイテムと他の複数の仮想アイテムとの1対複数間で判断するようにしてもよい。
【0081】
ステップS140においては、ステップS130において判断された類似度に基づいて各仮想アイテムを評価する。この評価は、
図8に示すように分類するようにしてもよい。例えば、ステップS210に示すように、評価対象の一の仮想アイテムが、他の仮想アイテムとの間で比較することで求めた類似度が閾値以下の場合、そもそも一の仮想アイテムが、他の仮想アイテムとの間で非類似であることを意味し、評価値Aを設定する。これに対して、類似度が閾値を超える場合には、一の仮想アイテムが、他の仮想アイテムとの間で、より先に記録された仮想アイテムであるか否かを判別する。仮想アイテムの記録日時の判別は、上述したコンテンツ管理テーブル200に記録される登録日やブロックチェーンネットワーク40cにおける記録日時等を参照して判断するようにしてもよい。
【0082】
その結果、一の仮想アイテムが、他の仮想アイテムとの間で、より先に記録された仮想アイテムである場合には、評価値Bとなり、一の仮想アイテムが、他の仮想アイテムとの間で、より後に記録された仮想アイテムである場合には、評価値Cとなる。一の仮想アイテムが後から記録されるものであれば、必然的に評価値Cとなるが、本発明では、一の仮想アイテムがブロックに記録されている全ての仮想アイテムを類似度の判別対象とするものであるため、あえてこのステップS220の判断工程を入れている。
【0083】
このようにして得られた評価値A~Cのうち、最も評価値を高く設定するのが評価値Bである。つまり評価値Bは、同一、類似の仮想アイテムが数多く存在しているため、非常に注目度が高い仮想アイテムの形状や模様を構成しており、その中でもより先に記録されているため、他のユーザのニーズが高い仮想アイテムをいち早く考え出したことに対して、より高い評価値を設定するものである。
【0084】
評価値A~Cのうち、2番目に評価値を高く設定するのが評価値Aである。つまり評価値Aは、同一、類似の仮想アイテムが存在しておらず、非類似のものしか存在していないため、同様の形状、模様からなる唯一の仮想アイテムであるため、2番目に高い評価値を設定するものである。
【0085】
評価値A~Cのうち、評価値を最も低く設定するのが評価値Cである。つまり評価値Bは、同一、類似の仮想アイテムが数多く存在しているが、残念ながら先に考え出したユーザが既にこれと同一、類似の仮想アイテムを既に出品してしまっているため、他の仮想アイテムの模倣と考えられてもおかしくなく、より低い評価値を設定するものである。
【0086】
なお、評価値Aは、評価値Bよりもケースバイケースで高い評価値を設定するものであってもよい。
【0087】
上述した
図8の評価方法は一例であり、判別した類似度に基づくものであれば他のいかなる評価方法を用いるようにしてもよい。
【0088】
仮想アイテム出品管理装置1は、このようにしてデータベース6並びにブロックチェーンネットワーク40cの各ブロックに記録された仮想アイテムについて販売を促す処理を行うようにしてもよい。このとき仮想アイテム出品管理装置1は、評価値の高いグループの順に、販売を促す度合いを高く設定するようにしてもよい。上述した例では、評価値Bのグループに対して最も販売を促し、2番目に評価値Aのグループに対する販売促進度合を評価値Bのグループよりも低く設定し、最も販売促進度合を低くするのが評価値Cのグループになるようにしてもよい。
【0089】
このとき仮想アイテム出品管理装置1は、実際に評価値B、評価値Aのグループのみについて、販売を許可し、評価値Cのグループについては販売を許可しないように設定するようにしてもよい。
【0090】
この出品された仮想アイテムの売買は、ユーザ端末5により提供される仮想環境の中において行われるようにしてもよいし、当該仮想環境から逸脱した現実世界の中で行われてもよい。何れの場合においても、この仮想アイテムの売買は、公衆通信網40を介して行われるものであり、その場を提供するための独自のインターネットサイトで売買を行うようにしてもよい。
【0091】
このようにして提供される仮想アイテムの売買市場においては、実際に仮想アイテムの出品者並びにその時刻がブロックチェーンネットワーク40cにおけるブロックに記録されていることから、売買取引を行う出品者を特定することができる。
【0092】
また、本発明によれば、記憶手段24は、新たに出品される仮想アイテムを取得した場合に、これブロックチェーンネットワーク40c内に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録し、新たに仮想アイテムが出品される都度、各ブロック上において記録した内容の履歴を蓄積する。このため、仮想アイテムの随時更新において大量の仮想アイテムを受け付けた場合でも、以前に設定した各仮想アイテム等が上書き、消失されることがなくなる。さらに、ブロックチェーンネットワーク40c上の情報は、オープンで分散化されているため、ブロックチェーンネットワーク40cに参加する皆がデータにアクセスすることができ、充実した仮想アイテムの情報を用意することが可能となる。
【0093】
また、本発明によれば、記憶手段24は、ブロックチェーンネットワーク40c上に構築されるブロックチェーンで連結されるブロックに記録する。このため、大量のデータが分散型システムに蓄積される。これにより、従来の中央管理サーバと比較して、例えば、自然災害などの不測な事態が発生し被害を受けたとしても、データは保存され続ける。さらに、ハッキングのリスクも排除でき、データ改ざんへの耐性も高く保つことができる。
【0094】
これに加えて本発明は、出品された仮想アイテムについて、実際に販売を促進するものについて、予め他の仮想アイテムとの間で類似度を判別し、仮に類似度の高い仮想アイテムについては、最先に記録されたもののみ販売促進するように制御する。その結果、出品を許可する仮想アイテムが決して偽物ではなく、また他の創作者の単なる模倣ではないもののみに限定することが可能となる。偽物や単なる模倣からなる仮想アイテムを取引市場から排除するすることで、出品を許可する仮想アイテムが、真の創作者により創作された、唯一存在するものであることを検証する必要があり、いわば唯一性を確保することができ、また最先に創作されて出品されたものに絞ることが可能となる。その結果、仮想アイテムの健全な売買市場を形成することが可能となる。
【0095】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば
図9に示すように、出品された仮想アイテムを即座にブロックチェーンネットワーク40cに記録するのではなく、先ずは仮想アイテム間において類似度を判別し(ステップS130´)、その類似度の比較結果に基づいて、出品された仮想アイテムをデータベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに記録するか否か判断するようにしてもよい(ステップS120´)。
【0096】
ステップS130´の処理動作は、上述したステップS130と同様であるが、ここでいう類似度の評価対象としての一の仮想アイテムは、新たに出品されて、未だデータベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに記録されていない仮想アイテムである。当該仮想アイテムを既にデータベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに記録されている他の仮想アイテムとの間で類似度を比較する。
【0097】
ステップS120´の処理動作は、上述したステップS120と同様であるが、先のステップS130´において類似度が比較された結果、既にデータベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに記録されている他の仮想アイテムに対して非類似である旨を判別された一の仮想アイテムのみ、データベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに新たに記録する。他の仮想アイテムに対して同一、類似である旨を判別された一の仮想アイテムは、データベース6、ブロックチェーンネットワーク40cに記録することなく削除する。その結果、
図8に示すところの、類似度が閾値を超える評価値Aの評価を受けた仮想アイテムのみがブロックチェーンネットワーク40c等に記録されることとなり、類似度が閾値以下の仮想アイテムは、評価値Cの評価を受け、ブロックチェーンネットワーク40c等に記録されることはなくなる。
【0098】
かかる方法によっても同様に、いわば唯一性を確保することができ、また最先に創作されて出品されたものに絞ることが可能となる。その結果、仮想アイテムの健全な売買市場を形成することが可能となる。
【0099】
図10は、仮想アイテムの類似性を人工知能により判別させる例を示している。
図10の例では、入力データとして例えば登録仮想アイテム情報における画像情報(静止画像、動画像)、説明文情報と、仮想アイテムのタイトル情報であるものとする。このような入力データとしての、画像情報、タイトル情報、説明文情報が組み合わさったものが、
図10に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、類似度につながっている。
【0100】
画像情報、タイトル情報、説明文情報の各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、類似度に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。画像情報、タイトル情報、説明文情報とがこの連関度を介して左側に配列し、各類似度が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された画像情報、タイトル情報、説明文情報の組み合わせに対して、何れの類似度と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各画像情報、タイトル情報、説明文情報が、いかなる類似度に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、画像情報、タイトル情報、説明文情報から最も確からしい、最も適した、類似度を選択する上での的確性を示すものである。
図10の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0101】
【0102】
仮想アイテム出品管理装置1は、このような
図10に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり仮想アイテム出品管理装置1は、実際の探索解の判別を行う上で、画像情報、タイトル情報、説明文情報、並びにその場合において適した類似度がどの程度であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図10に示す連関度を作り上げておく。
【0103】
ノード61cは、画像情報がP12、タイトル情報P15、説明文情報P21の組み合わせであるが、類似度60%が連関度w17で、類似度45%が連関度w18で関連付けられている。
【0104】
また、この
図10に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0105】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから一の仮想アイテムについて類似度を求めようとする際において、上述した学習済みデータを利用して類似度の推定を行うこととなる。かかる場合には、実際にこれから類似度を求めようとする一の仮想アイテムから画像情報、タイトル情報、説明文情報を新たに取得する。
【0106】
このようにして新たに取得した画像情報、タイトル情報、説明文情報に基づいて、類似度を探索する。かかる場合には、予め取得した
図10(表1)に示す3段階以上の連関度を参照する。例えば、新たに取得した画像情報がP12、タイトル情報P15、説明文情報P21である場合、ノード61cが関連付けられており、このノード61cは、類似度60%が連関度w17で、類似度45%が連関度w18で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い60%を類似度の最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる類似度45%を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0107】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0108】
【0109】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0110】
このようにして人工知能を利用することにより、類似度の判別を高精度に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1 仮想アイテム出品管理装置
2 制御装置
3 ブロックチェーン部
4 ブロックチェーンネットワーク
5 ユーザ端末
5a ユーザ端末
5b ユーザ端末
5c ユーザ端末
6 データベース
7 出品受付管理部
10 筐体
14 記憶部
18 内部バス
19 出力部
20 制御アプリケーション
20 入力部
24 記憶手段
26 送受信手段
27 判定手段
31 ブロックチェーン制御手段
32 メタデータ生成手段
33 暗号化手段
34 電子署名手段
40 公衆通信網
40c ブロックチェーンネットワーク
41 頭部装着部
41a 右フレーム
41b 左フレーム
42 映像表示部
43 ヘッドホン
44 撮像部
58 電源スイッチ
59 動きセンサ
60 マイク
61 中間ノード
62 表示パネル
65 操作部
65a キー