(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】IL-25に対する中和モノクローナル抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20220913BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20220913BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220913BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220913BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220913BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220913BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220913BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220913BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220913BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220913BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220913BHJP
A61K 38/03 20060101ALI20220913BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220913BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220913BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
A61P31/16
A61P11/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P37/06
A61P17/06
A61P35/00
A61P9/10
A61P25/00
A61K38/03
A61K39/395 N
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2019500220
(86)(22)【出願日】2017-03-09
(86)【国際出願番号】 US2017021578
(87)【国際公開番号】W WO2017160587
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-02-14
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518332479
【氏名又は名称】アベオメ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】シムケッツ,リチャード,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,クリスタル,ライルズ
(72)【発明者】
【氏名】バートレット,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ヨンホワ
【審査官】加藤 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524450(JP,A)
【文献】特表2012-507543(JP,A)
【文献】Sarah J Ballantyne ,Blocking IL-25 prevents airway hyperresponsiveness in allergic asthma,J Allergy Clin Immunol.,2007年,120(6),1324-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12P
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載の
アミノ酸配列を含む3つのCD
Rを含む重鎖可変ドメイン、並びに配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の
アミノ酸配列を含む3つのCD
Rを含む軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子。
【請求項2】
前記重鎖可変ドメインは、配列番号15
に記載のアミノ酸配列を含む、請求項
1に記載の単離されたIL-25結合分子。
【請求項3】
前記軽鎖可変ドメインは、配列番号16
に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~
2のいずれか一項に記載の単離されたIL-25結合分子。
【請求項4】
重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号15
に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号16
に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたIL-25結合分子。
【請求項5】
重鎖可変ドメインが、配列番号15と少なくとも90%の配列同一性を有する
アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたIL-25結合分子。
【請求項6】
軽鎖可変ドメインが、配列番号16と少なくとも95%の配列同一性を有する
アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたIL-25結合分子。
【請求項7】
ライノウイルス感染、気道炎症、関節リウマチ、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患、同種移植片拒絶反応、乾癬、癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症並びに多発性硬化症を治療するための、請求項1~
6のいずれか一項に記載のIL-25結合分子のいずれかを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.IL-17Eとしてもまた既知のインターロイキン-25(IL-25)は、IL-17サイトカインファミリーに属し、タイプ2ヘルパーT細胞(Th2)及びマスト細胞によって分泌されるサイトカインである。IL-25は、IL-4、IL-5及びIL-13を含む他のサイトカインの産生を複数の組織において誘発し、好酸球の増多を促進する。
【0002】
2.IL-25は、消化管に関連付けられる慢性炎症に関与し、IL-25遺伝子は、炎症性腸疾患(IBD)などの腸管の自己免疫疾患に関連付けられる染色体領域において同定されている。IBDの治療のための従来療法は、抗生物質又はステロイド由来薬物のいずれか一方を伴うが、これらは、患者における臨床的寛解の誘発又は維持に現時点で成功していない。
【0003】
3.IL-25はまた、世界中で3億人を超える人々を侵していると推定される症状である喘息を有する患者由来の試料において、亢進されていることが示されており、このサイトカインの過剰発現が喘息及び関連症状の病理の一因であることが示唆されている。
【0004】
4.したがって、喘息及び炎症性腸疾患を含むIL-25過剰発現を特徴とする疾患及び症状の治療に有用な、IL-25の有効なアンタゴニストに対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0005】
5.本明細書において、一態様では、IL-25介在性疾患及び障害の治療に使用するために好適な、IL-25を対象とする結合分子が開示されている。
【0006】
6.一態様では、本明細書において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載のような1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が開示されている、
【0007】
7.重鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子もまた開示され、その重鎖可変ドメインは、配列番号13及び配列番号15を含む
【0008】
8.一態様では、本明細書において、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載のような1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインが開示されている。
【0009】
9.本明細書において、軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子もまた開示され、その軽鎖可変ドメインは、配列番号14、配列番号16を含む。
【0010】
10.一態様では、開示されたIL-25結合分子は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの両方又は任意の上記態様の相補性決定領域(CDR)を含むことができる。
【0011】
11.その結果、本明細書において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択される重鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群から選択される軽鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、を含む、IL-25結合分子が開示されている。
【0012】
12.本明細書において、重鎖可変ドメインが配列番号13又は配列番号15を含む重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインが配列番号14又は配列番号16を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、IL-25結合分子もまた開示されている。
【0013】
13.本明細書において、重鎖可変ドメインが配列番号17を含む重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインが配列番号18を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、ヒト化IL-25結合分子が更に開示されている。
【0014】
14.一態様では、本明細書において、任意の上記態様のIL-25結合分子のうちの任意の治療量を投与することを含む、ライノウイルス感染気道炎症、関節リウマチ、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症並びに多発性硬化症を治療、抑制又は予防する方法が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
15.本明細書に組み込まれ、また本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を例証し、以下の説明と共に、開示された組成物及び方法を例証する。
16.
【
図1】IL-25により免疫化されたマウスから摘出されたB細胞の概要及びIL-25に結合するB細胞の蛍光ソートプロットを示す図である。 17.
【
図2】抗体の変性ゲル電気泳動を示す図であり、レーン1:ヒトIgG4陽性対照、レーン2:カレイドスコープ前染色標準タンパク質マーカー、レーン3:ABM109、レーン4:ABM125、レーン5:ABM109.2である。 18.
【
図3】IL-25に対するモノクローナル抗体のHT-29細胞力価アッセイを示す図である。 19.
【
図4】IgG1、IgG2及びIgG4アイソタイプにおけるヒト化モノクローナル抗体ABM109.2のHT-29細胞力価アッセイを示す図である。 20.
【
図5】抗IL25モノクローナル抗体の表面プラズモン共鳴(SPR)及び抗体の計算された親和性を示す図である。 21.
【
図6】マウスでのアレルギー性喘息のライノウイルス感染のモデルにおける全肺浸潤細胞、好酸球及びマクロファージに対するABM125又は対照抗体(IgG)投与の効果を示す図である。 22.
【
図7】対照抗体(IgG)又はABM125で処置されたマウスの肺における、検出可能なライノウイルスRNAの量を示す図である。 23.
【
図8】対照抗体(IgG)又はABM125で処置されたマウスの肺における、検出可能なIL-5 RNAの量を示す図である。 24.
【
図9】ABM125.10及びABM125.9と称するABM125のヒト化(CDRグラフト化)バージョンの力価及び結合親和性を、全マウス可変領域を有するキメラABM125と比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
25.本発明の化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法を開示及び説明する前に、特に指定されない限り、これらが特定の合成法又は特定の組換えバイオテクノロジー方法に限定されないこと、又は、特に指定されない限り、特定の試薬に限定されず、当然ながらそれ自体が変化してもよいことを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するための目的のものにすぎず、限定することを意図しないことも理解するべきである。
【0017】
A.定義
26.本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「薬学的担体」への言及は、2つ以上のこのような担体の混合物などを含む。
【0018】
27.範囲は、「約」1つの特定の値から、かつ/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。このような範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表されるとき、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。範囲の各々の端点は、他の端点に関しても、他の端点とは独立しても、この両方において、有意であると更に理解されるであろう。本明細書でいくつかの値数が開示され、各値がその値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書でもまた開示されることもまた理解されたい。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」もまた開示されている。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示される場合、その値「以下」、「その値以上」及び値間の可能な範囲もまた開示されていることもまた理解されたい。例えば、値「10」が開示されている場合、「10以下」と同様に「10以上」もまた開示されている。本願全体にわたってデータが多数の異なるフォーマットで提供され、このデータが、端点及び開始点並びにデータ点の任意の組み合わせに対する範囲を表すこともまた理解されたい。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント15が開示されている場合、10と15との間と同様に、10及び15よりも大きい、10及び15以上、10及び15未満、10及び15以下、並びに10及び15に等しいデータポイントが開示されていると見なされることを理解されたい。特定の2つの単位間のそれぞれの単位もまた開示されていることもまた理解されたい。例えば、10及び15が開示されている場合、11、12、13及び14もまた開示されている。
【0019】
28.本明細書及び以下の「特許請求の範囲」において、多数の用語に言及し、それらは以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0020】
29.「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、引き続いて記載された事象又は状況が起こってもよくあるいは起こらなくてもよいこと、及び説明が、当該事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。
【0021】
30.本明細書全体において、様々な出版物が参照される。これらの出版物の開示全体が、開示内容が関連する技術分野の状態をより十分に説明するためにここに参照により本出願に組み込まれる。開示される参照文献も、その参照文献が依拠される文において考察されるそれらに含まれる資料について、参照により本明細書に個々に、かつ具体的に組み込まれる。
【0022】
B.組成物
31.開示された組成物を調製するために使用される組成物と同様に、本明細書で開示される方法の範囲内で使用される組成物それ自体が開示される。これら及び他の物質が本明細書で開示されており、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物のそれぞれの様々な個々及び集合的な組み合わせ及び順列の具体的な言及は、明示的に開示されていない場合があるが、それぞれが具体的に企図され、本明細書に記載されることを理解されたい。例えば、特定の抗IL-25抗体が開示かつ論じられ、また抗IL-25抗体を含む多数の分子に対して行うことができる多数の修飾が論じられている場合、それとは反対の具体的な指示がない限り、抗IL-25抗体と可能な修飾とのあらゆる組み合わせ及び置換が具体的に企図される。したがって、分子A、B及びCの種類が開示されており、同様に分子D、E及びFの種類及び分子A~Dの組み合わせの例が開示されている場合、それぞれが個々に列挙されていない場合であっても、それぞれが個々にかつ集合的に企図され、組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E及びC-Fが開示されると見なされる。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせもまた開示される。したがって、例えば、A-E、B-F及びC-Eのサブグループが開示されていると見なされるであろう。この概念は、本出願のすべての態様に適用され、開示された組成物の作製及び使用方法における工程を含むが、これに限定されない。このように、実施することができる多様な更なる工程が存在する場合、これらの更なる工程のそれぞれは、任意の特定の実施形態又は開示された方法の実施形態の組み合わせにより実施することができることを理解されたい。
【0023】
32.上述のように、IL-25の増加したレベルは、気道炎症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、嚢胞性線維症、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を含むいくつかの状態、疾病又は疾患に関連付けられている。
【0024】
33.サイトカインのIL-17ファミリーは、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E(IL-25)及びIL-17Fを現時点で含む。すべてのIL-17ファミリーメンバーは、鎖内ジスルフィド結合の形成に関与し、鎖間ジスルフィド結合に関与してもよい2つ以上のシステイン残基を有する、4つの高度に保存されたシステイン残基を有する。IL-17ファミリーのメンバーは、任意の他の既知のサイトカインに対して配列類似性を有さない。
【0025】
34.タイプ2サイトカインの寄生蠕虫感染に対して防御免疫を仲介することと、B細胞増殖及びIgE分泌などのエフェクター機能を調節することと、杯細胞過形成並びに関連した粘液産生、肥満細胞症及び線維症を誘導することと、において重要な役割を果たす。これは、サイトカインを喘息における主要な治療標的にしたこれらのエフェクター機能の調節において、これらのサイトカインによって果たされる中心的役割である。実際に、これらのサイトカインが過発現されるマウスモデルは、喘息の顕著な特性を示す。意外にも、特定のタイプ2サイトカインを遮断することによって実験的喘息を改善するための試みは、IL-13を阻害することを除いて、不成功であることが判明した。
【0026】
35.IL-13の阻害は、AHR及び気道炎症の両方を抑制するが、そのメカニズムは不明のままである。しかしながら、喘息の複雑な病態生理学及びほとんど解明されていない病因論を前提とすると、個々の経路を標的化することが治療的に成功を収めると最終的に証明することとなるかどうかは不明である。
【0027】
36.近年、IL-25/IL-17Eの過発現は、インビボでタイプ2応答を誘発し、気道アゴニストに対する応答性を増大させていることが示されている。IL-25-/-マウスは、蠕虫性寄生虫の駆除に失敗し、これは無効なタイプ2応答の重要な指標である。
【0028】
37.本発明者らは、IL-25に対する抗体を作製し、IL-25に対する超高親和性及び特異性を有して結合する抗体分子を同定した。スクリーニングされた23種のうちの2種の遮断抗体は、極めて遅い解離速度を有する抗体と同定された。
【0029】
結合分子
38.本明細書で使用するとき、用語「結合分子」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体を含む無傷免疫グロブリンを指し、同様に、免疫グロブリンの結合相手、例えば、IL-25に特異的に結合するための無傷免疫グロブリンと拮抗する免疫グロブリンのフラグメントを含む抗原結合ドメイン及び/又は可変ドメインを含む抗体フラグメント及び機能性変異体を指す。
【0030】
39.一態様では、開示されたIL-25結合分子は、抗IL-25抗体(例えば、抗IL-25抗体)を含むことができる。用語「抗体」は、広義で本明細書で使用され、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を含む。本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、任意の種類の免疫グロブリン全体(すなわち、無傷抗体)を包含し、これらに限定されない。無傷免疫グロブリン分子に加えて、用語「抗体」にはまた、これらの免疫グロブリン分子のフラグメント又はポリマー、及びヒト型若しくはヒト化型の免疫グロブリン分子又はこれらのフラグメントが含まれるが、これらがIL-25と相互作用する能力について選択され、IL-25がIL-17RA及び/又はIL-17RBと相互作用しないように阻害される場合に限る。IL-25とIL-17RA及び/又はIL-17RBとの間の相互作用に関与するIL-25の開示された領域に結合する抗体もまた開示される。
【0031】
40.天然抗体は、通常、同一の2つの軽(L)鎖及び同一の2つの重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。開示されたIL-25結合分子は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体、並びに抗体フラグメント及び機能性変異体であるかにかかわらず、軽鎖及び重鎖のすべて又は一部を含むことができる。
【0032】
41.完全抗体では、一般的に、それぞれの軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。それぞれの重鎖及び軽鎖はまた、規則的に間隔をあけた鎖内ジスルフィド架橋を有する。それぞれの重鎖は、一端に可変ドメイン(V(H))に続いて多数の定常(C(H))のドメインを有する。それぞれの軽鎖は、一端に可変ドメイン(V(L))を、他方の端に定常(C(L))ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列化され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列化される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられる。任意の脊椎動物由来の抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(k)及びラムダ(l)と呼ばれる、明確に異なる2つの種類のうちの1つに割り当てることができる。これらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンには5つの主要なクラスIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG-1、IgG-2、IgG-3及びIgG-4、IgA-1及びIgA-2に更に分類してもよい。当業者は、マウスに対して同等なクラスを理解すると考えられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと呼ばれる。
【0033】
42.用語「可変」は、抗体間で配列が異なる重鎖及び軽鎖のある特定のドメインを記載するために本明細書で用いられ、特定の抗原に対するそれぞれの特定の抗体の結合及び特異性において使用される。しかし、この可変性は、抗体の可変ドメインを通して通常均一に分布していない。これらの可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然型の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、主にβシート立体配置をとる4つのFR領域をそれぞれ含み、3つの相補性決定領域(CDR)によって接続され、その相補性決定領域は、βシート構造と接続する、いくつかの場合にはβシート構造の一部を形成するループを形成する。可変性は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方においてCDR又は超可変領域に一般的に集中している。
【0034】
43.それぞれの鎖内のCDRは、FR領域によって近接して一緒に結び付けられ、他方の鎖由来のCDRにより、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat E.A.et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest,」National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)を参照されたい)。用語「相補性決定領域」は、本明細書で使用するとき、抗原上で認識されるエピトープに対して形状及び電荷分布において相補的である抗原結合部位を生成する、免疫グロブリンなどの結合分子の可変領域内の配列を意味する。CDR領域は、タンパク質上にその天然型立体配座で存在するか、又は、例えば、SDSでの可溶化によって変性されてタンパク質上に存在するかのいずれかの場合に、タンパク質又はタンパク質フラグメントの直鎖エピトープ、不連続エピトープ若しくは立体配座エピトープに対して特異的であり得る。エピトープはまた、タンパク質の翻訳後修飾からなる場合もある。
【0035】
44.1つ以上のCDR残基の置換又は1つ以上のCDRの削除もまた可能である。1つ又は2つのCDRを結合のために削除することができる抗体が、科学文献に記載されている。Padlan et al.(1995 FASEB J.9:133~139)は、公開された結晶構造に基づいて、抗体とこれらの抗原との間の接触領域を分析し、CDR残基のうちの約5分の1~3分の1のみが実際に抗原に接触していると結論付けた。Padlanはまた、1つ又は2つのCDRが抗原と接触しているアミノ酸を有さない多数の抗体を発見した(Vajdos et al.,2002 J Mol Biol 320:415~428もまた参照されたい)。
【0036】
45.抗原と接触しないCDR残基は、分子モデリングによってかつ/又は経験的に、Chothia CDRの外側にあるKabat CDRの領域から、過去の研究(例えば、CDRH2中の残基H60~H65が多くの場合不要である)に基づいて同定することができる。CDR又はその残基(複数可)が削除されている場合、通常、別のヒト抗体配列又はそのような配列のコンセンサスにおける対応する位置を占めるアミノ酸により置換されている。CDR内の置換用の位置及び置換するためのアミノ酸はまた、経験的に選択することもできる。
【0037】
46.定常ドメインは、抗体を抗原に結合する際に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
【0038】
47.一態様では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9に記載の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示される。例えば、配列番号1及び配列番号2、配列番号1及び配列番号3、配列番号2及び配列番号3、配列番号1、配列番号2及び配列番号3、配列番号7及び配列番号8、配列番号7及び配列番号9、配列番号8及び配列番号9、並びに配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載のCDRを含む重鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子が本明細書で開示される。重鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子もまた開示され、その重鎖可変ドメインは、配列番号13又は配列番号15を含む。
【0039】
48.開示されたIL-25結合分子内の重鎖可変ドメインの開示された相補性決定領域は、連続することができるか又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40個のアミノ酸によって隔てることができることが理解され、本明細書で企図される。したがって、少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示され、第1のCDRは、第2のCDRから10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。例えば、少なくとも2つのCDRを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示され、第1のCDRは、配列番号1又は配列番号7を含み、第2のCDRは、配列番号2又は配列番号8を含み、第1のCDR及び第2のCDRは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。3つCDRを含むIL-25結合分子もまた本明細書で開示され、第1のCDRは、配列番号1又は配列番号7を含み、第2のCDRは、配列番号2又は配列番号8を含み、第3のCDRは、配列番号3又は配列番号9を含み、第2のCDR及び第3のCDRは、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0040】
49.IL-25結合分子が重鎖可変ドメインの代わりに又はこれに加えて軽鎖可変ドメインを含むことができることが理解され、本明細書で企図される。したがって、一態様では、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び/又は配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示されている。例えば、配列番号4及び配列番号5、配列番号4及び配列番号6、配列番号5及び配列番号6、配列番号4、配列番号5及び配列番号6、配列番号10及び配列番号11、配列番号10及び配列番号12、配列番号11及び配列番号12、並びに配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示される。軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子もまた本明細書で開示され、その軽鎖可変ドメインは、配列番号14又は配列番号16を含む。
【0041】
50.開示されたIL-25結合分子内の軽鎖可変ドメインの開示された相補性決定領域が、連続することができるか、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40個のアミノ酸によって隔てることができることが理解され、本明細書で企図される。したがって、軽鎖可変ドメインを含む軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示され、その軽鎖可変ドメインは、少なくとも2つのCDRを含み、第1のCDRは、第2のCDRから10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。例えば、少なくとも2つのCDRを含むIL-25結合分子が、本明細書で開示され、第1のCDRは、配列番号4、配列番号10、配列番号16又は配列番号22を含み、第2のCDRは、配列番号5、配列番号11、配列番号17又は配列番号23を含み、第1のCDR及び第2のCDRは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子もまた本明細書で開示され、その軽鎖可変ドメインは、3つのCDRを含み、第1のCDRは、配列番号4又は配列番号10を含み、第2のCDRは、配列番号5又は配列番号11を含み、第3のCDRは、配列番号6又は配列番号12を含み、第2のCDR及び第3のCDRは、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0042】
51.一態様では、開示されたIL-25結合分子は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの両方を含むことができることが理解され、本明細書で企図される。当該IL-25結合分子は、重鎖可変ドメインCDRの任意の1つ、2つ又は3つを本明細書で開示された軽鎖可変ドメインCDRの任意の1つ、2つ又は3つと組み合わせて含むことができることを更に理解されたい。その結果、IL-25結合分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9からなる群から選択される重鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び/又は配列番号12からなる群から選択される軽鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、を含むことができる。例えば、重鎖可変ドメインが配列番号13又は配列番号15を含む重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインが配列番号14又は配列番号16を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、IL-25結合分子が、本明細書で開示される。
【0043】
52.その結果、一実施形態では、IL-25結合分子は、配列に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗原結合部位を含み、当該CDR1は、アミノ酸配列の配列番号1(SYWIE)を有し、当該CDR2は、アミノ酸配列の配列番号2(QILPGIGSTNYNEKFKG)を有し、当該CDR3は、アミノ酸配列の配列番号3(GYGNYGDY)を有するか、又はそれらの直接CDR当量体である、ABM109と表記される。一態様では、IL-25結合分子(例えば、ABM109など)はまた、配列に超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含むこともでき、当該CDR1’は、アミノ酸配列の配列番号4(RASESVDSYGNSFM)を有し、当該CDR2’は、アミノ酸配列の配列番号5(RASNLES)を有し、当該CDR3’は、アミノ酸配列の配列番号6(QQSNEDPLT)を有するか、又はこれらの直接CDR’当量体である。
【0044】
53.一態様では、ABM125と表記されるIL-25結合分子もまた開示され、そのIL-25結合分子は、配列に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗原結合部位を含み、当該CDR1は、アミノ酸配列の配列番号7(TSGMGVG)を有し、当該CDR2は、アミノ酸配列の配列番号8(HIWWDDVKRYUNPALKS)を有し、当該CDR3は、アミノ酸配列の配列番号9(TLPHFFDY)を有するか、又はこれらの直接CDR当量体である。一態様では、IL-25結合分子(例えば、ABM125など)はまた、配列に超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含むこともでき、当該CDR1’は、アミノ酸配列の配列番号10(SASSSVSYMY)を有し、当該CDR2’は、アミノ酸配列の配列番号11(RTSNLAS)を有し、当該CDR3’は、アミノ酸配列の配列番号12(KQYHSYPPTWT)を有するか、又はこれらの直接CDR’当量体である。
【0045】
54.上述のように、開示されたIL-25結合分子はまた、抗体のフラグメントでもあり得る。本明細書で用いるとき、用語「抗体又は抗体のフラグメント」は、二重又は多重の抗原特異性又はエピトープ特異性を有するキメラ抗体及びハイブリッド抗体、並びに、ハイブリッドフラグメントを含む、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、dAb、相補性決定領域(CDR)フラグメント、単鎖抗体(scFv)、二価単鎖抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、(ポリ)ペプチドに結合する特定の抗原をもたらすために十分な免疫グロブリンのフラグメントを少なくとも含む(ポリ)ペプチドなどのフラグメントを包含する。したがって、抗体の特定の抗原に結合する能力を保持する抗体のフラグメントが提供される。例えば、IL-25結合活性を維持する抗体のフラグメントは、用語「抗体又はそのフラグメント」の意味の中に含まれる。このような抗体及びフラグメントは、技術分野で既知の技術によって製造することができ、「実施例」に記載した方法に従って、かつ、全般的には、抗体を生成し、特異性及び活性について抗体をスクリーニングする方法に従って、特異性及び活性についてスクリーニングすることができる(Harlow and Lane.Antibodies,A Laboratory Manual.Cold Sprins Harbor Publications,New York,(1988)を参照されたい)。
【0046】
55.抗体フラグメントと抗原結合タンパク質(単鎖抗体)との結合体もまた「抗体又は抗体のフラグメント」の意味の中に含まれる。結合抗体又はフラグメントは、例えば、その内容が本明細書において参照により援用される米国特許第4,704,692号に記載されたような、とりわけ、毒性物質、放射性物質、蛍光物質、リポソーム又は酵素などのエフェクター部位又はタグに、作動的に連結されるか、又は物理的若しくは機能的に関連付けられた抗体又はフラグメントを指す。
【0047】
56.構造にかかわらず、本明細書で開示された抗原結合フラグメントは、無傷免疫グロブリンによって認識される同一の抗原と結合することができる。抗原結合フラグメントは、結合分子のアミノ酸配列の少なくとも2個連続するアミノ酸残基、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも30個の連続するアミノ酸残基、少なくとも35個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基又は少なくとも250個の連続するアミノ酸残基を含むペプチド又はポリペプチドを含むことができる。
【0048】
57.フラグメントはまた、他の配列に付随しているかどうかにかかわらず、抗体又は抗体フラグメントの活性が非修飾の抗体又は抗体フラグメントと比較して、顕著に変化していないか又は弱められていない限り、特定の領域又は特定のアミノ酸残基の挿入、欠失、置換又は他の選択された修飾もまた含むことができる。これらの修飾は、ジスルフィド結合が可能なアミノ酸を除去/付加するため、その生体寿命(bio-longevity)を増大させるため、その分泌特性を変化させるためなどの、いくつかの付加的性質をもたらすことができる。いかなる場合でも、抗体又は抗体フラグメントは、その同種抗原に対する特異的結合などの生物活性特性を保有する必要がある。抗体又は抗体フラグメントの機能性領域又は活性領域は、タンパク質の特定の領域の変異誘発、それに続く発現及び発現されたポリペプチドの試験により特定することができる。このような方法は、当業者に対して容易に明らかであり、抗体又は抗体フラグメントをコードする核酸の部位特異的変異誘発を含むことができる。(Zoller M.J.Curr.Opin.Biotechnol.3:348~354,1992)。
【0049】
58.用語「機能性変異体」は、本明細書で使用するとき、親結合分子のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列と比較して1つ以上のヌクレオチド及び/又はアミノ酸が変化したヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を含み、親結合分子との結合相手、例えば、IL-25(IL-25を含む)に対して結合に関して依然として拮抗することができる、結合分子を指す。換言すれば、親結合分子のアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列におけるこの修飾は、ヌクレオチド配列によりコードされるか又はそのアミノ酸配列を含む結合分子の結合特性に顕著に影響しないか又は変化させない、すなわち、結合分子は、その標的を依然として認識し、結合することができる。機能性変異体は、ヌクレオチド及びアミノ酸の置換、付加及び欠失を含む保守的配列修飾を有してもよい。これらの修飾は、部位特定変異誘発及びランダムPCR介在性変異誘発などの当該技術分野において既知の標準的な技術によって導入することができ、天然型及び非天然型のヌクレオチド及びアミノ酸を含んでもよい。
【0050】
59.本明細書で開示したように、結合分子、抗体、フラグメント及び変異体は、例えば、IL-25などの抗原性標的に特異的に結合することが可能である。用語「特異的に結合する」は、本明細書で使用するとき、結合分子、例えば、抗体とその結合相手、例えば、抗原との相互作用に関連して、相互作用が、結合相手上に特定の構造、例えば、抗原決定基又はエピトープの存在に依存することを意味する。換言すれば、抗体は、結合相手が他の分子の混合物中に存在する場合であっても、結合相手と優先的に結合するか又は結合相手を認識する。結合は、共有的若しくは非共有的相互作用又は両者の組み合わせが介在していてもよい。更に換言すれば、用語「特異的に結合する」は、ある抗原又はそのフラグメントと免疫特異的に結合することを意味し、他の抗原と免疫特異的に結合しないことを意味する。抗原に免疫特異的に結合する結合分子は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、BIAcore又は当該技術分野において既知の他のアッセイによって決定されたような、より低い親和性を有する他のペプチド又はポリペプチドに結合してもよい。抗原に免疫特異的に結合する結合分子又はそのフラグメントは、関連抗原と交差反応性であってもよい。好ましくは、抗原に免疫特異的に結合する結合分子又はそのフラグメントは、他の抗原と交差反応しない。
【0051】
60.一態様では、開示された抗体又は本明細書で開示された結合分子は、ヒト抗体又はヒト結合分子であり得る。用語「ヒト」は、本明細書で定義されたような結合分子に適用するとき、ヒトから直接誘導されるか又はヒト配列に基づいているかのいずれか一方である分子を指す。結合分子がヒト配列に由来するか又はヒト配列に基づき、その後修飾されるとき、結合分子は、本明細書を通して使用されるとき、依然としてヒト性であると見なされることとなる。換言すれば、用語ヒト性は、結合分子に適用するとき、可変領域又は定常領域がヒト若しくはヒトリンパ球において又は修飾された形態で生じるか否かに基づいて、ヒト生殖線免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する結合分子を含むことを意図する。したがって、ヒト結合分子は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含んでもよく、置換及び/又は欠失(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発によって、又はインビボでの体細胞変異によって導入された、例えば、突然変異体)を含んでもよい。「に基づく」は、本明細書で使用するとき、核酸配列がテンプレートから正確に、若しくはエラーを起こしやすいPCR法などによるわずかな変異を伴ってコピーされてもよいか、又は合成的にテンプレートに正確に一致させるか若しくはわずかな修飾を伴ってもよいという状況を指す。ヒト配列に基づく半合成分子もまた、本明細書で使用されるとき、ヒト性であると見なされる。
【0052】
61.任意選択的に、抗体は、他の種において生成され、かつヒトに投与するために「ヒト化」される。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はこれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合配列など)である。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、そのヒト免疫グロブリンでは、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基は、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種のCDR由来の残基(ドナー抗体)によって置換されている。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、インポートされたCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。全般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むこととなり、その可変ドメインでは、CDR領域のすべて又は実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域のすべて又は実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域に対応する。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、一般的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を任意選択的に含むこととなる(Jones et al.,Nature,321:522~525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323~327(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596(1992))。
【0053】
62.非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト源からヒト化抗体に導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「インポート」可変ドメインから一般的に取り込まれる「インポート」残基と称する。ヒト化は、Winterと共同研究者の方法(Jones et al.,Nature,321:522~525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323~327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534~1536(1988))に従って、げっ歯類のCDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、本質的に行うことができる。その結果、このような「ヒト化」された抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、無傷ヒト可変ドメインよりも実質的に少ない部分が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、一般的には、いくつかのCDR残基及び場合によりいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0054】
63.ヒト化抗体の作製に使用される、ヒト可変ドメインを、軽鎖及び重鎖の両方選択することは、抗原性を低減するために極めて重要である。「最良適合」法に従って、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングされる。次いで、げっ歯類の配列に最も近いヒト配列は、ヒト化抗体用のヒトフレームワーク(FR)として受容される(Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993)及びChothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同一のフレームワークは、いくつかの異なるヒト化抗体用に用いてもよい(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993))。
【0055】
64.いくつかの態様では、抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の良好な生物学的特性を保持したままヒト化されることが重要であり得る。この目的を達成するために、好ましい方法に従って、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを用いる、親配列及び様々な概念的ヒト化製品の分析の過程によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の三次元立体配座構造を図示かつ表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基の可能性のある役割の解析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を及ぼす残基の解析を可能にする。このようにして、FR残基は、コンセンサス配列及びインポート配列から選択かつ結合することができるため、標的抗原(複数可)に対する親和性が増大するなど所望の抗体特性が達成される。全般的には、CDR残基は、抗原結合に影響を与えることにおいて直接かつ最も大きく関与する(1994年3月3日に公開された国際公開第94/04679号を参照されたい)。
【0056】
65.具体的な一態様では、ABM109.2と表示されるABM109のヒト化バージョンは、ABM109の重鎖CDR及び軽鎖CDRを含み、ヒト、マウス及び類人猿のIL-25の特異的結合及び中和を保持する。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号17及び配列番号18に列挙されている。
【0057】
66.モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞が開示される。用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用するとき、実質的に均一な集団の抗体から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、わずかに存在する場合がある天然に生じ得る変異を除いて同一である。本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、「キメラ」抗体を含み、そのキメラ抗体では、抗体が所望の活性を発揮する限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部分は、特定の種に由来する抗体の対応する配列と同一若しくは相同であるか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属するが、鎖(複数可)の残部は、他の種に由来する抗体の対応する配列と同一若しくは相同であるか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラス並びにこのような抗体のフラグメントに属する(米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851~6855(1984)を参照されたい)。
【0058】
67.モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)又はHarlow and Lane.Antibodies,A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)などに記載されたハイブリドーマ法を用いて調製してもよい。ハイブリドーマ法では、マウス又は他の適切な宿主動物は、免疫剤に特異的に結合することとなる抗体を産生するか又は産生する能力があるリンパ球を誘発する免疫剤により、一般的には免疫化される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化されてもよい。好ましくは、免疫剤は、IL-25を含む。従来、モノクローナル抗体の生成は、免疫原として使用するために精製されたタンパク質又はペプチドの利用可能性に依存していた。ごく最近、DNAに基づく免疫化は、強い免疫応答を誘発し、かつモノクローナル抗体を生成する方法としての可能性を示していた。このアプローチでは、DNAに基づく免疫化を用いることができ、ヒトIgG1との融合タンパク質として発現されるIL-25の一部をコードするDNAは、当該技術分野で公知の方法(例えば、抗体産生の方法に関して全体が参照により本明細書に援用されているKilpatrick KE,et al.Gene gun delivered DNA-based immunizations mediate rapid production of murine monoclonal antibodies to the Flt-3 receptor.Hybridoma.1998 Dec.;17(6);569~76;Kilpatrick KE,et al.High-affinity monoclonal antibodies to PED/PEA-15 generated using 5μg of DNA.Hybridoma.2000 Aug;19(4):297~302)に従って、かつ実施例に記載されているように、宿主動物に注入される。
【0059】
68.精製されたタンパク質又はDNAのうちのいずれか一方と免疫化する代替アプローチは、バキュロウイルスで発現される抗原を使用することである。このシステムの利点には、発生が容易であること、高レベルな発現及び哺乳動物系に見られるものと類似性の高い翻訳後修飾が挙げられる。この系の使用は、融合タンパク質としての抗IL-25抗体のドメインの発現に関与する。抗原は、抗IL-25抗体ヌクレオチド配列のシグナル配列と成熟タンパク質ドメインとの間に遺伝子フラグメントをインフレームで挿入することによって作製される。これにより、ビリオンの表面に外来タンパク質が表示される。この方法は、標的抗原の精製を不要として、ウイルス全体の免疫化を可能にする。
【0060】
69.一般的に、ヒト起源の細胞を所望される場合、末梢血リンパ球(「PBL」)がモノクローナル抗体を作製する方法において使用されるか、又は非ヒト哺乳類源が所望される場合、脾臓細胞若しくはリンパ節細胞が使用されるかのいずれか一方である。次いで、リンパ球は、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を用いて不死化細胞株と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice」Academic Press,(1986)pp.59~103)。不死化細胞株は、通常、げっ歯類、ウシ、ウマ、ヒト起源の骨髄腫細胞を含む形質転換された哺乳動物細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞株を用いる。ハイブリドーマ細胞は、未融合の不死化細胞の増殖又は生存を阻害する1種以上の物質を好ましくは含む、好適な培地で使用されてもよい。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠損している場合、ハイブリドーマ用の培地は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを一般的に含む(「HAT培地」)。好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を補助し、HAT培地などの培地に対して感受性である不死化細胞株である。より好ましい不死化細胞株は、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.及びAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.から入手することができるマウス骨髄腫株である。ヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生用に記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,「Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications」Marcel Dekker,Inc.,New York(1987)pp.51~63)。次いで、ハイブリドーマ細胞が培養された培地は、IL~25に対するモノクローナル抗体の存在について測定することができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、又はラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定される。このような技術及びアッセイは、従来技術において既知であり、以下の「実施例」又はHarlow and Lane Antibodies,A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)に更に記載されている。
【0061】
70.所望のハイブリドーマ細胞が識別された後、クローンは、限界希釈法又はFACS分別手順によってサブクローン化され、標準法によって増殖されてもよい。この目的のための好適な培地には、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地及びRPMI-1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物において腹水としてインビボで増殖させてもよい。
【0062】
71.サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、タンパク質A-セファロース、タンパク質G、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティクロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地又は腹水液から単離又は精製されてもよい。
【0063】
72.用語「単離された」は、本明細書で定義されるように結合分子に適用するとき、他のタンパク質又はポリペプチドを実質的に含まない、特に、異なる抗原特異性を有する他の結合分子を含まず、また、他の細胞若しくは組織材料及び/又は化学前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まない結合分子を指す。例えば、結合分子を組換え的に作製するとき、結合分子は、好ましくは培地を実質的に含まず、結合分子を化学合成によって作製するとき、結合分子は、好ましくは化学前駆体又は化学薬品を実質的に含まない、すなわち、結合分子は、タンパク質の合成に関与する化学前駆体又は他の化学薬品から分離されている。好ましくは、実質的に含まないは、結合分子が試料の約50%、60%、70%、80%又は90%W/W、より通常では約95%を一般的に含むこととなること、好ましくは99%純度を超えることとなること、を意味する。
【0064】
73.モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されたものなどの組換えDNA法によって作製されてもよい。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離され、配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい源として役立つ。単離されると、DNAは、発現ベクター内に配置されてもよく、次いで、その発現ベクターは、トランスフェクションしない場合には免疫グロブリンタンパク質を産生しない、類人猿COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、形質細胞腫細胞又は骨髄腫細胞などの宿主細胞内にトランスフェクションされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成をもたらしてもよい。DNAはまた、例えば、コード配列を相同マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインに置換することによって(米国特許第4,816,567号)、又は免疫グロブリンコード配列を非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべて若しくは一部と共有的に接合することによって修飾してもよい。任意選択的に、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換されるか又は抗体の一方の抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、(IL-25を含む)IL-25に対する特異性を有する一方の抗原結合部位及び異なる抗原に対する特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を生成する。
【0065】
74.インビトロ法はまた、一価抗体を調製するために好適である。抗体を消化してそのフラグメント、特に、Fabフラグメントを作製することは、当該技術分野で既知の所定の技術を使用して達成することができる。例えば、消化は、パパインを用いて行うことができる。パパイン消化の例は、1994年12月22日に公開された国際公開第94/29384号、米国特許第4,342,566号及びHarlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)に記載されている。抗体のパパイン消化は、それぞれ単一の抗原結合部位を有する、Fabフラグメントと呼ばれる同一の2つの抗原結合フラグメント及び残存Fcフラグメントを一般的に産生する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原と交差することができる、F(ab’)2フラグメントと呼ばれるフラグメントをもたらす。
【0066】
75.抗体消化において産生されるFabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメインを含む。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む重鎖ドメインのカルボキシ末端にいくつかの残基を付加することにより、Fabフラグメントとは異なる。F(ab’)2フラグメントは、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab’フラグメントを含む二価フラグメントである。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’に対する本明細書での表示である。抗体フラグメントは、これらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として、本来産生された。抗体フラグメントの他の化学結合もまた既知である。
【0067】
76.あるいは、開示された抗体は、使用することができる内因性免疫グロブリン産生が存在しない場合に、免疫化すると、ヒト抗体の完全レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を利用して作製することができる。例えば、キメラかつ生殖細胞変異マウスにおける抗体重鎖接合領域(J(H))遺伝子のホモ接合体欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが、記載されている。そのような生殖細胞変異マウスにおけるヒト生殖細胞免疫グロブリン遺伝子アレイの転写は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらすこととなる(例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551~255(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255~258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immuno.,7:33(1993)を参照されたい)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリにおいて作製することもできる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991))。Coteら及びBoernerらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.147(1):86~95(1991))。
【0068】
77.単離された免疫学的に特異的なパラトープ又は抗体のフラグメントもまた提供される。抗体の特異的免疫原性エピトープは、分子の化学的又は機械的破壊によって抗体全体から単離することができる。このようにして得られた精製フラグメントを、これらの免疫原性及び特異性を決定するために、具体的には、本明細書で教示された方法により試験した。抗体の免疫原性パラトープは、任意選択的に、直接合成される。免疫反応性フラグメントは、抗体アミノ酸配列に由来する少なくとも約2~5個の連続するアミノ酸のアミノ酸配列として定義される。
【0069】
78.抗体を含むタンパク質を作製する1つの方法は、タンパク質化学手法によって2つ以上のペプチド又はポリペプチドを一緒に連結することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert-ブチルオキシカルボニル)化学のいずれか一方を用いて、現在利用可能な実験装置を用いて化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。当業者は、抗体に相当するペプチド又はポリペプチドが、例えば、標準的な化学反応により合成することができることを、容易に理解することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、合成することができ、その合成樹脂から開裂させることができないが、その一方で、抗体の他のフラグメントは、合成して、それに続いて樹脂から開裂させることができ、それによって、他のフラグメント上で官能基的に遮断されている末端基を暴露させる。ペプチドの縮合反応によって、これらの2つのフラグメントは、それらのカルボキシ末端及びアミノ末端でのペプチド結合を介してそれぞれ共有結合的に接合して、抗体又はそのフラグメントを形成することができる。(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky M and Trost B.,Ed.(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer-Verlag Inc.,NY。あるいは、ペプチド又はポリペプチドは、上記のようにインビボで別個に合成される。単離されると、これらの別個のペプチド又はポリペプチドは、同様のペプチド縮合反応を介して抗体又はそのフラグメントを形成するように連結されてもよい。
【0070】
79.例えば、クローニングされた又は合成されたペプチドセグメントの酵素的ライゲーションは、比較的短いペプチドフラグメントが接合することを可能にし、より大きなペプチドフラグメント、ポリペプチド又はタンパク質ドメイン全体を産生する(Abrahmsen L et al.,Biochemistry,30:4151(1991))。あるいは、合成ペプチドの天然型化学的ライゲーションは、大きなペプチド又はポリペプチドをより短いペプチドフラグメントから合成的に構築するために利用することができる。この方法は、二工程化学反応からなる(Dawson et al.Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776~779(1994))。第1の工程は、非保護の合成ペプチド-α-チオエステルの、アミノ末端のCys残基を含む他の非保護ペプチドとの化学選択的反応であり、最初の共有結合生成物としてチオエステル連結中間体を与える。反応条件を変更することなく、この中間体は、自発的な迅速な分子内反応を受けて、ライゲーション部位で天然型ペプチド結合を形成する。この天然型化学ライゲーション法をタンパク質分子の全合成へ適用することは、ヒトインターロイキン8(IL-8)の調製により例示されている(Baggiolini M et al.(1992)FEBS Lett.307:97~101;Clark-Lewis I et al.,J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark-Lewis I et al.,Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam K et al.,Biochemistry 33:6623~30(1994))。
【0071】
80.あるいは、無保護ペプチドセグメントは、化学的ライゲーションの結果としてペプチドセグメント間に形成される結合が非天然型(非ペプチド)結合である位置で化学的に連結される(Schnolzer,M et al.Science,256:221(1992))。この技術は、タンパク質ドメインの類似体及び完全な生物活性を有する比較的純粋な大量のタンパク質を合成するために使用されている(deLisle Milton RC et al.,Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257~267(1992))。
【0072】
81.生物活性を有する抗体のフラグメントもまた開示されている。ポリペプチドフラグメントは、アデノウイルス発現系又はバキュロウイルス発現系などの、そのポリペプチドを産生することができる発現系においてポリペプチドをコードする核酸をクローニングにより得られた組換えタンパク質であり得る。例えば、抗体のIL-25との相互作用に関連付けられた生物学的作用を引き起こすことができる特定のハイブリドーマから抗体の活性ドメインを決定することができる。例えば、抗体の活性又は結合特異性又は親和性のいずれにも寄与しないことが見出されたアミノ酸は、対応する活性を失うことなく、削除することができる。例えば、様々な実施形態では、アミノ末端又はカルボキシ末端アミノ酸は、天然型若しくは非修飾の非免疫グロブリン分子又は免疫グロブリン分子のいずれか一方から順次除去され、対応する活性は、利用可能な多数のアッセイのうちの1つで測定された。別の例では、抗体のフラグメントは、修飾抗体を含み、少なくとも1つのアミノ酸は、特定の位置で天然型アミノ酸に置換され、アミノ末端若しくはカルボキシ末端アミノ酸のいずれか一方の一部、又は抗体の内部領域でさえも、修飾抗体の精製を容易にすることができる、ビオチンなどのポリペプチドフラグメント又は他の部位と置換されている。例えば、修飾抗体は、ペプチド化学又は2つのポリペプチドフラグメントをコードする対応する核酸を発現ベクターにクローニングすることのいずれか一方を介して、マルトース結合タンパク質と融合することができるため、コード領域の発現は、ハイブリッドポリペプチドをもたらす。ハイブリッドポリペプチドは、アミロースアフィニティカラムを通過させることによって親和性で精製することができ、次いで、修飾抗体受容体は、特異的プロテアーゼ因子Xaを用いてハイブリッドポリペプチドを開裂させることによって、マルトース結合領域から分離することができる(例えば、New England Biolabs Product Catalog,1996,pg.164を参照されたい。)。類似の精製手順は、ハイブリッドタンパク質を真核細胞から単離するためにも同様に利用可能である。
【0073】
82.フラグメントは、他の配列に付随しているかどうかにかかわらず、フラグメントの活性が非修飾の抗体又は抗体フラグメントと比較して、顕著に変化していないか又は弱められていない限り、特定の領域又は特定のアミノ酸残基の挿入、欠失、置換又は他の選択された修飾を含む。これらの修飾は、ジスルフィド結合が可能なアミノ酸を除去又は付加するため、その生体寿命を増大させるため、その分泌特性を変化させるためなどの、いくつかの付加的性質をもたらすことができる。いかなる場合でも、フラグメントは、結合活性、結合ドメインにおける結合の規制などの生物活性特性を保有する必要がある。抗体の機能性領域又は活性領域は、タンパク質の特定の領域の変異誘発、それに続く発現及び発現されたポリペプチドの試験により特定することができる。このような方法は、当業者には容易に明らかであり、抗原をコードする核酸の部位特異的変異誘発を含むことができる(Zoller MJ et al.Nucl.Acids Res.10:6487~500(1982)。
【0074】
83.様々なイムノアッセイ様式は、特定のタンパク質、変異体又はフラグメントに選択的に結合する抗体を選択するために使用されてもよい。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質、タンパク質変異体又はそのフラグメントと選択的に免疫反応する抗体を選択するために通常使用される。Harlow and Lane.Antibodies,A Laboratory Manual.選択的結合を決定するために使用することが考えられるイムノアッセイ様式及び条件の説明に関して、Cold Spring Harbor Publications,New York,(1988)を参照されたい。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード解析によって決定することができる。
【0075】
84.また、モノクローナル抗体又はそのフラグメントと、IL-25分子に対する抗IL-25抗体又はそのフラグメントの結合を検出するための1種以上の試薬と、を含む抗体試薬キットも提供される。試薬は、例えば、蛍光タグ、酵素タグ又は他のタグを含むことができる。試薬はまた、二次抗体若しくは三次抗体又は酵素反応用の試薬を含むことができ、酵素反応は、視覚化することができる生成物を生成する。
【0076】
85.全体を通して記述したように、一態様では、配列番号1、配列番号2及び/又は配列番号3に記載の1つ以上のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示されている。
【0077】
86.任意の上記態様のIL-25結合分子もまた開示され、CDRは、配列番号1、配列番号2及び/又は配列番号3である。
【0078】
87.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号1及び配列番号2、配列番号1及び配列番号3、配列番号2及び配列番号3、並びに/又は配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む。
【0079】
88.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号1及び配列番号2は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0080】
89.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号2及び配列番号3は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0081】
90.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号13を含む。
【0082】
91.一態様では、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを更に含む、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が本明細書で開示されている。
【0083】
92.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号5、配列番号4及び配列番号6、配列番号5及び配列番号6、並びに/又は配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む。
【0084】
93.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号4及び配列番号5は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0085】
94.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号5及び配列番号6は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0086】
95.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む。
【0087】
96.一態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号13を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む。
【0088】
97.一態様では、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示されている。
【0089】
98.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号5、配列番号4及び配列番号6、配列番号5及び配列番号6、並びに/又は配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む。
【0090】
99.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号4及び配列番号5は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0091】
100.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号5及び配列番号6は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0092】
101.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む。
【0093】
102.一態様では、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載の1つ以上のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示されている。
【0094】
103.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号7及び配列番号8、配列番号7及び配列番号9、配列番号8及び配列番号9、並びに/又は配列番号7、配列番号8及び配列番号9を含む。
【0095】
104.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号7及び配列番号8は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0096】
105.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号8及び配列番号9は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0097】
106.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号15を含む。
【0098】
107.一態様では、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを更に含む、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示されている。
【0099】
108.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号11、配列番号10及び配列番号12、配列番号11及び配列番号12、並びに/又は配列番号10、配列番号11及び配列番号12を含む。
【0100】
109.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号10及び配列番号11は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0101】
110.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号11及び配列番号12は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0102】
111.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む。
【0103】
112.一態様では、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号15を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む。
【0104】
113.一態様では、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示される。
【0105】
114.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号11、配列番号10及び配列番号12、配列番号11及び配列番号12、並びに/又は配列番号10、配列番号11及び配列番号12を含む。
【0106】
115.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号10及び配列番号11は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている。
【0107】
116.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、配列番号11及び配列番号12は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている。
【0108】
117.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む。
【0109】
118.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、重鎖可変ドメインは、配列番号17を含む。
【0110】
119.一態様では、任意の上記態様の単離されたIL-25結合分子が、本明細書で開示され、軽鎖可変ドメインは、配列番号18を含む。
【0111】
120.一態様では、任意の上記態様の治療量のIL-25結合分子のうちの任意を投与することを含む、ライノウイルス感染、気道炎症、関節リウマチ、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症並びに多発性硬化症を治療、抑制及び/又は予防する方法が本明細書で開示されている。
【0112】
1.相同性/同一性
121.本明細書で開示された遺伝子及びタンパク質のうちの任意の既知の変異体及び誘導体又は起こり得るものを決定するための1つの方法は、特定の既知の配列に対する相同性に関して変異体及び誘導体を定義することによるものであることを理解されたい。例えば、配列番号13は、IL-25重鎖可変ドメインの特定の配列を明示する。具体的には、記載された配列に対して少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントの相同性を有する、本明細書で開示されるこれら及び他の遺伝子及びタンパク質の変異体が開示される。当業者は、2つのタンパク質又は遺伝子などの2つの核酸の相同性を決定する方法を容易に理解する。例えば、相同性は、相同性が最も高いレベルになるように2つの配列を整列化させた後に算出することができる。
【0113】
122.相同性を算出する他の方法は、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性に関する検索法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータ化された実施によって、又はインスペクションによって行われてもよい。
【0114】
123.方法のうちの任意を一般的に使用することができること、特定の場合には、これらの様々な方法の結果が異なってもよいことが理解されるが、当業者は、同一性がこれらの方法のうちの少なくとも1つにより見出される場合、配列が記載された同一性を有すると言えるであろうこと、及び本明細書で開示されているであろうことを理解されたい。
【0115】
124.例えば、本明細書で使用するとき、他の配列と特定のパーセントの相同性を有していると記載された配列は、上述の計算法のうちの任意の1つ以上によって計算されたとして記載された相同性を有する配列を指す。例えば、第1の配列がZuker計算法を用いて第2の配列と80パーセントの相同性を有するように計算される場合、第1の配列が他の計算法の任意によって計算されたように第2の配列と80パーセントの相同性を有さない場合であっても、第1の配列は、本明細書で定義されたように、第2の配列と80パーセントの相同性を有する。別の例として、第1の配列がZuker計算法及びPearson-Lipman計算法の両方を用いて第2の配列と80パーセントの相同性を有するように計算される場合、第1の配列がSmith-Waterman計算法、Needleman-Wunsch計算法、Jaeger計算法又は他の計算法のうちの任意によって計算されたように第2の配列と80パーセントの相同性を有さない場合であっても、第1の配列は、本明細書で定義されたように、第2の配列と80パーセントの相同性を有する。更に別の例として、第1の配列が計算法のそれぞれを用いて第2の配列と80パーセントの相同性を有するように計算される場合、第1の配列は、本明細書で定義されたように、第2の配列と80パーセントの相同性を有する(ただし、実際には、異なる計算法は、多くの場合、異なる計算相同性百分率をもたらすこととなる)。
【0116】
2.ペプチド
a)タンパク質変異体
125.本明細書で論じたように、既知であり本明細書で企図された、IL-25結合分子及びIL-25結合CDRの多くの変異体並びに本明細書で開示された重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が存在する。加えて、既知の機能性株変異体には、IL-25結合分子及びIL-25結合CDRの誘導体、並びに開示された方法及び組成物においてもまた機能する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が存在する。タンパク質変異体及び誘導体は、当業者により十分に理解され、アミノ酸配列修飾を含むことができる(in can)。例えば、アミノ酸配列修飾は、一般的に、3種類の分類、置換変異体、挿入変異体又は欠失変異体のうちの1つ以上に該当する。本明細書で使用するとき、「挿入」は、多くの場合、天然型である親分子と比較したとき、それぞれ1つ以上のアミノ酸残基又はヌクレオチド残基を付加することをもたらす、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列における変化を指す。挿入は、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。挿入は、通常、アミノ末端又はカルボキシル末端融合よりも少ない挿入、例えば、1~4残基程度となる。実施例に記載されたものなどの免疫原性融合タンパク質誘導体は、インビトロでの架橋によって標的配列に免疫原性を付与するほど十分に大きいポリペプチドを融合することによって、又は融合をコードするDNAによって形質転換された組換え細胞培養によって作製される。欠失は、1つ以上のアミノ酸残基をタンパク質配列から除去することを特徴とする。一般的に、わずか約2~6個の残基のみが、タンパク質分子内の任意の1つの部位で欠失される。これらの変異体は、通常、タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって調製され、それにより、変異体をコードするDNAを作製し、その後、組換え細胞培養においてDNAを発現させる。既知の配列を有するDNAの所定の部位で置換変異を行う技術は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発がある。アミノ酸置換は、一般的には単一の残基についてであるが、一度に多数の異なる位置で起こることができ、挿入は、通常、約1~10個のアミノ酸残基の程度となり、欠失は、約1~30個の残基の範囲となる。欠失又は挿入は、好ましくは、隣接する対において行われ、すなわち、2個の残基の欠失又は2個の残基の挿入である。置換、欠失、挿入又はこれらの任意の組合せは、最終構築物に到達するように組み合わせてもよい。突然変異は、配列を読み枠の外に配置する必要がなく、好ましくは、二次mRNA構造を産生することができると考えられる相補領域を生成しないこととなる。置換変異体は、少なくとも1つの残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入された変異体である。そのような置換は、一般的に、以下の表2に従って行われ、保守的置換と称される。
【0117】
【0118】
【0119】
126.機能又は免疫的同一性における実質的な変化は、表2の置換よりも保守的ではない置換を選択すること、すなわち、(a)例えば、シート又はヘリカル立体配座としての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖のかさ高さを維持するその効果において顕著に異なる残基を選択することによって行われる。保守的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を同様の構造的又は化学的特性を有するアミノ酸残基で置き換えられた置換を含む。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、未帯電の極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。
【0120】
127.タンパク質特性において最大変化を生じることが概ね期待される置換は、(a)親水性残基、例えば、セリル若しくはトレオニルが、疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル若しくはアラニルに(又はこれらによって)置換されるか、(b)システイン若しくはプロリンが、任意の他の残基に(又はこれらによって)置換されるか、(c)正電荷側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニル若しくはヒスチジルが、負電荷残基、例えば、グルタミル若しくはアスパルチルに(又はこれらによって)置換されるか、又は、(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが、側鎖を有さないアミノ酸、例えば、グリシンに(又はこれによって)置換され、この場合は、(e)硫酸化及び/又はグリコシル化のための部位の数を増加させることによる置換となる。
【0121】
128.1つのアミノ酸残基を生物学的かつ/又は化学的に類似する他のアミノ酸残基と置換することは、保守的置換として当業者に既知である。例えば、保守的置換は、1つの疎水性残基を別の疎水性残基に、又は1つの極性残基を別の極性残基に置換することであると考えられる。置換には、例えば、Gly,Ala;Val,Ile,Leu;Asp,Glu;Asn,Gln;Ser,Thr;Lys,Arg及びPhe,Tyrなどの組み合わせが挙げられる。それぞれ明示的に開示された配列のそのような保守的に置換された変異体は、本明細書で提供されるモザイクポリペプチドの範囲内に含まれる。
【0122】
129.置換又は欠失の変異誘発は、N-グリコシル化(Asn-X-Thr/Ser)又はO-グリコシル化(Ser又はThr)のための挿入部位に対して使用することができる。システイン又は他の不安定な残基の欠失もまた、望ましい場合がある。潜在的なタンパク質分解部位、例えば、Argの欠失又は置換は、例えば、塩基性残基の1つを欠失させるか、又はグルタミニル残基若しくはヒスチジン残基により塩基性残基を置換することによって達成される。
【0123】
130.特定の翻訳後誘導体化は、発現されたポリペプチドへの組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル残基及びアスパラギニル残基は、対応するグルタミル残基及びアスパリル残基に頻繁に翻訳後脱アミド化される。あるいは、これらの残基は、温和な酸性条件下で脱アミド化される。他の翻訳後修飾には、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル残基又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジンの側鎖のo-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco pp 79~86[1983])、N-末端アミンのアセチル化並びに、いくつかの例では、C末端カルボキシルのアミド化が挙げられる。
【0124】
131.本明細書で開示されるタンパク質の変異体及び誘導体を定義する1つの方法は、特定の既知配列と相同性/同一性の点で変異体及び誘導体を定義することによることを理解されたい。例えば、配列番号13、14、15及び16。本明細書で開示されるこれらのタンパク質及び他のタンパク質が、記載された配列に対して少なくとも70%又は75%又は80%又は85%又は90%又は95%の相同性を有することが、具体的に開示されている。当業者は、2つのタンパク質の相同性を判定する方法を容易に理解する。例えば、相同性は、相同性が最も高いレベルになるように2つの配列を整列化した後に算出することができる。
【0125】
132.相同性を算出する他の方法は、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカル相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性に関する検索法によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータ化された実施によって、又はインスペクションによって行われてもよい。
【0126】
133.同じ種類の相同性は、例えば、Zuker,M.Science 244:48~52,1989,Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706~7710,1989,Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281~306,1989に開示されたアルゴリズムにより核酸について得ることができる。
【0127】
134.保守的変異及び相同性の記述が、特定の配列と少なくとも70%の相同性を有し、変異体が保守的変異体である実施形態などの、任意の組み合わせで一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0128】
135.本明細書が様々なタンパク質及びタンパク質配列を論じるとき、それらのタンパク質配列をコードすることができる核酸もまた開示されることを理解されたい。この核酸は、特定のタンパク質配列に関連する全変性配列、すなわち、1つの特定のタンパク質配列をコードする配列を有するすべての核酸、並びに、開示されたタンパク質配列の変異体及び誘導体をコードする変性核酸を含むすべての核酸を含むと考えられる。したがって、それぞれの特定の核酸配列が本明細書に完全に記載されなくてもよい一方で、あらゆる配列が、開示されたタンパク質配列を介して実際に開示され、本明細書に記載されていることを理解されたい。加えて、例えば、イソロイシン(I)のバリン(V)との置換などの、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18の開示された保守的誘導体。この変異に対して、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18のこの特定の誘導体をコードする核酸配列のすべてもまた開示されることを理解されたい。
【0129】
136.開示される組成物に組み込むことができるアミノ酸及びペプチド類似体が多数あることを理解されたい。例えば、異なる機能的置換基、ひいては、表1及び表2に示されるアミノ酸を有するDアミノ酸又はアミノ酸が多数ある。天然型ペプチドの反対の立体異性体及びペプチド類似体の立体異性体もまた開示される。これらのアミノ酸は、例えば、最適なアミノ酸を伴うtRNA分子を投入することによって、またアンバーコドンを利用して類似体アミノ酸を部位特異的な方法でペプチド鎖に挿入する遺伝子構築物を操作することによって、ポリペプチド鎖に容易に組み込むことができる。
【0130】
137.ペプチドに類似しているが、天然型ペプチド結合を介して接続されていない分子を作製することができる。例えば、アミノ酸又はアミノ酸類似体の結合には、CH2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH=CH-(cis及びtrans)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-及び-CHH2SO-を挙げることができる(これらの結合及び他の結合は、Spatola,A.F.in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(March 1983),Vol.1,Issue 3,Peptide Backbone Modifications(一般的レビュー);Morley,Trends Pharm.Sci(1980)pp.463~468;Hudson,D.et al.,Int J Pept Prot Res 14:177~185(1979)(-CH2NH-,-CH2CH2-);Spatola et al.Life Sci 38:1243~1249(1986)(-CH H2-S);Hann J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 307~314(1982)(-CH-CH-,cis及びtrans);Almquist et al.J.Med.Chem.23:1392~1398(1980)(-COCH2-);Jennings-White et al.Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(-COCH2-);Szelke et al.European Appln,EP 45665 CA(1982):97:39405(1982)(-CH(OH)CH2-);Holladay et al.Tetrahedron.Lett 24:4401~4404(1983)(-C(OH)CH2-);及びHruby Life Sci 31:189~199(1982)(-CH2-S-)に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましい非ペプチド結合は、-CH2NH-である。ペプチド類似体は、β-アラニン、γ-アミノ酪酸などの、結合原子間に2個以上の原子を有することできることを理解されたい。
【0131】
138.アミノ酸類似体及び類似体及びペプチド類似体は、より経済的な生産、より高い化学的安定性、向上した薬理学的性質(半減期、吸収、力価、有効性など)、変化した特異性(例えば、生物活性の広域スペクトル)、低減した抗原性などの、増強された又は所望の特性を多くの場合有する。
【0132】
139.D-アミノ酸は、ペプチダーゼなどにより認識されないため、D-アミノ酸は、より安定なペプチドを生成するために使用することができる。コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の同じ種類のD-アミノ酸(例えば、L-リシンの代わりにD-リシン)による系統的置換は、より安定なペプチドを生成するために使用することができる。システイン残基は、環化するため又は2つ以上のペプチドを一緒に接続するために使用することができる。これは、ペプチドを特定の立体配座に拘束するために有益であり得る。
【0133】
140.一態様では、開示されたIL-25結合分子は、標識を更に含んでもよい。本明細書で使用するとき、標識には、蛍光色素、ビオチン/ストレプトアビチンなどの結合対の部材、金属(例えば、金)、放射性置換基、又は着色された基質若しくは蛍光を生成することによって検出可能な分子と特異的に相互作用することができるエピトープタグを挙げることができる。タンパク質を検出可能に標識するために好適な物質は、(フルオロクローム及びフルオロフォアとして本明細書でも既知の)蛍光染料及び発色基質(colorometric substrate)と反応する酵素(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ)が挙げられる。蛍光染料の使用は、蛍光色素を非常に低量で検出することができるため、本発明の実施において一般的に好ましい。
【0134】
141.フルオロフォアは、発光する化合物又は分子である。一般的には、フルオロフォアは、ある波長で電磁エネルギーを吸収し、第2の波長で電磁エネルギー放出する。代表的なフルオロフォアには、1,5 IAEDANS、1,8-ANS、4-メチルウンベリフェロン、5-カルボキシ-2,7-ジクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、5-カルボキシナフトフルオレセイン、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HAT)、5-ROX(カルボキシ-X-ローダミン)、6-カルボキシローダミン6G、6-CR 6G、6-JOE、7-アミノ-4-メチルクマリン、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)、7-ヒドロキシ-4-Iメチルクマリン、9-アミノ-6-クロロ-2-メトキシアクリジン(ACMA)、ABQ、酸性フクシン、アクリジンオレンジ、アクリジンレッド、アクリジンイエロー、アクリフラビン、アクリフラビンフォイルゲンSITSA、エクリオン(発光タンパク質)、AFP-自家蛍光タンパク質-(Quantum Biotechnologies、sgGFP、sgBFPを参照されたい)、アレクサフルオロ350(商標)、アレクサフルオロ430(商標)、アレクサフルオロ488(商標)、アレクサフルオロ532(商標)、アレクサフルオロ546(商標)、アレクサフルオロ568(商標)、アレクサフルオロ594(商標)、アレクサフルオロ633(商標)、アレクサフルオロ647(商標)、アレクサフルオロ660(商標)、アレクサフルオロ680(商標)、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン(APC)、AMC、AMCA-S、アミノメチルクマリン(AMCA)、AMCA-X、アミノアクチノマイシンD、アミノクマリン、アニリンブルー、ステアリン酸アントロシル、APC-Cy7、APTRA-BTC、APTS、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、ATTO-TAG(商標)CBQCA、ATTO-TAG(商標)FQ、オーラミン、オーロホスフィンG、オーロホスフィン、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF(高pH)、BCECF(低pH)、硫酸ベルベリン、β-ラクタマーゼ、BFPブルーシフトGFP(Y66H)、青色蛍光タンパク質、BFP/GFP FRET、ビマン、ビスベンゼミド(Bisbenzemide)、ビスベンズイミド(Hoechst)、ビス-BTC、ブランコフォアFFG、ブランコフォアSV、BOBO(商標)-1、BOBO(商標)-3、Bodipy492/515、Bodipy493/503、Bodipy500/510、Bodipy、505/515、Bodipy530/550、Bodipy542/563、Bodipy558/568、Bodipy564/570、Bodipy576/589、Bodipy581/591、Bodipy630/650-X、Bodipy650/665-X、Bodipy665/676、Bodipy Fl、Bodipy FL ATP、Bodipy Fl-セラミド、Bodipy R6G SE、Bodipy TMR、Bodipy TMR-X共役体、Bodipy TMR-X,SE、Bodipy TR、Bodipy TR ATP、Bodipy TR-X SE、BO-PRO(商標)-1、BO-PRO(商標)-3、ブリリアントスルホフラビンFF、BTC、BTC-5N、カルセイン、カルセインブルー、カルシウムクリムゾン-、カルシウムグリーン、カルシウムグリーン-1 Ca2+色素、カルシウムグリーン-2 Ca2+、カルシウムグリーン-5N Ca2+、カルシウムグリーン-C18 Ca2+、カルシウムオレンジ、カルコフロールホワイト、カルボキシ-X-ローダミン(5-ROX)、カスケードブルー(商標)、カスケードイエロー、カテコールアミン、CCF2(GeneBlazer)、CFDA、CFP(シアン蛍光タンパク質)、CFP/YFP FRET、クロロフィル、クロモマイシンA、クロモマイシンA、CL-NERF、CMFDA、セレンテラジン、セレンテラジンcp、セレンテラジンf、セレンテラジンfcp、セレンテラジンh、セレンテラジンhcp、セレンテラジンip、セレンテラジンn、セレンテラジンO、クマリンファロイジン、C-フィコシアニン、CPM Iメチルクマリン、CTC、CTCホルマザン、Cy2(商標)、Cy3.1 8、Cy3.5(商標)、Cy3(商標)、Cy5.1 8、Cy5.5(商標)、Cy5(商標)、Cy7(商標)、Cyan GFP、サイクリックAMP蛍光センサ(FiCRhR)、ダブシル、ダンシル、ダンシルアミン、ダンシルカダベリン、塩化ダンシル、ダンシルDHPE、フッ化ダンシル、DAPI、ダポキシル、ダポキシル2、ダポキシル3’DCFDA、DCFH(二酢酸ジクロロジヒドロフルオレセイン)、DDAO、DHR(ジヒドローダミン(Dihydorhodamine)123)、Di-4-ANEPPS、Di-8-ANEPPS(ノンレシオ)、DiA(4-Di 16-ASP)、二酢酸ジクロロジヒドロフルオレセイン(DCFH)、DiD-親油性トレーサ、DiD(DilC18(5))、DIDS、ジヒドローダミン123(DHR)、Dil(DilC18(3))、Iジニトロフェノール、DiO(DiOC18(3))、DiR、DiR(DilC18(7))、DM-NERF(高pH)、DNP、ドーパミン、DsRed、DTAF、DY-630-NHS、DY-635-NHS、EBFP、ECFP、EGFP、ELF97、エオシン、エリスロシン、エリスロシンITC、臭化エチジウム、エチジウムホモダイマー-1(EthD-1)、オイクリシン、オイコライト、塩化ユウロピウム(111)、EYFP、ファーストブルー、FDA、フォイルゲン(パラローズアニリン)、FIF(ホルムアルデヒド誘発蛍光)、FITC、フラゾオレンジ、フルオ-3、フルオ-4、フルオレセイン(FITC)、二酢酸フルオレセイン、フルオロエメラルド、フルオロゴールド(ヒドロキシスチルバミジン)、フルオロルビー、フルオロX、FM 1-43(商標)、FM 4-46、フラレッド(商標)(高pH)、フラレッド(商標)/フルオ-3、フラ-2、フラ-2/BCECF、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、GeneBlazer、(CCF2)、GFP(S65T)、GFPレッドシフト(rsGFP)GFP野生型、非UV励起(wtGFP)GFP野生型、UV励起(wtGFP)GFPuv、グロキサン酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、Hoechst33258、Hoechst33342、Hoechst34580、HPTS、ヒドロキシクマリン、ヒドロキシスチルバミジン(フルオロゴールド)、ヒドロキシトリプタミン、インド-1、高カルシウム、インド-1、低カルシウム、インドジカルボシアニン(DiD)、インドトリカルボシアニン(DiR)、イントラホワイトCf、JC-1、JO JO-1、JO-PRO-1、レーザープロ、ローロダン、LDS751(DNA)、LDS751(RNA)、Leucophor PAF、Leucophor SF、Leucophor WS、リサミンローダミン、リサミンローダミンB、カルセイン/エチジウムホモダイマー、LOLO-1、LO-PRO-1、ルシファーイエロー、リソトラッカーブルー、リソトラッカーブルーホワイト、リソトラッカーグリーン、リソトラッカーレッド、リソトラッカーイエロー、リソセンサーブルー、リソセンサーグリーン、リソセンサーイエロー/ブルー、マググリーン、マグダラレッド(フロキシンB)、マグ-フラレッド、マグ-フラ-2、マグ-フラ-5、マグ-インド-1、マグネシウムグリーン、マグネシウムオレンジ、マラカイトグリーン、マリーナブルー、Iマキシロンブリリアントフラビン10 GFF、マキシロンブリリアントフラビン8 GFF、メロシアニン、メトキシクマリン、ミトトラッカーグリーンFM、ミトトラッカーオレンジ、ミトトラッカーレッド、ミトラマイシン、モノブロモビマン、モノブロモビマン(mBBr-GSH)、モノクロロビマン、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、NBD、NBDアミン、ナイルレッド、ニトロベンゾオキセジドール(Nitrobenzoxedidole)、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド、iヌクレアイエロー、ナイロサンブリリアントラビンE8G、オレゴングリーン(商標)、オレゴングリーン(商標)488、オレゴングリーン(商標)500、オレゴングリーン(商標)514、パシフィックブルー、パラローズアニリン(フォイルゲン)、PBFI、PE-Cy5、PE-Cy7、PerCP、PerCP-Cy5.5、PE-テキサスレッド(Red613)、フロキシンB(マグダラレッド)、ホルワイトAR、ホルワイトBKL、ホルワイトRev、ホルワイトRPA、ホスフィン3R、フォトレジスト、フィコエリスリンB[PE]、フィコエリスリンR[PE]、PKH26(Sigma)、PKH67、PMIA、ポントクロームブルーブラック、POPO-1、POPO-3、PO-PRO-1、PO-I PRO-3、プリムリン、プロシオンイエロー、プロピジウムロージド(Propidium lodid)(Pl)、PyMPO、ピレン、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、QSY7、キナクリンマスタード、レソルフィン、RH 414、Rhod-2、ローダミン、ローダミン110、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエクストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミングリーン、ローダミンファリシジン、ローダミンファロイジン、ローダミンレッド、ローダミンWT、ローズベンガル、R-フィコシアニン、R-フィコエリトリン(PE)、rsGFP、S65A、S65C、S65L、S65T、サファイアGFP、SBFI、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンIブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、sgBFP(商標)(スーパーグローBFP)、sgGFP(商標)(スーパーグローGFP)、SITS(プリムリン、スチルベンイソチオスルホン酸)、SNAFLカルセイン、SNAFL-1、SNAFL-2、SNARFカルセイン、SNARF1、ナトリウムグリーン、スペクトラムアクア、スペクトラムグリーン、スペクトラムオレンジ、スペクトラムレッド、SPQ(6-メトキシ-N-(3スルホプロピル)キノリニウム)、スチルベン、スルホローダミンB及びC、スルホローダミンエクストラ、SYTO11、SYTO12、SYTO13、SYTO14、SYTO15、SYTO16、SYTO17、SYTO18、SYTO20、SYTO21、SYTO22、SYTO23、SYTO24、SYTO25、SYTO40、SYTO41、SYTO42、SYTO43、SYTO44、SYTO45、SYTO59、SYTO60、SYTO61、SYTO62、SYTO63、SYTO64、SYTO80、SYTO81、SYTO82、SYTO83、SYTO84、SYTO85、SYTOXブルー、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、テトラサイクリン、テトラメチルローダミン(TRITC)、テキサスレッド(商標)、テキサスレッド-X(商標)共役体、チアジカルボシアニン(DiSC3)、チアジンレッドR、チアゾールオレンジ、チオフラビン5、チオフラビンS、チオフラビンTON、チオライト、チアゾールオレンジ、チノポールCBS(カルコフロールホワイト)、TIER、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、TOTO-1、TOTO-3、トリカラー(PE-Cy5)、TRITCテトラメチルロ
ーダミンルソチオシアナート(TetramethylRodaminelsoThioCyanate)、トルーブルー、トルーレッド、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、wtGFP、WW781、X-ローダミン、XRITC、キシレンオレンジ、Y66F、Y66H、Y66W、イエローGFP、YFP、YO-PRO-1、YO-PRO-3、YOYO-1、YOYO-3、サイバーグリーン、チアゾールオレンジ(インターキレーション色素(interchelating dy es)
)、量子ドットなどの半導体ナノ粒子、若しくは(光又は他の電磁エネルギー源により活性化することができる)ケージドフルオロフォア、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
142.放射性核種などの修飾ユニットを、ハロゲン化により本明細書に記載される化合物のうちの任意に直接組み込むか又は付着させることができる。本実施形態において有用な放射性核種の例には、トリチウム、ヨウ素125、ヨウ素131、ヨウ素123、ヨウ素124、アスタチン210、炭素11、炭素14、窒素13、フッ素18が挙げられるが、これらに限定されない。別の態様では、放射性核種は、連結基に接続されるか又はキレート基で結合され、その後、直接又はリンカーによって化合物に接続することができる。その態様で有用な放射性核種には、Tc-99m、Re-186、Ga-68、Re-188、Y-90、Sm-153、Bi-212、Cu-67、Cu-64及びCu-62が挙げられるが、これらに限定されない。これらのような放射性標識技術は、放射性薬剤産業において日常的に使用されている。
【0136】
143.放射性標識化合物は、神経学的疾患(例えば、神経変性疾患)若しくは精神状態を診断するため、又は哺乳動物(例えば、ヒト)におけるそのような疾患若しくは状態の進行若しくは治療を追跡するための造影剤として有用である。本明細書に記載された放射性標識化合物は、陽電子放出断層撮影(PET)又は単一光子放射断層撮影(SPECT)などの撮像技術と併用して好都合に使用することができる。
【0137】
144.標識は、直接的に又は間接的に行うことができる。直接標識において、検出抗体(対象分子に対する抗体)又は検出分子(対象分子に対する抗体によって結合することができる分子)は、標識を含む。標識の検出は、検出抗体又は検出分子の存在を示し、すなわち、対象分子の存在又は対象分子に対する抗体の存在をそれぞれ示す。間接標識では、付加分子又は付加部分は、免疫複合体と接触しているか、又は免疫複合体の部位で生成される。例えば、酵素などのシグナル生成分子又はシグナル生成部分は、検出抗体又は検出分子に取り付けることができるか又は関連付けることができる。次いで、シグナル生成分子は、免疫複合体の部位において検出可能なシグナルを生成することができる。例えば、好適な基質が供給されるとき、酵素は、免疫複合体の部位において可視又は検出可能な生成物を生成することができる。ELISAは、この種類の間接標識を使用する。
【0138】
145.間接標識の別の例として、対象分子又は対象分子に対する抗体(一次抗体)のいずれか一方に結合することができる、一次抗体に対する二次抗体などの(結合剤と称することができる)付加分子は、免疫複合体に接触することができる。付加分子は、標識又はシグナル生成分子若しくは部分を有することができる。付加分子は、抗体であってもよく、それ故に、抗体は、二次抗体と称することができる。二次抗体の一次抗体との結合は、第1の(又は一次)抗体及び対象分子といわゆるサンドイッチを形成することができる。免疫複合体は、二次免疫複合体の形成を可能にするために十分な時間にわたって、効果的な条件下で、標識された二次抗体と接触することができる。次いで、二次免疫複合体は、任意の非特異的に結合した標識二次抗体を除去するために一般に洗浄することができ、次いで、二次免疫複合体内の残留標識を検出することができる。付加分子はまた、ビオチン/アバジンペアなどの、互いに結合することができる一対の分子若しくは部分のうちの一方であってもよく、又はこれを含んでもよい。この様式では、検出抗体又は検出分子は、対の他のメンバーを含まなければならない。
【0139】
146.間接標識の他の様式は、二段階アプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。例えば、上述のように、対象分子に対する結合親和性を有する抗体などの(第1の結合剤と称することができる)分子又は対応する抗体は、二次免疫複合体を形成するために使用することができる。洗浄後、二次免疫複合体は、免疫複合体の形成(それ故に、三次免疫複合体の形成)を可能にするために十分な時間にわたって、効果的な条件下で再び、第1の結合剤に対する結合親和性を有する(第2の結合剤と称することができる)別の分子と接触することができる。第2の結合剤は、このようにして形成された三次免疫複合体の検出を可能にする、検出可能な標識又はシグナル生成分子若しくは部分に連結することができる。このシステムは、シグナル増幅をもたらすことができる。
【0140】
3.医薬担体/医薬品の送達
147.上述のように、組成物はまた、(本明細書では薬学的に許容される賦形剤とも称される)薬学的に許容される担体中でインビボで投与することができる。「薬学的に許容される」とは、生物学的に又はその他の点で不活性ではない物質を意味し、すなわち、物質は、不要な生物学的効果を一切引き起こすことなく、又は物質が含まれる医薬組成物の他の成分の任意と有害な様式で相互作用することなく、核酸又はベクターと共に被験体に投与されてもよい。担体は、当業者に周知であるように、活性成分の分解を最小限にするため、及び被験体における任意の有害な副作用を最小限にするため、当然選択される。したがって、一態様では、本明細書で開示されるIL-25結合分子のうちの任意を含む医薬組成物が、本明細書で開示される。
【0141】
148.組成物は、局所鼻腔内投与又は吸入による投与を含んで、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内に)、筋肉内注射によって、腹腔内注射によって、経皮的に、体外に、局所的になどで投与されてもよい。本明細書で使用するとき、「局所鼻腔内投与」は、鼻孔の一方又は両方を通る鼻及び鼻腔への組成物の送達を意味し、噴霧機構若しくは液滴機構による送達又は核酸若しくはベクターのエアロゾル化を介した送達を含むことができる。吸入による組成物の投与は、噴霧機構又は液滴機構による送達を介して鼻又は口を通して行うことができる。送達はまた、挿管を介して呼吸器系(例えば、肺)の任意の領域に対して直接行うことができる。必要とされる組成物の正確な量は、被験体の人種、年齢、体重及び全身状態、治療されるアレルギー性疾患の重症度、使用される特定の核酸又はベクター、組成物の投与様式などに依存して、被験体によって異なるであろう。したがって、すべての組成物の正確な量を指定することは不可能である。しかしながら、適量は、本明細書の教示に鑑みて、通常の実験のみを使用して、当業者によって決定され得る。
【0142】
149.組成物の非経口投与は、使用される場合、一般に注射を特徴とする。注射剤は、溶液若しくは懸濁液、注射前に液体で懸濁する溶液に好適な固形、又は乳剤のいずれかとして、従来の形態で調製されてよい。非経口投与についてごく最近改良された方法は、一定用量が維持されるように徐放系又は持続放出系の使用を伴う。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,610,795号を参照されたい。
【0143】
150.材料は、溶液、(例えば、微小粒子、リポソーム又は細胞に組み込まれた)懸濁液であってもよい。これらは、抗体、受容体又は受容体リガンドを介して特定の細胞型を標的としてもよい。以下の参照文献は、特定のタンパク質を腫瘍組織へ標的化するために本技術を使用する例である(Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,2:447~451,(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275~281,(1989);Bagshawe,et al.,Br.J.Cancer,58:700~703,(1988);Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,4:3~9,(1993);Battelli,et al.,Cancer Immunol.Immunother.,35:421~425,(1992);Pietersz and McKenzie,Immunolog.Reviews,129:57~80,(1992);及びRoffler,et al.,Biochem.Pharmacol,42:2062~2065,(1991))。「ステルス」などのビヒクル及び(結腸癌を標的とする脂質介在性薬物を含む)他の抗体共役リポソーム、細胞特異的リガンドを介するDNAの受容体介在性標的化、リンパ球指向性腫瘍標的化、並びにインビボでのマウスグリオーマ細胞の高特異的治療的レトロウイルス標的化。以下の参照文献は、特定のタンパク質を腫瘍組織へ標的化するために本技術を使用する例である(Hughes et al.,Cancer Research,49:6214~6220,(1989);及びLitzinger and Huang,Biochimica et Biophysica Acta,1104:179~187,(1992))。全般的に、受容体は、構成的誘発性又はリガンド誘発性のいずれかで、エンドサイトーシスの経路に関与する。クラスリン被覆ピット中のこれらの受容体クラスターは、クラスリン被覆小胞を介して細胞に入り、受容体が分別される酸性化エンドソームを通過し、次いで、細胞表面へ再循環するか、細胞内に保存されるか又はリポソーム内で分解されるかのいずれかである。内在化経路は、栄養取り込み、活性化タンパク質の除去、巨大分子のクリアランス、ウイルス及び毒素の日和見侵入、リガンドの解離及び分解、並びに受容体レベル調節などの多様な機能を果たす。多数の受容体は、細胞型、受容体濃度、リガンドの種類、リガンドの価数及びリガンド濃度に応じて、2つ以上の細胞内経路に従う。受容体介在性エンドサイトーシスの分子機構及び細胞機構がレビューされている(Brown and Greene,DNA and Cell Biology 10:6,399~409(1991))。
【0144】
a)薬学的に許容される担体
151.抗体を含む組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて治療する上で使用することができる。
【0145】
152.好適な担体及びこれらの製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995に記載されている。一般的には、適量の薬学的に許容される塩を製剤に使用して、製剤等張性(formulation isotonic)を与える。薬学的に許容される担体の例には、生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液が挙げられ、これらに限定されない。溶液のpHは、好ましくは、約5~約8、より好ましくは、約7~約7.5である。更に、担体は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性製剤を含み、マトリックスは、成形品の形態、例えば、フィルム、リポソーム又は微粒子である。例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度に応じて、特定の担体が更に好ましい場合があることは、当業者には明白であろう。
【0146】
153.医薬担体は、当業者に既知である。これらは、最も典型的には、滅菌水、生理食塩水及び生理的pHの緩衝液などの溶液を含む、ヒトへの薬剤投与のための標準的な担体であると考えられる。組成物は、筋肉内又は皮下に投与することができる。他の化合物は、当業者によって使用される標準的な手順に従って投与されることとなる。
【0147】
154.医薬組成物は、選択した分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含んでもよい。医薬組成物はまた、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬などの、1種以上の有効成分を含んでもよい。
【0148】
155.医薬組成物は、局所治療又は全身治療が望まれているかどうか、及び治療すべき領域に応じて、多数の方法で投与されてもよい。投与は、(眼科的、経腟的、経直腸的、鼻腔内を含んで)局所的に、経口的に、吸入により又は、例えば、静脈内点滴、皮下注射、腹腔内注射若しくは筋肉内注射による非経口的にでもよい。開示された抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内又は経皮的に投与することができる。
【0149】
156.非経口的投与の製剤には、滅菌した水溶液又は非水溶液、懸濁液及びエマルションが挙げられる。非水溶液の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体には、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル又は不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(例えば、リンゲルデキストロースに基づく電解質補充剤)などが挙げられる。防腐剤及び他の添加剤はまた、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガスなどとして存在してもよい。
【0150】
157.局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液体及び粉末を含んでもよい。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤又は油性基剤、増粘剤などが、必要となるか又は望ましい場合がある。
【0151】
158.経口投与のための組成物には、粉末若しくは顆粒、水又は非水性媒体中の懸濁液若しくは溶液、カプセル、小袋又はタブレットが挙げられる。増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤が望ましい場合がある。
【0152】
159.組成物のうちのいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸などの無機酸並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸などの有機酸との反応によって、又は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基並びにモノ、ジ、トリアルキルアミン及びアリールアミン及び置換エタノールアミンなどの有機塩基類との反応によって形成される、薬学的に許容される酸付加塩又は塩基付加塩として、投与される可能性がある場合がある。
【0153】
4.治療上の使用及び方法
160.組成物を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に決定されてもよく、そのような決定を行うことは、当業者の技能の範囲内である。組成物の投与の用量範囲は、疾患の症状に影響する所望の効果を生じるほど大きい用量である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般に、用量は、年齢、状態、性別及び患者の疾患の程度、投与経路又は他の薬物がレジメンに含まれているかどうかにより変動することとなり、当業者によって決定することができる。用量は、いずれかの禁忌がある場合には、個々の医師によって調整することができる。用量は、変更することができ、毎日、1日又は数日間、1つ以上の容量の投与において投与することができる。指針は、所与のクラスの医薬製品に対する適切な用量に関する文献において見出すことができる。例えば、抗体について適切な用量を選択する際の指針は、抗体の治療用途に関する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303~357;Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365~389に見出すことができる。単独使用の抗体の一般的な1日用量は、上記の因子に基づいて、1日につき体重1kg当たり約1μg~最大100mg又はそれ以上の範囲である場合がある。
【0154】
161.一態様では、開示されたIL-25結合分子が、例えば、ライノウイルス感染、気道炎症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)などの炎症状態又は疾患を治療、予防又は抑制するために使用することができることが理解され、本明細書で企図される。したがって、一態様では、本明細書に開示されたIL-25結合分子の任意を投与することを含む、ライノウイルス感染、気道炎症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、予防又は抑制する方法が、本明細書で開示される。例えば、ライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、予防又は抑制する方法が、本明細書に開示され、方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメインを含む、1種、2種又は3種以上のIL-25結合分子を被験体に投与することを含む。例えば、ライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、抑制又は予防する方法が、本明細書に開示され、方法は、配列番号1及び配列番号2、配列番号1及び配列番号3、配列番号2及び配列番号3、配列番号1、配列番号2及び配列番号3、配列番号7及び配列番号8、配列番号7及び配列番号9、配列番号8及び配列番号9、並びに/又は配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む、1種以上のIL-25結合分子を被験体に投与することを含む。一態様では、開示された治療、予防又は抑制の方法は、重鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子を被験体に投与することを含むことができ、その重鎖可変ドメインは、配列番号13又は配列番号27を含む。
【0155】
162.ライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、予防又は抑制する開示された方法が、重鎖可変ドメインの代わりに又は重鎖可変ドメインに加えて軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子を、当該状態又は疾患を有する被験体に投与することを含むことができることもまた理解され、本明細書で企図される。一態様では、被験体においてライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、予防又は抑制する方法が、本明細書に開示され、方法は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、1種、2種又は3種以上のIL-25結合分子を被験体に投与することを含む。例えば、配列番号4及び配列番号5、配列番号4及び配列番号6、配列番号5及び配列番号6、配列番号4、配列番号5及び配列番号6、配列番号10及び配列番号11、配列番号10及び配列番号12、配列番号11及び配列番号12、並びに/又は配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含むIL-25結合分子のうちの1種以上を被験体に投与することを含む治療、予防又は抑制の方法が、本明細書で開示されている。IL-25結合分子が軽鎖可変ドメインを含む方法もまた本明細書で開示され、その軽鎖可変ドメインは、配列番号14又は配列番号16を含む。
【0156】
163.一態様では、開示された治療、予防及び/又は抑制の方法において使用するための開示されたIL-25結合分子が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインの両方を含むことができることが理解され、本明細書で企図される。治療、予防及び/又は抑制の当該方法において使用される当該IL-25結合分子が、重鎖可変ドメインCDRのうちの任意の1つ、2つ又は3つを、本明細書で開示される軽鎖可変ドメインCDRのうちの任意の1つ、2つ又は3つと組み合わせて含むことができることを更に理解されたい。その結果、ライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を治療、予防又は抑制する開示された方法において使用するためのIL-25結合分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8及び/又は配列番号9からなる群から選択される重鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号10、配列番号11及び/又は配列番号12からなる群から選択される軽鎖可変ドメインCDRのうちの1つ、2つ又は3つと、を含むことができる。例えば、ライノウイルス感染、気道炎症、喘息、嚢胞性線維症、関節リウマチ(「RA」)、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患(「IBD」)、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症並びに多発性硬化症(「MS」)を有する被験体を治療する方法が、本明細書で開示され、方法は、重鎖可変ドメインが配列番号13、配列番号15及び/又は配列番号17を含む重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインが配列番号14、配列番号16及び/又は配列番号18を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、IL-25結合分子を被験体に投与することを含む。
【0157】
164.本明細書で使用するとき、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」又は「治療している(treating)」は、被験体における(例えば、炎症状態又は癌などの)疾患又は状態の影響のうちの1つ以上を低減する方法を指す。したがって、開示される方法では、治療は、確立された感染の重症度又は感染の症状の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の低減を指すことができる。例えば、炎症状態又は癌を治療するための方法は、対照と比較して被験体における状態又は癌の1つ以上の症状の10%の低減が存在する場合、治療であると見なされる。したがって、低減は、未感作又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又は10%~100%の任意の割合の低減であり得る。治療が、状態若しくは疾患又は状態若しくは疾患の症状の治癒又は完全切除を必ずしも指すわけではないことを理解されたい。本明細書で論じられたような治療が予防的又は治療的であり得ることが理解され、本明細書で企図される。その結果、一態様では、被験体における炎症性疾患又は状態の重症度を治療又は低減する方法は、被験体にIL-25結合分子を投与することを含む。また、被験体における炎症性疾患又は状態の発症を予防又は低減する方法は、被験体にIL-25結合分子を投与することを含む。
【0158】
165.本明細書で使用するとき、感染を予防する(prevent)、予防している(preventing)及び予防(prevention)という用語は、被験体が感染の1つ以上の症状を示し始める前又はほぼ同時に行われる行為、例えば、治療薬(例えば、本明細書に開示された組成物)の投与を指し、これは、感染の1つ以上の症状の発症若しくは増悪を抑制若しくは遅延させるか、又は再発を遅延させる。本明細書で使用するとき、減少、低減又は抑制への言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上の変化を含む。例えば、開示された方法は、炎症状態又は疾患を減少させるためにIL-25結合分子を受容しなかった対照被験体と比較したとき、被験体における炎症状態又は疾患の発症、憎悪又は再発の約10%減少がある場合、予防であると見なされる。
【0159】
本明細書に開示された治療、予防及び抑制方法が、開示されたIL-25結合分子の治療用途及び予防用途の両方を企図していることが理解され、本明細書で企図される。
【0160】
C.実施例
166.以下の実施例は、本明細書において特許請求の範囲に記載された化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法をどのように製造及び評価するかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために示され、純粋に例示的であることが意図され、開示を制限することを意図しない。数字(例えば、量、温度など)に関して精度を保証する努力がなされたが、ある程度の誤差及び偏差を考慮するものとする。特に記載のない限り、部分は、重量部であり、温度は、℃単位又は周囲温度であり、圧力は、大気圧又はほぼ大気圧である。
【0161】
(実施例1)
167.マウスIg-α、マウスIg-β及びヒトインターロイキン6を過剰発現するトランスジェニックマウスに、組換えヒトIL-25(R&D Systems)を2週間間隔で腹腔内注射した。血清ELISAによって測定され場合、有意な免疫応答が上昇した後、リンパ節、脾臓及び骨髄細胞を採取し、抗体アイソタイプIgMを表面発現するB細胞を磁気ビーズにより除去し、MoFlo蛍光活性化細胞分別機(MoFlo Fluorescence -Activated Cell Sorter)を用いて残りの細胞をIL-25と結合するその能力に関して分別した(
図1)。
【0162】
168.IL-25結合に関して陽性の細胞を96ウェルプレート内に分別し、単細胞RT-PCRに付して可変領域を増幅し、その可変領域を重鎖ヒトIgG4定常領域又は軽鎖ヒトIgK定常領域のいずれか一方を含む発現ベクター内にクローニングした。得られた重鎖クローン及び軽鎖クローン対をHEK293細胞にトランスフェクションし、得られた抗体タンパク質をタンパク質A樹脂により精製し(
図2)、HT-29細胞において組換えヒトIL-25を中和するための能力についてアッセイした(
図3)。(ABM109.2と表示された)ABM109のヒト化バージョンはまた、HT-29アッセイにおける力価についても試験された(
図4)。
【0163】
169.IL-25に対する抗体の親和性をBiacore T-100(GE Healthcare)を用いる表面プラズマ共鳴(SPR)を用いて測定した。(
図5、
図9)抗体を、CM5チップ上のフローセル2~4上のカルボキシメチル化デキストランに固定化した(フローセル1を基準として使用した)。HBS-P緩衝液中のrhIL25又はrmIL15を濃度を増加させて(2.5、5.0、10、20及び40nM)、それぞれの濃度について120秒の注入時間でチップ上を流した。第5回目の注入後、HBS-P緩衝液をそれぞれのフローセルに通し、IL-25を20分間解離させた。表面は、10mMグリシン-HCL pH1.5の30秒曝露で再生された。シングルサイクル速度論的解析は、それぞれの抗体について基準セルを減算して行われた。
【0164】
170.ABM125を精製し、アレルギー性喘息のライノウイルス感染モデルのマウスに投与した。マウスを低LPS鶏卵オボアルブミン(2mgミョウバン中OVA 50μg)で感作した。次いで、マウスに50μgのオボアルブミン(OVA)を鼻腔内に(i.n)連続3日間抗原投与した。最後のOVA抗原投与の直後、マウスに腹腔内に(i.p.)ABM125又はアイソタイプ対照(IgG)を投与した。mAb投与から4時間後、マウスをi.n.で2.5×106 TCID50 RV1Bに感染させた。炎症性応答を注射後3日目に評価した。次いで、細胞動員を気管支肺胞洗浄流体中で評価し、IL-5の肺mRNAの発現をSYBR緑色化学によるqPCRにより評価し、注射後3日目の塩水/PBS対照に関してLog2(倍率変化)で表現した。
【0165】
171.後にRNAに格納されるマウス先端肺葉から全RNAを抽出し(Qiagen)、その後、cDNA合成(OMNISCRIPT(登録商標)RTキット、Qiagen)を行った。RV-1BゲノムRNAプライマー及びプローブ配列、センス5’-GTGAAGAGCCSCRTGTGCT-3’(配列番号19)50nm、アンチセンス5’-GCTSCAGGGTTAAGGTTAGCC-3’(配列番号20)300nm、プローブ-5’-FAM-TGAGTCCTCCGGCCCCTGAATG-TAMRA-3’(配列番号21)100nm。ABI7500Taqman(ABI)を使用して、PCR反応を分析した。RNAは、プラスミドDNAの増幅により生成された標準曲線を用いて定量化した。RNAは、cDNA反応の1μL当たりのコピー数として表現される。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.配列番号1、配列番号2及び配列番号3に記載の1つ以上のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子。
2.前記CDRは、配列番号1である、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
3.前記CDRは、配列番号2である、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
4.前記CDRは、配列番号3である、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
5.前記重鎖可変ドメインは、配列番号1及び配列番号2を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
6.配列番号1及び配列番号2は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記5に記載の単離されたIL-25結合分子。
7.配列番号1及び配列番号2は、14個のアミノ酸によって隔てられている、上記6に記載の単離されたIL-25結合分子。
8.前記重鎖可変ドメインは、配列番号1及び配列番号3を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
9.前記重鎖可変ドメインは、配列番号2及び配列番号3を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
10.配列番号2及び配列番号3は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記9に記載の単離されたIL-25結合分子。
11.配列番号2及び配列番号3は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記10に記載の単離されたIL-25結合分子、
12.前記重鎖可変ドメインは、配列番号1、配列番号2及び配列番号3を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
13.前記重鎖可変ドメインは、配列番号13を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
14.配列番号4、配列番号5及び配列番号6に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを更に含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
15.前記CDRは、配列番号4である、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
16.前記CDRは、配列番号5である、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
17.前記CDRは、配列番号6である、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
18.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号5を含む、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
19.配列番号4及び配列番号5は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記18に記載の単離されたIL-25結合分子。
20.配列番号4及び配列番号5は、15個のアミノ酸によって隔てられている、上記19に記載の単離されたIL-25結合分子。
21.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号6を含む、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
22.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号5及び配列番号6を含む、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
23.配列番号5及び配列番号6は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記22に記載の単離されたIL-25結合分子。
24.配列番号5及び配列番号6は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記23に記載の単離されたIL-25結合分子、
25.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
26.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む、上記14に記載の単離されたIL-25結合分子。
27.重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号13を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む、上記1に記載の単離されたIL-25結合分子。
28.配列番号4、配列番号5及び配列番号6に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子。
29.前記CDRは、配列番号4である、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
30.前記CDRは、配列番号5である、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
31.前記CDRは、配列番号6である、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
32.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号5を含む、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
33.配列番号4及び配列番号5は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記32に記載の単離されたIL-25結合分子。
34.配列番号4及び配列番号5は、15個のアミノ酸によって隔てられている、上記33に記載の単離されたIL-25結合分子。
35.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び配列番号6を含む、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
36.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号5及び配列番号6を含む、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
37.配列番号5及び配列番号6は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記36に記載の単離されたIL-25結合分子。
38.配列番号5及び配列番号6は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記37に記載の単離されたIL-25結合分子、
39.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4、配列番号5及び配列番号6を含む、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
40.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号14を含む、上記28に記載の単離されたIL-25結合分子。
41.配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載の1つ以上のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子。
42.前記CDRは、配列番号7である、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
43.前記CDRは、配列番号8である、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
44.前記CDRは、配列番号9である、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
45.前記重鎖可変ドメインは、配列番号7及び配列番号8を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
46.配列番号7及び配列番号8は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記45に記載の単離されたIL-25結合分子。
47.配列番号7及び配列番号8は、14個のアミノ酸によって隔てられている、上記46に記載の単離されたIL-25結合分子。
48.前記重鎖可変ドメインは、配列番号7及び配列番号9を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
49.前記重鎖可変ドメインは、配列番号8及び配列番号9を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
50.配列番号8及び配列番号9は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記49に記載の単離されたIL-25結合分子。
51.配列番号8及び配列番号9は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記50に記載の単離されたIL-25結合分子、
52.前記重鎖可変ドメインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
53.前記重鎖可変ドメインは、配列番号15を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
54.配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを更に含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
55.前記CDRは、配列番号10である、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
56.前記CDRは、配列番号11である、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
57.前記CDRは、配列番号12である、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
58.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号11を含む、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
59.配列番号10及び配列番号11は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記58に記載の単離されたIL-25結合分子。
60.配列番号10及び配列番号11は、15個のアミノ酸によって隔てられている、上記59に記載の単離されたIL-25結合分子。
61.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号12を含む、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
62.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号11及び配列番号12を含む、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
63.配列番号11及び配列番号12は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記62に記載の単離されたIL-25結合分子。
64.配列番号11及び配列番号12は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記63に記載の単離されたIL-25結合分子、
65.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10、配列番号11及び配列番号12を含む、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
66.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む、上記54に記載の単離されたIL-25結合分子。
67.重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号15を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む、上記41に記載の単離されたIL-25結合分子。
68.配列番号10、配列番号11及び配列番号12に記載の1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む単離されたIL-25結合分子。
69.前記CDRは、配列番号10である、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
70.前記CDRは、配列番号11である、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
71.前記CDRは、配列番号12である、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
72.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号11を含む、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
73.配列番号10及び配列番号11は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸によって隔てられている、上記72に記載の単離されたIL-25結合分子。
74.配列番号10及び配列番号11は、15個のアミノ酸によって隔てられている、上記73に記載の単離されたIL-25結合分子。
75.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10及び配列番号12を含む、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
76.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号11及び配列番号12を含む、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
77.配列番号11及び配列番号12は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のアミノ酸によって隔てられている、上記76に記載の単離されたIL-25結合分子。
78.配列番号11及び配列番号12は、32個のアミノ酸によって隔てられている、上記77に記載の単離されたIL-25結合分子、
79.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号10、配列番号11及び配列番号12を含む、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
80.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号16を含む、上記68に記載の単離されたIL-25結合分子。
81.前記重鎖可変ドメインは、配列番号17を含む、単離されたIL-25結合分子。
82.前記軽鎖可変ドメインは、配列番号18を含む、単離されたIL-25結合分子。
83.治療量の、上記1、28、41、68、81及び82に記載のIL-25結合分子のうちの任意を投与することを含む、ライノウイルス感染、気道炎症、関節リウマチ、変形性関節症、骨侵食、腹腔内膿瘍及び癒着、炎症性腸疾患、同種移植片拒絶反応、乾癬、特定の種類の癌、血管新生、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症並びに多発性硬化症を治療する方法。
【0166】
D.配列
配列番号1
SYWIE
配列番号2
QILPGIGSTNYNEKFKG
配列番号3
GYGNYGDY
配列番号4
RASESVDSYGNSFM
配列番号5
RASNLES
配列番号6
QQSNEDPLT
配列番号7
TSGMGVG
配列番号8
HIWWDDVKRYNPALKS
配列番号9
TLPHFFDY
配列番号10
SASSSVSYMY
配列番号11
RTSNLAS
配列番号12
KQYHSYPPTWT
配列番号13
EVKVVESGADLMKPGASVKISCKATGYTFSSYWIEWVKQRPGHGLEWIGQILPGIGSTNYNEKFKGKATFTADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGYGNYGDYWGQGTTVTVSS
配列番号14
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYRASNLESGIPARFSGSGSRTDFTLTINPVEADDVATYYCQQSNEDPLTFGAGTKLELKR
配列番号15
QVTLKVSGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLNTSGMGVGWIRQPSGKGLEWLAHIWWDDVKRYNPALKSRLTISKDTSGSQVFLKIASVDTADTATYYCARTLPHFFDYWGQGTTLTVSS
配列番号16
DIQMTQSPAIMSASPGEKVTISCSASSSVSYMYWYQQKSGSSPKPWIYRTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCKQYHSYPPTWTFGGGTKLEIKR
配列番号17
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFSSYWIEWVRQAPGQGLEWIGQILPGIGSTNYNEKFKGRVTITADTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGYGNYGDYWGQGTTVTVSS
配列番号18
DIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYRASNLESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEAQDTANYYCQQSNEDPLTFGAGTKLELKR
配列番号19
GTGAAGAGCCSCRTGTGCT
配列番号20
GCTSCAGGGTTAAGGTTAGCC
配列番号21
TGAGTCCTCCGGCCCCTGAATG
【配列表】