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特許7140404血管造影法のためのガス造影剤の用量の調製し供給するための方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム及びそのような方法を実現するデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】血管造影法のためのガス造影剤の用量の調製し供給するための方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム及びそのような方法を実現するデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/148 20060101AFI20220913BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20220913BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220913BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20220913BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A61M5/148 500
A61M5/145
A61M5/142
A61M5/168 500
A61B6/00 331E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019565429
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 IB2018053738
(87)【国際公開番号】W WO2018215984
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519416576
【氏名又は名称】アンジオドロイド エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンノーリ,セバスチャーノ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/061614(WO,A1)
【文献】特開2004-230032(JP,A)
【文献】実開昭63-158348(JP,U)
【文献】国際公開第2017/134737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/148
A61M 5/145
A61M 5/142
A61M 5/168
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管造影法のためのガス造影剤の用量を、前記造影剤を注入するための装置において調製し供給するための装置において、前記造影剤は、圧力調節器(2)の考えられる介入によって、供給源(1)から所定の供給圧力(Pa)で供給ライン(3)にコマンドで供給され;前記供給ライン(3)は、前記圧力調節器(2)の出口を軟質注入バッグ(4)と中断可能な流体連通状態に設定するように設計され、前記軟質注入バッグ(4)は、前記用量を受け取って、前記バッグがそれと中断可能な流体連通状態に設定されるカテーテル(50)に、コマンドで前記用量を放出するために意図され、前記カテーテル(50)は、血管キャビティ内に導入されて、前記造影剤の前記用量を前記血管キャビティ内に注入するように設計される装置をコンピュータに制御させるためのコンピュータプログラムであって、
- 前記注入バッグ(4)と前記カテーテル(50)との間の流体連通が中断されており、かつ、前記供給源(1)と前記注入バッグ(4)との間の流体連通が同様に中断されている状態で、
コンピュータに
- 前記供給源(1)から来る造影剤の選択された用量を、前記供給ライン(3)を通して前記注入バッグ(4)内に導入する動作ステップと;
- 前記注入バッグ(4)の加圧手段(10)を動作させる動作ステップであって、前記加圧手段は、前記注入バッグ(4)の締め付けデバイス(15)を備え、前記締め付けデバイス(15)は、次に、上記で述べた注入バッグ(4)に対して対向する側に配置された、少なくとも一対の対向する締め付け要素(15a,15b)である2つの対向する第1のプレート(15a)及び第2のプレート(15b)を備え、前記第1のプレート(15a)及び前記第2のプレート(15b)は共に、互いに接近してまた離れて移動し、一端において互いにヒンジ式に搭載され、圧縮手段(11a,11b)であって、第1のバッグ(11a)及び第2のバッグ(11b)を含み、前記第1のバッグ(11a)及び前記第2のバッグ(11b)のそれぞれは、それぞれの前記プレート(15a,15b)に作用して、前記少なくとも一方の対応する締め付け要素を対向する締め付け要素(15a,15b)の近くに押し、前記注入バッグ(4)を圧縮する、圧縮手段(11a,11b)を同様に備える、動作させる動作ステップと;
- 前記注入バッグ(4)と前記カテーテル(50)との間の流体連通の回復を含んで、前記造影剤を供給する動作ステップであって、前記締め付け要素(15,15a)によって前記注入バッグ(4)に加えられる圧力によって、前記造影剤が前記カテーテル(50)に向かって流れることを可能にする、供給する動作ステップと;
- 前記注入バッグ(4)が完全に空になるまで圧縮動作を維持する動作ステップと
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記圧縮手段(11a,11b)は、前記少なくとも一対の締め付け要素(15a,15b)を押すために膨張されることを目標とする少なくとも1つの圧縮バッグによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
記加圧手段(10)を動作させる前記ステップ中に、前記第1のバッグ(11a)及び前記第2のバッグ(11b)は膨張し、前記バッグのそれぞれは、それぞれの前記締め付け要素(15a,15b)に作用し、前記締め付け要素は共に、互いから離れてまた接近して可動であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記供給ライン(3)を通して前記注入バッグ(4)内に導入する動作ステップは、
一定体積を有する一定体積コンテナ(5)であって、前記圧力調節器の下流でかつ前記注入バッグ(4)の上流で前記供給ライン(3)と接続状態にある、一定体積コンテナ(5)を充填するステップであって、ついには、ロード圧力(Pc)が膨張圧力(Pg)より大きくなる、ステップと、
前記注入バッグ(4)を前記一定体積コンテナ(5)と流体連通状態に設定するステップであって、前記造影剤の前記用量が、前記注入バッグ(4)内に導入されるステップと
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記注入バッグ(4)は、第1の圧力センサ(SP1)によって測定される圧力に基づいて、前記注入バッグ(4)及び前記一定体積コンテナ(5)が流体連通状態に設定された後に前記一定体積コンテナ(5)から充填され、前記注入バッグ(4)内に導入される前記造影剤の前記用量は、前記ロード圧力(Pc)に対する圧力値の降下に基づいて規定されることを特徴とする、請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記造影剤を供給する動作ステップは、
前記加圧手段(10)を再び動作させるステップであって、さらなる圧縮空気を前記圧縮手段(11a,11b)に供給し、前記注入バッグ(4)の完全な空化を促進するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
血管造影法のためのガス造影剤の用量を、前記造影剤を注入するための装置において調製し供給するためのデバイスにおいて、
前記造影剤は、圧力調節器(2)の考えられる介入によって、供給源(1)から、あらかじめ規定された圧力(Ps)で供給され、
デバイス(100)は、
供給ライン(3)であって、前記圧力調節器(2)によって前記供給源(1)と流体連通状態に設定され、実質的に一定でかつ前記供給源(1)によって提供される圧力(Ps)より低い供給圧力(Pa)で前記造影剤を供給するように適合される、供給ライン(3)と;
前記供給ライン(3)と中断可能な流体連通状態に設定された軟質注入バッグ(4)と;を備え、
前記注入バッグ(4)は、
同様に、カテーテル(50)と中断可能な流体連通状態に設定され、前記供給源(1)から来る前記造影剤の用量を受け取って、前記造影剤の用量を前記カテーテル(50)内にコマンドで放出し、前記カテーテルによって血管キャビティ内に前記造影剤の用量を注入することを意図される、デバイスであって、
加圧手段(10)であって、前記注入バッグ(4)に対して対向する側に配置された、少なくとも一対の対向する締め付け要素(15a,15b)である2つの対向する第1のプレート(15a)及び第2のプレート(15b)を備える、前記注入バッグ(4)の締め付けデバイス(15)を備え、前記第1のプレート(15a)及び前記第2のプレート(15b)は共に、互いに接近してまた離れて移動し、一端において互いにヒンジ式に搭載され、圧縮手段(11a,11b)であって、第1のバッグ(11a)及び第2のバッグ(11b)を含み、前記第1のバッグ(11a)及び前記第2のバッグ(11b)のそれぞれは、それぞれの前記プレート(15a,15b)に作用して、前記少なくとも一方の対応する締め付け要素を対向する締め付け要素(15a,15b)の近くに押しやるように設計される圧縮手段(11a,11b)を同様に備える、加圧手段(10)を含む
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項8】
前記圧縮手段(11a,11b)は、少なくとも1つの圧縮バッグ(11a)を含み、前記少なくとも1つの圧縮バッグ(11a)は、圧縮空気を供給するための手段(12)によってコマンドで提供される圧縮空気によって膨張され得ることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記注入バッグ(4)内の前記造影剤の圧力を測定するように適合された注入圧力センサ(SP2)を含むことを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記供給源(1)及び前記注入バッグ(4)と中断可能な流体連通状態に設定された一定体積ロードコンテナ(5)、並びに前記供給源(1)と前記ロードコンテナ(5)との間及び前記ロードコンテナ(5)と前記注入バッグ(4)との間の流体連通を確立し中断することを目標とする、それぞれ独立して動作する流れ中断手段(EV1,EV2,EV3)を同様に含むことを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記一定体積ロードコンテナ(5)は、前記供給ライン(3)を通して前記供給源(1)及び前記注入バッグ(4)と流体連通状態に設定されることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ロードコンテナ(5)に対応して、前記供給ライン(3)内の圧力を測定するように適合されるロード圧力センサ(SP1)を同様に含むことを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査(radiographic examination)のための機器の生産に関する技術分野に関係する。
【0002】
特に、本発明は、血管造影検査中に血管内にガス造影剤を注入するための装置に言及し、またより厳密には、上記で述べたガス造影剤の予め規定された量を、調製し、カテーテル内に、そして、カテーテルから血管造影試験を受ける血管に供給するための方法にあり;本発明は、上記方法を実装するデバイスを同様に含む。
【背景技術】
【0003】
血管造影検査が、血管キャビティ(動脈または静脈)内への造影剤の注入、及び、検査されるエリアのX線画像の記録を含むことが知られている。血管造影法の診断目的は、血管腔の狭隘化(狭窄)及び拡張 (動脈瘤)を含む、検査される血管キャビティの構造的異常の考えられる存在を検査し可視化することである。その技法は、得られ得る特に高い空間分解能及び診断感度のために、心臓疾患及び血管疾患患者に広く適用される。
【0004】
液相のヨウ素を含有する溶液が、現在のところ、造影剤として非常にしばしば使用される。血液と混合すると、それらの溶液は、放射の通過に対してその応答を著しく修正し、検査されるエリアの均一かつ明瞭なX線画像の取得を可能にする。
[技術的問題]
【0005】
血管造影技法におけるヨード造影剤の使用は、特に、一部の病理的状態(糖尿病患者、腎臓疾患患者など)の存在下での、作用物質に対する主観的不耐性(subjective intolerance)の問題によって主に制限される。さらに、これらの疾患の発生率は、患者の平均年齢の増加によって急速に増大する。
【0006】
ヨード剤を使用する血管造影技法の欠点を克服するために、代替の造影剤としての二酸化炭素(CO)の使用が確立されている。このガスは、このために特に適し、なぜならば、血管内に注入されると、このガスは、注入エリアの優れたX線的可視化の取得を可能にし、肺によって迅速にかつ完全に消失されるため、耐性及び消失の問題をもたらさないからである。
【0007】
COを用いる血管造影検査で使用された最初の注入デバイスは、手動操作され、基本的に、注入中にオペレータによって直接活性化されたガスを充填されたシリンジを使用した。これらのシリンジを使用して、ガスは、関心エリア内に前もって留置されたカテーテルによって部位内に直接注入された。これらのシステムの不利益は、注入回路内の空気の完全かつ一定の非存在を保証せず、患者を空気塞栓のリスクにさらすことに由来する。
【0008】
その後、液体造影剤と共に使用するために元々設計された注入デバイスは、注入デバイスをガス注入に適するようにするために、この目的のために修正され適合された。
【0009】
しかしながら、提案されている種々の手動または自動の器具解決策は、診断結果に影響を及ぼす基本的問題、すなわち、ガス注入レートの制御及び注入されるガスの量の調製を解決しない。一方、液相の造影剤の注入器の場合と同様に、ガスの圧縮性の性質のせいで、注入器のピストンの前進速度の単純な調節は、注入流量の適切な制御を可能にしない。さらに、注入圧力を確実に制御することができず、なぜならば、注入シリンジに与えられる体積の変動が、ガスの高い圧縮性及び異なる空化速度によって、多くの圧力の変動に対応し、それらの圧力変動が、とりわけ、特定の注入条件の変動性によって予測不能であるからである。
【0010】
得られる結果は、均一でなく、かつ、観測される血管キャビティの不透明化を制御するのが難しい。これは、考えられる病理の診断を難しくし、また時には、ほとんど正確でなくかつ信頼性がないものにし得る。
【0011】
上述したデバイスは、同様にむしろ複雑かつ高価である。
【0012】
Spark S.r.l.の名の下で国際公開第2011/061614号の下で公開された国際特許出願PCTは、COを注入するデバイスを記載し、そのデバイスは、上記で挙げた問題に取り組み、注入中の造影剤流量の調節において有意の改善を与える。デバイスは、少なくとも1つの共通壁を有する一対の軟質バッグを含む。第1のバッグは、造影剤を供給し定量吐出するためのデバイスに接続され、注入が実施される前に、第1のバッグは、これらのデバイスから、注入されるCOを受け取る。第1のバッグに対してかなり大きい体積を有する第2のバッグは、その後、空気によって膨張され、注入圧力までもたらされる。こうして、第1のバッグに対する第2のバッグの作用は、第1のバッグがCOを同じ圧力まで圧縮するようにさせる。2つのバッグは、硬質で全体的に円柱のコンテナ内に閉囲され、そのコンテナは、2つのバッグについて一定最大全体体積を規定する。
【0013】
その後、第1のバッグは、その対向端が、可視化される血管内に前もって挿入されたカテーテルと連通状態にされる。こうして、第1のバッグの内部の圧力は、実質的に一定のままであり、なぜならば、その圧力が、第2のバッグ内に含まれる空気の圧力によって加えられるからである。したがって、同様に、注入されるCOの流量は実質的に一定である。
【0014】
さらに、上述したデバイスの構造は、造影剤の注入中に過度の圧力を実質上不可能にし、デバイスの調製中の造影剤の汚染の可能性をかなり低減することが可能である。
【0015】
しかしながら、上述した2重バッグデバイスは、1つの欠点、及び、デバイスの構造によって生成される固有の操作限界を呈する場合がある。これらの欠点及び制限は、しかしながら、他の知られているデバイスのものと同じである。
【0016】
上記で述べた欠点は、バッグを閉囲する硬質コンテナの幾何形状または他の多少のランダム因子によって、COを含むバッグが完全に空にできないことが起こる場合があることに由来する。これは、例えば、COを含むバッグがコンテナの角に向かって押される場合に起こる。そのため、COの全用量が注入されることが確かでない。
【0017】
上述したデバイスに固有の操作限界は、CO注入操作を準備するために必要なかなり長い時間に由来する。特に、シリンジがガス用量を取得し、その後、そのガス用量を注入バッグ内に放出するために必要な時間は長い。これは、ステッピングモーターによって駆動されるシリンジのプランジャが、プランジャのドライブ機構及びシールの破断を回避するために高速で移動できないことによってもたらされる。この最後のイベントは、特に、ガスの一部を大気に分散させ、その用量に影響する可能性がある、または、空気をシリンジに入らせ、その結果、患者にその後注入されるガスの汚染を伴う可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】国際公開第2011/061614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の1つの目的は、注入されるCOの用量を含むことを目標とし、所望の用量の迅速な達成、及び、血管造影検査を受ける血管に対する造影剤の流量を実質的に一定に維持する上記用量の完全な放出を保証する、バッグまたは他の軟質コンテナを備えるタイプの、血管造影法のためのガス造影剤の流量を調製し調節するためのデバイスを提案することである。
【0020】
本発明の別の目的は、上記で述べた方法を実装することを目標とするデバイスを提案することであり、そのデバイスは、ガス造影剤の流量を調節し、注入されるCOの用量のコンテナの完全な空化、したがって、最良の供給方法による血管造影検査のために提供される全用量の投与を保証する。
【0021】
本発明のさらなる目的は、COの用量を絶対に安全な方法で投与することが可能な、流量を調節するためのデバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記で述べた目的は、特許請求の範囲の内容に従って、また、本発明の好ましいが排他的でない実施形態に従って、血管造影法のためのガス造影剤の用量を調製し供給するための、上記造影剤の注入のための装置において働く、方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム及びその方法を実施するデバイスによって完全に得られる。
【0023】
デバイスは、流体、特に、ガスのための供給ライン;圧力調節器;供給ライン及びカテーテルと流体連通状態にある軟質注入バッグを含む。
【0024】
デバイスは、加圧手段を同様に含み、加圧手段は、注入バッグに作用し、注入バッグに対して対向する側に配置され、互いから離れてまた接近して可動である一対の締め付けプレートを含み、また、圧縮空気によって膨張し得る一対の圧縮バッグを同様に含む。圧縮バッグは、対応する締め付けプレートに作用して、締め付けプレートを強制的に互いに近寄らせ、したがって、注入バッグを圧縮するように設計される。
【0025】
本発明の方法によれば、注入バッグは、一定体積のロードコンテナから充填され、次に圧力調節器を通して供給源から充填され、造影剤は、互いに接近して移動する2つのプレートの間に含まれた注入バッグから送出され、次に圧縮空気で膨張した圧縮バッグによって強制される。
【0026】
本発明の特徴は、特許請求の範囲から明らかになるように、添付図面を参照して以下の詳細な説明において指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】初期状況にある、本発明に従って作られた、ガス造影剤を調製し供給するためのデバイスの略図である。
図2】ガス造影剤で充填されている間の図1のデバイスの略図である。
図3】注入バッグを空化する間のデバイスに関する前の図と同じ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び本発明の好ましいが唯一でない実施形態を参照して、参照数字100は、知られているタイプの、カテーテル50による血管造影法において造影剤を調製し調節するためのデバイスを、概略的に全体として示し、なぜならば、カテーテルの構造及び機能が本発明に厳密に関連しないからである。
【0029】
デバイス100は、通常、二酸化炭素(CO)からなるガス造影剤の予め規定された用量を注入するための装置の一部であるが、血管内診断の用途に適する任意のガス造影剤と共に同様に使用可能である。装置は、とりわけ、適切な処理、記憶及び通信構造、ならびに装置の機能の実行に専用のプログラムを備える、装置の機能を管理するために意図されるコンピュータ化制御ユニット60を含む。
【0030】
以下の説明において、例として、造影剤としての二酸化炭素の投与に対して参照が行われることになる。注入装置の構造は、本発明に関連しないため、さらに詳細に述べられないことになる。
【0031】
デバイス100は、圧力調節器2が介在した状態で、所定の圧力Psで適切な化学的純度の二酸化炭素を供給することを目標とする供給源1に接続され;供給源1は、次に、入口圧力Psより低く、通常、約0.5バールの実質的に一定の供給圧力Paで二酸化炭素を出口において供給する。必要である場合、適切なフィルターが、供給された二酸化炭素の純度を保証するために同様に設けられる。圧力調節器2は供給ライン3に接続され、造影剤をデバイス100のコンポーネントに送出することが意図される。
【0032】
供給源1は、デベイス100の使用のロジスティック状況に応じて、圧力下のタンクまたは固定ガス分配システムのターミナルによって形成され得る。所定の供給圧力Psは、タンクの場合、通常、約60バールであり、一方、分配システムの場合、圧力は、同様に、非常に異なり得る。
【0033】
本発明の好ましいが、唯一でない実施形態において、デバイス100は、第1の遮断ソレノイド弁EV1を含み、第1の遮断ソレノイド弁EV1は、圧力調節器2のすぐ下流の供給ライン3上に位置し、上記調節器2から供給ライン3へのガスの流れを中断するまたは可能にするように設計される。制御ユニット60に接続された第1の圧力センサSP1は、第1のソレノイド弁EV1のすぐ下流に設けられる。
【0034】
デバイス100は、造影剤の注入に十分な予め規定された容量を有する軟質注入バッグ4を同様に含む。注入バッグ4は、第2の遮断ソレノイド弁EV2が介在した状態で、供給ライン3に中断可能な方法で接続され、また、血管造影法の実行中に注入される造影剤の用量を受け取って、それを上述したカテーテル50にコマンドで放出することを意図される。注入バッグ4がそれから作られる材料は、出口における二酸化炭素と入口における大気の両方に対して完全に不浸透性であり、また、少なくとも本発明の目的のための動作圧力において、軟質であるが曲がらない。
【0035】
注入バッグ4は、同様に、カテーテル50と中断可能な流体連通状態に設定され、述べる実施形態において、上述した第2の遮断弁EV2によって供給ライン3に接続され、出力遮断弁EV4はカテーテル50のすぐ上流に位置する(図1)。第2の圧力センサまたは注入圧力センサSP2は、注入バッグ4の出口からすぐのところに設けられて、制御ユニット60がバッグ4の内部の圧力をモニターすることを可能にする。
【0036】
デバイス100は、加圧手段10を同様に備え、加圧手段10は、注入バッグ4に作用して、造影剤が注入バッグ4内に置かれ、カテーテル50に送出される方法を規定するように設計される。加圧手段10は、特に、注入バッグ4に作用する締め付けデバイス15を含み、注入バッグ4は、一対の対向する締め付け要素、示す実施形態において一対の硬質材料のプレートからなる、それぞれ第1の締め付け要素15a及び第2の締め付け要素15bを備える。
【0037】
第1のプレート15a及び第2のプレート15bは、互いから離れてまた互いに接近して移動する。述べる実施形態において、それらのプレートは、互いに平行であり、かつ、当業者に知られている方法で例えばそれらをスライド上に搭載することによって、摺動させられる。プレート15a、15bの構成は、プレートが最大距離位置A(図1及び図4)または休止位置にあるとき、プレートが注入バッグ4に干渉せず(または、プレートが軽微な方法で干渉し)、注入バッグ4がその全体的に弛緩した構成をとることができ、一方、プレートが最大接近位置Bにあるとき(図3)、プレートが、注入バッグ4の対向する壁が接合するまで、すなわち、本質的に、注入バッグ4が完全に圧壊するまで、注入バッグ4を押しつぶすようなものである。
【0038】
加圧手段10は、軟質で、弾性があり、気密の材料で作られた、一対の圧縮バッグ、第1の圧縮バッグ11a及び第2の圧縮バッグ11bを同様に含む。各圧縮バッグは、対応するプレート15a、15bのすぐ背後に設置される。圧縮バッグ11a、11bは、加圧空気で充填されて、プレート15a、15bを押し、プレート15a、15bを最も近い接近位置(図2及び図3参照)に強制的に押しやるよう決まっている。
【0039】
圧縮空気のための供給手段12が設けられて、圧縮バッグ11a、11bを膨張させ、したがって、上述した効果が達成されるまで、その体積を増加させる。供給手段は、制御ユニット60によって自動的に動作させられ得るまたは制御され得る、特に、圧縮機13及び逆止弁EV5を備える。制御ユニット60によって制御されるさらなるソレノイド弁EV6は、圧縮バッグ11a、11bに接続された出口ダクト14上に設けられて、バッグから空気を吐き出し、圧縮バッグを空化することを可能にする。
【0040】
適切に形作られた硬質コンテナ16は、以下の説明において明らかになるように、加圧手段10を閉囲して、圧縮バッグ11a、11b、プレート15a、15b、及び注入バッグ4のための支持を提供し、圧縮バッグ11a、11bのための肩部として働く。
【0041】
圧縮バッグ11a、11bによる応力が終わると、すなわち、圧縮バッグ内に含まれる空気が大気内に吐き出されると、プレート15a、15bを休止位置Bに戻すように設計された、すぐに理解可能である示されない手段が同様に存在する。例えば、それらの手段は、圧縮バッグ11a、11bの拡張によってロードされ得る1つまたは複数の戻しばねからなり得る。
【0042】
その構造的単純さによって、通常、好まれる、異なる実施形態によれば、プレート15a、15bは、同様に、一方の側で共にヒンジ式に搭載されることができ、この場合、プレートは、ヒンジ軸の周りの回転によって、互いに接近してまた離れて移動する。そのような構成は、明らかに理解可能であり、図に示されておらず、さらに詳細に述べられないことになる。この実施形態において、プレート15a、15bは、垂直面に対してミラー対称な、造影剤を投与するための装置内に配置(place)され得る。こうして、プレートが開放位置にあるとき、プレートは、安定した平衡状況にあり、圧縮バッグ11a、11bが空化されると、プレートは、自然に開放位置に戻る傾向がある。したがって、上記で述べた戻しばねが回避され、したがって、デバイスの構造を簡略化し得る。
【0043】
さらなる実施形態によれば、上記のプレートの1つだけは、例えば、第1のプレート15aは、上述したように可動に作られることができ、一方、他のプレートは、固定して搭載され得る、または、省略され得る。この場合、第2の締め付け要素15bは、硬質コンテナ16の壁であり得る。このさらなる実施形態において、1つだけの圧縮バッグ11aが設けられて、既に述べた方法で可動プレート15bに作用する。
【0044】
いずれにしても、提示を簡略化するために、本発明による動作方法は、図に示すデバイスの実施形態を参照して、すなわち、互いに平行に搭載されかつ共に可動の2つのプレート15a、15bを含む加圧手段10を参照して以下で述べられる。
【0045】
供給ライン3と流体連通状態に設定された一定体積コンテナ5は、同様に、第1の遮断弁EV1と第2の遮断弁EV2との間に設けられる。さらなる第3の遮断弁EV3は、一定体積のロードコンテナ5の下流で同じライン3上に設けられる。
【0046】
知られているタイプの受動流量調節器54は、上記で述べた第2の遮断弁EV2と第3の遮断弁EV3との間で供給ライン3上に設けられる。調節器54は、必要である場合調整され得る狭隘化部を本質的に備え、コンテナ5と注入バッグ4との間に大きい圧力差が存在するとき、例えば、コンテナ5がその最大圧力にあり、かつ、注入バッグが完全に空であるとき、過剰のガス流を防止するために意図される。
【0047】
ロードコンテナ5は、以下で詳細に述べるように、適切な硬質材料で作られ、注入バッグ4より著しく大きい体積を有し、注入バッグ4のローディング圧力より同様に高い圧力で造影剤を含むように決まっている。
【0048】
上記で述べた第1のSP1センサまたはロードセンサは、ロードコンテナ5における供給ライン3上の圧力を検出するように設計される。上記で述べた第1の圧力センサSP1は、したがって、上記で述べたコンテナ5の内部の圧力をモニターすることを可能にする。
【0049】
さらなる第3の圧力センサSP3は、出力ソレノイド弁EV4の上流に設けられて、カテーテル50への出力圧力をモニターする。
【0050】
第2のソレノイド弁EV2と第3のソレノイド弁EV3との間で供給ライン3上に設けられたパージシリンジ20は、血管造影検査を実施する前に、或る量の造影剤を採取し、それを直接、カテーテル50に注入して、カテーテル50から血液逆流をなくし、供給デバイスを最適な動作状態に置くことを意図される。パージ動作は、本発明に厳密に関連せず、したがって、さらに詳細に述べられない。
【0051】
特別なソフトウェアによる制御ユニット60によって管理される、本発明による、ガス造影剤、特に、二酸化炭素の用量を調製し供給するための方法によれば、二酸化炭素の供給源1は、COを供給するために最初に調製される。ガスは、圧力調節器2及び第1のソレノイド弁EV1を通して供給ライン3に供給される(図1の矢印F)。第1のソレノイド弁EV1は閉鎖位置にあるため、その下流へのCOの供給は存在しない。
【0052】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、所定の量の二酸化炭素を血管内に注入するために、この量が、注入バッグ4内に置かれる。第1のソレノイド弁EV1及び第3のソレノイド弁EV3が閉鎖すると、注入バッグ4とカテーテル50との間の連通が中断され、出力ソレノイド弁EV4が閉鎖する;さらに、必要である場合、圧力調節器2と注入バッグとの間の連通が、第2のソレノイド弁EV2を閉鎖することによって中断される。
【0053】
二酸化炭素は、その後、得られる最大注入圧力より著しく高い、補償圧力センサSP1によって測定される値Pcにロード圧力が達するまで、第1のソレノイド弁EV1を開放して、ロードコンテナ5内に導入される(図2の矢印Fで示す流れ)。例えば、150mmHgの圧力が、以下で述べるローディングタイムの後続の要件について適切であるように思われる。
【0054】
次のフェーズにおいて、二酸化炭素は、第2のソレノイド弁EV2及び第3のソレノイド弁EV3を開放して、注入バッグ4内に注入され、ついには、その操作において血管内に注入される造影剤の用量に達する(図2のF1で示す流れ)。ロードコンテナ5及び注入バッグ4の内部の圧力の値がわかっているため、注入バッグ4内の造影剤の用量は、第2のソレノイド弁EV2及び第3のソレノイド弁EV3を開放し、センサSP1によって読み取られる圧力をモニターすることによって簡単に測定される。このため、理想気体の法則によれば、注入バッグ4に移送されるCOの所望のモル数は、センサSP1によって検出されるロードベッセル5内の所与の圧力降下に基づいて計算され得る。したがって、ソレノイド弁EV2、EV3の開放時間は、コンテナ5内のロード圧力Pcの値及び注入される造影剤の用量に依存する。ローディング操作が終了すると、注入バッグの内部で達した注入圧力Pqの値は、ローディング圧力Pc、例えば50~55mmHgより著しく低い。ローディング圧力Pcと注入圧力Pqとの差を適切に規定することによって、注入バッグ4について十分に短い充填時間を得ることが可能である。
【0055】
その結果、注入バッグ4と、圧力調節器2と、ロードコンテナ5との間の連通は、第2のソレノイド弁EV2、また必要である場合、第1のソレノイド弁EV1を閉鎖することによって中断される。
【0056】
造影剤は、その後、血管内に注入される。現位置でのカテーテル50の導入後、圧縮機12が起動されて、圧縮バッグ11a、11b内に圧縮空気を導入し、ついには、空化圧力Pssの値に達する。空化圧力Pssの値は、検査される身体エリアのタイプ、患者の体血圧、及び使用されるカテーテルのパラメータに依存する。通常、この値は、約100から600mmHgの間にあるが、他の値が、特定の適用要件に応じて提供され得る。
【0057】
任意選択で、注入バッグ4内への造影剤の用量のローディング前にまたはローディング中に、圧縮バッグ11a、11bが、前もって部分的に膨張されて、プレート15a、15bを中間位置にもたらし、注入バッグ4の後続の空化を加速し得る。
【0058】
第2のソレノイド弁EV2及び出力のソレノイド弁EV3は、その後、開放し、二酸化炭素は、ガス圧力の効果及び圧縮バッグ11a、11bによって押されるプレート15a、15bによって実施される推力によって注入バッグ4からカテーテル50に向けて流れる。圧縮バッグによって実施される圧縮作用は、注入バッグ4を空化しながら、プレート15a、15bを互いに近づけさせ、圧縮バッグの最も近い接近位置B(図3)に達し、注入バッグ4が完全に空化されるまで維持される。
【0059】
本発明のために基本的な、圧縮プレート及びバッグの効果は、二酸化炭素の流量の調節であり、また、注入バッグ4の完全な空化を保証する。この最後の効果は、特に、プレート15a、15bが、事実上、互いに接触状態にされるため、確実に得られる。
【0060】
方法の一変形において、造影剤の供給フェーズ中の中間時点から始めて、加圧手段10が再び起動され、圧縮機12を動作させて、新しい圧縮空気を圧縮バッグ11a、11b内に注入し、プレート15a、15bに対するさらなる推力を得、その後、注入バッグ4の空化を促進する。
【0061】
注入操作が終了すると、空気は、ソレノイド弁EV6を開放することによって圧縮バッグ11a、11bから吐き出される。プレート15a、15bは、戻しばねによってその休止位置Bに戻される。
【0062】
本発明の利点は、注入バッグ4が高圧ロードコンテナ5からロードされるが、患者にとって危険でない、造影剤の所望の用量の迅速達成に主に由来する。
【0063】
さらに、さらなる利点は、血管造影検査を受ける血管に対する造影剤の流量を実質的に一定に同様に維持しながら、上記用量が、注入バッグ4から完全に取り除かれることに由来する。
【0064】
全体の注入操作は、補償バッグ5の設計によって最大限の安全性で同様に達成される。
【0065】
上記が、純粋であるが制限的でない例として述べられたことが理解される。したがって、本発明の考えられる変更及び変形は、上記で述べられ、以下で特許請求されるように、本方法に対して付与される保護範囲内にあると考えられる。
図1
図2
図3