(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電子蒸気供給システム、ベースユニット及びサーバ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220913BHJP
A24F 40/90 20200101ALI20220913BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20220913BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20220913BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220913BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/90
A24F40/465
A24F40/60
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020520247
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 GB2018052912
(87)【国際公開番号】W WO2019073239
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-09
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アビアウン, ワリド
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-198538(JP,A)
【文献】特開2013-137789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258136(US,A1)
【文献】特表2017-516269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0136158(US,A1)
【文献】特表2017-506915(JP,A)
【文献】特表2014-500017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントと、
前記吸引コンポーネントを選択的に結合と分離とを行うことのできるベースユニットと
を備える電子蒸気供給システムであって、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合される場合、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための前記吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての前記識別子に関連して
、前記吸引コンポーネントに前記消耗品を提供するために前記ベースユニットが使用されたという事実の記録を作成するようにさらに構成されており、
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は、前記蒸気前駆体材料を揮発させる場合に使用するためのエネルギーを含む、電子蒸気供給システム。
【請求項2】
前記吸引コンポーネントは再充電可能な電池を備え、前記エネルギーは、前記再充電可能な電池を充電するための電気エネルギーを含む、請求項1に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項3】
前記吸引コンポーネントは電磁式サセプタを備え、前記エネルギーは、前記電磁式サセプタを誘導加熱するための電磁エネルギーを含む、請求項1に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項4】
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は蒸気前駆体材料を含む、請求項1に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項5】
前記蒸気前駆体材料は液体の蒸気前駆体材料を含み、前記吸引コンポーネントは、前記ベースユニットにより提供される前記液体の蒸気前駆体材料を受けるための吸収性要素を備える、請求項4に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項6】
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンを備え、前記吸引コンポーネントは、前記受容ゾーン内に前記吸引コンポーネントを配置することによって前記ベースユニットに結合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項7】
前記ベースユニットは有線コネクタを備え、前記吸引コンポーネントは、前記有線コネクタを前記吸引コンポーネントに接続することによって前記ベースユニットに結合される、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項8】
前記吸引コンポーネントは、前記識別子の示す事項を含み、前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合されるときに前記識別子の示す事項を検出することによって前記識別子を特定するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項9】
前記識別子の示す事項は、前記吸引コンポーネント上の機会が読み取ることのできるマーク及び/又は無線周波数識別チップにより提供される、請求項8に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項10】
前記ベースユニットは、ユーザインターフェースを備え、前記ユーザインターフェースを通して受信されたユーザ入力から前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項11】
前記吸引コンポーネントについての前記識別子は前記吸引コンポーネントそれ自体を識別する、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項12】
前記吸引コンポーネントについての前記識別子は、前記吸引コンポーネントに関連付けられた使用者を識別する、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項13】
前記消耗品が前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項は、前記ベースユニットにより前記吸引コンポーネントに提供されたある量の前記消耗品を示す事項を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項14】
前記ベースユニットは、前記消耗品が前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した前記吸引コンポーネントについての前記識別子の記録の示す事項をリモートサーバに送るようにさらに構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項15】
前記吸引コンポーネントは、前記吸引コンポーネントの使用に関する使用状況のデータの記録を作成するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合されるときに前記使用状況のデータの示す事項を前記ベースユニットに転送するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項16】
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての前記識別子の示す事項に関連した前記吸引コンポーネントの使用に関する使用状況のデータの示す事項を、リモートサーバに送るようにさらに構成されている、請求項15に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項17】
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットと共に使用するための承認がされているか否かを前記吸引コンポーネントについての前記識別子から決定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットと共に使用するための承認がされていると決定された場合にのみ前記消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
【請求項18】
電子蒸気供給システムのためのベースユニットであって、
前記電子蒸気供給システムは、当該ベースユニットと、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントとを備え、
当該ベースユニットと前記吸引コンポーネントとは選択的に結合と分離とを行うことができ、
当該ベースユニットは、当該ベースユニットに結合された吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、該吸引コンポーネントが当該ベースユニットに結合される場合に、前記吸引コンポーネントが当該ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための前記吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
当該ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての前記識別子に関連して
、前記吸引コンポーネントに前記消耗品を提供するために前記ベースユニットが使用されたという事実の記録を作成するようにさらに構成されており、
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は、前記蒸気前駆体材料を揮発させる場合に使用するためのエネルギーを含む、ベースユニット。
【請求項19】
離れているベースユニットと吸引コンポーネントとを備える電子蒸気供給システムの前記ベースユニットに接続されるよう構成されたサーバであって、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
当該サーバは、前記吸引コンポーネントについての前記識別子に関連して
、前記吸引コンポーネントに前記消耗品を提供するために前記ベースユニットが使用されたという事実の記録の示す事項を、前記ベースユニットから受けるように構成されており、
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は、前記蒸気の蒸気前駆体材料を揮発させる場合に使用するためのエネルギーを含む、サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ等)のような蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)のような、使用者の吸引用の蒸気を生成するための従来の蒸気供給システムは、通常、次の主要コンポーネント(部品)を備えている。
(i)そこから蒸気が生成される蒸気前駆体材料。
(ii)蒸気生成領域で蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための気化器(例えば熱気化による)。
(iii)気化器の動作を制御するための制御回路であって、ボタン又はパフセンサ等の気化器を作動させるためのセンサ、及び多くの場合、追加機能を提供するためのマイクロコントローラを含む制御回路。
(iv)気化器を駆動するための電源、通常は再充電可能なバッテリー。
【0003】
使用中、使用者は、電力が気化器に供給され、蒸気前駆体材料の一部を気化させる間、システムの蒸気出口(吸い口)を吸う。空気は、入口の穴からデバイスに、そして蒸気生成領域に引き込まれ、そこで気化した前駆体材料と混合して凝縮エアロゾルを形成する。空気と蒸気/凝縮エアロゾルの混合物は、使用者が吸引するために、蒸気生成領域から吸い口の出口流路に沿って引き込まれる。
【0004】
常にではないが、蒸気供給システムは、再利用可能な部品と交換可能なカートリッジ部品の両方を含むモジュラ式組立体で構成されることがよくある。典型的には、交換可能なカートリッジ部品は、蒸気前駆体材料及び気化器を含み、再利用可能なデバイス部品は、電源(再充電可能なバッテリー)及び制御回路を含む。これらの異なる部品は、機能に応じてさらなる要素を含み得ることは理解されよう。例えば、再利用可能なデバイス部品は、使用者が構成する入力を受信し、動作状態特性を表示するための使用者インターフェースを備える場合があり、交換可能なカートリッジ部品は、気化温度の調節を助けるための温度センサを備える場合がある。
【0005】
カートリッジは、例えば電気的な係合用での電気接触子を有するねじ式又はバヨネット式の取付具によって、使用するために制御ユニットに電気的及び機械的に接続される。カートリッジ内の蒸気前駆体材料が使い果たされた場合、又は使用者が異なる蒸気前駆体材料を有する別のカートリッジに切り替えたい場合、カートリッジを制御ユニットから取り外し、代わりのカートリッジをその場所に取り付けるとよい。
【0006】
蒸気供給システムは、いくつかの点で比較的複雑なデバイスであり、従来の紙巻きタバコよりも大幅に大きくなることが多く、製造コストが高くなる可能性がある。多くの場合、これは、例えば操作機能や容量の点で、望ましい機能を考慮して保証される。しかしながら、本発明者らは、例えば、より従来の電子タバコを持ちたくない使用者、電源が切れた通常のデバイスを有する使用者、又は携帯し忘れた通常のデバイスを有する使用者が容易に利用することができる、比較的低コストの使い捨てタイプの使い捨てデバイス(例えば、従来の可燃性紙巻きタバコと同様の時間持続するもの)を提供するために、より単純な形態のデバイスが好ましい場面があると考えた。また、また、少なくともいくつかの場合には、サイズが従来の可燃性紙巻きタバコにより近い蒸気供給システムを使用することを好む使用者もいる。
【0007】
以下、これらの問題の少なくとも一部に対処しそれを軽減するための様々な手法について説明する。
【発明の概要】
【0008】
特定の実施形態の第1の態様によれば、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントと、吸引コンポーネントを選択的に結合と分離とを行うことのできるベースユニットとを備える電子蒸気供給システムが提供される。この電子蒸気供給システムにおいて、ベースユニットは、吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、吸引コンポーネントがベースユニットに結合される場合、吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、ベースユニットは、吸引コンポーネントに消耗品が提供されたことを示す事項に関連した吸引コンポーネントについての識別子の記録を作成するようにさらに構成されている。
【0009】
特定の実施形態の第2の態様によれば、電子蒸気供給システムのための、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントが提供される。この吸引コンポーネントにおいて、前記電子蒸気供給システムは、当該吸引コンポーネントと、ベースユニットとを備えており、ベースユニットと当該吸引コンポーネントとは選択的に結合と分離とを行うことができ、当該吸引コンポーネントがベースユニットに提供される識別子と関連付けられており、当該吸引コンポーネントは、当該吸引コンポーネントがベースユニットに結合されるときにベースユニットからある量の消耗品を受けるように構成されているとともに、当該吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するように構成されている。
【0010】
特定の実施形態の第3の態様によれば、電子蒸気供給システムのためのベースユニットが提供される。このベースユニットにおいて、前記電子蒸気供給システムは、当該ベースユニットと、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントとを備え、当該ベースユニットと吸引コンポーネントとは選択的に結合と分離とを行うことができ、当該ベースユニットは、当該ベースユニットに結合された吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、該吸引コンポーネントが当該ベースユニットに結合される場合に、吸引コンポーネントが当該ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、当該ベースユニットは、消耗品が吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した吸引コンポーネントについての識別子の記録を作成するようにさらに構成されている。
【0011】
特定の実施形態の第4の態様によれば、離れているベースユニットと吸引コンポーネントとを備える電子蒸気供給システムのベースユニットに接続されるよう構成されたサーバが提供される。このサーバにおいて、ベースユニットは、吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、当該サーバは、消耗品がベースユニットにより吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した吸引コンポーネントについての識別子の記録の示す事項を、ベースユニットから受けるように構成されている。
【0012】
本発明の第1及びその他の態様に関して上で説明した本発明の特徴及び態様は、本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、上記の特定の組合せに限らずそれらと適宜組み合わされてもよいことは理解されよう。
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】ある使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図1B】別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図1C】さらに別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図2】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図3】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図4】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図5】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図6】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図7】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図8】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図9】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図10】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図11】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図12】本開示の特定の他の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な斜視図で示している。
【
図13A】ある使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図13B】別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図13C】さらに別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ説明する。しかし、特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来から具現化されている場合もあり、簡潔化のために、それらを詳細に論じることも説明することもしない。したがって、詳細に説明せずに本書で論じた装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来の技術によって具現化できることは理解されよう。
【0016】
本開示は、eシガレット等、エアロゾル供給システムと称されることもある蒸気供給システムに関する。以下の説明を通じて、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は蒸気(エアロゾル)供給システム及び電子蒸気(エアロゾル)供給システムと互換的に使用することができることは理解されよう。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」及び「エアロゾル化」等の関連の用語もまた、互換的に使用することができる。
【0017】
図1A~
図1Cは、様々な使用段階での本開示の特定の実施形態による蒸気供給システム2を概略的な断面で示している。ここで示されるシステム2は、2つの主要なコンポーネント(構成要素)、すなわち吸引コンポーネント10と、ベースユニット20とを備える。本書でさらに論じられるように、吸引コンポーネント10は、使用準備のために(すなわち、蒸気生成を開始するために)、(又は他の実施形態において)ベースユニット20に配置され、その後、使用のために(すなわち、生成された蒸気を使用者が吸引するために)ベースユニットから取り外されてもよい。
【0018】
吸引コンポーネント10は、空気入口15と吸い口出口14との間の空気流路を画定する実質的に管状のハウジング11を備える。ハウジング11内には、空気流路内/それに隣接して配置された蒸気前駆体材料12の供給源と、蒸気前駆体材料12の一部と熱的に接触している蓄熱体13とがある。以下でさらに説明するように、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の配置に採用することができる構成には様々ある。例えば、蒸気前駆体材料は、液体材料ではなく、又は液体材料に加えて、固体、ゲル又は発泡材料を含むものとすることができる。しかしながら、本例では、蒸気前駆体材料の供給源は、吸収性材料/詰め物材料(例えば、有機綿、又は例えばガラス繊維材料や多孔性金属、多孔性セラミック材料のような他の多孔性材料)によって保持される液体の蒸気前駆体材料を含み、蓄熱体は、例えば鋼板の一部から形成されたある大きさの金属を含む。
【0019】
本例における管状のハウジング11は、例えば、約100mmの長さ及び約7mmの直径を有する従来のシガレットに広く対応するサイズを有する。管状のハウジングの内径は、例えば約5mmとすることができる。ハウジング11は、本例ではプラスチック材料を含み得るが、他の例では、カード/紙材料を含み得る。一般に、ハウジングは任意の材料で形成することができるが、典型的には使い捨てのアイテムであることを意図していることを考えると、ハウジングを比較的安価に作ることが一般的に望まれる。ハウジングは、例えば、従来の長さの大部分に沿って白色を有し、従来の巻きタバコフィルタセクションを表す吸い口出口14に向かっての茶色の区域がある等、従来の巻きタバコの外観を模倣する外面を提供するように構成され得る。しかしながら、吸引コンポーネントの審美的外観、並びにその特定の形状、寸法及び材料は、本書で説明される原理にとって基本的な重要性がないことは理解されよう。
【0020】
上述したように、本例における蒸気前駆体材料は、吸収性材料/詰め物材料によって保持された気化可能な液体を含む。本例では、詰め物材料は有機綿を含むが、他の例では、詰め物材料は、他の吸収性材料、例えば、ガラス繊維、スチールウール、紙、セラミック繊維、タバコ材料等を含んでもよい。液体は、電子タバコで従来使用されているタイプのものであり、例えば、ある量のニコチン、例えば約3%のニコチンと、約50%のグリセロール、並びにほぼ等しい量の水及びプロピレングリコールを含むベース液とを含む。液体は、香料のような他の成分をさらに含んでもよい。いくつかの例では、比較的低温の気化温度を有する液体、例えば、比較的大量のエタノール又はトリアセチンを含む液体を選択することができる。所与の実施形態で使用される特定の液体は、例えば、(例えば使用者が選択できるニコチン含有量及び/又は香料の観点等において)様々な特性を有する蒸気前駆体材料を有するある範囲の吸引コンポーネントを提供することによる等、使用者の好みの問題であり得ることは理解されよう。
【0021】
本例の蓄熱体は、鋼板からプレス加工された実質的に長方形の形状であり、例えば、寸法が約25mm×3mm×0.1mmであるAISIタイプ430又は409の鋼を含む。しかしながら、例えば導電性セラミックや、他の金属又は合金(例えばアルミニウム及び/又は鉄及び/又はニッケル、グラファイト等)の様々な材料、及び様々な形状やサイズを有する他の形態の蓄熱体が、他の実施形態において採用されてもよい。例えば、他の実施形態における蓄熱体は、実質的に平坦な形状を有するのではなく、例えば中実又は中空のピン/ロッドの形態の管形状を有し得る。本書で説明するように、蓄熱体の熱を使用して、吸引のために蒸気前駆体材料の一部を加熱して気化させることができる。蓄熱体についての熱質量が比較的大きい場合、より多くの蒸気前駆体材料が気化される可能性があることを意味するが、加熱に時間がかかると予想され得る。一方、蓄熱体についての熱質量が比較的小さい場合、より迅速な加熱を可能にするが、熱質量が冷却する前の蒸気の生成は少なくなる。したがって、所与の実施形態では、蓄熱体についての熱質量は、使用毎に気化され得る蒸気の量と加熱速度とのバランスの観点から所望の特性に従って選択され得る。本書でさらに説明するように、
図1A~
図1Cに示される例示的な実施形態における蓄熱体13は、ベースユニット20によって誘導加熱されてもよい。その点で、蓄熱体はサセプタとも呼ばれ、誘導加熱の影響を受けやすい任意の材料(例えばフェライト鋼又はマルテンサイト鋼)を含み得る。他の例では、蓄熱体13は、例えば伝導加熱や及び/又は放射加熱のような、誘導加熱以外の手段により、ベースユニット20によって加熱されてもよく、そのような場合、蓄熱体13は、誘導加熱を受けやすい材料を含む必要はない。
【0022】
ここで、ベースユニット20に目を向けると、これは、
図1A~
図1Cにおいて、実質的に長方形の箱形状であるとして概略的に示されているが、実際には、ベースユニットの全体形状は特に重要ではなく、例えば、所望の美的外観に従って選択されてもよい。例えば、ベースユニットは、灰皿に実質的に類似する外観を有するように等しく構成されてもよく、或いは、マットの形態で実質的に平坦とされてもよい。また、ベースユニットは独立型デバイスでなくてもよく、別の装置に組み込まれてもよいことは理解されよう。例えば、ベースユニットは、例えば従来のシガレットライターソケットに類似した外観で、車両に組み込まれてもよい。ベースユニット20は、多くの実施形態において、比較的固定された設備を備えることが期待され、例えば、ベースユニットは公共の場所のテーブル又は壁に固定され主電源が設けられ得る。しかしながら、他の実施形態では、ベースユニットは、内部電源を有するとともに、使用者が簡単に持ち運びできるようにサイズが決められた携帯型のデバイスであってもよい。
【0023】
本例のベースユニット20は、吸引コンポーネント10の少なくとも一部を受け入れるようにサイズ及び形状が決められた受容ゾーン22が画定された外部ハウジング21と、電源25と、制御回路26と、作動センサ24と、誘導コイル23とを備える。
【0024】
本例では、受容ゾーン22は、ベースユニット20の上壁の実質的に円筒形の凹部によって画定されている。円筒形の凹部は、吸引コンポーネントのハウジング10の直径よりも少し大きい直径と、
図1Bに概略的に示されるように、サセプタ13を含む吸引コンポーネントの端部が円筒形の凹部に完全に受け入れられることを可能にする深さを有する。これは、受容ゾーンの適切なサイズ及び形状の単なる一例を示すものであり、他の構成が他の実施形態で採用され得ることは理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、受容ゾーンは、ベースユニットの表面に凹部又は開口部を有さず、単に吸引コンポーネント10が接して配置されるベースユニットの外面上の領域を備えてもよい。
【0025】
電源25は、ベースユニット20に動作電力を提供するように構成されている。上記のように、携帯型のベースユニットの場合、電源25は、例えば、再充電可能なリチウムイオン電池等の電池を備えるものとすることができる。しかしながら、本例では、ベースユニット20は、一般的に固定された設備での使用を意図しており、例えば幹線電源から外部電力を受け取ることが想定されている。したがって、本例の電源25は、外部幹線電源に接続され、外部幹線電源をベースユニットを動作させるのに適した電源、例えば12ボルトDC電源に変換するように構成された電源回路に対応する。もちろん、ベースユニットが動作する電源の特定の性質は、本書に記載されている原理にとって重要ではないことは理解されよう。例えば、他の実施形態では、ベースユニットは、(例えば、バス停留所の近く等の外部での使用を目的としたベースユニットの場合)燃料電池又は太陽光発電によって電力が供給されてもよい。
【0026】
制御回路26は、ベースユニット20の動作を制御して、本開示の実施形態に従って本書で説明される機能を提供するように構成される。制御回路(プロセッサ回路)は、この機能を提供するための様々なサブユニット/サブ回路を含み得、いくつかの個別のハードウェア要素として、及び/又は制御回路の適切に構成された機能として実装され得る。したがって、制御回路は、電子デバイスを動作させるための従来のプログラミング/構成技術を使用して所望の機能を提供するように適切に構成/プログラムされた回路を含むことができる。制御回路26の機能は、例えば1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能コンピュータを使用したり、1つ以上の適切に構成された特定用途向けの集積回路/電子回路/チップ/チップセットを使用したりすること等、様々な異なる方法で提供され得ることは理解されよう。
【0027】
誘導加熱コイル23は、この誘導加熱コイル23が制御回路によって作動されるときに、受容ゾーン22に受け入れられた吸引コンポーネントにおけるサセプタ13を誘導加熱するように配置構成されている。したがって、
図1A~
図1Cの構成では、誘導加熱コイルは、吸引コンポーネントが受容ゾーンにあるときにサセプタ13を囲む部分を覆うように、受容ゾーンを含む円筒形の凹部の周りに巻かれた螺旋状コイルをからなる。したがって、吸引コンポーネント10が受容ゾーン22に受け入れられ、誘導加熱コイル23が作動されてサセプタ13に電流を誘導すると、サセプタが加熱される。誘導加熱コイル23の動作特性は、例えば巻数、電流及び動作周波数に関して、所与の実施形態で採用された特定のサセプタ形状を考慮に入れて、誘導加熱の周知の原理を考慮して選択することができる。これに関して、誘導加熱コイルは、例えば、吸引コンポーネントにおけるサセプタ/蓄熱体を数秒程度の時間スケールで約200℃の温度に加熱するように設計されてもよい。
【0028】
作動センサ24は、誘導加熱コイル23に電流を流すべきときに制御回路26に指示を与えるよう構成されている。実際、作動センサの役割は、受容ゾーンに現在ある吸引コンポーネントが使用のために取り外されようとしているときに制御回路に指示し、制御回路26が誘導コイルを駆動して吸引コンポーネントにおけるサセプタ/蓄熱体を加熱し、それを使用できるようにすることである。作動センサ24は、様々な実施形態においてある範囲の様々な技術に基づくものとすることができる。例えば、いくつかの場合において、作動センサは、使用者が吸引コンポーネントを受容ゾーンから引き抜こうとし始めるときに吸引コンポーネントの動きを検出するように構成された運動センサを備え得る。他のいくつかの場合では、作動センサは、使用者が吸引コンポーネントを受容ゾーンから引き抜こうとしているときに使用者の手の接近を検出するように構成された近接センサを備え得る。さらに他の場合では、作動センサは、使用者が受容ゾーンから吸引コンポーネントを引き抜こうとしていることを示すために使用者によって手動で作動されるスイッチを備えてもよい。さらに他の場合では、作動センサは、吸引コンポーネントが受容ゾーンに配置されているときはいつでも誘導加熱コイルが作動されるよう、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に挿入されたことを単に検出するように構成されてもよい。制御回路が誘導加熱コイル23をいつ駆動すべきかを検出するように作動センサが構成される特定の態様に関係なく、作動センサは、従来の感知技術を考慮して実施され得る。すなわち、それは従来の技術(例えば、手元での実行に応じた物体の接近、存在又は動きを検出するための容量性又は光学的なセンシング技術の使用、又は手動起動のための従来の機械的スイッチの使用)に基づくものである。いくつかの実施形態では、ベースユニットは作動センサを備えない場合があり、代わりに、誘導コイルがベースユニットに挿入されているときはいつでも誘導コイルが永久的に駆動されるようにしてもよい。別の例では、ベースユニットは、第1の位置で吸引コンポーネントを受け入れるように構成されてもよく、その場合、使用者が吸引コンポーネントを第2の位置に移動したとき(例えば、ばね力に抗して押し下げるか、又は単に吸引コンポーネントをベースユニットに対して再配置するとき)、誘導加熱コイルは、蓄熱体を加熱するよう作動され得る。一例では、吸引コンポーネントは、所定の時間の加熱の後に、蓄熱体が使用のために十分に加熱されたことを示すために、例えばタイマ又は熱応答性のラッチがばね力を解放することに基づいて、「ポップアップ」するように構成されてもよい。いくつかの場合においては、ベースユニットは、サセプタ/蓄熱体がベースユニットから取り外され始めたときにサセプタ/蓄熱体の動きを検出するための第2のコイルと、それに応じて駆動される誘導加熱コイルとを備えてもよい。
【0029】
図1A、
図1B及び
図1Cに示される蒸気供給システム2の全体的な構造及び構成について論じてきたが、システム2の例示的な使用法について次に説明する。これに関して、
図1Aは、未使用の吸引コンポーネントが使用されようとしている状況を概略的に示すものと想定する。したがって、
図1Aでは、吸引コンポーネント10は、ベースユニット20の受容ゾーン22に近づいているところが示されている。この段階では、未使用の吸引コンポーネント10におけるサセプタ/蓄熱体13は低温である(すなわち、周囲温度である)。
【0030】
図1Bは、ベースユニット20の受容ゾーン22に受け入れられたときの吸引コンポーネント10を示す。上述したように、この構成では、ベースユニット20の誘導加熱コイル23は、吸引コンポーネント10のサセプタ13を取り囲む。
図1Bに示すように、吸引コンポーネント10が受容ゾーンに配置されている間、作動センサ24は、吸引コンポーネントが使用のために取り外されようとしているので吸引コンポーネントにおけるサセプタ13を加熱すべきであることを検出する。上記のように、この検出は、目下の実施形態に応じて様々なセンサ技術に基づくことができる。本例では、作動センサ24は、使用者が使用のために吸引コンポーネントを引き抜き始めたときに吸引コンポーネントの動きを検出するように構成された運動センサであると想定している。
【0031】
作動センサ24が、吸引コンポーネントにおけるサセプタ13が加熱されるべきであると判定すると、信号が制御回路26に送られ、それに応答して、制御回路は、電源25から電力を誘導加熱コイルに適切に誘導することによって、駆動信号を誘導加熱コイル23に印加する。誘導加熱コイルへの駆動信号の印加は、サセプタ13に電流を誘導し、それによりサセプタを加熱する。本例では、誘導加熱コイル23は、サセプタを2秒以内に約200℃の温度に加熱するように構成されている。この加熱速度を達成するために誘導加熱コイル23に印加される駆動信号の特性は、誘導電流に対するサセプタの感受性とその熱質量(すなわち、蓄熱体13のサイズ)に依存することは理解されよう。しかしながら、上述したように、誘導加熱コイルの動作は従来の誘導加熱器技術に従ってもよい。
吸引コンポーネント10が受容ゾーンから引き出されている(すなわち、受容ゾーンから離れ始めている)ことを検出する作動センサ24によって誘導加熱が開始される本例においては、蒸気供給システム2の使用者は、必要性を知ることができる。吸引コンポーネント10を受容ゾーンから比較的ゆっくりと引き出し、吸引コンポーネントが引き出されるときにサセプタが加熱される時間を与える必要性を意識しているとよい。いくつかの場合では、誘導加熱コイル23が駆動されているときを示すためにインジケータ、例えばライトが設けられてもよい。したがって、制御回路が、十分なエネルギーが吸引コンポーネントにおけるサセプタ13に伝得られたと判断すると(例えば、誘導加熱コイルの所定の駆動時間の後)、インジケータライトはオフに切り替わり。したがって、使用者が吸引コンポーネント10を受容ゾーンから引き抜き始めると、インジケータライトが点灯するのを見て、インジケータライトが消えるまで吸引コンポーネントを引き抜くのを遅らせるべきであることを理解する。吸引コンポーネントが引き抜かれ始めるときをベースユニットが判定することに応答して加熱コイルを作動させることに基づく手法では、使用者にフラストレーションを与える可能性がある遅延を必要とせずにサセプタを加熱するのに十分な時間を与えないという所与の実施形態に懸念がある場合には、別の作動センサによる手法を採用することができる。例えば、上述したようにベースユニットに近づく使用者の手の検出に基づく近接センサによる手法が代わりに使用されてもよい。この場合、加熱コイル23の作動は、使用者が吸引コンポーネントをベースユニットから取り出し始める前に開始することができ、それにより、使用者が感じる遅延を低減するのに役立つ。
【0032】
図1Cは、サセプタ/蓄熱体13が誘導加熱コイル23によって加熱された後にベースユニット20から取り外された吸引コンポーネント10を概略的に示している。この段階では、吸引コンポーネント10は、使用者が吸い口端部14を吸い、空気を空気入口15から、ハウジング11によって画定される空気流路に沿って引き込むことができるという点で、使用者による吸引の準備が整っている。使用者がこれを行うと、蓄熱体13の熱が熱伝導により蒸気前駆体材料12の一部を気化し、結果として生じる蒸気が吸引コンポーネントを通る空気流に同伴され、吸い口14を通して使用者によって吸引される。液体空気前駆体材料を保持している有機綿が十分に緩んだ状態にあるいくつかの構成では、その空気は詰め物を通して引き込むことができ、他のいくつかの構成では、蒸気が蓄熱体13により生成されている領域に主として存する吸引コンポーネントを通って空気が引き出され得るように、空気チャネルがサセプタの近くの詰め物を通る通路によって提供されてもよい。
【0033】
吸引コンポーネントを1パフし(一吸いし)、蒸気の一部を吸引した後、使用者は、2回目のパフ(場合によってはそれ以上のパフ)のための十分な蒸気前駆体材料を気化し続けるのに十分である温度を保持するのに十分な熱容量を蓄熱体が有している場合、2回目のパフの準備ができている吸引コンポーネントを保持し続けることがある。他の場合では、蓄熱はパフを1回だけもたらすのに十分であり、その結果、使用者が1パフをしたときには、吸引コンポーネントを受容ゾーンに戻し、上述したのと同様な態様で次のパフのために再加熱される準備をするようにするとよい。使用者は、蒸気前駆体材料が使い果たされるまで、必要に応じて再加熱しながら、吸引コンポーネントを吸い続けることができる。この時間の後、吸引コンポーネントを廃棄して、新しい吸引コンポーネントを使用することができるが、基本的には吸引コンポーネントを補充することもできる。例えば、綿の詰め物が液体の一部を吸収し、吸引コンポーネントを蒸気前駆体材料で実質的に再充填してさらに使用するよう、吸引コンポーネントを液体の蒸気前駆体材料溜めに浸すことができる。いくつかの例では、蒸気前駆体材料溜め/リザーバがベースユニット内に設けられ、吸引コンポーネントが受容ゾーンに受け入れられると、吸引コンポーネントの一部、例えば端部が蒸気前駆体材料のリザーバと接する。したがって、ベースユニットは、吸引コンポーネントに熱を与えて蒸気前駆体材料を気化させるだけでなく、ベースユニットはまた、吸引コンポーネントに蒸気前駆体材料自体を提供することもできる。その意味で、吸引コンポーネントは最初、蒸気前駆体材料なしで供給されてもよい。さらに、場合によっては、吸引コンポーネントは、気化された前駆体材料が使用者によって吸われ吸引されるまで気化された前駆体材料が吸引コンポーネントに残っている状態で、吸引コンポーネントが依然としてベースユニットの受容ゾーンにある間に気化され得る、1回のパフに対応する液体の量を吸収するように構成されることができる。
【0034】
1つの使用シナリアとしては、例えばレストランやバー、バス停留所のような人々が頻繁に待つエリア等の公共スペースにベースユニットが設けられ、使用者が、そのような「公共」ベースユニットと組み合わせて使い捨てを基本として使用されるよう、個別の又はパックの吸引コンポーネントを単に購入することが考えられる。例えば、ベースユニットは、吸引コンポーネントの製造業者/供給業者によって提供されてもよい。その点で、吸引コンポーネントとベースユニットは、例えば吸引コンポーネントに特定の形状をベースユニットの特定の形状と一致させることを要求することによって、又は他の識別手段(例えば、関連するベースユニットで使用できる吸引コンポーネントとして各吸引コンポーネントを識別するために、各吸引コンポーネントに設けられたRFIDタグ)を用いることによって、協働するようにのみ構成されるとよい。したがって、この手法は、完全なスタンドアロンデバイス(すなわち、バッテリーと独自の制御電子機器を有するデバイス)を必要とせずに、電子タバコによって提供される種類の蒸気を吸引する可能性を使用者に与える。これは、いくつかの理由で望ましい場合がある。例えば、使用者は、単に、かさばるスタンドアロンデバイスを持ちたくないことがある。使用者は自分のデバイスを有しているかもしれないが、それを携帯するのを忘れたため、暫定的に公共ベースユニットで使用するための使い捨て吸引コンポーネントのパックを購入したい場合がある。さらに別のシナリオでは、使用者は自分の電子タバコを有しているかもしれないが、例えばサンプルテストによって、上記の種類の使い捨て吸引コンポーネントとして提供される新しい香料を試したいだけの場合もある。
【0035】
図2は、
図1A~
図1Cを参照して上で論じられた吸引コンポーネントを断面図で概略的に示している。
【0036】
図3は、
図1A~
図1Cを参照して上で論じられ、
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント30を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する対応する要素から理解されるであろう
図3に示される吸引コンポーネント30の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。この吸引コンポーネント30は、ハウジング11内にタバコの一部分(以下「タバコ部分」ともいう)16が追加されていることで、
図2に示されている吸引コンポーネントとは相違している。タバコ部分16は、吸引の前に蒸気前駆体材料12から生成された蒸気がタバコ16を通して引き込まれように、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の下流側(すなわち、蒸気前駆体材料と吸い口との間)に配置されたルーズカットタバコの断面を含み得る。これは、場合によっては必要な追加の香料特性を使用者に提供するのに役立つ。
図3の吸引コンポーネント30は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。
【0037】
図4は、
図1A~
図1Cを参照して上述され、
図2に示される吸引コンポーネント10の別の変形である吸引コンポーネント40を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図4に示される吸引コンポーネント40の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図4に示される吸引コンポーネントは、ハウジング11内にタバコ部分16が追加されていることで、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。タバコ部分16は、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の上流側に配置され(すなわち、蒸気前駆体材料は、タバコ部分と吸い口との間にある)、吸引コンポーネントに入る空気は、蒸気前駆体材料を通過する前にタバコ16を通して引き込まれるようになっている。これは、場合によっては必要な追加の香料特性を使用者に提供するのに役立つ。
図4の吸引コンポーネント40は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって画定される円筒形の凹部は、サセプタを有する吸引コンポーネントの部分がベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に深く作られる。
【0038】
図5は、
図3に示され上述された吸引コンポーネント30の変形である吸引コンポーネント50を概略断面図で示している。
図3に示された吸引コンポーネント30の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図5に示した吸引コンポーネント50の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図5に示される吸引コンポーネントは、蓄熱体/サセプタ13が液体前駆体材料12及びタバコ部分16の両方と熱的に接触する大きさとなっている点で、
図3に示される吸引コンポーネントとは相違している。したがって、使用時、タバコ部分16並びに蒸気前駆体材料12の両方が蓄熱体によって加熱される。その意味で、タバコ部分16自体は、吸引コンポーネントの蒸気前駆体材料の一部と見なすことができる(すなわち、
図5は、蒸気前駆体材料が液体と固体の両方を含む例を示している)。この手法の変形において、液体の蒸気前駆体材料及びタバコ部分は、ベースユニットによって別々に加熱され得る(両方にまたがる単一のサセプタとは対照的に)別個のサセプタと関連付けられ得る。
図5の吸引コンポーネント50は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって画定される円筒形の凹部と誘導加熱コイルとは、サセプタを有する吸引コンポーネントの部分がベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に大きく作られる。
【0039】
図6は、
図5に示され上述された吸引コンポーネント50の変形である吸引コンポーネント60を概略断面図で示している。
図5に示された吸引コンポーネント50の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図6に示された吸引コンポーネント60の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図6に示される吸引コンポーネントは、液体の蒸気前駆体材料12及びタバコ部分(固体の蒸気前駆体材料)16が、空気入口15と吸い口出口14との間の空気流路に沿ったそれらの相対位置で入れ替わっているという点で、
図5に示される吸引コンポーネントと相違している。
図6の吸引コンポーネント60は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって改訂される円筒形の凹部と誘導加熱コイルとは、サセプタを有する吸引コンポーネントがベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に大きく作られる。
【0040】
図7は、
図1A~
図1Cを参照して上述されかつ
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント70を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図7に示された吸引コンポーネント70の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図7に示される吸引コンポーネントは、フィルタセクションが吸い口開口15に隣接する空気流路内に追加されているという点で、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。フィルタセクション17は、例えば、任意の従来の紙巻きタバコで使用されるタイプのフィルタ材料、例えば酢酸セルロースを含んでもよい。さらに、フィルタセクション17は、香味料カプセル内の香味料がフィルタ内に吸収され、吸引コンポーネントによって提供される蒸気に香味料特性を付与することができるように、使用者が選択的に破壊することができる香味料カプセル18を含む。例えば、香味料カプセル18は、メントール又は他の香味料を含有する液体を内包する破壊可能な外皮を備えるものとすることができる。これに関して、香味料カプセル18は、例えばその材料構造や含有量の面で、従来の紙巻きタバコと組み合わせて一般的に使用される香味料カプセルのタイプと対応させることができる。
図7の吸引コンポーネント70は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。より一般的には、吸引コンポーネントは、例えば濾過することにより又は加香することにより、吸引コンポーネントからの出力の官能特性を変更するための他の手段が設けられてもよいことは理解されよう。
【0041】
さらに、上述のいくつかの例のような、液体に浸された詰め物及び平坦なサセプタに基づく手法に加えて、蒸気前駆体材料及び蓄熱体が設けられ得る様々な異なる態様があることは理解されよう。いくつかの代替的な構成が
図8~
図10に概略的に示されている。
【0042】
図8は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント80を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図8に示された吸引コンポーネント80の要素は、対応する参照符号で特定される。入口15の近くの吸引コンポーネント80の一部分のみが
図8に示されているが、吸引コンポーネントの残りの部分は、本書で論じられる他の例のいずれかと一致して形成され得ると理解されるべきである。
図8に示される吸引コンポーネント80は、液体の蒸気前駆体材料が加熱のためにサセプタ/蓄熱体に供給されるという態様において、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違する。上記の例では、蒸気前駆体材料は、一般に蓄熱体に近接している綿の詰め物に保持される。しかしながら、
図8の例では、液体の蒸気前駆体材料12は、管11の内周の環状リザーバに保持され、この例では、セラミック繊維を含むウィッキング(毛細管現象を奏する)要素19が、気化のために液体の蒸気前駆体材料をサセプタ13へと引き出すように構成されている。液体の蒸気前駆体材料は、例えば、
図2の構成を参照して上述した種類の環状の詰め物材料に保持されてもよいし、ウィッキング要素が延在している環状壁付きチャンバ内に貯留された自由液体を含んでもよい。この点に関して、
図8の配置構成は、液体の蒸気前駆体材料の大部分を保持するための比較的高い多孔性領域と、サセプタへの液体の流れを所望の速度で制御するためのより低い多孔性のウィッキング要素とを含むと考えることができる。ウィッキング要素は、他の材料と形態、例えば繊維性材料ではなく多孔性材料を備えてもよく、セラミック、金属又は他の任意の適切な材料、例えば繊維ガラスを含んでもよいことは理解されよう。より一般的には、サセプタの熱に耐えることができるとともに、液体の蒸気前駆体材料をサセプタに吸い上げることができる任意の材料を使用することができる。
図8の吸引コンポーネント80は、
図2の吸引コンポーネント10と共に使用され上述されたベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。
【0043】
図9は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示された吸引コンポーネント10のさらに別の変形である吸引コンポーネント90を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図9に示された吸引コンポーネント90の要素は、対応する参照符号で特定される。
図8に関していうと、入口15の近くの吸引コンポーネント90の一部分のみが
図9に示されているが、吸引コンポーネントの残りの部分は、上述の例のいずれかと一致して形成され得ると理解されるべきである。
図9に示される吸引コンポーネント90は、蓄熱体/サセプタ13及び蒸気前駆体材料12の配置によって、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違する。特に、
図9の例における蓄熱体/サセプタ13は、例えばワイヤウール/スチールウール等の繊維性金属材料を含み、蒸気前駆体材料12は、サセプタ13を含む繊維上のゲルコーティングを含む。これは、例えば、繊維状サセプタ13を液体形態の蒸気前駆体材料に単に浸漬することによって形成することができ、その蒸気前駆体材料は続いて乾燥/冷却されてゲルを形成する。
図9の吸引コンポーネント90は、
図2の吸引コンポーネント10と共に使用され上述されたベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。したがって、吸引コンポーネント90がベースユニットの受容ゾーンに受け入れられると、繊維状サセプタ13に電流が導かれてサセプタが加熱され、吸引コンポーネントがベースユニットから引き抜かれたとき、吸引のために、サセプタ13を構成する繊維をコーティングするゲル状の蒸気前駆体材料12が気化する。
【0044】
図10は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示される吸引コンポーネント10のさらに別の変形である吸引コンポーネント100を概略断面図で示している。
図10に示される吸引コンポーネント100の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図10に示される吸引コンポーネント100の要素は、対応する参照符号で特定される。
図8及び
図9に関していうと、吸引コンポーネントの入口15端の近くの吸引コンポーネント100の一部分のみが
図10に示されており、吸引コンポーネントの残りの部分は、上述された他の例のいずれかに対応し得ることを理解すべきである。
図10に示される吸引コンポーネント100も、蓄熱体/サセプタ13及び蒸気前駆体材料12の配置が、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違している。特に、
図10に示される構成では、液体の蒸気前駆体材料12は、綿の詰め物の母体内ではなく、環状壁付きチャンバ27内に保持される。壁付きチャンバ27は、例えば、
図10に概略的に示されるように、吸引コンポーネント100の管状のハウジング10内に配置するための実質的に管状のインサートを備える場合があるが、他の実施形態では、ハウジング11と一体的に形成されてもよい。
図10のサセプタは、実質的に平坦状の金属メッシュ(又は他の多孔性構造)、例えば実質的にシート形状をとる焼結金属繊維材料を備える。サセプタの少なくとも1つの縁部は、チャンバ27の内壁の対応するスロット内に延在し、それにより、サセプタがチャンバ27内から液体12を吸い上げ、それにより濡れた状態となることを可能にする。使用中、サセプタ13は、上述した種類のベースユニット内の誘導コイルによって加熱され、それにより、液体がサセプタ13の表面から気化されて、使用者による吸引が行われる。サセプタ13から気化した液体は、サセプタ材料自体の多孔性のために、周囲のチャンバ内の液体から毛細管現象の作用によって補充される。すでに述べたように、サセプタ13の特定のサイズと形状は重要ではないが、
図10の例では、それは鋼の焼結繊維を含む実質的に長方形であり、約25mm×3.5mm×1mmの寸法を有する。
【0045】
図11は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示される吸引コンポーネント10のさらに別の変形を表す吸引コンポーネント110を概略断面図で示している。
図2に示される吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図11に示される吸引コンポーネント110の要素は、対応する参照符号で識別される。
図11に示される吸引コンポーネント110は、蒸気前駆体材料12がサセプタ/蓄熱体13と直接熱的に接していないが上流側(すなわち、サセプタ/蓄熱体13と吸い口出口14との間)に配置されている点で、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。したがって、使用時、サセプタは、例えば、上述した種類のベースユニットを使用して加熱され、使用者がマウスピース端部14を吸うと、空気は、空気入口を通り、蓄熱体13の熱によって加熱される吸引コンポーネント110に吸い込まれるので、加熱された空気は、蒸気前駆体材料を通して/その全体に引き込まれて、吸引用の蒸気を生成する。この構成はいくつかの面で、使用者が吸引コンポーネント110を通して空気を引き込んでいないときに蒸気前駆体材料に伝達される熱がなく(又は少なくとも大幅に少なく)、その結果、デバイスがパフ(吸込み)されていないときには気化が少ないという点で、パフ作動式のデバイスに対応すると考えられ得る。別の実施形態では、これらの2つの要素を整列/近接させて蒸気を生成し、また実際に蒸気生成を停止するために整列/近接から外すことができるように、蓄熱体が蒸気前駆体材料に対して移動することができるよう吸引コンポーネントを構成配置してもよい。この場合、相対運動は、例えば、蓄熱体の一方又は他方で、使用者の吸引行為によって駆動されてもよく、又は使用者が吸引コンポーネントの吸い口を吸った際の吸引コンポーネント内の空気流によって移動される蒸気前駆体材料によってもよい。さらに別の実施形態では、使用者が吸引コンポーネントを吸ったときに開かれるフラップによって、蓄熱体の周囲の領域が閉じられてもよい。したがって、吸引コンポーネントの周囲の領域は、使用者がデバイスを吸ってフラップを開き、蒸気を引き出すまで、実際には蒸気が逃げることができない閉鎖空間となり得る。
【0046】
もちろん、本書に記載されている開示の様々な実施形態の特徴を組み合わせることができることは理解されよう。例えば、
図7に示される種類のフィルタ及び香料カプセルは、
図2から
図6及び
図8~
図11に示される構成のいずれにも提供され得る。同様に、
図3が
図6に示される種類のタバコ部分は、
図8~
図11に示される構成のいずれにも含めることができる。さらに、
図8~
図11に示される蒸気前駆体材料及び蓄熱体の構成のいずれかは、
図2~
図7に示される構成のいずれかと共に使用されてもよい。より一般的には、使用するためにベースユニットから引き抜かれた吸引コンポーネント内の蒸気前駆体材料を気化させる蓄熱体を加熱するためのエネルギーを提供すべくベースユニットを使用するという基本的な原理に合わせて採用できる幅広い実施形態があることは理解されよう。
【0047】
さらに、すでに述べたように、ベースユニットは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、
図1A~
図1Cに示される例では、ベースユニットは管状開口の形態の単一の受容ゾーンを含むが、他の例では、ベースユニットは、対応する複数の吸引コンポーネントを同時に取り扱うための複数の受容ゾーンを備え得る。さらに、受容ゾーンは、管状の凹部以外の構成を備え得る。
【0048】
これに関して、
図12の概略図は、
図1A~
図1Cに概略的に示されたベースユニットとは異なる設計構造を有するベースユニット120を示している。この例では、ベースユニット120は、実質的に半管の形の4つの受容ゾーン22を備え、その受容ゾーンに吸引コンポーネント(1つの例示的な吸引コンポーネント10が
図12に示されている)が配置され得る。吸引コンポーネントが受容ゾーン22の1つに受け入れられた場合、その蓄熱体は、上記の原理に従って誘導的に加熱され得る。この点に関して、誘導コイルの構成は、それが吸引コンポーネントを完全に包囲しないが、実際には、吸引コンポーネント内の一側に隣接するという点で、
図1A~
図1Cに概略的に示されているものとは異なることは理解されよう。これに関して、誘導コイルは、平坦又は湾曲したコイルとすることができる。より一般的には、誘導コイルの設計及び構成は、誘導加熱のための十分に確立された原理を考慮して選択することができる。いくつかの形状では、誘導コイルに対して吸引コンポーネントには優先的な向きがあり、この場合、吸引コンポーネントは、使用する方向を示すためにマークされているとよい(例えば、吸引コンポーネントの転写ステッカーが上を向いている、又はベースユニット上にマークを並べて配置する等)。
図12に示されるベースユニット120には、
図1A~
図1Cに示されるベースユニット20について上述した種類の機能が与えられ、複数の異なる受容ゾーンにその機能が与えられ得る。したがって、複数の受容ゾーンを有するベースユニット120は、対応する複数の誘導コイル及び作動センサを備え得る。
【0049】
以上、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムであって、吸引コンポーネントが蓄熱体及び蒸気前駆体材料を備え、ベースユニットが、吸引コンポーネントを受け入れる受容ゾーンと、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、熱が、加熱された蓄熱体から蒸気前駆体材料に伝えられ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようにする、エネルギー源とを備える、蒸気供給システムについて説明した。
【0050】
また、ベースユニットと吸引コンポーネントとを備える蒸気供給システムで使用するためのベースユニットも記載されており、このベースユニットは、吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された蓄熱体からの熱が使用されて、蒸気前駆体材料の一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようにする、エネルギー源とを備える。
【0051】
さらに、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムで使用するための吸引コンポーネントも記載されており、この吸引コンポーネントは、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーンに受け入れられたときにベースユニット内のエネルギー源によって加熱されるよう構成された蓄熱体を備えており、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された蓄熱体からの熱が使用されて、蒸気前駆体材料の一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている。
【0052】
上述の例示的な実施形態は、ベースユニットが電磁誘導によって吸引コンポーネント内の蓄熱体を加熱するように構成されるという手法に焦点を合わせてきた。しかしながら、ベースユニットから蓄熱体にエネルギーを伝達するための他の技術を使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニットは実際にホットプレート/ヒータを備えるとよく、吸引コンポーネント内の蓄熱体は、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーン内に配置されるときに蓄熱体が熱伝導により加熱されるように、蓄熱体がホットプレート/ヒータと接して或いは近づいて配置されるよう構成されるとよい。他の例示的な手法は、吸引コンポーネントがベースユニットに配置されるときの蓄熱体の光学的加熱という手法を含み得る。
【0053】
さらに、いくつかの特定の蓄熱体と蒸気前駆体材料の構成について例として説明してきたが、他の構成が使用されてもよいことは理解されよう。例えば、金属シートの形態で蓄熱体を形成するのではなく、蓄熱体は、ブロック形状又はロッド形状を有するものとすることもでき、そして固体又は多孔性でありものとすることができる(例えば、金属メッシュ、発泡繊維又は金属粒子のアレイを含むもの等)。さらに、蓄熱体は金属である必要はなく、例えば、誘導加熱を使用しない実施形態では、導電性セラミック又は非導電性材料を含むものであってもよい。同様に、蒸気前駆体材料は、様々な形態の液体、固体、ゲル、ペースト又は発泡体を採用することができる。
【0054】
また、ベースユニットは、いくつかの実施形態のために追加の機能を備えることができることも理解されよう。例えば、いくつかの場合において、ベースユニットは、例えば、サーモパイルにより蓄熱体からの赤外線放射を検出することに基づいて、又は熱電対や他の温度センサを用いて、蓄熱体の温度を測定する手段を組み込んでもよい。この場合、ベースユニットは、適切な温度に到達するまで、吸引コンポーネントの蓄熱体へのエネルギーの移動をもたらすように構成され得る。いくつかの実施形態では、吸引コンポーネントには、例えばRFIDタグの形で、ベースユニットが読み取るように構成された識別子が設けられるとよい。そのような場合、ベースユニットは、例えば、特定の吸引コンポーネント(例えば、所定の供給業者からの吸引コンポーネント)でのみ機能するように構成されてもよいし、又は、異なる吸引コンポーネントで使用され得る蒸気前駆体材料又は蓄熱体の異なる特性を考慮するよう、吸引コンポーネントの同一性に応じて異なるタイプの吸引コンポーネントに対して異なる動作をするように構成されてもよい。
【0055】
さらに、いくつかの例では、ベースユニットは、サセプタがベースユニットに挿入されるときに、サセプタのサイズ又は表面色又は電磁特性等の吸引コンポーネントの特性を検出し、この検出に基づいて、異なる量のエネルギーを蓄熱体に提供するように構成されてもよい。例えば、液体の蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントは、固体の蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントよりも少ない熱しか必要としないため、固体の蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントはより大きな蓄熱体を有する。ベースユニットは、(例えば、従来の金属検出技術を使用して)蓄熱体のサイズを検出し、誘導加熱コイルを使用して適切な量のエネルギーを提供するように構成され得る。
【0056】
図13A~
図13Cは、異なる使用段階での本開示の特定の他の実施形態による蒸気供給システム200を非常に概略的な断面で示したものである。
図1A~
図1Cに示された蒸気供給システム2の対応する要素と機能的及び/又は構造的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図13A~
図13Cに示される蒸気供給システム200の要素は、対応する参照で識別され、これらの要素のさらなる詳細はすでに上で述べたとおりであるので、簡潔にするために再び詳細に説明することはしない。
図13A~
図13Cの蒸気供給システム200は、ベースユニットが、吸引コンポーネントと関連付けられた識別子(例えば、吸引コンポーネント自体についての識別子又は吸引コンポーネントに関連付けられた使用者についての識別子)との関連で、使用者の吸引のために蒸気を生成するよう吸引コンポーネントにより使用される消耗品(例えばエネルギー及び/又は蒸気前駆体材料)の供給についての記録を、作成することに関連して追加的な機能を提供するという点で、
図1A~
図1Cの蒸気生成システム2と相違している。吸引コンポーネントへの消耗品の供給の記録は、例えば、使用者への請求及び/又は市場調査の目的で使用することができる。
【0057】
図13A~
図13Cに示されるシステム200も、吸引コンポーネント210及びベースユニット220を備える。
【0058】
図13A~
図13Cに示された吸引コンポーネント210は、この例では、
図1A~
図1Cに示された上述した吸引コンポーネント10と同様であり、それは吸引コンポーネント10から理解されるであろう。しかしながら、
図13A~
図13Cに示されている吸引コンポーネント210は、この例では、無線周波数識別(RFID)タグ240を備える吸引コンポーネントの識別子と、蓄熱体/サセプタ13の近くに蒸気前駆体材料12を保持するために吸収性の詰め物材料212と接触する吸引コンポーネント210入口端15にあるウィック要素230とを含む点で相違する。この例では、吸収性詰め物材料212は有機綿を含むが、
図1A~
図1Cの吸引コンポーネント10に関して上で述べたように、他の例では、詰め物材料は他の吸収性材料、例えば繊維ガラス、スチールウール、紙、セラミック繊維、タバコ材料等を含むものであってもよい。
【0059】
RFIDタグ240は、従来のRFIDタグ付け技術に基づくことができる。RFIDタグは、製造中又はその後のプログラミング中に吸引コンポーネントに組み込まれた吸引コンポーネントの識別子を含み得る(例えば、使用者が吸引コンポーネントを購入するとき、RFIDタグは使用者に関連付けられた識別子でプログラムされ得る)。
【0060】
吸引コンポーネントの入口端15のウィック要素230は、吸引コンポーネント10の入口端15が液体の蒸気前駆体材料のリザーバ(この例では、ベースユニットによって設けられている)に浸漬されると、蒸気前駆体材料がウィック要素230を通って吸収性詰め物材料212へと引き込まれ、吸収性詰め物材料212が液体の蒸気前駆体材料のリザーバから引き出された液体の蒸気前駆体材料で湿潤され、上述したように、例えば誘導加熱によって蒸気を生成するように吸引コンポーネントの準備が整うように、構成されている。
【0061】
図13A~
図13Cに示されたベースユニット220は、この例では、
図1A~
図1Cに示され上述されたベースユニット20と多くの点で同様であり、それはベースユニット20から理解されよう。しかしながら、
図13A~
図13Cに示されるベースユニット220は、吸引コンポーネントが受容ゾーン22に受け入れられるときに吸引コンポーネント210から識別子を読み取るための識別子リーダ240と、吸引コンポーネントに対して供給するための液体の蒸気前駆体材料を保持するための液体供給チャンバ250と、吸引コンポーネントに供給するための前駆体材料、及びインターネット300を介してベースユニットとリモートサーバ400との間の通信をサポートするために制御回路26に接続された通信インターフェース280とを備えている点で相違している。
【0062】
この例の識別子リーダ242は、吸引コンポーネントが受容ゾーン22に配置されたときにそのRFIDタグ240に記憶された吸引コンポーネント210の識別子を読み取るようにベースユニット210に配置された従来のRFIDタグリーダを備えている。これに関して、識別子リーダ240は、従来の技術に従って動作するように構成されるものとすることができ、例えば、吸引コンポーネントが最初に受容ゾーンに配置されたことを検出したことに応答して、吸引コンポーネントから識別子を読み取るように構成されるものとしてもよい。したがって、ベースユニットらおける識別子リーダ242と吸引コンポーネントにおけるRFIDタグ240とは、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーン22に受け入れられたときに、或いは他の実施形態の例では、その他の態様で吸引コンポーネントがベースユニットに結合されたときに、ベースユニットが吸引コンポーネントの識別子を特定する(吸引コンポーネントを識別する)ことができるよう協働する。他の例では、ベースユニットが吸引コンポーネントの識別子を特定することを可能にするために、他の手法が用いられてもよいことは理解されよう。例えば、吸引コンポーネントは、その表面にマークされたバーコード、QRコード(登録商標)、又は他のコードを有することができ、これらは、吸引コンポーネントの識別子を特定するためにベースユニットの識別子リーダ242によって光学的に検出される。より一般的には、識別子が吸引コンポーネントに組み込まれ、ベースユニットによって検出され/読み取られることができる任意の既知の手段が、本開示の異なる実施形態に従って採用され得る。すなわち、本開示の特定の実施形態にとって重要なことは、ベースユニットが吸引コンポーネントの識別子を特定することができることであるが、ベースユニットがこの識別を可能にする特定の態様は、ここで述べる原理にとっては重要ではない。
【0063】
液体供給チャンバ250が液体の蒸気前駆体材料を含んでおり吸引コンポーネントが受容ゾーン22に配置されるときに、吸引コンポーネント210の端部にある吸収性のウィック230が液体供給チャンバ内の液体と接触し、液体が、蓄熱体/サセプタ13に隣接する吸収性の詰め物212を湿潤させるべく吸引コンポーネント210内に引き込まれるよう、液体供給チャンバ250は受容ゾーン22の端部に配置されている。したがって、液体供給チャンバ250は、吸引コンポーネントに蒸気前駆体材料を供給するための機構を提供する。この例では、吸引コンポーネントへの液体の蒸気前駆体材料の供給は、リザーバからの単純な吸収に基づいている。すなわち、吸引コンポーネントの吸収性のウィック230は、実際には、液体を吸収するために液体のリザーバに単に浸漬されるだけである。液体供給チャンバ250は、多くの吸引コンポーネントを供給するのに十分な液体を含む比較的大きなチャンバとすることができ、適切なレベルを維持するために液体供給源からベースユニットによって自動的に補充され得る。或いは、液体供給チャンバ50は、例えば1つの吸引コンポーネントに対してだけ十分な液体を含む、較的小さなものとしてもよく、使用毎に液体供給源からベースユニットによって液体で満たされてもよい。いくつかの例では、吸引コンポーネントは、別個独立の吸収性のウィック230を含まない場合があり、液体の蒸気前駆体材料を蓄熱体の近傍に保持するための吸収性の詰め物材料212の一部分それ自体を、ベースユニットによって供給される液体の蒸気前駆体材料を吸収するために液体リザーバに浸して液体を吸収するようにしてもよい。他の実施形態では、さらに他の手法を取ることができる。例えば、ベースユニットは、ある量の液体の蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントの関連部分に供給駆動するように配置構成されたポンプを備えてもよい。より一般的には、本開示の異なる実施形態に従って、吸引コンポーネントに蒸気前駆体材料が提供される任意の手段を採用することができる。すなわち、重要なことは、ベースユニットが吸引コンポーネントに一定量の蒸気前駆体材料を供給できることであり、これを実行するためのベースユニットを構成する特定の態様は、本書で説明した原理にとっては重要なことではない。
【0064】
上述したように、通信インターフェース280によって、ベースユニットは、この例ではインターネット300を介して、リモートサーバ400と通信することができる。通信インターフェース280の特定の性質は、例えば用いられる通信プロトコルやリンクアーキテクチャの観点においては、本書で説明する原理にとって重要ではなく、通信インターフェースは、例えばインターネットへの有線接続又は無線接続に基づいて、従来の技術に従って動作し、例えばモバイル通信ネットワーク等の中間ネットワークを介して、又は直接的にインターネットに接続することができる。いくつかの例では、ベースユニットは、インターネットを介するのではなく、例えばプライベートネットワーク/プライベート通信ルートを介してリモートサーバ400に直接接続することができる。
【0065】
次に、
図13A、
図13B及び
図13Cに示される蒸気供給システム200の全体的な構造及び構成について、特にそれが
図1A、
図1B及び
図1Cに示される蒸気供給システム20とどのように異なるかに関して、システム200の使用例について説明する。この関連において、
図13Aは、未使用の吸引コンポーネントが使用者によって購入された後に初めて使用されようとしている状況を概略的に示すものと仮定する。また、この例によれば、吸引コンポーネントは、最初は乾燥状態で、すなわち液体の蒸気前駆体材料なしで、供給されると仮定する。この例ではさらに、吸引コンポーネントのRFIDタグ240は、製造中にRFIDタグに符号化された吸引コンポーネントの識別子を示す事項を含むと仮定する。例示的な使用のシナリオを形成するために、ここでは、使用者が吸引コンポーネントを購入するときに、その識別子が使用者のアカウントに対してリスト化され、その詳細がサーバ400に記憶されていると仮定する。すなわち、どの使用者がどの吸引コンポーネント識別子に関連付けられているかを示すために、記録がサーバ400に保持される。これは、本書に記載された原理によってベースユニットを備えた吸引コンポーネントのその後の使用が、例えば費用請求及び/又は市場調査の目的で、特定の使用者に適合され得るようにするためである。記録は、従来の技術に従って、例えばある地点の売り場端末とサーバとの間の通信リンクを利用して、サーバで受信及び保持され得る。
【0066】
したがって、
図13Aでは、吸引コンポーネント210は、ベースユニット220の受容ゾーン22に近づいているところが示されている。この段階では、未使用の吸引コンポーネント210内のサセプタ/蓄熱体13は低温であり(すなわち、周囲温度であり)、サセプタ/蓄熱体13を取り囲む吸収性の詰め物212は、液体の蒸気前駆体材料を含まない。
【0067】
図13Bは、ベースユニット220の受容ゾーン22に受け入れられたときの吸引コンポーネント210を示している。上述したように、この配置構成では、ベースユニットは、識別子リーダ242を使用して吸引コンポーネント210内のRFIDタグ240を読み取ることによって吸引コンポーネントの識別子を検出するように構成され、吸引コンポーネントの吸収性のウィック230もベースユニットの液体内へと延びている。これにより、液体供給チャンバ250に溜められた液体の蒸気前駆体材料が吸引コンポーネントに吸収され、蓄熱体13に隣接するリザーバ詰め物212に引き込まれる。したがって、実際には、ベースユニットは、使用者の吸引のために蒸気を生成する場合に、次いで使用するための量の液体の蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントに供給する。この例では、吸引コンポーネントへの蒸気前駆体材料の消耗品の供給は、単純な吸収に依存するという受動的なものである。したがって、使用者には、十分な液体を吸引コンポーネントに引き込むことができるようにするために、少なくとも最小時間の間、吸引コンポーネントをベースユニットに結合したままにしておくべきであることを認識させるとよい。ベースユニットが、例えばポンプシステムを介して、吸引コンポーネントへの蒸気前駆体材料の供給を能動的に行わせるという他の例では、ベースユニットは、吸引コンポーネントが最初にベースユニットに結合されるとき(すなわち、この例は受容ゾーンに配置されるとき)を検出し、それに応じて蒸気前駆体材料の供給を起動するように構成されてもよい。適切な量の蒸気前駆体材料が吸引コンポーネントに供給されたとき、ベースユニットは、例えば、液体の蒸気前駆体材料の供給がいつ完了するかを使用者が認識できるように表示灯の状態を変えることによってこれを示すことができる。
【0068】
蒸気前駆体材料が吸引コンポーネントに供給されると(例えば、液体が液体補充チャンバから吸引コンポーネントに引き込まれるのに十分な時間の後)、吸引コンポーネントは、ベースユニットから引き出される/切り離される準備が整い、使用者の吸引のための蒸気が生成される。これは、例えば、吸引コンポーネント210が動作センサからの信号に基づいて、使用のために受容ゾーン22から取り出されるべきであることが検出されたときにサセプタ/蓄熱体13を加熱するために使用される誘導コイル23を用いて、上述の原理に従って実行され得る。
【0069】
図13Cは、使用者の吸引のために蒸気を生成する場合に使用される、この例では2つの異なるタイプの消耗品、すなわちある量の蒸気前駆体材料及びある量のエネルギーをベースユニットが吸引コンポーネントに提供した後に、ベースユニット220から取り外された吸引コンポーネント210を概略的に示している。この段階で、吸引コンポーネント210は、上述の態様で使用する準備ができている(すなわち、使用者は、吸い口端部14を吸い、空気を入口15を通して、ハウジング11によって定められた空気流路に沿って吸い込むことができ、一方、蓄熱体の熱は使用者の吸引のために蒸気前駆体材料の一部を気化することができる)。
【0070】
吸引コンポーネントを一吸いし(1回のパフを行い)、蒸気の一部を吸引したならば、使用者は場合によっては、別の吸引動作(パフ)を行うのに十分な蒸気前駆体材料と熱エネルギーが残っている場合、吸引コンポーネントを2回目のパフの準備状態に保持し続けてもよい。他の場合には、使用者は、別のパフのためのエネルギー及び/又は蒸気前駆体材料を再充填するために、吸引コンポーネントをベースユニットに戻さなければならないこともある。
【0071】
使用者の吸引のために蒸気が生成される態様に関しては、
図13A~
図13Cに示される蒸気供給システム200は、
図1A~
図1Cに示される蒸気供給システム2と同じように幅広く動作することができる。
図13A~
図13Cの例では、ベースユニット220は、吸引コンポーネント210に、使用者の吸引のための蒸気を生成する際に使用するエネルギー量に加えて、ある量の蒸気前駆体材料を提供するように構成される。
【0072】
したがって、13A~
図13Cで示されるプロセスの間、ベースユニット220は、ベースユニットに結合された吸引コンポーネント210の識別子を特定し、吸引コンポーネントに消費可能な量を提供するように構成される(この場合、蒸気前駆体材料とエネルギーであるが、他の例では、これらのうちのいずれか一方のみが提供されてもよい)。本開示の特定の例示的な実施形態によるベースユニットは、エネルギー及び/又は蒸気前駆体材料が吸引コンポーネントの識別子に関連して吸引コンポーネントに供給されたという事実の記録を維持するようにさらに構成されている。この記録は、ベースユニットに保持されるか、リモートサーバに転送される。記録は、使用者への請求、市場調査及び/又は所定の吸引コンポーネントの再利用回数の制限等、様々な目的で使用され得る。
【0073】
図14は、吸引コンポーネント210へのエネルギー/蒸気前駆体材料(又はより一般的には蒸気生成に使用される消耗品)の供給の記録を作成することに関連するベースユニット220の動作の特定の態様に関連付けられたステップを概略的に示す流れ図である。
【0074】
処理はステップS1で開始する。このステップS1で、ベースユニットは、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーンに受け入れられている(又は手近な実施形態に応じてベースユニットに結合されている)ことを検出する。吸引コンポーネントがいつ受容ゾーンに配置されたかをベースユニットが検出できる方法には種々様々あり、例えば、機械的スイッチが吸引コンポーネントの存在によって作動されてもよいし、光学センサが吸引コンポーネントの存在を検出してもよい。ベースユニットが吸引コンポーネント内のRFIDタグ240用の識別子リーダ242を備えるこの例では、識別子リーダ242はRFID検出のための通常の技術に従ってRFIDタグの存在を容易にスキャンすると仮定しており、識別子リーダがRFIDタグを検出して読み取ることができる場合、ベースユニットは吸引コンポーネントが受容ゾーンに存在すると判定する。
【0075】
ステップS2において、ベースユニットは、吸引コンポーネントの識別子を判定する。この例では、識別子は、従来のRFID技術に従ってRFIDタグ240から読み取られる。しかしながら、本書の他の箇所で説明されているように、ベースユニットが様々な実施形態において吸引コンポーネントに関連付けられた識別子を特定することができる他の様々な方法があり、例えばいくつかの場合にはバーコードリーダ又は手動のユーザ入力の使用に基づく手法が利用され得る。
【0076】
ステップS3において、この例のベースユニットは、吸引コンポーネントがベースユニットでの使用が承認されているかどうかを判定する。これは、例えば、ステップS2で決定された識別子に基づくことができる。例えば、ベースユニットは、所定の製造業者によって提供される吸引コンポーネントでのみ動作するように構成され得、製造業者からの吸引コンポーネントは一意のコードをそれらの識別子に組み合わせた状態とされる。
【0077】
ステップS3において、現在ベースユニットに結合されている吸引コンポーネントがベースユニットでの使用を承認されていないと判定された場合、処理は「No(いいえ)」と記された分岐をたどってステップS4に至り、そのステップS4では、承認されていない吸引コンポーネントがベースユニットから取り除かれ(ステップS5に概略的に示されている)、別の吸引コンポーネントが受容ゾーンで検出されるまで処理が停止する(
図14のステップS5からステップS1に戻ることで概略的に示されている)。
【0078】
ステップS3において、現在ベースユニットに結合されている吸引コンポーネントがベースユニットでの使用が承認されていると判定された場合、処理は「Yes(はい)」と記された分岐をたどってステップS6に進む。
【0079】
ステップS6において、ベースユニットは、吸引コンポーネントにある量の蒸気前駆体材料を供給する。上述したように、
図13A~
図13Cに示される例示的なシステムの場合、これは、実際には、ベースユニット内のチャンバから液体を吸収する吸引コンポーネントによって自動的に起こり得る。また上述したように、ベースユニットは、例えば液体を吸引コンポーネント又は中間チャンバにポンプ注入することによって、蒸気前駆体材料をより能動的な態様で吸引コンポーネントに供給することができる。いくつかの例では、ステップS6は、吸引コンポーネントに供給される蒸気前駆体材料の量の決定を含み得るが、他の例では、使用毎に所定の固定量の蒸気前駆体材料が供給される場合、又は、供給される量が決定されない場合がある。吸引コンポーネントに供給される蒸気前駆体材料の量が決定される場合、これを行うことができる方法には様々ある。例えば、定量ポンプシステムによる、又は吸引コンポーネントの吸収性部分が液体に浸される時間を決定することによる(吸収率を想定して)、又は液体供給チャンバの液体の体積の減少を観察することによる(例えば、重量又は液位の測定に基づく)等である。
【0080】
ステップS7において、ベースユニットは、ステップS2で検出された識別子に関連付けられた吸引コンポーネントがステップS6である量の蒸気前駆体材料を供給されたという記録が作成され、また、任意であるが、ステップS6で吸引コンポーネントに供給された蒸気前駆体材料の量が測定された場合には、その量の指示値が記録される。
【0081】
ステップS8において、ベースユニットは、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるべきであると判定する。このステップは、上記の手法のいずれかに従って実行することができる。
【0082】
ステップS9において、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されている、又は取り除かれようとしている(すなわち、ベースユニットから分離されている)ことを検出すると、ベースユニットは、吸引コンポーネントの蓄熱体を加熱するエネルギーを吸引コンポーネントに供給する。この例示的な実施形態では、このステップは、誘導加熱コイルを使用して実行され、本書に記載の手法に従って、電磁エネルギーを吸引コンポーネントのサセプタに伝達する。いくつかの例では、ステップS9は、吸引コンポーネントに供給されるエネルギー量の決定を含み得、一方、他の例では、所定の固定量のエネルギーが使用毎に供給される場合、又は、供給される量が決定されない場合がある。吸引コンポーネントに供給されるエネルギーの量が決定される場合、これを行うことができる様々な方法があり、例えば、誘導コイルに供給される電流の量と持続時間を測定する。
【0083】
ステップS10において、ベースユニットは、ステップS2で検出された識別子に関連付けられた吸引コンポーネントがステップS9である量のエネルギーを供給されたという記録が作成され、また、任意であるが、ステップS9で吸引コンポーネントに供給されるエネルギーの量が測定された場合、その量の指示値が記録される。実際には、ベースユニットが吸引コンポーネントに蒸気前駆体材料とエネルギーの両方を供給するように構成されている実施形態では、これを捕捉するために単一の記録を作成することができる。すなわち、ステップS10で確立された記録と、ステップS7で確立された記録とは、それぞれの消耗品の供給に関する値を有する同じ記録を含み得る。
【0084】
ステップS11において、ベースユニットは、吸引コンポーネントへの蒸気前駆体材料及びエネルギーの供給に関連するデータを、関連する識別子と共にリモートサーバ400に転送する。
【0085】
このように、
図14に示される処理の終わりに、ベースユニットは、吸引コンポーネントにエネルギー及び蒸気前駆体材料を供給して、吸引コンポーネントが使用者の吸引のための蒸気生成に使用されることが可能になる。さらに、ベースユニットは、これが吸引コンポーネント識別子に関連して生じたという記録を作成し、その指示値をリモートサーバに転送する。
【0086】
サーバに転送されたデータが本書に記載されている種類のシステムで利用される方法には多くの様々な方法がある。例えば、いくつかの実施形態では、この情報は費用請求の目的で使用され得る。例えば、個々の使用者はサーバでログに記録されたアカウントを有している場合があるが、使用者に関連付けられた識別子を持つ吸引コンポーネントがベースユニットから蒸気前駆体材料やエネルギーを受け取ったことを示すデータをベースユニットがサーバに転送するたびに、それに応じて、関連する使用者のアカウントに請求が送られる場合がある。追加的に又は代替的に、サーバに戻されたデータは、市場調査の目的で、例えば所定の吸引コンポーネントが使用される頻度を決定するために使用することができる。この手法は、様々な場所にある複数のベースユニットをサポートすることができる集中型サーバに基づいていることは理解されよう。他の場合では、ベースユニットはスタンドアロンであり、関連する記録のローカルコピーを保持することができる。したがって、ある使用シナリオでは、バーのベースユニットは、吸引コンポーネントにエネルギー及び/又は蒸気前駆体材料を繰り返し提供するために使用者が夜間を通して使用することができ、夜の終わりに、夜間を通してのベースユニットの使用に基づく適切な請求書を使用視野に提示することができる。
【0087】
本開示の様々な他の実施形態に従って、上述の蒸気供給システムに対して多くの修正や変更を行うことができることは理解されよう。
【0088】
例えば、
図13A~
図13Cに示される蒸気供給システム200では、吸引コンポーネントの識別子は、吸引コンポーネント自体に固有のものである。すなわち、識別子は吸引コンポーネントを識別する。しかしながら、別の例では、吸引コンポーネントの識別子は、吸引コンポーネントに固有ではなく、代わりに、吸引コンポーネントに関連する使用者に固有なものとすることができる。すなわち、識別子は、吸引コンポーネント自体ではなく、吸引コンポーネントに関連付けられた使用者を識別することができる。いくつかのそのような例では、吸引コンポーネントの特性を検出することにより(例えば、RFIDタグ、又はバーコード、QRコード若しくはその他の印刷コード、その他のデータ交換手段等の表面マークを読み取り/検出することによって)、吸引コンポーネントの識別子を特定するというベースユニットの代わりに、ベースユニットは、ユーザ入力から、ベースユニットに結合された吸引コンポーネントの識別子を特定するようにしてもよい。例えば、ベースユニットは、数値入力パネル又はスワイプカードリーダを備えていてもよく、使用者はそれぞれ、蒸気供給システムで使用するために割り当てられた独自の個人識別番号又はスワイプカードを有してもよい。使用者が吸引コンポーネントに消耗品を補充する(すなわち、ベースユニットから一定量の蒸気前駆体材料や電力を受け取る)ことを望む場合、吸引コンポーネントがベースユニットに結合される(すなわち、ベースユニットの受容ゾーンに配置されるか、ベースユニットの有線コネクタに接続される)とき又はその直前に、使用者はPINコードを入力するか、スワイプカードをスワイプすることができる。したがって、使用者のPINコード又はスワイプカードデータは、吸引コンポーネントの識別子となり得、吸引コンポーネントがベースユニットから消耗品を受け取ったことを示すために作成された記録の基礎として使用され得る。その意味で、いくつかの例示的な実施形態では、どの吸引コンポーネントがベースユニットから、ある量の消耗品を受け取ったかを示す記録は、実際にどの使用者がベースユニットから消耗品を受け取ったかを示し得ることは理解されよう。
【0089】
通常、最も関心のあるデータは消耗品を受け取った使用者であると予想される場合があり、例えば、そのデータに応じて請求したり、市場調査目的で特定の使用者の使用状況プロファイルを取得するのを助けたりするために、この手法でそれを促進することができる。それにもかかわらず、識別子が電子タバコに固有である手法を使用して、個々の吸引コンポーネントに固有の識別子と使用者との間の対応を確立することにより、使用法を特定の使用者に一致させることもでき、例えば、特定の吸引コンポーネントは、特定の吸引コンポーネントが特定の使用者にマップされるように、ベースユニット及び/又はリモートサーバに保存されたデータベース内に特定の使用者により登録され得ることは理解されよう。
【0090】
しかしながら、いくつかの実施形態では、特定の使用者を個々の吸引コンポーネントに関連付けることが望まれない場合もあり、その場合、識別子は、これを特定の使用者に一致させる必要なしに、吸引コンポーネント自体を単に識別することができることも理解されよう。例えば、1つの使用シナリオにおいて、
図13A~
図13Cに示される種類の吸引コンポーネントは、ベースユニットと共に所定の回数、例えば10回使用され、その後に使用できなくなるということに基づいて、使用者に提供されてもよい。したがって、使用者は1つの吸引コンポーネントを購入することができ、ベースユニットで使用されるたびに、ベースユニットはその吸引コンポーネントのその使用の記録を作成し、予め定められた許可された使用回数に達した場合に、ベースユニットは吸引コンポーネントに関連する消耗品(例えば、電力又は蒸気前駆体材料)を提供するのを停止するように構成されてもよい。そのようなシナリオでは、吸引コンポーネントは、それが最初に使用された特定のベースユニットに「ロック」されるため、以前の使用回数はベースユニットに記憶させるだけでよく、他の場合には吸引コンポーネントの使用が、例えば異なる地理的位置にある複数の異なるベースユニットで使用が認められることがあり、その場合には、以前の使用回数の記録は各ベースユニットが接続されている中央サーバに記憶されてもよい。
【0091】
さらに、上記の例は、蓄熱体及び蒸気前駆体材料供給源を含む最小主義の吸引コンポーネントと呼ばれ得るものの特定の実施形態に焦点を合わせてきたが、吸引コンポーネントへの消耗品の供給と、吸引コンポーネントへの消耗品の供給に関するデータの記録とに関連する上述の実施形態の態様は、より従来一般の電子タバコへも同様に適用可能であることは理解されよう。例えば、上記の手法はまた、バッテリー/電池、制御電子機器、気化器及び蒸気前駆体材料を備える、完全に機能する電子タバコを実際に具備する吸引コンポーネントに対して実施され得る。そのようなデバイスは、ベースユニットから、(例えば、バッテリー/電池を再充電するため)エネルギーを受けるために又は(例えば、デバイスが消耗しているときに)蒸気前駆体材料を受けるために、ベースユニットに結合されることから依然として利益を得ることができる。いくつかの実施形態では、ベースユニットは、例えばUSBコネクタなどの従来の有線コネクタを通して吸引コンポーネントの再充電可能なバッテリーを充電するために電気エネルギーを供給するように構成され得る。その意味で、ベースユニットへの/ベースユニットからの吸引コンポーネントの結合及び分離は、ベースユニットから吸引コンポーネントへの有線接続の接続/切断に対応し得る。ベースユニットは、有線接続全体のデータ交換を介した有線接続を通して、又は上述したような他の手段(例えば、RFIDタグ又は吸引コンポーネント自体上の他の符号化手段、或いは使用者のPINコード又はスワイプカードデータのようなユーザ入力に基づくもの)を通して、ベースユニットに結合された吸引コンポーネントの識別子を特定するように構成され得る。
【0092】
有線接続の代わりに、例えば、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーンに配置されるときに誘導充電技術を使用することで、無線式でベースユニットによって吸引コンポーネント内の再充電可能な電池を再充電するための電気エネルギーを供給することができる。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態では、ベースユニットは、吸引コンポーネントにエネルギー及び蒸気前駆体材料の両方を供給するように構成されていなくてもよく、いずれか一方のみを供給するようにしてもよい。さらに、ベースユニットは、液体以外の形態の蒸気前駆体材料を提供するように構成されてもよく、例えば、適切な場所にて固体の蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントに機械的に導入することによって、ある量の固体の蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントに提供するようにしてもよい。他の例では、ゲル、発泡体又はペーストの蒸気前駆体材料を、例えばその蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントの関連部分に実質的に押し込むための圧力下で、吸引コンポーネントに供給することもできる。より一般的には、蒸気前駆体材料の特定の性質、及びそれが吸引コンポーネントに提供される態様は、吸引コンポーネントへの蒸気前駆体材料又は他の消耗品の供給ないしは提供の記録の作成に関して本書で説明される原理にとって重要な意味を持たないことは理解されよう。
【0094】
いくつかの例では、吸引コンポーネントは、例えば使用者による使用の回数及び期間を記録することにより、使用状況の記録をメモリに保持するように構成され得、このデータは、吸引コンポーネントがある量のエネルギー及び/又は蒸気前駆体材料を受け取るためにベースユニットに結合されるときに、ベースユニットに転送され得る。次いで、この使用状況のデータは、吸引コンポーネントへの消耗品の供給を示す記録について上で説明したのと同様の方法で、リモートサーバに返信される。その後、このデータは、市場調査の目的で使用される場合がある。例えば、一実施形態において、使用状況のデータが市場調査目的でサーバに転送されるべくベースユニットに提供されることを理解した上で、電子タバコのバッテリーを充電するエネルギーを無料で提供するようにベースユニットは構成され得る。使用状況のデータは、手元のアプリケーションに応じて、ベースユニットによって匿名で又は識別子と関連付けて記録/送信するようにしてもよい。
【0095】
いくつかの例では、ベースユニットは、例えば吸引コンポーネントが蒸気前駆体材料を受けるべくベースユニットに結合され得る複数の受容ゾーン(各受容ゾーンは異なる香料を蒸気前駆体材料に提供する)を設けることによって、様々なタイプの消耗品、例えば蒸気前駆体材料の色々な香料を提供するように構成されてもよい。使用者は、それらの吸引コンポーネントを対応する受容ゾーン内にてベースユニットに結合することにより、所望の香料を選択することができる。或いは、ベースユニットは、単一の受容ゾーン内で異なる蒸気前駆体材料の香料を供給するように構成されてもよく、ユーザ入力が、例えばメニューボタンから、どの香料を提供するかを決定するために使用されてもよい。ベースユニットによって作成された吸引コンポーネントへの消耗品の供給の記録は、例えば市場調査又は価格設定の目的で、香料の表示を含んでもよい。
【0096】
エアロゾル前駆体材料及び/又は電力を供給するように構成されたベースユニッ、及び/又は、データを収集するように構成されたベースユニットと共に吸引コンポーネントを使用することに関連して上述した様々な特徴は、いくつかの例では、他の特徴とは無関係に提供され得ることは理解されよう。例えば、いくつかの場合において、
図13A~
図13Cに関連して上述した種類の吸引コンポーネントは、吸引コンポーネントに電力/エネルギーを提供しない、又は吸引コンポーネントの使用状況を追跡しないベースユニットと共に使用され得る。例えば、ベースユニットは、実質的に、例えば液体、ペースト、ゲル又は固体の形での蒸気前駆体材料(気化のために吸引コンポーネントに移され得るもの)を含むハウジングを単に備えてもよい。吸引コンポーネントは、例えば、それ自体の気化器/ヒータを備えることができ、又は、蒸気前駆体材料は、気化器なしで吸引可能であるように十分に揮発性を有するものとすることができる(その蒸気前駆体材料は揮発を促進するために吸引コンポーネントに移す前にベースユニットで加温/加熱することができる)。例えば蒸気前駆体材料の中に吸引コンポーネントを単に浸漬させることにより、蒸気前駆体材料を吸引コンポーネントに供給するためのこの種の単純な(無電力型の)ベースユニットは、例えば様々な香料及び/又はニコチンの強さやその他の特性を有する複数の蒸気前駆体材料を含んでもよいことは理解されよう。
【0097】
以上、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントと、吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンを備えるベースユニットとを具備する電子蒸気供給システムについて述べてきたが、このシステムにおいて、ベースユニットは、吸引コンポーネントが受容ゾーンに受け入れられるときに吸引コンポーネントと関連付けられた吸引コンポーネント識別子を特定するように、且つ、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに吸引コンポーネントが使用者による吸引のための蒸気を形成することができるよう、ある量のエネルギー及び/又はある量のエアロゾル前駆体材料を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、また、ベースユニットは、前記吸引コンポーネント識別子が関連付けられた吸引コンポーネントに前記量のエネルギー及び/又は前記量のエアロゾル前駆体材料が提供されたことを示す記録を作成するようにもさらに構成されている。
【0098】
また、電子蒸気供給システムにおいて使用される吸引コンポーネントについての説明してきた。例えば、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える電子蒸気供給システムのための、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントであって、ベースユニットと吸引コンポーネントとが選択的に結合と分離とを行うことができ、吸引コンポーネントがベースユニットに提供される識別子と関連付けられており、吸引コンポーネントがベースユニットに結合されるときにベースユニットからある量の消耗品を受けるように、且つ、吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するように、吸引コンポーネントが構成されている、吸引コンポーネントについてである。
【0099】
さらに、電子蒸気供給システムにおいて用いるためのベースユニットについても説明してきた。例えば、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントと、ベースユニットとを備える電子蒸気供給システムのためのベースユニットであって、ベースユニットと吸引コンポーネントとが選択的に結合と分離とを行うことができ、ベースユニットが、このベースユニットに結合された吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成され、且つ、その吸引コンポーネントがベースユニットに結合される場合に、吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、ベースユニットがさらに、消耗品が吸引コンポーネントに提供されたことを示すことに関連した吸引コンポーネントについての識別子の記録を作成するように構成されている、ベースユニットについてである。
【0100】
また、電子蒸気供給システムと共に使用するためのサーバについて述べてきた。例えば、離れているベースユニットと吸引コンポーネントとを備える電子蒸気供給システムの前記ベースユニットに接続されるよう構成されたサーバであって、ベースユニットが、吸引コンポーネントについての識別子を特定するように、且つ、吸引コンポーネントがベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を吸引コンポーネントに提供するように構成されており、サーバが、消耗品がベースユニットにより吸引コンポーネントに提供されたことを示すことに関連した吸引コンポーネントについての識別子の記録を示すものを、ベースユニットから受け取るように構成されている、サーバについてである。
【0101】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示では例示によって、特許請求された(少なくとも1つの)発明を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求された(少なくとも1つの)発明の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、修正を施すことができることを理解されよう。様々な実施形態が、本明細書で特に説明されたもの以外の、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、特許請求の範囲に明記されている以外の組合せで従属項の特徴を独立項の特徴事項と組み合わせてもよいことは理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。
[発明の項目]
[項目1]
蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントと、
前記吸引コンポーネントを選択的に結合と分離とを行うことのできるベースユニットと
を備える電子蒸気供給システムであって、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合される場合、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための前記吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントに前記消耗品が提供されたことを示す事項に関連した前記吸引コンポーネントについての前記識別子の記録を作成するようにさらに構成されている、電子蒸気供給システム。
[項目2]
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は、前記蒸気前駆体材料を揮発させる場合に使用するためのエネルギーを含む、項目1に記載の電子蒸気供給システム。
[項目3]
前記吸引コンポーネントは再充電可能な電池を備え、前記エネルギーは、前記再充電可能な電池を充電するための電気エネルギーを含む、項目2に記載の電子蒸気供給システム。
[項目4]
前記吸引コンポーネントは電磁式サセプタを備え、前記エネルギーは、前記電磁式サセプタを誘導加熱するための電磁エネルギーを含む、項目2に記載の電子蒸気供給システム。
[項目5]
前記ベースユニットによって前記吸引コンポーネントに提供される消耗品は蒸気前駆体材料を含む、項目1に記載の電子蒸気供給システム。
[項目6]
前記蒸気前駆体材料は液体の蒸気前駆体材料を含み、前記吸引コンポーネントは、前記ベースユニットにより提供される前記液体の蒸気前駆体材料を受けるための吸収性要素を備える、項目5に記載の電子蒸気供給システム。
[項目7]
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンを備え、前記吸引コンポーネントは、前記受容ゾーン内に前記吸引コンポーネントを配置することによって前記ベースユニットに結合される、項目1~6のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目8]
前記ベースユニットは有線コネクタを備え、前記吸引コンポーネントは、前記有線コネクタを前記吸引コンポーネントに接続することによって前記ベースユニットに結合される、項目1~7のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目9]
前記吸引コンポーネントは、前記識別子の示す事項を含み、前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合されるときに前記識別子の示す事項を検出することによって前記識別子を特定するように構成されている、項目1~8のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目10]
前記識別子の示す事項は、前記吸引コンポーネント上の機会が読み取ることのできるマーク及び/又は無線周波数識別チップにより提供される、項目9に記載の電子蒸気供給システム。
[項目11]
前記ベースユニットは、ユーザインターフェースを備え、前記ユーザインターフェースを通して受信されたユーザ入力から前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されている、項目1~8のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目12]
前記吸引コンポーネントについての前記識別子は前記吸引コンポーネントそれ自体を識別する、項目1~11のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目13]
前記吸引コンポーネントについての前記識別子は、前記吸引コンポーネントに関連付けられた使用者を識別する、項目1~11のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目14]
前記消耗品が前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項は、前記ベースユニットにより前記吸引コンポーネントに提供されたある量の前記消耗品を示す事項を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目15]
前記ベースユニットは、前記消耗品が前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した前記吸引コンポーネントについての前記識別子の記録の示す事項をリモートサーバに送るようにさらに構成されている、項目1~14のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目16]
前記吸引コンポーネントは、前記吸引コンポーネントの使用に関する使用状況のデータの記録を作成するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合されるときに前記使用状況のデータの示す事項を前記ベースユニットに転送するように構成されている、項目1~15のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目17]
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての前記識別子の示す事項に関連した前記吸引コンポーネントの使用に関する使用状況のデータの示す事項を、リモートサーバに送るようにさらに構成されている、項目16に記載の電子蒸気供給システム。
[項目18]
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットと共に使用するための承認がされているか否かを前記吸引コンポーネントについての前記識別子から決定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットと共に使用するための承認がされていると決定された場合にのみ前記消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されている、項目1~17のいずれか一項に記載の電子蒸気供給システム。
[項目19]
電子蒸気供給システムのための、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントであって、
前記電子蒸気供給システムは、当該吸引コンポーネントと、ベースユニットとを備え、
前記ベースユニットと当該吸引コンポーネントとは選択的に結合と分離とを行うことができ、
当該吸引コンポーネントが前記ベースユニットに提供される識別子と関連付けられており、
当該吸引コンポーネントは、当該吸引コンポーネントが前記ベースユニットに結合されるときに前記ベースユニットからある量の消耗品を受けるように構成されているとともに、当該吸引コンポーネントが前記ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するように構成されている、吸引コンポーネント。
[項目20]
電子蒸気供給システムのためのベースユニットであって、
前記電子蒸気供給システムは、当該ベースユニットと、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための吸引コンポーネントとを備え、
当該ベースユニットと前記吸引コンポーネントとは選択的に結合と分離とを行うことができ、
当該ベースユニットは、当該ベースユニットに結合された吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、該吸引コンポーネントが当該ベースユニットに結合される場合に、前記吸引コンポーネントが当該ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための前記吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
当該ベースユニットは、前記消耗品が前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した前記吸引コンポーネントについての前記識別子の記録を作成するようにさらに構成されている、ベースユニット。
[項目21]
離れているベースユニットと吸引コンポーネントとを備える電子蒸気供給システムの前記ベースユニットに接続されるよう構成されたサーバであって、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントについての識別子を特定するように構成されているとともに、前記吸引コンポーネントが前記ベースユニットから分離されるときに使用者の吸引のために蒸気を生成するための吸引コンポーネントによる使用のためのある量の消耗品を前記吸引コンポーネントに提供するように構成されており、
当該サーバは、前記消耗品が前記ベースユニットにより前記吸引コンポーネントに提供されたことを示す事項に関連した前記吸引コンポーネントについての識別子の記録の示す事項を、前記ベースユニットから受けるように構成されている、サーバ。