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特許7140426時変構造瞬時周波数決定方法、システム、装置及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】時変構造瞬時周波数決定方法、システム、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/46 20060101AFI20220913BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G01N29/46
G01H17/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021164512
(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2022087010
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】202011369167.7
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶 錫鈞
(72)【発明者】
【氏名】呉 嘉生
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110426569(CN,A)
【文献】特開2009-092398(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102467354(CN,A)
【文献】特開2014-119406(JP,A)
【文献】特開昭56-063218(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109596349(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107817297(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01H 1/00 - G01H 17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時変構造瞬時周波数決定方法であって、
同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定することと、
前記第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、前記第一のフィルタリング境界に基づいて前記第一の信号スペクトルに対して分割を行い、複数のスペクトル片を得ることと、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、複数の固有モード成分を得ることと、
前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することとを含み、
前述した、同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定することは、
前記第一のスケジュール信号に対して短時間フーリエ変換を行い、第二の時間スペクトルを得ることと、
前記第二の時間スペクトルに基づいて、前記第一のスケジュール信号の第二の瞬時周波数を推定して得ることと、
前記第二の瞬時周波数をdelta関数に結合し、同期抽出演算子SEOを構築し、前記同期抽出演算子SEOを前記第二の時間スペクトルに結合し、前記第一の時間スペクトルを得ることと、
前記第一の時間スペクトルにおける隣接成分の周波数値に基づいて計算を行い、前記第一のフィルタリング境界を決定することとを含むことにより、ノイズの干渉を回避し、前記第一のフィルタリング境界をより正確に取得することができる、ことを特徴とする時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項2】
前記第一のフィルタリング境界は、
【数10】
であり、
そのうち、
【数11】
は第一の時間スペクトルにおけるn番目の成分の周波数の最大値を表し、
【数12】
は第一の時間スペクトルにおけるn+1番目の成分の周波数の最小値を表し、ωn は第一のフィルタリング境界を表す、ことを特徴とする請求項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項3】
前述した、前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、複数の固有モード成分を得ることは、具体的には、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、経験的ウェーブレット関数と経験的スケーリング関数を構築することと、
前記経験的ウェーブレット関数と前記経験的スケーリング関数に基づいて、詳細係数と近似係数を決定することと、
前記経験的ウェーブレット関数、前記経験的スケーリング関数、前記詳細係数及び前記近似係数に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行うことによって、前記第一のスケジュール信号に対して信号分解を行い、複数の固有モード成分を得ることとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項4】
前記時変構造瞬時周波数決定方法は、
前記経験的ウェーブレット関数、前記経験的スケーリング関数、前記詳細係数及び前記近似係数に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して信号再構成を行い、再構成信号を得、出力することをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項5】
前述した、前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することは、具体的には、
ヒルベルト変換を用いて前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の瞬時周波数関数を得、さらに前記瞬時周波数関数に基づいて、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することである、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項6】
前記時変構造瞬時周波数決定方法は、
前記瞬時周波数関数に基づいて、前記第一の瞬時周波数変化発生の第一の時刻を決定し、前記第一の時刻を構造損傷時刻として出力することをさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法。
【請求項7】
時変構造瞬時周波数決定システムであって、
同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定するためのフィルタリング境界決定モジュールと、
前記第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、前記第一のフィルタリング境界に基づいて前記第一の信号スペクトルに対して分割を行い、複数のスペクトル片を得るためのスペクトル分割モジュールと、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、複数の固有モード成分を得るための固有モード成分決定モジュールと、
前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定するための瞬時周波数決定モジュールとを含み、
前記フィルタリング境界決定モジュールは、
前記第一のスケジュール信号に対して短時間フーリエ変換を行い、第二の時間スペクトルを得て、
前記第二の時間スペクトルに基づいて、前記第一のスケジュール信号の第二の瞬時周波数を推定して得て、
前記第二の瞬時周波数をdelta関数に結合し、同期抽出演算子SEOを構築し、前記同期抽出演算子SEOを前記第二の時間スペクトルに結合し、前記第一の時間スペクトルを得て、
前記第一の時間スペクトルにおける隣接成分の周波数値に基づいて計算を行い、前記第一のフィルタリング境界を決定することにより、ノイズの干渉を回避し、前記第一のフィルタリング境界をより正確に取得することができる、ことを特徴とする時変構造瞬時周波数決定システム。
【請求項8】
時変構造瞬時周波数決定装置であって、
少なくとも一つのプロセッサと、
少なくとも一つのプログラムを格納するための少なくとも一つのメモリとを含み、
前記少なくとも一つのプログラムが前記少なくとも一つのプロセッサによって実行される時、前記少なくとも一つのプロセッサに請求項1~のいずれか1項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる、ことを特徴とする時変構造瞬時周波数決定装置。
【請求項9】
プロセッサ実行可能なプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プロセッサ実行可能なプログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~のいずれか1項に記載の時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事構造損傷検出技術分野に関し、特に時変構造瞬時周波数決定方法、システム、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事構造損傷検出及び識別は、構造の正常動作を保証するための必要な手段の一つであり、構造に対して損傷検出を行うことで、速やかに構造損傷位置を見つけ、損傷程度を判断し、そして必要な管理養護を行い、測定した振動応答(即ち、加速度、変位応答など)に基づき、構造に対して損傷識別を行うことは、ここ数十年来の重要な研究方向になっている。しかし、構造の実際動作過程において、材料の損耗又は強度の劣化によって品質と剛性などが変化することによって、極端の影響負荷が生じる。実際検出過程において、しばしば材料属性(剛性、品質など)が変化した構造に直面し、経時変化に従って振動特性を表現することができ、即ち、時変構造であり、これは構造の非線形及び剛性と限界条件の変化によるものであり、その信号は、非安定として表現される。測定された非安定振動応答信号から、時変システムの振動特性をどのように識別するかは、構造損傷識別を行うことが解決しなければならない問題である。関連研究では、ヒルベルト-黄変換(HHT)又は経験的モード分解(EMD)を用いて信号を処理することによって、構造損傷の検出を行うことができるが、このような二つの方法ともモード折り返し現象とエンドエフェクタが存在する。モード折り返し現象を解決するために提案されたEEMD法は、モード折り返し現象を抑制しているが、エンドエフェクタ問題は依然として有効に解決できない。
【0003】
従来技術では、経験的ウェーブレット変換を用いて時変構造瞬時周波数識別を行う方法が開示されている。しかしながら、一方では、経験的ウェーブレット変換により長周期信号成分を処理する際に、周波数精度が不足し、時間スペクトル上では、信号分布が比較的広く、曖昧であることを表現している。もう一方では、経験的ウェーブレット変換によりノイズ干渉のある信号を処理する際に、信号スペクトルに原始信号に存在しない周波数成分が出現し、「過分割」を引き起こし、即ち、フィルタリング境界決定数が多すぎ、経験的ウェーブレット変換を経た後、原始信号に存在しない成分を得ることができ、瞬時周波数を損傷識別の指標とした場合、単純の経験的ウェーブレット変換は、ノイズの影響を大きく受ける。このため、瞬時周波数を介して損傷識別を行うために、まず、比較的正確な時間周波数曲線をフェッチしなければならず、周波数精度が不足すると、適切なフィルタを構築して多成分信号を分離することができず、構造損傷検出結果が正確ではなくなる。
【0004】
用語解釈:
経験的ウェーブレット変換(Empirical wavelet transform、EWT):信号を複数の成分に分解し、瞬時周波数の識別を介して損傷識別を行う方法である。
短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform、STFT):時変信号の局所領域正弦波の周波数と位相を決定するためのフーリエ変換に関連する数学的変換である。
同期抽出変換(Synchro Extracting Transform、SET):短時間フーリエ変換を改良した時間周波数分析方法である。
時間スペクトル:時間-周波数の二次元関数であり、一次元タイミング信号を二次元平面に拡張することができ、その経時変化特徴もはっきり表現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する技術課題の一つを少なくとも一定の程度上で解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の実施例の一つの目的は、時変構造瞬時周波数決定方法を提供することである。この方法は、同期抽出変換を用いて精度がより高く、エネルギーがより集中になる時間スペクトルを取得し、この時間スペクトルに基づいてフィルタリング境界を正確に取得し、さらにこのフィルタリング境界に基づいてフィルタを構造して経験的ウェーブレット変換を行い、時変構造各固有モード成分の瞬時周波数を得ることによって、時変構造に対して後続の損傷識別を行うことができる。本発明の実施例は、従来技術に対して、時変構造瞬時周波数の識別精度を向上させ、さらに時変構造損傷識別の正確度を向上させる。
【0007】
本発明の実施例の別の目的は、時変構造瞬時周波数決定システムを提供することである。
【0008】
上記技術目的を達成するために、本発明の実施例で用いる技術案は、以下のとおりである。
【0009】
第一の方面によれば、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定方法を提供する。この方法は、
同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定することと、
前記第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、前記第一のフィルタリング境界に基づいて前記第一の信号スペクトルに対して分割を行い、若干のスペクトル片を得ることと、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、若干の固有モード成分を得ることと、
前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することとを含む。
【0010】
さらに、本発明の一つの実施例では、前述した、同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定することは、具体的には、
前記第一のスケジュール信号に対して短時間フーリエ変換を行い、第二の時間スペクトルを得ることと、
前記第二の時間スペクトルに基づいて、前記第一のスケジュール信号の第二の瞬時周波数を推定して得ることと、
前記第二の瞬時周波数をdelta関数に結合し、同期抽出演算子SEOを構築し、前記同期抽出演算子SEOを前記第二の時間スペクトルに結合し、前記第一の時間スペクトルを得ることと、
前記第一の時間スペクトルにおける隣接成分の周波数値に基づいて計算を行い、前記第一のフィルタリング境界を決定することとを含む。
【0011】
さらに、本発明の一つの実施例では、前記第一のフィルタリング境界は、
【数1】
【0012】
さらに、本発明の一つの実施例では、前述した、前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、若干の固有モード成分を得ることは、具体的には、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、経験的ウェーブレット関数と経験的スケーリング関数を構築することと、
前記経験的ウェーブレット関数と前記経験的スケーリング関数に基づいて、詳細係数と近似係数を決定することと、
前記経験的ウェーブレット関数、前記経験的スケーリング関数、前記詳細係数及び前記近似係数に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行うことによって、前記第一のスケジュール信号に対して信号分解を行い、若干の固有モード成分を得ることとを含む。
【0013】
さらに、本発明の一つの実施例では、前記時変構造瞬時周波数決定方法は、
前記経験的ウェーブレット関数、前記経験的スケーリング関数、前記詳細係数及び前記近似係数に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して信号再構成を行い、再構成信号を得、出力することをさらに含む。
【0014】
さらに、本発明の一つの実施例では、前述した、前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することは、具体的には、
ヒルベルト変換を用いて前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の瞬時周波数関数を得、さらに前記瞬時周波数関数に基づいて、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定することである。
【0015】
さらに、本発明の一つの実施例では、前記時変構造瞬時周波数決定方法は、
前記瞬時周波数関数に基づいて、前記第一の瞬時周波数変化発生の第一の時刻を決定し、前記第一の時刻を構造損傷時刻として出力することをさらに含む。
【0016】
第二の方面によれば、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定システムを提供する。このシステムは、
同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、前記第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定するためのフィルタリング境界決定モジュールと、
前記第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、前記第一のフィルタリング境界に基づいて前記第一の信号スペクトルに対して分割を行い、若干のスペクトル片を得るためのスペクトル分割モジュールと、
前記スペクトル片と前記第一のフィルタリング境界に基づいて、前記第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、若干の固有モード成分を得るための固有モード成分決定モジュールと、
前記固有モード成分に対して復調を行い、各前記固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定するための瞬時周波数決定モジュールとを含む。
【0017】
第三の方面によれば、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定装置を提供する。この装置は、
少なくとも一つのプロセッサと、
少なくとも一つのプログラムを格納するための少なくとも一つのメモリとを含み、
前記少なくとも一つのプログラムが前記少なくとも一つのプロセッサによって実行される時、前記少なくとも一つのプロセッサに上記時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる。
【0018】
第四の方面によれば、本発明の実施例は、プロセッサ実行可能なプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。前記プロセッサ実行可能なプログラムがプロセッサによって実行される時、上記時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の利点及び有益効果は、以下の説明において一部が示され、一部が以下の説明から明らかになり、又は本発明の実践によって理解され得る。
【0020】
本発明の実施例は、同期抽出変換を用いて精度がより高く、エネルギーがより集中になる時間スペクトルを取得し、この時間スペクトルに基づいてフィルタリング境界を正確に取得し、さらにこのフィルタリング境界に基づいてフィルタを構造して経験的ウェーブレット変換を行い、時変構造各固有モード成分の瞬時周波数を得ることによって、時変構造に対して後続の損傷識別を行うことができる。本発明の実施例は、同期抽出変換を用いて時間スペクトルを取得し、ノイズの干渉を回避することによって、後続の固有モード成分のフィルタリングをより正確且つ可信頼になるように、より正確なフィルタリング境界を取得することができ、従来技術に対して、広周波数帯域、高ノイズ信号フィルタリング境界を決定するときに、位置決め不正確の状況を改善し、時変構造瞬時周波数の識別精度を向上させ、さらに時変構造損傷識別の正確度を向上させる。
【0021】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本発明の実施例の記述において使用される必要がある添付図面を紹介する。理解すべきことは、以下の記述における添付図面は、ただ本発明の技術案における一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、それらの添付図面に基づき、他の添付図面も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例による時変構造瞬時周波数決定方法のステップフローチャートである。
図2】本発明の実施例による時変構造瞬時周波数決定方法の具体的な実施フローチャートである。
図3】本発明の実施例による時変構造瞬時周波数決定システムの構成ブロック図である。
図4】本発明の実施例による時変構造瞬時周波数決定装置の構成ブロック図である。
図5】本発明の実施例による第一の時間スペクトルと第二の時間スペクトルとの対比図である。
図6】本発明の実施例による第一の時間スペクトルの時間スペクトルクレスト線の概略図である。
図7】本発明の実施例による第一の信号スペクトルと再構成信号スペクトルとの対比図である。
図8】本発明の実施例による第一の信号スペクトルのスペクトル分割概略図である。
図9】本発明の実施例による三つの固有モード成分の概略図である。
図10】本発明の実施例による初期信号がフィルタリングされた時間スペクトルの概略図である。
図11】本発明の実施例による第一の信号スペクトルとフィルタリングされた信号スペクトルとの対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。前記実施例における例が図面に示され、同一又は類似する符号は、常に同一又は類似する部品、或いは、同一又は類似する機能を有する部品を表す。図面を参照しながら以下に説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈することを旨とし、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の実施例では、ステップ番号は単に説明の便宜のためのものであり、ステップ間の実行順序は特に限定されない。実施例における各ステップの実行順序は、いずれも当業者の理解に基づいて適応調整を行ってもよい。
【0024】
本発明の説明において、複数の意味は二つ以上であり、「第一の」、「第二の」という用語は、技術的な特徴を区別するためのものであり、相対的な重要性を指示する又は示唆するか、又は、指示された技術的な特徴の数を特定するか、又は指示された技術的な特徴の前後関係を特定するものとして解釈されるべきではない。また、特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
まず、本発明の実施例における関連記述について説明する。
第一のスケジュール信号-原始スケジュール信号、
第一の時間スペクトル-原始スケジュール信号がSETを経て得られた時間スペクトル、SET時間スペクトルと略称する、
第一のフィルタリング境界-即ち、第一の時間スペクトル各成分によって計算されたもの、EWTに用いられるフィルタリング境界、
第一の信号スペクトル-原始信号がフーリエ変換を経て得られたスペクトル、
第一の瞬時周波数-固有モード成分が復調された後に得られた瞬時周波数を指す、
第二の時間スペクトル-原始スケジュール信号が短時間フーリエ変換を経て得られた時間スペクトル、
第二の瞬時周波数-第二の時間スペクトルによって推定された原始スケジュール信号瞬時周波数を指す、
第一の時刻-第一の瞬時周波数変化発生の時刻。
【0026】
図1を参照して、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定方法を提供する。この方法は、具体的には、以下のステップS101~ステップS104を含む。
【0027】
S101、同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定し、
具体的には、本発明の実施例は、同期抽出変換を用いて初期信号(即ち、第一のスケジュール信号)に対して時間周波数解析を行い、瞬時周波数位置における時間スペクトルの時間周波数係数のみを抽出することによって、エネルギーがより集中になる時間スペクトルを抽出することができる。同期抽出変換を用いて信号を処理するステップは、まず、短時間フーリエ変換によって信号の時間スペクトルを得、次に、この時間スペクトル上の情報を用いて瞬時周波数を得、その後、Delta関数と結合して同期抽出演算子を構築し、最後にSEO演算子を短時間フーリエ変換によって得られた時間スペクトルに用いられ、エネルギーがより集中になる信号時間スペクトルを抽出することである。
【0028】
具体的には、ステップS101は、
S1011、第一のスケジュール信号に対して短時間フーリエ変換を行い、第二の時間スペクトルを得ることと、
S1012、第二の時間スペクトルに基づいて、第一のスケジュール信号の第二の瞬時周波数を推定して得ることと、
S1013、第二の瞬時周波数をdelta関数に結合し、同期抽出演算子SEOを構築し、同期抽出演算子SEOを第二の時間スペクトルに結合し、第一の時間スペクトルを得ることと、
S1014、第一の時間スペクトルにおける隣接成分の周波数値に基づいて計算を行い、第一のフィルタリング境界を決定することとを含む。
【0029】
具体的には、本発明の実施例は、スケジュール信号x(t)を例にして、以下のように説明する。
【数2】
そのうち、iは虚数単位を表す。
【0030】
Delta関数を結合することにより、同期抽出演算子SEOを構築し、第二の時間スペクトルにおける瞬時周波数付近の発散エネルギーを除去し、同期抽出変換後の第一の時間スペクトルを得る。具体的な公式は、以下のとおりである。
【0031】
【数3】
【0032】
理解できるように、同期抽出変換を経て得られた第一の時間スペクトルは、短時間フーリエ変換を経て得られた第二の時間スペクトルに比べて、精度がより高く、第一の時間スペクトルから信号成分の数がはっきり分かるようにし、後続のフィルタリングに用いられるフィルタリング境界を正確に決定することができる。
【0033】
さらに、選択的な実施形態として、第一のフィルタリング境界は、
【数4】
【0034】
S102、第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、第一のフィルタリング境界に基づいて第一の信号スペクトルに対して分割を行い、若干のスペクトル片を得、
具体的には、初期の第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、その後、前のステップで得られたフィルタリング境界に基づいて原始信号スペクトルに対して分割を行い、N-1個の第一のフィルタリング境界が存在すれば、このフィルタリング境界及び0、πという二つの初期境界に基づいて、第一の信号スペクトルをN個の連続のスペクトル片に分割する。
【0035】
S103、スペクトル片と第一のフィルタリング境界に基づいて、第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、若干の固有モード成分を得、
具体的には、本発明の実施例は、経験的ウェーブレット変換に基づいて改善されたアルゴリズムを採用し、理解すべきことは、従来の経験的ウェーブレット変換が使用する基本関数は、信号特性に応じて自適応に生成され、自適応の点は、従来の周波数帯域分割方法に基づいてフィルタリング境界を決定した後、フィルタを構築することができるが、狭帯域信号及びノイズ環境が比較的小さい場合にのみ適用可能であることである。本発明の実施例は、それに対して改善を行い、フィルタリング境界は、同期抽出変換後の信号時間スペクトルによって計算決定され、次に、経験的ウェーブレット変換によってフィルタを構築してフィルタリングを行う。具体的には、決定されたフィルタリング境界に基づいて、経験的スケーリング関数と経験的ウェーブレット関数を構築し、この二つの関数からウェーブレット関数の近似係数と詳細係数を求めることができる。一方では、近似係数と詳細係数は、信号を再構成するために用いられてもよく、もう一方では、第一のスケジュール信号の固有モード成分を解くために用いられてもよい。
【0036】
具体的には、ステップS103は、
S1031、スペクトル片と第一のフィルタリング境界に基づいて、経験的ウェーブレット関数と経験的スケーリング関数を構築することと、
S1032、経験的ウェーブレット関数と経験的スケーリング関数に基づいて、詳細係数と近似係数を決定することと、
S1033、経験的ウェーブレット関数、経験的スケーリング関数、詳細係数及び近似係数に基づいて、第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行うことによって、第一のスケジュール信号に対して信号分解を行い、若干の固有モード成分を得ることとを含む。
【0037】
具体的には、ステップS101で得られたフィルタリング境界とステップS102で得られたスペクトル片を用いて経験的ウェーブレット関数
【数5】
以下のとおりである:
【数6】
【0038】
経験的ウェーブレット変換理論に基づいて、経験的ウェーブレット変換の詳細係数wx(n,t)と近似係数wx(0,t)は、次式によって得られ、
【数7】
【0039】
経験的ウェーブレット変換公式に基づいて、第一のスケジュール信号は、以下若干の固有モード成分に分解してもよく、
【数8】
理解できるように、k+1は、固有モード成分の数である。
【0040】
さらに、選択的な実施形態として、時変構造瞬時周波数決定方法は、
経験的ウェーブレット関数、経験的スケーリング関数、詳細係数及び近似係数に基づいて、第一のスケジュール信号に対して信号再構成を行い、再構成信号を得、出力することをさらに含む。
【0041】
具体的には、信号x(t)の再構成信号y(t)は、以下のように表されてもよく、
【数9】
そのうち、Nはスペクトル片の数を表し、F-1は、フーリエ逆変換を行うことを表す。
【0042】
本発明の実施例では、干渉の影響を除去するために、信号再構成を介して一部信号値を用いて第一のスケジュール信号に対して再構成を行い、後続の構造損傷の識別検出を容易にする。
【0043】
S104、固有モード成分に対して復調を行い、各固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定する。
【0044】
具体的には、得られた固有モード成分は、いずれも振幅変調-周波数変調形式であり、復調して瞬時周波数関数を得る必要がある。
【0045】
選択的に、ヒルベルト変換を用いて固有モード成分に対して復調を行い、各固有モード成分の瞬時周波数関数を得、さらに瞬時周波数関数に基づいて、各固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定する。
【0046】
さらに、選択的な実施形態として、時変構造瞬時周波数決定方法は、
瞬時周波数関数に基づいて、第一の瞬時周波数変化発生の第一の時刻を決定し、第一の時刻を構造損傷時刻として出力することをさらに含む。
【0047】
具体的には、上記得られた固有モード成分の瞬時周波数関数に基づいて、時変構造瞬時周波数変化発生の時刻、即ち、構造損傷発生の時刻を初歩的に観察することができ、後続で、Hilbert変換などの方法を結合して損傷指標を構築することができ、さらに構造の損傷位置と損傷程度を判断することができる。
【0048】
以上、本発明の方法ステップについて説明したが、以下、図面を結び付けながら、本発明の一つの具体的な実施例の実施フローについて説明する。
【0049】
図2を参照して、本発明の実施例は、まず、第一のスケジュール信号に対して、同期抽出変換を用いて時間周波数分析を行い、エネルギーがより集中になる第一の時間スペクトルを得ることによって、信号成分の数を決定し、さらに第一のフィルタリング境界を決定する。同時に、第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、決定された第一のフィルタリング境界に基づいて第一の信号スペクトルに対して分割を行い、若干のスペクトル片を得、その後、得られたスペクトル片と第一のフィルタリング境界に基づいて、経験的スケーリング関数、経験的ウェーブレット関数を構築し、詳細係数と近似係数を決定し、次いで、経験的スケーリング関数、経験的ウェーブレット関数、詳細係数及び近似係数に基づいて、第一のスケジュール信号に対して信号分解を行い、若干の固有モード成分を得、同時に、信号再構成を行い、再構成信号を得、出力することもできる。さらに、得られた固有モード成分に対してヒルベルト変換を行い、各固有モード成分の瞬時周波数関数を得ることによって、各時刻における各固有モード成分の瞬時周波数を決定し、即ち、時変構造瞬時周波数の決定を完了する。
【0050】
理解すべきことは、従来技術は、経験的ウェーブレット変換(EWT)によって振動応答信号から直接各モードを抽出するが、経験的ウェーブレット変換によってフィルタを構築するときに使用されるフィルタリング境界は、通常のフーリエスペクトルに直接基づいて得られたものである。本発明の実施例は、精度がより良く、エネルギーがより集中になる時間スペクトルを取得し、この時間スペクトルに基づいて、フィルタの構造に用いられるフィルタリング境界をはっきり得ることができ、広周波数帯域、高ノイズ信号フィルタリング境界を決定するときに、位置決め不正確の状況を改善し、時変構造瞬時周波数の識別精度を向上させ、さらに時変構造損傷識別の正確度を向上させる。
【0051】
以下、具体的な実施例を結び付けながら、本発明の方法に対して説明及び信頼性検証を行う。理解すべきことは、本発明はこの実施例に限定されない。
【0052】
1)三つの周波数成分を含む原始信号を構築し、且つガウスホワイトノイズを添加し、SNR=10dB、三つの周波数成分は5Hz、25Hz、及び40Hzであった。
【0053】
2)この原始信号に対して同期抽出変換を行い、同期抽出変換後の第一の時間スペクトルを得た。図5の(a)は、短時間フーリエ変換後に得られた第二の時間スペクトルを示し、(b)は、同期抽出変換後に得られた第一の時間スペクトルを示す。同期抽出変換後の時間スペクトルエネルギーはより集中になり、時間スペクトルクレスト線ははっきりであるが、第二の時間スペクトルは、明らかな周波数成分が示唆されているが、そのエネルギー拡散は深刻であり、更なる信号分析に不利であることが分かった。
【0054】
3)第一の時間スペクトルに対してクレスト線を抽出し、図6に示すように、第一の時間スペクトルの時間スペクトルクレスト線の概略図であり、この信号には3本の時間スペクトルクレスト線、即ち、三つの主周波数成分があることがはっきり分かった。3本の時間スペクトルクレスト線に基づいて、公式によって2本の第一のフィルタリング境界を求めることができ、それぞれ15.1875Hz及び32.7500Hzであった。
【0055】
4)原始信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、得られた第一の信号スペクトルは、図7の(a)に示すとおりであり、3)で得られたフィルタリング境界に基づいて、第一の信号スペクトルに対して分割を行い、図8に示すように、初期境界0とπを加えて、合計4本の境界によって第一の信号スペクトルを三つのセグメントに分割した。
【0056】
5)第一のフィルタリング境界を用いて経験的ウェーブレット変換を介してフィルタ群を構築し、図9に示すように、原始信号を三つの固有モード成分に分類した。同時に、信号再構成を行い、この原始信号の再構成信号スペクトルを得、図7の(b)に示すように、再構成された信号スペクトルも三つのピークがはっきり得られるが、フーリエ分析によって得られた第一の信号スペクトルに比べて、干渉周波数は著しく減少し、即ち、信号が同期抽出変換された後、「ノイズ低減」効果があることが分かった。
【0057】
6)三つ固有モード成分に対して、それぞれヒルベルト変換を行い、各固有モード成分の瞬時周波数を求め、図10に示すようなフィルタリングされた時間スペクトルを得た。三つの周波数成分がはっきり見られ、且つフィルタリングされた時間スペクトルは、第二の時間スペクトル及び第一の時間スペクトルよりもはっきりで、正確であった。三つの成分は、それぞれ5Hz、25Hz及び40Hzに囲繞して微小変動した。
【0058】
7)図11に示すように、第一の信号スペクトルを本発明の改善されたEWT法により抽出された三つの成分信号のスペクトルと比べて、ノイズの作用下であっても、本発明の改善されたEWT法は、良好な信号分解効果があることが分かった。
【0059】
8)上述した方法により抽出された三つの固有モード成分は、構造瞬時周波数変化発生の時刻が構造損傷発生の時刻であることを初歩的に観察することができ、後続で、Hilbert変換などの方法を結合して損傷指標を構築することができ、さらに構造の損傷位置と損傷程度を判断することができる。
【0060】
前述の説明から分かるように、本発明の実施例の方法を採用することにより、原始信号の周波数成分を正確に決定することができ、ノイズの干渉を回避し、ロバスト性が良く、成分フィルタリングが正確であり、後続の損傷識別により有利である。
【0061】
図3を参照して、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定システムを提供する。このシステムは、
同期抽出変換を用いて時変構造の第一のスケジュール信号に対して時間周波数解析を行い、第一の時間スペクトルを得、第一の時間スペクトルに基づいて第一のフィルタリング境界を決定するためのフィルタリング境界決定モジュールと、
第一のスケジュール信号に対してフーリエスペクトル分析を行い、第一の信号スペクトルを得、第一のフィルタリング境界に基づいて第一の信号スペクトルに対して分割を行い、若干のスペクトル片を得るためのスペクトル分割モジュールと、
スペクトル片と第一のフィルタリング境界に基づいて、第一のスケジュール信号に対して経験的ウェーブレット変換を行い、若干の固有モード成分を得るための固有モード成分決定モジュールと、
固有モード成分に対して復調を行い、各固有モード成分の第一の瞬時周波数を決定するための瞬時周波数決定モジュールとを含む。
【0062】
上記方法実施例における内容は、いずれも本システムの実施例に適用され、本システムの実施例によって具体的に実現する機能は、上記方法実施例と同じであり、且つ達成される有益効果も上記方法実施例によって達成される有益効果と同じである。
【0063】
図4を参照して、本発明の実施例は、時変構造瞬時周波数決定装置を提供する。この装置は、
少なくとも一つのプロセッサと、
少なくとも一つのプログラムを格納するための少なくとも一つのメモリとを含み、
上記少なくとも一つのプログラムが上記少なくとも一つのプロセッサによって実行される時、上記少なくとも一つのプロセッサに上記時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる。
【0064】
上記方法実施例における内容は、いずれも本装置の実施例に適用され、本装置の実施例によって具体的に実現する機能は、上記方法実施例と同じであり、且つ達成される有益効果も上記方法実施例によって達成される有益効果と同じである。
【0065】
本発明の実施例は、プロセッサ実行可能なプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。このプロセッサ実行可能なプログラムがプロセッサによって実行される時、上記時変構造瞬時周波数決定方法を実現させる。
【0066】
本発明の実施例のコンピュータ可読記憶媒体は、本発明の方法実施例による時変構造瞬時周波数決定方法を実行することができ、方法実施例の任意の組み合わせ実施ステップを実行することができ、この方法に対応する機能及び有益効果を有する。
【0067】
本発明の実施例は、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムをさらに開示する。このコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムは、コンピュータ命令を含み、このコンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体からコンピュータ命令を読み出し得る。プロセッサは、このコンピュータ命令を実行して、それにより、このコンピュータ機器が図1に示す方法を実行させる。
【0068】
いくつかの選択的な実施例では、ブロック図に規定された機能/動作は、動作図に規定された順序で実行される必要はない。例えば、関連する機能/動作に応じて、連続して示される二つのブロックは実際に、大体同時に実行されてもよく、又は上記ブロックは、逆順序で実行される場合もある。また、本発明のフローチャートに開示及び説明される実施例は、技術をより完全に理解することを目的として例の方式で提供される。ここで開示された方法は、本明細書で開示される動作と論理フローに限定されない。選択的な実施例は、想定可能なものであり、そのうち、様々な動作の順序が変更され、及びそのうちの比較的大きな動作の一部として記述されたサブ動作が独立して実行される。
【0069】
また、機能モジュールの背景で本発明について説明したが、理解すべきことは、逆意味説明がない限り、上記機能及び/又は特徴のうちの一つ又は複数は、単一の物理デバイス及び/又はソフトウェアモジュールに集積されてもよく、又は一つ又は複数の機能及び/又は特徴は、単独の物理デバイス又はソフトウェアモジュールにおいて実現されてもよい。さらに、理解すべきことは、各モジュールの実際実現に関する詳細な討論は、本発明を理解するための必要なものではない。より適切に言えば、本明細書で開示される装置における様々な機能モジュールの属性、機能及び内部関係を考慮すると、このモジュールの実際実現は、エンジニアの従来技術内で理解されるであろう。このため、当業者は、一般的な技術を用いて過度な試験を必要とせずに、特許請求の範囲に記載の本発明を実現することができる。さらに、理解できるように、開示された特定の概念は、例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等の方案のすべての範囲によって決定される。
【0070】
上記機能は、ソフトウェア機能ユニットの形式で実現され、且つ独立した製品として販売又は使用される場合、一つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解を踏まえて、本発明の技術案は、実質には、又は従来技術に寄与した部分、又はこの技術案の一部は、ソフトウェア製品の形式によって表われてもよい。このコンピュータソフトウェア製品は、一つの記憶媒体に記憶され、一台のコンピュータ機器(パソコン、サーバ、又はネットワーク機器などであってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干の指令を含む。上記記憶媒体は、Uディスク、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の様々なプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0071】
フローチャートで表示されているか、又はここで他の方法で記述されている論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現するための実行可能な命令の順序リストと考えてもよく、命令実行システム、装置又は機器(例えば、コンピュータに基づくシステム、プロセッサを備えるシステム又は命令実行システム、装置又は機器から命令を取得して実行することができる他のシステム)に用いられるために、任意のコンピュータ可読媒体において具体的に実現されてもよく、又は、これらの命令実行システム、装置又は機器に組み合わせて用いられる。本明細書では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置又は機器、又はこれらの命令実行システム、装置又は機器に組み合わせて用いられるために、プログラムを格納、記憶、通信、伝送又は送信することができる任意の装置であってもよい。
【0072】
コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)は、以下のものを含む。一つ以上の配線を有する電気接続部(電子機器)、携帯型コンピュータディスクボックス(磁気機器)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、削除可能編集可能読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ装置、及び携帯型読み取り専用メモリ(CDROM)。また、コンピュータ可読媒体は、例えば、紙又は他の適切な媒体を光学的スキャンし、次いで編集、解釈、又は必要に応じて他の適切な方法で処理することによって、電子的方式でプログラムを取得し、その後、コンピュータメモリに記憶することができるので、プログラムを印刷することができる紙又は他の適切な媒体であってもよい。
【0073】
理解すべきことは、本発明の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。上記実施形態では、複数のステップ又は方法は、メモリに格納され、適切な命令実行システムによって実行されるソフトウェア又はファームウェアで実現されてもよい。例えば、ハードウェアで実現される場合には、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実装するための論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な組み合わせ論理ゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの当技術分野でよく知られている技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせで実現することができる。
【0074】
本明細書の上記説明において、「一つの実施形態/実施例」、「別の実施形態/実施例」又は「なんらかの実施形態/実施例」などの用語を参照した説明は、この実施例又は例と組み合わせて説明されている具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも一つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を意味するわけではない。さらに、説明された特定の特徴、構造、材料又は特性は、任意の一つ又は複数の実施例又は例においては適切な組み合わせで一体化されていてもよい。
【0075】
なお、本発明の実施形態を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更、修正、置換や変形を行うことができ、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等物により定義される。
【0076】
以上、本発明の好適な実施例について具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の技術的思想内で様々な同等の変形又は置換を行うことができ、これらの同等の変形又は置換は、いずれも本出願の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11