(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】内部固体分離を備えた曝気反応器
(51)【国際特許分類】
C02F 3/12 20060101AFI20220913BHJP
C02F 3/34 20060101ALI20220913BHJP
C02F 3/08 20060101ALI20220913BHJP
C02F 3/10 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C02F3/12 M
C02F3/34 101A
C02F3/12 H
C02F3/12 J
C02F3/34 101C
C02F3/34 101D
C02F3/08
C02F3/10 A
(21)【出願番号】P 2019532080
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2017083398
(87)【国際公開番号】W WO2018109235
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513005305
【氏名又は名称】パクス アイ.ピー. ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レミー, マクシム ホセ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】プリンス, リンク
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲラー, ヤコブ コルネリス テオドルス
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-533801(JP,A)
【文献】特表2016-518976(JP,A)
【文献】中国実用新案第205346965(CN,U)
【文献】中国実用新案第205442959(CN,U)
【文献】特開平09-206779(JP,A)
【文献】国際公開第2008/141413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/02-3/12
C02F 3/30-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水の好気性処理のためのバイオリアクターであって、
液体入口(4)およびガス出口(12)を備える反応器(1)であって、前記反応器の有効高さの半分よりも低い下部を備える、反応器と、
前記反応器の前記下部に配置された1以上の曝気手段(7)を含む、反応器内容物の上方移動のための手段と、
前記反応器の前記下部に配置された、液体入口(15)、液体出口および固体出口を備える、液体から固体を分離するための固体分離装置(13)であって、
前記固体分離装置の前記液体入口(15)が、前記反応器(1)の前記有効高さの75%未満の高さに配置され、
前記固体分離装置の前記液体出口が、前記反応器を出る液体出口ライン(17)に接続され、
前記固体分離装置の前記固体出口が、前記反応器内容物の上方移動のための手段の上方で終わる固体出口ライン(16)に接続されている、固体分離装置と、
を備え、
前記反応器の前記有効高さは、最大反応器(水)レベルである、バイオリアクター。
【請求項2】
前記固体分離装置の前記液体入口が、前記反応器の有効高さの55%未満の高さに配置される、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項3】
前記固体分離装置の前記液体入口が、前記反応器の有効高さの20~45%の高さに配置される、請求項2に記載のバイオリアクター。
【請求項4】
前記固体分離装置の前記液体入口が、前記固体分離装置の真上に配置されているか、または前記反応器内容物の上方移動のための手段が配置されていない前記反応器の一部分の上に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項5】
前記固体分離装置の前記固体出口に、固体の上方移動のための液体またはガスの流れを生じさせるための手段が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項6】
前記固体分離装置が、一連の平行な傾斜構造を備える、請求項5に記載のバイオリアクター。
【請求項7】
前記固体分離装置が、一連の平行な傾斜したラメラまたはパイプを備える、請求項6に記載のバイオリアクター。
【請求項8】
前記バイオリアクターが、前記固体分離装置内に一体化されたガス分離装置をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項9】
前記固体分離装置(13)が、入口(15)の下に、斜めのラメラ(34)を備える脱気チャンバと、斜めのラメラ(14)を備える固体沈降チャンバとに前記固体分離装置を分割している斜めの隔壁(37)を備える、請求項8に記載のバイオリアクター。
【請求項10】
前記反応器
の上部がガス出口を除い
て覆われている、請求項1~9のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項11】
前記反応器が4~12mの高さを有し、かつ/または、運転中、前記反応器の水の高さが3~9mである、請求項10に記載のバイオリアクター。
【請求項12】
前記液体出口ライン(17)が、前記分離された液体の排出速度を制御して前記反応器内容物のレベルを調節する制御弁(27)に接続されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項13】
前記制御弁が、前記反応器内で液面を測定し、前記制御弁を制御するための検出器に接続されている、請求項12に記載のバイオリアクター。
【請求項14】
前記分離装置の前記液体出口ライン(17)が、前記分離された液体の一部を前記反応器に再循環させるための戻りライン(20)によって前記反応器の前記液体入口(4)に接続されている、請求項12又は13に記載のバイオリアクター。
【請求項15】
前記反応器の前記液体入口(4)が、前記反応器の前記下部に配置されている、請求項12~14のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項16】
廃水の好気性処理のための方法において、
(a)粒状バイオマスを含有する曝気反応器に廃水を含む液体流入物を供給して反応混合物を得るステップと、
(b)前記反応混合物を、0.1mg/L~4.0mg/Lの範囲内の濃度の溶存酸素、および0.5~72時間の範囲内の水理学的滞留時間を含む好気条件にさらすステップと、
(c)前記反応混合物を粒状バイオマスと処理廃水に分離するステップと、
(d)分離した粒状バイオマスを前記反応混合物に再循環させるステップとを含み、
ステップ(c)において、前記反応混合物が少なくとも0.2barの静水圧で前記反応器の有効高さの半分よりも低い前記反応器の部分で分離され、ステップ(d)において、粒状バイオマスが、前記反応器の内部での上方移動によって前記反応混合物に再循環される、ことを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記方法が請求項1~15
のいずれか一項に記載の装置を用いて実行される、ことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(d)において、750s
-1未満のせん断値を有する低せん断を用いて、粒状バイオマスが前記反応混合物に再循環される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(d)において、エアリフトによって、粒状バイオマスが前記反応混合物に再循環される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応器が、底部領域の一部分で曝気されて、1以上の垂直の曝気される区域と1以上の垂直の曝気されない区域をもたらし、ステップ(d)において、粒状バイオマスを1以上の曝気される区域に導入することによって粒状バイオマスが再循環される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)において、反応混合物が、固体分離装置において分離される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記固体分離装置が一連の平行傾斜構造を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(c)において、分離させる反応混合物が、前記反応器の有効高さの75%未満の高さで収集される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(c)において、分離させる反応混合物が、前記反応器の有効高さの55%未満の高さで収集される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記反応器が間欠的に曝気され、ステップ(c)におけるバイオマスの分離のために、前記反応器が曝気されていないときに、反応混合物が粒状バイオマス
のレベルより上で収集される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(a)~(d)が連続的にまたは間欠的に行われ、かつ/またはステップ(c)で提供される前記処理済み廃水の一部が再循環され、ステップ(a)で供給される前記液体流入物に添加される、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記粒状バイオマスが、前記水理学的滞留時間の少なくとも4倍のスラッジ滞留時間を有する、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記粒状バイオマスが、前記水理学的滞留時間の10~50倍のスラッジ滞留時間を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記反応器が、非粒状バイオマスをさらに含み、前記非粒状バイオマスの前記滞留
時間が、前記水理学的滞留時間の3倍以下であり、前記粒状バイオマスの前記滞留時間の0.2倍未満である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記廃水が、アンモニアを含み、前記粒状バイオマスが、アナモックス細菌のコアと、アンモニアを酸化する亜硝酸生成細菌の外縁とを有する顆粒を含む、請求項16~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記廃水が、1Lあたり20~4000mgのアンモニア(窒素として表示)を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記好気条件が、0.2mg/L~2.0mg/Lの溶存酸素濃度を含む、請求項16~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記好気条件が、0.3~0.7mg/Lの溶存酸素濃度を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記反応器中の前記反応混合物の前記レベルが、前記反応器からの前記処理廃水の排出を制御することによって変えられる、請求項16~33のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、バイオリアクター、および粒状バイオマスを伴う廃水の好気性処理のための、特に嫌気性アンモニウム酸化微生物のコアを有する粒状バイオマスを伴うアンモニア含有廃水の処理のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]粒状細菌を含む好気性反応は当技術分野で周知である。例としては、粒状好気性スラッジを用いる好気性COD処理(Nereda(登録商標)システム)、担体上のエアリフトバイオフィルムを用いる好気性研磨(Circox(登録商標)システム)、硫化物酸化反応およびアンモニア酸化(「アナモックス」)反応が挙げられる。特に単一反応器内で行われる場合の、そのような反応に伴う問題は、競合する非粒状微生物の発生であり、これは望ましくない副反応をもたらす可能性がある。例えば、アナモックス細菌によるアンモニアの亜硝酸への部分的好気的酸化、さらに亜硝酸によるアンモニアの分子二窒素への嫌気的(無酸素)酸化による、最終的には二窒素および水へのアンモニアの酸化は、非粒状バイオマス中に存在する硝酸塩形成微生物による亜硝酸塩の硝酸塩へのさらなる酸化に悩まされることがある。また、粒状バイオマスは、スラッジを反応器に循環させるために用いられるせん断力に起因する劣化の影響を受けやすい場合が多く、変換率が低下する。
【0003】
[0003]アナモックス細菌を使用してアンモニアを二窒素に酸化するための単一反応器方法は、例えば国際公開第00/05167号および欧州特許第2163525号に開示されている。これらの方法は、望ましい嫌気性アンモニア酸化、亜硝酸消費(アナモックス)細菌と好気性亜硝酸形成細菌を含有する粒状バイオマスが、選択的分離および再循環によってバイオリアクター内に優先的に保持されることが共通している。しかし、これらの方法は、老化および密度低下に関連した顆粒浮選によるバイオリアクターシステムからの顆粒の喪失によって妨害され得る。また、可変フラックスおよびアンモニア負荷を有する廃水もこれらのシステムで処理することは困難である。なぜなら沈降条件の変動が大きいために、交互の曝気が顆粒の選択を害することがあるためである。さらに、一般に使用されるバイオマス分離装置は、少なくとも6メートルの最小水深を必要とし、それにより、それよりも高さの低いタンクでの適用を不可能にする。
【0004】
[0004]欧州特許第0776864号は、粒状活性スラッジを使用する曝気精製反応器を開示する。スラッジは反応器の上部の傾斜した仕切りによって分離され、流出物は反応器の上部に排出され、分離されたスラッジは下方への移動で反応器に再循環される。
【0005】
[0005]国際公開第2014/171819号は、曝気によってもたらされたせん断条件下で、アナモックス細菌を含有する粒状スラッジを用いて5~25℃の温度の廃水からアンモニアを生物学的に除去するための方法を開示する。粒状スラッジは、液体流出物から分離され、傾斜板沈降装置を用いて3~15m/hの比較的高い上向きの液体流速で再循環される。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明は、顆粒をより良好に滞留し、従ってより良好な効率を有し、そして反応器および代替曝気サイクルにおけるレベルの変動を許容することによって、本方法をより低い流入速度に適合させる可能性を有する、粒状細菌バイオマスを用いて廃水を処理するための反応器および方法を提供することを目的とする。本発明は、粒状バイオマスを再循環させるために高せん断ポンプの代わりにエアリフト作用などの低せん断作用を使用するので、顆粒への損傷を減らす。
【0007】
[0007]本発明によれば、そのような反応器は、固体分離装置を底部に有する曝気反応器である。分離装置は、有効または最大反応器高さより十分に低いその入口、および、固体が反応器内での上方移動によって再循環される位置の固体出口を有する。本発明によれば、粒状バイオマスが反応器の下部で処理廃水から分離される、そのような方法が提供される。この方法は、反応器内容物の表面に自由度をもたらし、頻繁に洗浄する必要をなくし、流速および反応器水位の変動を許容する。より低い反応器部分でより高い圧力が生じることと、反応器を覆う可能性の結果として、老化したガス充填顆粒が反応器から漏れることが阻止される。従って、過度の脱気をせず効果的な液固分離を伴って、より低い反応器水位を容易に適応させることができる。
【0008】
[0008]別のオン-オフ曝気は水位の変動をもたらし、オーバーフロー分離装置によって突然かつ一時的な液体変位をもたらすが、水柱の圧力はその間変化しない。本発明では、これにより、代替的な曝気中であっても、流入物と同じ流れで、連続的かつ安定した流出物出口流れが可能になる。
【0009】
[0009]本発明は、添付の図面を参照して、下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】別の特徴を有する本開示のもう1つの反応器を示す図である。
【
図3】一体化されたガス分離および固体分離装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]本開示は、一般に、添付の請求項1に定義されるようなバイオリアクター、および添付の請求項12に定義されるような方法に関する。
【0012】
[0011]より具体的には、
液体入口およびガス出口を備える反応器であって、反応器が反応器の有効高さの半分よりも低い下部を有する、反応器と、
反応器の下部に配置された1以上の曝気手段を含む、反応器内容物の上方移動のための手段と、
反応器の下部に配置された、液体入口、液体出口および固体出口を備える、液体から固体を分離するための固体分離装置であって、
固体分離装置の中への固体分離装置の液体入口が、反応器の有効高さの75%未満の高さに配置され、
固体分離装置の液体出口が、反応器を出る液体出口ラインに接続され、
固体分離装置の固体出口が、反応器内容物の上方移動のための手段の上方、例えば曝気手段が配置されている反応器の下部の一部の上方で終わる固体出口ラインに接続されている、固体分離装置と
を備える、廃水の好気性処理のためのバイオリアクターが本明細書において開示される。
【0013】
[0012]また、以下のステップ、
(a)廃水を含む液体流入物を粒状バイオマスを含有する曝気反応器に(連続的にまたは間欠的に)供給して反応混合物を得るステップ、
(b)反応混合物を、0.1mg/L~4.0mg/Lの範囲内の濃度の溶存酸素、および0.5~72時間の範囲内の水理学的滞留時間を含む好気条件にさらすステップ;
(c)反応混合物を粒状バイオマスと処理廃水に分離するステップ(すなわち、粒状バイオマスが反応混合物から分離される)、および
(d)分離した粒状バイオマスを反応混合物に再循環させるステップを含み、
ステップ(c)において、粒状バイオマスが少なくとも0.2barの静水圧で反応器の下部で反応混合物から分離され、ステップ(d)において、粒状バイオマスが反応器の内部での上方移動によって反応混合物、すなわち内部反応混合物に再循環されることにより特徴付けられている、廃水の好気性処理のための方法が本明細書において開示される。
【0014】
[0013]本明細書に記載されるように、「粒状スラッジ」または「粒状バイオマス」は、十分に凝集性であって、水よりも高い密度を有することによって、水性液から重力によって効果的に分離され得、細菌、古細菌または同類のものなどの微生物を含む、粒状形態または別の、例えば綿状形態の固体を含む。従って、「非粒状スラッジ」または「非粒状バイオマス」とは、重力による効果的な分離を可能にする粒状またはその他の形態でない、スラッジまたはバイオマスをさす。本明細書において細菌が言及される場合、同様の活性を有する古細菌などのその他の微生物も含まれるとみなされる。本明細書において、「好気性処理」または廃水とは、好気性、すなわち酸素依存性の微生物を含む微生物に廃水をさらすことをさすが、混合条件、すなわち好気性と嫌気性の微生物および条件にさらすことも含む。用語(液体)反応器内容物、反応器液、反応混合物および同類のものは、本明細書において、使用中のバイオリアクターの、分離されていない、本質的に液体の(だが固体とガスも同様に含有する)内容物をさすために同義的に使用される。
【0015】
[0014]本明細書に記載されるように、粒状バイオマスが分離される反応器の「下部(lower part)」または「下部(lower section)」は、反応器の有効高さの半分未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、最も好ましくは反応器の有効高さの5~25%の部分である。下部は、特に、それより上のかなりの高さ、特にスラッジ-廃水、すなわち固体-液体の分離が起こるポイントで少なくとも0.2bar、好ましくは少なくとも0.3bar、より好ましくは少なくとも0.4barの静水圧に相当する高さの反応器内容物を有する反応器の一部分に対応する。これは次に、少なくとも2m、好ましくは少なくとも3m、より好ましくは少なくとも4mの固液分離よりも上の液体の高さに相当する。この液体高さは、(例えば、オフシーズンまたは週末操業中に)低いHRTを維持するために、流入水供給量が少ない場合に有効反応器容積を減少させることができるように可変性であり得る。以下にさらに説明するように、反応器内で様々な液体レベルを使用する場合、分離レベルでの静水圧はなお、最低反応器液面で少なくとも2mの液体高さに相当する少なくとも0.2barが好ましく、最大反応器液面で少なくとも0.3bar(3m高さ)、さらには少なくとも0.4bar、例えば最大0.8、さらには1.0barが好ましい。
【0016】
[0015]本明細書において、「有効反応器(容器)高さ」、「(液体)反応器内容物の高さ」、「最大反応器(水)レベル」および同類のものは、反応器の液体内容物の実用的な最高レベルを示すために同義的に使用される。当業者であれば容易に理解されるように、「最大高さ」または「最大実用レベル」は、それを超えると反応器方法を妨げずに反応器を運転できないレベル、例えば垂直壁が終わる場所などの、容器直径に変化がある場所である。全反応器高さ-すなわち、反応器内容物の高さとは無関係-は、特定の処理に応じて、例えば3~12m、より特に4~10mで変動し得る。
【0017】
[0016]反応器は、反応器の下部の曝気装置によって連続的にまたは非連続的に曝気される。好ましくは、曝気装置は反応器の下部に均一に分布していない。そのため、反応混合物の実質的な上方移動を伴う、より集中的に曝気される区域が、曝気装置の配置されている底部の1または複数の部分の上の垂直の区域に作り出され、反応混合物の実質的な下方移動を伴う、その上のあまり集中的でないかまたは曝気されない区域が、曝気装置がほとんどまたは全く配置されていない底部の部分の上の垂直の区域に作り出される。この結果は、それぞれ好気性および非好気性(嫌気)反応条件を促進する、曝気段階と非曝気段階を交互に有する、望ましい垂直(エアリフト)ループ反応器およびプロセスの種類である。
【0018】
[0017]方法ステップ(c)では、粒状バイオマスは、以下にさらに説明するように、好ましくは固体分離装置内で反応混合物から分離される。固体分離装置は、反応器の底部に、または底部のわずかに上に、または底部のさらに下に、例えば反応器底板の深部に配置されることができ、その結果、固体分離装置の一部だけが反応器の底部レベルより上にある。従って、粒状バイオマスが反応混合物から分離される反応器の下部、すなわち、反応器の有効高さの50%未満、好ましくは40%未満などは、特に、固体が分離される固体分離装置内のレベルをさす。分離装置が下に言及されるような複数の傾斜構造を含む場合、分離レベル、すなわち下部は、複数の傾斜構造の中央の高さとして理解される。
【0019】
[0018]適した固体分離装置は、例えば国際公開第2012/005592号に記載されるような、いわゆる底部沈降装置である。分離装置は、以下にさらに説明されるように、分離効力を向上させるために、好ましくは一連の複数の平行傾斜(斜め)構造、例えば複数の板、複数の管または複数のグリッドを含むことが好ましい。国際公開第2012/005592号の教示とは異なって、反応器(反応混合物)からの処理済み液は、好ましくはバイオマス床より上(すなわち、反応器高さの約20~30%以上)である反応器の高さに位置する固体分離装置の入口で収集され、反応器の底部近くの固体分離に供給され、そこで処理済み液は(粒状)バイオマスから分離され、部分的にまたは完全に排出されるか、または部分的に反応器に再循環される。分離された(粒状)固体は、好ましくはエアリフト作用によって駆動する上昇管を用いて、部分的にまたは完全に反応器に再循環される。
【0020】
[0019]ステップ(a)での廃水の供給は、流入速度の変動を許容しながら、好適には連続的に実施され得る。結果として、粒状バイオマスの分離ならびにステップ(c)における処理廃水の供給-および排出-も好適には連続的である。供給、および任意選択で分離および排出は、例えばバイオマスの沈降を可能にするために、比較的短期間間欠的に行われてもよい。
【0021】
[0020]反応器は間欠的に曝気され得、すなわち反応器は曝気されている間の局面と、無酸素状態を可能にするために曝気が中断されている間の局面とを有し得る。曝気局面の間、反応器が曝気によって完全に混合されると、処理廃水は、粒状バイオマスと共に収集され、固体分離装置に供給される。非曝気局面の間、顆粒は、固体分離装置の入口の下にあり得る床に沈降することになる。このことは、粒状バイオマスは固体分離装置に入ることができないので、処理廃水だけが反応器から出ることを意味する。反応器内容物の上方移動のための手段として、エアリフトによる粒状バイオマスの分離装置から反応器への戻りを容易にするために、別個の送風機またはポンプが存在し得る。
【0022】
[0021]廃水供給の変動を均一にするために、ステップ(c)で分離された処理廃水の一部を再循環させて、ステップ(a)で供給される液体流入物に加え、その後、残りの部分だけを排出することができる。必要に応じて、凝集傾向がある亜硝酸酸化細菌などの望ましくないバイオマスは、この再循環ラインにおいて沈降、ろ過またはUV照射または同類のものによって不活性化され得る。この選択肢は、12時間を超える、特に24時間を超える、特に36時間を超える比較的長いHRTにおいて特に好適である。再処理された廃水と排出された処理廃水の比は、供給レベルとその変動に基づいて決定される。この比は大まかに0~0.9の間、例えば0.1~0.8の間、より特に0.2~0.5の間であり得る。
【0023】
[0022]ステップ(d)で反応器に再循環された粒状バイオマスは、反応器内部の上方への移動によって再循環される。これは、反応器の内部でステップ(c)で分離されたバイオマスが、上方移動が配置されている反応器の下部の反応器の内部の1以上の位置に直接供給されることを意味する。特に、分離され再循環されたバイオマスは反応器を出ず、実質的な高さの差を埋めることなく上方へ移動しながらその場所に供給される。粒状バイオマスは、低せん断を使用することによって再循環されることが好ましい。これは、低速液体ジェットまたはガスジェット、あるいは低せん断ポンプを使用することによって、特にエアリフト作用を用いることによって達成される。分離された粒状バイオマスを上方移動で再循環させるために液体を使用する場合、反応液または好ましくは新鮮な流入物、あるいは反応器流出物の再循環された部分は、固体分離装置の出口から上向きにバイオマスを移動させるための原動力となる液体としてポンプで送りこまれ得る。高せん断ジェット、ポンプおよび同類のものは、せん断によって誘導される顆粒への損傷を最小限にするために、避けることが好ましい。本明細書において、「低せん断」とは、750s-1未満、特に500s-1未満、例えば50s-1までのせん断値を意味する。
【0024】
[0023]エアリフト再循環の際、粒状バイオマスは、反応器の曝気区域に導入され得る。すなわち、反応器内容物(分離された固体を含む)の上方移動のための手段は、1以上の曝気装置によって提供される。従って、分離された粒状バイオマスは、1または複数の曝気装置の真上に、例えば1または複数の曝気装置の上1m以内に導入され得る。その目的のため、集中的に曝気される区域は、円筒状またはその他の形状を有する垂直壁によって、反応器の高さの(下側)部分の曝気されていない(またはあまり集中的でない)区域から分離され得る。あるいは、そして好ましくは、国際公開第2015/047091号に記載されるように、曝気される区域は壁によって分離されていないが、曝気上昇流における再循環された粒状バイオマスの集束は、分離装置の固体出口を最も近い曝気されない区域から離れる方に、より好ましくは上向き方向に向けることによって達成される。
【0025】
[0024]あるいは、またはさらに、専用の曝気装置、例えば送風機などを、反応器内容物の上方移動のための手段として、固体分離装置(またはその収集装置)の固体出口の下に配置することができ、上昇カラムを、粒状バイオマスを含む固体を反応器の上部および反応器内容物の上部レベルに運ぶように、専用の曝気装置の上方に配置することができる。そのような専用の曝気装置は、反応器内容物を所望のレベルで好気性に保持するために必要な空気供給とは無関係のエアリフトによって粒状バイオマスを再循環させるために好適であり得る。
【0026】
[0025]反応器内の水理学的滞留時間(HRT)は、少なくとも0.5時間、好ましくは少なくとも1時間、最大72時間、好ましくは最大48時間、より好ましくは最大24時間、最も好ましくは12時間以下またはさらに8時間以下である。反応器内で、粒状スラッジは、好ましくは、HRT少なくとも4倍の、好ましくはHRTの10~50倍のスラッジ滞留時間(SRT)を有する。従って、粒状バイオマスのSRTは、少なくとも2時間、好ましくは少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも2日、最大例えば60日、好ましくは最大42日、最も好ましくは再大30日である。
【0027】
[0026]反応器は、おそらくさらなる処理に関与する、ガスの制御排出を可能にするために、上部が覆われていることが好ましい。必要であれば、混合に必要な空気流が細菌に酸素を供給するために必要な空気流よりも多い場合に、使用済みガスを反応器の上部で集め、部分的に曝気装置に再循環させることができる。
【0028】
[0027]特定の実施形態では、より低い流入量に対応するために、反応器内容物のレベルを変えることができる。これは、下の
図2を参照してさらに説明されるように、反応器内部の水位を測定する水位検出器によって制御される、処理廃水の流出速度を制御する制御弁を組み込むことによって配置され得る。
【0029】
[0028]本発明の方法および反応器を用いて行うことができる好気性処理方法には、望ましい微生物を含有する顆粒または綿状等価物を使用するどんな方法も含まれる。一例として、国際公開第94/29227号(欧州特許第0702663号)に記載されるような硫黄粒子を用いる、硫化物の硫黄元素への生物学的酸化は、好適に本発明を用いて実行し得る。別の例は、例えば国際公開第2011/073744号および国際公開第2015/181083号に記載されるポリヒドロキシアルカノエート生成微生物による易生分解性CODの好気性処理である。
【0030】
[0029]本発明は、アンモニア含有廃水の処理に特に適しており、この際、アンモニアは分子状酸素の存在下で部分的に亜硝酸塩に酸化され(亜硝酸化反応)、形成された亜硝酸塩の存在下で分子状窒素(二窒素)に部分的に嫌気的に酸化される(アナモックス反応)。この方法は、嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)細菌を含む粒状バイオマスを伴う。特に、顆粒は、嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)細菌のコアと好気性アンモニア酸化微生物(細菌および/または古細菌)の外縁を有する。
【0031】
[0030]従って、本発明は、特定の実施形態において、アンモニアを含有する廃水の好気性処理のための方法に関し、この方法は、以下のステップ、
(a)アナモックス細菌のコアと好気性アンモニア酸化亜硝酸生成細菌の外縁を有する顆粒を含むバイオマスを含有する曝気反応器に廃水の流れを連続的にまたは間欠的に供給して、反応混合物を得るステップ、
(b)反応器混合物を、0.1mg/L~4.0mg/Lの範囲内の溶存酸素濃度、および0.5~72時間の範囲内の水理学的滞留時間を含むアンモニウム酸化条件にさらすステップ、
(c)反応混合物を粒状バイオマスと処理廃水に分離するステップ、および
(d)分離した粒状バイオマスを反応混合物に再循環させるステップを含み、
ステップ(c)において反応混合物が反応器の下部で分離され、ステップ(d)において粒状バイオマスが、好ましくは低せん断を用いる、反応器の内部での上方移動によって、反応混合物に再循環されることにより特徴付けられている。
【0032】
[0031]廃水がアンモニアを含み、バイオマスがアナモックス細菌のコアとアンモニア酸化微生物の外縁とを有する顆粒を含む方法では、好気条件は、好ましくは0.2mg/L~2.0mg/L、より好ましくは0.3~0.7mg/Lの溶存酸素濃度を含む。そのような方法では広範囲のアンモニア濃度に対処することができるが、廃水は好ましくは1Lあたり少なくとも20mgのアンモニア(窒素として表す)、例えば最大4000mg/L、より好ましくは少なくとも50mg/L、さらにより好ましくは1Lあたり200~2000mgのアンモニア(窒素として表す)を含む。レベルが高い方が、処理済み流出物を希釈剤としても使用する適切な希釈によって、おそらくは上記のような沈降、ろ過、UV照射、または同類のものなどによる消毒の後に、便宜に処理され得る。
【0033】
[0032]アンモニア含有廃水を処理する方法では、反応器はあまり望ましくないかまたは望ましくない微生物、例えば亜硝酸酸化細菌などを含む非粒状バイオマスをさらに含むであろう。非粒状バイオマスの滞留時間は、好ましくは水理学的滞留時間の3倍以下であり、粒状スラッジの滞留時間の0.2倍未満である。より好ましくは、非粒状スラッジの滞留時間は、水理学的滞留時間の2倍以下であり、粒状スラッジの滞留時間の0.1倍未満である。例えば、非粒状バイオマスの滞留時間は、0.5~48uの間、特に1~36uの間であり得る。
【0034】
[0033]本明細書に開示されるような、廃水の好気性処理のためのバイオリアクターは、特に、
液体入口とガス出口を備える反応器であって、さらに、反応器は下記の固体分離装置によって提供される液体出口を有する、反応器と、
反応器の下部(下部)、特に下(底)部の一部分だけに配置された1以上の曝気手段であって、従って底部の別の部分、すなわち1以上の領域を曝気装置がないまま残し、従って動作中にこれらの1以上の領域の上に曝気されない、そのため比較的静かな1または複数の区域をもたらす、1以上の曝気手段と、
任意選択で、反応器の下部の反応器内容物(液体および固体)の上方移動のための追加の手段と、
上部の液体入口、液体出口および固体出口を備える、固体を液体から分離するように配置された反応器の下部に配置された固体分離装置であって、
固体分離装置の液体入口が、反応器の有効高さの75%未満の高さに配置されている、
固体分離装置の液体出口が、分離された液体を固体分離装置から反応器の外部に渡すように配置されている、すなわち、出口が反応器を出る液体出口ラインに接続されている、かつ
固体分離装置の固体出口が、分離された固体を固体分離装置から曝気手段の上の反応器内の区域に渡すように配置されている、すなわち、出口は、曝気手段が配置されている部分の上で終わる固体出口ライン、および/または反応器内容物の上方移動のための任意選択のさらなる手段、例えばポンプ出口の送風機などの上の区域に接続されている、固体分離装置と
を含む、連続的にまたは非連続的に曝気される反応器である。
【0035】
[0034]特に、固体分離装置の液体入口は、曝気されていない反応器の1区域から反応混合物を固体分離装置に渡すように配置されている。従って、入口は、曝気手段の上方の垂直の区域の外側、すなわち、1以上の曝気手段が配置されていない反応器の部分の上方に配置されることが好ましい;あるいは、入口は、装置の遮蔽効果の結果として曝気されない垂直圏である固体分離装置(の本体)の真上に配置され得る。
【0036】
[0035]バイオリアクターの固体分離装置に関して、「下部(lower part)」または「下部(lower section)」は、特に、方法に関して上記の反応器の有効高さの50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満である。1以上の曝気手段および上方移動のための任意選択の追加の手段も、下部に、好ましくは分離装置、特に装置内の複数の(傾斜した)分離構造の中央の高さよりも低い高さに配置される。反応容器は、反応混合物の垂直の循環を助けるために、容器の下部にも液体注入口を有することが好ましい。液体入口が配置される下部は、必ずしも固体分離装置と同じレベルではない;反応器の液体入口の高さは、曝気手段よりも上、すなわち、曝気される区域内にあってよく;液体入口は曝気手段よりも下にあってもよい。反応器のガス出口は、有効な反応器内容物の高さの上方、特に上部に配置される。一実施形態では、反応器は上部を覆われていないので開放上部はガス出口を構成する。しかし、反応器は好ましくは上部を覆われていて、排出ガスを単一または複数のラインによって導くことを可能にする専用の出口を備える。反応器はまた、処理済み廃水を排出するため、かつ任意選択で処理済み廃水の一部を反応器に再循環させるための、固体分離装置の液体出口に接続された液体出口も有する。
【0037】
[0036]曝気手段は、好ましくは、曝気手段を備えていないさらなる部分である、反応器の下部の一部に配置される。それらは、曝気手段の上方の垂直の曝気反応器区域と、曝気反応器区域間の非曝気反応器区域をもたらすように配置されている。好ましくは、曝気手段は、垂直方向に言えば、固体分離装置が配置されている下部の外側の反応器の区域に配置される。曝気手段は、曝気装置の上に単一の垂直の曝気される区域をもたらす、反応器の底部の単一の曝気装置であってよく、反応器の残りの区域は曝気されない区域である。あるいは、曝気手段は、その間に曝気されない区域を有する、本質的に同じ複数の曝気される区域をもたらす複数の曝気装置であってもよい。単一の曝気される区域、または複数の曝気される区域は、反応器の有効高さの一部または実質的に全部の高さにわたって延びる垂直壁によって1または複数の曝気されない区域から分離されてもよい;しかし、一実施形態では、そのような垂直壁は比較的短くすることができ(例えば反応器高さの20%未満)、または完全に省くことさえできる。さらなる代替形態として、曝気されていない1以上の場所を除いて、反応器の下部全体が均一にまたは準均一に曝気されてもよい。特に、分離装置が配置されている場所は曝気されない。従って、少なくとも分離装置の上方の区域は曝気されない区域であり、それは単一の曝気されない区域であってもよく、そこから反応混合物は分離装置に渡すために収集される。
【0038】
[0037]反応器の下部の固体分離装置は、固体を液体から分離するように配置されている。それは、反応混合物を曝気手段の上方の垂直区域の外側の反応器の区域から渡すように、すなわち、液体を非曝気反応器区域-例えば分離装置の上方-から固体分離装置に導入するように配置された液体入口、分離された液体を固体分離装置から反応器流出物として除去するように配置された液体排出口(出口)、および固体出口ラインを含む。固体出口ラインは、固体が反応器内で上方に輸送されるように、1以上の曝気反応器区域の下部で終わる。上方への輸送は、好ましくは、特に(低速の)液体もしくはガス流もしくはジェットに接続されている固体出口ラインによる、例えば揚力手段として液体流入物を用いる低せん断作用、または、より好ましくは、曝気から生じるエアリフト作用を伴う。従って、固体出口は、特に1以上の曝気装置の上方に、固体を上方に移動させるための、液体流またはガス流を生成するための手段(ポンプ、送風機、ノズル)を設けることができる。
【0039】
[0038]適切には、流出物(固体分離装置から分離された液体)の一部を流入物と共に再循環させて、流入流の変動とは無関係に固体分離装置内の上昇流の速度を制御することができる。これにより、流出タンクと流入タンクとの間の連続的な供給およびレベル調整が可能になる。
【0040】
[0039]固体分離装置は、液体/固体または気体/液体/固体混合物を導入するための流体入口(本明細書中で液体入口とも呼ばれる)を有するハウジングを備えることができる。固体分離装置は、粒子状材料分離配置および固体分離装置から分離された液体を除去するための液体出口をさらに含むことができ、液体出口は、粒子状材料分離配置の下流に位置している。
【0041】
[0040]固体分離装置は反応器の底部の上または近くに配置され、支持脚によって支持されるかまたは容器壁から吊り下げられる。固体分離装置の流体入口は、好ましくは粒状バイオマス床の高さを超える高さに配置され、それは一般に反応器の最大有効高さの約20~30%である。他方、入口は、供給量または供給特性の変動に対応するために反応器内容物の高さを変えるための手段を反応器が備える実施形態において反応器内容物(反応混合物)の最低有効高さよりも低い。従って、入口(の上端)は、反応器の有効高さの95%未満、好ましくは75%未満、より好ましくは55%未満、さらには45%未満の高さである;より低い高さは、より低い高さは、反応器内の様々な液体レベルに適応させる場合に適用されるのが有効である。曝気が中断されたときに分離装置の上方および沈降スラッジのレベルの上方にあるためには、分離装置の液体入口(上端)は、好ましくは有効反応器高さの10%よりも高い、特に15%よりも高い、より好ましくは20%以上よりも高い、さらにより好ましくは25%よりも高い。従って、流体入口高さは、好ましくは反応器の有効高さ(最大充填高さ)の20~95%の間であり、より好ましくは25~75%の間、さらにより好ましくは30~55%の間、最も好ましくは33~45%の間である。入口には、好ましくは、流体が分離装置に入る前にガスを逃がすことを可能にする手段、例えば脱気ユニットなどが設けられている。
【0042】
[0041]固体分離装置が反応器の底部に配置されている場合、これは、好適には流体入口の上端と、流体が分離される固体分離装置との間に最大の高さの差をもたらす。固体分離装置を反応器の外側よりも内側に設置することの利点は、固体分離装置の内部と反応器の周囲部分の圧力が等しいので、圧力差に対処するために固体分離装置を強化する必要がないことである。もう1つの利点は、分離装置の固体出口が反応器内容物の上方に移動する部分(例えば曝気区域)のすぐ近くにあることができるので、パイプの必要性が最小限になり、水平方向のパイプが反応器の外側に出て内側に戻る必要性も取り除かれることである。少しでも必要である場合、少数の、かつ/または短いパイプしか有さないことの利点は、固体の沈降による目詰まりの危険性が最小になることと、壁貫通のための費用が回避されることである。
【0043】
[0042]固体分離装置によって(流体)反応混合物から分離された固体は、好適には反応器に再導入される前に固体収集チャンバに収集される。固体収集チャンバは、固体収集チャンバから収集されたかまたは受け取られた材料を除去するための手段を備えることができる。固体収集チャンバは、反応器の中または反応器の方向に戻るための粒子状材料を含有する流体用の1以上の出口を備える。分離された固体材料は、反応器に再循環される。
【0044】
[0043]一実施形態では、粒子状材料は、反応容器への流入液の流れかまたは再循環液と流入液との混合物のさらなる流れによって作り出される吸引効果によって、固体分離装置の固体収集チャンバから除去される。従って、反応器の流体(液体)入口系は、少なくとも2つの目的を果たすことができる。入口は、流入物または流入物と再循環材料との混合物を反応器に入れる。そうする際に、出口開口部から分離装置の近くの反応器への材料の輸送は、分離された粒子状材料を固体収集チャンバから反応器へ輸送する、好ましくは下にさらに説明されるような空気駆動式上昇管を通じて、または送液手段(ポンプ、ノズルまたは同類のものなど)を通じて輸送する、吸引効果を引き起こす。
【0045】
[0044]好ましい実施形態では、固体分離装置は、反応器の上部から底部に向かって、反応器の側面に向かって外向きに次第に細くなる複数の傾斜した壁部分を含む。好適には、これらの傾斜した壁部分は、反応器の内部でテントのような構造を形成できる。反応器のより高い部分から下降するバイオマスは、複数の傾斜した壁部分から流入ノズルの方向に滑り落ちる可能性があり、従って反応器の底部にある非混合区域の危険性を最小限に抑える。特に、分離装置は、溝を形成する1列の複数の傾斜した平行構造、例えば複数のプレート、複数のパイプ、複数のグリッドまたは同類のものなどを含む。複数の傾斜構造の列は、粒子状材料分離配置として機能する。これらの構造によって形成された溝は、それを通過する流体を分離する。水平面と比較した複数の傾斜構造の傾斜は、十分な下方移動を提供するのに十分であり、一方、垂直面と比較して、それは固体粒子の効果的な分離を可能にするのに十分である。傾斜は、水平面に対して一般に15~75°の間、好ましくは30~60°の間である。粒子状物質は下方に流れる傾向があり、一方、液体材料は傾斜した溝を上方に流れる傾向がある。固体分離配置の傾斜した平行板は、固体分離装置の固体収集チャンバから液体排出口まで上方向の流れを引き起こすように構築および配置され得る。粒子状(粒状)またはスラッジ様材料は、固体収集チャンバ内に収集され、再循環される間、洗浄された液体材料は、固体収集チャンバから、そして最終的には反応器から液体排出口を介して排出され得る。
【0046】
[0045]上記のように、固体分離装置の流体入口は、好適にはガス分離装置を含む。ガス分離装置は、気体材料が液体から上方への移動によって逃げることを可能にし、続いて収集されて固体分離装置に運ばれる流体の気体含有量をさらに減少させる。ガス分離装置は固体分離装置と一体化されてもよい。そのようなアレイは、例えば、分離装置の脱気区域においてガスが上方に逃げることを可能にする、遅い下向きの液体流を有する一組の傾いた(斜めの)ラメラ、そして、分離装置の固体沈降区域において顆粒を沈降させて運び去ることを可能にする遅い上向きの液体を有する、異なる高さの同じもう一組の傾いたラメラを含み、国際公開第2010/036107号に記載されるように、脱気チャンバ(区域)および沈降チャンバ(区域)は、下端部で中断されている隔壁によって部分的に分離されている。これは、下の
図3に図式的に示されている。特に固体分離装置と一体化されている場合、従来のように反応器内容物の表面ではなく、反応器の内側(下側)部分でガス分離を行うことによって、上部表面には、入口、出口および分離装置などの固定された装置がない。このことは、変動する流入速度および/または変動する反応器装入物に適合するように表面を自由に上下に移動させ、従って反応器および方法の効率を最適化することを可能にする。
【0047】
[0046]バイオリアクターは、好ましくは3~12mの間の高さを有し、かつ/または最大反応器レベルの内容物は、好ましくは4~10mの高さを有する。(液体)反応器内容物は、可変性の高さ、例えば、反応器高さの約3分の1から最大有効高さまで、例えば10mの高さの反応器について約3~9m、または5mの高さの反応器について約2~4.5mを有することができる。従って、反応器の底部レベルから固体分離装置(の液体入口)の高さは、好ましくは反応器の最小充填レベルよりも低い、例えば10mの高さの反応器について1.5~3、特に1.8~2.5mである。反応器の水平断面は任意の形状、例えば正方形、多角形または好ましくは円形であり得る。
【0048】
図面の説明
[0047]
図1は、本開示によるバイオリアクターを示す。反応器1は、混合タンク21およびポンプ3を通り、液体流入物を液体分配器4を通して反応器に供給する、流入物供給部2を有する。反応器の有効高さ、すなわち、実際の最大液体レベルは、底部から垂直壁が終わって上部の円錐形の空気空間が始まるレベルまでである。反応器は、給気送風機5、ガス入口ライン6およびガス分配装置7によって曝気され、これらは一緒になって例示的な曝気手段を形成する。任意選択の専用の給気ポンプ8は、ライン9を通って、上昇管カラム11の下方の追加のガス注入器10(これも例示的な曝気手段を形成する)に空気を導入する。ガスは、出口12を通って反応器から排出される。液体から固体を分離するための複数の傾斜板14を含有する底部分離装置13は、反応器の下部に配置され、適切に支持される(図示せず)。反応器液は、入口15を通って分離装置13に供給され、入口15の上端は曝気が中断されたときに生じるバイオマスレベル25より上にあることが好ましい。必要に応じて、入口15の上部は、入口のポイントをバイオマス静止レベル25よりも上に上げるように、上方に延びるパイプ26である。収集された固体(粒状バイオマス)は、ライン16を通して上昇管カラム11の下方のガス注入器10の上の固体出口22に運ばれる。分離装置13で分離された液体は、収集されてライン17を通って流出物収集タンク18に運ばれ、そこから流出物は廃水口19を通って排出される。流出物の一部は、戻りライン20を通して流入物混合タンク21に戻すことができる。
図2を参照してさらに説明されるように、反応器水位24は、制御弁27を用いて、より高いレベル23とより低いレベル25との間で変動し得る。本明細書に示されるように、高い方のレベル23は反応器の最大実用レベルよりわずかに低い。
【0049】
[0048]
図2は、同様に本開示によるバイオリアクターのもう1つの実施形態を示す。
図1と2で同様の部分は同じ参照番号を有する。反応器1は、ポンプ3を通り、液体流入物を液体分配器4を通して反応器に供給する、流入物供給部2を有する。反応器は
図1のように曝気されているが、この実施形態では専用の曝気装置10が省略されている。傾斜板14および入口15を備える底部分離装置13は、反応器の下部に配置される。収集された固体(粒状バイオマス)は、ライン16を通して固体出口22に運ばれ、固体出口22はこの実施形態では、1つ(または複数)の正規の分配装置7の上に配置される。この実施形態では、ガス分配装置7の上のカラムは、反応器内部の曝気区域と非曝気区域を画定するのを助ける円筒壁30によって分離されている。分離装置13で分離された液体は、収集されてライン17を通って液体は収集され、最大レベル23とバイオマス静止レベル(ここでは図示せず)との間に反応器の液面24を調節するための制御可能弁27に、そして最終的に排出口19に運ばれる。その一部は
図1に示されるように再循環させることができるが、ここでは図示しない。流出物制御弁27は、反応器内のレベルを連続的に測定し、測定値をライン29を通じて送信するレベル測定28によって制御される。ガスの必要量が酸素の必要量よりも多い場合には、制御可能弁および弁またはポンプ32を備えた任意選択のガス戻りライン31によってガス流を調節することができる。
【0050】
[0049]
図3は、分離する反応混合物のための上部入口15を有する、一体化されたガス分離および固体分離装置13を示す。一体化された分離装置を通る混合物の流れは、矢印33によって示される。混合物は、最初に、ガスが液体および固体から分離され、35に沿って上方に排出されることを可能にする脱気区域内の複数の斜めのラメラ34を下行する。斜めの隔壁37を通過した後、脱気された混合物は複数の斜めのラメラ14を通って上行し、固体を36として沈降させ、分離装置の底部で16を通じて再循環させる。次に、脱気され、清澄化された液体は、分離装置の上部で17を通して運び去られる。
【0051】
例
例1
[0050]産業は、その産業の活動における季節的変動のために、様々な流量の廃水を生産している。工業廃水中のアンモニウムは、粒状バイオマスを使用するアナモックス方法によって処理される。最大流量は1日あたり1000m3または1時間あたり40m3であるが、低運転期間中の流量は1日あたり360m3または1時間あたり15m3しかない。アンモニウム(NH4-N)濃度は、高活動期間と低活動期間との間で1リットル当たり約1000mgと比較的安定している。反応器は、12時間の最適な水理学的滞留時間(HRT)で最大流量を処理するように設計されているが、この量を保持しようとすると、低供給期間では33時間という、より高いHRTとなる。33時間のHRTはこの方法には許容可能であるが、亜硝酸酸化細菌(NOB)などの望ましくないバイオマスによる反応器の過密の危険性が増加することになる。そのため、タンクの運転容量は低供給期間の間に減少し、水位が8メートルから4メートルに低下する。これにより、反応器容量は500から250m3に低下するが、顆粒保持装置は作動し続けることになる。低供給期間中のより少ない反応器容量では、その期間中のHRTは17時間である。NOBは液体排出と共に反応器から連続的に流されるので、17時間はNOBの蓄積を防ぐのに十分である。容積を小さくすることによっても、0.7kgNm3.dではなく1.4という十分に高い容積負荷率(VLR)が可能になるが、高負荷中のVLRは2kgN/m3.dのままである。送風機の最小出力が低流量条件下で曝気要求よりも高いので、低流量期間中は曝気装置の交互運転が必要である。