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  • 特許-マップマッチング方法および電子装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】マップマッチング方法および電子装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20220913BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G01C21/30
G01C21/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019027966
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020134309
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 学
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信範
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-226341(JP,A)
【文献】特開2006-250875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/30
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた電子装置において実行されるマップマッチング方法であって、当該マップマッチング方法は、検出された車両位置をリンクに引き付け処理するものであって、前記マップマッチング方法はさらに、
他の道路から分岐された道路に接続された特定エリアのレーン情報を取得すること、
取得したレーン情報に基づき前記分岐された道路のリンクの位置を、前記他の道路に接近する方向に補正すること、および
前記補正されたリンクを候補リンクに用いてマップマッチングすることを含む、マップマッチング方法。
【請求項2】
前記分岐された道路のリンクは、レーン数に応じた距離で補正される、請求項1に記載のマップマッチング方法。
【請求項3】
前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアに接続され、他方の端部が前記他の道路に接続され、前記一方の端部の位置がシフトされる、請求項1または2に記載のマップマッチング方法。
【請求項4】
前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアのレーン中央の位置から前記他の道路に接近する位置にシフトされる、請求項3に記載のマップマッチング方法。
【請求項5】
前記分岐された道路のリンクは、前記他の道路の形状に応じて補正される、請求項1ないし4いずれか1つに記載のマップマッチング方法。
【請求項6】
前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアの入口側に接続され、他方の端部が前記他の道路の第1のノードに接続され、特定エリアの出口側の道路のリンクが別の他の道路の第2のノードに接続されているとき、前記分岐された道路のリンクおよび前記出口側の道路のリンクが、第1のノードと第2のノードとを直線で結ぶリンクに補正される、請求項1に記載のマップマッチング方法。
【請求項7】
特定エリアは、有料道路の料金所である、請求項1ないし6いずれか1つに記載のマップマッチング方法。
【請求項8】
ナビゲーション機能を備えた電子装置であって、
自車位置を検出する検出手段と、
検出された自車位置をリンクにマップマッチングする手段とを含み、
前記マップマッチングする手段は、
他の道路から分岐された道路に接続された特定エリアのレーン情報を取得し、取得したレーン情報に基づき前記分岐された道路のリンクの位置を、前記他の道路に接近する方向に補正し、前記補正されたリンクを候補リンクに用いてマップマッチングする、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を備えた電子装置に関し、特に、マップマッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置では、自車位置をリンク上にマップマッチングさせることで、自車位置を道路上に正確に表示している。例えば、特許文献1のマップマッチング方法は、道路幅あるいは道路の車線数に応じた数の仮想リンクを用意し、仮想リンクをマップマッチングの対象リンクとしてマップマッチングを行い、その中から最適な仮想リンクを求め、最適な仮想リンクに応じた道路上に自車位置を修正する。特許文献2のナビゲーション装置は、車両が料金所エリアに進入すると、その時点で複数の仮想リンクを設定し、仮想リンクにマップマッチングする。特許文献3のマップマッチング方法は、マップマッチングの候補となる対象リンクについて、道路の形状に応じた仮想リンクを生成し、仮想リンクの位置と方位に基づきマップマッチングを行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-226341号公報
【文献】特開2006-250875号公報
【文献】特開2017-3462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、従来の車載装置における料金所エリアの誤マップマッチングの例について説明する。図1(A)に示すように、高速道路の本線10から側道12が分岐し、側道12が料金所(ETCゲート)20の入口側に接続される。料金所20の出口側にはさらに側道14が接続され、側道14は一般道あるいは有料道路等の別の道路16に接続される。料金所20は、通常、複数の車両が同時に進入できるように複数レーンに対応している。それ故、側道12および14は、料金所20に接続する部分おいて道幅が拡張されている。
【0005】
図1(B)は、図1(A)の道路に対応する道路地図データベース上のリンクを示している。高速道路の本線10のリンクがL1、L2、側道12のリンクがL3、側道14のリンクがL4、別の道路16のリンクがL5である。リンクL1の分岐点がノードN1であり、リンクL3の一端がノードN1に接続され、他端が料金所20のレーン中央位置であるノードN2に接続される。リンクL4の一端がノードN2に接続され、他部がノードN3を介してリンクL5に接続される。
【0006】
道路地図データベース上において、料金所20に繋がる側道12のリンクL3は、側道12の概ね中央を通るように引かれる。図に示すように、料金所20が7レーンであれば、これに応じて側道12の道路幅が広がり、ノードN2がレーン中央位置に設定され、リンクL3が側道12のほぼ中央に置かれる。
【0007】
本線10が側道12とある程度並走する関係にあるとき、本線10から側道12に降りた自車Mが側道12の右側レーンを走行すると(つまり、本線10に近い方を走行すると)、自車位置Mが側道12のリンクL3よりも本線10のリンクL2に近接し、本線10を降りているにもかかわらず、自車位置Mが本線10に誤マップマッチングされてしまう。これにより、自車位置のズレが生じ、車載装置の道路画面上において自車位置が別の道路上に表示されてしまうという課題がある。
【0008】
図2(A)は、目的地までのルート案内をしているときの表示例である。目的地までの当初のルートRは、本線10を降り、側道12からA料金所を通過するものであり、自車位置Mが本線10の分岐に近づくと、A料金所(ETCゲート)を通過する旨の拡大表示や音声案内が行われる。しかし、上記したように、本線10を降りたにもかかわらず自車位置Mが本線10に誤マップマッチングされると、車載装置は、図2(B)に示すように、自車が本線10を降りなかったと誤認識し、目的地までの別のルートR1を探索するリルート処理を行ってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、マップマッチング精度を改善したマップマッチング方法および電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るマップマッチング方法は、検出された車両位置をリンクに引き付け処理するものであって、他の道路から分岐された道路に接続された特定エリアのレーン情報を取得し、取得したレーン情報に基づき前記分岐された道路のリンクの位置を、前記他の道路に接近する方向に補正し、前記補正されたリンクを候補リンクに用いてマップマッチングする。
【0011】
ある実施態様では、前記分岐された道路のリンクは、レーン数に応じた距離で補正される。ある実施態様では、前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアに接続され、他方の端部が前記他の道路に接続され、前記一方の端部の位置がシフトされる。ある実施態様では、前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアのレーン中央の位置から前記他の道路に接近する位置にシフトされる。ある実施態様では、前記分岐された道路のリンクは、前記他の道路の形状に応じて補正される。ある実施態様では、前記分岐された道路のリンクの一方の端部が特定エリアの入口側に接続され、他方の端部が前記他の道路の第1のノードに接続され、特定エリアの出口側の道路のリンクが別の他の道路の第2のノードに接続されているとき、前記分岐された道路のリンクおよび前記出口側の道路のリンクが、第1のノードと第2のノードとを直線で結ぶリンクに補正される。ある実施態様では、特定エリアは、有料道路の料金所である。
【0012】
本発明に係るナビゲーション機能を備えた電子装置は、自車位置を検出する検出手段と、検出された自車位置をリンクにマップマッチングする手段とを含み、前記マップマッチングする手段は、他の道路から分岐された道路に接続された特定エリアのレーン情報を取得し、取得したレーン情報に基づき前記分岐された道路のリンクの位置を、前記他の道路に接近する方向に補正し、前記補正されたリンクを候補リンクに用いてマップマッチングする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分岐された道路のリンク位置を他の道路に接近する方向に補正し、補正したリンクをマップマッチングに用いるようにしたので、他の道路から特定エリアに進行したときに補正したリンクにマップマッチングされ易くなり、他の道路に誤マップマッチングされることが抑制される。これにより、自車位置を正確に道路上に表示させ、かつ、誤マップマッチングによる不要なリルートを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の車載装置において料金所エリアで誤マップマッチングが生じる例を説明する図である。
図2図2(A)は、当初の目的地までのルートを案内する例、図2(B)は、ごマップマッチングによりリルートが行われた例を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る車載装置の構成を示す図である。
図4】本発明の実施例に係るマップマッチング機能の構成を示す図である。
図5】本発明の実施例に係るマップマッチング機能の動作を説明するフローである。
図6】本発明の実施例に係る側道リンクの補正方法を説明する図である。
図7】本発明の実施例に係る料金所のレーン数とシフト量との関係を規定するテーブルである。
図8】本発明の変形例に係る側道リンクの補正方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明に係るナビゲーション機能を搭載した電子装置は、コンピュータ装置、スマートフォンに代表される高機能型携帯電話端末、ポータブル端末、またはナビゲーション・オーディオ・ビジュアル機能を備えた車載装置であることができる。以下の実施例では、ナビゲーション機能を搭載した車載装置を例示する。
【実施例
【0016】
図3は、本実施例の車載装置100の内部構成を示すブロック図である。車載装置100は、入力部110、位置検出部120、ナビゲーション部130、通信部140、表示部150、音声出力部160、記憶部170、および制御部180を含んで構成される。但し、ここに示す構成は一例であり、車載装置100は、他の機能、例えば、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ・ラジオ放送の受信機能、車載カメラの映像を表示する機能等を包含するものであってもよい。
【0017】
入力部110は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどを含み、これらのデバイスを介してユーザーからの指示を受け取り、これを制御部180へ提供する。位置検出部120は、GPS衛星から送信されるGPS信号および/またはジャイロセンサ等の方位センサ等を利用して自車の現在位置を検出する。位置検出部120は、検出した自車位置を制御部180やナビゲーション部130に提供する。
【0018】
ナビゲーション部130は、位置検出部120により検出された自車位置を道路地図データのリンク上にマップマッチングする機能を備える。また、ナビゲーション部130は、入力部110を介して目的地または経由地が設定されたとき、自車位置等から目的地までの経路を探索し、探索した経路案内を表示部150や音声出力部160から出力させる。
【0019】
通信部140は、外部の装置やネットワークとの間で無線通信を可能にする。車載装置100は、例えば、地図配線サーバーに対して地図配信をリクエストし、そこから自車位置周辺の地図をダウンロードすることも可能である。
【0020】
記憶部170は、ナビゲーション部130に使用される道路地図データを記憶したり、車載装置100に必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を記憶する。道路地図データは、リンクデータ、ノードデータ、施設データ等を含む。リンクデータは、リンクを識別するリンクID、リンクが接続されるノードを識別するノードID、レーン情報(レーン数を含む)、道路種別情報(高速道路、料金所に繋がる側道、一般道、国道など)を含む。ノードデータは、ノードを識別するノードID、ノードの緯度、経度、ノードが接続される接続リンクID、交差点情報等を含む。
【0021】
また、本実施例では、マップマッチングにおいて、特定エリアに属する側道のリンク位置を自動的に補正する機能を備える。特定エリアは、例えば、高速道路等の料金所、パーキングエリア、サービスエリア等であり、これらの特定エリアは、本線から分岐した側道に接続されている。側道のリンク位置を補正するために必要な情報は、特定エリアの識別情報、特定エリアの座標、特定エリアに同時に進入することができるレーン数、特定エリアに接続された側道を識別するリンクID、特定エリアにおいて側道リンクを接続するノードID(座標を含む)等である。これらの特定エリアに関する情報は、例えば、ノードデータに格納されてもよいし、施設データに格納されてもよい。
【0022】
制御部180は、車載装置100の各部の動作を制御する。ある実施態様では、制御部180は、ROM/RAM等を備えたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み、ROMには、各部を制御するためのプログラムが格納される。本実施例では、制御部180は、ナビゲーション部130を制御するためのプログラムを実行し、ここでは、ナビゲーション部130のマップマッチング機能の詳細について説明する。
【0023】
マップマッチングは、位置検出部120で検出された自車位置をリンクに引き付け処理し、検出された自車位置を修正する。例えば特許文献1にも開示されるように、マップマッチングは、自車位置からリンクまでの垂直距離や、自車の相対的方位とリンク方位の差などから最適リンクを求め、最適リンク上に自車位置をマップマッピングする。
【0024】
本実施例では、高速道路等において、本線を降りて側道から特定エリアに進行するとき、側道のリンク位置を仮想的に本線側にシフトさせ、本線への誤マップマッチングを抑制する。特定エリアは、例えば、料金所、サービスエリア、パーキングエリア等であり、以下の説明では、特定エリアとして料金所を例に用いる。
【0025】
図4は、本実施例のマップマッチング機能の構成を示すブロック図である。マップマッチング機能200は、位置検出部120で検出された自車位置を取得する自車位置取得部210、道路地図データを参照しそこから高速道路等の有料道路の料金所を検索する料金所検索部220、検索された料金所のレーン情報あるいは料金所に接続された側道のレーン情報を抽出するレーン情報抽出部230、抽出されたレーン情報に基づき側道のリンク位置を補正する側道リンク補正部240、自車が料金所を通過したかあるいは自車位置が料金所から一定距離以上離れたときに側道リンクの位置補正を解除するリンク補正解除部250を含む。
【0026】
次に、本実施例によるマップマッチングの動作フローを図5に示す。ナビゲーション部130が動作され、自車が走行を開始すると(S100)、位置検出部120により自車位置が検出され、自車位置取得部210が自車位置を検出する。マップマッチング機能は、検出された自車位置とリンクとのマップマッチング処理を行い、表示部150の道路画面上には、自車位置を示すマークが走行する道路上に重畳して表示される。
【0027】
料金所検索部220は、自車が有料道路を走行しているか否か判定する(S102)。料金所検索部220は、自車位置がマップマッチングされたリンクのリンクデータを参照し、その道路種別が有料道路を示すか否かを判定する。料金所検索部220は、自車が有料道路を走行していると判定した場合、自車位置から一定範囲内の料金所を検索する(S104)。例えば、自車位置から一定範囲内に位置座標を有する料金所が検索される。
【0028】
料金所検索部220によって料金所が検索されると、次に、レーン情報抽出部230によって料金所のレーン情報が抽出される(S106)。レーン情報は、料金所の属性データから抽出されてもよいし、料金所に接続された側道のリンクデータから抽出されてもよい。
【0029】
レーン情報が抽出されると、側道リンク補正部240は、料金所に接続された側道リンクの位置をレーン情報に基づき補正する(S108)。このリンクの位置補正は、自車が本線を降りて側道から料金所に向かうとき、自車が本線に誤マップマッチングされることを防止するための一時的または疑似的な処理である。側道リンクの補正情報は、記憶部170またはレジスタに保持され、位置補正された側道リンクがマップマッチングの候補リンクとして使用される。
【0030】
側道リンクの位置補正方法について図6を参照して説明する。図6(A)に示すリンクは、図1(A)に示す道路環境に対応し、かつ、側道リンクの位置が補正されていないデフォルト状態を示す。リンクL1、L2は、高速道路の本線であり、L3は、本線から料金所へ分岐する側道である。リンクL3の一端は、リンクL1の分岐点であるノードN1に接続され、他端は、料金所20の複数レーン(ここでは、7レーン)の中央位置であるノードN2に接続される。リンクL4は、料金所20の出口側の側道であり、リンクL4の一端がノードN2に接続され、他端が別の道路のリンクL5と合流するノードN3に接続される。
【0031】
側道リンク補正部240は、図6(B)に示すように、料金所20のレーン数に応じて、側道リンクL3の位置を高速道路の本線のリンクL2に接近する方向にシフトさせる。具体的には、料金所20のノードN2の座標(X1、Y1)を本線側にシフト量D1だけ近づくようにノードN2Aの座標(X1、Y2)に変更し、ノードN1とノードN2Aとを結ぶ側道リンクL3Aを仮想的に作成する。この場合、X座標は変わらないので、シフト量D1は、|Y1-Y2|で表されるが、ノードN2Aの座標を(X2、Y2)に変更し、X座標の位置を変更してもよい。また、側道リンク4も同様に、ノードN2AとノードN3とを結ぶ側道リンク4Aにシフトさせるようにしてもよい。但し、側道リンク4のシフトは必須ではない。
【0032】
図6(C)に示す例は、料金所20のレーン数が11であり、図6(B)に示す料金所20のレーン数7よりも多い場合のシフト例である。料金所20のレーン中央位置にあるノードN2の座標(X1、Y1)を本線側にシフト量D2だけ近づくようにノードN2Bの座標(X1、Y3)に変更し、ノードN1とノードN2Bを結ぶ側道リンクL4Bを仮想的に作成する。シフト量D2は、レーン数に比例した大きさであり、シフト量D1よりも大きく設定される。料金所20のレーン数が大きくなると、側道リンクL3と本線のリンクL2との間の距離が大きくなり、側道の右側を走行した場合、本線のリンクL2にさらにマップマッチングされ易くなる。これを抑制するため、レーン数が増加した場合には、側道リンクをレーン数に応じて本線側にシフトさせることで、側道の右側を走行する車両が側道リンクにマップマッチングされ易くする。
【0033】
料金所のレーン数Lnとシフト量との関係は、例えば、図7に示すようなテーブルに予め規定しておき、側道リンク補正部240は、当該テーブルを参照して側道リンクのシフト量を決定することができる(D0<D1<D2<D3)。側道リンク補正部240は、側道リンクが本線側に近づくように、例えば、X座標を変更しない場合には、D1=|Y1-Y2|、D2=|Y1-Y3|のように、ノードN2のY座標を変換してノードN2A、ノードN2Bを求め、側道リンクL3A、L3Bを作成する。
【0034】
側道リンク補正部240により位置補正された側道リンクは、自車が料金所近傍を通過するとき、マップマッチングの候補リンクとして用いられる(S110)。もし、自車が本線を降り、本線に近い側道の右側を走行したとき、補正された側道リンクがマップマッチングの候補リンクに使用されるため、自車位置が本線のリンクよりも側道リンクにマップマッチングされ易くなり、本線への誤マップマッチングが抑制される。補正された側道リンクに自車位置がマップマッチングされた場合、自車位置は、側道を走行していると判定され、表示部150の道路地図画面には、自車位置マークが側道上に表示される。また、側道を通るルートが探索されている場合に、リルート処理が回避される。
【0035】
リンク補正解除部250は、自車が料金所を通過したとき、あるいは自車位置が料金所から一定距離以上離れたとき(S112)、側道リンクの補正を解除する(S114)。つまり、側道リンクは、図6(A)の状態に戻る。
【0036】
このように本実施例によれば、本線から分岐して料金所に向かう側道リンクを、料金所のレーン数に応じて本線側にシフトさせるようにしたので、自車が本線を降りて側道を走行するときに、自車位置が側道リンクにマップマッチングされ易くなり、本線への誤マップマッチングが抑制される。その結果、表示部150の道路画面上には、自車位置マークが走行する道路上に正確な表示され、また、誤マップマッチングによる不要なリルート処理を回避することができる。
【0037】
次に、本実施例の変形例について説明する。上記実施例では、側道リンクの位置を補正する場合に、側道リンクが接続された料金所のノードの座標を変更するようにしたが、変形例では、図8に示すように、側道リンクL3およびL4を、1つの側道リンクL3Cに変換する。具体的には、側道リンクL3が本線のリンクL1に接続されたノードN1と、側道リンクL4が別の道路のリンクL5に接続されたノードN3とを直線で結んだ仮想リンクL3Cを作成する。ノードN3がノードN2よりも本線側に位置していれば、仮想リンクL3Cは、元の側道リンクL3よりも本線側にシフトされ、上記実施例と同様の効果を期待することができる。
【0038】
さらに他の変形例として、側道リンクは、誤マップマッチングされ易い本線のリンクL2の形状または方位に合わせて、形状や方位が補正されるようにしてもよい。リンクの形状または方位等の情報は、リンクデータに含めることが可能である。このため、側道リンク補正部240は、側道リンクを補正するとき、側道が分岐した本線のリンクデータを参照し、本線の形状や方位を考慮して側道リンクの位置を本線側にシフトさせ、かつその形状や方位を補正する。例えば、本線のリンクL2の絶対方位または相対方位がθaであるとき、側道リンクの絶対方位または相対方位がθaと近づくように、側道リンクが接続される料金所のノードN2の座標(緯度、経度)が変更される。これにより、本線から側道に進行した自車位置が側道リンクにマップマッチングされ易くなる。
【0039】
上記実施例では、高速道路の本線から側道を介して繋がる料金所の例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本線から分岐した駐車場、パーキングエリア、サービスエリアなどの特定エリアに繋がる側道のマップマッチングにも適用することができる。この場合にも、駐車所、パーキングエリア、サービスエリアなどに進入するレーン情報を、道路地図データ等から取得し、側道リンクが本線のリンクに接近するように側道リンクの位置を補正する。
【0040】
さらに上記実施例では、道路地図データベースに格納されている側道リンクの一時的に補正するようにしたが、これ以外にも、側道リンクが恒久的に補正された道路地図データベースを用いるようにしてもよい。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
100:車載装置 110:入力部
120:位置検出部 130:ナビゲーション部
140:通信部 150:表示部
160:音声出力部 170:記憶部
180:制御部 R、R1:ルート
M:自車位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8