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特許7140465ゲームプログラム、情報処理装置、情報処理システム、ゲーム処理方法
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  • 特許-ゲームプログラム、情報処理装置、情報処理システム、ゲーム処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、情報処理装置、情報処理システム、ゲーム処理方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/53 20140101AFI20220913BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20220913BHJP
   A63F 13/214 20140101ALI20220913BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220913BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20220913BHJP
【FI】
A63F13/53
A63F13/211
A63F13/214
G06F3/01 570
G06F3/0346 425
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2016115915
(22)【出願日】2016-06-10
(65)【公開番号】P2017217339
(43)【公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-04-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】松崎 康彦
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】藤本 義仁
【審判官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/096352(WO,A1)
【文献】特開2010-187940(JP,A)
【文献】特開2008-161602(JP,A)
【文献】特開2003-117227(JP,A)
【文献】特開2008-194282(JP,A)
【文献】特開2012-249834(JP,A)
【文献】特開平8-155140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と入力装置に接続され、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理装置で実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置を、
進行中のゲームの内容にかかる映像と、前記入力装置を操作しているところを示す操作手本映像と、前記操作手本映像が示す操作に基づいて前記ゲーム内で生じる前記ゲーム内のオブジェクトの動作を示す動作映像と、を前記表示装置へ出力する出力手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記操作手本映像は、前記入力装置に対して実際に行った操作を撮影した映像である請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記操作手本映像には、前記入力装置の操作者の身体の少なくとも一部が含まれている請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記操作手本映像と前記動作映像を並べて出力する請求項1乃至3のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記入力装置は、モーションセンサまたはタッチパネルを有する入力装置である請求項1乃至4のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記入力装置は、2つのコントローラからなる請求項1乃至4のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記出力手段は、前記ゲームの進行に伴って新たな操作が可能になったときに、前記操作手本映像の出力を開始する請求項1乃至6のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記情報処理装置を、ユーザによる前記入力装置の操作に応じて、前記ゲーム内のオブジェクトを制御し、その結果を前記表示装置へ出力するオブジェクト制御手段としてさらに機能させ、
前記出力手段は、前記オブジェクトが仮想空間内の所定の範囲に入ったときに前記操作手本映像の出力を開始する請求項1乃至7のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記情報処理装置を、前記操作手本映像出力を開始してからの時間を計測する計時手段として機能させ、
前記出力手段は、前記計時手段による計時結果が所定時間に達したときに前記操作手本映像の出力を終了する請求項1乃至8のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項10】
表示装置と入力装置に接続され、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理装置であって、
進行中のゲームの内容にかかる映像と、前記入力装置を操作しているところを示す操作手本映像と、前記操作手本映像が示す操作に基づいて前記ゲーム内で生じる前記ゲーム内のオブジェクトの動作を示す動作映像と、を前記表示装置へ出力する出力手段を有する情報処理装置。
【請求項11】
表示装置と、
入力装置と、
ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理装置と、を備え、
進行中のゲームの内容にかかる映像と、前記入力装置を操作しているところを示す操作手本映像と、前記操作手本映像が示す操作に基づいて前記ゲーム内で生じる前記ゲーム内のオブジェクトの動作を示す動作映像と、を前記表示装置へ出力する情報処理システム。
【請求項12】
表示装置と入力装置が接続された情報処理装置によって、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう方法であって、
進行中のゲームの内容にかかる映像と、前記入力装置を操作しているところを示す操作手本映像と、前記操作手本映像が示す操作に基づいて前記ゲーム内で生じる前記ゲーム内のオブジェクトの動作を示す動作映像と、を前記表示装置へ出力するゲーム処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの操作方法の手本を行う機能を有するゲームプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なゲーム装置が販売されている。ゲームの入力装置は、かつては、押しボタンを用いたものが主流であった。最近では、モーションセンサやタッチパネルを備えた入力装置が普及してきている。モーションセンサを備えた入力装置では、入力装置を動かしてゲーム装置に入力を与える。タッチパネルを備えた入力装置では、タッチパネルをタップしたり、スワイプしてゲーム装置に入力を与える。
【0003】
このような入力装置の多様化に加えて、コンピュータの処理能力が向上したことにより、ゲームの内容は、ますます複雑化している。ゲームの操作は、ゲームソフト、コントローラ、ゲーム内での場面によって変わる。ゲームを楽しむためには、ユーザは、各ゲームの各場面において、どのような操作を行い得るのかを習得する必要がある。
【0004】
特許文献1は、ゲーム装置に接続されたコントローラを判別し、コントローラに応じたガイドを表示する発明を開示している。例えば、特許文献1の図12Bでは、スティック型のコントローラを左右に傾ける様子を表示している(特許文献1の図12B参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2011/096352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すように、コントローラの動きをデフォルメしたガイドを表示しても、ユーザがうまく操作を行えないことがあった。上記した例では、コントローラは左右に傾ければよいということを頭で理解できたとしても、どの程度の振り幅、速度で、どの程度継続して、コントローラを振ればよいかということは理解できない。このため、ユーザがコントローラを左右に傾けても、ゲーム装置に対して意図した入力をできない場合があった。
【0007】
そこで、本発明は上記背景に鑑み、ユーザが入力装置の操作方法を容易に理解できるような手本を行うゲームプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲームプログラムは、表示装置と入力装置に接続され、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理装置で実行されるプログラムであって、前記情報処理装置を、前記ゲーム処理が所定の状況にあるときに、前記入力装置の操作の手本を示す操作手本映像を前記ゲームの内容にかかる映像とともに前記表示装置へ出力する出力手段として機能させる。
【0009】
「操作手本映像」とは、入力装置を操作しているところを示すお手本の映像であり、操作をやってみせる映像である。これは、入力装置が左に傾く画像と右に傾く画像の2つの画像を交互に表示するようなものとは異なり、例えば、ユーザが入力装置を動かすさまを、場面の省略なく連続的に表し、ユーザに具体的な操作のイメージを掴ませるものである。具体的には、例えば、場面の省略がなく連続的に表すために、操作の動作を正確に理解できる程度のフレームレートを有する映像である。この構成により、ユーザは、具体的に入力装置をどのように操作すればよいかを、操作手本映像を見て学ぶことができる。
【0010】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記操作手本映像は、前記入力装置に対して実際に行った操作を撮影した映像であってもよい。
【0011】
実際に操作しているところを撮影した映像を用いることにより、ユーザは操作手本を容易に真似することができる。
【0012】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記操作手本映像には、前記入力装置の操作者の身体の少なくとも一部が含まれていてもよい。
【0013】
このように操作手本映像に手本を示す操作者の身体の少なくとも一部を含むことにより、入力装置をどのように把持するのか等の情報も伝えることができ、ユーザは適切な操作を学ぶことができる。
【0014】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記出力手段は、前記操作手本映像が示す操作を行ったときに前記ゲーム内で生じる動作を示す動作映像を前記操作手本映像とともに出力してもよい。ここで、前記操作手本映像と前記動作映像を並べて出力してもよい。
【0015】
このように操作手本映像とその操作に伴うゲーム内での動作映像を共に出力することにより、どういう操作をするとゲームがどう動作するかを容易に理解できる。また、操作手本映像と動作映像を並べて出力することで、ユーザは直感的に両者の関係を理解することができる。
【0016】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記入力装置は、モーションセンサまたはタッチパネルを有する入力装置であってもよい。このような入力装置においては、操作の仕方を習得するのが容易ではない場合があるので、操作手本映像によって操作方法を案内することが有効である。
【0017】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記入力装置は、2つのコントローラを有してもよい。2つのコントローラを有する入力装置の場合、2つのコントローラの位置や速度の相対関係によって異なる入力を受け付けることができる。このような入力装置においては、操作を習得するのが容易ではない場合があるので、操作手本映像によって操作方法を案内することが有効である。
【0018】
本発明のゲームプログラムにおいて、前記出力手段は、前記ゲームの進行に伴って新たな操作が可能になったときに、当該新たな操作の前記操作手本映像の出力を開始してもよい。この構成により、新しい操作を無理なく習得することができる。
【0019】
本発明のゲームプログラムは、前記情報処理装置を、ユーザによる前記入力装置の操作に応じて、前記ゲーム内のオブジェクトを制御し、その結果を前記表示装置へ出力するオブジェクト制御手段としてさらに機能させ、前記出力手段は、前記オブジェクトが仮想空間内の所定の範囲に入ったときに前記操作手本映像の出力を開始してもよい。
【0020】
この構成により、仮想空間内の新しい範囲に入ったときに、その範囲で可能になった操作方法をユーザに教示することができる。
【0021】
本発明のゲームプログラムは、前記情報処理装置を、前記操作手本映像が出力を開始してからの時間を計測する計時手段として機能させ、前記出力手段は、前記計時手段による計時結果が所定時間に達したときに前記操作手本映像の出力を終了してもよい。
【0022】
この構成により、操作手本映像にかかる新しい操作を習得した頃に操作手本映像の出力を終了し、画面のより多くの面積をゲームの画像に割くことができ、ユーザをゲームへより集中させることができる。
【0023】
本発明の情報処理装置は、表示装置と入力装置に接続され、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理であって、前記ゲーム処理が所定の状況にあるときに、前記入力装置の操作の手本を示す操作手本映像を前記ゲームの内容にかかる映像とともに前記表示装置へ出力する出力手段を有する。
【0024】
本発明の情報処理システムは、表示装置と、入力装置と、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記ゲーム処理が所定の状況にあるときに、前記入力装置の操作の手本を示す操作手本映像を前記ゲームの内容にかかる映像とともに前記表示装置へ出力する。
【0025】
本発明のゲーム処理方法は、表示装置と入力装置が接続された情報処理装置によって、ユーザの操作に基づいてゲーム処理を行なう方法であって、前記ゲーム処理が所定の状況にあるときに、前記入力装置の操作の手本を示す操作手本映像を前記ゲームの内容にかかる映像とともに前記表示装置へ出力する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、操作手本映像によって、入力装置をどのように操作すればよいかを習得することができ、複雑な操作方法を無理なく習得して、ゲームを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態のゲームシステムの外観図である。
図2】ゲーム装置本体のブロック図である。
図3】コントローラの構成を示すブロック図である。
図4】画面に操作ガイドを表示した画面例を示す図である。
図5】本実施の形態のゲームシステムが操作手本映像を表示する動作の一例を示す図である。
図6】本実施の形態のゲームシステムが操作手本映像を表示する動作の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかるゲームシステムおよびゲームプログラムについて説明する。
[ゲームシステムの構成]
図1は、本発明の実施の形態のゲームシステムの外観図である。ゲームシステム1は、ゲーム装置100と、モニタ200とを備えている。ゲーム装置100は、ゲーム装置本体110と、コントローラ120とを含んでいる。ゲーム装置本体110は、モニタ200に接続されている。
【0029】
コントローラ120は、第1コントローラ121と第2コントローラ122が互いに接続されて構成されている。ゲーム装置本体110には、光ディスクDが挿入されるディスクスロット111が形成されている。モニタ200は、画面201とスピーカ202を備えている。
【0030】
コントローラ120は、ゲーム装置本体110にコントローラ信号を無線送信する。ゲーム装置本体110は、光ディスクDからゲームプログラムを読み出して実行し、コントローラ120から無線で受信したコントローラ信号に従って、ゲーム処理を行なう。モニタ200は、ゲーム装置本体110で実行されるゲーム処理に応じて、画面201にて映像を出力し、スピーカ202から音声を出力する。
【0031】
図2は、ゲーム装置本体110のブロック図である。ゲーム装置本体110は、システムLSI(Large Scale Integration)11、CPU(Central Processing Unit)12、メインメモリ13、ROM/RTC(Read Only Memory/Real Time Clock)14、無線モジュール15、ディスクドライブ16、及びモニタI/F(interface)17を備えている。CPU12、メインメモリ13、ROM/RTC14、無線モジュール15、ディスクドライブ16、及びモニタI/F17は、それぞれシステムLSI11に接続されている。
【0032】
システムLSI11は、それに接続される各構成要素間のデータ伝送の制御、表示すべき画像の生成、外部装置からのデータの取得等の処理を行なう。CPU12は、光ディスクDに記憶されたゲームプログラムを実行することによってゲーム処理を実行するものであり、ゲームプロセッサとして機能する。光ディスクDに記憶されたゲームプログラムは本発明の「ゲームプログラム」に該当する。なお、ゲームプログラムは光ディスクDに格納されることに限られず、不揮発性メモリを内蔵するカートリッジや、ゲーム装置本体110内の図示しないNANDフラッシュメモリに格納され、それらから読み出されて実行されてもよい。また、ネットワークを介してゲーム装置本体110内の記憶装置(NANDフラッシュメモリ等)にゲームプログラムがダウンロードされる形態でもよい。メインメモリ13は、光ディスクDから読み出されたゲームプログラムを記憶し、CPU12のワーク領域やバッファ領域として用いられる。ROM/RTC13は、ゲーム装置本体110の起動用のプログラムが組み込まれるROM(ブートROM)と、時間をカウントするクロック回路RTCとを有する。
【0033】
無線モジュール15は、コントローラ120から無線送信されるコントローラ信号を受信し、かつゲーム装置本体110からコントローラ120に制御信号を無線送信する。無線モジュール15は、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線通信技術を用いて、所定周波数の搬送波を制御信号で変調し、その微弱電波信号を放射する。ディスクドライブ16は、光ディスクDからプログラムデータやテクスチャデータ等を読み出して、読み出したデータをシステムLSI11内のメモリやメインメモリ13に書き込む。モニタI/F17は、システムLSI11にて生成された映像及び音声の信号をモニタ200に対して出力する。
【0034】
図1に戻って説明する。第1コントローラ121は、略直方体形状のハウジングを有しており、ハウジングには複数の操作部材が設けられている。第2コントローラ122は、側面視で、先端側の水平部分から後端側に向かって下がるように湾曲しているハウジングを有しており、ハウジングには、アナログジョイスティックが設けられている。
【0035】
図3は、コントローラ120の構成を示すブロック図である。上述のように、コントローラ120は、第1コントローラ121と第2コントローラ122とからなり、接続線で接続されている。第1コントローラ121は、メインコントローラであり、操作部21、加速度センサ22、マイコン23、無線モジュール24、及びメモリ25を備えている。第1コントローラ121は、ジャイロセンサを備えてもよい。第2コントローラ122は、サブコントローラであり、操作部26及び加速度センサ27を備えている。
【0036】
第1コントローラ121が備える加速度センサ22、及び、第2コントローラ122が備える加速度センサ27は、静電容量式の加速度センサである。加速度センサ22,27は、上下方向、左右方向、及び前後方向の3つのセンシング軸ごとの直線成分の加速度や重力加速度を検出して、加速度信号を生成する。この構成により、第1コントローラ121及び第2コントローラ122を振って、操作を行うことができる。
【0037】
[ゲームの操作ガイド]
次に、本実施の形態のゲームシステム1が、操作方法を教示する構成について説明する。ゲームシステム1は、ゲーム処理が所定の状況になったときに、画面201にゲームの内容にかかる映像を表示すると共に、画面201の右下領域に操作手本映像を表示する。
【0038】
図4は、本実施の形態のゲームシステム1の画面201に操作手本映像31を表示した画面例を示す図である。操作手本映像31は、第1コントローラ121及び第2コントローラ122の操作の手本を示す実写の映像である。ゲームシステム1は、操作手本映像31の上に、操作手本映像31に示す操作に起因してゲーム内で生じるキャラクタの動作を示す動作映像32を表示する。すなわち、動作映像22は、操作手本映像31で案内される操作を実際にプレイヤが行った際に、ゲーム内のキャラクタがどのような動作を行うかを示すものである。以下、操作手本映像31と動作映像32を総称して「操作ガイド30」という。なお、図4では、操作手本映像31及び動作映像32に矢印を記載しているが、説明の便宜上、動画の動きを示したものであり、実際には矢印は表示されない。
【0039】
操作手本映像31のデータと動作映像32のデータは共に、光ディスクDに記憶されており、ゲームシステム1は、所定の状況になったときに、光ディスクDからデータを一旦メインメモリ13に読み出し、その内容を表示する。あるいは、予めメインメモリ13に読み出しておいたデータの内容を表示する。なお、本実施の形態では、操作手本映像31のデータと動作映像32のデータを別個に保持する例を挙げているが、操作手本映像31と動作映像32を上下に並べた1つの映像を操作ガイド30のデータとして作成して光ディスクDに記憶しておいてもよい。なお、本実施の形態では、操作ガイド30のデータを光ディスクDに記憶するようにしているが、ゲームプログラムと同様、カートリッジ型のメモリや、ゲーム装置本体110内の図示しないNANDフラッシュメモリに格納されてもよいし、さらに、ネットワークを介してゲーム装置本体110にダウンロードされてもよい。
【0040】
図4に示す例では、操作手本映像31は、右手に持った第1コントローラ121を縦方向に振り上げて、振り下ろす動画を示している。本実施の形態では、操作手本映像31には、操作者の手と腕の一部が表されている。このように操作手本映像31に操作者の身体の一部が含まれていることにより、第1コントローラ121をどのように掴んで動かすかをイメージしやすい。
【0041】
動作映像32は、ゲーム内のキャラクタが右側に側転する映像を示している。操作手本映像31の右手の動きとキャラクタの側転の動作は同期している。ゲームシステム1は、所定の終了条件を満たすまで、この動きを繰り返し表示する。この操作ガイド30により、ユーザは、キャラクタを右側に側転させるために、右手に持った第1コントローラ121を縦に振ればよいことを容易に理解することができる。ここでは、第1コントローラ121の操作がキャラクタの動作に結びついた例を挙げているが、操作の対象は必ずしもキャラクタでなくてもよく、ゲーム内の何らかのオブジェクトであってよい。
【0042】
図4に示すように、操作ガイド30は、ゲーム画像に重畳する形で表示され、操作ガイド30の表示中にもゲーム画像は画面201に表示されている。操作ガイド30はゲームの進行からは独立しており、ゲームシステム1は、操作ガイド30の表示とは独立してゲームを進行させる。操作手本映像31に示す操作を真似して、ユーザが第1コントローラ121を上下に振ると、ゲーム画像内でプレイヤのキャラクタCが側転する。このようにユーザは操作ガイド30を見ながら、実際に操作してみることができる。
【0043】
[操作ガイドを表示する所定の状況]
操作ガイド30を表示するのは、基本的には、ゲームの進行に伴って新たな操作が可能になったときである。例えば、(i)プレイヤのキャラクタがノンプレイヤキャラクタと会話を交わした後に所定のエリアに入ったとき、(ii)プレイヤのキャラクタが所定のエリアに入ったとき、(iii)プレイヤのキャラクタが変身あるいはパワーアップしたとき等である。また、(iv)操作ガイド30を表示し、表示が終了してから所定の時間、案内した操作が行われない場合に、操作ガイド30を再度表示することとしてもよい。操作ガイド30を表示してもその操作が行われない場合には、ユーザが操作を理解できなかった可能性があるからである。
【0044】
操作ガイド30の表示を終了する条件は、例えば、(i)プレイヤのキャラクタが所定のエリアから脱出したときや、(ii)操作ガイド30の出力を開始してから所定の時間が経過したとき、(iii)プレイヤのキャラクタが変身した状態やパワーアップした状態を終え、通常の状態に戻ったときである。また、例えば、(iv)操作ガイド30に示された操作を1回又は複数回成功させたときにプレイヤが操作に慣れたと判別して操作ガイド30の表示を終了させてもよい。
【0045】
なお、以上に挙げた操作ガイド30を表示する所定の状況は例示であって、上記に挙げた状況以外においても操作ガイド30を表示してもよいし、上記に挙げた状況以外において操作ガイド30の表示を終了してもよい。
【0046】
[ゲームシステムの動作]
図5は、本実施の形態のゲームシステム1が操作手本映像を表示する動作の一例を示す図である。図5に示す例では、プレイヤのキャラクタがノンプレイヤキャラクタと会話を交わした後に所定のエリアに入ったことを条件として、操作手本映像を表示する。
【0047】
ゲームシステム1は、ノンプレイヤキャラクタのメッセージを表示し(S10)、その後、プレイヤのキャラクタが所定のエリアに進入したか否かを判定する(S11)。プレイヤのキャラクタが所定のエリアに進入していない場合には(S11でNO)、所定のエリアに進入するまで、所定エリアへの進入の判定を繰り返し行う(S11)。
【0048】
キャラクタが所定のエリアに進入した場合(S11でYES)、そのエリアに対応する操作手本映像とキャラクタの動作映像を光ディスクDから読み出す(S12)。続いて、ゲームシステム1は、読み出した操作手本映像31及び動作映像32(操作ガイド30)を画面201の右下の領域に出力する(S13)。
【0049】
このように画面201に操作ガイド30を表示した状態でも、ゲームシステム1は、操作ガイド30とは独立してゲームを進行させる。すなわち、プレイヤが第1コントローラ121や第2コントローラ122の操作部を操作することや、それらのコントローラを動かして加速度センサのセンサ値を変化させることにより、プレイヤのキャラクタを移動させることやその他の挙動をさせる。ゲームシステム1は、プレイヤのキャラクタが所定のエリアから脱出したか否かを判定する(S14)。キャラクタが所定のエリアから脱出していないと判定された場合には(S14でNO)、引き続き、操作手本映像31及び動作映像32の出力を行う(S13)。操作手本映像31や動作映像32の再生が終了してしまった場合は、先頭から繰り返し再生を継続する。キャラクタが所定のエリアから脱出したと判定された場合には(S14でYES)、操作手本映像31及び動作映像32の出力を終了し、操作手本映像31及び動作映像32は画面201から消え去る(S15)。
【0050】
図6は、本実施の形態のゲームシステム1が操作手本映像を表示する動作の別の例を示す図である。図6に示す例では、プレイヤのキャラクタの形態が変化したことを条件として、操作手本映像を表示する例である。
【0051】
ゲームシステム1は、プレイヤのキャラクタの形態が変化したか否かを判定する(S20)。「形態の変化」とは、例えば、何らかのアイテムを取得してキャラクタが新しい属性を手に入れた場合や、新たな武器等を入手してパワーアップした場合等である。プレイヤのキャラクタの形態が変化していない場合には(S20でNO)、プレイヤのキャラクタの形態が変化するまで、キャラクタの形態が変化したか否かの判定を行う(S20)。
【0052】
キャラクタの形態が変化した場合(S20でYES)、変化した後の形態において行うことができる操作の操作手本映像31を出力したことがあるか否かを判定する(S21)。過去に操作手本映像31や動作映像32を出力したことがある場合には(S21でYES)、同じ操作手本映像31や動作映像32を出力することはしないで、処理を終了する。これにより、すでに習得している操作について操作手本映像31や動作映像32が表示されるという煩わしさを回避できる。
【0053】
過去に操作手本映像31や動作映像32を出力したことがない場合には、操作手本映像31及び動作映像32を光ディスクDからメインメモリ13へ読み出す(S22)。続いて、ゲームシステム1は、メインメモリ13へ読み出した操作手本映像31及び動作映像32(操作ガイド30)を画面201の右下の領域に出力する(S23)。
【0054】
このように画面201に操作ガイド30を表示した状態でも、ゲームシステム1は、操作ガイド30とは独立してゲームを進行させる。ゲームシステム1は、操作ガイド30の表示を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(S24)。所定時間が経過していないと判定された場合には(S24でNO)、引き続き、操作ガイド30の出力を行う(S23)。所定時間が経過したと判定された場合には(S24でYES)、操作手本映像31及び動作映像32の出力を終了し、操作手本映像31及び動作映像32は画面201から消え去る(S25)。
【0055】
次に、ゲームシステム1は、操作手本映像31で教示した操作を行わない状態が所定時間継続したか否かを判定する(S26)。未操作の状態が所定時間継続したと判定された場合には(S26でYES)、再度、操作手本映像31及び動作映像32の読み出しを行い(S22)、画面201に出力する(S23)。未操作の状態が所定時間継続していないと判定された場合には(S26でNO)、ゲームシステム1は、処理を終了する。
【0056】
本実施の形態のゲームシステム1は、ゲームの進行に伴って新たな操作が可能になったときに、第1コントローラ121及び第2コントローラ122の操作の手本を示す操作手本映像を画面201に表示するので、ユーザは第1コントローラ121及び第2コントローラ122をどのように動かせばよいのかを具体的に理解することができる。本実施の形態のようにモーションセンサを有する入力装置の場合には、特に有効である。さらに、第1コントローラ121と第2コントローラ122が異なる動作を行う場合がある。例えば、第1コントローラ121を下方向に動かし第2コントローラ122を上方向に動かすような場合や、ランニングを行うときのように右手に持つ第1コントローラ121と左手に持つ第2コントローラ122を互い違いに動かす場合などである。そのような連続的で複雑な動作の手本を経時的に表示することができるので、ユーザは理解をしやすい。さらに、コントローラがさらに増えるような場合は、その操作は複雑になりがちであるため、本発明を適用するとユーザの理解がより容易になる。
【0057】
また、本実施の形態のゲームシステム1は、操作手本映像31と共に、動作映像32も表示するので、ユーザは、実際に操作手本映像31で示される動作を行う前に、当該操作を行った場合にはどのような挙動が起こるのかを把握することができる。さらに、ユーザが操作手本映像31に示す操作を行ったときに実際のゲーム画像と動作映像32を比較することで、動作映像32に対応する動作がゲーム画像内で起きているか否かを確認することができる。これにより、ユーザは自分が行った操作が正しいかどうかを確認できる。また、動作映像32を上段、操作手本映像31を下段に並べた操作ガイド30の配置は、ユーザが画面201を見ながらコントローラ120を操作するときの位置関係に近いので、操作ガイド30の内容を直感的に理解しやすい。
【0058】
また、本実施の形態のゲームシステム1では、操作手本映像31として、実際に操作を行っているところを撮影した実写の映像を用いているので、操作手本映像31とゲーム画像との区別がつきやすく、ユーザは操作の案内が表示されていることにすぐに気がつくことができる。
【0059】
[変形例]
以上に、本実施の形態のゲームシステム1およびゲームシステム1を実現するゲームプログラムについて説明したが、本発明のゲームシステム及びゲームプログラムは上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0060】
上記した実施の形態では、操作手本映像31と動作映像32を光ディスクDから読み出して画面201に表示することとしたが、動作映像32は、リアルタイムにレンダリングしてもよい。また、操作手本映像31と動作映像32を上下に並べて合成した1つの動画ファイルを光ディスクDに記憶しておいてもよい。操作手本映像31と動作映像32が大きな容量である場合には、操作ガイド30を表示させる直前に読み出すのではなく、ゲーム開始時やステージ開始時など、操作ガイド30が表示されるよりも一定期間前に読み出しておくことで、読み出しのタイムラグ等を防ぐことができる。さらに、操作手本映像31と動作映像32は一旦メインメモリ13に読み出してから表示させているが、光ディスクDから読み込んだデータを、メインメモリ13を介さずに表示させてもよい。
【0061】
上記した実施の形態では、操作手本映像として操作の手本を示す実写の映像を使用したが、操作手本映像は必ずしも実写でなくてもよく、アニメーションやCGであってもよい。この場合、操作の様子がよく分かるように映像が十分に滑らかであることが望ましく、動画のサンプルレートは好ましくは20フレーム/秒以上、さらに好ましくは30フレーム/秒や60フレーム/秒である。実写の映像を用いた場合には、ゲームの内容にかかる映像とは容易に区別でき、ユーザは操作方法の案内の映像であることを容易に認識できる。アニメーションやCG等と比較すると実写の映像の方が準備の工数は少ない。
【0062】
上記した実施の形態では、操作手本映像31と動作映像32を並べて表示する例を挙げて説明したが、動作映像32は必須ではなく、操作手本映像31だけを表示してもよい。
【0063】
上記した実施の形態では、操作ガイド30をモニタ200の右下に表示する例を挙げて説明したが、操作ガイド30を表示する位置は右下に限定されない。例えば、ゲームの進行状況によって重要なオブジェクトがない位置がどこであるか逐一判別し、重要なオブジェクトがない位置に表示することもできる。また、操作ガイド30の大きさを仮想空間内の他のオブジェクトとの関係で可変にすることも可能である。さらに、操作ガイド30はゲーム画像と重畳していなくてもよく、ゲーム画像を表示する領域と操作ガイド30を表示する領域が明確に分かれていてもよい。
【0064】
上記した実施の形態では、入力装置として、モーションセンサを有するコントローラ120を例として説明したが、本発明は、タッチパネルを有する入力装置や、深度センサによってユーザの姿勢を検知する入力装置等を用いるゲームシステムにおいても有効である。
【0065】
上記した実施の形態では、据置型ゲーム機を例として説明したが、本発明は、携帯型ゲーム機、PC等、あらゆる情報処理装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、ゲームシステム、ゲームプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 ゲームシステム
11 システムLSI
12 CPU
13 メインメモリ
14 ROM/RTC
15 無線モジュール
16 ディスクドライブ
17 モニタI/F(interface)
21 操作部
22 加速度センサ
23 マイコン
24 無線モジュール
25 メモリ
26 操作部
27 加速度センサ
30 操作ガイド
31 操作手本映像
32 動作映像
100 ゲーム装置
110 ゲーム装置本体
111 ディスクスロット
120 コントローラ
121 第1コントローラ
122 第2コントローラ
200 モニタ
201 画面
202 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6