(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20220913BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220913BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/00 D
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2017188322
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】天沼 正行
(72)【発明者】
【氏名】阿部 聡智
(72)【発明者】
【氏名】栃木 由和
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/013545(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0312888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる停止線との対応付けを行う処理部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の運転者の視線情報を取得する視線取得部を更に有し、
前記処理部は、前記画像情報、前記位置情報、前記車両情報及び前記視線情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる停止線との対応付けを行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両の運転者の視線情報を取得する視線取得部と、
前記画像情報、前記位置情報、前記車両情報及び前記視線情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記視線情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうち前記車両の運転者が注視した信号機を特定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記信号機の視認回数に基づいて前記運転者が注視した信号機を特定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記信号機の視認時間に基づいて前記運転者が注視した信号機を特定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理部と、を有し、
前記処理部は、前記画像情報に含まれる信号機のうち赤色から青色に切り替わったタイミングと、前記車両が発進したタイミングと、に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
信号機
と停止線との対応付けをする情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得工程と、
前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる停止線との対応付けを行う処理工程と、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
信号機と
、車線
及び停止線
のうち少なくともいずれかとの対応付けをする情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得工程と、
前記車両の運転者の視線情報を取得する視線情報取得工程と、
前記画像情報、前記位置情報、前記車両情報及び前記視線情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理工程と、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
信号機と
、車線
及び停止線
のうち少なくともいずれかとの対応付けをする情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得工程と、
前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理工程と、を含み、
前記処理工程では、前記画像情報に含まれる信号機のうち赤色から青色に切り替わったタイミングと、前記車両が発進したタイミングと、に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機と車線や停止線との対応付けをする情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載したカメラ、ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)などの各種センサにより自車両周辺の状況を取得しながら自立走行する車両(自動運転車両)が開発されている。
【0003】
この種の自動運転車両が自動運転にて走行するためには、正確な道路情報を有した地図データが必要とされる(例えば、特許文献1を参照)。正確な道路情報とは、例えば、道路幅、車線、信号機、標識等の詳細な位置情報等を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば本道と側道等の略同じ進行方向の道路が合流する際には、本道側の信号機と側道側の信号機のそれぞれにより通行が整理されていることがある。このような信号機は、手動運転の場合であれば、運転者が信号機の位置や周囲の標識等からどちらの信号機を注視すればよいかを特定して、その信号機に従うことができる。一方、自動運転車両の場合は、その場で従うべき信号機を特定するのが困難な場合がある。そのため、上述した地図データの道路情報等に車線或いは停止線と信号機との関連付けの情報を含める必要がある。
【0006】
しかしながら、このような関連付けの情報を取得するための作業は、現地に調査員等が赴いて手動で確認等を行っており、非常に手間がかかっていた。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、車線或いは停止線と信号機との関連付けの作業の負担を軽減することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得部と、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理部と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項7に記載の発明は、信号機と車線や停止線との対応付けをする情報処理装置で実行される情報処理方法であって、前記車両の前方を撮影した画像情報を取得する画像情報取得工程と、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する車両情報取得工程と、前記画像情報、前記位置情報及び前記車両情報に基づいて、前記画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、前記位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う処理工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例にかかる情報処理装置を有するシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示された情報収集装置の機能構成図である。
【
図3】
図1に示されたサーバ装置の機能構成図である。
【
図4】
図1に示されたサーバ装置における信号機と車線との関連付け動作のフローチャートである。
【
図6】信号機と計測車両Cが停車している車線又は停止線との関連付けの具体例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報処理装置は、画像情報取得部が車両の前方を撮影した画像情報を取得し、位置情報取得部が車両の位置情報を取得し、車両情報取得部が車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する。そして、処理部が画像情報、位置情報及び車両情報に基づいて、画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う。このようにすることにより、例えば画像情報に信号機が含まれる場合に、車両の停止や発進等の移動の状態によって、当該車両が位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。そのため、関連付け作業の負担を軽減することができる。
【0013】
また、車両の運転者の視線情報を取得する視線取得部を更に有し、処理部は、画像情報、位置情報、車両情報及び視線情報に基づいて、画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行ってもよい。このようにすることにより、運転者の視線情報も利用して、当該車両が位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。そのため、関連付け作業の負担を軽減することができる。また、視線という実際の運転者の挙動に基づいているので、精度良く関連付けをすることができる。
【0014】
また、処理部は、視線情報に基づいて、画像情報に含まれる信号機のうち車両の運転者が注視した信号機を特定してもよい。このようにすることにより、運転者の視線情報により注視した信号機を特定することができる。したがって、当該車両は、この特定された信号機に従って通行したことが分かるため、当該車両の位置情報により、当該車両が位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。
【0015】
また、処理部は、信号機の視認回数に基づいて運転者が注視した信号機を特定してもよい。このようにすることにより、例えば複数回運転者が視認した信号機を運転者が注視した信号機と特定することができる。
【0016】
また、処理部は、信号機の視認時間に基づいて運転者が注視した信号機を特定してもよい。このようにすることにより、例えば視認時間が長い信号機を運転者が注視した信号機と特定することができる。
【0017】
また、処理部は、画像情報に含まれる信号機のうち赤色から青色に切り替わったタイミングと、車両が発進したタイミングと、に基づいて、信号機のうちの一の信号機と、位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行うってもよい。このようにすることにより、画像情報と車両情報で対応付けが可能となり、視線の検出が不要となる。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかる情報処理方法は、画像情報取得工程で車両の前方を撮影した画像情報を取得し、位置情報取得工程で車両の位置情報を取得し、車両情報取得工程で車両の停止及び発進に関する車両情報を取得する。そして、処理工程で画像情報、位置情報及び車両情報に基づいて、画像情報に含まれる信号機のうちの一の信号機と、位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行う。このようにすることにより、例えば画像情報に信号機が含まれる場合に、車両の停止や発進等の移動の状態によって当該車両が位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。そのため、関連付け作業の負担を軽減することができる。
【0019】
また、上述した情報処理方法をコンピュータにより実行させる情報処理プログラムとしてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、例えば画像情報に信号機が含まれる場合に、車両の停止や発進等の移動の状態によって当該車両が位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。そのため、関連付け作業の負担を軽減することができる。
【実施例】
【0020】
本発明の一実施例にかかる情報処理装置を
図1~
図6を参照して説明する。本発明の一実施例にかかる情報処理装置としてのサーバ装置1は、
図1に示したように、インターネット等のネットワークNを介して地図作成用データを計測する計測車両Cに搭載されている情報収集装置3と通信可能となっている。
【0021】
計測車両Cは、情報収集装置3と、周辺センサ4と、視線センサ5と、を有する。計測車両Cは、所定の経路を走行することで、周辺センサ4により検出された周辺環境等の認識情報と、視線センサ5により検出された運転者の視線情報と、を計測する(得る)車両であり、運転者が運転する手動運転車両である。なお、本実施例では、地図作成用データを計測する計測車両Cで説明するが、周辺センサ4と視線センサ5とを有する車両であって、情報収集装置3を搭載可能であれば計測車両C以外の車両であってもよい。
【0022】
情報収集装置3は、周辺センサ4及び視線センサ5が検出した認識情報や視線情報等をサーバ装置1へアップロードする。情報収集装置3は、例えばナビゲーション装置等の車載機器の一部として構成されていてもよいし、単独の機器として構成してもよい。あるいは、周辺センサ4や視線センサ5を接続することができれば、ノート型PC等の可搬性のある端末機器であってもよい。
【0023】
図2に情報収集装置3の機能的構成を示す。情報収集装置3は、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、を備えている。
【0024】
制御部31は、周辺センサ4及び視線センサ5が検出した認識情報及び視線情報等を記憶部33に一時的に記憶させる。制御部31は、記憶部33に格納された認識情報及び視線情報等を所定時間間隔で制御部31が読み出して通信部32を介してサーバ装置1へ送信する。
【0025】
通信部32は、制御部31が出力した認識情報及び視線情報等をサーバ装置1に送信する。
【0026】
記憶部33は、認識情報及び視線情報等が記憶されている。これらの情報は上述したように、サーバ装置1へ送信するために一時的に記憶されており、送信するタイミングで制御部31により読み出される。
【0027】
周辺センサ4は、自車位置等の自車の情報や周辺環境(周辺に存在する地物等)を認識するためのセンサであり、カメラ4a、ライダ4bと、GPS(Global Positioning System)受信機4cと、を含む。また、これらのセンサ以外に加速度センサ及び速度センサ等の車両の移動(発進、停止)に関する情報を取得する車両センサ4dと、も含んでいる。
【0028】
カメラ4aは、計測車両Cの外界の状況を表す色付きの画像を撮影する。本実施例では、特に車両の前方を撮影するものとするが、前方に加えて車両の後方や側方を撮影するカメラを有してもよい。このカメラ4aで撮影された画像(前方画像)は画像情報として上記した認識情報に含まれる。ライダ4bは、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置や形状等を三次元の点群として認識する。このライダ4bが取得した情報は点群情報として上記した認識情報に含まれる。
【0029】
GPS受信機4cは、現在の車両の位置を表す緯度及び経度の位置情報を生成する。この位置情報も上記した認識情報に含まれる。車両センサ4dに含まれる加速度センサは、車両の加速度を検出する。車両センサ4dに含まれる速度センサは、車両の速度を検出する。なお、周辺センサ4は、車両センサ4dとして、車両の姿勢(向きなど)を認識して他のセンサの取得データを補正するための慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)やジャイロセンサなどを備えてもよい。
【0030】
視線センサ5は、例えば赤外線カメラと処理装置等で構成され、赤外線カメラで撮影した運転者の眼球部の画像を処理装置で解析して運転者の視線方向を特定する。その視線方向は視線情報として情報収集装置3の記憶部33に記憶される。この視線情報には、後述する視線軌跡情報を作成するために、視線方向に対応した時間の情報も含まれている。
【0031】
なお、上記した認識情報に含まれる画像情報、点群情報、車両情報及び視線情報は、位置情報と関連付けられている。
【0032】
図3にサーバ装置1の機能的構成を示す。サーバ装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。
【0033】
制御部11は、サーバ装置1のCPU(Central Processing Unit)が機能し、サーバ装置1の全体制御を司る。制御部11は、情報収集装置3から送信された認識情報及び視線情報に基づいて、画像情報内に含まれる信号機から運転者が注視した信号機を特定し、その特定した信号機と、計測車両Cが停止時に位置していた車線または停止線と、の関連付けを行う。なお、本実施例では、情報収集装置3からはネットワークNを介して情報を取得しているが、例えば計測車両Cの走行終了後にメモリーカード等の記憶媒体により情報を取得してもよい。
【0034】
通信部12は、サーバ装置1のネットワークインターフェース等が機能し、情報収集装置3が出力した認識情報及び視線情報等を受信する。即ち、通信部12が、画像情報取得部、位置情報取得部、車両情報取得部、視線情報取得部として機能する。
【0035】
記憶部13は、サーバ装置1のハードディスク等の記憶装置が機能し、情報収集装置3から受信した各種情報を記憶する。記憶部13に記憶される各種情報としては、認識情報131と視線情報132が含まれる。また、認識情報131には、上述した画像情報131a、位置情報131b、車両情報131c、点群情報131dが含まれる。
【0036】
また、記憶部13には、地図情報133も記憶されている。この地図情報133は、自動運転車両が自動運転にて走行するために必要な地図であり、例えば、道路幅、車線、信号機、標識等の詳細な位置情報といった道路情報を含むものである。
【0037】
次に、上述した構成のサーバ装置1における信号機と車線或いは停止線との関連付け動作(情報処理方法)について
図4のフローチャートを参照して説明する。
図4に示したフローチャートは制御部11で実行される。また、このフローチャートは、原則として計測車両Cの走行終了後に行う。
【0038】
まず、ステップS1において、計測車両Cが一時停止したか否かを判断し、一時停止した場合(S1:YES)はステップS2に進み、そうでない場合(S1:NO)は本ステップで待機する。本ステップにおける判断は、記憶部13に記憶されている車両情報131cを読み出して、車両の速度情報や加速度の情報から車両が信号等で一時停止しているか否かを判断すればよい。
【0039】
次に、ステップS2において、ステップS1で計測車両Cが一時停止した位置の位置情報131bを記憶部13から読み出す。この位置情報は、上記したように車両情報131cと関連付けられているので、一時停止と判断された車両情報131cに対応する位置情報131bを取得すればよい。そして、取得した位置情報131bに基づいて、地図情報133から計測車両Cが一時停止した車線(リンク)や停止線を特定する。
【0040】
次に、ステップS3において、視線情報132を使用するか否かを判断し、使用する場合(S3:YES)はステップS4に進み、使用しない場合(S3:NO)はステップS7に進む。視線情報132を使わないとは、ステップS7で詳細に説明するが、例えば、視線情報132を取得しない場合等で、画像情報131a、位置情報131b、車両情報131cのみで信号機と車線との関連付けをする場合である。
【0041】
次に、ステップS4において、視線情報132に基づいて視線軌跡情報を作成してステップS5に進む。この視線軌跡情報とは、記憶部13に記憶されている画像情報131a及び視線情報132を読み出して、ステップS1で停止していると判断された位置における画像情報131a上に、対応する視線情報132に含まれる視線方向の時間的な変化を軌跡として表したものである。
図5に視線軌跡情報の例を示す。
図5は画像情報131aとして信号機が符号S1とS2の2つ含まれているものである。そして、符号eで示される線が視線軌跡情報である。
【0042】
この視線軌跡情報は、ステップS1で一時停止したと判断されてから計測車両Cが発進するまでの間の期間について作成する。計測車両Cの発進についても一時停止と同様に車両の速度情報や加速度の情報から判断すればよい。
【0043】
次に、ステップS5において、注視している信号機を特定しステップS6に進む。本ステップにおける信号機の注視の特定基準は、例えば信号機の視認した回数や時間が挙げられる。
図5の場合、信号機S1を視認している回数は信号機S2を視認している回数よりも多いので、信号機S1を注視していると判断される。また、視認している時間の場合であっても、信号機S1の方が信号機S2よりも長いと考えられるので、信号機S1を注視していると特定される。即ち、視線軌跡情報(視線情報132)に基づいて画像情報131aに含まれる信号機のうち、計測車両Cの運転者が注視した信号機を特定している。
【0044】
次に、ステップS6において、ステップS5で注視していると特定された信号機と計測車両Cが停車している車線(リンク)又は停止線とを関連付ける。つまり、ステップS2で特定した車線や停止線と、ステップS6で特定した信号機とを関連付けて記憶部13に記憶する。
【0045】
図6に信号機と計測車両Cが停車している車線又は停止線との関連付けの具体例を示す。
図6は、片側に車線LA1~車線LA4までの4車線ある道路である。そして、車線LA1、LA2は信号機S1で通行が整理され、車線LA3、LA4は信号機S2で通行が整理されている。車線LA1、LA2の停止線をLI1、車線LA3、LA4の停止線をLI2とする。そして、計測車両Cが信号機S1の赤信号により車線LA2の停止線LI1の手前に停車したとする。
【0046】
この場合、まず、位置情報131bと地図情報133から車線LA2及び停止線LI1が特定される。そして、
図5のような視線軌跡情報が得られたとすると、信号機S1を注視していると特定される。したがって、地図情報133における車線LA2及び停止線LI1は信号機S1と関連付けられる。
図6の場合は、車線LA2及び停止線LI1の両方と信号機S1を関連付けたが、いずれかのみであってもよい。
【0047】
即ち、制御部11(処理部)は、画像情報131a、位置情報131b、車両情報131c及び視線情報132に基づいて、画像情報131aに含まれる信号機のうちの信号機S1と、計測車両Cの位置情報に対応付けられる車線LA2及び停止線LI1と、の対応付けを行っている。
【0048】
一方、ステップS7においては、計測車両Cの発進と信号機の切り換えのタイミングを比較してステップS6に進む。本ステップは、画像情報131aに含まれる信号機が赤色から青色に切り替わったタイミングと車両情報131cに基づく計測車両Cが発進したタイミングとを比較する。つまり、計測車両Cが発進した直前に赤色から青色に切り替わった信号機を計測車両Cの位置情報に対応付けられる車線又は停止線と関連付ける信号機と特定する。
【0049】
なお、ステップS5においては、視線軌跡情報(視線情報132)にのみ基づいて特定していたが、上記したステップS7に記載した画像情報131aに含まれる信号機が赤色から青色に切り替わったタイミングと計測車両Cが発進したタイミングとの比較も合わせて実行してもよい。つまり、視認している回数や時間が多い信号機が赤色から青色に切り替わった時に計測車両Cが発進した場合は、その信号機を注視していると特定する。このようにすることで、注視している信号機をより精度良く特定することができる。
【0050】
以上の説明から明らかなように、ステップS1が車両情報取得工程として機能し、ステップS2が位置情報取得工程として機能し、ステップS4が画像情報取得工程として機能し、ステップS6が処理工程として機能する。
【0051】
本実施例によれば、サーバ装置1は、通信部12が計測車両Cの前方を撮影した画像情報131a、計測車両Cの位置情報131b、計測車両Cの停止及び発進に関する車両情報131c、及び、計測車両Cの運転者の視線情報132を取得する。そして、制御部11が画像情報131a、位置情報131b、車両情報131c及び視線情報132に基づいて、画像情報131aに含まれる信号機のうちの一の信号機と計測車両Cの位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかとの対応付けを行う。このようにすることにより、運転者の視線情報を利用して、当該計測車両Cの位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。そのため、関連付け作業の負担を軽減することができる。また、視線という実際の運転者の挙動に基づいているので、精度良く関連付けをすることができる。
【0052】
また、制御部11は、視線情報に基づいて画像に含まれる信号機のうち、計測車両Cの運転者が注視した信号機を特定している。このようにすることにより、運転者の視線情報により注視した信号機を特定することができる。したがって、当該計測車両Cは、この特定された信号機に従って通行したことが分かるため、当該計測車両Cの位置情報により、当該計測車両Cが位置していた車線或いは停止線と信号機との関連付けを自動的に行うことができる。
【0053】
また、制御部11は、信号機の視認回数に基づいて運転者が注視した信号機を特定してもよい。このようにすることにより、例えば複数回運転者が視認した信号機を運転者が注視した信号機と特定することができる。
【0054】
また、制御部11は、信号機の視認時間に基づいて運転者が注視した信号機を特定してもよい。このようにすることにより、例えば視認時間が長い信号機を運転者が注視した信号機と特定することができる。
【0055】
また、通信部12で、計測車両Cの発進及び停止に関する情報を取得し、制御部11は、画像に含まれる信号機のうち赤色から青色に切り替わったタイミングと、車両が発進したタイミングと、に基づいて信号機のうちの一の信号機と、位置情報に対応付けられる車線及び停止線の少なくともいずれかと、の対応付けを行ってもよい。このようにすることにより、画像情報と車両情報で対応付けが可能となり、視線の検出が不要となる。
【0056】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報処理装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 サーバ装置(情報処理装置)
3 情報収集装置
11 制御部(処理部)
12 通信部(画像情報取得部、位置情報取得部、車両情報取得部、視線取得部)
13 記憶部
S1 一時停止(車両情報取得工程)
S2 位置情報取得(位置情報取得工程)
S4 視線軌跡情報作成(画像情報取得工程)
S6 信号機と車線、停止線とを関連付け(処理工程)