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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】デスク及び連結デスク
(51)【国際特許分類】
   A47B 7/00 20060101AFI20220913BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A47B7/00 A
A47B13/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017212832
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2019083883
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(73)【特許権者】
【識別番号】000140007
【氏名又は名称】株式会社稲葉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 博行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼澤 彩香
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高央
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 寿宜
(72)【発明者】
【氏名】今村 圭佑
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-117727(JP,U)
【文献】特開2012-161405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0020606(US,A1)
【文献】Navi TeamIsland-Dual-Sided Bench(Sit/Stand Height)組立説明書,2016年08月
【文献】株式会社ヴィスのウェブサイト「〔オフィスぶらり〕Steelcase×WSIの″Worklife Tokyo″に行ってきました! !」URL:http://designers-office.jp/column/from _vis/staff-blog/page/index.php?id=203,2017年07月05日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板を、使用者が起立した姿勢で使用可能な位置に支持する脚部材と、
前記天板よりも低い位置に設けられ、使用者が椅子に着席した姿勢で足を載せることができる足置き台と、
を備えるデスクであって、
左右に隣接するデスクと前記脚部材を共有し、又は奥行き方向に対向するデスクと互いの前記脚部材を接続することにより、他のデスクと連結でき、
左右の一方に隣接する第1のデスクと連結される場合において、当該第1のデスクとの間で共有され、前記足置き台と前記第1のデスクが備える足置き台とを支持する支持部材を備え、
前記足置き台の端部は、前記脚部材又は前記支持部材と接続され
前記第1のデスクと連結される場合において、当該第1のデスクとの間で共有される前記脚部材は、前記天板と接続される梁部と、当該梁部を支持し前記デスクの奥側に設けられる柱部とを備える片持ち梁状脚部材であり、
前記支持部材は、前記梁部の下方に使用者の下肢を収容する空間をあけて前記柱部の下方手前側に接続される
デスク。
【請求項2】
左右の他方に隣接する第2のデスクと連結される場合において当該第2のデスクとの間で共有される前記脚部材は、前記天板と接続される梁部と、当該梁部を支持し前記デスクの奥側に設けられる柱部と、前記梁部を支持し前記柱部の手前側に設けられるパネル状の部材とを備える板状脚部材であり、
前記板状脚部材は、自デスクが備える前記足置き台と、前記第2のデスクが備える足置き台と、自デスクが備える前記足置き台よりも高く且つ前記天板よりも低い位置に設けられる棚板とを支持し得る
請求項1に記載のデスク。
【請求項3】
前記足置き台は平板状であり、前記足置き台の使用者側の端部は、前記天板の使用者側の端部よりも奥に位置する
請求項1又は2に記載のデスク。
【請求項4】
前記足置き台の奥側の端部は、前記天板の奥側の端部よりも手前に位置する
請求項に記載のデスク。
【請求項5】
前記足置き台の上面は、床材が張られている
請求項1からのいずれか一項に記載のデスク。
【請求項6】
前記足置き台の上面は、前記天板又は前記脚部材よりも明度が暗い色が配されている
請求項1からのいずれか一項に記載のデスク。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のデスクを複数備え、
複数のデスクの各々は、左右に隣接する他のデスク又は奥行き方向に対向する他のデスクと連結される
連結デスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスク及び連結デスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のデスクを連結してこれらに構成部材を共有させる連結デスクが提案されている。例えば、連結デスクにおいて各デスクの高さを独立して設定できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1)。当該技術では、天板と脚部材との間に接続され、天板の高さを脚部材の上端よりも高い位置に支持する側面支持部材を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-214680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、使用者が起立した姿勢で使用できる連結デスクは提案されていた。このようなデスクを着席した姿勢で使用したい場合は、天板の高さに応じて座面が一般的な家具よりも高いフットリング付の椅子を使用する事が多かった。しかしながら、座面の高いフットリング付の椅子ではデスクの使用者はデスク使用時の足を載せる場所が限定されるために自由な姿勢をとりづらく、長時間の使用に向かないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、使用者が起立した姿勢で使用できるとともに、着席した状態でも適切な姿勢で使用出来る連結デスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデスクは、天板と、天板を使用者が起立した姿勢で使用可能な位置に支持する脚部材と、天板よりも低い位置に設けられ、使用者が椅子に着席した姿勢で足を載せることができる足置き台とを備える。また、左右に隣接するデスクと脚部材を共有し、又は対向するデスクと互いの脚部材を接続することにより、他のデスクと連結できる。
【0007】
他のデスクと連結することで形成される連結デスクは、広大な天板面積と広い下肢空間を有する。天板を使用者が起立した姿勢で使用可能な位置にされるものにおいて、足置き台を備えることにより、使用者が椅子に着席した姿勢で作業する場合にも、使用者が自由な姿勢を取り得るため使用者の疲労を低減することができる。また、天板を高い位置に設ける場合はデスクの重心が高くなり安定性が低下するおそれがあるところ、天板よりも低い位置に足置き台を備えることにより、デスクのバランスをとることもできる。また、足置き台には、バックや書類等を置くこともできる。このようにすれば、床面に置くよりも荷物が汚れにくくなり、また、デスク全体の収納効率が高まるため机上面を有効に利用できるようになる。
【0008】
また、隣接する他のデスクと連結される場合において、隣接する2つのデスクによって共有され、当該2つのデスクがそれぞれ備える足置き台を支持する支持部材をさらに備え、足置き台の端部は、脚部材又は支持部材と接続されるようにしてもよい。このようにすれば、他のデスクと連結される場合において、デスク全体の強度や剛性を高める事も出来る。
【0009】
また、隣接する他のデスクと連結される場合において、隣接する2つのデスクによって共有される脚部材は、天板と接続される梁部と、当該梁部を支持し2つのデスクの奥側に設けられる柱部とを備える片持ち梁状脚部材であり、支持部材は、梁部の下方に使用者の下肢を収容する空間をあけて柱部の下方手前側に接続されるようにしてもよい。このようにすれば、足置き台と脚部材の梁部との間の空間を仕切る部材がなくなり、使用者はデスクの連結部分においても足置き台の上部を自由に使うことができるようになる。
【0010】
また、足置き台は平板状であり、足置き台の使用者側の端部は、天板の使用者側の端部よりも奥に位置するようにしてもよい。このようにすれば、椅子を天板の下の空間に収容する際に、椅子の支柱と足置き台との干渉を避けることができる。また、起立して作業する際、足置き台に足のすね等をぶつける事が低減される。
【0011】
また、隣接する他のデスクと連結される場合において隣接する2つのデスクによって共有される脚部材は、天板と接続される梁部と、当該梁部を支持し2つのデスクの奥側に設けられる柱部と、梁部を支持し柱部の手前側に設けられるパネル状の部材とを備える板状脚部材であり、板状脚部材は、隣接する2つのデスクがそれぞれ備える足置き台と、当該足置き台よりも高く且つ天板よりも低い位置に設けられる棚板とを支持し得るようにしてもよい。このようにすれば、足置き台に加えて棚板を設けることができるようになる。
【0012】
また、足置き台は平板状であり、足置き台の使用者側の端部は、天板の使用者側の端部よりも奥に位置するようにしてもよい。このようにすれば、床面から天板上にケーブル等の配線を行うための間隙を、使用者の邪魔にならないようデスクの奥側に設けることができる。
【0013】
また、足置き台の上面は、床材が張られていてもよい。このようにすれば、使用者が靴を載せる足置き台の耐久性を向上させることができる。
【0014】
また、足置き台の上面は、天板又は脚部材よりも明度が暗い色が配されていてもよい。このようにすれば、使用者が靴を載せる足置き台の汚れが目立たないようになる。
【0015】
また、本発明に係る連結デスクは、上述のデスクを複数備え、複数のデスクは、左右に隣接する他のデスク又は奥行き方向に対向する他のデスクと連結されるものであってもよい。すなわち、本発明は上述したデスクを連結した連結デスクとして捉えることもできる。
【0016】
なお、上記課題を解決するための手段の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者が起立した姿勢で使用できるとともに、着席した姿勢状態でも適切な姿勢で使用出来る連結デスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、連結デスクの一例を示す斜視図である。
図2図2は、連結デスクの一例を示す分解斜視図である。
図3図3は、エンド脚及び周囲の部材の一例を示す分解斜視図である。
図4図4は、フットステージ及びアングルの一例を示す分解斜視図である。
図5図5は、デスクの一例を示す、右側面図である。
図6図6は、中間脚及び周囲の部材の一例を示す分解斜視図である。
図7図7は、天板の一例を示す斜視図である。
図8図8は、横梁部材の一例を示す斜視図である。
図9図9は、中間受部材の一例を示す斜視図である。
図10図10は、連結デスクの使用状態の一例を示す図である。
図11図11は、連結デスクの変形例を示す斜視図である。
図12図12は、変形例に係る板状中間脚を示す斜視図である。
図13図13は、中間脚及び周囲の部材の変形例を示す斜視図である。
図14図14は、連結デスクの変形例を示す斜視図である。
図15図15は、連結デスクの上方に支柱等を接続する例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する実施形態は例示であり、本発明は以下の態様には限定されない。
【0020】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係るデスク(机)を、その幅(左右)方向に3台、奥行き(前後)方向に2台の計6台を連結したデスクの集合体の一例を示す斜視図である。なお、デスクの集合体を「連結デスク」とも呼ぶものとする。本実施形態に係る連結デスク1000は、複数のデスク100を含む。また、デスク100の各々は、左右に隣接する他のデスク及び前後に対向する他のデスクと結合することができる。デスク100は、天板1と、エンド脚2と、中間脚3と、フットステージ4と、フットステージの支持部材5と、配線ダクトカバー6を備える。なお、本実施形態に係るデスク100は、天板1とその周囲の部材を便宜上1つのデスクと呼び、各デスクは左右に隣接された他のデスクと中間脚3や支持部材5を共有する。また、エンド脚2及び中間脚3を総称して本発明に係る「脚部材」と呼ぶものとする。フットステージ4は、本発明にかかる「足置き台」に相当する。
【0021】
本実施形態に係るデスク100の各々については、当該デスク100の使用者が位置する方向を前、その逆を奥又は後ろと呼ぶものとする。また、使用者からデスク100に向かって左右をそれぞれ左、右と呼び、鉛直方向上下をそれぞれ上、下と呼ぶ。また、連結デスク1000については、便宜上、手前に描かれたデスク100を基準にして前後左右を説明するものとする。本実施形態に係るデスク100を組み合わせることにより、全体として様々な形状の連結デスク1000を形成することができる。
【0022】
図2は、図1に示した連結デスク1000のうち、手前に位置する3台のデスク100を分解した状態を示す分解斜視図である。デスク100は、上述した部材のほかに、横梁部材7と、中間受部材8とを備えている。また、天板1とエンド脚2又は中間脚3とは、天板を取り付けるためのアングル11を介し、図示していないボルトを用いて接続される。同様に、フットステージ4とエンド脚2又は支持部材5とは、フットステージ4を取り付けるためのアングル41を介し、図示していないボルトを用いて接続される。
【0023】
また、デスク100は、使用者が起立した姿勢で使用することができる。換言すれば、エンド脚2及び中間脚3は、使用者が起立した姿勢で使用できる高さに天板1を支持する。例えば、一般的なオフィス用デスクの天板の高さは700~720mm程度であるところ、本実施形態に係るデスク100の天板1の高さは950mmから1100mm程度が好ましい。また、使用者は、一般的な高さよりも座面の高い椅子(「ハイチェア」とも呼ぶ)に座ってデスク100を使用することもできる。ハイチェアの座面の高さは、例えば天板1の高さよりも200mmから350mm程度低い位置が好ましい。
【0024】
<エンド脚>
図3は、エンド脚2とこれに接続される部材を前方斜め上から見た分解斜視図である。エンド脚2は、連結デスク1000の幅方向の端に接続される。なお、エンド脚2には左
端用のものと右端用のものとがあり、図3に示すエンド脚2は、左端用のものである。なお、右端用のエンド脚2は、左端用のものと鏡映対称な形状であるため図示を省略する。エンド脚2は、アングル11を介して天板1(図示せず)と接続される。アングル11は、例えば、金属の平板の1か所を90度に曲げ、断面をL字形状とした接続部材である。そして、アングル11の一方の面には、ボルトを用いて天板1と接続するためのボルト穴111を有し、他方の面には、ボルトを用いてエンド脚2又は中間脚3と接続するためのボルト穴112を有する。エンド脚2には、アングル11のボルト穴112と対応する位置にボルト穴201を有しており、図示していないボルトを用いてエンド脚2とアングル11とを接続することができる。なお、本実施形態では、1つの脚部材は2つのアングル11を介して天板1と接続されており、ボルト穴201は水平方向に並べて2つ設けられているが、部材の接続に使用するアングルの数や形は特に限定されない。なお、本発明に係る様々な部材のボルト穴を、それぞれ「接続部」とも呼ぶものとする。図3のエンド脚2は板状のものを示したが、このような形状には限られない。例えば、柱状の部材と梁状の部材とを組み合わせることによりエンド脚2を形成するようにしてもよい。
【0025】
また、エンド脚2の側面のうち、奥側上方であってデスク100の内側に相当する位置には、脚接続部材9を取り付けるためのボルト穴202が設けられている。脚接続部材9は、奥行き方向に対向するデスク100の脚部材同士を接続するための接続部材である。脚接続部材9は、例えば金属の平板の1か所を90度に曲げ、断面がL字形状になっている。そして、脚接続部材9の一方の面には、エンド脚2又は中間脚3とボルトを用いて接続するためのボルト穴901を有し、他方の面には、配線ダクトカバー6を取り付けるための接続穴902を有する。また、図3に示す脚接続部材9は、エンド脚2又は中間脚3と接続される面がT字状になっており、奥行き方向に対向するデスク100の脚部材(図示せず)と接続できるようになっているが、奥行き方向に他のデスクを接続しない場合には、エンド脚2又は中間脚3と接続される面がL字状の脚接続部材(図示せず)を採用し、脚部材と配線ダクトカバー6とを接続するようにしてもよい。
【0026】
また、エンド脚2の側面のうち、奥側下方であってデスク100の内側に相当する位置には、図示していない第2の脚接続部材を取り付けるためのボルト穴203が設けられている。第2の脚接続部材も、奥行き方向に対向するデスク100の脚部材同士を接続するための接続部材であり、例えば複数のボルト穴を有する平板状の金属である。また、エンド脚2の側面のうち、ボルト穴202よりも手前側には、デスク100の奥側に配線等を収容する配線ダクトを形成する横梁部材7を接続するための横梁取付穴204が設けられている。横梁部材7については後述する。また、エンド脚2の奥側の面(背面)には、後述する幕板を接続するための幕板取付穴(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0027】
また、エンド脚2の側面のうち下方には、アングル41を介してフットステージ4を接続するためのボルト穴205が設けられている。フットステージ4の上面と天板1の上面との距離は、使用者の下肢を収容するために十分な高さであり、例えば700~720mm以上である。このような構成にすることで、フットステージ4と天板1との距離は、床面と一般的なデスクの天板との距離とほぼ同様になる。よって、使用者がデスク100を着席した姿勢で使用する場合においても、使用者は望ましい姿勢をとることができるようになる。また、ボルト穴205は、水平方向に列をなすように2つ設けられているが、部材の接続に使用するアングルの数や形は特に限定されない。
【0028】
図4は、フットステージ4及びアングル41を斜め下方から見た分解斜視図である。図3及び図4に示すように、フットステージ4を支持するためのアングル41も、例えば、金属の平板の1か所を90度に曲げ、断面をL字形状とした接続部材である。そして、アングル41の一方の面には、ボルトを用いて脚部材又はフットステージの支持部材5と接続するためのボルト穴411を有し、他方の面には、ボルトを用いてフットステージ4と
接続するためのボルト穴412を有する。なお、本実施形態では、アングル41の各面は奥行き方向を長手方向とする長方形形状になっており、各面には、ボルト穴411又はボルト穴412が2つ設けられているが、部材の接続に使用するアングルの数や形は特に限定されない。
【0029】
<フットステージ>
デスク100は、天板1よりも低い位置であって、エンド脚2又は中間脚3の間に、使用者がハイチェア等の椅子に着席して使用する際に足を載せることができるフットステージ4を備える。フットステージ4は、例えば、所定の厚さを有する長方形状の平板形状の部材である。フットステージ4の底面には、アングル41のボルト穴412と対応する位置に、図示していないボルトを用いてアングル41と接続するためのボルト穴401が設けられている。
【0030】
また、フットステージ4の表面(上面)には、床材を張るようにしてもよい。床材は、例えばリノリウムやオイルクロス、フローリング等である。フットステージ4の上部には、使用者が靴を載せて使用するところ、床材で仕上げることによりフットステージ表面の耐久性を向上させることができる。また、フットステージ4の表面は、天板1や脚部材よりも明度の暗い暗色を配するようにしてもよい。例えば天板1や脚部材が白色やこれに近い色である場合、フットステージ4の表面には灰色等を配する。このようにすれば、フットステージ4の表面に汚れが目立つのを抑えることができる。
【0031】
図5は、デスク100の右側面図である。なお、図5においてはエンド脚2の奥に存在する部材を破線で示している。図5に示すように、フットステージ4のうち、使用者の位置する手前側端部は、天板1の手前側端部よりも奥に位置している。このようにすれば、椅子の座面を天板1の下方の空間に収容する場合に、椅子の支柱とフットステージ4とが干渉することを抑制できる。また、起立して作業する際、足置き台に足のすね等をぶつける事が低減される。
【0032】
<中間脚>
図6は、中間脚3及びその周囲に接続される部材を右上前方から見た斜視図である。中間脚3は、水平方向に伸びて天板1を支持する梁状の水平部材301と、鉛直方向に伸びて水平部材を所定の高さに保持する柱状の鉛直部材302とを有する。図6の中間脚3は、デスク100の奥側に鉛直部材302を配し、鉛直部材302の上端から手前に向かって水平部材301が伸びる片持ち梁形状になっており、本発明に係る「片持ち梁状脚部材」に相当する。なお、水平部材301は、本発明に係る「梁部」に相当し、鉛直部材302は、本発明に係る「柱部」に相当する。また、中間脚3は、その上端の水平部材の側面に、アングル11を介して天板1を接続するためのボルト穴303を有する。また、中間脚3の側面のうち、奥側上部には、脚接続部材9を接続するためのボルト穴304が設けられている。そして、奥行き方向にデスク100を結合する場合は、図3に示した脚接続部材9を用いて対向する2つの中間脚3を結合する。また、中間脚3の側面上部のうち、上述したボルト穴304よりも手前側には、横梁取付穴305が設けられている。また、中間脚3の側面のうち、奥側下方には、奥行き方向に対向するデスクを接続する場合に、対向する中間脚3同士を平板上の接続部材で連結するためのボルト穴307が設けられている。また、中間脚3の背面には、幕板を接続するための幕板取付穴(図示せず)が設けられている。ボルト穴303、304、307、横梁取付穴305、幕板取付穴の形状及び機能は、エンド脚2のボルト穴201、202、203、横梁取付穴204、幕板取付穴と同様である。また、中間脚3の鉛直部材302の正面側下部には、フットステージ4を支持する支持部材5を接続するためのボルト穴306が設けられている。
【0033】
<支持部材>
フットステージの支持部材5は、水平方向に伸びる梁状の2つの水平部材501と、鉛直方向に伸びて水平部材501の端部同士を接続する柱状の2つの鉛直部材502とを含む。支持部材5の高さは、フットステージ4を取り付ける高さと略同じであり、支持部材5は、アングル41を介してフットステージ4を支持する。支持部材5の左右の側面上部には、アングル41を介してフットステージ4を接続するためのボルト穴503が設けられている。ボルト穴503は、エンド脚2のボルト穴205と対応する位置に2つ設けられている。また、支持部材5の背面には、中間脚3の鉛直部材302の正面側下部に設けられたボルト穴306と対応する位置にボルト穴504が設けられ、図示していないボルトを用いて中間脚3と支持部材5とを接続できるようになっている。また、支持部材5の上部に配された水平部材501は、正面、背面及び左右の側面によって形成され、上方に向かって開いた凹部を有し、凹部にカバー部材51を接続することができる。
【0034】
カバー部材51は、組み立てるとフットステージ4とほぼ平行になる平面状のカバー部511と、支持部材5の上部に設けられた凹部と嵌合する凸部512とを有する。本実施形態のカバー部材51は、カバー部511の幅方向の端の一部がフットステージ4の端の上に重なるようになっている。
【0035】
本実施形態では、片持ち梁状の中間脚3と、フットステージ4とほぼ同じ高さの支持部材5とを組み合わせることにより、複数のデスク100を左右に連結する場合であっても使用者の足元に境界を作ることがなくなる。換言すれば、支持部材5は、梁部の下方に使用者の下肢を収容する空間をあけて鉛直部材302の下方手前側に接続されており、使用者は、デスク100の幅方向の連結部分においても、フットステージ4の上部且つ水平部材301の下部の空間を自由に使うことができる。すなわち、使用者が中間脚3の手前に位置する場合であっても、天板1の下方に使用者の下肢を収めることができる。したがって、連結デスク1000の全体を1つの作業スペースとして、使用者は任意の位置に座って連結デスク1000を使用することができる。また、幅方向に複数のデスク100を連結する場合においても、フットステージ4の間に支持部材5を配置することで、フットステージ4の強度を担保することができる。また、それぞれ平行に配設される2つの水平部材501及び2つの鉛直部材502をロ字状に接合することで、支持部材5の強度を担保し、フットステージ4の耐荷重性を向上させることができる。
【0036】
<天板>
図7は、天板1を正面側下方から見た斜視図である。天板1は、いわゆる天板(甲板)として使用できる板状の部材であり、その下部に任意のサイズの引き出し101を備えていてもよい。また、天板1は、その左右の端部がエンド脚2又は中間脚3の上に架設される。天板1は、底面の左右両端付近にボルト穴102を有しており、図示していないボルトを用いて、エンド脚2又は中間脚3に接続されるアングル11と、接続される。また、天板1は、底面の奥側にもボルト穴103を有しており、中間受部材8ともボルトを用いて接続できる。
【0037】
<横梁部材>
図8は、横梁部材7を背面斜め上から見た斜視図である。横梁部材7は、外形が略直方体のパネル状の部材である。また、横梁部材7は、鉛直方向上端であって幅方向の略中央に、中間受部材8を取り付けるための中間受取付穴701を有している。また、横梁部材7は、その側面に、エンド脚2又は中間脚3とボルトで接続するためのボルト穴702を複数有している。また、横梁部材7は、水平方向に沿って複数回曲げ加工され、その正面及び背面に溝(凹部又は段差とも呼ぶ)を有している。横梁部材7により、デスク100の特に脚部材の強度が向上する。また、図8の例は、背面に第1背面凹部703及び第2背面凹部704を有し、正面に正面凹部705を有している。このような曲げ加工によって横梁部材7の強度が向上する。
【0038】
また、奥行き方向に対向する2つのデスク100を連結した場合における2つの横梁部材7の間、又は奥行き方向にはデスク100を連結しない場合における横梁部材7と図示していない幕板との間には、トレイを架設することにより、ケーブルの余長部分等を収納するための配線ダクトを形成してもよい。
【0039】
<中間受部材>
図9は、中間受部材8を後方斜め上から見た斜視図である。中間受部材8は、下方に向かって凹部が開いた形状になっている。また、中間受部材8は、横梁部材7と天板1との間に挟まれて固定される。また、奥行き方向に対向するデスクを接続する場合、各デスクの中間受部材8が連結される。中間受部材8が、横梁部材7と天板1との間に挟持され、横梁部材7と天板1とを結合することで、デスク100の強度を向上させることができる。中間受部材8の背面は、上面から曲げ加工されて連続する壁部が設けられており、壁部には中間受部材8同士又は中間受部材8と図示していない幕板とを接続するための接続穴801及び接続片802が設けられている。そして、両面にデスク100が連結される場合においては、対向する中間受部材8のそれぞれの接続片802が、他方の接続穴801に挿入される。また、中間受部材8の上面には、例えばボルトを用いて天板1又はと接続するための天板接続穴803と、配線ダクトカバー6を接続するためのカバー接続穴804とが設けられている。また、中間受部材8の側面には、横梁部材7の上方からその厚さ方向の両端を挟むように嵌め込むことができる嵌着凹部805を有している。嵌着凹部185の奥行き方向中央付近には、横梁部材7の中間受取付穴161に挿入される凸部8051が設けられている。また、嵌着凹部805の奥行き方向の両端に相当する壁部8052及び壁部8053の間は、横梁部材7の厚さ程度となっており、横梁部材7を挟んで固定する。本実施形態に係る中間受部材8は、ボルト等を用いずに横梁部材7の上に結合することができ、組み立てが容易になっている。また、横梁部材7には、中間受部材8の凸部8051を挿入する位置である中間受取付穴701が設けられており、横梁部材7に対して中間受部材8の水平方向の取付位置が決定される。なお、中間受部材8は、天板1と横梁部材7とを接続すると共に、奥行き側に対向するデスク100同士を接続する場合に対向するデスク100の中間受部材8を接続することができればよく、図9に示すような形状には限定されない。
【0040】
<配線カバー>
図2に示した配線ダクトカバー6は、ケースウェイの上部を覆うパネル状の蓋である。配線ダクトカバー6は、例えば軸部と軸受け部とを有し、軸部を中心に回動して開閉する。使用者は、天板1上で使用する機器に接続するケーブル等の配線を、配線ダクトカバー6を開いて取り出すことができる。
【0041】
<効果>
図10は、連結デスク1000の使用例を示す図である。デスク100は、フットステージ4を設けることで、使用者がデスク100を着席した姿勢で使用する場合においても、使用者は望ましい姿勢をとることができるようになる。例えばハイチェアにもフットレストを備えたものがあるが、一般的にフットレストは椅子の座面下方の支柱の近傍に設けられるため、使用者は足を前方に投げ出すことができない。デスク100のフットステージ4によれば、使用者は自身の前方に足を置くことができ、特に長時間の作業を行う場合に疲労が軽減される。また、ハイチェアに着席した使用者と、起立した姿勢の使用者との目線の高さが近くなり、使用者同士の姿勢が異なっていてもコミュニケーションが円滑にとれるようになる。また、天板1を使用者が起立した姿勢で使用することができるような高さに設ける場合は、デスク100の重心が高くなり、水平力に対する安定性が低下するおそれがある。フットステージ4を設けることで、フットステージ4が脚部材を水平方向に結合し、デスク100の安定性を向上させることができる。なお、フットステージ4に
は、バックや書類等を置くこともできる。このようにすれば、床面に置くよりも荷物が汚れにくくなり、また、デスク100全体の収納効率が高まるため机上面を有効に利用できるようになる。
【0042】
<変形例>
図11は連結デスク1000の変形例を示す斜視図である。図11の連結デスク1000は、片持ち梁状の中間脚3及び支持部材5のほかに、平板状の板状中間脚10(「パネル状脚部材」とも呼ぶ)を備えている。また、板状中間脚10とエンド脚2との間であって、フットステージ4の高さよりも高い位置に、棚板12を備えている。
【0043】
図12は、板状中間脚10の一例を示す分解斜視図である。板状中間脚10は、片持ち梁状脚部材(中間脚3)と、平板部材1001とを接続して形成される。片持ち梁状脚部材は、図6等に示したものと同様であり、水平方向に伸びて天板1を支持する梁状の水平部材301と、鉛直方向に伸びて水平部材を所定の高さに保持する柱状の鉛直部材302とを含む。また、平板部材1001は、鉛直部材302の手前側に設けられ、水平部材301を支持する板状の部材である。片持ち梁状脚部材と平板部材1001とは、ボルト等で接続してもよいし溶接等で接続してもよい。
【0044】
図13は、板状中間脚10及びその周囲の部材を正面側上方から見た斜視図である。平板部材1001は、床面から天板1に近い位置まで伸びており、その側面にはフットステージ4のほかに棚板12も架設できるようになっている。棚板12は、エンド脚2又は板状中間脚10の間であって、フットステージ4よりも高く且つ天板1よりも低い位置に設けられる。また、板状中間脚10は、その上端の水平部材の側面に、アングル11を介して天板1を接続するためのボルト穴1003を有する。また、板状中間脚10の側面のうち、奥側上部には、脚接続部材9を接続するためのボルト穴1004が設けられている。そして、奥行き方向にデスク100を結合する場合、対向する2つの中間脚3を脚接続部材9で結合する。また、板状中間脚10の側面上部のうち、上述したボルト穴1004よりも手前側には、横梁取付穴1005が設けられている。また、板状中間脚10の側面のうち、奥側下方には、図示していない第2の脚接続部材を取り付けるためのボルト穴1008が設けられている。また、板状中間脚10の背面には、幕板を接続するための幕板取付穴(図示せず)が設けられている。ボルト穴1003、1004、1008、幕板取付穴の形状及び機能は、中間脚3の対応する構成要素と同様である。また、板状中間脚10の左右の側面には、アングル41を介してフットステージ4を接続するためのボルト穴1006が設けられている。ボルト穴1006は、エンド脚2のボルト穴205や支持部材5のボルト穴503と対応する位置に2つ設けられている。また、板状中間脚10の左右の側面であってボルト穴1006よりも高い位置に、棚受け121を介して棚板12を支持するためのボルト穴1007が設けられている。本変形例に係る板状中間脚10によれば、フットステージ4に加え棚板12を設けることもできるようになり、使用者は様々な使い方ができるようになる。
【0045】
なお、図11に示した連結デスク1000は一例であり、片持ち梁状脚部材と板状中間脚10、フットステージ4と棚板12は、可能な限り自由に組み合わせて用いることができる。すなわち、1つのデスク100は、フットステージ4及び棚板12の両者又はいずれか一方を備えるようにしてもよいし、いずれも有していなくてもよい。また、3つ以上のデスク100を幅方向に連結する場合、中間脚3と板状中間脚10とが混在していてもよいし、いずれか一方のみを用いるようにしてもよい。フットステージ4を設ける場合は、中間脚3には支持部材5を接続して使用する。
【0046】
図14は、連結デスク1000の他の変形例を示す斜視図である。図14のフットステージ42の奥側の端部は、天板1の奥側の端部よりも手前に位置する。したがって、奥行
き方向に対向するデスク100を連結する場合、対向するフットステージ42の間には間隙が生じる。このようにすれば、例えば床下から天板1上で使用する機器13へケーブル等の配線を行うための間隙を、使用者の邪魔にならないようデスクの奥側に設けることができる。図14の例では、床面のカーペットの間から上方に伸びるケーブル14が、対向する2つのデスク100のフットステージ42の間を通過する。また、ケーブル14は、対向する2つのデスク100の横梁部材7の間に形成されるケースウェイ(図示せず)をさらに通過し、配線ダクトカバー6から天板1上の機器13へ接続されている。なお、対向するフットステージ42同士の間の間隙には、フットステージ42と面一になるようにフットステージ43を設け、間隙を塞ぐようにしてもよい。フットステージ42やフットステージ43は、図示していないアングルを用いて脚部材や支持部材5の間に架設することができる。
【0047】
図15は、連結デスクの天板よりも上方にオプション器具を取り付けるための支柱等を接続した例を示す斜視図である。図15は、連結デスク1000を右背面上方から見た図である。デスク100の上方には、支柱15を立設して様々なオプション器具を接続するようにしてもよい。例えばデスク100には、エンド脚2や中間脚3の奥側の上部及びエンド脚2や中間脚3の背面に支柱15を立設し、棚やディスプレイ等のオプション器具を取り付けられるようにしてもよい。図15の例では、支柱15の間に、梁状の部材16を架設し、図示していないディスプレイ等の器具を取り付けられるようにしている。特に奥行き方向に対向するデスクを接続しない場合であって、デスク100の上方にオプション器具を接続するときは、連結デスク1000の安定性が低下するおそれがあるところ、フットステージ4を設けることで、フットステージ4が脚部材を水平方向に結合し、連結デスク1000の安定性を向上させることができる。なお、奥行き方向に対向するデスクを接続しない場合は、図10図11図15に示すように、デスク100の奥側であってエンド脚2又は中間脚3の間、且つ天板1の下方に幕板17を接続するようにしてもよい。幕板17は、エンド脚2や中間脚3、中間受部材8に、ボルト等を介して接続される。
【0048】
なお、あるデスク100に対し、奥行き方向に対向する位置又は左右(幅)方向に隣接する位置に他のデスクを接続する場合、2つのデスク100は中間脚3及び支持部材5を共有する。すなわち、1つの中間脚に左右のデスク100の天板1が接続される。また、対向するデスク100を接続する場合、2つのデスク100の脚部材が、脚接続部材9によって接続されると共に、2つのデスク100の中間受部材8が互いに接続される。このように左右方向及び奥行き方向に接続されることにより、連結デスク1000の強度が確保される。
【0049】
また、図示した配線ダクトカバー6は一例であり、様々な形状を採用することができる。例えば、配線ダクトカバー6は開閉しない構成であってもよいし、また、机面にコンセントを埋め込む構成であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :天板
2 :エンド脚
3 :中間脚(片持ち梁状脚部材)
4 :フットステージ(足置き台)
5 :支持部材
6 :配線ダクトカバー
7 :横梁部材
8 :中間受部材
9 :脚接続部材
10 :板状中間脚
12 :棚板
100 :デスク
1000 :連結デスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15