(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】タッチパネルコントローラ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20220913BHJP
G06F 3/04812 20220101ALI20220913BHJP
G06F 3/04886 20220101ALI20220913BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/04812
G06F3/04886
G06F3/14 350A
G06F3/14 380B
(21)【出願番号】P 2018071448
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】一川 大輔
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008250(JP,A)
【文献】特開2014-120041(JP,A)
【文献】特開2005-181404(JP,A)
【文献】特開2013-047975(JP,A)
【文献】特開2016-133978(JP,A)
【文献】特開平04-119418(JP,A)
【文献】特開2000-112597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイに接続される情報処理装置と、タッチパネルとに接続されるタッチパネルコントローラであって、
シングルタッチ及びマルチタッチを検出する検出手段と、
前記マルチタッチのタッチオフ時にカーソルが含まれるディスプレイの画面が絶対座標データの基準として設定されている画面と異なる場合に、前記カーソルが含まれるディスプレイの画面に対応するオフセットを設定し、前記マルチタッチのタッチオフ時に前記カーソルが含まれるディスプレイの画面が前記絶対座標データの基準として設定されている画面と同一である場合に、前記オフセットを消去するオフセット設定手段と、
前記マルチタッチが検出された場合には、前記マルチタッチの中点の絶対座標データを算出し、当該算出した絶対座標データと前回の絶対座標データとの差分から相対座標データを算出し、当該相対座標データを前記情報処理装置に出力し、
前記オフセットが消去され、前記シングルタッチが検出された場合には、当該シングルタッチに対応する絶対座標データを前記情報処理装置に出力し、
前記オフセットが設定され、前記シングルタッチが検出された場合には、前記オフセットを前記シングルタッチに対応する絶対座標データに付加し、当該オフセットを付加した絶対座標データを前記情報処理装置に出力する演算出力手段と
を備えることを特徴とするタッチパネルコントローラ。
【請求項2】
前記マルチタッチのタッチオフ時に前記カーソルが含まれるディスプレイの画面の識別子を前記情報処理装置から取得する取得手段を備え、
前記オフセット設定手段は、前記取得した識別子が前記絶対座標データの基準として設定されている画面の識別子と一致しない場合に、前記取得した識別子に対応するオフセットを設定し、前記取得した識別子が前記絶対座標データの基準として設定されている画面の識別子と一致する場合に、前記オフセットを消去することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項3】
複数のディスプレイに接続される情報処理装置と、タッチパネルとに接続されるタッチパネルコントローラであって、
シングルタッチ及びマルチタッチを検出する検出手段と、
前記マルチタッチの回数に応じて絶対座標データの基準からのオフセットを設定する又は消去するオフセット設定手段と、
前記オフセットが消去され、前記シングルタッチが検出された場合には、当該シングルタッチに対応する絶対座標データを前記情報処理装置に出力し、
前記オフセットが設定され、前記シングルタッチが検出された場合には、前記オフセットを前記シングルタッチに対応する絶対座標データに付加し、当該オフセットを付加した絶対座標データを前記情報処理装置に出力する演算出力手段と
を備えることを特徴とするタッチパネルコントローラ。
【請求項4】
前記オフセット設定手段は、前記マルチタッチの回数が0回又は前記複数のディスプレイの画面数と一致する場合に、前記オフセットを消去し、前記マルチタッチの回数が0回又は前記複数のディスプレイの画面数と一致しない場合に、前記マルチタッチの回数に応じたオフセットを設定することを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
画面の表示を確認しながら直観的な操作が行えるため、入力手段としてタッチパネルが様々な用途で使用されている。タブレット端末やスマートホンでは、キーボードやマウスなど他の入力デバイスを持たずに、タッチパネルのみで操作することができる。また、近年、コンピュータに複数のディスプレイを接続したマルチディスプレイ環境も利用されている。
【0003】
特許文献1には、2つのLCDをマルチディスプレイとして使用することが開示されている。また、特許文献2には、タッチパネルを内蔵する携帯端末装置で大画面の表示装置を操作することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-47975号公報
【文献】特許第6177482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タブレット端末やスマートホンでは、タッチパネルとディスプレイの画面が対になっているため、タッチパネルの操作はタッチパネルが接続されたディスプレイの画面に限定される。マルチディスプレイ環境では、画面の割り当てが行えるが、1つのタッチパネルで操作可能な画面数は1つである。そのため、マルチディスプレイ環境では、画面毎にタッチパネルが必要となる。または、キーボードやマウスなど他の入力手段を使用してタッチパネルが接続されていない画面を操作する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、1つのタッチパネルで複数の画面の操作を可能にすることができるタッチパネルコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、明細書に開示されたタッチパネルコントローラは、複数のディスプレイに接続される情報処理装置と、タッチパネルとに接続されるタッチパネルコントローラであって、シングルタッチ及びマルチタッチを検出する検出手段と、前記マルチタッチのタッチオフ時にカーソルが含まれるディスプレイの画面が絶対座標データの基準として設定されている画面と異なる場合に、前記カーソルが含まれるディスプレイの画面に対応するオフセットを設定し、前記マルチタッチのタッチオフ時に前記カーソルが含まれるディスプレイの画面が前記絶対座標データの基準として設定されている画面と同一である場合に、前記オフセットを消去するオフセット設定手段と、前記マルチタッチが検出された場合には、前記マルチタッチの中点の絶対座標データを算出し、当該算出した絶対座標データと前回の絶対座標データとの差分から相対座標データを算出し、当該相対座標データを前記情報処理装置に出力し、前記オフセットが消去され、前記シングルタッチが検出された場合には、当該シングルタッチに対応する絶対座標データを前記情報処理装置に出力し、前記オフセットが設定され、前記シングルタッチが検出された場合には、前記オフセットを前記シングルタッチに対応する絶対座標データに付加し、当該オフセットを付加した絶対座標データを前記情報処理装置に出力する演算出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つのタッチパネルで複数の画面の操作を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るタッチパネルコントローラを備えるシステムの構成図である。
【
図2】マルチディスプレイ環境のディスプレイ配置の一例を示す図である。
【
図3】タッチパネル上の操作とカーソルの移動との関係を示す図である。
【
図4】タッチパネル上の操作とカーソルの移動との関係を示す図である。
【
図5】タッチパネル上の操作とカーソルの移動との関係を示す図である。
【
図6】タッチパネルドライバで実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】タッチパネルコントローラで実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】タッチパネルコントローラで実行する割り込み処理を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施の形態に係るタッチパネル上の操作と操作画面の移動との関係を示す図である。
【
図10】タッチパネルコントローラで実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るタッチパネルコントローラを備えるシステムの構成図である。
【0012】
図1のシステム1は、コンピュータ2と、マルチタッチ対応のタッチパネル3と、タッチパネルコントローラ4と、ディスプレイ5~7とを備えている。タッチパネル3はディスプレイ5上に設置されている。尚、ディスプレイの台数は3つに限定されるものではなく、複数あればよい。また、タッチパネル3は、ディスプレイ5上に設置されているが、ディスプレイ5上に設置されていなくてもよいし、あるいはディスプレイ6又は7上に設置されていてもよい。
【0013】
コンピュータ2は、コンピュータ2全体の動作を制御するCPU21と、ワーキングエリアとして機能するRAM22と、各種のデータを格納するROM23と、OS(Operating System)27、タッチパネルドライバ28及び各種のデータを格納するハードディスクドライブ(HDD)24と、シリアルインターフェース(IF)25と、ビデオIF26とを備えている。シリアルIF25は、COMポート、PS/2ポート又はUSB(Universal Serial Bus)ポートであり、ケーブルを介してタッチパネルコントローラ4に接続されている。ビデオIF26は、ビデオケーブルを介してディスプレイ5~7に接続されている。
【0014】
タッチパネルコントローラ4は、タッチパネル3に接続されており、タッチパネル3に配置された電極に印加する電圧を制御するパネル制御部41と、タッチパネル3の押下位置の電圧をA/D変換で検出すると共にシングルタッチ又はマルチタッチの検出を行う検出部42と、検出部42で検出された電圧から座標データを算出する演算部43と、各種の設定値を保存する保存部44とを備えている。検出部42は検出手段として機能し、演算部43はオフセット設定手段、演算出力手段、及び取得手段として機能する。
【0015】
図2は、マルチディスプレイ環境のディスプレイ配置の一例を示す図である。
【0016】
ディスプレイ5~7の画面サイズ(解像度)はそれぞれ(x1,y1)、(x2,y1)、(x3,y2)とし、ディスプレイ5~7の画面の基準点はそれぞれ(0,0)、(x1,0)、(x1,y1)とする。また、ディスプレイ5~7の各画面には、画面番号がOS27によって割り当てられている。
【0017】
タッチパネルドライバ28は、各ディスプレイの画面番号、画面サイズ及び画面の基準点を示す画面情報をOS27から取得し、タッチパネルコントローラ4に送信する。タッチパネルコントローラ4の保存部44は、タッチパネルドライバ28から送信された画面情報を保存する。
【0018】
タッチオフ時にカーソルがディスプレイ6の画面に含まれる場合には、演算部43はディスプレイ6の画面の基準点(x1,0)をオフセットとして設定する。タッチオフ時にカーソルがディスプレイ7の画面に含まれる場合には、演算部43はディスプレイ7の画面の基準点(x1,y1)をオフセットとして設定する。タッチオフ時にカーソルがディスプレイ5の画面に含まれる場合には、演算部43はオフセットをクリア(消去)し、画面の基準点を(0,0)に設定する。本実施の形態では、オフセットは、ディスプレイ5の画面の基準点からディスプレイ6又は7の画面の基準点までの距離を意味する。
【0019】
本実施の形態では、シングルタッチの入力操作があった場合、つまり検出部42がシングルタッチを検出した場合には、演算部43はタッチ位置の絶対座標データをコンピュータ2に出力する。一方、マルチタッチの入力操作があった場合、つまり検出部42がマルチタッチを検出した場合には、演算部43は複数のタッチ位置の中点の絶対座標データを算出し、算出した絶対座標データと前回の絶対座標データとの差分から相対座標データを算出し、当該相対座標データをコンピュータ2に出力する。相対座標データを使うと、タッチ位置によらずカーソルの操作が可能であるため、マルチディスプレイ環境において他画面への移動及び操作が行える。
【0020】
尚、本実施の形態では、絶対座標データはディスプレイ5の画面の基準点(0,0)からの距離によって位置を表す座標データであるが、絶対座標データの基準はディスプレイ5の画面の基準点に限定されるものではない。また、相対座標データはある特定の点との相対的な関係で位置を表す座標データである。
【0021】
図3~
図5は、タッチパネル3上の操作とカーソルの移動との関係を示す図である。
【0022】
図3に示すようにオフセットがない状態でシングルタッチでタッチパネル3上で矢印30のように移動操作を行うと、演算部43は当該移動操作に対応する絶対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルはディスプレイ5の画面内を矢印30aのように移動する。
【0023】
図4に示すようにマルチタッチでタッチパネル3上で矢印31のように移動操作を行うと、演算部43は相対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルは矢印31aのように移動しディスプレイ6の画面内に入る。そして、タッチオフすると、演算部43はタッチオフ時のカーソルの位置に基づいてディスプレイ6の画面のオフセットを取得する。続けて、マルチタッチでタッチパネル3上で矢印32のように移動操作を行うと、演算部43は相対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルは矢印32aのように移動しディスプレイ7の画面内に入る。そして、タッチオフすると、演算部43はタッチオフ時のカーソルの位置に基づいてディスプレイ7の画面のオフセットを取得する。このように、マルチタッチの場合、演算部43は取得したオフセットを利用せず、相対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルは画面間の移動を実行できる。
【0024】
図5に示すようにマルチタッチでタッチパネル3上で矢印33のように移動操作を行うと、演算部43は相対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルは矢印33aのように移動しディスプレイ6の画面内に入る。そして、タッチオフすると、演算部43はタッチオフ時のカーソルの位置に基づいてディスプレイ6の画面のオフセットを取得する。続けて、シングルタッチでタッチパネル3上で矢印34のように移動操作を行うと、演算部43はオフセットを付加した絶対座標データをコンピュータ2に出力するので、カーソルはディスプレイ6の画面内を矢印34aのように移動する。このように、マルチタッチで移動操作があった場合、つまり検出部42がマルチタッチを検出した場合には、演算部43は相対座標データをコンピュータ2に出力し、マルチタッチのタッチオフ時のカーソルの位置に基づいてシングルタッチで利用するオフセットを決定するので、1つのタッチパネル3で複数の画面を操作することができる。
【0025】
尚、タッチオフ時のカーソルの位置がディスプレイ5の画面に含まれる場合には、演算部43はオフセットをクリアするので、その後のシングルタッチ操作では、演算部43はオフセット無しの絶対座標データをコンピュータ2に出力する。
【0026】
図6はタッチパネルドライバ28で実行する処理を示すフローチャートである。本処理は、タッチパネルドライバ28を起動するCPU21によって実現される。
【0027】
タッチパネルドライバ28は、起動時に各ディスプレイの画面番号、画面サイズ及び画面の基準点を示す画面情報をOS27から取得し(S1)、画面情報をタッチパネルコントローラ4に送信する(S2)。
【0028】
タッチパネルドライバ28は、ディスプレイの配置の変更、追加又は削除などにより画面の設定に変更があるか否かを判別する(S3)。画面の設定に変更がある場合には(S3でYES)、手順はS1に戻り、タッチパネルドライバ28は画面情報を再取得する。一方、画面の設定に変更がない場合には(S3でNO)、タッチパネルドライバ28はタッチパネルコントローラ4から受信したデータが座標データを含むか否かを判別する(S4)。タッチパネルコントローラ4から受信したデータが座標データを含まない場合には(S4でNO)、手順はS3に戻る。
【0029】
タッチパネルコントローラ4から受信したデータが座標データを含む場合には(S4でYES)、タッチパネルドライバ28はタッチパネルコントローラ4から受信したデータがタッチオフを示すタッチオフデータを含むか否かを判別する(S5)。タッチパネルコントローラ4から受信したデータがタッチオフデータを含む場合には(S5でYES)、タッチパネルドライバ28は、タッチオフ時にカーソルが含まれる画面の画面番号をタッチパネルコントローラ4に通知し(S6)、座標データをOS27に通知する(S7)。S7の後、手順はS3に戻る。タッチパネルコントローラ4から受信したデータがタッチオフデータを含まない場合には(S5でNO)、タッチ継続中であるため座標データをOS27に通知する(S7)。その後、手順はS3に戻る。
【0030】
図7はタッチパネルコントローラ4で実行する処理を示すフローチャートであり、
図8はタッチパネルコントローラ4で実行する割り込み処理を示すフローチャートである。
図8の割り込み処理は、タッチオフ時にカーソルが含まれる画面の画面番号がタッチパネルドライバ28から通知されたときに実行される(
図6のS6参照)。
【0031】
図7では、検出部42がタッチ検出があったか否かを判別する(S11)。タッチ検出があった場合には(S11でYES)、演算部43は検出されたタッチ位置の座標を測定し(S12)、座標データを作成する(S13)。尚、マルチタッチの場合は、複数のタッチ位置の中点の座標データが作成される。
【0032】
検出部42はシングルタッチが検出されたか否かを判別する(S14)。マルチタッチが検出された場合には(S14でNO)、演算部43は複数のタッチ位置の中点の絶対座標データを算出し、算出した絶対座標データと前回の絶対座標データとの差分から相対座標データを算出し(S17)、当該相対座標データをコンピュータ2に出力する(S18)。
【0033】
シングルタッチが検出された場合には(S14でYES)、演算部43はオフセットが設定されているか否かを判別する(S15)。オフセットが設定されている場合には(S15でYES)、演算部43はオフセットをシングルタッチに対応する絶対座標データに付加し(S16)、オフセットを付加した絶対座標データをコンピュータ2に出力する(S18)。オフセットが設定されていない場合には(S15でNO)、演算部43はシングルタッチに対応する絶対座標データをコンピュータ2に出力する(S18)。
【0034】
タッチ検出がなかった場合には(S11でNO)、検出部42がマルチタッチの前回タッチオンの検出があったか否かを判別する(S19)。S19では、マルチタッチのタッチオフ直後であるか否かを判別している。前回タッチオンの検出があった場合には(S19でYES)、演算部43はタッチオフ時の絶対座標データ及びタッチオフデータをコンピュータ2に出力する(S18)。前回タッチオンの検出がなかった場合には(S19でNO)、タッチパネル3上で操作が行われていないので、本処理を終了する。
【0035】
図8では、演算部43は、マルチタッチのタッチオフ時にカーソルが含まれる画面の画面番号をタッチパネルドライバ28から取得する(S20)。演算部43は、取得した画面番号がディスプレイ5の画面番号と同一であるか否かを判別する(S21)。取得した画面番号との比較対象は、絶対座標データの基準として設定されている画面の画面番号であり、本実施の形態ではディスプレイ5の画面番号であるが、これに限定されるものではない。
【0036】
取得した画面番号がディスプレイ5の画面番号と同一である場合には(S21でYES)、演算部43はオフセットをクリアし(S22)、本割り込み処理を終了する。一方、取得した画面番号がディスプレイ5の画面番号と異なる場合には(S21でNO)、演算部43は取得した画面番号に対応するオフセットを設定し(S23)、本割り込み処理を終了する。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、マルチタッチを検出した場合には、演算部43は相対座標データをコンピュータ2に出力し、マルチタッチのタッチオフ時のカーソルの位置に基づいてシングルタッチで利用するオフセットを決定するので、マルチタッチによりカーソルを絶対座標データの基準として設定されている画面から他の画面に移動させて、シングルタッチで当該他の画面上でカーソルを操作することができる。従って、1つのタッチパネル3で複数の画面を操作することができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、マルチタッチのタッチオフ時にカーソルが含まれる画面に従って操作画面が切り替えられていたが、第2の実施の形態では、マルチタッチで連続タッチを行うことで操作画面を切り替える。第2の実施の形態に係るシステムの構成は、第1の実施の形態に係るシステムの構成と同様である。
【0039】
図9はタッチパネル3上の操作と操作画面の移動との関係を示す図である。
【0040】
図9に示すように、マルチタッチでタッチパネル3上でダブルクリックのような連続タッチを行うと、操作画面が切り替えられる。初期状態の操作画面がディスプレイ5の画面であるとする。例えば、タッチパネル3上で連続タッチ51を行うと、操作画面がディスプレイ5の画面からディスプレイ6の画面に切り替わる。次いで、タッチパネル3上で連続タッチ52を行うと、操作画面がディスプレイ6の画面からディスプレイ7の画面に切り替わる。さらに、タッチパネル3上で連続タッチ53を行うと、操作画面がディスプレイ7の画面からディスプレイ5の画面に切り替わる。つまり、マルチタッチの連続タッチの回数に応じて操作画面の切り替えが行われ、操作画面がディスプレイ7の画面まで切り替わると再びディスプレイ5の画面に戻る。連続タッチのタッチオフ時には、演算部43は対応する画面のオフセットを取得する。但し、操作画面がディスプレイ5の画面になった場合には、演算部43はオフセットをクリアする。
【0041】
操作画面がディスプレイ6又は7の画面になり且つシングルタッチで操作が行われた場合には、演算部43は、対応するオフセットを付加した、シングルタッチの操作に対応する絶対座標データをコンピュータ2に出力する。
【0042】
上記の例では、マルチタッチの連続タッチの回数に応じて操作画面の切り替えが行われているが、マルチタッチを検出する度に、すなわちマルチタッチの回数に応じて操作画面の切り替えが行われてもよい。
【0043】
図10はタッチパネルコントローラ4で実行する処理を示すフローチャートである。
【0044】
検出部42はタッチ検出があったか否かを判別する(S31)。タッチ検出があった場合には(S31でYES)、演算部43は検出されたタッチ位置の座標を測定し(S32)、座標データを作成する(S33)。尚、マルチタッチの場合は、複数のタッチ位置の中点の座標データが作成される。
【0045】
検出部42はシングルタッチが検出されたか否かを判別する(S34)。マルチタッチが検出された場合には(S34でNO)、演算部43は画面切り替え用のフラグを設定する(S35)。一方、シングルタッチが検出された場合には(S34でYES)、演算部43は画面切り替え用のフラグをクリアする(S36)。次いで、演算部43はオフセットが設定されているか否かを判別する(S37)。オフセットが設定されている場合には(S37でYES)、演算部43はオフセットを絶対座標データに付加し(S38)、オフセットを付加した絶対座標データをコンピュータ2に出力する(S39)。オフセットが設定されていない場合には(S37でNO)、演算部43はオフセット無しの絶対座標データをコンピュータ2に出力する(S39)。
【0046】
タッチ検出がなかった場合には(S31でNO)、検出部42は前回タッチオンの検出があったか否かを判別する(S40)。S40では、タッチオフ直後であるか否かを判別している。前回タッチオンの検出があった場合には(S40でYES)、演算部43は画面切り替え用のフラグが設定されているか否かを判別する(S41)。画面切り替え用のフラグが設定されている場合には(S41でYES)、演算部43はマルチタッチの連続タッチの回数が0回又は画面数と一致するか否かを判別する(S42)。S42では、マルチタッチの連続タッチの回数に応じて操作画面の切り替えを行うか否かを判定している。
【0047】
マルチタッチの連続タッチの回数が0回又は画面数と一致する場合には(S42でYES)、操作画面がディスプレイ5の画面になるため、演算部43はオフセットをクリアし(S43)、演算部43はタッチオフ時の絶対座標データ及びタッチオフデータをコンピュータ2に出力する(S39)。
【0048】
マルチタッチの連続タッチの回数が0回又は画面数と一致しない場合には(S42でNO)、操作画面がディスプレイ6又は7の画面になるため、演算部43はオフセットをインクリメントする(S44)。ここでは、操作画面がディスプレイ5又は6の画面からディスプレイ6又は7の画面に移行するため、オフセットを対応する画面のオフセット値に変更している。その後、演算部43はタッチオフ時の絶対座標データ及びタッチオフデータをコンピュータ2に出力する(S39)。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態によれば、マルチタッチの回数に基づいてシングルタッチで利用するオフセットを決定するので、マルチタッチの回数に基づいて操作画面を切り替えることができる。
【0050】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 システム
2 コンピュータ
3 タッチパネル
4 タッチパネルコントローラ
5~7 ディスプレイ
41 パネル制御部
42 検出部
43 演算部
44 保存部