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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電気車制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/60 20190101AFI20220913BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220913BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220913BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B60L50/60
B60L3/00 C
H02J7/00 S
H02J7/34 F
H02J7/00 P
H02J7/34 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018077743
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019187157
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智洋
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友由
(72)【発明者】
【氏名】河野 真也
(72)【発明者】
【氏名】上村 悠介
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-014489(JP,A)
【文献】特開2003-018702(JP,A)
【文献】特開2009-072003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
H02J 7/00- 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源に電気的に接続される外部接続部と、高電圧側端子と低電圧側端子とを備えた一又は複数相の双方向チョッパ回路と、蓄電池の主回路が前記低電圧側端子と接続される蓄電池装置と前記蓄電池装置の前記主回路と前記低電圧側端子とを電気的に接続する経路に設けられた第2接触器と、前記高電圧側端子に並列に接続したフィルタコンデンサと、前記フィルタコンデンサの電圧を検出する第1電圧検出器と、前記蓄電池の電圧を検出する第2電圧検出器と、を備えた蓄電池システムと、
前記外部電源および前記蓄電池システムに電気的に接続され得る電力変換装置と、
前記第1電圧検出器から取得した前記フィルタコンデンサの電圧値が、前記第2電圧検出器から取得した前記蓄電池の電圧値よりも低くなったときに、前記第2接触器を開いた状態とする制御回路と、を備えた電気車制御システム
【請求項2】
前記蓄電池システムは、補助電源装置と電気的に接続される第2外部接続部と、前記高電圧側端子と前記外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第3接触器と、前記高電圧側端子と前記第2外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第4接触器と、を更に備え、
前記制御回路は、前記第1電圧検出器および前記第2電圧検出器にて検出された電圧の値に基づいて、前記第3接触器および前記第4接触器の動作を制御可能である、請求項1記載の電気車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池システムおよび電気車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内に搭載されている電気車制御システムは、高電圧配線を介して車両外のパンタグラフまたはサードレールと接続され、直流電力が電気車制御システムの電力変換装置に供給される。電力変換装置は、供給された直流電力を車両走行に利用可能な交流電力に変換し、交流電力により主電動機を駆動して車両を走行させる。
【0003】
近年、電源として蓄電池を有する電力変換装置の提案がなされている。例えば車両走行時の回生運転中においては、変電所に返しきれない回生電力を蓄電池へ充電して、必要なタイミングで蓄電池に蓄えられたエネルギーを利用することにより、エネルギー利用効率を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-187280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電池がチョッパ回路を介して外部電源からの電源供給ラインと電気的に接続されているときに、蓄電池の電圧が外部電源の電圧より高くなると、チョッパ回路のフライホイールダイオードを介して蓄電池から外部電源へ電力が流れ込んでしまう。このように外部電源へ流れる電力は、蓄電池に蓄えられたエネルギーの利用に際して意図されたものではなく、蓄電池に蓄えられたエネルギーを本来意図していたように車両内で利用することができなくなる可能性があった。また、制御されない電力がチョッパ回路や外部電源に供給されることにより、チョッパ回路や外部電源などの不具合の原因となる可能性があった。
【0006】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、蓄電池システムに蓄えられたエネルギーを効率よく車両内で利用可能とする、蓄電池システムおよび電気車制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による電気車制御システムは、外部接続部と、高電圧側端子と低電圧側端子とを備えた一又は複数相の双方向チョッパ回路と、蓄電池の主回路が前記低電圧側端子と接続される蓄電池装置と前記蓄電池装置の前記主回路と前記低電圧側端子とを電気的に接続する経路に設けられた第2接触器と、前記高電圧側端子に並列に接続したフィルタコンデンサと、前記フィルタコンデンサの電圧を検出する第1電圧検出器と、前記蓄電池の電圧を検出する第2電圧検出器と、を備えた蓄電池システムと、前記外部電源および前記蓄電池システムに電気的に接続され得る電力変換装置と、前記第1電圧検出器から取得した前記フィルタコンデンサの電圧値が、前記第2電圧検出器から取得した前記蓄電池の電圧値よりも低くなったときに、前記第2接触器を開いた状態とする制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、一実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの他の構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、複数の実施形態に共通する構成については同じ符号を付して重複する説明は省略する。また、以下の複数の実施形態は組み合わせることが可能であり、複数の実施形態にて説明する蓄電池システムおよび電気車制御システムのそれぞれは、他の実施形態にて説明した構成を備えていても構わない。
【0010】
図1は、一実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電気車制御システムは、蓄電池システムBTと、遮断器108と、接触器109と、電力変換装置110と、制御装置1000と、を備えている。なお、遮断器108と接触器109とは、常開型である。
【0011】
電源100は、電気車制御システムの外部に設けられ、例えば高電圧配線を介して接続されるパンタグラフやサードレールなどを含み得る。
電力変換装置110は、接触器109および遮断器108を介して電源100と電気的に接続可能であり、接触器109を介して蓄電池システムBTの外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0012】
本実施形態の電気車制御システムにおいて、蓄電池システムBTと電源100とは、電力変換装置110に対して並列に接続している。換言すると、電力変換装置110は、遮断器108の後段(電気車制御システム側)において、電源100に対して蓄電池システムBTと並列に接続される。
【0013】
接触器109は、遮断器108の後段(電気車制御システム側)において、電源100と電力変換装置110とを電気的に接続する経路に設けられている。接触器109は、制御装置1000により動作を制御される。
【0014】
遮断器108は、電源100と電気車制御システムとの間を接続する経路に設けられ、電源100との間の電気的接続を切替える。遮断器108は、制御装置1000により動作を制御される。
【0015】
電力変換装置110は、電源100及び/又は蓄電池システムBTから供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、主電動機(図示せず)を駆動して車両を走行させることができる。また、電力変換装置110は、主電動機(図示せず)から供給される回生電力を所定の直流電力に変換し、電源100及び/又は蓄電池システムBTへ供給可能に構成されている。
【0016】
本実施形態の蓄電池システムBTは、接触器102、105と、電圧検出器103、106と、フィルタコンデンサ104と、チョッパ回路107と、蓄電池装置101と、外部接続部CN1と、を備えている。なお、本実施形態の蓄電池装置101は、例えば、公称電圧が約600[V]であり、接触器102、105は、常開型であり、制御装置1000により開閉動作を制御される。
【0017】
チョッパ回路(双方向チョッパ回路)107は、蓄電池装置101から供給される直流電圧を昇圧して電源100および電力変換装置110側へ出力可能であり、電源100および/又は電力変換装置110から供給される直流電圧を降圧して蓄電池装置101側へ出力可能な、双方向のDC/DCコンバータである。
【0018】
チョッパ回路107は、例えば、高電圧側端子TAと、低電圧側端子TBと、直列に接続した一対のスイッチング素子を各相に備えたn相(nは1以上の整数)の回路である。一対のスイッチング素子の間は、抵抗器を介して低電圧側端子TBと電気的に接続している。一対のスイッチング素子の一端は高電圧側端子TAと電気的に接続し、一対のスイッチング素子の他端は接地されている。
【0019】
また、チョッパ回路107は、一対のスイッチング素子のそれぞれに並列に接続したフライホイールダイオードを備えている。フライホイールダイオードは、低電位側端子TB(蓄電池装置101側)から高電位側端子TA(電源100側)へ向かう方向が順方向となるようにスイッチング素子に接続されている。
【0020】
チョッパ回路107の低電圧側端子TBは、接触器(第2接触器)105を介して蓄電池装置101の主回路と電気的に接続可能である。チョッパ回路107の高電圧側端子TAは、接触器(第1接触器)102を介して外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0021】
フィルタコンデンサ104の一端は、チョッパ回路107の高電圧側端子TAと電気的に接続している。フィルタコンデンサ104の他端は接地されている。すなわち、フィルタコンデンサ104は、チョッパ回路107の高圧側において、チョッパ回路107の一対のスイッチング素子と並列に接続している。
電圧検出器103は、フィルタコンデンサ104と並列に接続し、フィルタコンデンサ104の電圧を検出する。
【0022】
蓄電池装置101は、蓄電池と、蓄電池と主回路との電気的接続状態を切替え可能な遮断器と、電池制御部と、を備えている。遮断器は、例えば電気的に開閉を制御可能であり、電池制御部により動作を制御される。
【0023】
蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第2接触器)105を介してチョッパ回路107と電気的に接続可能である蓄電池装置101の低電位側の主回路接地されている。
【0024】
電池制御部は、例えば、蓄電池に含まれる複数の電池セルの電圧や蓄電池の温度を検出し、電池セルの電圧や蓄電池の充放電電流の値に基づいて、蓄電池のSOC(state of charge)を演算することができる。また、電池制御部は、外部と通信可能に構成され、蓄電池の情報(SOCなど)を外部へ出力可能であるとともに、制御装置1000からの制御指令に基づいて遮断器の動作など蓄電池装置101を制御することができる。
電圧検出器106は、蓄電池装置101の蓄電池と並列に接続し、蓄電池の電圧を検出する。
【0025】
制御装置1000は、車両に含まれる構成が協調して動作するように、車両に含まれる構成を制御可能である。制御装置1000に含まれる制御ブロックは、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。制御装置1000は、例えば、MPU(micro processing unit)やCPU(central processing unit)などのプロセッサを1つ以上と、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えていてもよい。
【0026】
制御装置1000は、フィルタコンデンサ電圧取得部1001と、蓄電池電圧取得部1002と、電圧比較部1003と、接触器オフ指令部1004と、を備えている。
フィルタコンデンサ電圧取得部1001は、電圧検出器103で検出されたフィルタコンデンサ104の電圧の値を周期的に取得する。フィルタコンデンサ電圧取得部1001は、取得した電圧値を電圧比較部1003へ送信する。なお、接触器102が閉じて蓄電池システムBTが電源100と接続されているとき、フィルタコンデンサ104の電圧値は、電源100の電圧値に相当する値である。
【0027】
蓄電池電圧取得部1002は、電圧検出器106で検出された蓄電池の電圧の値を周期的に取得する。蓄電池電圧取得部1002は、取得した電圧値を電圧比較部1003へ送信する。なお、蓄電池電圧取得部1002とフィルタコンデンサ電圧取得部1001とが値を取得するタイミングは同期していることが望ましく、例えば共通のクロック信号に基づくタイミングにおいて電圧値を取得する。
【0028】
電圧比較部1003は、フィルタコンデンサ電圧取得部1001からフィルタコンデンサの電圧値を受信し、蓄電池電圧取得部1002から蓄電池の電圧値を受信し、蓄電池電圧値がフィルタコンデンサ電圧値よりも大きいか否か判断する。蓄電池電圧値がフィルタコンデンサ電圧値よりも大きいときに、電圧比較部1003は第1レベルの信号(例えば1)を出力し、蓄電池電圧値がフィルタコンデンサ電圧値以下のときに、電圧比較部1003は第2レベルの信号(例えばゼロ)を出力する。
【0029】
接触器オフ指令部1004は、電圧比較部1003から出力された信号を受信し、受信した信号の値が第1レベルのときに接触器105を開く(オフする)。なお、接触器オフ指令部1004は、接触器105がオフされているときに、電圧比較部1003から第2レベルの信号を受信したときには、接触器105を閉じてもよい。また、接触器オフ指令部1004は、接触器105を開くときに、接触器102を開いてもよい。
【0030】
なお、本実施形態では、制御装置1000は、通常走行時において、電源100から供給される電力のみで車両を走行させることができる。電源100からの電力のみによる通常走行時は、例えば、制御装置1000は、遮断器108および接触器109が閉じた状態とし、接触器102、105が開いた状態とする。
【0031】
また、制御装置1000は、通常走行時において、電源100から供給される電力と、蓄電池システムBTから供給される電力とを利用して車両を走行(力行運転および回生運転)させることができる。このとき、例えば、制御装置1000は、遮断器108および接触器109、102、105が閉じた状態とする。
【0032】
また、制御装置1000は、蓄電池システムBTから供給される電力のみで車両を走行させることができる。このとき、例えば、制御装置1000は、接触器102、105、109を閉じた状態とする。なお、このとき、制御装置1000は、遮断器108を開いた状態とし、電源100からの電力供給を再開するとうに切り換えるときに遮断器108を閉じてもよい。
【0033】
次に、本実施形態の蓄電池システムBTおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。ここでは、蓄電池システムBTを電源100と接続している際に、電源100の電圧(フィルタコンデンサ104の電圧)が蓄電池の電圧よりも低くなったときの、電気車制御システムの動作の一例について説明する。なおこの例では、遮断器108および接触器102、105、109は閉じた状態である。
【0034】
フィルタコンデンサ電圧取得部1001は、電圧検出器103で検出されたフィルタコンデンサ104の電圧の値を周期的に取得し、電圧比較部1003へ送信する。
蓄電池電圧取得部1002は、電圧検出器106で検出された蓄電池の電圧の値を周期的に取得し、電圧比較部1003へ送信する。
【0035】
電圧比較部1003は、フィルタコンデンサ104の電圧値と蓄電池の電圧値とを受信し、これらの値を比較する。蓄電池の電圧値がフィルタコンデンサの電圧値よりも大きいと判断したとき、第1レベルの信号を出力し、蓄電池の電圧値がフィルタコンデンサの電圧値以下であると判断したとき、第2レベルの信号を出力する。
【0036】
接触器オフ指令部1004は、電圧比較部1003から第1レベルの信号を受信したときに、接触器105を開く(オフする)。なお、接触器オフ指令部1004は、接触器105がオフされているときに、電圧比較部1003から第2レベルの信号を受信したときには、接触器105を閉じてもよい。また、接触器オフ指令部1004は、接触器105を開くときに、接触器102も開いてもよい。
【0037】
何らかの理由により電源100の電圧(フィルタコンデンサ104の電圧に相当)が蓄電池の電圧よりも低くなったときに、蓄電池と電源100とが電気的に接続されている状態であると、チョッパ回路107のダイオードを介して、蓄電池から電源100に向かう方向へ、制御されない電力が流れる。このような電力が蓄電池システムBTから出力されると、蓄電池に蓄えられたエネルギーが意図しない用途に用いられることとなり、本来想定していた用途に用いるときには蓄電池に十分な容量がなくなっていることが生じ得る。したがって、蓄電池に蓄えられたエネルギーを車両内で効率よく利用することができない可能性があった。また、制御されない電流がチョッパ回路107や電源100へ流れることとなり、チョッパ回路107や電源100の不具合の原因となる可能性があった。
【0038】
本実施形態の蓄電池システムBTおよび電気車制御システムでは、フィルタコンデンサ104の電圧値と蓄電池の電圧値とを監視し、蓄電池の電圧値がフィルタコンデンサ104の電圧値よりも大きくなったときに、接触器105をオフすることで、蓄電池装置101とチョッパ回路107とを電気的に切り離し、制御されない電力が蓄電池装置101から電源100に流れ込むことを回避している。このことにより、本実施形態によれば、蓄電池システムBTに蓄えられたエネルギーを効率よく車両内で利用可能とする、蓄電池システムおよび電気車制御システムを提供することができる。
【0039】
次に、一実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの変形例について説明する。なお以下の説明において、上述の実施形態にて説明した蓄電池システムおよび電気車制御システムと同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図2は、一実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの他の構成例を概略的に示す図である。この電気車制御システムの例では、蓄電池システムBTの構成と、補助電源装置114を備える点が上述の例と異なっている。
【0041】
本実施形態の蓄電池システムBTは、接触器102、105、109、111、113、115と、抵抗器112と、電圧検出器103、106と、フィルタコンデンサ104と、チョッパ回路107と、蓄電池装置101と、を備えている。なお、本実施形態の蓄電池装置101は、例えば、公称電圧が約600[V]であり、接触器102、105、109、111、113、115は、常開型であり、制御装置1000により開閉動作を制御される。
【0042】
チョッパ回路(双方向チョッパ回路)107は、蓄電池装置101から供給される直流電圧を昇圧して電源100および電力変換装置110側へ出力可能であり、電源100および/又は電力変換装置110から供給される直流電圧を降圧して蓄電池装置101側へ出力可能な、双方向のDC/DCコンバータである。
【0043】
チョッパ回路107は、例えば、高電圧側端子TAと、低電圧側端子TBと、直列に接続した一対のスイッチング素子を各相に備えたn相(nは1以上の整数)の回路である。一対のスイッチング素子の間は、抵抗器を介して低電圧側端子TBと電気的に接続している。一対のスイッチング素子の一端は高電圧側端子TAと電気的に接続し、一対のスイッチング素子の他端は接地されている。
【0044】
また、チョッパ回路107は、一対のスイッチング素子のそれぞれに並列に接続したフライホイールダイオードを備えている。フライホイールダイオードは、低電位側端子TB(蓄電池装置101側)から高電位側端子TA(電源100側)へ向かう方向が順方向となるようにスイッチング素子に接続されている。
【0045】
チョッパ回路107の低電圧側端子TBは、接触器105を介して蓄電池装置101の主回路と電気的に接続可能である。チョッパ回路107の高電圧側端子TAは、接触器102を介して外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0046】
フィルタコンデンサ104の一端は、チョッパ回路107の高電圧側端子TAと電気的に接続している。フィルタコンデンサ104の他端は接地されている。すなわち、フィルタコンデンサ104は、チョッパ回路107の高圧側において、チョッパ回路107の一対のスイッチング素子と並列に接続している。
【0047】
電圧検出器103は、フィルタコンデンサ104と並列に接続し、フィルタコンデンサ104の電圧を検出する。
【0048】
蓄電池装置101は、蓄電池と、蓄電池と主回路との電気的接続状態を切替え可能な遮断器と、電池制御部と、を備えている。遮断器は、例えば電気的に開閉を制御可能であり、電池制御部により動作を制御される。
【0049】
蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器105を介してチョッパ回路107と電気的に接続可能である。また、蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第3接触器)115を介して外部接続部CN1と電気的に接続可能である。また、蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第4接触器)113を介して第2外部接続部CN2と電気的に接続可能である。蓄電池装置101の低電位側の主回路は接地されている。
【0050】
電池制御部は、例えば、蓄電池に含まれる複数の電池セルの電圧や蓄電池の温度を検出し、電池セルの電圧や蓄電池の充放電電流の値に基づいて、蓄電池のSOC(state of charge)を演算することができる。また、電池制御部は、外部と通信可能に構成され、蓄電池の情報(SOCなど)を外部へ出力可能であるとともに、制御装置1000からの制御指令に基づいて遮断器の動作など蓄電池装置101を制御することができる。
【0051】
電圧検出器106は、蓄電池装置101の蓄電池と並列に接続し、蓄電池の電圧を検出する。
【0052】
接触器111および抵抗器112は、接触器102と並列に接続している。接触器111と抵抗器112とは、互いに直列に接続している。したがって、チョッパ回路107の高電圧側端子TAは、接触器102を介する経路と、接触器111および抵抗器112を介する経路とにより外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0053】
補助電源装置114は、例えばSIV(static inverter)であり、電源100または蓄電池装置101から供給された直流電力を交流電力に変換し、車両の照明機器、空調機器、制御機器、メータなどを作動させる電源を供給することができる。
【0054】
図2に示す電池システムBTおよび電気車制御システムは、上記以外の構成は図1に示す電池システムBTおよび電気車制御システムと同様である。
【0055】
例えば、制御装置1000は、接触器115を投入して、チョッパ回路107を介さずに蓄電池装置101と外部接続部CN1とを接続することができる。さらに、制御装置1000は、接触器113を投入することにより、蓄電池装置101から補助電源装置114へ電源を供給することが可能である。したがって、例えば電源100の電圧が低下し続け、電源100からの電力供給が停止したとき、蓄電池装置101から供給される電力により車両を駆動させることが可能となる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100…電源、101…蓄電池装置、102…接触器(第1接触器)、103…電圧検出器(第1電圧検出器)、104…フィルタコンデンサ、105…接触器(第2接触器)、106…電圧検出器(第2電圧検出器)、107…チョッパ回路(双方向チョッパ回路)、108…遮断器、109…接触器、110…電力変換装置、111…接触器、112…抵抗器、113…接触器(第4接触器)、114…補助電源装置、115…接触器(第3接触器)、1000…制御装置、1001…フィルタコンデンサ電圧取得部、1002…蓄電池電圧取得部、1003…電圧比較部、1004…接触器オフ指令部、CN1…外部接続部、CN2…第2外部接続部
図1
図2