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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】収容物残量検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20220913BHJP
   A01K 5/01 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G01F23/263
A01K5/01 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018117017
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019219279
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】大森 清
(72)【発明者】
【氏名】小畑 泰敏
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-168162(JP,A)
【文献】特開2003-092922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00-23/2965
A01F 25/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された収容物の残量を検知する収容物残量検知装置であって、
軸柱と、
前記軸柱の中途または一端側に取り付けられた支持環と、
前記支持環より前記軸柱の他端側で、当該軸柱に摺動可能に嵌装された摺動環と、
前記支持環に自身の基端が回動自在かつ放射状に取り付けられた複数の親骨と、
それぞれの前記親骨の中途または他端と前記摺動環との間に、双方と回動可能に介装された複数の支骨と、
前記軸柱、前記支持環、前記摺動環、前記親骨及び前記支骨のいずれかに配され、前記収容物の存在を検知する1つまたは複数の物体検知手段と、
前記親骨の先端から所定幅の領域に取り付けられて前記親骨を環状に繋ぐ環状帯と、
を備え
前記親骨を傘状に広げ、前記容器の内壁に前記親骨の先端が前記環状帯を介して間接的に接する状態で前記容器内に設置されることを特徴とする収容物残量検知装置。
【請求項2】
前記環状帯が、弾性体からなることを特徴とする請求項に記載の収容物残量検知装置。
【請求項3】
前記支持環が、前記軸柱に摺動可能に嵌装されており、かつ、前記軸柱に対する位置を固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の収容物残量検知装置。
【請求項4】
前記支持環における、前記軸柱の一端側及び他端側のいずれか一方もしくは双方に、円錐台状またはドーム状のキャップを設けたことを特徴とする請求項1に記載の収容物残量検知装置。
【請求項5】
前記摺動環における、前記軸柱の一端側及び他端側のいずれか一方もしくは双方に、円錐台状またはドーム状のキャップを設けたことを特徴とする請求項1に記載の収容物残量検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば飼料などの粉粒体を収容物として収容する容器に装着して、収容物の残量を検知する収容物残量検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、牛や馬等の家畜の飼料を収容するタンク(サイロ)内の飼料の残量を自動的に検知することが望まれている。飼料の残量をリアルタイムで検知することで、飼料の補充をタイミングよく実施することができ、経済的にも労力的にも効率的となる。特に牧場地帯などでは、飼料を運搬するのに時間と手間と燃料とがかかるため、適切なタイミングで飼料補充ができないと極めて非効率となる。また、家畜の数や種類、季節変動等の各種要因により、飼料の消費量も変動するため、消費量予測を立てるよりも、実際の飼料の残量をリアルタイムで確認できることが重要となる。
【0003】
特許文献1には、粉体の収容領域に水平に設置され、接触によって粉体の有無を検出する棒状の静電容量式センサーであり、接地電極、当該接地電極の先端に突出した絶縁体及び当該絶縁体の先端に突出した検出電極を備えた粉体センサーが開示されている。しかし、タンク内の飼料は、特許文献1の図4に示されるように底部中央から取り出される場合が多く、中央部の飼料から逆円錐状に減り、壁面近傍の飼料が残り易い傾向がある。そのため、壁面近傍に残った飼料をセンサーが誤検知してしまい、検知された残量が実際の残量より大きい値になってしまうおそれがある。
【0004】
また、特許文献1に記載の技術では、既存のタンクに対して適用しようとする場合、壁面に孔を開けなければならず、タンク強度の面や加工の困難性の点でハードルが高い。
以上、家畜の飼料を収容するタンクを例に挙げて説明したが、その他各種粉粒体を収容物として収容する容器においても、当該粉粒体の残量を知りたい場合が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-275086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、特に既存の容器に対して、壁面への加工を伴わずに簡単に設置できるにもかかわらず、容器に収容された収容物の残量をより精度高く検知することができる収容物残量検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の収容物残量検知装置は、容器に収容された収容物の残量を検知する収容物残量検知装置であって、軸柱と、前記軸柱の中途または一端側に取り付けられた支持環と、前記支持環より前記軸柱の他端側で、当該軸柱に摺動可能に嵌装された摺動環と、前記支持環に自身の基端が回動自在かつ放射状に取り付けられた複数の親骨と、それぞれの前記親骨の中途または他端と前記摺動環との間に、双方と回動可能に介装された複数の支骨と、前記軸柱、前記支持環、前記摺動環、前記親骨及び前記支骨のいずれかに配され、前記収容物の存在を検知する1つまたは複数の物体検知手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の収容物残量検知装置においては、前記親骨の先端から所定幅の領域に取り付けられて前記親骨を環状に繋ぐ環状帯を備えることが好ましい。
その場合に、前記環状帯としては、弾性体からなることが好ましい。
【0009】
また、本発明の収容物残量検知装置においては、前記支持環が、前記軸柱に摺動可能に嵌装されており、かつ、前記軸柱に対する位置を固定する固定手段を有することが好ましい。
【0010】
一方、本発明の収容物残量検知装置においては、前記支持環における、前記軸柱の一端側及び他端側のいずれか一方もしくは双方に、円錐台状またはドーム状のキャップを設けることが好ましい。
【0011】
同様に、本発明の収容物残量検知装置においては、前記摺動環における、前記軸柱の一端側及び他端側のいずれか一方もしくは双方に、円錐台状またはドーム状のキャップを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、既存の様々な大きさ、形状の容器に対し、簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の収容物残量検知装置の一例である第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置をサイロ内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。
図2】第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置の斜視図である。
図3】第1の実施形において用いたセンサの分解斜視図である。
図4】支持環の上面側にキャップを設けた状態を示す拡大斜視図である。
図5】支持環を固定する固定手段の一例を示す斜視図である。
図6】支持環を固定する固定手段の他の一例を示す斜視図である。
図7】第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置を、サイロよりも細めのサイロ内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。
図8】第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置の親骨を窄めた状態の斜視図である。
図9】本発明の収容物残量検知装置の一例である第2の実施形態にかかる飼料残量検知装置をサイロ内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。
図10】第2の実施形態にかかる飼料残量検知装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の収容物残量検知装置の一例である第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置を、牛や馬等の家畜の飼料を収容するサイロ(容器)1内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。また、図2は、第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置の斜視図である。
【0015】
サイロ1は、上方が円筒形(以下、「上方円筒形部4」という。)で、下方が途中から断面径が漸次窄まってゆく逆円錐台形状(以下、「下方円錐台部5」という。)となっている。サイロ1の下端には、不図示の飼料取出口に通じる出口通路2が設けられ、上端には蓋3が取り付けられている。そして、サイロ1内には、飼料残量検知装置(収容物残量検知装置)10が設置されている。
【0016】
飼料残量検知装置10は、図2に示すように、シャフト(軸柱)11と、支持環12と、摺動環13と、複数の親骨14と、複数の支骨15と、センサ(物体検知手段)16と、環状帯17と、を備える。
支持環12は、シャフト11の下端寄りの位置に固定されている。この支持環12には、4本の親骨14が、自身の基端が回動自在となるように、放射状に取り付けられている。
【0017】
摺動環13は、支持環12よりもシャフト11の上方側で、シャフト11に摺動可能に嵌装されている。
4本の親骨14には、それぞれの中途に支骨15の一端が回動可能に取り付けられている。また、支骨15の他端は、摺動環13に回動可能に取り付けられて、支骨15が4本の親骨14と摺動環13との間に介装されている。
支持環12と親骨14との接続、摺動環13と支骨15との接続、及び、親骨14と支骨15との接続は、それぞれ、回動方向と直角方向の軸に対して双方が軸着することによって、回動可能な構成になっている。
【0018】
図2を見ればわかるように、飼料残量検知装置10は、いわゆる傘の骨組みに類似した構成となっている。即ち、支持環12が傘における上ロクロと、摺動環13が傘における下ロクロとそれぞれ同様の機能を発揮して、摺動環13をシャフト11に対して上下に摺動させることにより、親骨14が放射状に開いたり閉じたりするようになっている。
そして、親骨14を環状に繋ぐ環状帯17が、親骨14の先端から所定幅の領域に取り付けられている。また、3つのセンサ16が、シャフト11に埋め込まれた状態で配されている。このセンサ16は、飼料の存在を検知する機能を有している。
【0019】
摺動環13をシャフト11に対して上方向に動かして、親骨14が閉じた状態にした上で、摺動環13側を上にして、サイロ1の蓋3を開放して生じた開口からサイロ1内に飼料残量検知装置10を挿入する。そして、摺動環13をシャフト11に対して下方向に動かして親骨14を放射状に開き、サイロ1の下方円錐台部5の上方の内壁に環状帯17を当接させた状態とする。この時の摺動環13のシャフト11における位置を固定する何らかの固定手段を設けておくこともできる。
【0020】
シャフト11の上端(一端)には、固定冶具18が取り付けてあり、この固定冶具18を蓋3の裏面に締結することで、飼料残量検知装置10をサイロ1内に固定して、飼料残量検知装置10の設置が完了する。なお、本発明において、固定冶具13は任意構成要素であり、完全には固定しなくても後述する効果は奏される。
【0021】
このように、親骨14を傘状に広げ、サイロ1の内壁に親骨14の先端が、環状帯17を介して間接的に接する状態でサイロ1内に設置するだけで、サイロ1の壁面への加工を施さずに簡単に飼料残量検知装置10を設置することができる。また、飼料残量検知装置10の設置したい高さに応じて、親骨14の広げる程度を調節することができるので、所望の高さに飼料残量検知装置10を設置することができる。さらに、親骨14の広げる程度を調節することで、既存の様々な大きさ、形状の容器に対しても、容易に設置することができる。
【0022】
飼料残量検知装置10の設置後、サイロ1内に飼料を満タンに充填すると、飼料残量検知装置10全体がシャフト11の上端を残して飼料に埋もれた状態となる。そして、不図示の飼料取出口から飼料を取り出すと、サイロ1内の飼料が出口通路2に流れ込んで行く。その分だけ、サイロ1内の飼料が下方に移動して、飼料の上面が下がる。
【0023】
飼料は、取り出した量に応じて、サイロ1の内部で徐々に下降するが、内部に設置された飼料残量検知装置10を避けるように移動する。即ち、サイロ1の中心にはシャフト11が通っており、何も設置されていなければ優先的に下降するサイロ1の中心では、飼料の下降が起こり難い。また、4本の親骨14がサイロ1の内壁まで渡っているため、飼料は、親骨14と環状帯17とで囲まれた4つの孔に分散されて、これを通り抜けるように下降して行く。そのため、粉体は、水平に近い状態で下降して行く。
【0024】
飼料残量検知装置10の箇所を通り抜ける際に水平に近い状態で下降する飼料は、サイロ1に満タン状態に飼料が収容されていても、上面は水平に近い状態で下降する。したがって、飼料残量検知装置10をサイロ1に設置することによって、飼料の上面が平均的に下降して、中央だけ大きく窪むことがなく、水平に近い状態が保たれたまま飼料が減って行く。そのため、シャフト11に配された3つのセンサ16によって、サイロ1に収容された飼料の残量を精度高く検知することができる。
【0025】
また、サイロ1の内壁は、飼料が付着したり積もったりし易い箇所であるが、ここに環状帯17が当接した状態になって、内壁を伝って降下する飼料が環状帯17で一旦内壁から剥がされるため、内壁への飼料の付着や積着を抑制することができる。したがって、飼料がより水平に近い上面を保って減り易くなり、サイロ1に収容された飼料の残量をセンサによってより精度高く検知することができる。
【0026】
シャフト11は、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属製であり、飼料等の収容物によって腐食し難い材料を選択する。その形状は、中空のパイプ状でも中実な柱状でも構わない。また、親骨14及び支骨15もシャフト11と同様の材料を用いるが、その形状としては、断面コの字型(断面C字型)のアングルとすることが、両者間あるいは支持環12や摺動環13との間の接合部の設計が容易となるため好ましい。また、飼料が留まらないように、親骨14や支骨15の上方(後述するように、上下反転して使用する場合には、その際に上方となる側)を断面三角形状あるいは断面ドーム状等、上面に勾配あるいは曲面を設けることも好ましい。
【0027】
環状帯17は、弾性体からなることが好ましい。環状帯17が弾性体からなることで、既存の様々な大きさ、形状のサイロ1の内壁にも追従し易くなる。環状帯17に用いることができる弾性体の具体的な材料としては、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、軟質プラスチック等を挙げることができる。
【0028】
センサ16は、本実施形態では静電容量センサを用いている。本実施形態では、高さ方向に上中下3つのセンサ16を設置しており、センサ16近傍における静電容量の変化を感知することで飼料の有無を検知する。上のセンサ16が飼料を検知していれば、ほぼ満タンであり、下のセンサ16が飼料を検知できなければ、飼料補充のアラートが出るようになっている。
【0029】
図3に、センサ16の分解斜視図を示す。センサ16は、細長い形状の静電容量センサのセンサ基板16aがケース16bにネジ16dでねじ止めされて収容され、その上からカバー16cで覆うことにより、検知面を保護している。全体として極めて細長くなっており、シャフト11に埋め込むことができるようになっている。
なお、センサ16としては、飼料の存在を検知する機能を有するものであれば特に制限はなく、静電容量センサ以外にも、例えば、ひずみセンサを用いることもできる。
【0030】
センサ16で検知した飼料残量の検知信号情報は、例えば、シャフト11に配線を設けて、蓋3側からサイロ1外に導出してもよいし、シャフト11内に別途送信装置を装備して、当該送信装置経由でサイロ1外に送り出しても構わない。そして、例えば、家畜の飼育管理者や飼料配給業者の端末に検知信号情報が送られて、適切な量の飼料を適切なタイミングで補充することができる。また、リアルタイムで飼料の残量が確認できるので、飼料の消費情報の解析に供することもできる。
【0031】
飼料がサイロ1に満タンに収容されると、既述のように飼料残量検知装置10のほぼ全体が飼料に埋もれた状態となる。したがって、支持環12も摺動環13も飼料に埋もれた状態となっている、支持環12及び摺動環13は、上方に水平面を有していることから、満タン状態から飼料が減って、これらが飼料内から現れると、これらの水平面に飼料が積もった状態になる。特に、支持環12は、飼料に奥深く埋まっていることから、飼料が積着し易い。
【0032】
支持環12及び摺動環13の径が十分に小さい場合には、積着する量も僅かであるため無視することができるが、無視できない程度の大きさの場合、あるいは、古い飼料がサイロ1に残ることを極力避けたい場合には、支持環12や摺動環13の上面側に、円錐台状またはドーム状のキャップを設けることが好ましい。
【0033】
図4は、支持環12の上面側に円錐台状のキャップ19aを設けた状態を示す拡大斜視図である。キャップ19aの上面に傾斜があるため、飼料が積もり難くなっている。また、円錐台状のキャップ19aにおける頂部には、シャフト11が貫通しており、平面がほとんど無い飼料が積もり難い形状となっている。
【0034】
このキャップ19aの形状としては、ドーム状であっても構わない。ドーム状とは、一般的な半球状あるいは半長球状(ラグビーボール状)のほか、上方から周面にかけて曲面を含む形状であれば、全てドーム状の概念に含むこととする。
また、本発明においてキャップについて「円錐台状」あるいは「ドーム状」といった場合には、円錐台状あるいはドーム状の底部に連なって円柱(円筒)状の部位が続いている形状も、円錐台状あるいはドーム状を含む形状なので、勿論概念に含まれる。
【0035】
図4では、キャップ19aが支持環12の上面側に設けられているが、下面側にもキャップ19bが設けられている。下面側のキャップ19bはドーム状であり、後述する図6のストッパ19cと同じ形状をしている。下面側のキャップ19bは、後述するように、飼料残量検知装置10を上下反転させて用いる場合に有意義なものとなる。即ち、飼料残量検知装置10が上下反転させてどちらも使用可能な場合には、支持環12の上下両側にキャップ19a,19bを設けておくことが好ましいが、上下方向が決まっている場合には、支持環12の上面側となる側にのみキャップを設けておけばよい。
【0036】
また、摺動環13についても、その上下両側にキャップを設けることができること、一方または両方にキャップを設ける意義、キャップの形状等は支持環12の場合と同様である。
【0037】
支持環12は、シャフト11に対して固定された状態であってもよいが、シャフト11に摺動可能に嵌装され、かつ、シャフト11に対する位置を固定する固定手段を有する構成であってもよい。支持環12の位置を調整できるようにすることで、より多様な形状のサイロにも対応することができる。また、サイロ1に対するシャフト11自体の高さを上下動かすことになるため、シャフト11に埋め込まれたセンサ16の高さを所望の高さに制御することができる。
【0038】
図5に、支持環12を固定する固定手段の一例を斜視図にて示す。図5の例では、固定手段としてのナット20aにより支持環12を固定している。シャフト11側に設けられた不図示の雄ネジ溝にナット20aが螺合することで支持環12がシャフト11に固定される。この場合、上方側から別のナットで締め付け支持環12を挟み込むことで固定してもよいし、ナット20aが支持環12に回転自在に結合された状態としてもよい。
【0039】
また、図6に、支持環12を固定する固定手段の他の一例を斜視図にて示す。図6の例では、キャップの機能を兼ねるドーム型のストッパ19cが支持環12に結合されており、ストッパ19cには、シャフト11と垂直でシャフト11に向かう穿孔が設けられている。一方、シャフト11にも、軸方向に一定間隔で複数個所、ストッパ19cの穿孔と同方向の穿孔20cが設けられている。
【0040】
シャフト11におけるいずれかの穿孔20cとストッパ19cの穿孔の高さを合わせて、両者を連ねてピン20bを貫通させることで、支持環12がシャフト11に固定される。シャフト11に設けられた穿孔20cを選択することで、支持環12のシャフト11における軸方向位置を任意に設定することができる。
【0041】
その他、例えば、支持環12またはそれに接続した部材にシャフト31に向けた雌ネジを設けて、当該雌ネジにビスを螺合させてシャフト31に突き当てる等公知の各種手段を固定手段として使用することができる。これら各種固定手段は、既述の摺動環13の固定手段としても採用することができる。
【0042】
図7は、本実施形態にかかる飼料残量検知装置10を、サイロ1よりも細めのサイロ21内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。また、図8は、図7の状態における飼料残量検知装置の斜視図である。図1では、太めのサイロ1で、親骨14を最大限に近い状態にまで広げて設置しているが、図7では、同じ飼料残量検知装置10を用いて、より細いサイロ21に対しても、親骨14を少し窄めた状態で設置している。
このように、親骨14の広げる程度を調節するだけで、サイロ21のようにより細い容器に対しても、容易に設置することができる。
【0043】
<第2の実施形態>
図9は、本発明の収容物残量検知装置の一例である第2の実施形態にかかる飼料残量検知装置を、サイロ(容器)31内に設置したサイロ内部の状態を示す透視図である。また、図10は、第2の実施形態にかかる飼料残量検知装置の斜視図である。
【0044】
サイロ31は、上方が円筒形(以下、「上方円筒形部34」という。)で、下方が途中から断面径が漸次窄まってゆく逆円錐台形状(以下、「下方円錐台部35」という。)となっている。第1の実施形態におけるサイロ1に比して、上方円筒形部34の高さ方向の割合が少なくなっている。サイロ31の下端には、不図示の飼料取出口に通じる出口通路32が設けられ、上端には蓋33が取り付けられている。そして、サイロ31内には、飼料残量検知装置(収容物残量検知装置)40が設置されている。
【0045】
飼料残量検知装置40は、図10に示すように、シャフト(軸柱)41と、支持環42と、摺動環43と、複数の親骨44と、複数の支骨45と、センサ(物体検知手段)46と、環状帯47と、を備える。
支持環42は、シャフト41の下端寄りの位置に固定されている。この支持環42には、4本の親骨44が、自身の基端が回動自在となるように、放射状に取り付けられている。
【0046】
摺動環43は、支持環42よりもシャフト41のさらに下方側で、シャフト41に摺動可能に嵌装されている。支持環42と摺動環43との上下関係が、第1の実施形態にかかる飼料残量検知装置10とは逆転している。
4本の親骨44には、それぞれの中途に支骨45の一端が回動可能に取り付けられている。また、支骨45の他端は、摺動環43に回動可能に取り付けられて、支骨45が4本の親骨44と摺動環43との間に介装されている。
【0047】
支持環42と親骨44との接続、摺動環43と支骨15との接続、及び、親骨44と支骨45との接続は、第1の実施形態と同様である。そして、図10を見ればわかるように、飼料残量検知装置40は、第1の実施形態と同様、いわゆる傘の骨組みに類似した構成となっている。第1の実施形態は、傘を逆さまにした状態であるが、本実施形態では、傘の使用時と同じ上下関係となっている。
【0048】
そして、親骨44を環状に繋ぐ環状帯47が、親骨44の先端から所定幅の領域に取り付けられている。また、3つのセンサ46が、シャフト41に埋め込まれた状態で配されている。
【0049】
シャフト41、支持環42、摺動環43、親骨44、支骨45、センサ46及び環状帯47の機能、構成、好ましい態様等は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。なお、本実施例においては、支持環42の上面側となる側に、ドーム状のキャップ49が設けられている。当該キャップ49の機能、構成、好ましい態様等も、第1の実施形態と同様である。
【0050】
摺動環43をシャフト41に対して下方向に動かして、親骨44が閉じた状態にした上で、摺動環43側を下にして、サイロ31の蓋33を開放して生じた開口からサイロ31内に飼料残量検知装置30を挿入する。そして、摺動環43をシャフト41に対して上方向に動かして親骨44を放射状に開き、サイロ31の下方円錐台部45の中間よりやや下の内壁に環状帯47を当接させた状態とする。
【0051】
シャフト41上端(他端)の固定冶具48を蓋33の裏面に締結することで、飼料残量検知装置40をサイロ31内に固定して、飼料残量検知装置40の設置が完了する。
このように、親骨44を傘状に広げ、サイロ31の内壁に親骨44の先端が、環状帯47を介して間接的に接する状態でサイロ31内に設置するだけで、サイロ31の壁面への加工を施さずに簡単に飼料残量検知装置40を設置することができる。
【0052】
また、飼料残量検知装置40の設置したい高さに応じて、親骨44の広げる程度を調節することができるので、所望の高さに飼料残量検知装置40を設置することができる。さらに、親骨44の広げる程度を調節することで、既存の様々な大きさ、形状の容器に対しても、容易に設置することができる。
【0053】
そして、第1の実施形態と同様に、飼料残量検知装置40をサイロ31に設置することによって、飼料の上面が平均的に下降して、中央だけ大きく窪むことがなく、水平に近い状態が保たれたまま飼料が減って行く。そのため、シャフト41に配された3つのセンサ46によって、サイロ31に収容された飼料の残量を精度高く検知することができる。
【0054】
また、サイロ31の内壁に環状帯47が当接した状態になって、内壁を伝って降下する飼料が環状帯47で一旦内壁から剥がされるため、内壁への飼料の付着や積着を抑制することができる。したがって、飼料がより水平に近い上面を保って減り易くなり、サイロ31に収容された飼料の残量をセンサによってより精度高く検知することができる。
【0055】
以上、本発明の収容物残量検知装置について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の収容物残量検知装置は上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、親骨14及び支骨15がそれぞれ4本の例を挙げているが、親骨14及び支骨15の本数はこれに限定されるものではなく、少なくとも複数あれば、本発明の効果が期待できる。ただし、これらが2本の場合、姿勢の安定のために固定冶具18,48が必要になる。より姿勢を安定させるためには、親骨14及び支骨15がそれぞれ3本以上であることが望ましい。
【0056】
また、上記実施形態において、容器としては、上方が円筒形で下方が逆円錐台形状のサイロ1,31を例に挙げたが、収容物残量検知装置を設置する対象はこれに限られるものではなく、収容物残量検知装置が設置できる容器形態であれば、何ら制限はなく、断面が円形である必要もない。例えば、断面四角形の容器に対して、親骨の先端が容器内の角に当接するようにすれば、収容物残量検知装置は安定した姿勢で設置することができ、収容物の上面が水平に近い状態で減る効果も十分に期待できる。
【0057】
さらに、設置対象は、飼料を収容する容器に限定されるものではなく、例えば、各主原料の貯蔵容器、採取乃至採集された収穫物の一時保管容器等、収容物の種類も収容の目的も問わない。そして、設置対象が、既存の容器(サイロ)である場合を例に挙げて説明したが、新品の容器に設置した場合にも、低コストかつ簡便でありながら精度の高い収容物残量検知装置となる。
【0058】
また、第1の実施形態の飼料残量検知装置10では、傘を上下逆に向けた状態での設置を、第2の実施形態の飼料残量検知装置40では、傘を使用時と同じ上下関係での設置を、それぞれ例に挙げて説明しているが、いずれもさらに上下逆向きでの設置が可能である。
【0059】
また、上記実施形態において、物体検知手段(センサ16,46)が3つの例を挙げているが、その数も何ら制限はなく、少なくとも1つ設置されていればよい。その場合、収容物残量検知装置は、収容物の残量が少ないことを検知する装置として機能させるために、飼料等の収容物を補充するタイミングに適した高さ(一般的には、容器の底部に近い高さ)に物体検知手段を設けることが好ましい。
【0060】
さらに、上記実施形態において、物体検知手段(センサ16,46)は、軸柱(シャフト11,41)に埋め込む形で設置した例を挙げたが、物体検知手段の設置位置は、軸柱、前記支持環、前記摺動環、前記親骨及び前記支骨のいずれかに設置されていればよい。特に、物体検知手段としてひずみセンサを用いる場合には、前記支持環、前記摺動環及び前記親骨のいずれかに設置することが好ましい。
【0061】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の収容物残量検知装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1,21,31…サイロ(容器)、2,32…出口通路、3,33…蓋、4,34…上方円筒形部、5,35…下方円錐台部、10,40…飼料残量検知装置(収容物残量検知装置)、11,41…シャフト(軸柱)、12,42…支持環、13,43…摺動環、14,44…親骨、15,45…支骨、16,46…センサ(物体検知手段)、17,47…環状帯、18,48…固定冶具、19a,19b,49…キャップ、19c…ストッパ(キャップ)
図1
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図10