(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ステータユニットおよび真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20220913BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F04D19/04 D
H05K9/00 H
(21)【出願番号】P 2018151284
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508275939
【氏名又は名称】エドワーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】和田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】舘野 泰
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅美
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-014815(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第101425723(CN,A)
【文献】特開2017-020520(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106357035(CN,A)
【文献】特開2018-178908(JP,A)
【文献】特開2003-129991(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104953776(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
F04B 39/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを回転させるステータと、
磁力によって前記ロータを軸線方向と直交する方向に非接触で支持する電磁石と、
前記軸線方向で前記電磁石および前記ステータと異なる位置に配置されるセンサと、
前記軸線方向で前記センサと対向する磁気シールドと、を有し、
前記磁気シールドは、前記ステータのコイル、前記電磁石のコイル、および前記センサのコイルのうちのいずれかが巻かれるコイルボビンに固定され
ており、
前記コイルボビンは、
前記磁気シールドに前記軸線方向の一方側から接触する第1接触部と、
前記磁気シールドに前記軸線方向の他方側から接触する第2接触部と、
径方向に延びる筒状の胴部と、
前記胴部の端部に設けられたフランジと、
前記フランジに対して前記胴部と反対側で前記軸線方向に延在する壁部と、を備え、
前記第2接触部は、前記フランジの前記軸線方向の一方側の端部であり、
前記第1接触部は、前記第2接触部より前記軸線方向の一方側において前記壁部から突出する係止部であることを特徴とするステータユニット。
【請求項2】
前記磁気シールドは、前記軸線方向で前記電磁石と前記センサとの間、および、前記軸線方向で前記センサと前記ステータとの間の少なくとも一方の位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のステータユニット。
【請求項3】
前記センサ、前記磁気シールド、前記電磁石が、前記軸線方向の一方側および他方側の何れかの方向に向かってこの順で配列され、
前記磁気シールドは、前記電磁石に設けられた前記コイルボビンに固定されることを特徴とする請求項1または2に記載のステータユニット。
【請求項4】
前記コイルボビンは、前記壁部と前記フランジとを繋ぐ繋ぎ部を備え、
前記繋ぎ部は、弾性変形することを特徴とする請求項
1から3の何れか一項に記載のス
テータユニット。
【請求項5】
前記壁部の前記軸線方向の他方側の端部は、前記繋ぎ部と繋がっており、
前記壁部の前記軸線方向の一方側の端部に、前記フランジよりも前記軸線方向の一方側に突出して前記センサと前記軸線方向で当接する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項
4に記載のステータユニット。
【請求項6】
前記壁部は、前記磁気シールドに対して前記径方向に当接する当接部を備えることを特徴とする請求項
1から5の何れか一項に記載のステータユニット。
【請求項7】
前記壁部は、前記軸線方向に延びる貫通部を備え、
前記当接部は、前記貫通部の周方向の両側の縁であることを特徴とする請求項
6に記載のステータユニット。
【請求項8】
前記係止部は前記壁部から前記フランジ側へ突出し、前記フランジ側へ向かうに従って前記軸線方向の他方側へ向かう方向に傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする請求項
1から7の何れか一項に記載のステータユニット。
【請求項9】
前記磁気シールドは、前記コイルボビンに巻かれたコイルを前記軸線方向から見て覆うことを特徴とする請求項1から
8の何れか一項に記載のステータユニット。
【請求項10】
ケースと、
前記ケースの内部に配置される回転翼および固定翼と、
前記回転翼を回転させる請求項1から
9の何れか一項に記載のステータユニット、および、前記ステータユニットによって回転するロータを備えたモータと、を有することを特徴とする真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータユニットおよびステータユニットを備えた真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転翼をモータによって回転させる真空ポンプが開示される。特許文献1の真空ポンプにおいて、モータは、ロータシャフトを磁力によって非接触で支持する磁気軸受を備える。磁気軸受は、ロータの外周側に配置される環状のコアと、コアから内周側に突出する突極にコイルを巻回した磁極を周方向に複数配置した電磁石と、軸線方向と直交する方向のロータの変位を検出するラジアルセンサを備える。ラジアルセンサは、周方向に並んだ2組のセンサコイルに流れる電流の差からロータの変位を検出する。電磁石、センサ、およびステータは軸線方向に配列されてステータコラムに保持され、ステータユニットを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサコイルに流れる電流から変位を検出するセンサは、磁気ノイズの影響を受ける。磁気ノイズの影響を低減させるためには磁気シールドが用いられる。しかしながら、磁気シールドを設置する場合には、部品点数が増えるため、ステータユニットが大型化するという問題がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、電磁石、センサ、およびステータを備えたステータユニットにおいて、センサへの磁気ノイズの影響を抑制するための磁気シールドを設けたことによるステータユニットの大型化を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のステータユニットは、ロータを回転させるステータと、磁力によって前記ロータを軸線方向と直交する方向に非接触で支持する電磁石と、前記軸線方向で前記電磁石および前記ステータと異なる位置に配置されるセンサと、前記軸線方向で前記センサと対向する磁気シールドと、を有し、前記磁気シールドは、前記ステータのコイル、前記電磁石のコイル、および前記センサのコイルのうちのいずれかが巻かれるコイルボビンに固定されており、前記コイルボビンは、前記磁気シールドに前記軸線方向の一方側から接触する第1接触部と、前記磁気シールドに前記軸線方向の他方側から接触する第2接触部と、径方向に延びる筒状の胴部と、前記胴部の端部に設けられたフランジと、前記フランジに対して前記胴部と反対側で前記軸線方向に延在する壁部と、を備え、前記第2接触部は、前記フランジの前記軸線方向の一方側の端部であり、前記第1接触部は、前記第2接触部より前記軸線方向の一方側において前記壁部から突出する係止部であることを特徴とする。
【0007】
本発明のステータユニットは、センサと軸線方向で対向する磁気シールドを備えている。従って、センサに対して磁気シールドと同じ側で発生する磁束の影響を低減させることができる。例えば、センサ、電磁石、ステータが軸線方向に並ぶ構成において、ステータに設けられたコイルや、電磁石に設けられたコイルから発生する磁束がセンサに及ぼす影響を低減させることができる。また、磁気シールドをコイルボビンに固定するので、磁気シールドを設けたことによる部品点数の増加を抑制できる。従って、ステータユニットの大型化を抑制できる。このようにすると、第1接触部と第2接触部によって磁気シールドが挟まれるので、磁気シールドの振動を抑制できる。このように、フランジの端部によって磁気シールドを位置決めすることにより、コイルから発生する磁束をコイルの近傍でシールドすることができるので、磁気シールドの径方向のサイズを大型化する必要がない。また、フランジの端部を利用して磁気シールドの位置決めおよび固定を行うので、コイルボビンの形状が複雑化することを抑制できる。
【0008】
本発明において、前記磁気シールドは、前記軸線方向で前記電磁石と前記センサとの間、および、前記軸線方向で前記センサと前記ステータとの間の少なくとも一方の位置に配置される。電磁石とセンサとの間に磁気シールドを配置した場合には、電磁石のコイルか
ら発生する磁束の影響を抑制できる。また、センサとステータとの間に磁気シールドを配置した場合には、ステータのコイルから発生する磁束の影響を抑制できる。
【0009】
本発明において、前記センサ、前記磁気シールド、前記電磁石が、前記軸線方向の一方側および他方側の何れかの方向に向かってこの順で配列される場合に、前記磁気シールドは、前記電磁石に設けられた前記コイルボビンに固定されることが好ましい。このようにすると、磁気シールドの固定のために、センサ側のコイルボビンをセンサ基板より電磁石側に延ばす必要がない。従って、ステータユニットの軸線方向のサイズの大型化を抑制できる。
【0012】
本発明において、前記コイルボビンは、前記壁部と前記フランジとを繋ぐ繋ぎ部を備え、前記繋ぎ部は、弾性変形することが好ましい。このようにすると、繋ぎ部を撓ませて壁部を外周側へ移動させることができるので、容易に磁気シールドを固定できる。また、繋ぎ部の弾性復帰力によって係止部を磁気シールドに弾性接触させることができる。従って、磁気シールドの振動を抑制できる。
【0013】
本発明において、前記壁部の前記軸線方向の他方側の端部は、前記繋ぎ部と繋がっており、前記壁部の前記軸線方向の一方側の端部に、前記フランジよりも前記軸線方向の一方側に突出して前記センサと前記軸線方向で当接する位置決め部が設けられていることが好ましい。このようにすると、繋ぎ部を弾性変形させることによって壁部の軸線方向の一方側の端部とフランジとの隙間を大きく拡げることができる。従って、磁気シールドを容易に固定できる。また、磁気シールドを固定するための壁部を、センサとの軸線方向の位置決めを行うための位置決め部として兼用することができる。従って、センサに対する位置決め用の部材を別途設ける必要がないので、部品点数の増加を抑制できる。
【0014】
本発明において、前記壁部は、前記磁気シールドに対して前記径方向に当接する当接部を備えることが好ましい。このようにすると、磁気シールドの径方向の位置決めを行うことができる。また、壁部を径方向の位置決め部として兼用できるため、径方向の位置決めのための部材を別途設ける必要がない。従って、コイルボビンの形状が複雑化することを抑制できる。
【0015】
本発明において、前記壁部は、前記軸線方向に延びる貫通部を備え、前記当接部は、前記貫通部の周方向の両側の縁であることが好ましい。このように、壁部に貫通部を設けることによって、壁部を容易に撓ませることができる。従って、容易に固定することができる。また、磁気シールドは貫通部の縁に2点で接触するので、2点で径方向の位置決めを
行うことができる。
【0016】
本発明において、前記係止部は前記壁部から前記フランジ側へ突出し、前記フランジ側へ向かうに従って前記軸線方向の他方側へ向かう方向に傾斜する傾斜部を備えることが好ましい。このようにすると、磁気シールドの端部を傾斜部に接触させて軸方向に押圧することにより、壁部を外周側へ撓ませて磁気シールドを係止部に係止させることができる。従って、磁気シールドを容易に固定することができる。
【0017】
本発明において、前記磁気シールドは、前記コイルボビンに巻かれたコイルを前記軸線方向から見て覆うことが好ましい。このようにすると、磁束発生源が磁気シールドで覆われるので、コイルから発生する磁束がセンサに及ぼす影響を低減させることができる。
【0018】
次に、本発明の真空ポンプは、ケースと、前記ケースの内部に配置される回転翼および固定翼と、前記回転翼を回転させる上記のステータユニット、および、前記ステータユニットによって回転するロータを備えたモータと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ステータユニットにセンサと対向する磁気シールドが設けられているので、センサに対して磁気シールドと同じ側で発生する磁束の影響を低減させることができる。例えば、センサ、電磁石、ステータが軸線方向に並ぶ構成において、ステータに設けられたコイルや、電磁石に設けられたコイルから発生する磁束がセンサに及ぼす影響を低減させることができる。また、磁気シールドをコイルボビンに固定するので、磁気シールドを設けたことによる部品点数の増加を抑制できる。従って、ステータユニットの大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用した真空ポンプの断面図である。
【
図2】ステータおよび電磁石ユニットの側面図である。
【
図9】センサ基板の側から見たセンサの平面図である。
【
図11】コイルボビンを取り付けたセンサコアの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用したステータユニットを備えた真空ポンプの実施形態を説明する。本明細書において、ステータユニットおよびロータを備えたモータの軸線方向Lの一方側を出力側L1とし、軸線方向Lの他方側を反出力側L2とする。
【0022】
(真空ポンプの全体構成)
図1は本発明を適用した真空ポンプ100の断面図である。真空ポンプ100は、ケース10と、ケース10内に配置された回転翼11および固定翼12と、回転翼11を回転させるモータ1を備える。モータ1は、ケース10に固定されるステータ2と、ステータ2の径方向の中心に配置されるロータ3と、ロータ3を非接触で支持する磁気軸受4を備える。ステータ2および磁気軸受4は、筒状のステータケース13の内周面に固定され、
ステータケース13を介してケース10に固定される。ロータ3は軸線方向Lに延在し、ステータケース13から出力側L1に突出する出力軸31を備える。回転翼11は、ロータフランジ5を介して出力軸31に固定される。回転翼11と固定翼12は、軸線方向Lに沿って交互に配置される。
【0023】
ケース10は、ステータケース13に反出力側L2から当接するベース14と、軸線方向Lに延在する筒状ケース15を備える。ベース14は、筒状ケース15の反出力側L2の端部に固定される。ステータケース13は、筒状ケース15の内周側に配置され、ボルトによってベース14に固定される。筒状ケース15の出力側L1の端部には吸気口16が形成されている。筒状ケース15とベース14との間には、排気口形成部17が取り付けられている。ケース10は、排気口形成部17を貫通する排気口18を介して図示しない補助ポンプに連通する。真空ポンプ100は、モータ1によって回転翼11を回転させ、吸気口16から吸入された気体を軸線方向Lに移送して排気口18から排出する。
【0024】
ステータ2は、ロータ3の軸線方向Lの略中央に配置される。磁気軸受4は、ステータ2の出力側L1および反出力側L2の2箇所において軸線方向Lと直交する方向でロータ3を支持する2組の電磁石ユニット20A、20Bと、ロータ3の反出力側L2においてロータ3の軸線方向Lの位置を検出する軸方向センサ21と、軸方向センサ21の出力に基づいて励磁されロータ3を軸線方向Lに浮いた状態で支持する2組の電磁石22を備える。電磁石ユニット20A、20Bおよび電磁石22は、ステータケース13の内周面に固定される。
【0025】
2組の電磁石22は、ロータ3の反出力側L2の端部に固定される金属板32を軸線方向Lに挟んで配置される。2組の電磁石22は、それぞれ、コイル23を備えており、コイル23への通電によって発生する磁力により、金属板32を出力側L1および反出力側L2へ吸引する。軸方向センサ21の出力は図示しない制御装置へ送信される。制御装置は、ロータ3の軸線方向Lの変位に基づいて電磁石22のコイル23に通電し、ロータ3の軸線方向Lの位置を調節する。
【0026】
図2はステータ2および電磁石ユニット20A、20Bの側面図である。本形態において、ステータ2および電磁石ユニット20A、20Bは、ロータ3を回転させるステータユニット2Aを構成する。すなわち、
図2はステータユニット2Aの側面図である。
図1、
図2に示すように、ステータ2は、環状のステータコア24と、ステータコア24の突極25に取り付けられるコイルボビン26と、コイルボビン26を介して突極25に巻かれたコイル27を備える。なお、
図1では、ステータ2および磁気軸受4の構成を模式的に示しており、コイルボビンなどの一部の部品については図示を省略している。ステータ2および電磁石ユニット20A、20Bは、ステータケース13の内側に固定され、図示しないポッティング樹脂によりモールドされている。本形態のモータ1は、ステータ2のコイル数が6であり、ロータ3の外周面に設けられた図示しないマグネットの磁極数は4である。なお、コイル数およびマグネットの磁極数は上記の数に限定されるものではなく、他の数であってもよい。
【0027】
(電磁石ユニット)
出力側L1の電磁石ユニット20Aは環状であり、ロータ3の外周側に配置される。電磁石ユニット20Aは、磁力によってロータ3を非接触で支持する電磁石40Aと、ロータ3の軸線方向Lと直交する方向の位置を検出するセンサ50と、電磁石40Aとセンサ50との間に配置される環状の磁気シールド60を備える。センサ50は、電磁石40Aに対してステータ2とは軸線方向Lで反対側に配置される。
【0028】
図3は電磁石ユニット20Aの分解斜視図であり、
図4は電磁石40Aと磁気シールド
60の分解斜視図である。電磁石40Aは、環状のコア41と、コア41の内周面から突出する突極42に取り付けられるコイルボビン43と、コイルボビン43を介して突極42に巻かれたコイル44を備える。電磁石40Aは、等角度間隔で配置された8本の突極42を備えており、コイル44の数は8である。電磁石40Aは、周方向で隣り合う2個のコイル44A、44Bの組を4組備える。周方向で隣り合う2個のコイル44A、44Bは、巻線の巻回方向が互いに逆向きであり、異なる極性の磁極が対になっている。4組のコイル44A、44Bのうちの2組は、軸線方向Lと直交するX軸上でロータ3を挟んで対向して配置される。また、他の2組は、軸線方向LおよびX軸方向と直交するY軸上でロータ3を挟んで対向して配置される。
【0029】
センサ50は、環状のセンサコア51と、センサコア51の内周面から内周側に向かって突出する突極52に取り付けられるコイルボビン53と、コイルボビン53を介して突極52に巻かれたセンサコイル54と、環状のセンサ基板55を備える。センサ基板55は、センサコア51およびセンサコイル54に対して電磁石40Aが位置する側に配置され、コイルボビン53に固定される。センサ50は、周方向で隣り合う2個のセンサコイル54A、54Bの組を4組備える。4組のセンサコイル54A、54Bは、90°の角度間隔で4箇所に配置されている。各組のセンサコイル54A、54Bは、X軸方向およびY軸方向に対して45°傾いた角度位置を中心として周方向に対称に配置される。
【0030】
センサ50は、センサコイル54A、54Bに流れる電流の差分に基づいてロータ3の位置を検出する渦電流センサである。すなわち、センサ50はロータ3の変位を検出する変位センサである。センサ50の信号は、軸方向センサ21の信号と同様に、図示しない制御装置へ送信される。制御装置は、ロータ3のX軸方向の位置およびY軸方向の位置に基づいて電磁石40Aのコイル44に通電して、電磁石40Aの位置におけるロータ3の軸線方向Lと直交する方向の位置を調節する。すなわち、X軸上でロータ3を挟んで対向するコイル44への通電を制御することにより、ロータ3のX軸方向の位置を調節する。また、Y軸上でロータ3を挟んで対向するコイル44への通電を制御することにより、ロータ3のY軸方向の位置を調節する。
【0031】
反出力側L2の電磁石ユニット20Bは、ロータ3を非接触で支持する電磁石40Bと、ロータ3の径方向の位置を検出するセンサ50と、電磁石40Bとセンサ50との間に配置される磁気シールド60を備える。電磁石ユニット20Bは、電磁石40Aの軸線方向Lのサイズが電磁石40Bより長く、且つ、軸線方向Lで逆向きに配置されていることを除き、電磁石ユニット20Aと同一の構成である。ロータ3は、電磁石ユニット20A、20Bにより、ステータ2の出力側L1と反出力側L2の2箇所において非接触で支持される。制御装置は、電磁石40A、40Bの位置におけるロータ3の軸線方向Lと直交する方向の位置を制御することにより、ロータ3の傾きを調節する。
【0032】
(磁気シールド)
図5は電磁石40Aと磁気シールド60の部分断面図であり、
図3のA-A位置の断面図である。磁気シールド60は、電磁石40Aとセンサ50との間に配置され、軸線方向Lでセンサ50および電磁石40Aと対向する。
図3、
図4に示すように、磁気シールド60は環状であり、電磁石40Aのコイル44を軸線方向Lから見て覆うように配置されている。磁気シールド60は、環状の積層鋼板の出力側L1の表面および反出力側L2の表面を絶縁シートで覆った磁気シールド板である。
【0033】
磁気シールド60は、電磁石40Aのコイルボビン43に固定される。電磁石40Aは8個のコイルボビン43を備えており、各コイルボビン43は、磁気シールド60に出力側L1から接触する第1接触部と、磁気シールド60に反出力側L2から接触する第2接触部を備える。第1接触部は、後述する係止部48に設けられ、第2接触部は後述するフ
ランジ432に設けられる。磁気シールド60は、等角度間隔で8箇所に設けられた第1接触部および第2接触部によって軸線方向Lの両側から挟まれて、コイルボビン43に固定される。
【0034】
図6、
図7はコイルボビン43の斜視図である。コイルボビン43は、突極42に取り付けられる筒状の胴部431と、胴部431の一方側の端部に設けられたフランジ432と、胴部431の他方側の端部に設けられたフランジ433と、フランジ432に対して胴部431とは反対側に設けられたコア覆い部451、452を備える。胴部431はコア41の径方向に延びており、フランジ432は胴部431の外周側の端部(センサ50の外周側)に設けられ、フランジ433は胴部431の内周側の端部(センサ50の内周側)に設けられている。胴部431にはコイル44が巻かれている。
図4に示すように、コア覆い部451はフランジ432から外周側へ突出し、コア41の環状部411を出力側L1から覆っている。また、コア覆い部452はコア41の環状部411を反出力側L2から覆っている。
【0035】
出力側L1のコア覆い部451は、外周側のフランジ432に対して胴部431とは反対側に配置される壁部46と、フランジ432と壁部46とを繋ぐ繋ぎ部47を備える。胴部431は角筒状であり、繋ぎ部47は胴部431の出力側L1の縁から外周側へ延びている。繋ぎ部47の外周側の端部は、壁部46の反出力側L2の端部と繋がっている。壁部46は軸線方向Lに延びており、壁部46の出力側L1の端部は、フランジ432の出力側L1の端部よりも出力側L1へ突出している。
図5に示すように、壁部46の出力側L1の端面には、センサ50と軸線方向Lで当接する位置決め部461が設けられている。後述するように、センサ50のコイルボビン53は、反出力側L2へ突出する壁部であるボビン側位置規制部56を備えており、壁部46の出力側L1の端面に設けられた位置決め部461は、ボビン側位置規制部56の反出力側L2の端面に設けられた位置決め部561と軸線方向Lに当接する。
【0036】
コイルボビン43は、壁部46からフランジ432側へ突出するフック状の係止部48を備える。
図5に示すように、係止部48は、フランジ432の出力側L1の端面434よりも出力側L1に位置する。磁気シールド60はフランジ432の出力側L1の端面434に載っており、磁気シールド60の外周側の端部は係止部48によって出力側L1から係止されている。すなわち、係止部48の反出力側L2の面481が磁気シールド60に出力側L1から接触する第1接触部であり、フランジ432の出力側L1の端面434が磁気シールド60に反出力側L2から接触する第2接触部である。
【0037】
壁部46は、係止部48の反出力側L2を貫通する貫通部49を備える。貫通部49は、壁部46の幅方向の略中央に設けられ、係止部48と略同一幅で軸線方向Lに延びている。貫通部49は、壁部46と繋ぎ部47とが繋がる角部を越えて繋ぎ部47の途中まで延びている。
図7に示すように、磁気シールド60の外周側の端面は、貫通部49の周方向の一方側の縁491と他方側の縁492の2箇所に当接する。すなわち、壁部46は、磁気シールド60の外周面に対して径方向に当接する当接部を備えており、当接部は、貫通部49の周方向の一方側の縁491および他方側の縁492の2箇所である。
【0038】
磁気シールド60を固定するときは、壁部46を外周側へ倒して係止部48を外周側へ退避させる。コイルボビン43は樹脂製であり、壁部46を外周側へ倒すと、壁部46とフランジ432とを繋ぐ繋ぎ部47が弾性変形する。フランジ432の出力側L1の端面に磁気シールド60を載せて壁部46を内周側へ戻すと、係止部48によって磁気シールド60が係止される。壁部46および繋ぎ部47には貫通部49が形成されているため、剛性が低減されており、外周側へ容易に撓むようになっている。係止部48は、壁部46および繋ぎ部47が撓んだ姿勢から元の姿勢に戻る際に発生する弾性復帰力によって、磁
気シールド60に弾性接触する。
【0039】
係止部48の出力側L1の面は、フランジ432側へ向かうに従って反出力側L2へ向かう方向に傾斜する傾斜部482を備える。従って、磁気シールド60の外周縁を傾斜部482に載せて反出力側L2へ押圧すると、8箇所の壁部46が外周側へ倒れて磁気シールド60が傾斜部482に沿ってスライドし、係止部48によって磁気シールド60の外周縁が係止される。よって、磁気シールド60を簡単に取り付けることができる。
【0040】
反出力側L2の電磁石ユニット20Bにおいても、電磁石40Bのコイルボビン43に磁気シールド60が固定されている。反出力側L2の電磁石ユニット20Bにおける磁気シールド60の固定構造は、出力側L1の電磁石ユニット20Aと同じであるため、説明は省略する。
【0041】
(センサ基板の固定構造および巻線の接続構造)
図8はセンサ50の分解斜視図であり、
図9はセンサ基板55の側から見たセンサ50の底面図である。
図8に示すように、センサコイル54が巻かれているコイルボビン53の外周側の端部には、センサ基板55が位置する側へ突出するボビン側位置規制部56が設けられている。ボビン側位置規制部56は周方向の幅が一定の壁部であり、反出力側L2へ向かって突出する。上記のように、ボビン側位置規制部56の反出力側L2の端面は、電磁石40Aのコイルボビン43に設けられた位置決め部461と軸線方向Lに当接する位置決め部561である(
図5参照)。センサ50は、コイルボビン43の位置決め部461と、コイルボビン53の位置決め部561とが軸線方向Lに当接することによって軸線方向Lで位置決めされる。
【0042】
図8に示すように、センサ基板55は、配線パターンおよびランドが形成された環状部551と、環状部551の外周縁から径方向外側へ突出した突出部552を備える。周方向で隣り合う突出部552の間は、センサ基板55の外周側の端部554を径方向内側へ向かって切り欠いた凹部である。この凹部は、コイルボビン53に設けられたボビン側位置規制部56の先端部と嵌合する基板側位置規制部57である。ボビン側位置規制部56は、基板側位置規制部57を介してセンサ基板55の周方向の移動を規制する。
【0043】
ボビン側位置規制部56は、各コイルボビン53にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。本形態では、周方向で隣り合う2個のセンサコイル54A、54Bの組が90°の角度間隔で4組設けられている。従って、周方向で隣り合う2箇所のボビン側位置規制部56の組が90°の角度間隔で4箇所に設けられている。センサ基板55には、ボビン側位置規制部56の配置に対応するように、周方向で隣り合う2箇所の基板側位置規制部57が90°の角度間隔で4組形成されている。
【0044】
センサ基板55には、各センサコイル54から引き出された巻線541(
図9~
図11参照)が半田付けされる。各センサコイル54からは、巻き始め側の巻線541と、巻き終り側の巻線541の2本が引き出される。巻線541は、各ボビン側位置規制部56の周方向の両側からそれぞれ1本ずつ外周側へ引き出される。巻線541は、センサ基板55の外周側の端部554を経由して、センサ基板55の反出力側L2の基板面553へ引き回され、図示しないランドに半田付けされる。センサ基板55の外周側の端部554には、巻線541の周方向の移動を規制する巻線保持部58が設けられている。巻線541は、巻線保持部58を経由して基板面553のランドへ延びている。
【0045】
巻線保持部58はセンサ基板55の外周側の端面555に設けられた溝であり、基板側位置規制部57の周方向の両側にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。巻線保持部58は、突出部552の径方向の先端面を内周側へ円弧状に窪ませた溝であり、センサ基板55
の出力側L1の基板面から反出力側L2の基板面まで軸線方向Lに延びている。
図9に示すように、巻線541は、巻線保持部58に掛けられてセンサ基板55の出力側L1から反出力側L2へ引き回され、反出力側L2の基板面に沿ってセンサ基板55の内周側へ引き回される。
【0046】
図10はコイルボビン53およびセンサコア51の部分拡大図である。また、
図11はセンサ50の部分拡大図であり、コイルボビン53にセンサ基板55を固定した状態を示す。
図10、
図11は、反出力側L2から見た斜視図である。
図10に示すように、コイルボビン53は、センサコア51の突極52に取り付けられる筒状の胴部531と、胴部531の一方側の端部に設けられたフランジ532と、胴部531の他方側の端部に設けられたフランジ533と、繋ぎ部534を介してフランジ532と繋がるボビン側位置規制部56を備える。胴部531は径方向に延びており、フランジ532は胴部531の外周側の端部に設けられている。繋ぎ部534は、センサコア51の環状部511を反出力側L2から覆っている。フランジ532の反出力側L2の端部は、ボビン側位置規制部56の反出力側L2の端部より出力側L1に位置する。
【0047】
コイルボビン53のフランジ532は、胴部531とは反対側(すなわち、外周側)へ引き出される巻線541が配置される巻線引き出し部535を備える。巻線引き出し部535は、フランジ532の反出力側L2の縁を切り欠いた切り欠き部である。巻線引き出し部535は、フランジ532の周方向の両端寄りの2箇所に形成されている。フランジ532は、外周側から見てボビン側位置規制部56の周方向の両側まで延びており、ボビン側位置規制部56の周方向の両側に1箇所ずつ巻線引き出し部535が設けられている。従って、巻き始め側と巻き終り側の2本の巻線541は、巻線引き出し部535からボビン側位置規制部56の周方向の両側へ引き出される。
【0048】
図11に示すように、センサ基板55には、センサ基板55の外周側の端部554を切り欠いた凹部である基板側位置規制部57が設けられ、基板側位置規制部57の周方向の両側に1箇所ずつ巻線保持部58が設けられている。従って、基板側位置規制部57にボビン側位置規制部56を嵌合させると、ボビン側位置規制部56の周方向の両側には、巻線引き出し部535および巻線保持部58がそれぞれ1箇所ずつ設けられる。本形態では、ボビン側位置規制部56の周方向の両側において、巻線引き出し部535と巻線保持部58の周方向の位置は略同一である。従って、巻線引き出し部535から引き出した巻線541が巻線保持部58を経由して基板面553へ引き回される際の巻き線541の経路長を短くすることができる。
【0049】
図10に示すように、ボビン53の外周側の端部において、フランジ532、繋ぎ部534、およびボビン側位置規制部56は、センサ基板55の側へ開口する凹溝59を形成している。センサ基板55は、フランジ532の反出力側L2の端面に当接することによってコイルボビン53に対して軸線方向Lに位置決めされ、凹溝59に配置される接着剤によってコイルボビン53に固定される。繋ぎ部534は、フランジ532の周方向の幅と略同一幅に形成され、ボビン側位置規制部56の周方向の両側まで拡がっている。従って、ボビン側位置規制部56とフランジ532との間に配置された接着剤がコイルボビン53とコア51との隙間へ流出することが抑制される。
【0050】
(本形態の主な作用効果)
以上説明したように、本形態の真空ポンプ100は、回転翼11を回転させるためのモータ1を備える。モータ1は、ロータ3およびステータ2と、磁力によってロータ3を非接触で支持する磁気軸受4を備える。磁気軸受4は、ステータ2の出力側L1に配置される電磁石40Aおよびセンサ50と、ステータ2の反出力側L2に配置される電磁石40Bおよびセンサ50を備えており、ステータ2の出力側L1と反出力側L2の2箇所にお
いてロータ3を非接触で支持する。センサ50は、ロータ3の位置を非接触で検出する渦電流センサであり、ロータ3の外周側に配置されるセンサコイル54を備える。
【0051】
本形態のモータ1において、ステータ2と、ステータの出力側L1に配置される電磁石ユニット20A(電磁石40Aおよびセンサ50)、ならびに、ステータ2の反出力側L2に配置される電磁石ユニット20B(電磁石40Bおよびセンサ50)は、ロータ3を非接触で支持すると共にロータ3を回転させるステータユニット2Aを構成する。なお、電磁石ユニット20A、20Bのいずれか一方とステータ2によって構成されるユニットをステータユニット2Aとすることもできる。本形態のステータユニット2Aは、軸線方向Lでセンサ50と対向する磁気シールド60を備える。従って、センサ50に対して磁気シールド60と同じ側で発生する磁束の影響を低減させることができる。これにより、センサ50に対する磁気ノイズの影響を低減させることができるので、センサ50の誤作動を抑制できる。また、磁気ノイズによる検出精度の低下を抑制できるため、ロータ3の位置精度の低下を抑制できる。
【0052】
本形態では、ステータ2の出力側L1において、センサ50、電磁石40A、ステータ2がこの順で軸線方向L上で出力側L1から反出力側L2に向かって(すなわち、軸線方向Lの一方側に向かって)並んでおり、電磁石40Aとセンサ50との間との間に磁気シールド60が配置されている。従って、電磁石40Aに設けられたコイル44から発生する磁束がセンサ50に及ぼす影響を低減させることができる。また、ステータ2の反出力側L2においても、同様に、センサ50、電磁石40B、ステータ2がこの順で軸線方向L上で反出力側L2から出力側L1に向かって(すなわち、軸線方向Lの他方側に向かって)に並んでおり、電磁石40Bとセンサ50との間との間に磁気シールド60が配置されている。従って、同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
本形態では、電磁石40Aのコイルボビン43に磁気シールド60が固定される。従って、磁気シールド60を設けたことによる部品点数の増加を抑制できるので、ステータユニット2Aの大型化を抑制でき、モータ1の大型化を抑制できる。また、センサ50側のコイルボビン53でなく、電磁石40A側のコイルボビン43に磁気シールド60を固定するので、センサ50側のコイルボビン53をセンサ基板55よりも電磁石40A側へ延ばす必要がない。従って、センサ50側のコイルボビン53に磁気シールド60を固定する場合と比較して、ステータユニット2Aの軸線方向Lのサイズが大型化することを抑制できる。
【0054】
本形態の磁気シールド60は、コイルボビン43に巻かれたコイル44を軸線方向Lから見て覆うように構成されている。このようにすると、磁束発生源であるコイル44を磁気シールド60で覆うことができるため、コイル44から発生する磁束がセンサ50に及ぼす影響を低減させることができる。
【0055】
本形態では、電磁石40Aのコイルボビン43は、磁気シールド60に軸線方向Lの一方側から接触する第1接触部と、磁気シールド60に軸線方向Lの他方側から接触する第2接触部を備えており、軸線方向Lの両側から磁気シールド60を挟んで固定する。従って、磁気シールド60の振動を抑制できる。
【0056】
本形態では、電磁石40Aのコイルボビン43は、径方向に延びる筒状の胴部431と、胴部431の外周側の端部に設けられたフランジ432と、フランジ432に対して胴部431と反対側で軸線方向Lに延在する壁部46と、を備え、第2接触部は、フランジ432の出力側L1の端面434であり、第1接触部は、フランジ432の端面434より出力側L1において壁部46から突出する係止部48の反出力側L2の面481である。このように、フランジ432の端部に磁気シールド60を固定する場合には、コイル4
4から発生する磁束をコイル44の近傍でシールドできるので、磁気シールドの径方向のサイズを大型化する必要がない。従って、コイル44で発生する磁束によるセンサ50への影響を低減させることができる。また、フランジ432を利用して磁気シールド60を固定する場合には、別途固定用の形状を設ける必要がないので、コイルボビン43の形状が複雑化することを抑制できる。
【0057】
本形態では、電磁石40Aのコイルボビン43は、壁部46とフランジ432とを繋ぐ繋ぎ部47を備え、繋ぎ部47は弾性変形する。従って、繋ぎ部47を撓ませて壁部46を外周側へ移動させることができるので、容易に磁気シールド60を固定できる。また、繋ぎ部47の弾性復帰力によって係止部48を磁気シールド60に弾性接触させることができる。従って、磁気シールド60の振動を抑制できる。
【0058】
本形態では、壁部46の反出力側L2の端部が繋ぎ部47と繋がっている。従って、繋ぎ部47を弾性変形させることによって壁部46の出力側L1の端部とフランジ432との隙間を大きく拡げることができる。従って、磁気シールド60を容易に固定できる。また、壁部46の出力側L1の端面には、フランジ432よりも出力側L1に突出してセンサ50のコイルボビン53と軸線方向Lで当接する位置決め部461が設けられている。このように、壁部46によってセンサ50との軸線方向Lの位置決めを行うことにより、壁部46とは別に位置決め部を設ける必要がない。従って、部品点数を削減でき、モータ1の大型化を抑制できる。
【0059】
本形態では、係止部48は壁部46からフランジ432側へ突出しており、フランジ432側へ向かうに従って反出力側L2へ向かう方向に傾斜する傾斜部482を備えている。従って、磁気シールド60の端部を傾斜部482に接触させて反出力側L2へ押圧することにより、壁部46を外周側へ撓ませて磁気シールド60を係止部48に係止させることができる。従って、磁気シールド60を容易に固定することができる。
【0060】
本形態では、壁部46が磁気シールド60に対して径方向に当接する。従って、コイルボビン53によって磁気シールド60の径方向の位置決めを行うことができる。また、壁部46は、軸線方向Lに延びる貫通部49を備え、貫通部49の周方向の両側の縁491、492が磁気シールド60に対して径方向に当接する当接部となっている。従って、磁気シールド60の径方向の位置決めを2点で行うことができる。
【0061】
(変形例)
(1)
図12は、磁気シールド60の配置を示す説明図である。
図12(a)は上記形態の磁気シールド60の配置を模式的に示しており、センサ50と電磁石40Aとの間に磁気シールド60が配置される。
図12(a)の配置では、上記形態のように、電磁石40Aのコイルボビン43に磁気シールド60を固定する。あるいは、センサ50のコイルボビン53に磁気シールド60を固定することもできる。センサ50のコイルボビン53に磁気シールド60を固定する場合には、センサ基板55をセンサコイル54に対して磁気シールド60とは反対側に配置することもできる。
【0062】
モータ1は、
図12(b)~(c)に示すように、電磁石40Aとセンサ50の位置を入れ換えた構成を採用することもできる。この場合には、センサ50の軸線方向Lの両側に磁束発生源が配置される。すなわち、センサ50の出力側L1に電磁石40Aのコイル44が配置され、センサ50の反出力側L2にステータ2のコイル27が配置される。従って、センサ50と電磁石40Aとの間、および、センサ50とステータ2との間の2箇所のうち、少なくとも一方の位置に磁気シールド60を配置することが好ましい。
【0063】
例えば、
図12(b)に示すように、センサ50と電磁石40Aとの間に磁気シールド
60を配置することによって、電磁石40Aのコイル44で発生する磁束の影響を低減させることができる。この場合には、電磁石40Aのコイルボビン43、および、センサ50のコイルボビン53のいずれかに磁気シールド60を固定する。また、
図12(c)に示すように、センサ50とステータ2との間に磁気シールド60を配置することによって、ステータ2のコイル27で発生する磁束の影響を低減させることができる。この場合には、ステータ2のコイルボビン26、および、センサ50のコイルボビン53のいずれかに磁気シールド60を固定する。あるいは、
図12(d)に示すように、センサ50と電磁石40Aとの間、および、センサ50とステータ2との間の2箇所にそれぞれ磁気シールド60を配置してもよい。いずれの構成においても、磁気シールド60によってセンサ50に対する磁束の影響を低減させることができる。また、磁気シールド60をコイルボビンに固定することによって、部品点数の増大、およびステータユニット2Aの大型化を抑制できる。
【0064】
(2)上記形態では、ボビン側位置規制部56がコイルボビン53に形成された壁部であり、基板側位置規制部57がセンサ基板55に形成された凹部であったが、ボビン側位置規制部56と基板側位置規制部57は、上記と異なる形態であってもよい。例えば、基板側位置規制部57は、凹部でなく穴であってもよい。また、ボビン側位置規制部56が壁部の先端面に形成された凹部であり、基板側位置規制部57はセンサ基板55の外周縁から突出する突出部であってもよい。また、ボビン側位置規制部56をフランジ432の出力側L1の端面に形成することができる。
【0065】
(3)上記形態では、巻線保持部58はセンサ基板55の端面に形成された円弧状の溝であったが、巻線保持部58は円弧状以外の形状の切り欠きでもよい。また、巻線保持部58は、センサ基板55の端部554に設けられた突起でもよい。例えば、センサ基板55の端部554にピンを取り付けて、巻線541をピンに掛けて保持させてもよい。もしくは、ピンを2本設けて、2本のピンの間に巻線541を保持させてもよい。また、ピンの突出方向は、軸線方向Lであってもよいし、径方向であっても良い。
【0066】
(4)上記形態では、巻線保持部58はセンサ基板55の外周側の端部554に設けられているが、センサ基板55の内周側の端部に同様の巻線保持部を設け、巻線541をセンサ基板55の内周側へ引き出し、センサ基板55の内周側の端部に掛けてランドへ引き回すこともできる。また、上記形態は、本発明を環状のセンサ基板55を備えたセンサ50に適用するものであったが、本発明は、センサ基板55が環状でない場合においても適用可能である。すなわち、本発明は、センサコイルの巻線がセンサ基板の端部に掛けられてランドへ引き回される形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…モータ、2…ステータ、2A…ステータユニット、3…ロータ、4…磁気軸受、5…ロータフランジ、10…ケース、11…回転翼、12…固定翼、13…ステータケース、14…ベース、15…筒状ケース、16…吸気口、17…排気口形成部、18…排気口、20A、20B…電磁石ユニット、21…軸方向センサ、22…電磁石、23…コイル、24…ステータコア、25…突極、26…コイルボビン、27…コイル、31…出力軸、32…金属板、40A、40B…電磁石、41…コア、42…突極、43…コイルボビン、44、44A、44B…コイル、46…壁部、47…繋ぎ部、48…係止部、49…貫通部、50…センサ、51…センサコア、52…突極、53…コイルボビン、54、54A、54B…センサコイル、55…センサ基板、56…ボビン側位置規制部、57…基板側位置規制部、58…巻線保持部、59…凹溝、60…磁気シールド、100…真空ポンプ、411…環状部、431…胴部、432、433…フランジ、434…フランジ出力側の端面、451、452…コア覆い部、461…位置決め部、481…係止部の反出力側の面、482…傾斜部、491…貫通部の周方向の一方側の縁、492…貫通部の周方
向の他方側の縁、511…環状部、531…胴部、532、533…フランジ、534…繋ぎ部、535…巻線引き出し部、541…巻線、551…環状部、552…突出部、553…基板面、554…センサ基板の外周側の端部、555…センサ基板の外周側の端面、561…位置決め部、L…軸線方向、L1…出力側、L2…反出力側