(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20220913BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20220913BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20220913BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20220913BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F25D25/00 G
F25D25/00 E
F25D25/00 M
F25D17/06 308
F25D17/06 303
F25D17/08 304
F25D17/08 307
F25D23/00 306A
F25D21/04 K
(21)【出願番号】P 2018154627
(22)【出願日】2018-08-21
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】塚本 健一
(72)【発明者】
【氏名】福岡 純一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-262448(JP,A)
【文献】特開2002-295947(JP,A)
【文献】特開2014-105935(JP,A)
【文献】特開2016-205777(JP,A)
【文献】特開2005-083687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 17/06
F25D 17/08
F25D 23/00
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室に配置された3段以上の多段型の貯蔵容器と、を備え、
前記多段型の貯蔵容器において上下に互いに隣接している容器では、冷気が通過するため
に容器側部に配置されている孔の位置が互いに異なり、
前記多段型の貯蔵容器のうち上下に重ねられている3段の容器により構成される少なくとも一組の容器では、中段の容器に配置された前記孔が、上段の容器に配置された前記孔および下段の容器に配置された前記孔よりも前方に位置
し、
前記貯蔵容器のうち最上段の容器及び最下段の容器の容器後面部には、前記貯蔵室が閉じているときに容器後方側から冷気が流入する開口が形成され、
前記貯蔵容器のうち最下段以外の容器の容器底部には、第2の孔が形成される冷蔵庫。
【請求項2】
前記孔が容器下部に配置されている請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵容器のうち
前記第2の孔が形成されている容器に
おいては、
前記第2の孔のほうが前記孔
よりも前方に
位置する請求項
1または2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、冷凍室や冷蔵室などの貯蔵室を有している。貯蔵室の配置位置は、各貯蔵室の用途により決められていることが多い。
【0003】
このような貯蔵室では、被貯蔵物を収容する貯蔵容器が上下方向に複数段にわたって配置されていることが多く、特に大きい貯蔵室の場合にこの傾向が強い(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように貯蔵容器が上下方向に複数段にわたって配置されていると、貯蔵容器に保存されている食品が冷却され過ぎて霜焼けが生じることがある。そしてこのことは、長期で保存した場合に発生し易くなる。
【0006】
このような霜焼けを抑制することは、食品の劣化防止だけでなく、冷蔵庫の運転時のエネルギーロスを抑える観点でも有効である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、貯蔵室に収容された食品の霜焼けを効果的に抑制した冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室に配置された3段以上の多段型の貯蔵容器と、を備え、前記多段型の貯蔵容器において上下に互いに隣接している容器では、冷気が通過するための孔の位置が互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の全体を示す模式的な正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫で、冷蔵室を説明する模式的な側面断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫で、野菜室を説明する模式的な側面断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫で、大冷凍室を引き出したときの要部を示す模式的な側面断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫で、第2容器を説明する模式的な展開斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る冷蔵庫で、第1~第3容器を摺動可能に重ね合わせることを説明する断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る冷蔵庫で、大冷凍室を閉じたときの気流を説明する側面断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る冷蔵庫で、第2容器の気流通過用の孔を説明する斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る冷蔵庫で、大冷凍室を引き出したときの要部を示す側面断面図である。
【
図10】第1実施形態、第2実施形態の冷蔵庫の変形例であり、大冷凍室の構成を説明するための模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を説明する。
【0012】
<冷蔵庫1の全体構成例>
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫の全体を示す模式的な正面図である。
図2は、本実施形態に係る冷蔵庫で、冷蔵室を説明する模式的な側面断面図である。
図3は、本実施形態に係る冷蔵庫で、野菜室を説明する模式的な側面断面図である。
図4は、本実施形態に係る冷蔵庫で、大冷凍室を引き出したときの要部を示す模式的な側面断面図である。
図5は、本実施形態に係る冷蔵庫で、第2容器を説明する模式的な展開斜視図である。
図6は、本実施形態に係る冷蔵庫で、第1~第3容器を摺動可能に重ね合わせることを説明する断面図である。
図7は、本実施形態に係る冷蔵庫で、大冷凍室を閉じたときの気流を説明する側面断面図である。
図8は、本実施形態に係る冷蔵庫で、第2容器の気流通過用の孔を説明する斜視図である。
【0013】
以下の説明では、冷蔵庫の正面方向側を前方、前方側、あるいは前側、背面方向側を後方、後方側、後側、あるいは奥側、冷蔵庫正面側から見て左方向側を左側、右方向側を右側、左右方向側を左右、と適宜に記載する。
【0014】
冷蔵庫1を構成する冷蔵庫本体10は、上から順に、冷蔵室12と、並列配置された製氷室14及び小冷凍室16と、製氷室14および小冷凍室16の下側に隣接する大冷凍室18と、大冷凍室18の下側に隣接する野菜室(主に野菜を保存する室)20とを貯蔵室として有している。
【0015】
冷蔵室12は、独立した庫内となっていて、チルド室12t(
図2参照)を備えており、冷蔵室12の扉12d1、12d2は、それぞれヒンジを支点として開閉するヒンジタイプとなっている。製氷室14、小冷凍室16、および、大冷凍室18も独立した庫内となっており、各扉14d、16d、18dは、それぞれ独立した収容部を引き出す引出しタイプとなっている。野菜室20も独立した庫内となっていて、下段容器20vおよび上段容器20u(何れも
図3参照)を備えており、野菜室20の扉20dも独立した収容部を引き出す引出しタイプとなっている。
【0016】
製氷室は氷を作るところで、庫内はマイナスの冷凍温度となるよう管理されている。小冷凍室16は、炊飯後のごはん(米)などを急速冷凍する室である。小冷凍室16、大冷凍室18は、何れも、冷凍食品の保存を考慮してマイナスの冷凍温度となるよう管理されている。
【0017】
冷蔵庫1では、主に、凝縮器、圧縮機、絞り装置、蒸発器および冷凍サイクルパイプ(何れも図示せず)によって、冷凍サイクルが形成されている。蒸発器は冷蔵庫本体10の後部に設けられた冷却通路内に配置され、蒸発器によって熱交換された冷気がファン(図示せず)によって各貯蔵室へ送り込まれることで、庫内冷却が行なわれる。
【0018】
なお、圧縮機、凝縮器および絞り装置は冷蔵庫本体10の後方下部に設けられた機械室内に配置されることが多い。
【0019】
<大冷凍室>
大冷凍室18の扉18dは引出し式であり、冷蔵庫本体10の開口部10fから扉18dが前方に並行移動して開口部10fから離間することで大冷凍室18が開き、後方に平行移動して扉18dが開口部10fに接触することで大冷凍室18が閉じる構造になっている。
【0020】
大冷凍室18には、被収容物をそれぞれ収容する3段以上の多段型の貯蔵容器22が配置されている。以下、本実施形態では、多段型の貯蔵容器22(以下、単に貯蔵容器22という)が3段である例で説明するが、3段よりも段数が多い多段であってもよい。
【0021】
貯蔵容器22は、第1容器24と、第1容器24の上側に隣接する第2容器26と、第2容器26の上側に隣接する第3容器28と、を備える。
【0022】
第1容器24の第1支持板部24sg(後述)には、第1容器24が前後方向に移動するときに第2容器26に移動力を与えるための緩やかな丘状の引掛け部(図示せず)が形成されている。そして、第2容器26の下部には、第1容器24のこの引掛け部が後方側から当接することで移動力が伝達される被引掛け部(図示せず)が形成されている。第2容器26のレール面RS(後述)には、第2容器26が前後方向に移動するときに第3容器28に移動力を与えるための緩やかな丘状の引掛け部が形成されている。第3容器28の下部には、第2容器26のこの引掛け部が後方側から当接することで移動力が伝達される被引掛け部が形成されている。
【0023】
このような構成により、第1容器24が引き出されると第2容器26および第3容器28も引き出される。なお、第1容器24の手掛け部24hは、大冷凍室18の扉18dの背面側に接して固定されており、第1容器24と扉18dとは一体的に移動する構成になっている。
【0024】
そして、扉18dの手掛け部18h(第1容器24の引き出し時に手を掛ける引き出し時手掛け部)に手を掛けて引き出すと、第1容器24が扉18dと一体的に引き出され、第2容器26の手掛け部26hが第1容器24の手掛け部24hよりも後方側(しかも扉18dの手掛け部18hの後方側)に位置し、かつ、第3容器28の手掛け部28hが第2容器26の手掛け部26hよりも後方側に位置した状態で引き出されるようになっている。そして、第2容器26が第1容器24の収容空間を覆っている。
【0025】
また、引き出した後、第2容器26を後方へ押し戻して第1容器24を開放する際には、第2容器26の丘状の引掛け部(上述)によって第3容器28が第2容器26と一緒に移動する構成にされている。
【0026】
なお、本実施形態では、大冷凍室18が閉じられている状態(扉18dを閉じた状態)、すなわち、第1~第3容器が最も奥側に位置する状態でも、第2容器26の手掛け部26hが第1容器24の手掛け部24hよりも後方側(しかも扉18dの手掛け部18hの後方側)に位置し、かつ、第3容器28の手掛け部28hが第2容器26の手掛け部26hよりも後方側に位置した状態になっている。しかも、大冷凍室18が閉じられている状態では、下側の容器の引掛け部が上側の容器の被引掛け部よりも後方側に位置している。
【0027】
第1容器24は、上面が開口する深底の略直方体の容器である(
図4参照)。そして第1容器24は、第1容器24の内側空間の周囲を区画している第1側部24w(
図4、
図6参照)と、第2容器26を摺動可能に支えるための第1支持部24s(
図6参照)と、を有する。第1支持部24sは、第1側部24wのうち冷蔵庫正面側から見て左側部および右側部の上端部にそれぞれ連続して容器外側へ張り出している。
【0028】
第1支持部24sは、第1側部24wから第1容器24の幅方向外側へ鍔状に張り出して上面が摺動面となっている第1支持板部24sgと、第1支持板部24sgの容器幅方向外端から上方へ延び出して第2容器26の幅方向外側への移動を規制する規制板部24seとを備える。
【0029】
第2容器26は、上面が開口する中浅の略直方体の容器である(
図4、
図5参照)。そして第2容器26は、第2容器26の内側空間を形成する第2側部26w(
図6参照)と、第2側部26wの左右端の上部にそれぞれ連続する第2支持部26s(
図6参照)と、第2支持部26s上に係止されるレール部材26r(
図5、
図6参照)と、を有する。
【0030】
第2支持部26sは、第2側部26wから第2容器26の幅方向外側へ鍔状に張り出して下面が摺動面となっている第2被支持板部26saと、第2被支持板部26saよりもやや上方位置で第2側部26wから第2容器26の幅方向外側へ鍔状に張り出していてレール部材26rを係止するための係止孔部Hを有する上側板部26suと、を有する。
【0031】
レール部材26rは、短手方向に沿った断面が略コの字状(水平に向けられた角パイプ状で上部を設けないもの)であるレール本体26rmと、レール本体26rmの底面部から下方に突出していて係止孔部Hに挿入される係止凸部Pと、を有する。レール本体26rmには摺動可能なレール面RSが形成されている。
【0032】
第3容器28は、上面が開口する浅底の略直方体の容器である(
図4参照)。第3容器28は、第3容器28の内側空間を形成する第3側部28w(
図6参照)と、第3側部28wの左右端の上部にそれぞれ設けられ、レール面RS上を摺動可能な被支持部28s(
図6参照)と、を有する。
【0033】
被支持部28sは、第3側部28wから第3容器28の幅方向外側へ鍔状に張り出す第3支持板部28suと、第3支持板部28suから下方へ互いに平行に延び出す2つのリブ状の突出部28pとを備える。突出部28pの下端面は摺動面にされており、第3容器28が第2容器26上に配置されたときには突出部28pの下端部がレール面RSに当接して摺動可能になっている。また、レール部材26rの短手方向に沿った断面ではレール本体26rmが略コの字状にされていることにより、突出部28pがレール部材26rから左右方向に外れることが防止されている。
【0034】
このような構成により、第1容器24を引き出したときには、第1容器24の丘状の引掛け部が第2容器26の被引掛け部に後方側から当接して第2容器26も連動して引き出される。しかも、第2容器26が引き出されたときには、第2容器26の丘状の引掛け部が第3容器28の被引掛け部に後方側から当接して第3容器28も連動して引き出される。
【0035】
このようにして第1~第3容器が引き出された後、使用者が第2容器26に手を当てて第2容器26の被引掛け部が第1容器の引掛け部を乗り越えるような押し戻す力(具体的には、使用者が扉18dを片手で固定することで第1容器24を移動しないように固定してもう片手で第2容器26を後方側に押して移動させる力)を第2容器26に与えると、第2容器26は奥側へ移動する。その際、第3容器28は第2容器26と一緒に奥側へ移動する。
【0036】
また、第1~第3容器が引き出された後、使用者が、第2容器26ではなく第3容器28に手を当てて第3容器28の被引掛け部が第2容器26の引掛け部を乗り越えるような押し戻す力(具体的には、使用者が第2容器26を移動しないように片手で固定してもう片手で第3容器28を後方側に押して移動させる力)を第3容器28に与えると、第3容器28は奥側へ移動する。
【0037】
<大冷凍室での気流>
以下、大冷凍室で気流を生じさせる構造について、
図7、
図8を参照しつつ説明する。
【0038】
第1容器24、第2容器26、および、第3容器28には、それぞれ、冷気が通過するための孔24a1、26a1、28a1が形成されている。
【0039】
そして、貯蔵容器22で上下に互いに隣接している容器では、この孔の位置が互いに異なっている。そして、大冷凍室18を閉鎖した状態では、第2容器26の孔26a1は、上側に隣接する第1容器24の孔24a1よりも前方に位置しており、第3容器28の孔28a1は、上側に隣接する第2容器26の孔26a1よりも後方に位置している。
【0040】
本実施形態では、孔24a1、26a1、28a1は、いずれも容器下部に配置されている。そして、孔24a1は、第1側部24wの冷蔵庫正面側から見た左側部および右側部にそれぞれ配置されており、孔26a1、28a1は、いずれも、容器側部(冷蔵庫正面側から見て左右の側部)から容器底部に跨って、スリット状で互いに平行に複数本配置されている(例えば第2容器26では、
図8に示すように、第2容器26の容器側部26yから容器底部26bに跨って形成されている)。そして孔24a1と孔28a1とは、前後方向位置が同一位置である。
【0041】
冷蔵庫本体10の空気循環路Cには、大冷凍室18に冷気を流入させるための循環路第1開口部C1と循環路第2開口部C2とが形成されている。
【0042】
循環路第1開口部C1は第1容器24の後方側に配置されている。そして、第1容器24には、大冷凍室18が閉じているときに循環路第1開口部C1から流出した冷気が流れの向きを変えずにそのまま第1容器24内に流入できるように、容器後方側に後方開口部24jが位置調整されて配置されている(
図7に示す気流F1参照)。すなわち、冷蔵庫正面側から見て、後方開口部24jは、循環路第1開口部C1と重なる位置、もしくは循環路第1開口部C1を内側領域に配置させる位置に形成されている。
【0043】
循環路第2開口部C2は第3容器28の後方側に配置されている。そして、第3容器28には、大冷凍室18が閉じているときに循環路第2開口部C2から流出した冷気が流れの向きを変えずにそのまま第3容器28内に流入できるように、容器後方側に後方開口部28jが位置調整されて配置されている(
図7に示す気流F3参照)。すなわち、冷蔵庫正面側から見て。後方開口部28jは、循環路第2開口部C2と重なる位置、もしくは循環路第2開口部C2を内側領域に配置させる位置に形成されている。
【0044】
ここで、第2容器26の後方側には空気循環路Cから冷気を出す循環路開口は形成されていない。従って、第2容器26の後方側からはこのような冷気は流入しない。
【0045】
また、
図8に示すように、第2容器26の容器底部26bには第2の孔26a2が形成されている。第2の孔26a2は多数の開口が配列(網状としてもよい)したものとして形成されている。本実施形態では、第2の孔26a2は孔26a1よりも前方に配列されている。そして第2の孔26a2の開口総面積は孔26a1の開口総面積よりも大きい。第3容器28の容器底部28bにも、同様に第2の孔28a2が形成されている。また、孔26a1と第2の孔26a2とでは、1個あたり孔の大きさは孔26a1の方が大きい。孔28a1と第2の孔28a2とでも、1個あたり孔の大きさは孔28a1の方が大きい。
【0046】
(作用、効果)
本実施形態では、貯蔵容器22において上下に互いに隣接している容器、すなわち、第1容器24と第2容器26、および、第2容器26と第3容器28では、冷気が通過するための孔の位置が互いに異なる。従って、第1容器24から第2容器26の収容空間で対流することなく第3容器28に冷気が流入することが回避される。従って、第2容器26内の温度を下げるために冷気温度を下げてしまって第1容器24や第2容器26で食品に霜焼けが生じることは、十分に回避される。
【0047】
また、大冷凍室18を閉じた状態では、第3容器28に形成された孔28a1よりも、下側に隣接する第2容器26の孔26a1のほうが前方に位置している。これにより、第3容器28に流入した冷気が孔28a1から第2容器26に流入し、第2容器26内で前方に流動しつつ孔26a1から第1容器24に流入するので、冷気を効率良く利用できる(
図7に示す気流F3参照)。
【0048】
そして、孔26a1、28a1は、容器側部から容器底部に跨って形成されている。これにより、孔形成時の抜き加工をする際、抜く方向の自由度が高くなり、抜き加工作業を行い易い。
【0049】
また、第1~第3容器ではそれぞれ孔24a1、26a1、28a1は容器側部に配置され、第2容器26では第2の孔26a2が容器底部に配置され、第3容器28でも第2の孔が容器底部に配置されているので、容器側部と容器底部との両方から下側へ冷気を流出させることができる。
【0050】
そして、第1容器24は貯蔵容器22の最下段の容器であるので、第1容器24の容器底部にはこのような第2の孔は形成されていない。従って、第1容器24に流入した冷気を第1容器24で効率的に利用することができる。また、第1容器24では孔24a1容器底部に跨っていないので、第2容器26、第3容器28に比べ、冷気を容器内に滞留させ易い。
【0051】
また、第1容器24には、大冷凍室18が閉じているときに循環路第1開口部C1から流出した冷気が向きを変えずに第1容器24内に流入できるように、容器後方側に後方開口部24jが位置調整されて配置されている。そして、第3容器28には、大冷凍室18が閉じているときに循環路第2開口部C2から流出した冷気が向きを変えずに第3容器28内に流入できるように、容器後方側に後方開口部28jが位置調整されて配置されている。従って、第1容器24、第3容器28に冷気を効率的に流入させることができる。
【0052】
そして、第2容器26の後方側には空気循環路Cから冷気を出す循環路開口は形成されていない。従って、第2容器26の後方側からはこのような冷気は流入しないので、第2容器26内では間接冷却をすること、すなわち、空気循環路Cから流出した冷気を直接に当てるのではなく、第3容器28を経由した冷気によって冷却することができる。これにより、食品等の被貯蔵物の温度が下がり過ぎることを回避できるので、霜焼けし易い食品であっても第2容器26に貯蔵することで霜焼けを回避し易い。
【0053】
また、貯蔵容器22は冷凍室に配置されているので、食品からの液が第2容器26や第3容器28内に漏れ出しても液が冷凍される。これにより、容器底部26bに形成された第2の孔26a2から液が下方へ滴ることが効率良く防止されている。
【0054】
また、扉18dの手掛け部18hに手を掛けて引き出すと、第2容器26の手掛け部26hが第1容器24の手掛け部よりも後方側に位置し、かつ、第3容器28の手掛け部28hが第2容器26の手掛け部26hよりも後方側に位置した状態で引き出されるようになっている。これにより、使用者が扉18dに手を掛けて大冷凍室18を開いた際、第2容器26によって第1容器24内の冷気を逃げ難くする構成にし易い。また、第2容器26を移動させることで第3容器28を一緒に移動させる構成にし易い。
【0055】
また、引き出した後、第2容器26を後方へ押し戻して第1容器24を開放する際、第3容器28が第2容器26と一緒に移動する構成にされている。これにより、使用者は、第2容器26を押し戻すことで第3容器28を押し戻すことなく第1容器24を開放させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、扉18dの手掛け部18hに手を掛けて引き出すと、第2容器26が第1容器24の収容空間を覆っており、第1容器24を開放するために第2容器26を移動させると第3容器28も連動して移動する。これにより、第1容器24を引き出したときの第1容器24の密閉性を高めることができ、しかも、第2容器26を移動させる(押し戻す)ことで第3容器28も押し戻されて第1容器24を開放させることができ、使い勝手が良い。なお、本明細書で密閉性とは、空気(冷気)の流入出を抑制できることを意味する。
【0057】
なお、扉18dを引き出しても、第3容器28が閉じた位置に位置するとき、すなわち、大冷凍室18が閉じられて扉18dが開口部10fに接触しているときの配置位置に第3容器28が位置しているとき、大冷凍室18内のうち第1~第3容器の後方側の空間が閉じた空間(冷気循環のために庫内の空気が循環し、庫外の空気が直接にはほとんど出入りしない空間)にされていてもよい。これにより、第1容器24を引き出していても、この閉じた空間から冷気が外部へ逃げることを抑えることができる。このように第1~第3容器の後方側の空間が閉じた空間になるには、例えば第1容器24および第2容器26の後端部が開口部10fから前方側に出ていないことによって実現される。
【0058】
また、レール部材26rの材質は、第1~第3容器とは異なる材質であってもよい。これにより、同一材質の部材同士による摺動時の傷の発生を効果的に抑制することができる。例えば、レール部材26rの材質をジュラポン等の滑り易い材質にすることで、この効果が更に顕著となる。
【0059】
また、大冷凍室18の扉18dを勢いよく引き出すことで第1容器24を勢いよく引き出した際、第3容器28が引き出し方向側(前側)へ勢いよく飛び出すことを防止するために、第2容器26のレール部材26rにストッパ26rs(
図5参照)が配置されていてもよい。
【0060】
ストッパ26rsは、第2容器26の丘状の引掛け部よりも前側に配置されている。ストッパ26rsとしては、例えば、レール部材26rの前端部の底面あるいは側壁からレール内に張り出していて、第1容器24が勢いよく引き出された際に第3容器28の突出部28pがストッパ26rsに当接しても突出部28pの乗り越えを防止した形状(例えば、底面や側壁に対して直角に突出することにより、突出部28pが乗り越えない形状)にされている。更には、第1容器24にもこのようなストッパを配置することで、第2容器26が引き出し方向側(前側)へ勢いよく飛び出すことを防止してもよい。
【0061】
また、左右方向に延びていて第2容器26の手掛け部26hが形成されている第2容器手前部26k(
図5参照)の左右方向側(両サイド側)や、左右方向に延びていて第3容器28の手掛け部28hが形成されている第3容器手前部28k(
図4参照)の左右方向側(両サイド側)に、気流用(空気通過用)の孔が形成されていてもよい。これにより、第2容器26や第3容器28の収容空間から露出している手掛け部付近の気流を有効に利用することができる。
【0062】
この孔としては、第2容器手前部26kや第3容器手前部28kで全面にわたって形成されていることで第2容器手前部26kや第3容器手前部28kが網目状にされていてもよい。この場合、孔の寸法は第2の孔26a2、28a2(
図7、
図8参照)と同寸法であってもよい。
【0063】
また、この孔としては、第2容器手前部26kや第3容器手前部28kで容器幅方向(左右方向)に一列に並ぶように配置されていてもよい。この場合、孔の数は全面にわたって形成される場合に比べて少ないので、空気通過を効果的に行うために、孔は、第2の孔26a2、28a2の2倍から3倍の内径を有してもよい。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。
図9は、本実施形態に係る冷蔵庫で大冷凍室を引き出したときの要部を示す側面断面図である。
【0065】
本実施形態では、第1実施形態に比べ、第2容器26を引き出したとき(例えば、扉18dを引き出すことで第1容器24および第2容器26を引き出したとき)、第3容器28は第2容器26と一緒には移動せずに第2容器26を開放しつつ引き出される。ここで、第2容器26を開放しつつ引き出される、とは、引き出された際に第2容器26内へ上から使用者が手を入れることができるように、引き出された際の第3容器28の移動量が第2容器26の移動量よりも小さいことを意味する。
【0066】
本実施形態では、第2容器26を引き出した際に、第3容器28に引っ掛けて移動させるための緩やかな丘状の引掛け部(上述)はレール面RSの後部に形成されており、また、レール面RSと第3容器28の突出部28pとの摩擦力が十分に低くされている。従って、引き出し開始時では、第3容器28は第2容器26と一緒には移動しない。そして、第2容器26を引き出し可能端(引き出し完了位置)にまで引き出したとき、第3容器28の手掛け部28hは、大冷凍室18の上側に隣接する貯蔵室の扉(製氷室14の扉14dや小冷凍室16の扉16d)よりも手前側に位置するように、緩やかな丘状の引掛け部の配置位置が予め調整されている。
【0067】
この調整の例としては、扉18dを引き出していない状態では引掛け部と被引掛け部とが当接しておらず、第2容器26を少し引き出すと引掛け部と被引掛け部とが当接し、第2容器26の移動に連動して第3容器28が前に出てくるように引掛け部と被引掛け部との配置位置が調整されている。より詳細には、扉18dを閉鎖した状態(引き出していない状態)で、引掛け部と被引掛け部とが前後方向に離れており、その距離は、手掛け部28hの初期位置(扉18dを引き出していないときの位置)から手掛け部28hが扉14dよりも手前側に位置するまでの距離よりも大きく(すなわち扉14dの厚みよりも大きく)なっている。
【0068】
本実施形態では、大冷凍室18の扉18dを引き出したとき、第2容器26が開放されているので使用者が第2容器26を直ぐに使用できることに加え、第3容器28を引き出す際には上側に隣接する製氷室14の扉14dあるいは小冷凍室16の扉16dに邪魔されることなく直ちに第3容器28の手掛け部28hに手を掛けることができて操作性が良い。
【0069】
以上、実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
第1実施形態、第2実施形態に示す冷蔵庫1の構造は、あくまで一例であり、任意の構造を採用することができる。
【0071】
例えば、
図10に示すように、最上段の第3容器28が左右2つに分かれた第3容器28u、28vで構成されていてもよい。これにより、最上段の容器で収容物の整理を細かく正確に行い易い。
【0072】
第3容器28u、28vが第2容器26と一緒に引き出される構造にするには、例えば、第3容器28uの両サイド側、および、第3容器28vの両サイド側に、レール部材26rがそれぞれ配置される。そして、左右方向外側のレール部材26rは第2容器26に配置され、左右方向内側のレール部材26rは、第3容器28uと第3容器28vとの間に配置された仕切部32で支えられる。第3容器28uは両サイド部に被引掛け部が設けられ、第3容器28vの両サイド側のレール部材26rにはそれぞれ引掛け部が配置されている。
【0073】
第3容器28u、28vが第2容器26と一緒に引き出されない構造にするには、例えば、上記の引き出される構造に比べ、引掛け部、被引掛け部が設けられていない構造にする。これにより、第2容器26と第3容器28とは連動しないので、第2容器26を引き出しても第3容器28は引き出されない。
【0074】
なお、第3容器28u、28vが第2容器26と一緒に引き出される構造、引き出されない構造の何れであっても、仕切部32で支えられる左右方向内側のレール部材26rに代えて、仕切部32の左右方向両側の側面部に第3容器案内用の細長い平板状で鍔状の案内部を設け、第3容器28u、28vのそれぞれの左右方向内側に、この案内部で案内されるスリット状の凹部が形成されていてもよい。
【0075】
この場合、また、第3容器28u、28vには、両方の側面部(左右方向両側の側面部)に孔28a1が形成されていても良いし、片側の側面部(例えば正面側から見て容器幅方向外側の側面部)にのみ形成されていても良い。
【0076】
また、手掛け部は、手を上から入れる構成でも良いし、下から入れる構成でも良く、両方の構成を取り入れた冷蔵庫としてもよい。
【0077】
また、第1~第3容器の色調を互いに異ならせてもよい。これにより、色調毎に収容物を整理することができる。色調は、例えば、青、緑、白などであり、透明にしても良い。
【0078】
また、第1実施形態、第2実施形態では、冷凍室に第1~第3容器が配置された例で説明したが、第1~第3容器が冷蔵室に配置されていても、同様の効果を奏することができる。
【0079】
また、貯蔵容器として第1~第3容器が配置された例で説明したが、上下に重ねられる容器数は3つ限らず、4つ、5つ、あるいはそれ以上であってもよい。
【0080】
また、孔24a1、26a1、28a1を、容器下部ではなく容器上部に配置することも可能である。
【0081】
更には、上段容器から下段容器になる従い(すなわち、第3容器28から第1容器24になるに従い)、孔28a1、26a1、24a1の位置が前から順次に後の位置になっていてもよいし、後から順次に前の位置になっていてもよい。また、孔26a1、28a1が容器底部に跨っていなくてもよい。
【0082】
また、孔24a1、26a1、28a1の少なくとも一部が容器の前壁に形成されていてもよいし、容器の後壁に形成されていてもよい。
【0083】
また、冷蔵庫正面側から見て容器の左側部と右側部とで孔24a1、26a1、28a1の位置が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 冷蔵庫
10 冷蔵庫本体
10f 開口部
12 冷蔵室
14 製氷室
14d 扉
16 小冷凍室
16d 扉
18 大冷凍室
18d 扉
18h 手掛け部
20 野菜室
20d 扉
20u 上段容器
20v 下段容器
22 貯蔵容器
24 第1容器
24a1 孔
26a2 第2の孔
24h 手掛け部
24j 後方開口部
24s 第1支持部
24sg 第1支持板部
24se 規制板部
24w 第1側部
26 第2容器
26a1 孔
26a2 第2の孔
26b 容器底部
26h 手掛け部
26k 第2容器手前部
26r レール部材
26rm レール本体
26rs ストッパ
26s 第2支持部
26sa 第2被支持板部
26su 上側板部
26y 容器側部
26w 第2側部
28 第3容器
28a1 孔
28a2 第2の孔
28b 容器底部
28h 手掛け部
28j 後方開口部
28k 第3容器手前部
28p 突出部
28s 被支持部
28su 第3支持板部
28u 第3容器
28v 第3容器
28w 第3側部
32 仕切部
C 空気循環路
C1 循環路第1開口部
C2 循環路第2開口部
F1 気流
F3 気流
H 係止孔部
P 係止凸部
RS レール面