(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220913BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B66F9/24 H
B66F11/04
(21)【出願番号】P 2018207846
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391033115
【氏名又は名称】株式会社カナモト
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 道信
(72)【発明者】
【氏名】長島 敏一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-052948(JP,A)
【文献】特開平02-282199(JP,A)
【文献】特開平09-048596(JP,A)
【文献】実開平07-028199(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B66F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、該基台に搭載された昇降機構と、該昇降機構により移動するとともに作業員が搭乗して所定の作業を行うための作業床と、該作業床に配設され前記作業員の操作により前記昇降機構の動作を操作するための操作部とを有する高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段であって、
前記作業床が障害物と干渉する位置に至った場合に動作するよう前記作業床に配設した障害物検出センサと、
主スイッチの動作を条件として前記操作部の所定の操作により前記作業床の移動を制御する主制御部と、
前記障害物検出センサが前記位置に至ったことを検出して動作した場合、前記主スイッチが動作していても前記操作部の操作による前記作業床の移動を禁止するとともに、前記主スイッチの動作と非常動作スイッチの動作とを条件として前記操作部の操作による前記作業床の移動を許容する安全制御部と
、を有し、
前記安全制御部は、前記主スイッチのメーク接点および該メーク接点と並列に接続され前記メーク接点と同期して動作する前記主スイッチのブレーク接点、前記主スイッチのメーク接点とブレーク接点とに直列に接続されたリレーのa接点、前記主スイッチのブレーク接点の一方の端子と前記リレーのa接点の一方の端子との間に接続された前記リレーのb接点、前記リレーのコイル、該コイルと直列に接続された前記障害物検出センサのb接点および前記コイルと前記障害物センサのb接点との間に前記障害物検出センサのb接点と並列に接続された前記非常動作スイッチのメーク接点、を有し、
前記障害物検出センサが動作していない通常時には、前記障害物検出センサのb接点を介して前記コイルが励磁され、前記リレーのa接点が閉成されることにより、前記主スイッチの動作を条件として前記操作部の所定の操作により前記主制御部を介して前記作業床の移動を可能とする一方、
前記障害物検出センサが動作した異常時には、前記障害物検出センサのb接点が開放され、前記コイルが消勢されて前記リレーのa接点が開放されるとともに前記リレーのb接点が閉成されることにより、前記主スイッチが動作してそのメーク接点が閉成されても前記主制御部による前記作業床の前記制御を禁止するとともに、非常動作スイッチを動作させることによりそのメーク接点を閉成して前記コイルを励磁し、前記a接点を閉成した状態で前記主スイッチを動作させることを条件として前記操作部の所定の操作により前記作業床の移動を前記主制御部で制御可能にするものであることを特徴とする高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段。
【請求項2】
前記障害物検出センサは、前記作業床を構成するバスケットの四隅から鉛直方向で上方に向けて立設したポール先端に備えられ、障害物に干渉した時点で動作するリミットスイッチであって、
前記リミットスイッチは、障害物に干渉した際に撓んで衝撃を吸収する可撓性部材で形成したアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段。
【請求項3】
前記主スイッチは、足でペダルを踏み込むことにより前記メーク接点が閉成されるフットスイッチであることを特徴とする請求項2に記載の高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段。
【請求項4】
前記非常動作スイッチは、その操作部を操作している間前記非常動作スイッチのメーク接点が閉成されるとともに、前記操作を解除することにより前記非常動作スイッチのメーク接点が開放されるように構成したものであることを特徴とする請求項3に記載の高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段。
【請求項5】
前記昇降機構は起伏、伸縮、旋回可能なブームを有し、前記作業床は前記ブームの先端に取り付けられたバスケットで構成したことを特徴とする請求項4に記載の高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業装置の制御手段に関し、特にバスケット等の作業床と障害物との干渉防止機能を備える高所作業車に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は高所に上昇できる作業床(作業員が搭乗するバスケット等の場所)を備えて作業者による高所での所定の作業を可能にするものである。この種の高所作業車において作業床は予め定められた所定の移動範囲を移動するように構成されている。
【0003】
しかしながら、作業床が所定の移動範囲を移動している場合でも、当該移動範囲に障害物が存在する場合には、障害物と作業床との干渉を生起する。そこで、かかる干渉を未然に防止すべく種々の安全手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1をはじめとして、従来技術に係る安全手段は障害物の検出構造が複雑で、簡易かつ正確に障害物の存在を検出して適切に作業床の移動を停止するという観点からは充分な機能を有するものではなかった。さらに、従来技術では、作業床を停止させた後、迅速に停止位置から作業床を退避させることができない。このため、障害物を回避した次の作業に円滑に移行することができないという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、作業床と障害物との干渉を未然に防止するよう作業床の移動を停止すると同時に、停止位置からの作業床の退避も簡単かつ迅速に行い得る作業装置の制御手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
基台と、該基台に搭載された昇降機構と、該昇降機構により移動するとともに作業員が搭乗して所定の作業を行うための作業床と、該作業床に配設され前記作業員の操作により前記昇降機構の動作を操作するための操作部とを有する作業装置の制御手段であって、
前記作業床が障害物と干渉する位置に至った場合に動作するよう前記作業床に配設した障害物検出センサと、
主スイッチの動作を条件として前記操作部の所定の操作により前記作業床の移動を制御する主制御部と、
前記障害物検出センサが前記位置に至ったことを検出して動作した場合、前記主スイッチが動作していても前記操作部の操作による前記作業床の移動を禁止するとともに、前記主スイッチの動作と非常動作スイッチの動作とを条件として前記操作部の操作による前記作業床の移動を許容する安全制御部とを有するとともに、
前記安全制御部は、前記主スイッチのメーク接点および該メーク接点と並列に接続され前記メーク接点と同期して動作する前記主スイッチのブレーク接点、前記主スイッチのメーク接点とブレーク接点とに直列に接続されたリレーのa接点、前記主スイッチのブレーク接点の一方の端子と前記リレーのa接点の一方の端子との間に接続された前記リレーのb接点、前記リレーのコイル、該コイルと直列に接続された前記障害物検出センサのb接点および前記コイルと前記障害物センサのb接点との間に前記障害物検出センサのb接点と並列に接続された前記非常動作スイッチのメーク接点を有し、
前記障害物検出センサが動作していない通常時には、前記障害物検出センサのb接点を介して前記コイルが励磁され、前記リレーのa接点が閉成されることにより、前記主スイッチの動作を条件として前記操作部の所定の操作により前記主制御部を介して前記作業床の移動を可能とする一方、
前記障害物検出センサが動作した異常時には、前記障害物検出センサのb接点が開放され、前記コイルが消勢されて前記リレーのa接点が開放されるとともに前記リレーのb接点が閉成されることにより、前記主スイッチが動作してそのメーク接点が閉成されても前記主制御部による前記作業床の前記制御を禁止するとともに、非常動作スイッチを動作させることによりそのメーク接点を閉成して前記コイルを励磁し、前記a接点を閉成した状態で前記主スイッチを動作させることを条件として前記操作部の所定の操作により前記作業床の移動を前記主制御部で制御可能にするものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載する高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段において、
前記障害物検出センサは、前記作業床を構成するバスケットの四隅から鉛直方向で上方に向けて立設したポール先端に備えられ、障害物に干渉した時点で動作するリミットスイッチであって、
前記リミットスイッチは、障害物に干渉した際に撓んで衝撃を吸収する可撓性部材で形成したアクチュエータであることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、
第2の態様に記載する高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段において、
前記主スイッチは、足でペダルを踏み込むことにより前記メーク接点が閉成されるフットスイッチであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、
第3の態様に記載する高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段において、
前記非常動作スイッチは、その操作部を操作している間前記非常動作スイッチのメーク接点が閉成されるとともに、前記操作を解除することにより前記非常動作スイッチのメーク接点が開放されるように構成したものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の態様は、
第4の態様に記載する高所作業車の作業床上昇時における障害物干渉回避手段において、
前記昇降機構は起伏、伸縮、旋回可能なブームを有し、前記作業床は前記ブームの先端に取り付けられたバスケットで構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業床の移動に伴い作業床が障害物と干渉する位置に至った場合には、障害物検出センサがこの状態を検知して主操作部による作業床の移動を禁止するので、作業床と障害物との衝突を未然に防止し得る。一方、かかる作業床の移動の禁止状態から作業床を移動して干渉位置から退避させる場合には、非常動作スイッチを動作させることで前記禁止状態が解除されるので、主スイッチを動作させることにより主制御部による作業床の移動・制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る制御方式を適用した高所作業車の全体を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す高所作業車のバスケット部分を抽出・拡大して詳細に示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る制御方式を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
本形態は
図1に示すような高所作業車の制御方式として例示するものである。ただ、本発明の制御方式の適用対象は高所作業車に限定するものではない。作業員が搭乗して所定の作業を行うための作業床を有し、この作業床を昇降および移動する装置であれば車両に限るものではない。したがって、基台を有し、該基台上に作業床を備えた昇降機構を有する作業装置であれば、車両以外にも広く適用し得る。すなわち、本形態は、基台が自走し得る車両であるが、このように基台が自走し得るように構成することは、必ずしも必要ではない。
【0018】
図1に示す高所作業車Iは、ブーム1の先端に取り付けられた作業床であるバスケット2を有しており、バスケット2に作業員4が搭乗する一方、ブーム1でバスケット2を移動することにより、図中の走行低速範囲Aおよび走行停止範囲Bからなる作業範囲(A+B)内で作業員4が所定の高所作業を行うようになっている。ここで、ブーム1は、屈伸ブーム1Aと伸縮ブーム1Bからなる。屈伸ブーム1Aは基端部が旋回台5に取り付けられて起伏動作を行う。伸縮ブーム1Bはその先端にバスケット2が取付けられており、屈伸ブーム1Aの先端からその軸方向に伸縮することによりバスケット2の位置を移動する。また、旋回台5はクローラを介して自走する車体6に配設されて水平面内を旋回可能に形成されている。
【0019】
かかる高所作業車を用いて所定の高所作業を行う場合、予め定められた作業範囲(A+B)内であっても障害物が存在する場合には、この障害物を検出してバスケット2の移動を停止させる必要がある。バスケット2が障害物に衝突するのを回避するためである。
【0020】
そこで、本形態を適用する高所作業車Iのバスケット2には、
図2に示すように、障害物を検出するための障害物検出センサであるリミットスイッチL1,L2,L3,L4が設けてある。さらに詳言すると、リミットスイッチL1~L4はバスケット2の四隅に上方に伸びて固定されたポール3A,3B,3C,3Dの先端にそれぞれ配設されている。各リミットスイッチL1~L4は、上方に伸びるとともに可撓性部材で形成したアクチュエータL1a,L2a,L3a,L4aを有している。これは、障害物に接触した場合に各アクチュエータL1a~L4aが撓むことにより接触時の衝撃を吸収させるためである。
【0021】
かくしてバスケット2の移動に伴い、バスケット2が障害物に干渉する虞が生起された場合には、いずれかのアクチュエータL1a~L4aが障害物に接触して撓むことにより、対応するリミットスイッチL1~L4が動作して、そのb接点(制御装置とともに後に詳述する)を開放する。かかる異常状態を検出した場合には、操作部12や主スイッチであるフットスイッチFを用いての通常のバスケット2の移動・制御が禁止される。かかる禁止状態は非常動作スイッチSWとフットスイッチFを同時に動作させることで解除されるが、この間の制御の詳細に関しては
図3に基づき後に詳述する。
【0022】
図3は本実施形態に係る高所作業車の制御装置を示すブロック図である。同図に示すように、制御装置IIは、高所作業車Iの全体の制御を行うECU(電子制御ユニット)で形成した主制御部11Aと、高所作業車Iの作業の安全を担保するための安全制御部11Bとを有している。安全制御部11Bは、障害物検出センサであるリミットスイッチL1~L4(
図2参照。以下、同じ)が障害物を検出して動作した場合、主スイッチであるフットスイッチF(
図2参照。以下、同じ)が動作していても操作部12の操作によるバスケット2(
図1、
図2参照。以下、同じ)の移動を禁止するとともに、フットスイッチFの動作と非常動作スイッチSW(
図2参照。以下、同じ)の動作を条件として操作部12の操作によるバスケット2の移動を許容する。
【0023】
主制御部11Aは、ジョイスッティックを有する操作部12の操作により開閉制御される電磁弁13を介して油圧シリンダ14を動作させる。かかる油圧シリンダ14の動作により高所作業車Iの各ブーム1(
図1参照;以下同じ)を各油圧シリンダ14により伸縮させて、バスケット2が所定の位置に移動するよう制御する。
【0024】
安全制御部11B中、CはリレーRのコイル、RaはリレーRのa接点、RbはリレーRのb接点、FaはフットスイッチFのメーク接点、FbはフットスイッチFのブレーク接点、L1b,L2b,L3b,L4bはリミットスイッチL1~L4の各b接点である。
【0025】
この結果、フットスイッチFの動作時には、メーク接点Faが閉成され、ブレーク接点Fbが開放される。すなわち、フットスイッチFのメーク接点Faとブレーク接点Fbとの間では、一方が閉成時には他方が開放され、一方が開放時には他方が閉成され、いわゆるインターロックが実現されている。a接点Raは主制御部11AのCOM(+12v)端子とメーク接点Faとの間に、b接点Rbはa接点Raの主制御部11A側とブレーク接点Fbの主制御部11A側との間に接続されている。a接点およびb接点を有するリレーRのコイルCは一方がa接点の主制御部11A側でそのCOM端子に接続され、他方がリミットスイッチL4のb接点L4bに接続されている。ここで、リミットスイッチL1~L4のb接点L1b,L2b,L3b,L4bは相互に直列に接続されている。また、非常動作スイッチSWは、そのメーク接点SWaがコイルCとb接点L4bとの間で、b接点L4b,L3b,L2b,L1bに並列に接続されている。本形態における非常動作スイッチSWは、プッシュ釦スイッチで好適に形成し得るが、いずれにしてもプッシュ釦の押下等、その操作が継続されている間のみメーク接点SWaが閉成されるスイッチを用いる。
【0026】
上述の如く構成された制御装置IIによる制御は次のような態様で実行される。
1)通常時(バスケット2が障害物干渉することなく移動している場合)
リミットスイッチL1~L4はいずれも動作していないので、b接点L1b~L4bは全て閉成されている。この結果、リレーRのコイルCが励磁され、a接点Raを閉成するとともに、b接点Rbを開放する。かかる状態でフットスイッチFを踏み込めばメーク接点Faが閉成され、同時にブレーク接点Fbが開放される。
【0027】
かかる状態で、本形態ではジョイスティックで形成した操作部12の所定の操作を行うことにより主制御部11Aを介して電磁弁13のON/OFFを制御し、適宜油圧シリンダ14を駆動してブーム1を移動し、バスケット2を所定の位置に移動する。
【0028】
2)異常検出時(リミットスイッチL1~L4の動作時)
バスケット2が所定の作業範囲(A+B)(
図1参照;以下同じ)内に在ってもリミットスイッチL1~L4の何れか一個が障害物に接触することによってb接点L1b~L4bの何れか一個が開放されると、リレーRのコイルCが消勢される。この結果、a接点Raが開放されるとともに、b接点Rbが閉成される。
【0029】
かかる状態ではフットスイッチFを踏み込んで、操作部12を操作しても電磁弁13を動作させることはできない。リレーRのコイルCが消勢され、a接点Raが開放されているからである。かくしてブーム1を介してのバスケット2の移動が禁止される。
【0030】
3)異常状態の解除時(バスケット2の非常停止位置からの退避時)
リミットスイッチLS1~LS4の動作によりバスケット2の移動が禁止された異常時には、非常用スイッチSWを作動する(プッシュ釦スイッチの場合はスイッチ釦を押下する)。このことによりコイルCを励磁することでa接点Raを閉成し、b接点を開放する。これは、通常時と同様のモードである。そこで、通常時と同様にフットスイッチFを踏み込めばメーク接点Faが閉成され、同時にブレーク接点Fbが開放される。この結果、通常時と同様に、操作部12を操作することにより電磁弁13を制御し、油圧シリンダ14を駆動させてバスケット2を移動することができる。この結果、リミットスイッL1~L4の動作状態が解除される。ここで、非常用スイッチSWは押下している間、動作してメーク接点SWaが閉成されているので、コイルCの励磁状態も継続される。そこで、リミットスイッL1~L4と障害物の接触が解除されるまで非常用スイッチSWを押下した状態で、同時に操作部12を操作してバスケット2を障害物との緩衝がない位置に移動する。
【0031】
なお、
図1はブーム式の高所作業車であるが、これは他の形式、例えば垂直昇降式の高所作業車であっても勿論、構わない。ここで、垂直昇降式とは、作業床であるプラットホームが垂直に昇降する構造のものである。本発明の対象となる高所作業車とは、1)2m以上の高さに上昇できる作業床(作業車が作業時に搭乗する場所)を持ち、昇降装置、走行装置等により構成されるものであること、2)作業床の上昇、下降等に人力以外の動力を使用するものであること、3)不特定の場所に自走できること、の3条件を充足するものであれば、それ以上の限定はない。
【0032】
また、上記実施の形態においては、リミットスイッチL1~L4でバケット2の上方の障害物を検出するようにしたが、これに限るものではない。例えば水平方向に存在する障害物の検出に利用できるように構成することもできる。この場合には、例えばリミットスイッチL1~L4をバスケット2から水平方向に突出させれば良い。障害物検出センサとしてのリミットスイッチL1~L4もこれに限るものではない。例えば、近接センサで代替することもできる。
【0033】
また、主スイッチをフットスイッチFに限定するものでもない。マスターキー方式のキーを操作して動作させるスイッチでも良い。
【符号の説明】
【0034】
I 高所作業車
II 制御装置
A+B 作業範囲
F フットスイッチ
1 ブーム
2 バスケット
4 作業員
11A 主制御部
11B 安全制御部
12 操作部
L1~L4 リミットスイッチ
R リレー
C コイル
SW 非常動作スイッチ