(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ギヤ機構の組付構造、及び車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/46 20060101AFI20220913BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20220913BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F16H1/46
F16H25/20 Z
B60J5/10 K
(21)【出願番号】P 2018244834
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】山形 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】天野 素晴
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-217539(JP,A)
【文献】特開平2-31047(JP,A)
【文献】特開平6-81906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/46
F16H 25/20
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽ギヤと、
前記太陽ギヤに噛み合う遊星ギヤと、
前記遊星ギヤに噛み合う内歯ギヤを有するケースと、
前記ケースに収容され、前記遊星ギヤを自転自在かつ前記太陽ギヤを中心にして公転自在に支持するとともに、前記遊星ギヤの前記太陽ギヤに対する公転に連動して回転するキャリアと
を備えたギヤ機構の組付構造であって、
前記遊星ギヤは、
前記遊星ギヤの自転中心に沿って設けられた遊星ギヤ孔と、
前記遊星ギヤの軸方向の端部から突出した突出部と
を備え、
前記キャリアは、
前記遊星ギヤを収容し、前記キャリアに設けられた開口を有する収容部と、
前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔に挿通され、前記遊星ギヤを軸支するギヤシャフトと、
前記収容部の一部を構成し、前記ギヤシャフトが挿通されたキャリア孔が設けられたキャリアプレートと、
前記キャリアプレートの前記収容部に対向する端面に設けられ、前記遊星ギヤを前記開口から挿入して前記キャリアに組み付けるときに、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔と前記キャリアの前記キャリア孔とが位置合わせされる組付位置に前記遊星ギヤを保持するように、前記遊星ギヤの前記突出部を保持する保持部を備え、
前記遊星ギヤが前記組付位置に保持された状態で、前記ギヤシャフトが、前記キャリアの前記キャリア孔と、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔とに挿通されることで前記遊星ギヤが前記キャリアに組み付けられる、ギヤ機構の組付構造。
【請求項2】
前記キャリアは、前記キャリアプレートに設けられ、前記組付位置に前記遊星ギヤを案内するように、前記遊星ギヤの前記突出部を前記保持部に案内する案内部を備える、請求項1に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項3】
前記案内部は、前記キャリアの前記開口から前記保持部に向かって設けられ、前記遊星ギヤの前記突出部の移動を規制する一対の規制部を備え、
前記一対の規制部は、前記キャリアの前記開口から前記保持部に向かって、互いに近接するように設けられている導入部を有する、請求項2に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項4】
前記キャリアプレートは、前記キャリアプレートの外周縁において、前記キャリアの前記開口に向かって、前記キャリアの軸方向の外側に向かって傾斜する傾斜部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項5】
前記保持部は、前記キャリアプレートの前記収容部に対向する端面から凹むように設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項6】
前記保持部は、前記キャリアプレートに立設された複数の突起を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項7】
前記保持部は、前記キャリアプレートに立設された壁部を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のギヤ機構の組付構造。
【請求項8】
電動モータ及び前記電動モータの回転を減速する減速機構を有するモータ駆動機構と、
前記モータ駆動機構を収容する第1ハウジングと、
前記モータ駆動機構に接続されたスピンドル駆動機構と、
前記第1ハウジングに対して同軸に配置され、前記スピンドル駆動機構によって前記第1ハウジングに対して相対的に移動する第2ハウジングと
を備え、
前記減速機構は、複数のギヤ機構を有し、
前記複数のギヤ機構のうちの少なくとも1つは、
太陽ギヤと、
前記太陽ギヤに噛み合う遊星ギヤと、
前記遊星ギヤに噛み合う内歯ギヤを有するケースと、
前記ケースに収容され、前記遊星ギヤを自転自在かつ前記太陽ギヤを中心にして公転自在に支持するとともに、前記遊星ギヤの前記太陽ギヤに対する公転に連動して回転する略円筒状のキャリアと
をそれぞれ備え、
前記遊星ギヤは、
前記遊星ギヤの自転中心に沿って設けられた遊星ギヤ孔と、
前記遊星ギヤの軸方向の端部から突出した突出部と
を備え、
前記キャリアは、
前記遊星ギヤを収容し、前記キャリアの側面に設けられた開口を有する収容部と、
前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔に挿通され、前記遊星ギヤを軸支するギヤシャフトと、
前記収容部の一部を構成し、前記ギヤシャフトが挿通されたキャリア孔が設けられたキャリアプレートと、
前記キャリアプレートの前記収容部に対向する端面に設けられ、前記遊星ギヤを前記開口から挿入して前記キャリアに組み付けるときに、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔と前記キャリアの前記キャリア孔とが位置合わせされる組付位置に前記遊星ギヤを保持するように、前記遊星ギヤの前記突出部を保持する保持部を備え、
前記遊星ギヤが前記組付位置に保持された状態で、前記ギヤシャフトが、前記キャリアの前記キャリア孔と、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔とに挿通されることで前記遊星ギヤが前記キャリアに組み付けられる、車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤ機構の組付構造及び車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両用ドア開閉装置は、ドアとボディとの間に介設された伸縮可能な支持部材を備えている。支持部材によってバックドアを所定の開位置に保持可能である。この支持部材は、電動モータ駆動機構を有する第1ハウジングユニットと、第1ハウジングユニットと結合一体化された第2ハウジングユニットとからなる。第2ハウジングユニットは、電動モータ駆動機構によって駆動されるスピンドル駆動機構を備える。
【0003】
この電動モータ駆動機構は、電動モータと、電動モータの回転を減速させる減速ギヤ機構とを備える。減速ギヤ機構は、遊星ギヤと、遊星ギヤを回転自在に軸支するギヤシャフトを有するキャリアとを備える遊星ギヤ機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊星ギヤ機構の組立では、遊星ギヤとキャリアとにギヤシャフトを挿通可能な所定位置に、遊星ギヤとキャリアとを配置した後、遊星ギヤとキャリアにギヤシャフトが挿通されて、遊星ギヤとキャリアとが組み付けられることがある。遊星ギヤとキャリアとを組み付けるとき、遊星ギヤとキャリアとの位置のズレを調整しながらギヤシャフトを挿通する必要があり、組み付け作業の作業性に改善の余地がある。
【0006】
しかし、特許文献1には、遊星ギヤのキャリアに対する組み付け作業の作業性に関する記載がない。
【0007】
本発明は、遊星ギヤのキャリアに対する組付作業の作業性を向上できるギヤ機構の組付構造、及び車両用ドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、太陽ギヤと、前記太陽ギヤに噛み合う遊星ギヤと、前記遊星ギヤに噛み合う内歯ギヤを有するケースと、前記ケースに収容され、前記遊星ギヤを自転自在かつ前記太陽ギヤを中心にして公転自在に支持するとともに、前記遊星ギヤの前記太陽ギヤに対する公転に連動して回転するキャリアとを備えたギヤ機構の組付構造であって、前記遊星ギヤは、前記遊星ギヤの自転中心に沿って設けられた遊星ギヤ孔と、前記遊星ギヤの軸方向の端部から突出した突出部とを備え、前記キャリアは、前記遊星ギヤを収容し、前記キャリアに設けられた開口を有する収容部と、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔に挿通され、前記遊星ギヤを軸支するギヤシャフトと、前記収容部の一部を構成し、前記ギヤシャフトが挿通されたキャリア孔が設けられたキャリアプレートと、前記キャリアプレートの前記収容部に対向する端面に設けられ、前記遊星ギヤを前記開口から挿入して前記キャリアに組み付けるときに、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔と前記キャリアの前記キャリア孔とが位置合わせされる組付位置に前記遊星ギヤを保持するように、前記遊星ギヤの前記突出部を保持する保持部を備え、前記遊星ギヤが前記組付位置に保持された状態で、前記ギヤシャフトが、前記キャリアの前記キャリア孔と、前記遊星ギヤの前記遊星ギヤ孔とに挿通されることで前記遊星ギヤが前記キャリアに組み付けられる、ギヤ機構の組付構造を提供する。
【0009】
このギヤ機構の組付構造によれば、遊星ギヤをキャリアの開口から挿入してキャリアの収容部に組み付けるときに、キャリアプレートに設けられた保持部によって、遊星ギヤが所定の組付位置に保持される。これにより、遊星ギヤの遊星ギヤ孔と、キャリアのキャリア孔とにシャフトを挿入するときに、遊星ギヤの脱落を確実に防止することができ、遊星ギヤ孔とキャリア孔との位置を調整する必要がないため、組付の作業性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のギヤ機構の組付構造は、遊星ギヤのキャリアに対する組み付け作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用ドア開閉装置が採用される車体の後部を示す斜視図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両用ドア開閉装置の縦断面図。
【
図4】第1実施形態に係る第1減速ギヤ機構の分解斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る第2減速ギヤ機構の分解斜視図。
【
図6】第1実施形態に係る第1キャリアユニットを、電動モータ側から見た分解斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る第1キャリアユニットを、第2減速ギヤ機構側から見た分解斜視図。
【
図8】第1実施形態に係る第1キャリアプレートに設けられた第1キャリア孔の周辺の斜視図。
【
図9】第1実施形態に係る第1キャリアプレートに設けられた第1キャリア孔の周辺の上面図。
【
図10】第1実施形態に係る第2キャリアユニットを、第1減速ギヤ機構側から見た分解斜視図。
【
図11】第1実施形態に係る第2キャリアユニットを、スピンドル側から見た分解斜視図。
【
図12】第2実施形態に係る第1キャリアプレートに設けられた第1キャリア孔の周辺の斜視図。
【
図13】第3実施形態に係る第1キャリアプレートに設けられた第1キャリア孔の周辺の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る車両用ドア開閉装置1が採用される車両2の後部を示す斜視図である。
【0014】
図1を参照すると、本実施形態の車両用ドア開閉装置1は、円筒状であり、車両2のドア2aとボディ2bとに接続されている。車両用ドア開閉装置1が伸縮することで、ドア2aは、開閉駆動される。以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、及び「半径方向」とは、車両用ドア開閉装置1の軸方向、周方向、及び半径方向をそれぞれ示す場合がある。
【0015】
図2は、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置の縦断面図である。
【0016】
図2を参照すると、本実施形態の車両用ドア開閉装置1は、第1ハウジング10と、第2ハウジング20と、モータ駆動機構30と、スピンドル駆動機構40とを備える。
【0017】
第1ハウジング10は、モータ駆動機構30を収容する円筒状の収容部11と、収容部11と螺合して固定される円筒状のカバー部12とを備える。ここで、第1ハウジング10は、収容部11とカバー部12が一体構造であってもよい。収容部11の軸方向の一方の端部(図において右側の端部)は、開口しており、軸端部材13によって閉塞されている。第1ハウジング10は、軸端部材13に連結された図示しないボールジョイントを介して、車両2のボディ2b(
図1に示す)に連結される。
【0018】
第2ハウジング20は、円筒状であり、第2ハウジング20の外径は、第1ハウジング10の内径よりも小さい。第2ハウジング20は、第1ハウジング10に対して同軸に配置され、第1ハウジング10に対して軸方向に相対的に移動できるように、第1ハウジング10の内部に収容されている。第2ハウジング20の一方の端部は、軸端部材21によって閉塞されている。第2ハウジング20は、軸端部材21に連結された図示しないボールジョイントを介して、車両2のドア2a(
図1に示す)に連結される。また、第2ハウジング20の半径方向の内側には、コイルスプリング22が第2ハウジング20と同軸に配置されている。
【0019】
コイルスプリング22の一方の端部(図において右側の端部)は、第1ハウジング10に当接しており、コイルスプリング22の他方の端部(図において左側の端部)は、第2ハウジング20に当接している。コイルスプリング22は、圧縮された状態で配置されており、車両用ドア開閉装置1が伸長する向きに、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを弾性的に付勢する。
【0020】
モータ駆動機構30は、駆動源である電動モータ31と、電動モータ31の回転速度を減速する減速機構32とを備える。モータ駆動機構30は、第1ハウジング10の収容部11の内部に収容されている。具体的には、電動モータ31と減速機構32は、第1ハウジング10の収容部11に固定されている。
図2に明瞭に示すように、電動モータ31の出力シャフト31aの先端には、減速機構32に電動モータ31の出力シャフト31aの回転を伝達するための太陽ギヤ33が固定されている。太陽ギヤ33は、出力シャフト31aと同軸上に設けられており、出力シャフト31aが回転すると、回転軸C回りに回転する。本実施形態では、太陽ギヤ33は、ヘリカルギヤである。減速機構32は、本発明に係るギヤ機構の一例である。
【0021】
スピンドル駆動機構40は、スピンドル50と、スピンドルナット60と、プッシュロッド70と、ガイド管80とを備える。スピンドル駆動機構40は、半径方向において、コイルスプリング22の内側に配置されている。具体的には、半径方向において、コイルスプリング22の内側には、ガイド管80が配置されており、ガイド管80の内側には、プッシュロッド70が収容されている。また、スピンドルナット60は、プッシュロッド70の一方の端部に固定されている。スピンドル50は、半径方向において、プッシュロッド70及びスピンドルナット60の内側に配置されている。
【0022】
スピンドル50は、
図2に最も明瞭に示すように、外周面にねじ溝50aが設けられている。スピンドル50は、第1ハウジング10内に同軸に配置されている。
図2に最も明瞭に示すように、スピンドル50の基端部50bは、第1ハウジング10に設けられた軸受14によって回転可能に支持されている。また、スピンドル50は、減速機構32を介して、電動モータ31の出力シャフト31aと機械的に連結されており、電動モータ31によって回転駆動される。
【0023】
車両2のドア2a(
図1に示す)が閉じている状態では、車両用ドア開閉装置1は、
図2に示すように、コイルスプリング22が最も圧縮された状態にあり、スピンドルナット60は、スピンドル50の基端部50b付近に位置する。この状態から、電動モータ31を駆動させると、電動モータ31の出力シャフト31aの回転は、減速機構32により減速されてスピンドル50へと伝達され、スピンドル50が回転駆動される。スピンドルナット60及びプッシュロッド70と、ガイド管80及び第1ハウジング10とは相対回転しないように係合されているため、スピンドル50の回転運動は、スピンドルナット60のガイド管80に対する相対的な直線運動に変換される。具体的には、スピンドルナット60及びプッシュロッド70は、軸方向に移動する。プッシュロッド70の移動に伴って、第2ハウジング20は、第1ハウジング10に対して相対的に移動する。以上のように、第1ハウジング10と第2ハウジング20とが相対的に移動することで、車両用ドア開閉装置1は、伸長し、軸端部材21を介して連結されたドア2aを開位置まで駆動する。
【0024】
[減速機構]
以下、減速機構32の構成を説明する。
図3は、本実施形態に係る減速機構32の分解斜視図である。
【0025】
図3を参照すると、本実施形態に係る減速機構32は、電動モータ31(
図2に示す)からの回転を減速して出力する第1減速ギヤ機構100と、第1減速ギヤ機構100によって減速された回転を減速して出力する第2減速ギヤ機構200とを備える。言い換えれば、本実施形態に係る減速機構32は、2段減速機である。第1減速ギヤ機構100と、第2減速ギヤ機構200とは、本発明に係るギヤ機構の一例である。
【0026】
減速機構32は、第1減速ギヤ機構100に係合して、第2減速ギヤ機構200を覆うアッパーケース300を備える。
【0027】
アッパーケース300は、有底円筒状の部材である。アッパーケース300は、スピンドル50の基端部50b(
図2に示す)が挿通される円形状のスピンドル挿通孔301と、アッパーケース300の側面に設けられた係合孔302とを備える。
【0028】
アッパーケース300は、第1減速ギヤ機構100と第2減速ギヤ機構200とが機械的に接続した状態で、第2減速ギヤ機構200側から第1減速ギヤ機構100に固定されることで、第2減速ギヤ機構200を覆うように取り付けられる。具体的には、アッパーケース300の係合孔302と、第1減速ギヤ機構100の後述する第1ケース101に設けられた係合爪101bとが係合することで、アッパーケース300は、第1減速ギヤ機構100に固定される。
【0029】
アッパーケース300は、
図2に明瞭に示すように、減速機構32が第1ハウジング10に取り付けられた状態で、取付部材15を介して第1ハウジング10の収容部11に対して相対的に回転できないように固定されている。
【0030】
図4は、第1減速ギヤ機構100の分解斜視図である。
【0031】
図4を参照すると、本実施形態の第1減速ギヤ機構100は、第1ケース101と、第1ケース101に収容された第1キャリアユニット102と、第1減速ギヤ機構100の回転を第2減速ギヤ機構200(
図3に示す)に伝達するための連結用太陽ギヤ103とを備える。本実施形態の第1減速ギヤ機構100は、遊星ギヤ機構である。
【0032】
第1ケース101は、内周面に第1内歯ギヤ101aが設けられている有底円筒状の部材である。本実施形態の第1内歯ギヤ101aは、ヘリカルギヤである。また、第1ケース101は、第1ケース101の外周面に設けられた係合爪101bと、第1ケース101の外周面に設けられた係合爪101cとを備える。
図2に明瞭に示すように、第1ケース101は、電動モータ31の出力シャフト31aと、出力シャフト31aに固定された太陽ギヤ33とが挿通されるように構成された挿通孔101dを有する。
【0033】
第1ケース101は、前述したように、第1ケース101の係合爪101bとアッパーケース300の係合孔302(
図3に示す)とが係合することで、アッパーケース300に固定されている。また、
図2に明瞭に示すように、係合爪101cと電動モータ31の取付部31bの係合孔31cとが係合することで、電動モータ31に対して相対回転できないように電動モータ31に固定されている。第1ケース101は、太陽ギヤ33の回転軸Cと同軸に設けられている。言い換えれば、第1ケース101は、電動モータ31の出力シャフト31aと同軸に設けられている。
【0034】
図4を参照すると、第1キャリアユニット102は、電動モータ31の出力シャフト31aに固定された太陽ギヤ33(
図2に示す)と噛み合う4つ(
図4では3つのみ示す)の第1遊星ギヤ110を備える。第1キャリアユニット102は、第1遊星ギヤ110を自転自在かつ太陽ギヤ33(
図2に示す)を中心にして公転自在に支持する第1キャリア120を備える。第1キャリアユニット102は、第1ケース101に対して相対的に回転可能なように取り付けられている。また、第1キャリアユニット102は、太陽ギヤ33(
図2に示す)の回転軸Cと同軸に設けられている。
【0035】
第1遊星ギヤ110は、太陽ギヤ33(
図2に示す)と噛み合うとともに、第1ケース101の第1内歯ギヤ101aと噛み合うヘリカルギヤである。第1遊星ギヤ110は、第1キャリア120に固定された第1ギヤシャフト130(後述する)によって軸支されて、第1キャリア120に組み付けられている。
【0036】
第1キャリア120は、4つの第1遊星ギヤ110を自転自在かつ太陽ギヤ33を中心にして公転自在に支持する略円筒状の部材である。第1キャリア120は、4つの第1遊星ギヤ110をそれぞれ軸支する4つの第1ギヤシャフト130を備える。また、第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を介して第1ケース101に対して相対的に回転可能なように取り付けられている。第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110の太陽ギヤ33(
図2に示す)を中心とする公転に連動して回転軸C回りに回転する。
【0037】
第1キャリア120は、第1キャリア120の回転軸C回りの回転を出力するための第1出力シャフト140を備える。第1出力シャフト140は、第1キャリア120と同軸に配置されている。第1出力シャフト140は、第1キャリア120の回転軸C回りの回転に伴って、回転軸C回りに回転する。
【0038】
連結用太陽ギヤ103は、第2減速ギヤ機構200の第2遊星ギヤ210(
図5に示す)と噛み合うヘリカルギヤである。連結用太陽ギヤ103は、第1キャリア120の第1出力シャフト140に固定されている。連結用太陽ギヤ103は、第1キャリア120の第1出力シャフト140と同軸に配置されている。連結用太陽ギヤ103は、第1出力シャフト140の回転軸C回りの回転に伴って、回転軸C回りに回転する。
【0039】
電動モータ31によって太陽ギヤ33(
図2に示す)が回転すると、第1遊星ギヤ110は、第1自転軸C1回りに自転する。第1遊星ギヤ110が第1ケース101の第1内歯ギヤ101aに噛み合った状態で第1遊星ギヤ110が第1自転軸C1回りに自転することで、第1遊星ギヤ110は、第1ケース101の第1内歯ギヤ101aに沿って回転軸C回りに回転する。言い換えれば、第1遊星ギヤ110は、太陽ギヤ33(
図2に示す)を中心に公転する。
【0040】
第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110の太陽ギヤ33を中心とした公転に連動して、回転軸C回りに回転する。第1キャリア120の回転軸C回りの回転は、第1キャリア120に固定された第1出力シャフト140と、第1出力シャフト140に固定された連結用太陽ギヤ103とを介して第2減速ギヤ機構200(
図3に示す)に伝達される。電動モータ31(
図2に示す)の回転は、第1減速ギヤ機構100によって減速されて第2減速ギヤ機構200(
図3に示す)に出力される。
【0041】
図5は、第2減速ギヤ機構200の分解斜視図である。
【0042】
図5を参照すると、本実施形態の第2減速ギヤ機構200は、第2ケース201と、第2ケース201に収容された第2キャリアユニット202と、第2減速ギヤ機構200の回転をスピンドル50(
図2に示す)に伝達するための出力部203とを備える。本実施形態の第2減速ギヤ機構200は、遊星ギヤ機構である。
【0043】
第2ケース201は、内周面に第2内歯ギヤ201aが設けられている有底円筒状の部材である。本実施形態の第2内歯ギヤ201aは、ヘリカルギヤである。
図2に明瞭に示すように、第2ケース201は、第1減速ギヤ機構100の第1出力シャフト140と、第1出力シャフト140に固定された連結用太陽ギヤ103とが挿通された201bを有する。第2ケース201は、連結用太陽ギヤ103の回転軸Cと同軸に設けられている。言い換えれば、第2ケース201は、第1減速ギヤ機構100の第1出力シャフト140と同軸に設けられている。また、第2ケース201は、第1ケース101に嵌合している。
【0044】
第2キャリアユニット202は、第1減速ギヤ機構100の第1出力シャフト140に固定された連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)と噛み合う4つ(
図5では3つのみ示す)の第2遊星ギヤ210を備える。第2キャリアユニット202は、第2遊星ギヤ210を自転自在かつ連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)を中心にして公転自在に支持する第2キャリア220を備える。第2キャリアユニット202は、第2ケース201に対して相対的に回転可能なように取り付けられている。第2キャリアユニット202は、連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)と同軸に配置されている。
【0045】
第2遊星ギヤ210は、連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)と噛み合うとともに、第2ケース201の第2内歯ギヤ201aと噛み合うヘリカルギヤである。第2遊星ギヤ210は、第2キャリア220に固定された第2ギヤシャフト230(後述する)によって軸支されて、第2キャリア220に組み付けられている。
【0046】
第2キャリア220は、4つの第2遊星ギヤ210を自転自在かつ連結用太陽ギヤ103を中心にして公転自在に支持す略円筒状の部材である。第2キャリア220は、4つの第2遊星ギヤ210をそれぞれ軸支する4つの第2ギヤシャフト230(
図5では1つのみ示す)を備える。また、第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210を介して第2ケース201に対して相対的に回転可能なように取り付けられている。言い換えれば、第2キャリア220は、回転軸C回りに回転可能である。第2キャリア220は、出力部203を取り付けるための取付孔220aを備える。取付孔220aは、第2キャリア220と同軸に配置されている。
【0047】
出力部203は、第2キャリア220の取付孔220aに固定されている。出力部203は、スピンドル50(
図2に示す)が接続される接続凹部203aを備える。
図2に明瞭に示すように、出力部203の接続凹部203aには、スピンドル50の基端部50bが嵌合されている。
【0048】
連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)が回転軸C回りに回転すると、第2遊星ギヤ210は、第2自転軸C2回りに自転する。第2遊星ギヤ210が第2ケース201の第2内歯ギヤ201aに噛み合った状態で第2遊星ギヤ210が第2自転軸C2回りに自転することで、第2遊星ギヤ210は、第2ケース201の第2内歯ギヤ201aに沿って回転軸C回りに回転する。言い換えれば、第2遊星ギヤ210は、連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)を中心に公転する。
【0049】
第2キャリア220は、連結用太陽ギヤ103を中心とした第2遊星ギヤ210の公転に連動して、回転軸C回りに回転する。第2キャリア220の回転軸C回りの回転は、第2キャリア220に固定された出力部203を介してスピンドル50(
図2に示す)に伝達される。すなわち、第1キャリア120(
図4に示す)の回転軸C回りの回転は、第2減速ギヤ機構200によって減速されてスピンドル50(
図2に示す)に出力される。これにより、電動モータ31(
図2に示す)の回転軸C回りの回転は、第1減速ギヤ機構100(
図3に示す)と第2減速ギヤ機構200とによって減速されてスピンドル50(
図2に示す)に出力される。
【0050】
[第1キャリアユニットの構造]
以下、第1キャリアユニット102の構造を説明する。
図6は、第1キャリアユニット102を、電動モータ31(
図2に示す)側から見た分解斜視図である。
図7は、第1キャリアユニット102を、第2減速ギヤ機構200側から見た分解斜視図である。
図6及び
図7では、4つの第1遊星ギヤ110のうち1つのみを示し、4つの第1ギヤシャフト130のうちの1つのみを示している。
【0051】
第1ギヤシャフト130は、円柱状の第1ギヤシャフト本体131と、第1ギヤシャフト本体131の一方側の端部に設けられ、第1ギヤシャフト130の軸方向の外側に向かって径が小さくなる第1テーパ部132を備える。また、第1ギヤシャフト130は、第1ギヤシャフト本体131の他方側の端部に設けられた第1大径部133を備える。第1大径部133の径は、第1ギヤシャフト本体131の径よりも大きい。
【0052】
第1遊星ギヤ110は、歯が形成された第1遊星ギヤ本体111と、第1遊星ギヤ本体111の軸方向の両側から突出するように設けられた略円筒状の第1突出部112A,112Bを備える。第1遊星ギヤ本体111と、第1突出部112A,112Bとは、一体に形成されている。第1遊星ギヤ本体111と、第1突出部112A,112Bとは、同軸に配置されている。
【0053】
また、第1遊星ギヤ110は、第1遊星ギヤ本体111と、第1突出部112A,112Bとを貫通するように設けられた第1遊星ギヤ孔113を有する。
【0054】
第1突出部112A,112Bは、第1遊星ギヤ110の軸方向の外側に向かって第1遊星ギヤ孔113が広がるように設けられたテーパ孔部114を備える。
【0055】
第1キャリア120は、円板状の一対の第1キャリアプレート121A,121Bと、一対の第1キャリアプレート121A,121Bとを接続するように設けられた4つの第1支柱122とを備える。一対の第1キャリアプレート121A,121Bと、4つの第1支柱122とは、一体に形成されている。第1キャリアプレート121Aと第1キャリアプレート121Bとは、互いに平行かつ互いに同軸に配置されている。4つの第1支柱122は、第1キャリアプレート121A,121Bの周方向に等間隔に並べて配置されている。
【0056】
第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110をそれぞれ収容する4つの第1収容部123を備える。第1収容部123は、第1キャリアプレート121Aと、第1キャリアプレート121Bと、周方向に隣接する2つの第1支柱122とによって構成されている。第1収容部123は、第1キャリア120の側面に設けられた第1開口123aを有する。第1キャリア120の第1開口123aは、第1キャリアプレート121Aと、第1キャリアプレート121Bと、周方向に隣接する2つの第1支柱122とによって画定されている。
図4に示すように、第1遊星ギヤ110が第1収容部123に取り付けられた状態で、第1遊星ギヤ110は、第1キャリア120の第1開口123aから露出している。
【0057】
第1キャリアプレート121Aは、第1ギヤシャフト130が挿通される4つの第1キャリア孔124を備える。4つの第1キャリア孔124は、第1キャリアプレート121Aのうち、第1キャリアプレート121Aの周方向に隣接する2つの第1支柱122の間にそれぞれ設けられている。
【0058】
また、
図6に示すように、本実施形態の第1キャリアプレート121Aは、第1収容部123側の端面から第1キャリアプレート121Aの板厚方向に凹むように設けられた4つの第1凹部125を備える。第1キャリアプレート121Aに設けられた第1凹部125は、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124の周辺に設けられている。また、4つの第1凹部125は、第1キャリアプレート121Aのうち、第1キャリアプレート121Aの周方向に隣接する2つの第1支柱122の間にそれぞれ設けられている。
【0059】
図7に示すように、第1キャリアプレート121Aは、第1出力シャフト140(
図4に示す)を取り付けるための第1取付部126を有している。第1取付部126は、第1キャリア120の第1収容部123と反対側に突出して設けられている。
【0060】
図6に示すように、本実施形態の第1キャリアプレート121Bは、電動モータ31の出力シャフト31a及び出力シャフト31aに固定された太陽ギヤ33を挿通するための第1挿通孔127を有する。また、第1キャリアプレート121Bは、第1ギヤシャフト130が挿通される第1キャリア孔124を備える。第1キャリアプレート121Bの第1キャリア孔124は、第1キャリアプレート121Aの第1キャリア孔124と同軸に配置されている。
【0061】
また、
図7に示すように、本実施形態の第1キャリアプレート121Bは、第1収容部123側の端面から第1キャリアプレート121Bの板厚方向に凹むように設けられた4つの第1凹部125を備える。第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125は、第1キャリアプレート121Bに設けられた第1キャリア孔124の周辺に設けられている。また、4つの第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125は、第1キャリアプレート121Bのうち、第1キャリアプレート121Bの周方向に隣接する2つの第1支柱122の間にそれぞれ設けられている。
【0062】
図8は、本実施形態の第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124の周辺の斜視図である。
図9は、本実施形態の第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124の周辺の上面図である。
【0063】
図8及び
図9を参照すると、第1凹部125は、第1収容部123側の第1キャリアプレート121Aの端面よりも第1キャリア120の軸方向の外側に配置された座面125aと、第1キャリア120の軸方向に延びる一対の側壁125bを備える。一対の側壁125bは、第1収容部123側の第1キャリアプレート121Aの端面と座面125aとに連なって設けられている。
【0064】
一対の側壁125bは、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aの外形に対応するように円弧状に延びている第1部分125cをそれぞれ有している。一対の側壁125bの第1部分125cは、第1キャリア孔124と同軸に配置されている。
【0065】
一対の側壁125bは、第1部分125cに連なって設けられ、第1部分125cから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって互いに平行に延びる第2部分125dをそれぞれ備える。一対の側壁125bは、第2部分125dに連なって設けられ、一対の側壁125bの第2部分125dから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって互いに離間する第3部分125eを備える。
【0066】
本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120に取り付けるときに、所定の組付位置に第1遊星ギヤ110を保持するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを保持する第1保持部128Aを有する。所定の組付位置とは、第1遊星ギヤ110の第1遊星ギヤ孔113と第1キャリアプレート121Aの第1キャリア孔124とが位置合わせされている位置のことをいう(
図9中2点鎖線参照)。本実施形態の第1保持部128Aは、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1凹部125の一対の側壁125bの第1部分125cによって構成されている。第1部分125cは、略円弧状に形成され、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aが所定の組付位置で同心円上に嵌合される。これにより、第1遊星ギヤ110が第1キャリア120の内側に脱落することなく、容易に位置決めすることができる。
【0067】
また、本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を前記組付位置に案内するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを第1保持部128Aに案内する第1案内部129Aを有する。本実施形態の第1案内部129Aは、第1凹部125の一対の側壁125bの第2部分125dと第3部分125eから構成されている。第1凹部125の一対の側壁125bは、本発明の規制部の一例である。第1凹部125の一対の側壁125bの第3部分125eは、本発明の導入部の一例である。
【0068】
本実施形態の第1キャリアプレート121Aは、第1キャリアプレート121Aの外周縁において、第1キャリア120の第1開口123aに向かって、第1キャリア120の軸方向の外側に向かって傾斜する第1傾斜部121aを有する。本実施形態では、第1傾斜部121aは、第1凹部125の一対の側壁125bの間の領域に形成されている。
【0069】
第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125(
図7に示す)の構成は、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1凹部125の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0070】
図7を参照すると、本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120に取り付けるときに、所定の組付位置に第1遊星ギヤ110を保持するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Bを保持する第1保持部128Bを有する。所定の組付位置とは、第1遊星ギヤ110の第1遊星ギヤ孔113と第1キャリアプレート121Bの第1キャリア孔124とが位置合わせされている位置のことをいう。本実施形態の第1保持部128Bは、第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125の一対の側壁125bの第1部分125cによって構成されている。
【0071】
また、本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を前記組付位置に案内するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Bを第1保持部128Bに案内する第1案内部129Bを有する。本実施形態の第1案内部129Bは、第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125の一対の側壁125bの第2部分125dと第3部分125eから構成されている。第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125の一対の側壁125bは、本発明の規制部の一例である。第1キャリアプレート121Bに設けられた第1凹部125の一対の側壁125bの第3部分125eは、本発明の導入部の一例である。
【0072】
[第2キャリアユニットの構造]
以下、第2キャリアユニット202の構造を説明する。
図10は、第2キャリアユニット202を、第1減速ギヤ機構100(
図3に示す)側から見た分解斜視図である。
図11は、本実施形態に係る第2キャリアユニット202を、スピンドル50(
図2に示す)側から見た分解斜視図である。
図10及び
図11では、4つの第2遊星ギヤ210のうち1つのみを示し、4つの第2ギヤシャフト230のうちの1つのみを示している。
【0073】
図10及び
図11を参照すると、第2ギヤシャフト230は、円柱状の第2ギヤシャフト本体231と、第2ギヤシャフト本体231の一方側の端部に設けられ、第2ギヤシャフト230の軸方向の外側に向かって径が小さくなる第2テーパ部232を備える。また、第2ギヤシャフト230は、第2ギヤシャフト本体231の他方側の端部に設けられた第2大径部233を備える。第2大径部233の径は、第2ギヤシャフト本体231の径よりも大きい。
【0074】
第2遊星ギヤ210は、歯が形成された第2遊星ギヤ本体211と、第2遊星ギヤ本体211の軸方向の両側から突出するように設けられた略円筒状の第2突出部212A,212Bを備える。第2遊星ギヤ本体211と、第2突出部212A,212Bとは、一体に形成されている。第2遊星ギヤ本体211と、第2突出部212A,212Bとは、同軸に配置されている。
【0075】
また、第2遊星ギヤ210は、第2遊星ギヤ本体211と、第2突出部212A,212Bとを貫通するように設けられた第2遊星ギヤ孔213を有する。
【0076】
第2突出部212A,212Bは、第2遊星ギヤ210の軸方向の外側に向かって第2遊星ギヤ孔213が広がるように設けられたテーパ孔部214を備える。
【0077】
第2キャリア220は、円板状の一対の第2キャリアプレート221A,221Bと、一対の第2キャリアプレート221A,221Bを接続するように設けられた4つの第2支柱222とを備える。一対の第2キャリアプレート221A,221Bと、4つの第2支柱222とは、一体に形成されている。一対の第2キャリアプレート221A,221Bとは、互いに平行かつ互いに同軸に配置されている。4つの第2支柱222は、第2キャリアプレート221A,221Bの周方向に等間隔に並べて配置されている。
【0078】
第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210をそれぞれ収容する4つの第2収容部223を備える。第2収容部223は、一対の第2キャリアプレート221A,221Bと、周方向に隣接する2つの第2支柱222とによって構成されている。第2収容部223は、第2キャリア220の側面に設けられた第2開口223aを有する。第2キャリア220の第2開口223aは、一対の第2キャリアプレート221A,221Bと、周方向に隣接する2つの第2支柱222とによって画定されている。
図5に示すように、第2遊星ギヤ210が第2収容部223に取り付けられた状態で、第2遊星ギヤ210は、第2キャリア220の第2開口223aから露出している。
【0079】
図10を参照すると、第2キャリアプレート221Aは、第2ギヤシャフト230が挿通される4つの第2キャリア孔224を備える。4つの第2キャリア孔224は、第2キャリアプレート221Aのうち、第2キャリアプレート221Aの周方向に隣接する2つの第2支柱222の間にそれぞれ設けられている。
【0080】
また、本実施形態の第2キャリアプレート221Aは、第2収容部223側の第2キャリアプレート221Aの端面から第2キャリアプレート221Aの板厚方向に凹むように設けられた4つの第2凹部225を備える。第2凹部225は、第2キャリア孔224の周辺に設けられている。また、4つの第2凹部225は、第2キャリアプレート221Aのうち、第2キャリアプレート221Aの周方向に隣接する2つの第2支柱222の間にそれぞれ設けられている。
【0081】
本実施形態では、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2凹部225は、第1キャリアプレート121A,121Bに設けられた第1凹部125(
図6及び
図7に示す)と同様の構成を有している。
【0082】
具体的には、第2凹部225は、第2収容部223側の第2キャリアプレート221Aの端面よりも第2キャリア220の軸方向の外側に配置された座面225aと、第2キャリア220の軸方向に延びる一対の側壁225bを備える。一対の側壁225bは、第2収容部223側の第2キャリアプレート221Aの端面と座面225aとに連なって設けられている。
【0083】
一対の側壁225bは、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Aの外形に対応するように円弧状に延びている第1部分225cをそれぞれ有している。一対の側壁225bの第1部分225cは、第2キャリア孔224と同軸に配置されている。
【0084】
一対の側壁225bは、第1部分225cに連なって設けられ、第1部分225cから第2キャリア220の第2開口223a側に向かって互いに平行に延びる第2部分225dをそれぞれ備える。一対の側壁225bは、第2部分225dに連なって設けられ、一対の側壁225bの第2部分225dから第2キャリア220の第2開口223a側に向かって互いに離間する第3部分225eを備える。第1部分225cは、略円弧状に形成され、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Aが所定の組付位置で同心円上に嵌合される。これにより、第2遊星ギヤ210が第2キャリア220の内側に脱落することなく、容易に位置決めすることができる。
【0085】
本実施形態の第2キャリアプレート221Aは、第2キャリアプレート221Aの外周縁において、第2キャリア220の第2開口223aに向かって、第2キャリア220の軸方向の外側に向かって傾斜する第2傾斜部221aを有する。本実施形態では、第2傾斜部221aは、第2凹部225の一対の側壁225bの間の領域に形成されている。
【0086】
本実施形態の第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210を第2キャリア220に取り付けるときに、所定の組付位置に第2遊星ギヤ210を保持するように、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Aを保持する第2保持部228Aを有する。所定の組付位置とは、第2遊星ギヤ210の第2遊星ギヤ孔213と第2キャリアプレート221Aの第2キャリア孔224とが位置合わせされている位置のことをいう。本実施形態の第2保持部228Aは、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bの第1部分225cによって構成されている。
【0087】
また、本実施形態の第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210を前記組付位置に案内するように、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Aを第2保持部228Aに案内する第2案内部229Aを有する。本実施形態の第2案内部229Aは、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bの第2部分225dと第3部分225eから構成されている。第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bは、本発明の規制部の一例である。第2キャリアプレート221Aに設けられた第2凹部225の一対の側壁の第3部分225eは、本発明の導入部の一例である。
【0088】
図11に示すように、第2キャリアプレート221Aは、出力部203(
図5に示す)を取り付けるための取付孔220aを有している。取付孔220aは、第2キャリア220の第2収容部223と反対側に突出して設けられている。
【0089】
図10に示すように、本実施形態の第2キャリアプレート221Bは、第1減速ギヤ機構100の第1出力シャフト140及び第1出力シャフト140に固定された連結用太陽ギヤ103(
図4に示す)を挿通するための第2挿通孔226を有する。また、第2キャリアプレート221Bは、第2ギヤシャフト230が挿通される第2キャリア孔224を備える。第2キャリアプレート221Bに設けられた第2キャリア孔224は、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2キャリア孔224と同軸に配置されている。
【0090】
また、
図11に示すように、本実施形態の第2キャリアプレート221Bは、第2収容部223側の第2キャリアプレート221Bの端面から第2キャリアプレート221Bの板厚方向に凹むように設けられた4つの第2凹部225を備える。第2凹部225は、第2キャリア孔224の周辺に設けられている。また、4つの第2凹部225は、第2キャリアプレート221Bのうち、第2キャリアプレート221Bの周方向に隣接する2つの第2支柱222の間にそれぞれ設けられている。本実施形態では、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225は、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2凹部225と同様の構成を有しており、その詳細な説明を省略する。
【0091】
本実施形態の第2キャリアプレート221Bは、第2キャリアプレート221Bの外周縁において、第2キャリア220の第2開口223aに向かって、第2キャリア220の軸方向の外側に向かって傾斜する第2傾斜部221aを有する。本実施形態では、第2傾斜部221aは、第2凹部225の一対の側壁225bの間の領域に形成されている。
【0092】
本実施形態の第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210を第2キャリア220に取り付けるときに、所定の組付位置に第2遊星ギヤ210を保持するように、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Bを保持する第2保持部228Bを有する。所定の組付位置とは、第2遊星ギヤ210の第2遊星ギヤ孔213と第2キャリアプレート221Bの第2キャリア孔224とが位置合わせされている位置のことをいう。本実施形態の第2保持部228Bは、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bの第1部分225cによって構成されている。
【0093】
また、本実施形態の第2キャリア220は、第2遊星ギヤ210を前記組付位置に案内するように、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Bを第2保持部228Bに案内する第2案内部229Bを有する。本実施形態の第2案内部229Bは、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bの第2部分225dと第3部分225eから構成されている。第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bは、本発明の規制部の一例である。第2キャリアプレート221Bに設けられた第2凹部225の一対の側壁225bの第3部分225eは、本発明の導入部の一例である。
【0094】
[減速ギヤ機構の組み付け]
以下、第1遊星ギヤ110と第1キャリア120との組み付けについて説明する。第1遊星ギヤ110は、
図6及び
図7に示すように、第1キャリア120の第1開口123aから挿入される(図中矢印参照)。第1遊星ギヤ110が第1キャリア120の第1開口123aから挿入されると、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aが第1案内部129Aによって第1保持部128Aに案内される。同様に、第1遊星ギヤ110が第1キャリア120の第1開口123aから挿入されると、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Bが第1案内部129Bによって第1保持部128Bに案内される。言い換えれば、第1遊星ギヤ110は、第1案内部129A,129Bによって案内されて、所定の組付位置に保持される。すなわち、第1遊星ギヤ110は、第1遊星ギヤ孔113と、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124と、第1キャリアプレート121Bに設けられた第1キャリア孔124とが位置合わせされる組付位置に保持される。
【0095】
第1遊星ギヤ110が所定の組付位置に保持された状態で、第1ギヤシャフト130が第1キャリアプレート121Bに設けられた第1キャリア孔124と、第1遊星ギヤ孔113と、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124に挿通される。このとき、第1ギヤシャフト130は、第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124と、第1遊星ギヤ孔113と、第1キャリアプレート121Bに設けられた第1キャリア孔124との順に挿通される(図中矢印参照)。このとき、第1ギヤシャフト130の第1大径部133が第1キャリアプレート121Bの第1キャリア孔124に圧入される。その結果、第1遊星ギヤ110が第1キャリア120に組み付けられる。
【0096】
第2遊星ギヤ210は、
図10及び
図11に示すように、第2キャリア220の第2開口223aから挿入される。第2遊星ギヤ210が第2キャリア220の第2開口223aから挿入されると、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Aが第2案内部229Aによって第2保持部228Aに案内される。同様に、第2遊星ギヤ210が第2キャリア220の第2開口223aから挿入されると、第2遊星ギヤ210の第2突出部212Bが第2案内部229Bによって第2保持部228Bに案内される。言い換えれば、第2遊星ギヤ210は、第2案内部229A,129Bによって案内されて、所定の組付位置に保持される。すなわち、第2遊星ギヤ210は、第2遊星ギヤ孔213と、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2キャリア孔224と、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2キャリア孔224とが位置合わせされる組付位置に保持される。
【0097】
第2遊星ギヤ210が所定の組付位置に保持された状態で、第2ギヤシャフト230が第2キャリアプレート221Aに設けられた第2キャリア孔224と、第2遊星ギヤ孔213と、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2キャリア孔224に挿通される。このとき、第2ギヤシャフト230は、第2キャリアプレート221Bに設けられた第2キャリア孔224と、第2遊星ギヤ孔213と、第2キャリアプレート221Aに設けられた第2キャリア孔224との順に挿通される(図中矢印参照)。このとき、第2ギヤシャフト230の第2大径部233が第2キャリアプレート221Bの第2キャリア孔224に圧入される。その結果、第2遊星ギヤ210が第2キャリア220に組み付けられる。
【0098】
このギヤ機構の組付構造によれば、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120の第1開口123aから挿入して第1キャリア120の第1収容部123に組み付けるときに、第1キャリアプレート121A,121Bにそれぞれ設けられた第1保持部128A,128Bによって、第1遊星ギヤ110が所定の組付位置に保持される。これにより、第1遊星ギヤ110の第1遊星ギヤ孔113と、第1キャリア120の第1キャリア孔124とに第1ギヤシャフト130を挿入するときに、第1遊星ギヤ孔113と第1キャリア孔124との位置を調整する必要がないため、組付の作業性の低下を抑制できる。
【0099】
同様に、第2遊星ギヤ210を第2キャリア220の第2開口223aから挿入して第2キャリア220の第2収容部223に組み付けるときに、第2キャリアプレート221A,Bにそれぞれ設けられた第2保持部228A,228Bによって、第2遊星ギヤ210が所定の組付位置に保持される。これにより、第2遊星ギヤ210の第2遊星ギヤ孔213と、第2キャリア220の第2キャリア孔224とに第2ギヤシャフト230を挿入するときに、第2遊星ギヤ孔213と第2キャリア孔224との位置を調整する必要がないため、組付の作業性の低下を抑制できる。
【0100】
また、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120の第1開口123aから挿入して第1キャリア120の第1収容部123に組み付けるときに、第1キャリアプレート121A,121Bにそれぞれ設けられた第1案内部129A,129Bによって、第1遊星ギヤ110が所定の組付位置に案内される。これにより、第1遊星ギヤ110を組付位置に容易に位置合わせできるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0101】
同様に、第2遊星ギヤ210を第2キャリア220の第2開口223aから挿入して第2キャリア220の第2収容部223に組み付けるときに、第2キャリアプレート221A,221Bにそれぞれ設けられた第2案内部229A,229Bによって、第2遊星ギヤ210が所定の組付位置に案内される。これにより、第2遊星ギヤ210を組付位置に容易に位置合わせできるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0102】
また、第1案内部129A,129Bを構成する第1凹部125の一対の側壁125bの第3部分125eが、第1キャリア120の第1開口123aから第1保持部128A,128Bに向かって互いに接近するように設けられている。このため、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120の第1開口123aから挿入して第1キャリア120の第1収容部123に組み付けるときに、第1遊星ギヤ110が円滑に第1保持部128A,128Bまで案内されるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0103】
同様に、第2案内部229A,229Bを構成する第2凹部225の一対の側壁225bの第3部分225eが、第2キャリア220の第2開口223aから第2保持部228A,228Bに向かって互いに接近するように設けられている。このため、第2遊星ギヤ210を第2キャリア220の第2開口223aから挿入して第2キャリア220の第2収容部223に組み付けるときに、第2遊星ギヤ210が円滑に第2保持部228A,228Bまで案内されるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0104】
また、第1キャリアプレート121A,121Bが第1キャリア120の第1開口123aに向かって、第1キャリア120の軸方向の外側に向かって傾斜する第1傾斜部121aをそれぞれ有しており、第1傾斜部121aを有していない場合と比較して、第1開口123aが大きい。このため、第1遊星ギヤ110を第1開口123aから第1収容部123に挿入するときに、第1遊星ギヤ110を円滑に挿入できるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0105】
また、第2キャリアプレート221A,221Bが第2キャリア220の第2開口223aに向かって、第2キャリア220の軸方向の外側に向かって傾斜する第2傾斜部221aをそれぞれ有しているので、第2傾斜部221aを有していない場合と比較して、第2開口223aが大きい。このため、第2遊星ギヤ210を第2開口223aから第2収容部223に挿入するときに、第2遊星ギヤ210を円滑に挿入できるので、組み付けの作業性の低下を抑制できる。
【0106】
また、第1キャリアプレート121A,121Bが第1凹部125をそれぞれ有しているので、第1遊星ギヤ110に塗布されたグリースが第1遊星ギヤ110から流れ落ちた場合であっても、グリースは第1凹部125に溜まる。その結果、第1遊星ギヤ110に塗布されたグリースが他の構成要素に付着することを抑制できる。
【0107】
また、第2キャリアプレート221A,221Bが第2凹部225をそれぞれ有しているので、第2遊星ギヤ210に塗布されたグリースが第2遊星ギヤ210から流れ落ちた場合であっても、グリースは第2凹部225に溜まる。その結果、第2遊星ギヤ210に塗布されたグリースが他の構成要素に付着することを抑制できる。
【0108】
この車両用ドア開閉装置1によれば、減速機構32を有するので、組付の作業性の低下を抑制できる。
【0109】
(第2実施形態)
第2実施形態の減速機構32は、保持部及び案内部が第1凹部125(
図6及び
図7に示す)又は第2凹部225(
図10及び
図11に示す)で構成されていない点を除いて、第1実施形態と同様である。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0110】
図12は、第2実施形態に係る第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124の周辺の斜視図である。
【0111】
図12を参照すると、第1キャリアプレート121Aは、第1収容部123側の第1キャリアプレート121Aの端面から突出する一対の壁部425を有する。一対の壁部425は、第1キャリアプレート121Aと一体に形成されている。
【0112】
一対の壁部425は、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aの外形に対応するように円弧状に延びる第1部分425aをそれぞれ有している。一対の壁部425の第1部分425aは、第1キャリア孔124と同軸に配置されている。
【0113】
一対の壁部425は、第1部分425aに連なって設けられ、第1部分425aから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって、互いに平行に延びる第2部分425bをそれぞれ備える。一対の壁部425は、第2部分425bに連なって設けられ、一対の壁部425の第2部分425bから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって互いに離間する第3部分425cを備える。
【0114】
本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120に取り付けるときに、所定の組付位置に第1遊星ギヤ110を保持するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを保持する第1保持部128Aを有する。所定の組付位置とは、第1遊星ギヤ110の第1遊星ギヤ孔113と第1キャリアプレート121Aの第1キャリア孔124とが位置合わせされている位置のことをいう。本実施形態の第1保持部128Aは、第1キャリアプレート121Aに設けられた一対の壁部425の第1部分425aによって構成されている。
【0115】
また、本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を前記組付位置に案内するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを第1保持部128Aに案内する第1案内部129Aを有する。本実施形態の第1案内部129Aは、一対の壁部425の第2部分425bと第3部分425cから構成されている。一対の壁部425は、本発明の規制部の一例である。一対の壁部425の第3部分425cは、本発明の導入部の一例である。
【0116】
本実施形態の第1キャリアプレート121Bが、第1凹部125(
図5及び
図6に示す)に代えて、壁部425を有していてもよい。また、第2キャリアプレート221A,221Bが、第2凹部225(
図10及び
図11に示す)に代えて、壁部425を有していてもよい。
【0117】
(第3実施形態)
第3実施形態の減速機構32は、保持部及び案内部が第1凹部125(
図6及び
図7に示す)又は第2凹部225(
図10及び
図11に示す)で構成されていない点を除いて、第1実施形態と同様である。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0118】
図13は、第3実施形態に係る第1キャリアプレート121Aに設けられた第1キャリア孔124の周辺の斜視図である。
【0119】
図13を参照すると、第1キャリアプレート121Aは、第1収容部123側の第1キャリアプレート121Aの端面から突出する一対の突起群525を有する。一対の突起群525は、それぞれ複数の突起から構成されている。一対の突起群525は、第1キャリアプレート121Aと一体に形成されている。
【0120】
一対の突起群525は、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aの外形に対応するように複数の突起が円弧状に並んで設けられている第1部分525aをそれぞれ有している。一対の突起群525の第1部分525aは、第1キャリア孔124と同軸に配置されている。
【0121】
一対の突起群525は、第1部分525aに連なって設けられ、第1部分525aから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって、複数の突起が並んで設けられている第2部分525bをそれぞれ備える。一対の突起群525のそれぞれの第2部分525bは、互いに平行に並んでいる。一対の突起群525は、第2部分525bに連なって設けられ、一対の突起群525の第2部分525bから第1キャリア120の第1開口123a側に向かって互いに離間する第3部分525cを備える。一対の突起群525の第3部分525cは、それぞれ複数の突起から構成されている。
【0122】
本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を第1キャリア120に取り付けるときに、所定の組付位置に第1遊星ギヤ110を保持するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを保持する第1保持部128Aを有する。所定の組付位置とは、第1遊星ギヤ110の第1遊星ギヤ孔113と第1キャリアプレート121Aの第1キャリア孔124とが位置合わせされている位置のことをいう。本実施形態の第1保持部128Aは、第1キャリアプレート121Aに設けられた一対の突起群525の第1部分525aによって構成されている。
【0123】
また、本実施形態の第1キャリア120は、第1遊星ギヤ110を前記組付位置に案内するように、第1遊星ギヤ110の第1突出部112Aを第1保持部128Aに案内する第1案内部129Aを有する。本実施形態の第1案内部129Aは、一対の突起群525の第2部分525bと第3部分525cから構成されている。一対の突起群525は、本発明の規制部の一例である。一対の突起群525の第3部分525cは、本発明の導入部の一例である。
【0124】
本実施形態の第1キャリアプレート121Bが、第1凹部125(
図5及び
図6に示す)に代えて、突起群525を有していてもよい。また、第2キャリアプレート221A,221Bが、第2凹部225(
図10及び
図11に示す)に代えて、突起群525を有していてもよい。
【0125】
本発明の車両用ドア開閉装置1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0126】
例えば、遊星ギヤ機構は、前記実施形態の減速ギヤ機構に限定されず、増速ギヤ機構に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 車両用ドア開閉装置
2 車両
2a ドア
2b ボディ
10 第1ハウジング
11 収容部
12 カバー部
13 軸端部材
14 軸受
15 取付部材
20 第2ハウジング
21 軸端部材
22 コイルスプリング
30 モータ駆動機構
31 電動モータ
31a 出力シャフト
31b 取付部
31c 係合孔
32 減速機構
33 太陽ギヤ
40 スピンドル駆動機構
50 スピンドル
50a ねじ溝
50b 基端部
60 スピンドルナット
70 プッシュロッド
80 ガイド管
100 第1減速ギヤ機構
101 第1ケース
101a 第1内歯ギヤ
101b 係合爪
101c 係合爪
101d 挿通孔
102 第1キャリアユニット
103 連結用太陽ギヤ
110 第1遊星ギヤ
111 第1遊星ギヤ本体
112A,112B 第1突出部
113 第1遊星ギヤ孔
114 テーパ孔部
120 第1キャリア
121A,121B 第1キャリアプレート
121a 第1傾斜部
122 第1支柱
123 第1収容部
123a 第1開口
124 第1キャリア孔
125 第1凹部
125a 座面
125b 側壁
125c 第1部分
125d 第2部分
125e 第3部分
126 第1取付部
127 第1挿通孔
128A,128B 第1保持部
129A,129B 第1案内部
130 第1ギヤシャフト
131 第1ギヤシャフト本体
132 第1テーパ部
133 第1大径部
140 第1出力シャフト
200 第2減速ギヤ機構
201 第2ケース
201a 第2内歯ギヤ
201b 挿通孔
202 第2キャリアユニット
203 出力部
210 第2遊星ギヤ
211 第2遊星ギヤ本体
212A,212B 第2突出部
213 第2遊星ギヤ孔
214 テーパ孔部
220 第2キャリア
220a 取付孔
221A,221B 第2キャリアプレート
221a 第2傾斜部
222 第2支柱
223 第2収容部
223a 第2開口
224 第2キャリア孔
225 第2凹部
226 第2挿通孔
228A,228B 第2保持部
229A,229B 第2案内部
230 第2ギヤシャフト
231 第2ギヤシャフト本体
232 第2テーパ部
233 第2大径部
240 第2出力シャフト
300 アッパーケース
301 スピンドル挿通孔
302 係合孔
425 壁部
425a 第1部分
425b 第2部分
425c 第3部分
525 突起群
525a 第1部分
525b 第2部分
525c 第3部分