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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ワイパーブレードラバー
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20220913BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20220913BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220913BHJP
【FI】
B60S1/38 B
C09D175/04
C09D7/61
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018532877
(86)(22)【出願日】2017-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2017024897
(87)【国際公開番号】W WO2018030046
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2016156231
(32)【優先日】2016-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000136354
【氏名又は名称】株式会社フコク
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】大坪 修一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 安由
(72)【発明者】
【氏名】川島 一騎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大迫 弘明
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-046849(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080202(WO,A1)
【文献】特表2014-506847(JP,A)
【文献】特表2010-535268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/38
C08J 7/04
C09D 5/00
C09D 7/12
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ップ部を有するワイパーブレードラバーであって、
前記リップ部は
ゴム基材と、
前記ゴム基材の表面の一部にスプレー塗布法により形成されて前記ゴム基材に固着する第一コーティング層と、
前記ゴム基材の表面のうち前記第一コーティング層がない部分と前記第一コーティング層表面全体的に覆うように形成されて少なくとも前記ゴム基材の表面に固着する第二コーティング層
を有し
前記第二コーティング層の弾性率は0.01MPa以上3Mpa以下であり、第一コーティング層の弾性率は、4MPa以上20MPa以下であり、かつ
前記第二コーティング層の弾性率が前記第一コーティング層の弾性率よりも小さく、
前記第二コーティング層は鱗片状グラファイト、鱗片状二硫化モリブデン、及び鱗片状ポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも一種の鱗片状固体潤滑剤を含み、
前記鱗片状固体潤滑剤のレーザー回折散乱法により計測した体積基準の平均粒子径(D50)が1~10μmであり、さらに、
前記第一コーティング層の膜厚は2~10μm、前記第二コーティング層の膜厚は1~9μmである、と同時に、
前記第一コーティング層が前記ゴム基材に固着している複数の領域の合計面積と、前記第二コーティング層が前記ゴム基材に固着している複数の領域の合計面積との比が50507030である、
ワイパーブレードラバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機器、産業機械機器等のワイパーに用いられるワイパーブレードラバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両、航空機、船舶等の輸送機器、建設機械等の産業機械機器には、ガラス等の平滑面に付着した水分や微粒子を払拭して操縦者の視界を確保する摺動部材としてワイパーが設けられている。
ワイパーの摺動部には一般にワイパーブレードラバーが装着されている。例えば、自動車のフロントガラス用ワイパーにおいては、ワイパーの駆動に伴い、ワイパーブレードラバーの払拭動作によりガラス面に付着した雨水、降雪、埃、泥などが除去され、運転者の視界が確保される。ワイパーブレードラバーとしては、ガラスとの摩擦係数が小さく、水滴や汚れ等を充分に払拭することができる払拭性に優れ、かつ、耐久性に優れたものが望まれている。
ワイパーブレードラバーの基材としては一般にゴムや樹脂エラストマー等が使用されるが、ワイパーブレードラバーの摩耗を抑制するためにはワイパーブレードラバーと払拭面(ガラス面)との摩擦を低減することが好ましい。このため、ワイパーブレードの摺動時に、ガラスと当接する基材の当接面に、基材とガラスの摩擦を低減するコーティング層を形成することが従来から行われてきている。
【0003】
しかしながら、基材の表面に固体潤滑剤を塗布してコーティング層を設けた従来のワイパーブレードラバーでは、初期においては、低摩擦とすることができるが、長期にわたって使用すると、徐々にコーティング層が摩耗あるいは剥離して、高摩擦性の地肌が露出してしまうため、長期にわたって低摩擦を維持することが難しい、という問題点があった。
本発明者らがこれを詳細に検討した結果、以下のことが明らかになってきた。すなわち、コーティング層の弾性率が大きく、コーティング層が比較的硬い場合には、ガラス面における繰り返しの摺動により摩耗しやすく、払拭性能を長期間維持することが困難となる。また、コーティング層の弾性率が大きく、コーティング層が硬い場合には、自動車用フロントガラス等の曲面を有するガラス面(ガラス曲面)への追従性が悪く、拭きムラ等の発生を抑制することが困難となる。一方、ガラス曲面への追従性を優先して、ワイパーブレードラバーの弾性率が小さく、比較的柔らかいコーティング層を設けた場合には、停止位置にて長期にわたり保持された場合に、ガラス面に固着し易いなど、摺動開始時の摩擦係数が高くなるという問題が生じる。
【0004】
一方、近年においては、良好な視界を確保するために自動車などのガラス面をシリコーン化合物あるいはフッ素化合物よりなる撥水処理剤でコーティングすることが行われるようになってきている。しかしながら、ワイパーブレードラバーとガラス面との摩擦が大きいため、ワイパーブレードラバーの摩耗やガラス面の撥水処理膜の摩耗が進行しやすいという問題がある。摩耗の進行を抑えるために、シリコーンゴムからなるワイパーブレードラバーを用いることで、これを解決することができるが、撥水処理されていないガラス面においてもコーティング剤からシリコーン成分が移行すると水膜が形成されにくくなり、払拭性能が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3821634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、清浄なガラス面、撥水処理されたガラス面のいずれに対しても低摩擦且つ払拭性に優れ、その効果が長期間にわたって持続するワイパーブレードラバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下を包含する。
[1] コーティング層をゴム基材に設けたリップ部を有するワイパーブレードラバーであって、
前記コーティング層が第一コーティング層及び第二コーティング層を含み、
前記リップ部において、前記第一コーティング層が前記ゴム基材の一部に固着しており、前記第二コーティング層が前記ゴム基材の他の一部に固着している、ワイパーブレードラバー。
[2] 前記第二コーティング層は固体潤滑剤及びバインダーを含む、[1]に記載のワイパーブレードラバー。
[3] 前記第二コーティング層は第一コーティング層よりも柔い、[1]又は[2]に記載のワイパーブレードラバー。
[4] 前記第二コーティング層自体の弾性率は0.01~3MPaである、[2]又は[3]に記載のワイパーブレードラバー。
[5] 前記第二コーティング層自体の弾性率は0.01~2MPaである、[2]又は[3]に記載のワイパーブレードラバー。
[6] 前記第一コーティング層自体の弾性率は2~20MPaである、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[7] 前記第一コーティング層自体の弾性率は2~6MPaである、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[8] 前記第一コーティング層が固着している前記ゴム基材の面積と前記第二コーティング層が固着している前記ゴム基材の面積との比が30:70~80:20である、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[9] 前記第一コーティング層が固着している前記ゴム基材の面積と前記第二コーティング層が固着している前記ゴム基材の面積との比が40:60~70:30である、[1]乃至[8]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[10] 前記第二コーティング層の膜厚は前記第一コーティング層の膜厚の1/2以上である、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[11] 前記第一コーティング層の膜厚は2~10μmであり、前記第二コーティング層の膜厚は1~15μmである、[1]乃至[10]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[12] 前記第二コーティング層に含まれる固体潤滑剤は、鱗片状グラファイト、鱗片状二硫化モリブデン、鱗片状窒化ホウ素、及び鱗片状ポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも一種の鱗片状固体潤滑剤である、[2]乃至[11]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
[13] 前記鱗片状固体潤滑剤のレーザー回折散乱法により計測した体積基準の平均粒子径(D50)が1~10μmである、[12]に記載のワイパーブレードラバー。
[14] 前記鱗片状固体潤滑剤のレーザー回折散乱法により計測した体積基準の平均粒子径(D50)が1~5μmである、[12]又は[13]に記載のワイパーブレードラバー。
[15] 前記第二コーティング層は、前記バインダーに対する前記固体潤滑剤の体積比が1~20である、[2]乃至[14]のいずれか一項に記載のワイパーブレードラバー。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清浄なガラス面、撥水処理されたガラス面のいずれに対しても低摩擦且つ払拭性に優れ、その効果が長期間にわたって持続するワイパーブレードラバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のワイパーブレードラバーの一実施態様を示す部分斜視図である。
図2】タンデム形状のワイパーブレードラバー基材の断面図である。
図3】官能評価の点数の基準を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.ワイパーブレードラバー
初めに、本発明に係るワイパーブレードラバーについて説明する。
図1は、本発明のワイパーブレードラバーの一実施態様を示す部分斜視図である。図1において、11はワイパーブレードラバーであり、このワイパーブレードラバー11は、ガラス面に接触し摺動するリップ摺動部を有するリップ部4と、図示せぬワイパーブレード保持具に図示せぬバーテブラとともに組み付けられ保持される保持部5と、上記リップ部4と上記保持部5を接続するネック部6からなっている。12は表面処理部であり、この表面処理部12はワイパーブレードラバー11のリップ部4のリップ側面部4aに形成されている。そして、上記ワイパーブレードラバー11をワイパー装置に組み付けることによって、好適なワイパー装置とすることが出来る。
【0011】
2.素材
次に、ワイパーブレードラバーを構成する各種素材について説明する。
ワイパーブレードラバーは典型的には、図2のように、2つのワイパーブレードラバー基材1の先端部同士が当接しているタンデム形状で成形される。このワイパーブレードラバー基材1のくびれ部にあるリップ部2の両面に、所定のポリマーと固体潤滑剤とを含むコーティング剤を適用し、硬化又は乾燥して、固体潤滑剤を分散したコーティング層3を形成する。その後、リップ部2の中央(図2の符号4で図示する切断部)で切断し、リップ部2の両面に層3を有し、リップ部の端面にゴム基材が露出したワイパーブレードラバーを形成する。
【0012】
2.1.ゴム基材
ワイパーブレードラバー基材を構成するゴムとしては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム及びこれらの混合物などのゴムが挙げられる。また、用途により、樹脂エラストマーを使用することもできる。
ゴム基材の形状に特に制限があるわけではないが、上記したようにタンデム形状の断面を有することが好ましい。これによって、リップ部先端をきれいに切断することが容易になり、また、リップ部に固体潤滑剤を分散したコーティング層が設けられたワイパーブレードラバーを経済的に製造することが可能になる。
通常、ワイパーブレードラバーのリップ部となるゴム基材の部分には予めハロゲン処理などの従来公知の表面処理が施されている。例えば、ハロゲン処理の一種である塩素化処理が挙げられる。この塩素処理は少なくともワイパーブレードゴムのリップ部を塩素系の溶剤に浸漬させて表面を硬化させるものである。
同時に、この塩素化処理は、表面粗面化も可能であり、これによりゴム基材とコーティング層との密着性を向上させることができる。
【0013】
2.2.固体潤滑剤
固体潤滑剤は、自己潤滑性のある固体材料であり、従来公知の固体潤滑剤を使用することができる。例えば、黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。好ましくは、鱗片状グラファイト、鱗片状二硫化モリブデン、鱗片状窒化ホウ素、鱗片状ポリテトラフルオロエチレンのような鱗片状固体潤滑剤である。中でも鱗片状グラファイトが好ましい。
固体潤滑剤の粒子径としては、レーザー回折散乱法により計測した体積基準の平均粒子径(D50)が好ましくは1~20μm、より好ましくは1~10μm、最も好ましくは1~5μmである。レーザー回折散乱法による測定には、例えば、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(日機装社製)等を使用することができる。固体状潤滑剤が鱗片状の場合は、平均粒子径は長径を意味する。固体状潤滑剤が球形の場合は、平均粒子径は直径を意味する。
【0014】
2.3.コーティング層
本発明においては、ゴム基材にコーティング層を設け、ワイパーブレードラバーのリップ部が形成されており、前記コーティング層が第一コーティング層及び第二コーティング層を含み、前記リップ部において、前記第一コーティング層が前記ゴム基材の一部に固着しており、前記第二コーティング層が前記ゴム基材の他の一部に固着している点に特徴がある。
第一コーティング層は好ましくはバインダーを含み、好ましくは固体潤滑剤及びバインダーを含む。
第一コーティング層自体の弾性率は好ましくは2~20MPa、より好ましくは2~6MPaである。第一コーティング層の膜厚は好ましくは2~10μmである。
第二コーティング層は固体潤滑剤及びバインダーを含む。
第二コーティング層自体の弾性率は好ましくは0.01~3MPa、より好ましくは0.01~2MPaである。第二コーティング層の膜厚は好ましくは1~15μmである。
第二コーティング層の膜厚は第一コーティング層の膜厚の1/2以上であることが好ましい。
また、好ましくは第二コーティング層は第一コーティング層よりも柔い。第一コーティング層の「硬さ」、第二コーティング層の「柔らかさ」は、両者の層自体の弾性率の大小で判断することができる。
第一コーティング層が固着しているゴム基材の面積と第二コーティング層が固着しているゴム基材の面積との比は、好ましくは30:70~80:20、より好ましくは40:60~70:30である。
また、好ましくは、第二コーティング層はコーティング層の上表面であるリップ部の表層部にも達し、固体潤滑剤と共に表面を被覆するが、第一コーティング層はリップ部の表層部には達しない。
第一コーティング層を作製するために用いられる第一バインダーは特に限定されない。好ましくは、第一バインダーは、固体潤滑剤を配合して分散させることができ、かつ、ゴム基材に接着し得る硬化性ポリマーを含有する。
第二コーティング層を作製するために用いられる第二バインダーは特に限定されない。好ましくは、第二バインダーは、固体潤滑剤を配合して分散させることができ、かつ、ゴム基材に接着し得るポリマーを含有する。硬化性、架橋性である必要はない。
理論に縛られるものではないが、機構としては以下のように考えられる。すなわち、第一ポリマーをゴム基材の処理面の全面に接着させると、生成するコーティング層が剛直となるため、ワイパーブレードラバーに荷重がかかって変形した場合に追従することができずに割れが発生するという問題が生じる。一方、第二ポリマーのみでゴム基材の処理面上のコーティング層を作製すると、静摩擦係数は低く抑えられるが、ワイパーブレードラバーとしての強度や耐久性が期待できない。そこで、第一コーティング層をゴム基材の処理面の一部にのみ接着することとして割れの発生を防ぐ一方、第二コーティング層を保持する機能を持たせ、両者があいまって良好な静摩擦係数の長期間維持を可能とすると思われるのである。
【0015】
3.ワイパーブレードラバーの製造方法
次に、本発明に係るワイパーブレードラバーの製造方法について説明する。一例として下記のステップを含む方法について述べる。
(a) ゴム基材の表面の一部の上に、第一コーティング剤を適用するステップ、
(b) 第一コーティング剤を適用したゴム基材を加熱し、第一コーティング剤を硬化させるステップ、
(c) 硬化した第一コーティング層を有するゴム基材の表面の上に、第二コーティング剤を適用するステップ、及び
(d) 第二コーティング剤を乾燥するステップ。
【0016】
(a) ゴム基材の表面の一部の上に、第一コーティング剤を適用するステップ
本発明に係るワイパーブレードラバーを製造する場合、固体潤滑剤、バインダー及びその他の成分を含有する第一コーティング剤を調製して利用することが好適である。
かかるコーティング剤は、所定のバインダーを、水系媒体に分散させた分散体又は有機溶剤に溶解させた溶液とし、これに任意選択的に固体潤滑剤を分散、混合することにより調製することができる。固体潤滑剤をバインダーに分散、混合する場合、その方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばビーズミル、ボールミル、ディゾルバー等を使用して分散、混合することができる。
コーティング剤中における固形分に対する水系媒体又は有機溶剤の使用量は、調製されるコーティング剤の使用方法により異なるものであり、特に限定されるものではないが、通常は固形分100質量部に対して、水系媒体又は有機溶剤150~1200質量部の範囲が選択される。
なお、硬化剤を用いる場合は、ワイパーブレードへ塗布直前に、コーティング剤に所定量の硬化剤を加えて、よく混合して調製する。
固体潤滑剤については上述のとおりである。
第一コーティング剤に含まれる第一バインダーとしては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「ニッポラン3016」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/芳香族イソシアネート
住友スリーエム(株)製;商品名「THV200P」のようなテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン及びビニリデンフロライドの共重合体
「タケラックTE-520」(商標;武田薬品工業(株)製)のようなシリコン変性ウレタンポリオール/イソホロンジイソシアネート
「アデカレジンEP-4100」(商標;旭電化工業(株)製)のようなBPA型液状エポキシ/芳香族ポリアミド
「HPC-5000-37」(商標;日立化成工業(株)製)のようなポリアミドイミド
「ニッポラン179P」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/ブロックイソシアネート
「アクリディック56-1155」(商標;大日本インキ化学工業(株)製)のようなアクリル系ポリマー
「ETERNACOLL(登録商標)UW-1501-F」(宇部興産株式会社製)、「ETERNACOLL(登録商標)UW-1005-E」(宇部興産株式会社製)、及びこれらの混合物のような水性ポリウレタンディスパージョン
「デュラネートE402-B80B」(商標;旭化成株式会社)
「デュラネート 17B-60P」(商標;旭化成株式会社)
のようなヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート
【0017】
第一コーティング剤には二種類以上の第一バインダーを配合することもできる。その場合の両者の混合比率は特に限定されないが、そのようなバインダーを硬化することで、所望の物性を満たすように両者の混合比率を適宜設定することが望ましい。
一般にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含む第一バインダーを使用すると、ポリオールポリエーテル系ポリウレタン樹脂を含む第一バインダーを使用した場合や、クロロプレンゴム系もしくクロロスルホン化ポリエチレンとフェノール樹脂を含む第一バインダーを使用した場合と比較して、固体潤滑剤の量を増量することができ、成形されたコーティング層の摩擦係数を小さくすることができやすい。また、コーティング剤中の固体潤滑剤を増量した場合であっても、コーティング層と基材の密着性が良好であり、かつ長時間のワイパーブレードの使用においても、コーティング層の摩耗を抑制しやすい。
第一バインダーを分散させる分散媒体として、水系媒体が挙げられる。第一バインダーを溶解させる溶剤として有機溶剤が挙げられる。VOC(揮発性有機化合物)の排出規制等を考慮して、第一バインダーには、水系媒体を使用することが好ましい。水系媒体としては、水、又は水と親水性有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられるが、分散体の安定性等を考慮してイオン交換水を使用することが好ましい。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等の非プロトン性の親水性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の親水性有機溶媒の量としては、水系媒体を100質量%としたときに、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~10質量%である。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等を使用することができる。
第一コーティング剤中の第一バインダーの含有量は、第一コーティング剤全量(100質量%)に対して、好ましくは15~45質量%、より好ましくは20~40質量%である。20℃におけるコーティング剤の粘度は、好ましくは10~200mPa・s、より好ましくは20~100mPa・sである。コーティング剤の粘度は、例えば音叉型振動式粘度計装置を用いて測定することができる。
固体潤滑剤を配合する場合、第一コーティング剤中の第一バインダーの固形分と固体潤滑剤との体積比(第一バインダーの固形分:固体潤滑剤;以下P/B比)は、0.25~4.25である。
また、本発明の課題及び効果を損なわない限り、充填剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、防腐剤等を配合してもよい。
【0018】
かくして調製された第一コーティング剤をゴム基材の表面の一部の上に適用する。全面には適用せず、第二コーティング剤のための余地を残しておく。ここでいうゴム基材の表面とは、最終的にワイパーブレードラバーのリップ部となる領域であり、通常はハロゲン処理などの従来公知の表面処理が施されている領域である。
第一コーティング剤を適用する手段としては、スプレーコーティング、ナイフコーティング、ローラーコート、ディッピング等、公知の方法を用いることができるが、第二コーティング剤のための余地を残しておくためにはスプレーコーティングやマスキングをした上からのコーティングのような手段を採用することが好ましい。
ゴム基材の断面がタンデム形状であり、そのタンデム形状のくびれ部に第一コーティング剤を適用する場合には、第一コーティング剤を図2に示すタンデム形状のゴム基材のリップ部の両面にスプレー塗付等の適当な手段によって適用し、硬化して、第一コーティング層を形成することができる。
第一コーティング剤は、第一コーティング層の膜厚が所望の膜厚、好ましくは2~10μm、となるように適用する。
【0019】
(b) 第一コーティング剤を適用したゴム基材を加熱し、第一コーティング剤を硬化させるステップ
次に、第一コーティング剤を硬化させて、第一コーティング層とする。
第一コーティング剤を硬化させるための加熱温度は特に限定されないが、例えば50~200℃の温度で架橋することが可能である。架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いる場合には、80~200℃の温度で加熱されてウレタン架橋構造を形成する熱架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
加熱を行う手段は慣用の手段で足り、特に制限はなく、例えば焼成炉で焼成することにより行うことができる。
【0020】
(c) 硬化した第一コーティング層を有するゴム基材の表面の上に、第二コーティング剤を適用するステップ
かくして、ゴム基材の処理面の一部の上に、硬化した第一コーティング層を設けた中間基材が得られる。この中間基材に対し、第二コーティング剤を適用する。
コーティング剤の調製については、第一バインダーの代わりに第二バインダーを用いる点を除けば上記と同様である。
第二バインダーとしては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「ニッポラン3016」(商標;日本ポリウレタン工業(株)製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/芳香族イソシアネート
住友スリーエム(株)製;商品名「THV200P」のようなテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン及びビニリデンフロライドの共重合体
「タケラックTE-520」(商標;武田薬品工業(株)製)のようなシリコン変性ウレタンポリオール/イソホロンジイソシアネート
「アデカレジンEP-4100」(商標;旭電化工業(株)製)のようなBPA型液状エポキシ/芳香族ポリアミド
「HPC-5000-37」(商標;日立化成工業(株)製)のようなポリアミドイミド
「ニッポラン179」(商標;日本ポリウレタン工業(株)製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/ブロックイソシアネート
「アクリディック56-1155」(商標;大日本インキ化学工業(株)製)のようなアクリル系ポリマー
「ETERNACOLL(登録商標)UW-1501-F」(宇部興産株式会社社製)、「ETERNACOLL(登録商標)UW-1005-E」(宇部興産株式会社製)、及びこれらの混合物のような水性ポリウレタンディスパージョン
【0021】
第二コーティング剤には二種類以上のバインダーを配合することもできる。その場合の両者の混合比率は特に限定されないが、そのようなバインダーを乾燥することで、所望の物性を満たすように両者の混合比率を適宜設定することが望ましい。
第二バインダーの選択について考慮すべき事項は、第一コーティング剤の場合と同様である。
また、第二バインダーを分散させる分散媒体及び溶剤の選択や使用割合、第二コーティング剤中の第二バインダーの含有量、粘度、第二バインダーの固形分と固体潤滑剤との重量比、充填剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、防腐剤等についても第一コーティング剤の場合と同様である。
また、第二コーティング剤中のバインダーに対する固体潤滑剤の体積比(P/B比)は、0.5~20、好ましくは1~20である。
なお、第二コーティング剤の固体潤滑剤含有量が第一コーティング剤の固体潤滑剤含有量より高いことが望ましい。
【0022】
かくして調製された第二コーティング剤を、硬化した第一コーティング層を有するゴム基材の上に適用する。このとき、中間基材の硬化した第一コーティング層の全表面を被覆するように適用することが好ましい。
第二コーティング剤を適用する手段としては、スプレーコーティング、ナイフコーティング、ローラーコート、ディッピング等、公知の方法を用いることができる。
第二コーティング剤は、第二コーティング層の膜厚が所望の膜厚、好ましくは第一コーティング層の膜厚の1/2以上、より好ましくは1~15μm、となるように適用する。
【0023】
(d) 第二コーティング剤を乾燥するステップ
次に、第二コーティング剤を乾燥させて、第二コーティング層とする。第二コーティング剤は硬化させてもよく、させなくてもよい。
加熱を行う手段は慣用の手段で足り、特に制限はなく、例えば焼成炉で焼成することにより行うことができる。
かくして本発明に係るワイパーブレードラバーが製造される。
【0024】
本発明に係るワイパーブレードラバーの製造方法は、任意選択的に、第一コーティング層及び第二コーティング層を形成したくびれ部においてゴム基材を二つに切断するステップ(e)を含むことができる。
すなわち、図2について上に説明したように、2つのワイパーブレードラバー基材の先端部同士が当接しているタンデム形状で成形された基材のくびれ部にあるリップ部にコーティング層を形成した場合には、引き続いてリップ部の中央で切断することにより、リップ部にコーティング被膜を有するワイパーブレードラバーを作製することができる。
【実施例
【0025】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。本発明は、以下の実施例及び比較例に限定されない。実施例及び比較例中、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
【0026】
4.1.各種物性の測定方法
4.1.1.硬さ(押し込み弾性率)
コーティング層の硬さの尺度としての押し込み弾性率の測定は、ダイナミック超微小硬度計DUH-211S(島津製作所社製)を用い、試験モード負荷-除荷試験により、下記条件下に弾性率を算出する。
測定条件:荷重 0.1mN
圧子:三角錐圧子 稜間角115度 ベルコビッチタイプ
膜厚:6μm
基材:硬さ60HA (JIS K 6251準拠)
試験環境:23℃ 湿度50%RH
【0027】
4.1.2.コーティング層の塗装面積
塩素処理したゴム基材にコーティング剤を塗装する。塗装面をCCDカメラで撮影し、撮影した画像を、コーティング層は白、ゴム基材素地は黒、のように二値化処理することで、下記計算式に従って塗装面積をパーセンテージで算出する。
計算式:白面積/(白面積+黒面積)×100
【0028】
4.1.3.膜厚
ワイパーブレードラバーのリップ部に、5mm間隔を空けて、マスキングテープを2枚貼る。そのサンプルにコーティング剤を塗装後、マスキングテープをはがし、ゴム基材表面とコーティング膜の段差をレーザー変位計で測定する。
【0029】
4.1.4.拭きの官能評価
拭き性能に関する官能評価は、コーティング剤により成形されたコーティング層を設けたワイパーブレードラバーを普通自動車のワイパー装置に取り付け、当該普通自動車のウインドシールドガラス面に毎分約100~500mlの水を払拭面全体に万遍なく散布した状態で、ワイパー装置にて払拭動作を行い、拭き下げ時に残ったスジの状態をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、拭き評価を行った。なお、払拭試験前に、ウインドシールドガラス面を清掃して、ワックスやコーティング剤を除去したガラス面を通常ガラス面とし、市販の自動車ウインドシールドガラス用撥水剤(タクティー社製 ドライブジョイ(Drive Joy(登録商標))業務用ガラスコートセット、以下「ドライブジョイ撥水ガラスコート」と称する場合がある)を当該撥水剤の説明書に従って撥水剤被膜をコーティングした状態のガラス面を撥水ガラス面とした。図3は、官能評価の点数の基準を模式的に表した図である。
評価点:5 スジが全く発生しない。
評価点:4 瞬間的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:3 部分的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:2 部分的にスジが発生し直ぐに消えない。
評価点:1 全面にスジが発生し直ぐに消えない。
【0030】
4.1.5.摩擦係数
実車を模した、カットボディベンチを準備する。
押し圧16g/cm、電圧8Vで作動開始したときにアームにかかる負荷をひずみゲージで測定する。その負荷Fと押し圧Pから静止摩擦係数μ=P/Fを算出する。
【0031】
4.1.6.耐久試験(摩擦係数)
実車を模した、カットボディベンチを準備する。
ドライブジョイ撥水ガラスコートをガラス全面に塗布する。
1秒散水-1分59秒断水という作動のサイクルで1時間作動する(押し圧16g/cm、45サイクル/分)。作動後に上記方法で、静止摩擦係数を算出する。
【0032】
4.1.7.ガラス面の汚れ有無
カットボディベンチに、ドライブジョイ撥水ガラスコートを塗布し、撥水ガラスにする。撥水ガラス面上で、散水しながらワイパーブレードを3分間作動する。ワイパーブレード反転部にスジ状の汚れが発生するか、確認する。
【0033】
4.1.8.通常ガラス面耐久試験後の撥水性有無
通常ガラス面上で、散水しながらワイパーブレードを3分間作動する。その後、試験ベンチの払拭面に霧吹きで水を吹きかける。
水のハジキが無いか、目視で確認する。
【0034】
4.2.コーティング剤の調製
第一コーティング剤を調製するためのバインダーとしては下記を用いた。
A:ETERNACOLL UW-1501-F(商標;宇部興産株式会社製)
C:デュラネートE402-B80B 4.0(wt%)(商標;旭化成株式会社製),デュラネート 17B-60P 1.0(wt%)(商標;旭化成株式会社製)
D:ニッポラン179P 4.9(wt%)(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製),コロネート2513 6.1(wt%)(商標;東ソー株式会社製)
第二コーティング剤を調製するためのバインダーとしては下記を用いた。
B:ETERNACOLL UW-1005-E(商標;宇部興産株式会社製)
なお、固体潤滑剤としては、粒径1、3.5、10、20μmの鱗片状グラファイト、粒径2μmの鱗片状モリブデン、粒径8μmの鱗片状ポリテトラフルオロエチレンを用いた。
これらを、必要に応じて適当な水系分散媒体又は有機溶剤を用い、慣用の手段により均一に混合し、各コーティング剤を得る。
【0035】
4.3.ワイパーブレードラバーの作製
[実施例1]
図2に示す、2本のワイパーブレードゴム(材料:天然ゴム/クロロプレンのブレンド)がくっついたタンデム形状体を成形加工した。このタンデム形状体を処理液に浸漬して表面を塩素化処理し、煮沸洗浄した。次いで、スプレーガンで片側のリップ部に第一コーティング剤(バインダーとして上記Aを2質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを7質量部含有)を塗装面積が50%となるように塗布した。このワイパーブレードゴムを反転させて反対側にも第一コーティング剤を同様に塗布した。その後、焼成炉で焼成し、硬化した第一コーティング層(膜厚6μm、硬さ(弾性率)4MPa)を有する中間基材を得た。次いで、スプレーガンで、得られた中間基材の片側のリップ部全面に、第二コーティング剤(バインダーとして上記Bを1質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを8.5質量部含有)を塗布した。この中間基材を反転させて反対側のリップ部全面にも第二コーティング剤を同様に塗布した。その後、焼成炉で乾燥し、膜厚9μmの第二コーティング層を形成した。リップ部中央でカットしてワイパーブレードラバーを2本に分離した。
【0036】
[実施例2~4]
第一コーティング剤を塗装面積がそれぞれ25%、70%、90%となるように塗布した以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0037】
[実施例5~8]
硬化後の膜厚がそれぞれ1μm、2μm、10μm、15μmとなるように第一コーティング剤を塗布した以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0038】
[実施例9、10]
乾燥後の膜厚がそれぞれ0.5μm、20μmとなるように第二コーティング剤を塗布した以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0039】
[実施例11~13]
第二コーティング剤に含まれる鱗片状グラファイトの粒径をそれぞれ1μm、10μm、20μmとした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0040】
[実施例14、15]
第二コーティング剤に含まれる粒径3.5μmの鱗片状グラファイトをそれぞれ粒径2μmの鱗片状モリブデン、粒径8μmの鱗片状ポリテトラフルオロエチレンに置き換えた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0041】
[実施例16]
第一コーティング剤(バインダーとして上記Dを1質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを8.5質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例17]
第一コーティング剤(バインダーとして上記Dを3質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを6質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例18]
第一コーティング剤(バインダーとして上記Cを4質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを4質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例19]
第一コーティング剤(バインダーとして上記Cを4質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを2質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
硬化した第一コーティング層の硬さ(弾性率)は、実施例16~19において、それぞれ1MPa、6MPa、20MPa、25MPaとなった。
【0042】
[実施例20]
第二コーティング剤(バインダーとして上記Bを0.5質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを20質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例21]
第二コーティング剤(バインダーとして上記Bを2質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを13質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例22]
第二コーティング剤(バインダーとして上記Bを2質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを8質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
[実施例23]
第二コーティング剤(バインダーとして上記Bを5質量部、固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイトを5質量部含有)とした以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
第二コーティング層の硬さ(弾性率)は、実施例20~23において、それぞれ0.01MPa、2MPa、3MPa、4MPaとなった。
【0043】
[比較例1]
第二コーティング層を設けない以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0044】
[比較例2]
ゴム基材をシリコーンゴムに置き換え、第一コーティング層をシリコーンゴム用のコーティング剤を用いて作製した以外は比較例1と同様の操作を繰り返し、ワイパーブレードラバーを得た。
【0045】
実施例1~23及び比較例1~2のワイパーブレードラバーを上記試験に供した。結果を表1~6に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、清浄なガラス面、撥水処理されたガラス面のいずれに対しても低摩擦且つ払拭性に優れ、その効果が長期間にわたって持続するワイパーブレードラバーを提供することができ、産業上有用である。
図1
図2
図3