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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】誘電フィルム形成用組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20220913BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20220913BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220913BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20220913BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220913BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220913BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C08L79/08
C08K5/098
C08K3/013
C08G73/10
H01L23/30 R
C08J5/18 CFG
【請求項の数】 45
(21)【出願番号】P 2018559767
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018020102
(87)【国際公開番号】W WO2019050565
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】62/556,723
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/581,895
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】マリク、 サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ライナート、 ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】ディモフ、 オグニアン
(72)【発明者】
【氏名】サカムリ、 ラジ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0212292(US,A1)
【文献】特表2011-530652(JP,A)
【文献】特表2018-526668(JP,A)
【文献】特表2020-533419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;
c)少なくとも1種の触媒;及び
d)少なくとも1種の溶媒、
を含む、誘電フィルム形成用組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートの金属原子は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びゲルマニウムからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、少なくとも1つの金属原子及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、チタンテトラ(メタ)アクリレート、ジルコニウムテトラ(メタ)アクリレート、ハフニウムテトラ(メタ)アクリレート、チタンブトキシドトリ(メタ)アクリレート、チタンジブトキシドジ(メタ)アクリレート、チタントリブトキシド(メタ)アクリレート、ジルコニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ジルコニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ジルコニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、ハフニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ハフニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ハフニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、チタンテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタントリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、又はハフニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、前記組成物の0.5重量%~20重量%の量で存在する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマーは、前記組成物の3重量%~40重量%の量で存在する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の触媒は、光開始剤又は熱開始剤を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の触媒は、前記組成物の0.25重量%~4重量%の量で存在する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の溶媒は、前記組成物の35重量%~98重量%の量で存在する、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の架橋剤をさらに含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記架橋剤は、2つ以上のアルケニル又はアルキニル基を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種のフィラーをさらに含む、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のフィラーは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ハフニウム、CdSe、CdS、CdTe、CuO、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、及びニオブ酸カリウムからなる群より選択される無機粒子を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
レーザーアブレーションプロセス(laser ablation process)によりパターニングされた場合に、実質的にデブリが発生しない誘電フィルムを形成する、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の組成物により形成された誘電フィルム。
【請求項16】
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;及び
c)少なくとも1種の触媒、
を含む、誘電フィルム。
【請求項17】
自立誘電フィルムである、請求項16に記載の誘電フィルム。
【請求項18】
a)請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の組成物を基板上に付与して、誘電フィルムを形成すること;
b)前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露すること;
c)前記誘電フィルムをパターニングして、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成すること;
d)前記パターニングされた誘電フィルム上にシード層を付与すること;及び
e)前記パターニングされた誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、導電性金属層を付与すること、
を含む、導電性金属層を付与するための方法。
【請求項19】
前記導電性金属の余剰部分(overburden)を除去すること又は前記シード層を除去することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記導電性金属の余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することは、ウェットエッチングにより行われる、請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記余剰部分は、2ミクロン以下の厚さを有する、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
導電性金属余剰部分を処理するための、化学機械的平坦化プロセス又は化学機械的平坦化後の洗浄プロセスを含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露することは、前記誘電フィルムを70℃~250℃の温度で加熱することを含む、請求項18~請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記誘電フィルムの前記パターニングは、レーザーアブレーションプロセスにより行われる、請求項18~請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記レーザーアブレーションプロセスの結果、実質的にデブリが発生しない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記パターニングされた誘電フィルムは、3ミクロン以下のフィーチャサイズを有する少なくとも1つの要素を含む、請求項18~請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記導電性金属層は、銅を含む、請求項18~請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記シード層は、デブリ除去プロセス又は前処理プロセスを用いることなく付与される、請求項18~請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項18~請求項28のいずれか1項に記載の方法により形成された三次元物体。
【請求項30】
請求項29に記載の三次元物体を含む半導体デバイス。
【請求項31】
集積回路、発光ダイオード、太陽電池、又はトランジスタである、請求項30に記載の半導体デバイス。
【請求項32】
(A)請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の誘電フィルム形成用組成物をキャリア基板に塗布して、塗布された組成物を形成すること;
(B)前記塗布された組成物を乾燥して、誘電フィルムを形成すること;及び
(C)所望により、前記誘電フィルム上に保護層を付与すること、
を含む、ドライフィルム構造体を作製するための方法。
【請求項33】
a)請求項16又は請求項17に記載の誘電フィルムを基板上に形成すること;
b)前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露すること;
c)前記誘電フィルムをパターニングして、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成すること;
d)前記パターニングされた誘電フィルム上にシード層を付与すること;及び
e)前記パターニングされた誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、導電性金属層を付与すること-ここで、導電性金属層を付与することにより、2ミクロン以下の厚さを有する導電性金属余剰部分が形成される、
を含む、導電性金属層を付与するための方法。
【請求項34】
前記導電性金属余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記導電性金属余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することは、ウェットエッチングにより行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
導電性金属余剰部分の処理のための、化学機械的平坦化プロセス又は化学機械的平坦化後の洗浄プロセスを含まない、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露することは、前記誘電フィルムを70℃~250℃の温度で加熱することを含む、請求項33~請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記誘電フィルムの前記パターニングは、レーザーアブレーションプロセスにより行われる、請求項33~請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記レーザーアブレーションプロセスの結果、実質的にデブリが発生しない、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記パターニングされた誘電フィルムは、3ミクロン以下のフィーチャサイズを有する少なくとも1つの要素を含む、請求項33~請求項39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記導電性金属層は、銅を含む、請求項33~請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記シード層は、デブリ除去プロセス又は前処理プロセスを用いることなく付与される、請求項33~請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;及び
b)少なくとも1種の架橋された金属含有(メタ)アクリレート、
を含む、誘電フィルム。
【請求項44】
自立誘電フィルムである、請求項43に記載の誘電フィルム。
【請求項45】
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の誘電フィルム形成用組成物を基板上に塗布して、誘電フィルムを形成すること;
前記誘電フィルムを50℃~150℃の温度でベーキング(baking)すること;及び
前記誘電フィルムを放射線源又は熱源に曝露して、架橋誘電フィルムを形成すること
を含む、架橋誘電フィルムを作製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年11月6日に出願された米国仮特許出願第62/581,895号、及び2017年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/556,723号に基づく優先権を主張するものである。上記の先行出願は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
モバイルコンピューティング用途が拡大を続けていることに伴い、高まり続ける演算能力をより小さいデバイスフットプリントに格納することが要求されている。半導体デバイスの設計者は、種々の新しいチップアーキテクチャ(chip architectures)の使用に頼ることにより、デバイスに対する新たな要求を満たしている。これらの新しいアーキテクチャは、新しい集積回路の設計者に対してだけでなく、これらのデバイスに用いられるパッケージング材料の設計者に対しても大きな課題を課している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの新しい先進デバイスがウェハレベルパッケージング及びパネルレベルパッケージング(WLP及びPLP)並びに3D集積に大きく依存していることから、パッケージング用途のための誘電材料に対する要求は高まり続けている。より多くの演算能力をより小さいスペースに格納するために、多段ビア構造により接続された複数の誘電ビルドアップ層からなる高密度相互接続(HDI)アーキテクチャが用いられている。高度な半導体パッケージング用途においては、銅配線の寸法が極めて小さくピッチがタイトな(例えば、2×2ミクロン)銅相互接続構造の作製が必要となっている。このレベルのパターニングを実現するには、誘電フィルムのエキシマレーザーアブレーション(Excimer laser ablation)が便利な技術の1つである。しかしながら、従来の誘電材料では、アブレーションプロセスの過程で大量のデブリが形成する。デブリが存在すると、均一なシード層の付与が阻止されることにより、銅の付与プロセスが妨げられ得る。したがって、アブレーションデブリを取り除くことが不可欠である。このアブレーションデブリの除去には、多くの場合、化学的処理及び/又はプラズマ処理による更なる洗浄プロセスが必要とされ、これによりコストが増加する。この必要とされる洗浄プロセスを減少又は排除する目的で、高解像度パターニングが可能であり、且つほとんど又はまったくアブレーションデブリが発生しない誘電材料の開発が有益となる。本開示は、本発明の新規な誘電フィルム形成用組成物の使用により、この要求に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のある実施形態は:
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;
c)少なくとも1種の触媒;及び
d)少なくとも1種の溶媒、
を含有する、新規な誘電フィルム形成用組成物を特に開示する。
【0005】
ある実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物により形成される新規な誘電フィルム(例:自立フィルム)を特に開示する。ある実施形態では、誘電フィルムは、a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート(例:未架橋の金属含有(メタ)アクリレート);及びc)少なくとも1種の触媒を含有していてもよい。ある実施形態では、誘電フィルムは(例:架橋後)、a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー:及びb)少なくとも1種の架橋した金属含有(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
【0006】
ある実施形態では、本開示は:
a)本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物を基板上に塗布して(例:スピンコーティングによる)、誘電フィルムを形成する工程;
b)誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露する工程;
c)フィルムをパターニングして、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成する工程;及び
d)パターニングされた誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、導電性金属を付与する工程、
を含む、導電性金属層を付与するための方法(例:埋め込み銅配線構造を作り出す)を特に開示する。ある実施形態では、上記方法は、導電性金属を付与する前に、パターニングされた誘電フィルム上にシード層を付与することをさらに含む。
【0007】
ある実施形態では、本開示は、ドライフィルム構造体を作製するための方法を特に開示する。この方法は:
(A)本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物をキャリア基板に塗布すること;
(B)塗布された組成物を乾燥して、誘電フィルムを形成すること;及び
(C)所望により、誘電フィルムに保護層を付与すること、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、パターニングされた誘電フィルム上に銅を付与するための従来の方法の例示的スキームである。
図2図2は、本開示の例示的な本発明の方法の例示的スキームである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の「完全イミド化」との用語は、本開示のポリイミドポリマーが、約90%以上(例:約95%以上、約98%以上、約99%以上、又は約100%)イミド化されていることを意味する。本明細書に記載の金属含有(メタ)アクリレート(MCA、metal-containing (meth)acrylate)とは、金属及び(メタ)アクリレートリガンドを含有する化合物を意味する。MCAの(メタ)アクリレートリガンドは、MCA含有フィルムにおいてフリーラジカルにより引き起こされる架橋にMCAを関与可能とするのに充分な反応性を有する。本明細書に記載の「(メタ)アクリレート」との用語は、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む。本明細書に記載の触媒(例:開始剤)は、熱及び/又は放射線源に曝露された場合に、重合反応又は架橋反応を引き起こすことが可能な化合物である。本明細書に記載の架橋剤は、触媒の存在下で架橋反応又は重合反応を引き起こすことが可能な2つ以上のアルケニル又はアルキニル基を有する化合物である。
【0010】
ある実施形態では、本開示は、
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;
c)少なくとも1種の触媒;及び
d)少なくとも1種の溶媒、
を含有する、誘電フィルム形成用組成物を特に開示する。
【0011】
ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物の少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマーは、少なくとも1種のジアミンと少なくとも1種のジカルボン酸二無水物との反応により調製される。好適なジアミンとしては、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-5-アミン(別名称としては、4,4’-[1,4-フェニレン-ビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-2H-インデン-5-アミン、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-インダン-5-アミン、[1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-インダン-5-イル]アミン、及び1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミンが含まれる)、5-アミノ-6-メチル-1-(3’-アミノ-4’-メチルフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4-アミノ-6-メチル-1-(3’-アミノ-4’-メチルフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、5,7-ジアミノ-1,1-ジメチルインダン、4,7-ジアミノ-1,1-ジメチルインダン、5,7-ジアミノ-1,1,4-トリメチルインダン、5,7-ジアミノ-1,1,6-トリメチルインダン、5,7-ジアミノ-1,1-ジメチル-4-エチルインダン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3-メチル-1,2-ベンゼン-ジアミン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメタナミン、2,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、1,3-ジアミノ-2,4,5,6-テトラフルオロベンゼン、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、3,3’-オキシジアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-イソプロピリデンジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1-(4-アミノフェノキシ)-3-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ビス-(4-フェノキシアニリン)イソプロピリデン、ビス(p-ベータ-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、p-ビス-2-(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3’-ジクロロベンジジン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスアニリン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン]、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、(1,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、及び9H-フルオレン-2,6-ジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。これらのジアミンはいずれも、得られるポリイミドポリマーが本開示の要件を満たす限り、単独で用いられてもよく、いかなる比率で組み合わせて用いられてもよい。

【0012】
テトラカルボン酸二無水物モノマーとしては、1-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-5,6-ジカルボン酸二無水物、1-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-6,7-ジカルボン酸二無水物、1-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)-3-メチルインダン-5,6-ジカルボン酸二無水物、1-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)-3-メチルインダン-6,7-ジカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-3,4,8,9-テトラカルボン酸二無水物、テトラシクロ[4.4.1.02,5.07,10]ウンデカン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2-[ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(無水トリメリテート)、及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましいテトラカルボン酸二無水物モノマーとしては、2,2-[ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、及び3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物はいずれも、得られるポリイミドポリマーが本開示の要件を満たす限り、単独で用いられてもよく、いかなる比率で組み合わせて用いられてもよい。
【0013】
一般的に、こうして形成されたポリイミドポリマーは、有機溶媒に可溶性であってもよい。ある実施形態では、ポリイミドポリマーは、25℃での有機溶媒に対する溶解度が約50mg/mL以上(例:約100mg/mL以上又は約200mg/mL以上)であってもよい。有機溶媒としては:ガンマ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、及びσ-バレロラクトンなどのラクトン;シクロペンタノン及びシクロヘキサノンなどのシクロケトン;メチルエチルケトン(MEK)などの直鎖状ケトン;n-ブチルアセテートなどのエステル;エチルラクテートなどのエステルアルコール;テトラヒドロフルフリルアルコールなどのエーテルアルコール;プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル;並びにn-メチルピロリドンなどのピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
ある実施形態では、完全イミド化ポリイミド(PI、polyimide)ポリマーを合成するために、まずポリイミド前駆体ポリマーが調製される。ある実施形態では、PI前駆体ポリマーは、ポリアミック酸(PAA、polyamic acid)ポリマーである。ある実施形態では、PI前駆体は、ポリアミックエステル(PAE、polyamic ester)ポリマーである。ある実施形態では、少なくとも1種(例:2種、3種、又は4種以上)の重合溶媒中、1種又は複数種のジアミンを1種又は複数種のテトラカルボン酸二無水物と反応させて、ポリアミック酸(PAA)ポリマーが形成される。ある実施形態では、形成されたPAAポリマーが化学的又は熱的にイミド化されて、PIポリマーが形成される。ある実施形態では、PAAポリマーは、ポリマー合成の過程で又は後で、適切な試薬を用いることにより末端が封止される。ある実施形態では、形成されたPAAポリマーがエステル化されて、ポリアミックエステル(PAE)ポリマーが形成される。ある実施形態では、PAEポリマーが、少なくとも1種の重合溶媒中、テトラカルボン酸ハーフエステル(tetracarboxylic half ester)を1又は複数のジアミンと反応させることにより形成される。ある実施形態では、PAEポリマーは、適切な試薬を用いることにより末端が封止される。ある実施形態では、末端が封止されたPIポリマーは、末端封止基を有するPAAポリマー又はPAEポリマーから合成される。ある実施形態では、そのようなPIポリマーは、イミド化後に末端が封止される。
【0015】
ある実施形態では、化学的イミド化剤(例:脱水剤)がPAAポリマーに添加され、化学的イミド化剤はポリアミック酸基の閉環脱水プロセスを触媒して、これによりイミド官能基が形成され、これによりPIポリマーが形成される。好適な脱水剤としては、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、及び無水酪酸が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、塩基性触媒をさらに添加することにより上記脱水プロセスを触媒してもよい。好適な塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、2,6-ルチジン、3,5-ルチジン、ピコリン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
末端が封止された及び末端が封止されていない、PI前駆体ポリマー及びPIポリマーを合成するための方法は、当業者に公知である。そのような方法としては、例えば、その内容が参照により本明細書に取り込まれる:米国特許第2,731,447号、米国特許第3,435,002号、米国特許第3,856,752号、米国特許第3,983,092号、米国特許第4,026,876号、米国特許第4,040,831号、米国特許第4,579,809号、米国特許第4,629,777号、米国特許第4,656,116号、米国特許第4,960,860号、米国特許第4,985,529号、米国特許第5,006,611号、米国特許第5,122,436号、米国特許第5,252,534号、米国特許第5,4789,15号、米国特許第5,773,559号、米国特許第5,783,656号、米国特許第5,969,055号、及び米国特許第9,617,386号;並びに米国特許出願公開第20040265731号、米国特許出願公開第20040235992号、及び米国特許出願公開第2007083016に開示されている。
【0017】
PIポリマー又はこの前駆体を調製するための重合溶媒は、一般的に、1種の極性非プロトン性溶媒、又は2種以上の極性非プロトン性溶媒の組み合わせである。好適な極性非プロトン性溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMAc)、N-ホルミルモルホリン(NFM)、N-メチルピロリジノン(NMP)、N-エチルピロリジノン(NEP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
ある実施形態では、本明細書に記載のポリイミドポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約5,000ダルトン以上(例:約10,000ダルトン以上、約20,000ダルトン以上、約25,000ダルトン以上、約30,000ダルトン以上、約35,000ダルトン以上、約40,000ダルトン以上、又は約45,000ダルトン以上)及び/又は約100,000ダルトン以下(例:約90,000ダルトン以下、約80,000ダルトン以下、約70,000ダルトン以下、約65,000ダルトン以下、約60,000ダルトン以下、約55,000ダルトン以下、又は約50,000ダルトン以下)である。ある実施形態では、ポリイミドポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約20,000ダルトン~約70,000ダルトン、又は約30,000ダルトン~約80,000ダルトンである。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ法により得ることができ、ポリスチレン標準を用いて算出することができる。
【0019】
ある実施形態では、ポリイミド(A)の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量(いずれの溶媒も含む)に対して、約3重量%以上(例:約6重量%以上、約9重量%以上、約12重量%以上、又は約15重量%以上)及び/又は約40重量%以下(例:約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、又は約20重量%以下)である。ある実施形態では、ポリイミド(A)の量は、誘電フィルム形成用組成物中の固形分の量に対して、約10重量%以上(例:約12.5重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、又は約25重量%以上)及び/又は約60重量%以下(例:約55重量%以下、約50重量%以下、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、又は約30重量%以下)である。本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物中の固形分の量とは、組成物の総重量から組成物中の溶媒の量を差し引いたものか、組成物により形成された誘電フィルムの総重量を意味する。
【0020】
本開示において有用な金属含有(メタ)アクリレート(MCA)は、一般的に、誘電フィルム形成用組成物中の他の成分との充分な混和性を有しており、混合後、組成物中に容易に分散又は溶解されるものである。MCAは、固体として又は溶液として誘電フィルム形成用組成物中に混入していてもよい。一般的に、MCA含有組成物は、25℃で24時間以上静置した後に、相が分離しない(見た目が不均一となる)。加えて、MCA含有組成物から形成された誘電フィルムは、一般的に、見た目が透明及び均一である。
【0021】
本開示のMCAのために有用な好適な金属原子としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びゲルマニウムが挙げられる。ある実施形態では、MCAは、少なくとも1つの金属原子及び少なくとも1つ(例:1つ、2つ、3つ、又は4つ)の(メタ)アクリレート基を含む。MCAは、各金属原子と結合した3つ又は4つの(メタ)アクリレート基を有していることが好ましい。好適なMCAとしては、チタンテトラ(メタ)アクリレート、ジルコニウムテトラ(メタ)アクリレート、ハフニウムテトラ(メタ)アクリレート、チタンブトキシドトリ(メタ)アクリレート、チタンジブトキシドジ(メタ)アクリレート、チタントリブトキシド(メタ)アクリレート、ジルコニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ジルコニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ジルコニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、ハフニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ハフニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ハフニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、チタンテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタントリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、又はハフニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、MCAの(メタ)アクリレート基は、誘電フィルム形成用組成物中に存在する1種又は複数種の触媒により発生し得るフリーラジカルにより引き起こされるMCA含有フィルムの架橋又は重合にMCAを関与可能とするのに充分に反応性である。架橋又は重合は、誘電フィルム形成用組成物中、少なくとも2つのMCA間で、又は少なくとも1つのMCAと少なくとも1つの非MCA架橋剤との間で起こり得る。ある実施形態では、MCAは架橋剤である(例:MCAが2つ以上の(メタ)アクリレート基を含む場合)。ある実施形態では、MCAは、重合に適したモノマーであるか、又は連鎖停止剤として機能する(例:MCAが(メタ)アクリレート基を1つだけ含む場合)。ある実施形態では、MCAは、本明細書に記載の組成物により形成される架橋された誘電フィルム中で架橋されていない(例:MCAが(メタ)アクリレート基を1つだけの含む場合)。
【0022】
ある実施形態では、少なくとも1種のMCAの量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約0.5重量%以上(例:約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、又は約5重量%以上)及び/又は約20重量%以下(例:約18重量%以下、約16重量%以下、約14重量%以下、約12重量%以下、又は約10重量%以下)である。ある実施形態では、MCAの量は、誘電フィルム形成用組成物中の固形分の量に対して、約1重量%以上(例:約2重量%以上、約4重量%以上、約6重量%以上、約8重量%以上、又は約10重量%以上)及び/又は約25重量%以下(例:約20重量%以下、約18重量%以下、約16重量%以下、約14重量%以下、又は約12重量%以下)である。
【0023】
驚くべきことに、誘電フィルム形成用組成物中に少なくとも1種のMCAが存在することにより、組成物により形成された誘電フィルムをレーザーアブレーションプロセスを用いてパターニングした場合に、発生するデブリを最小限に抑えることができた。
【0024】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、少なくとも1種の触媒(例:開始剤)を含んでいてもよい。触媒により、熱及び/又は放射線源に曝露された場合に、架橋反応又は重合反応を引き起こすことができる。
【0025】
ある実施形態では、用いられる触媒は光開始剤であり、光開始剤は、高エネルギー放射線に露光された場合にフリーラジカルを発生させることが可能な化合物である。高エネルギー放射線としては、電子ビーム、紫外光、及びX線が挙げられるが、これらに限定されない。理論に拘束されるものではないが、光開始剤により、MCA化合物の(メタ)アクリレート基及び/又は組成物中に存在する架橋反応若しくは重合反応を引き起こすことが可能な他の要素が関与する、架橋反応又は重合反応が引き起こされるものと考えられる。上記要素としては、架橋剤(例:非MCA架橋剤)、並びにアルケニル及びアルキニル官能基を有するポリイミドが挙げられる。
【0026】
光開始剤の具体例としては、1,8-オクタンジオン、1,8-ビス[9-(2-エチルヘキシル)-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル]-1,8-ビス(O-アセチルオキシム)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製Irgacure184)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとのブレンド(BASF製Irgacure500)、2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(BASF製Irgacure1800、1850、及び1700)、2,2-ジメトキシル-2-アセトフェノン(BASF製Irgacure651)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF製Irgacure819)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(BASF製Irgacure907)、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF製Lucerin TPO)、エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF製Lucerin TPO-L)、ホスフィンオキシドとヒドロキシケトンとベンゾフェノン誘導体とのブレンド(Arkema製ESACURE KTO46)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(Merck製Darocur1173)、NCI-831(株式会社ADEKA)、N-1919(株式会社ADEKA)、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン(BASF製OXE-01)、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(BASF製OXE-02)、ベンゾフェノン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ベンゾジメチルケタール、1,1,1-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、m-クロロアセトフェノン、プロピオフェノン、アントラキノン、ジベンゾスベルロンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
非イオン性の光開始剤の具体例としては、(5-トルイルスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-2-メチルフェニル-アセトニトリル(BASF製Irgacure121)、フェナシルp-メチルベンゼンスルホネート、ベンゾインp-トルエンスルホネート、(p-トルエン-スルホニルオキシ)メチルベンゾイン、3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-2-ヒドロキシ-2-フェニル-1-フェニルプロピルエーテル、N-(p-ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド、N-(フェニル-スルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、1-p-トルエンスルホニル-1-シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、2-ニトロベンジルp-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジルp-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジルp-トリフルオロメチルベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
【0028】
ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物中に光増感剤が用いられてもよく、光増感剤は、193~405nmの波長範囲内の光を吸収することが可能である。光増感剤としては、9-メチルアントラセン、アントラセンメタノール、アセナフチレン、チオキサントン、メチル-2-ナフチルケトン、4-アセチルビフェニル、及び1,2-ベンゾフルオレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
架橋反応又は重合反応が熱により開始される実施形態では、用いられる触媒は熱開始剤であり、熱開始剤は、約70℃~約250℃の温度に曝された場合にフリーラジカルを発生させることが可能な化合物である。理論に拘束されるものではないが、熱開始剤により、MCA化合物の(メタ)アクリレート基及び/又は組成物中に存在する架橋反応若しくは重合反応を起こすことが可能な他の要素が関与する、架橋反応又は重合反応が引き起こされるものと考えられる。上記要素としては、架橋剤(例:非MCA架橋剤)、並びにアルケニル及びアルキニル官能基を有するポリイミドが挙げられる。
【0030】
熱開始剤の具体例としては、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-アミルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート、4,4-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物において、2種以上の触媒が組み合わせて用いられてもよい。触媒の組み合わせとしては、すべて熱開始剤、すべて光開始剤、又は熱開始剤と光開始剤との組み合わせであってもよい。
【0032】
ある実施形態では、触媒の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約0.25重量%以上(例:約0.5重量%以上、約0.75重量%以上、約1.0重量%以上、又は約1.5重量%以上)及び/又は約4.0重量%以下(例:約3.5重量%以下、約3.0重量%以下、約2.5重量%以下、又は約2.0重量%以下)である。ある実施形態では、触媒の量は、誘電フィルム形成用組成物中の固形分の量に対して、約0.5重量%以上(例:約1.0重量%以上、約1.5重量%以上、約2.0重量%以上、又は約2.5重量%以上)及び/又は約5.0重量%以下(例:約4.5重量%以下、約4.0重量%以下、約3.5重量%以下、又は約3.0重量%以下)である。
【0033】
本開示の誘電フィルム形成用組成物に用いてもよい有機溶媒の好適な例としては、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルカプロラクタム、N-メチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアセタミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、ジエチルアセタミド、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2-ヘプタノン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、n-ブチルアセテート(nBA)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、エチルラクテート(EL)、プロピルラクテート、3-メチル-3-メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、ジエチルマロネート、エチレングリコール 1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール、n-ブチルアルコール、2,5-ジメチルエーテル(2,5-ジメチルイソソルビド)、1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール2,5-ジエチルエーテル(2,5-ジエチルイソソルビド)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態では、有機溶媒は、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、n-ブチルアルコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又はこれらの混合物であってもよい。これらの溶媒は、組成物中の不溶性フィラー以外のすべての成分を完全に溶解し、良好なフィルムが形成され、化学反応が妨げられない限り、単独で用いられてもよく、組み合わせて用いられてもよい。
【0034】
ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物中の有機溶媒の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約35重量%以上(例:約40重量%以上、約45重量%以上、約50重量%以上、約55重量%以上、約60重量%以上、又は約65重量%以上)及び/又は約98重量%以下(例:約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、又は約70重量%以下)である。
【0035】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、少なくとも1種の架橋剤(例:非MCA架橋剤)をさらに含んでいてもよい。ある実施形態では、架橋剤は、2つ以上のアルケニル又はアルキニル基を有する。一般的に、架橋剤により、触媒の存在下において架橋反応又は重合反応を引き起こすことが可能である。
【0036】
ある実施形態では、少なくとも1種の架橋剤は、少なくとも1種のウレタンアクレートオリゴマーである。「ウレタンアクリレートオリゴマー」との用語は、ウレタン結合を有し、(メタ)アクリレート(例:アクレート又はメタクリレート)官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物類を意味し、ウレタン多官能(メタ)アクリレート(urethane multi(meth)acrylate)、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(multiurethane (meth)acrylate)、及び多官能ウレタン多官能(メタ)アクリレート(multiurethane multi(meth)acrylate)などである。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの種類は、例えば、その内容が参照により本明細書に取り込まれるCoady et al.るによる米国特許第4,608,409号及びChisholm et al.による米国特許第6,844,950号に記載されている。本開示において有用なウレタンアクリレートオリゴマーの具体例としては、CN9165US、CN9167US、CN972、CN9782、CN9783、及びCN992が挙げられるが、これらに限定されない。これらのウレタンアクリレートオリゴマー及び他のウレタンアクリレートオリゴマーは、Arkema(Sartomer)から市販されている。
【0037】
ある実施形態では、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する。ある実施形態では、架橋剤は、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(3)グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エトキシル化ビスフェノール-A-ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ-/ヘキサ-(メタ)アクリレート、イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート変性尿素-ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリレート変性メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及び(メタ)アクリレート変性セルロースからなる群より選択される。
【0038】
ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物中の架橋剤の量は、組成物の総重量に対して、約2.5重量%以上(例:約5重量%以上、約7.5重量%以上、約10重量%以上、約12.5重量%以上、又は約15重量%以上)及び/又は約30重量%以下(例:約27.5重量%以下、約25重量%以下、約22.5重量%以下、約20重量%以下、又は約17.5重量%以下)である。ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物中の架橋剤の量は、組成物中の固形分の量に対して、約5重量%以上(例:約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、又は約30重量%以上)及び/又は約60重量%以下(例:約55重量%以下、約50重量%以下、約45重量%以下、約40重量%以下、又は約35重量%以下)である。理論に拘束されるものではないが、架橋剤により、本明細書に記載の組成物により形成される誘電フィルムの機械的特性及び耐化学薬品性が改善され得るものと考えられる。
【0039】
本開示の誘電フィルム形成用組成物は、所望により、接着促進剤、フィラー、界面活性剤、可塑剤、銅不動態化剤、着色剤、及び色素などの他の成分を含んでいてもよい。
【0040】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、1種又は複数種の接着促進剤をさらに含む。好適な接着促進剤は、“Silane Coupling Agent”Edwin P.Plueddemann,1982 Plenum Press,New Yorkに記載されている。接着促進剤としては、メルカプトアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、グリシジルオキシアルコキシシラン、メルカプトシラン、シアナートシラン、及びイミダゾールシランが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、接着促進剤は、アルコキシシリル基と、置換又は無置換のアルケニル基及び置換又は無置換のアルキニル基から選択される炭素-炭素多重結合を有する官能基と、の両方を有する。
【0041】
誘電フィルム形成用組成物中に所望により存在していてもよい接着促進剤が用いられる場合、接着促進剤の量は、組成物の総重量に対して、約0.3重量%以上(例:約0.5重量%以上、約0.7重量%以上、又は約1重量%以上)及び/又は約4重量%以下(例:約3重量%以下、約2重量%以下、又は約1.5重量%以下)である。ある実施形態では、誘電フィルム形成用組成物中の所望により存在していてもよい接着促進剤の量は、組成物中の固形分の量に対して、約0.5重量%以上(例:約1重量%以上、約2重量%以上、又は約2.5重量%以上)及び/又は約8重量%以下(例:約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、又は約3重量%以下)である。
【0042】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、1種又は複数種のフィラーをさらに含んでいてもよい。ある実施形態では、フィラーは、無機粒子である。ある実施形態では、無機粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ハフニウム、CdSe、CdS、CdTe、CuO、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、及びニオブ酸カリウムからなる群より選択される。好ましくは、無機フィラーは、約0.1~20ミクロンの平均サイズの顆粒である。ある実施形態では、フィラーは、組成物の溶媒に不溶性の有機粒子である。有機粒子としては、架橋ゴム粒子、架橋又は非架橋ポリイミド粒子、及び架橋ポリマー粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本開示において有用なシリカフィラーは、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。疎水性シリカフィラーは、親水性ヒュームドシリカを表面修飾することにより調製されてもよく、表面修飾シリカフィラーを直接形成することにより調製されてもよい。表面修飾シリカフィラーの直接形成は、通常、官能性シランの加水分解縮合により達成される。本開示において有用な表面修飾シリカフィラーは、その表面上に反応性基及び/又は非反応性基を有していてもよい。本開示において有用なフィラー(例:シリカフィラー)は、約2ミクロン以下(例:約1.5ミクロン以下、約1ミクロン以下、約0.75ミクロン以下、約0.5ミクロン以下、約0.25ミクロン以下、又は約0.2ミクロン以下)及び/又は約0.1ミクロン以上(例:約0.2ミクロン以上、約0.3ミクロン以上、約0.5ミクロン以上、又は約1ミクロン以上)の粒子サイズ(例:平均粒子サイズ)を有する。フィラーサイズ分布は、狭くてもよいし(例:本質的に単分散)、広くてもよい。所望のフィラーサイズ及び分布は、当業者に公知の数多くの技術のうちいかなるものにより実現されてもよく、この技術としては、ミリング、グラインディング、及びろ過が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、シリカフィラーは有機溶媒中に分散される。溶媒中における分散は、当業者に公知の様々な方法により達成されてもよく、この方法としては、メディアミリング及び高せん断混合が挙げられるが、これらに限定されない。シリカフィラーの分散に有用な溶媒は、特に限定されない。好ましい溶媒としては、エステル、エーテル、ラクトン、ケトン、アミド、及びアルコールが挙げられる。より好ましい溶媒としては、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、シクロペンタノン、シクロヘキサン、エチルラクテート、及びn-ブタノールが挙げられる。
【0044】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物中にフィラー(例:シリカフィラー)が用いられる場合、フィラーの量は、組成物の総重量に対して、約2重量%以上(例:約4重量%以上、約6重量%以上、約8重量%以上、又は約10重量%以上)及び/又は約20重量%以下(例:約18重量%以下、約15重量%以下、又は約12重量%以下)である。ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物中のフィラー(例:シリカフィラー)の量は、組成物中の固形分の量に対して、約5重量%以上(例:約10重量%以上、約14重量%以上、約17重量%以上、又は約20重量%以上)及び/又は約40重量%以下(例:約35重量%以下、約30重量%以下、又は約25重量%以下)である。
【0045】
本開示の誘電フィルム形成用組成物は、所望により、1種又は複数種の界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤が用いられる場合、界面活性剤の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約0.001重量%以上(例:約0.01重量%以上又は約0.1重量%以上)及び/又は約2重量%以下(例:約1重量%以下又は約0.5重量%以下)である。ある実施形態では、界面活性剤の量は、組成物中の固形分の量に対して、約0.002重量%以上(例:約0.02重量%以上又は約0.2重量%以上)及び/又は約4重量%以下(例:約1重量%以下又は約0.5重量%以下)である。好適な界面活性剤としては、特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、及び特開平9-5988号に記載の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本開示の誘電フィルム形成用組成物は、所望により、1種又は複数種の可塑剤を含有していてもよい。所望により存在していてもよい可塑剤が用いられる場合、可塑剤の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約1重量%以上(例:約2重量%以上又は約3重量%以上)及び/又は約10重量%以下(例:約7.5重量%以下又は約5重量%以下)である。ある実施形態では、所望により存在していてもよい可塑剤の量は、組成物中の固形分の量に対して、約2重量%以上(例:約4重量%以上又は約6重量%以上)及び/又は約20重量%以下(例:約14重量%以下又は約10重量%以下)である。
【0047】
本開示の誘電フィルム形成用組成物は、所望により、1種又は複数種の銅不動態化剤を含有していてもよい。銅不動態化剤としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、及びテトラゾール化合物が挙げられる。トリアゾール化合物としては、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換トリアゾール、及び置換ベンゾトリアゾールを挙げることができる。置換基としては、C-Cアルキル基、アミノ基、チオール基、メルカプト基、イミノ基、カルボキシ基、及びニトロ基が挙げられる。トリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br、又はI)、ナフトトリアゾールなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-アルキルイミダゾール、2-メチル-4(5)-ニトロイミダゾール、5-メチル-4-ニトロイミダゾール、4-イミダゾールメタノールヒドロクロリド、2-メルカプト-1-メチルイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。テトラゾール化合物としては、1-H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、5,5’-ビス-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチルテトラゾール、1-メチル-5-メルカプトテトラゾール、1-カルボキシメチル-5-メルカプトテトラゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
ある実施形態では、所望により存在していてもよい銅不動態化剤が用いられる場合、銅不動態化剤の量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量に対して、約0.01重量%以上(例:約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、又は約0.5重量%以上)及び/又は約2重量%以下(例:約1.5重量%以下又は約1重量%以下)である。ある実施形態では、所望により存在していてもよい銅不動態化剤の量は、組成物中の固形分の量に対して、約0.02重量%以上(例:約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約1重量%以上)及び/又は約4重量%以下(例:約3重量%以下又は約2重量%以下)である。
【0049】
本開示の誘電フィルム形成用組成物は、所望により、1種若しくは複数種の色素及び/又は1種若しくは複数種の着色剤を含有していてもよい。
【0050】
ある実施形態では、ポリイミドは、構造(1)のシロキサンジアミンではないジアミンから調製されてもよく、
【0051】
【化1】
【0052】
ここで:R及びRは、各々独立して、二価の脂肪族又は二価の芳香族基(例:C1-6二価脂肪族基又はC6-12二価芳香族基)であり;R、R、R、及びRは、各々独立して、一価の脂肪族又は一価の芳香族基(例:C1-6一価脂肪族基又はC6-12一価芳香族基)であり;mは、1~100の整数である。
【0053】
構造(III)のシロキサンジアミンのモノマーとしては以下のものが挙げられるが、これに限定されない:
【0054】
【化2】
【0055】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、以下の溶媒のうちの1種又は複数種を特に不含有であってもよく、以下の溶媒のうち2種以上を不含有である場合は任意の組み合わせを不含有であってもよい。そのような溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)などの直鎖状ケトン、エチルアセテートなどのエステル、エチルラクテートなどのエステルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのエーテルアルコール、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエステルからなる群より選択され得る。
【0056】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、以下の接着促進剤のうちの1種又は複数種を特に不含有であってもよく、以下の接着促進剤のうち2種以上を不含有である場合は任意の組み合わせを不含有であってもよい。そのような接着促進剤は、一級アミン含有接着促進剤(3-アミノプロピルトリエトキシシラン及びm-アミノフェニルトリエトキシシランなど)、二級アミン含有接着促進剤(N-シクロヘキシルアミノトリメトキシシランなど)、三級アミン含有接着促進剤(ジエチルアミノエチルトリエトキシシランなど)、尿素含有接着促進剤(ウレイドプロピルトリメトキシシランなど)、無水物含有接着促進剤(3-(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物など)、エポキシ含有接着促進剤(2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなど)、イソシアナート含有接着促進剤(3-イソシアナートプロピルトリエトキシシランなど)、及び硫黄含有接着促進剤(3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなど)からなる群より選択され得る。
【0057】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、添加剤成分のうちの1種又は複数種を特に不含有であってもよく、添加剤成分のうち2種以上を不含有である場合は任意の組み合わせを不含有であってもよい。そのような成分は、非ポリイミドポリマー、非架橋非ポリイミドポリマー、界面活性剤、可塑剤、着色剤、色素、水、酸素捕捉剤、四級アンモニウムヒドロキシド、アミン、アルカリ金属塩基及びアルカリ土類塩基(NaOH、KOH、LiOH、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムなど)、フッ化物含有モノマー化合物、酸化剤(例:過酸化物、過酸化水素、硝酸鉄(III)、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸、亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウム、過ホウ酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、過硫酸テトラメチルアンモニウム、過酸化水素尿素、及び過酢酸)、研磨剤、シリケート、腐食防止剤(例:非アゾール腐食防止剤)、グアニジン、グアニジン塩、無機酸(例:スルホン酸、硫酸、亜硫酸、亜硝酸、硝酸、亜リン酸、及びリン酸)、有機酸(例:ヒドロキシカルボン酸、並びにカルボン酸及びポリカルボン酸)、ピロリドン、ポリビニルピロリドン、並びにハロゲン化金属からなる群より選択され得る。
【0058】
理論に拘束されるものではないが、本開示の誘電フィルム形成用組成物は、組成物により形成された誘電フィルムがレーザーアブレーションプロセスを用いることによりパターニングされる場合に、デブリの発生を最小限に抑えることができるものと考えられる。このため、半導体基板上に導電性金属層(例:銅層)を形成するプロセスに上記組成物を用いる場合、このプロセスにおいて、シード層(例:バリア層及び金属シーディング層を含む)を塗布する前に、デブリ除去プロセス又は前処理プロセスは必要とされない。
【0059】
ある実施形態では、本開示は、本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物により形成される誘電フィルムを特に開示する。ある実施形態では、誘電フィルムにおいて放射線源又は熱に曝露することによる架橋がまだ行われていない場合、誘電フィルムは、a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;及びc)少なくとも1種の触媒を含んでいてもよい。ある実施形態では、誘電フィルムは、少なくとも1種の架橋剤(誘電フィルム形成用組成物に関して既に記載したものなど)をさらに含んでいてもよい。
【0060】
ある実施形態では、誘電フィルムが放射線源又は熱への曝露により架橋された場合、誘電フィルムは、a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;b)少なくとも1種の架橋された金属含有(メタ)アクリレート;及びc)所望により少なくとも1種の無機フィラーを含んでいてもよい。そのような実施形態では、少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマーは、未架橋であってもよいし、例えばポリマーが少なくとも1つの架橋基を有する場合、それ同士で若しくは金属含有(メタ)アクリレートと架橋されていてもよい。
【0061】
ある実施形態では、本開示の誘電フィルムは、308nm、355nm、365nm、又は405nmの波長での吸光度が約0.1μm-1以上(例:約0.5μm-1以上、約1μm-1以上、約2μm-1以上、約3μm-1以上、約5μm-1以上、約7μm-1、又は約9μm-1以上)である。
【0062】
ある実施形態では、本開示は、ドライフィルム構造体を作製する方法を特に開示する。この方法は:
(A)本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物(例:a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;c)少なくとも1種の触媒;d)少なくとも1種の溶媒、及びe)所望により、少なくとも1種の架橋剤を含有する組成物を、キャリア基板に塗布して、塗布された組成物を形成すること;
(B)塗布された組成物を乾燥して、誘電フィルムを形成すること;並びに
(C)所望により、誘電フィルムに保護層を付与すること、
を含む。ある実施形態では、キャリア基板は、非常に優れた光学的透明性を有しており、ポリマー層にレリーフパターンを形成するために用いられる化学線に対して実質的に透明である。キャリア基板の厚さは、好ましくは、約10μm以上(例:約15μm以上、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、又は約60μm以上)~約150μm以下(例:約140μm以下、約120μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、又は約70μm以下)の範囲内である。
【0063】
ある実施形態では、キャリア基板は、1種又は複数種のポリマー(例:ポリエチレンテレフタレート)を含んでいてもよい単一層又は複数層のフィルムである。ある実施形態では、保護層基板は、1種又は複数種のポリマー(例:ポリエチレン又はポリプロピレン)を含んでいてもよい単一層又は複数層のフィルムである。キャリア基板及び保護層の例は、例えば、その内容が参照により本明細書に取り込まれる米国特許出願公開第2016/0313642号に記載されている。ある実施形態では、ドライフィルム構造体中の誘電フィルムは、例えば架橋されたフィルムを形成するための放射線源又は熱にはまだ曝露されていない。
【0064】
ある実施形態では、ドライフィルムの誘電フィルムは、自立誘電フィルムとしてキャリア層から剥離されてもよい。自立誘電フィルムは、キャリア層などのいかなる支持層を用いることなく、その物理的完全性を維持することが可能なフィルムである。ある実施形態では、自立誘電フィルムは(例:架橋前において):a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート(例:未架橋の金属含有(メタ)アクリレート);及びc)少なくとも1種の触媒(例:重合反応を誘導可能である触媒)を含んでいてもよい。ある実施形態では、自立誘電フィルムは放射線源又は熱に曝露されて、架橋された自立誘電フィルムが形成されてもよい。ある実施形態では、架橋自立誘電フィルムは:a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;及びb)少なくとも1種の架橋された金属含有(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。ある実施形態では、平面圧縮法又は熱ロール圧縮法により誘電フィルムを予備付与した後、真空ラミネータを用いて約50℃~約140℃で自立誘電フィルム(架橋又は未架橋のいずれか)を基板(例:半導体基板)にラミネート(laminate)してもよい。
【0065】
ある実施形態では、平面圧縮法又は熱ロール圧縮法によりドライフィルム構造体の誘電フィルムを予備付与した後、真空ラミネータを用いて約60℃~約140℃の温度でドライフィルム構造体の誘電フィルムを基板(例:半導体基板)にラミネートしてもよい。熱ロールラミネートを用いる場合:ドライフィルム構造体を熱ロールラミネータに配置してもよく;所望により存在していてもよい保護層を誘電フィルム/キャリア基板から剥がしてもよく;熱及び圧力をかけながらローラーを用いて誘電フィルムを基板に接触及びラミネートして、基板と誘電フィルムとキャリア基板とを有する物品を形成してもよい。次に、誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露させて(例:キャリア基板を通して)、架橋されたフィルムを形成してもよい。ある実施形態では、誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露する前に、キャリア基板を除去してもよい。
【0066】
ある実施形態では、誘電フィルムは:
a)本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物を基板上に塗布して誘電フィルムを形成する工程;
b)所望により、フィルムを、約50℃~約150℃の温度で、約20秒間~約240秒間ベーキングする工程;及び
c)誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露する工程、
を含む方法により、本開示の誘電フィルム形成用組成物から作製される。
【0067】
誘電フィルムの作製のための塗布法としては、スピンコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、ロッドコーティング、回転コーティング、スリットコーティング、圧縮コーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、ワイヤバーコーティング、ナイフコーティング、及びドライフィルムのラミネートが挙げられるが、これらに限定されない。半導体基板は、ウェハなどの円形状であってもよいし、パネルであってもよい。ある実施形態では、半導体基板は、シリコン基板、銅基板、アルミニウム基板、酸化ケイ素基板、窒化ケイ素基板、ガラス基板、有機基板、銅クラッドラミネート体、又は誘電材料基板であってもよい。
【0068】
理論に拘束されるものではないが、本開示の誘電フィルムは、比較的低い熱膨張係数(CTE、coefficient of thermal expansion)を有し得るものと考えられる。ある実施形態では、本開示の誘電フィルムは、50~150℃の範囲内の温度で測定した場合のCTEが、約100ppm/℃以下(例:約95ppm/℃以下、約90ppm/℃以下、約85ppm/℃以下、約80ppm/℃以下、約75ppm/℃以下、約70ppm/℃以下、約65ppm/℃以下、約60ppm/℃以下、約55ppm/℃以下、又は約50ppm/℃以下)及び約15ppm/℃以上(例:約20ppm/℃以上、約30ppm/℃以上、又は約40ppm/℃以上)であってもよい。
【0069】
本開示の誘電フィルムのフィルム厚さは、特に限定されない。ある実施形態では、誘電フィルムは、約3ミクロン以上(例:約4ミクロン以上、約5ミクロン以上、約7ミクロン以上、約10ミクロン以上、約15ミクロン以上、約20ミクロン以上、又は約25ミクロン以上)及び/又は約100ミクロン以下(例:約80ミクロン以下、約60ミクロン以下、約50ミクロン以下、約40ミクロン以下、又は約30ミクロン以下)のフィルム厚さを有する。
【0070】
ある実施形態では、誘電フィルムは、比較的小さいフィルム厚さを有していてもよい(例:約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、又は約3ミクロン以下)。
【0071】
次に、例えば架橋されたフィルムを形成するために、誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露してもよい。放射線露光のために用いられる放射線としては、電子ビーム、紫外光、及びX線が挙げられ、紫外光が好ましいが、これらに限定されない。典型的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、又はハロゲンランプを放射線源として用いてもよい。露光線量は、特に限定されず、当業者であれば、適切な量を容易に決定することができる。ある実施形態では、露光線量は、約100mJ/cm以上(例:約200mJ/cm以上又は約500mJ/cm以上)及び約2000mJ/cm以下(例:約1500mJ/cm以下又は約1000mJ/cm以下)である。誘電フィルムを熱に曝露する場合、加熱温度は、約70℃以上(例:約100℃以上、約130℃以上、又は約160℃以上)及び/又は約250℃以下(例:約220℃以下、約200℃以下、又は約180℃以下)である。加熱時間は、約10分以上(例:約20分以上、約30分以上、約40分以上、又は約50分以上)及び/又は約5時間以下(例:約4時間以下、約3時間以下、約2時間以下、又は約1時間以下)である。
【0072】
ある実施形態では、本開示は:
a)本開示の誘電フィルム形成用組成物を基板上に塗布して誘電フィルムを形成する工程;
b)誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露する工程;
c)フィルムをパターニングして(例:レーザーアブレーションプロセスにより)、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成する工程;及び
d)誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、金属(例:導電性金属)を付与する工程、
を含む、金属層を付与するための(例:埋め込み銅配線構造を作り出すための)方法を特に開示する。
【0073】
工程a)及びb)は、先に考察した工程と同様なものであってもよい。
【0074】
本開示に記載のパターニングされた構造は、レーザーアブレーションプロセスにより得てもよい。エキシマレーザービームによる直接レーザーアブレーションプロセスは、誘電フィルムに開口部(又はパターン)を形成するための乾式の単工程材料除去である。ある実施形態では、レーザーの波長は、351nm以下(例:351nm、308nm、248nm、又は193nm)である。ある実施形態では、レーザーの波長は、308nm以下である。好適なレーザーアブレーションプロセスとしては、その内容が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第7,598,167号、米国特許第6,667,551号、及び米国特許第6,114,240号に記載されているプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。従来の誘電フィルムを用いたレーザーアブレーションプロセスでは、大量のデブリが発生する。このアブレーションデブリの除去には、多くの場合、化学処理及び/又はプラズマ処理による更なる洗浄プロセス工程が必要とされ、プロセスの複雑性及びコストが高まる。本開示の重要な特徴は、本開示の組成物から作製された誘電フィルムがレーザーアブレーションプロセスによりパターニングされた場合、ほとんど又はまったくデブリが形成しないことであり、この結果、プロセスの複雑性が減少し、コストが低下する。デブリのレベルを表す1つの方法は、「1~5」のスケールを用いることであり、この場合、「1」はデブリが最も少ないこと(デブリなしであること)を表し、「5」はレーザーアブレーションプロセスにより発生するデブリが最も多いことを表している。以下の実施例で例示されるように、本開示の誘電フィルム形成用組成物から作製された誘電フィルムのレーザーアブレーションプロセスにより発生されるデブリは、「3」以下(例:「2」以下又は「1」以下)である。
【0075】
本開示のある実施形態は、半導体基板上に金属層(例:埋め込み銅配線構造を作り出すための導電性銅層)を付与するための方法について記載するものである。ある実施形態では、これを実現するために、まず、パターニングされた誘電フィルムに対して追従性を有する(conformal)シード層を、パターニングされた誘電フィルム上(例:フィルムの開口部の外側)に付与する。シード層は、バリア層及び金属シーディング層(例:銅シーディング層)を有していてもよい。本開示の重要な態様は、(例:化学的処理を用いることによる、プラズマ処理を用いることによる、又は外部接着層を用いることによる)前処理プロセスを用いることなく、パターニングされた誘電フィルム上(フィルムの開口部の内側又は外側)にバリア層及び金属シーディング層を付与して、誘電フィルムとシーディング層との間の良好な接着を確保することができることである。ある実施形態では、バリア層は、誘電層を通じた導電性金属(例:銅)の拡散を防止することができる材料を用いることにより作製される。バリア層に用いることができる好適な材料としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TiN)、窒化タングステン(WN)、及びTa/TaNが挙げられるが、これらに限定されない。バリア層を形成する好適な方法は、スパッタリング(例:PVD又は物理蒸着)である。スパッタリング付与は、高い付与率、良好な均一性、及び低い所有コストで、多くの導電性材料を付与するのに用いることができるため、金属付与技術としていくつかの利点を有している。従来のスパッタリング充填(conventional sputtering fill)では、より深く、より狭い(高アスペクト比)フィーチャに対して、比較的不良な結果が得られる。スパッタリング付与による充填率は、スパッタリングされたフラックスをならす(collimate)ことにより改善されてきた。典型的には、これは、六角形セルのアレイを有するコリメータプレートをターゲットと基板との間に挿入することにより実現される。
【0076】
上記方法の次の工程は、金属シーディングの付与である。続く工程で形成される金属層(例:銅層)の付与を改善する目的で、薄い金属(例:銅などの導電性金属)シーディング層をバリア層の上に形成してもよい。
【0077】
上記方法の次の工程は、パターニングされた誘電フィルムの開口部中の金属シーディング層の上に導電性金属層(例:銅層)を付与することであり、金属層は、パターニングされた誘電フィルムの開口部を充填するのに充分に厚い。パターニングされた誘電フィルムの開口部を充填するための金属層は、めっき(無電解めっき又は電解めっきなど)、スパッタリング、プラズマ蒸着(PVD)、及び化学蒸着(CVD)により付与してもよい。銅の塗布には、電気化学的付与が一般的に好ましい方法であり、この理由は、他の付与方法よりも経済的であり、相互接続フィーチャ中に銅を欠陥なく充填することができるためである。銅の付与方法は、一般的に、半導体産業における厳格な要件を満たすべきである。例えば、銅の付与は均一であるべきであり、例えば100nm以下の開口部を有するデバイスの小さい相互接続フィーチャに欠陥なく充填することができるべきである。この技術は、例えば、その内容が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第5,891,804号(Havemann et al.)、米国特許第6,399,486号(Tsai et al.)、米国特許第7,303,992号(Paneccasio et al.)に記載されている。
【0078】
ある実施形態では、パターニングされた誘電フィルムは、約10ミクロン以下(例:約9ミクロン以下、約8ミクロン以下、約7ミクロン以下、約6ミクロン以下、約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、又は約1ミクロン以下)のフィーチャサイズ(例:幅)を有する少なくとも1つの要素を含む。本開示の1つの重要な態様は、本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物から作製された誘電フィルムが、レーザーアブレーションプロセスにより、約3ミクロン以下(例:2ミクロン以下又は1ミクロン以下)のフィーチャサイズを有するパターンを作り出すことが可能であることである。
【0079】
ある実施形態では、本開示のパターニングされた誘電フィルムのフィーチャ(例:最小フィーチャ)のアスペクト比は、約1/3以上(例:約1/2以上、約1/1以上、約2/1以上、約3/1以上、約4/1以上、又は約5/1以上)である。
【0080】
ある実施形態では、導電性金属層を付与する方法は、さらに、導電性金属の余剰部分(余剰厚、overburden)を除去すること、又はシード層(例:バリア層及び金属シーディング層)を除去することを含む。本発明の方法における独特の態様は、導電性金属層の余剰部分又はシード層を最小限とし、ウェットエッチングなどの比較的簡便な方法により除去することが可能であることである。ある実施形態では、導電性金属層(例:銅層)の余剰厚は、約3ミクロン以下(例:約2.8ミクロン以下、約2.6ミクロン以下、約2.4ミクロン以下、約2.2ミクロン以下、約2.0ミクロン以下、又は約1.8ミクロン以下)及び約0.4ミクロン以上(例:約0.6ミクロン以上、約0.8ミクロン以上、約1ミクロン以上、約1.2ミクロン以上、約1.4ミクロン以上、又は約1.6ミクロン以上)である。銅の余剰部分を除去するための銅エッチング剤としては、塩化銅(II)及び塩酸を含有する水溶液、又は硝酸鉄(III)及び塩酸の水性混合物が挙げられる。他の好適な銅エッチング剤としては、その内容が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第4,784,785号、米国特許第3,361,674号、米国特許第3,816,306号、米国特許第5,524,780号、米国特許第5,650,249号、米国特許第5,431,776号、及び米国特許第5,248,398号、並びに米国特許出願公開第2017175274号に記載の銅エッチング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
加えて、ウェットエッチングによりシード層(例:バリア層及び金属シーディング層)も除去してもよい。チタンバリア層を除去するための好適なチタンエッチング剤としては、フッ化水素酸、及び硝酸とフッ化水素酸との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なチタンエッチング剤としては、その内容が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第4,540,465号及び米国特許第8,801,958号に記載のチタンエッチング剤が挙げられるが、これらに限定されない。タンタルバリア層を除去するためのタンタルエッチング剤としては、水酸化ナトリウム/過酸化水素の水溶液、及び水酸化カリウム/過酸化水素の水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
図1は、パターニングされた誘電フィルム上に導電性金属(例:銅)を付与するための従来の方法を示す例示的スキームである。工程100において、従来の誘電フィルム組成物が、半導体基板上に付与される。工程110において、レーザーアブレーションプロセスを用いることにより、誘電フィルムがパターニングされる。工程120において、工程110の過程で発生したデブリが除去される(例:洗浄剤又はデブリ除去剤を用いた化学処理により)。典型的な誘電フィルムとシード層(例:バリア層及びシーディング層を含む)との間の接着を改善するための前処理プロセスを、工程130に示す。誘電フィルムとシード層との間の良好に接着させる目的で、化学的処理若しくはプラズマ処理のいずれかを含む前処理プロセス又は外部接着促進剤を用いる前処理プロセスが必要である。例えば、過マンガン酸カリウム及び水酸化ナトリウムの溶液と共に誘電フィルムを加熱するデスミアプロセス(desmear process)が、誘電フィルムとシード層との接着を改善するために一般的に用いられる。次に、シード層が工程140で付与され、続いて、導電性金属が工程150で付与される。工程160において、化学機械的研磨(CMP)が行われて、導電性金属のいずれの余剰部分も除去される。最後に、工程170において、CMPの後洗浄が行われて、埋め込み導電性金属配線を有する半導体構造体が得られる。
【0083】
図2は、本開示の例示的な本発明の方法を示す例示的スキームである。図2に示されるように、工程200において、本明細書に記載の誘電フィルム形成用組成物を半導体基板上に付与することにより、本開示の本発明の誘電フィルムを形成することができる。工程210において、この塗布された誘電フィルムをレーザーアブレーションプロセスによりパターニングすることができ、これによるデブリの発生はほとんどないか、まったくない。デブリ除去プロセスも前処理プロセスも行うことなく、工程220において、シード層(例:バリア層及びシーディング層を含む)を誘電フィルム上に直接付与することができ、続いて、工程230において導電性金属(例:銅)を付与する。最後に、工程240において、導電性金属のいずれの余剰部分も除去するための、又はシード層を除去するためのウェットエッチングプロセスを行うことにより上記方法が完了し、埋め込み導電性金属配線を有する半導体構造体を得ることができる。
【0084】
ある実施形態では、本開示は、本明細書に記載の方法により形成された少なくとも1つのパターニングされたフィルムを有する、三次元物体を特に開示する。ある実施形態では、三次元物体は、少なくとも2つのスタックに(例:少なくとも3つのスタック)にパターニングされたフィルムを含んでいてもよい。そのような物体としては、半導体基板、エレクトロニクス用フレキシブルフィルム、ワイヤアイソレーション(wire isolation)、ワイヤコーティング、ワイヤエナメル、又はインク付着基板(inked substrate)が挙げられる。ある実施形態では、本開示は、1種又は複数種のこれらの三次元物体を含む半導体デバイスを特に開示する。このような半導体デバイスとしては、集積回路、発光ダイオード、太陽電池、及びトランジスタが挙げられる。
【0085】
本明細書において引用されるすべての刊行物(例:特許、特許出願公開、及び論文)の内容は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0086】
本開示を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、これらは例示目的のためであって、本開示の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【実施例
【0087】
特に断りのない限り、列挙されているパーセントはいずれも、重量基準(重量%)である。
【0088】
<合成例1(P-1)>
[6FDA/DAPIポリイミドの調製]
【0089】
【化3】
【0090】
固体の4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(無水フタル酸)(6FDA)(2.370kg、5.33モル)を、NMP(9.86kg)中の1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-5-アミン(4,4’-[1,4-フェニレン-ビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(DAPI)とも称される)(1.473kg、5.51モル)の溶液に、25℃で投入した。反応温度を40℃に上昇させ、この混合物を6時間反応させた。次に、無水酢酸(1.125kg)及びピリジン(0.219kg)を添加し、反応温度を100℃に上昇させ、12時間反応させた。
【0091】
反応混合物を、室温まで冷却し、メカニカルスターラーを備えたより大きい容器に移した。この反応溶液を、酢酸エチルで希釈し、水で1時間洗浄した。撹拌を停止した後、混合物を静置させた。相分離が発生した後、水相を除去した。有機相を、酢酸エチルとアセトンとの混合物で希釈し、水で2回洗浄した。洗浄に用いたすべての有機溶媒(酢酸エチル及びアセトン)及び水の量を、表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
シクロペンタノン(10.5kg)を上記の洗浄した有機相に添加し、この溶液を真空蒸留により濃縮して、ポリマー溶液P-1を得た。最終ポリマーの固形分%は、32.96%であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、49200ダルトンであった。
【0094】
<誘電フィルム形成用組成物を作製するための一般手順>
ポリマー(P-1)、適量のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、NCI-831(商品名、株式会社ADEKAから入手可能)、チタンテトラ(カルボキシエチルアクリレート)(MCA、n-ブタノール中60重量%)、シリカ、シクロヘキサノン、及び架橋剤の混合物をメカニカルスターラーで撹拌することにより、実施例1~6及び比較例1の誘電フィルム形成用組成物を調製した。メカニカルスターラーで24時間撹拌した後、この溶液をろ過することなく用いた。これらの実施例の組成を表2に示す。

【0095】
【表2】
【0096】
<レーザーアブレーションプロセスの一般手順>
各誘電フィルム形成用組成物を、シリコンウェハ上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて95℃で10分間ベーキングして、塗布を形成した。次に、このフィルムを、広帯域UV露光ツール
【0097】
【数1】
【0098】
を用いて500mJ/cmで全面露光し、170℃で2時間ベーキングして、約6~9ミクロンの厚さを有するフィルムを形成した。このフィルムを、波長308nm、周波数100HzでXeClレーザーを用いることによるレーザーアブレーションプロセスによりパターニングした。各実施例についてレーザーアブレーションプロセスにより発生されたデブリを、表3の実施例7~実施例12及び比較例2に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
実施例7~実施例12では、実施例1~実施例6の組成物(すべてが完全イミド化ポリイミドポリマー及びMCAを有する)のレーザーアブレーションプロセスの後、ほとんど又はまったくデブリを発生しなかった(すなわち、デブリ評価3以下)。対照的に、比較例2では、比較例1の組成物(MCAを含まない従来の誘電フィルム形成用組成物)のレーザーアブレーションプロセスの後、大量のデブリが発生した(すなわち、デブリ評価5)。
【0101】
表3において、ポリイミドポリマー及びMCAの量は、総固形分中のこれら2つの成分のパーセントに基づいて算出した。総固形分の重量は、誘電フィルム形成用組成物の総重量からこの組成物の溶媒の総重量を差し引いたものとして定義する。
【0102】
<実施例13:レーザーアブレーション及びバリア層の付与>
実施例2の誘電フィルム形成用組成物のレーザーアブレーションの結果、6.2ミクロンのフィルム上に2×2ミクロン(ライン/スペース)の解像度が得られた(例:アスペクト比=6.2/2、又は3.1)。レーザーアブレーションプロセスの過程でほとんど又はまったくデブリが形成しなかったことから、バリア層の付与の前にデブリ除去工程又は前処理プロセスを行う必要がなかった。
【0103】
スパッタリング技術を用いて、パターニングされたフィルム上にバリア層(チタン)を付与した。この付与は、Denton Vacuum Desktopユニットを56mAの電流で用いて行った。26nmの厚さを有するチタンバリア層が、16分間で形成した。
【0104】
<実施例14:銅シーディング層の付与>
銅シーディング層を、上記バリア層の上に同様のスパッタリングツールを用いることにより付与した。420nmの厚さを有する銅シーディング層が、50mAの電流で60分間で形成された。
【0105】
<実施例15:銅層の付与>
異なるサイズのウェハ用に設計されためっきユニット中で電気めっきを行った。整流器の形態の電源(交流の電気を制御された低電圧DC電流に変換する)により、必要な電流を供給した。電気めっきの前に、上記で得た加工物(ウェハ)を、10%HSOで洗浄し、続いて脱イオン水でリンスした。電気めっき浴(主成分:電解質としての脱イオン水中の3%メタンスルホン酸及び5%CuSO・5HO)に浸漬した電極を、DC電流源の出力に接続した。電気めっきされるウェハは、負に帯電したカソードとして作用した。正に帯電したアノードにより電気回路が完成する。電気めっき浴を25℃に維持しながら、電解質を毎分6ガロンの速度で再循環させた。銅付与の均一性を維持するために、セルは、適切なインサート部を備えたバッフルを有するように設計した。電流を4.4アンペアに、電圧を8.8ボルトに維持した場合、銅は毎分1ミクロンの速度で付与された。銅の余剰部分は2ミクロンであった。
【0106】
<実施例16:銅余剰部分及びチタンバリア層の除去>
90%脱イオン水及び10%塩化銅(II)の混合物を調製し、続いて塩酸を添加してpHを1に調節することにより、銅エッチング剤を調製した。この銅エッチング剤に上記で得られたウェハを浸漬し、これにより、2ミクロンの銅余剰部分が室温で20分後に除去された。98.994%脱イオン水、1%フッ化水素酸、及び0.006%ポリエチレンイミン(200ダルトンのMW)を混合することにより、チタンエッチング剤を調製した。このチタンエッチング剤に上記で得られたウェハを浸漬し、これにより、バリア層(26nm)が室温において1分間で除去された。埋め込み銅配線構造を有するウェハが得られた。
【0107】
<比較例3;デブリ除去>
比較例1の組成物から形成された誘電フィルムのレーザーアブレーションの結果、11ミクロンのフィルム上に8×8ミクロン(ライン/スペース)の解像度が得られた(例:アスペクト比=11/8、又は1.4)。大量のデブリが発生した。したがって、バリア層付与の前にデブリを除去する必要があった。2.5重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、7.5重量%脱イオン水、0.5重量%硫酸ヒドロキシルアミン、4.3重量%モノメタノールアミン、85重量%テトラヒドロフルフリルアルコール、及び0.2重量%5-メチル-1H-ベンゾトリアゾールからなるデブリ除去組成物を用いた。このデブリ除去組成物を60℃に加熱し、このデブリ除去組成物中に上記ウェハを5分間浸漬することにより、ウェハの処理を行った。ウェハを水で洗浄し、次に乾燥した。この処理の後、デブリが完全に除去された。
【0108】
<比較例4:バリア層の付与>
比較例3のパターニングされたフィルム上に、スパッタリング技術を用いてバリア層(チタン)を付与した。この付与は、Denton Vacuum Desktopユニットを56mAの電流で用いて行った。26nmの厚さを有するチタンバリア層が、16分間で形成した。
【0109】
<比較例5:銅シーディング層の付与>
銅シーディング層を、上記バリア層の上に同様のスパッタリングツールを用いることにより付与した。420nmの厚さを有する銅シーディング層が、50mAの電流で60分間で形成した。
【0110】
<比較例6:銅層の付与>
電気めっきを時間を長くした以外は、実施例15に記載の方法と同様な方法で行った。銅の余剰部分は20ミクロンであった。
【0111】
<比較例7:CMP及びCMP後洗浄による銅の余剰部分及びチタンバリア層の除去>
銅の余剰部分を、CMPプロセスにより除去した。銅バルクスラリーを、175mL/分のスラリー流速でMirra AMATポリッシャー上で用いた。CMPプロセスの合計時間は10分間であった。この研磨工程の完了後、酸性洗浄剤でウェハを洗浄し、ウェハの表面に付着した有機残渣及び粒子を除去した。
【0112】
次に、チタンバリア層を、バルクスラリーよりも機械的な影響が強く、この層を効率的に除去することができる銅バリアスラリーにより除去した。第二の酸性洗浄剤でウェハを洗浄し、ウェハの表面に付着した有機残渣及び粒子を除去した。
【0113】
<実施例17:実施例1の誘電フィルム形成用組成物の吸光度測定>
実施例1の誘電フィルム形成用組成物を、透明の4インチガラスウェハの上に3.0μmの厚さでスピンコーティングし、95℃で180秒間のソフトベークを行った(soft baked)。この自立ドライフィルムの吸光度を、CARY 400Conc.UV-可視分光光度計を用いて300~405nmの波長範囲内で測定した。このフィルムの吸光度は、308nmで0.383μm-1、355nmで0.125μm-1、365nmで0.127μm-1、及び405nmで0.058μm-1であった。
【0114】
<実施例18:誘電フィルム形成用組成物>
339.00gのポリマー(P-1)、18.00gのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、10.80gのOXE-01(商品名、BASF SEから入手可能)、114.00gのチタンテトラ(カルボキシエチルアクリレート)(n-ブタノール中の60重量%)、340.11gのシクロヘキサノン、126.00gのArkema-Sartomerから入手可能であるテトラエチレングリコールジアクリレート、及び252.0gのウレタンアクリレート(CN992、商品名、Arkema-Sartomerから入手可能)を用いることにより、実施例18の誘電フィルム形成用組成物を調製した。メカニカルスターラーで24時間撹拌した後、0.2ミクロンフィルターを用いて組成物をろ過した。
【0115】
<実施例19:ドライフィルム例1(DF-1)>
Fujifilm USA(グリーンウッド、サウスカロライナ州)製のスロットダイコーターを用いて、キャリア基板として用いた幅20.2インチ及び厚さ35ミクロンのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Hostaphan3915、Mitsubishi Polyester Film,Inc.製)上に、2フィート/分(毎分60cm)のライン速度、30ミクロンのマイクロバークリアランス(microbar clearance)で実施例18のろ過した誘電フィルム形成用組成物を塗布し、197°Fで乾燥して、およそ10.0ミクロンの厚さを有する誘電層を得た。この誘電層上に、ロール圧縮により幅20.2インチ及び厚さ20ミクロンの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP、ブルーミントン、インディアナ州、Mirwec Film Inc.製、商品名BOPLON)を積層し、保護層として作用させた。
【0116】
<実施例20:誘電フィルム形成用組成物>
470.98gのポリマー(P-1)、15.00gのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、9.00gのNCI-831(商品名、株式会社ADEKAから入手可能)、175.00gのチタンテトラ(カルボキシエチルアクリレート)(n-ブタノール中の60重量%)、289.04gのシクロヘキサノン、141.00gのArkema-Sartomerから入手可能であるテトラエチレングリコールジアクリレート、750gのシクロヘキサノン中分散20%シリカ、及び150.00gのウレタンアクリレート(CN992、商品名、Arkema-Sartomerから入手可能)を用いることにより、実施例20の誘電フィルム形成用組成物を作製した。メカニカルスターラーで24時間撹拌した後、この溶液をろ過することなく用いた。
【0117】
<実施例21:ドライフィルム例2(DF-2)>
Fujifilm USA(グリーンウッド、サウスカロライナ州)製のスロットダイコーターを用いて、キャリア基板として用いられる幅20.2インチ及び厚さ35ミクロンのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Hostaphan3915、Mitsubishi Polyester Film,Inc.製)上に、2フィート/分(毎分60cm)のライン速度、30ミクロンのマイクロバークリアランスで実施例20の未ろ過の誘電フィルム形成用組成物を塗布し、197°Fで乾燥して、およそ10.0ミクロンの厚さを有する誘電層を得た。このポリマー層上に、ロール圧縮により幅20.2インチ及び厚さ20ミクロンを有する二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP、ブルーミントン、インディアナ州、Mirwec Film Inc.製、商品名BOPLON)を積層し、保護層として作用させた。
【0118】
<仮想例22:誘電フィルム形成用組成物>
28.00gのポリマー(Poly-1)、46.88gのシクロペンタノン、80.00gのシクロヘキサノン、0.84gのN-(3-トリメトキシシリルプロピル)ピロール、1.40gの1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(OXE-02(BASFから入手可能)、6.20gのハフニウムテトラカルボキシエチルアクリレート、11.00gの中サイズ0.45ミクロンを有するチタニア、14gのトリエチレングリコールジメタクリレート、17.50gのCN992(Sartomerから入手可能)、0.84gのシクロペンタノン中Polyfox6320の0.05%溶液、及び0.07gのp-ベンゾキノンを用いることにより、調合例22を調製する。メカニカルスターラーで24時間撹拌した後、この調合物をろ過することなく用いる。
【0119】
<仮想例23:誘電フィルム形成用組成物>
26.00gのポリマー(Poly-1)、47.00gのシクロペンタノン、75.00gのシクロヘキサノン、0.80gのN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、1.50gのベンゾイルペルオキシド、7.50gのジルコニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、17.0gのテトラエチレングリコールジアクリレート(SR-209、Sartomerから入手可能)、14.00gのペンタエリスリトールトリアクリレート、0.72gのシクロペンタノン中Polyfox6320の0.05%溶液、及び0.05gのp-ベンゾキノンを用いることにより、調合例23を調製する。メカニカルスターラーで30時間撹拌した後、この調合物をろ過することなく用いる。
[付記]
本開示は下記の態様<1>~<44>も含む。
<1>
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;
c)少なくとも1種の触媒;及び
d)少なくとも1種の溶媒、
を含む、誘電フィルム形成用組成物。
<2>
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートの金属原子は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びゲルマニウムからなる群より選択される、<1>に記載の組成物。
<3>
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、少なくとも1つの金属原子及び少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を含む、<1>に記載の組成物。
<4>
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、チタンテトラ(メタ)アクリレート、ジルコニウムテトラ(メタ)アクリレート、ハフニウムテトラ(メタ)アクリレート、チタンブトキシドトリ(メタ)アクリレート、チタンジブトキシドジ(メタ)アクリレート、チタントリブトキシド(メタ)アクリレート、ジルコニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ジルコニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ジルコニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、ハフニウムブトキシドトリ(メタ)アクリレート、ハフニウムジブトキシドジ(メタ)アクリレート、ハフニウムトリブトキシド(メタ)アクリレート、チタンテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムテトラ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタンジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、チタントリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ジルコニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムブトキシドトリ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、ハフニウムジブトキシドジ(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)、又はハフニウムトリブトキシド(カルボキシエチル(メタ)アクリレート)を含む、<1>に記載の組成物。
<5>
前記少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレートは、前記組成物の約0.5重量%~約20重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<6>
前記少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマーは、前記組成物の約3重量%~約40重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<7>
前記少なくとも1種の触媒は、光開始剤又は熱開始剤を含む、<1>に記載の組成物。
<8>
前記少なくとも1種の触媒は、前記組成物の約0.25重量%~約4重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<9>
前記少なくとも1種の溶媒は、前記組成物の約35重量%~約98重量%の量で存在する、<1>に記載の組成物。
<10>
少なくとも1種の架橋剤をさらに含む、<1>に記載の組成物。
<11>
前記架橋剤は、2つ以上のアルケニル又はアルキニル基を含む、<10>に記載の組成物。
<12>
少なくとも1種のフィラーをさらに含む、<1>に記載の組成物。
<13>
前記少なくとも1種のフィラーは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化ハフニウム、CdSe、CdS、CdTe、CuO、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、及びニオブ酸カリウムからなる群より選択される無機粒子を含む、<12>に記載の組成物。
<14>
レーザーアブレーションプロセス(laser ablation process)によりパターニングされた場合に、実質的にデブリが発生しない誘電フィルムを形成する、<1>に記載の組成物。
<15>
<1>に記載の組成物により形成された誘電フィルム。
<16>
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;
b)少なくとも1種の金属含有(メタ)アクリレート;及び
c)少なくとも1種の触媒、
を含む、誘電フィルム。
<17>
自立誘電フィルムである、<16>に記載の誘電フィルム。
<18>
a)<1>に記載の組成物を基板上に付与して、誘電フィルムを形成すること;
b)前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露すること;
c)前記誘電フィルムをパターニングして、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成すること;
d)前記パターニングされた誘電フィルム上にシード層を付与すること;及び
e)前記パターニングされた誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、導電性金属層を付与すること、
を含む、導電性金属層を付与するための方法。
<19>
前記導電性金属の余剰部分(overburden)を除去すること又は前記シード層を除去することをさらに含む、<18>に記載の方法。
<20>
前記導電性金属の余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することは、ウェットエッチングにより行われる、<18>に記載の方法。
<21>
前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露することは、前記誘電フィルムを約70℃~約250℃の温度で加熱することを含む、<18>に記載の方法。
<22>
前記誘電フィルムの前記パターニングは、レーザーアブレーションプロセスにより行われる、<18>に記載の方法。
<23>
前記レーザーアブレーションプロセスの結果、実質的にデブリが発生しない、<22>に記載の方法。
<24>
前記パターニングされた誘電フィルムは、約3ミクロン以下のフィーチャサイズを有する少なくとも1つの要素を含む、<18>に記載の方法。
<25>
前記導電性金属層は、銅を含む、<18>に記載の方法。
<26>
前記余剰部分は、約2ミクロン以下の厚さを有する、<19>に記載の方法。
<27>
前記シード層は、デブリ除去プロセス又は前処理プロセスを用いることなく付与される、<18>に記載の方法。
<28>
導電性金属余剰部分を処理するための、化学機械的平坦化プロセス又は化学機械的平坦化後の洗浄プロセスを含まない、<18>に記載の方法。
<29>
<18>に記載の方法により形成された三次元物体。
<30>
<29>に記載の三次元物体を含む半導体デバイス。
<31>
集積回路、発光ダイオード、太陽電池、又はトランジスタである、<30>に記載の半導体デバイス。
<32>
(A)<1>に記載の誘電フィルム形成用組成物をキャリア基板に塗布して、塗布された組成物を形成すること;
(B)前記塗布された組成物を乾燥して、誘電フィルムを形成すること;及び
(C)所望により、前記誘電フィルム上に保護層を付与すること、
を含む、ドライフィルム構造体を作製するための方法。
<33>
a)感光性誘電フィルムを基板上に形成すること;
b)前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露すること;
c)前記誘電フィルムをパターニングして、開口部を有するパターニングされた誘電フィルムを形成すること;
d)前記パターニングされた誘電フィルム上にシード層を付与すること;及び
e)前記パターニングされた誘電フィルムの少なくとも1つの開口部に、導電性金属層を付与すること-ここで、導電性金属層を付与することにより、約2ミクロン以下の厚さを有する導電性金属余剰部分が形成される、
を含む、導電性金属層を付与するための方法。
<34>
前記導電性金属余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することをさらに含む、<33>に記載の方法。
<35>
前記導電性金属余剰部分を除去すること又は前記シード層を除去することは、ウェットエッチングにより行われる、<34>に記載の方法。
<36>
前記誘電フィルムを放射線源又は熱に曝露することは、前記誘電フィルムを約70℃~約250℃の温度で加熱することを含む、<33>に記載の方法。
<37>
前記誘電フィルムの前記パターニングは、レーザーアブレーションプロセスにより行われる、<33>に記載の方法。
<38>
前記レーザーアブレーションプロセスの結果、実質的にデブリが発生しない、<37>に記載の方法。
<39>
前記パターニングされた誘電フィルムは、約3ミクロン以下のフィーチャサイズを有する少なくとも1つの要素を含む、<33>に記載の方法。
<40>
前記導電性金属層は、銅を含む、<33>に記載の方法。
<41>
前記シード層は、デブリ除去プロセス又は前処理プロセスを用いることなく付与される、<33>に記載の方法。
<42>
導電性金属余剰部分の処理のための、化学機械的平坦化プロセス又は化学機械的平坦化後の洗浄プロセスを含まない、<33>に記載の方法。
<43>
a)少なくとも1種の完全イミド化ポリイミドポリマー;及び
b)少なくとも1種の架橋された金属含有(メタ)アクリレート、
を含む、誘電フィルム。
<44>
自立誘電フィルムである、<43>に記載の誘電フィルム。
図1
図2