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特許7140695情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220913BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20220913BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20220913BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20220913BHJP
   G09F 19/00 20060101ALN20220913BHJP
   G09B 29/00 20060101ALN20220913BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/005
G08G1/01 F
G08G1/04 C
G09F19/00 Z
G09B29/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019028406
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020135443
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 厚
(72)【発明者】
【氏名】大石 淳也
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-042049(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022273(WO,A1)
【文献】特開2014-049086(JP,A)
【文献】特開2016-147620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/005
G08G 1/01
G08G 1/04
G09F 19/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集するセンサデータ収集部と、
情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記情報出力装置による情報の出力の態様ごとに設定される閾値について、前記混雑度がいずれかの閾値を超えた場合に前記閾値に応じた情報出力装置に対して前記混雑情報を出力させる、
情報出力制御装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記対象空間の任意の範囲ごとに設定され、
前記制御部は、前記混雑度がいずれかの閾値を超えた場合に前記閾値に応じた範囲の空間に関する混雑情報を前記情報出力装置に出力させる、
請求項に記載の情報出力制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記混雑情報を前記範囲の空間に応じた情報出力装置に出力させる、
請求項に記載の情報出力制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、過去の所定期間における前記混雑度の平均値が閾値を超えた場合に前記混雑情報を前記情報出力装置に出力させる、
請求項1または2に記載の情報出力制御装置。
【請求項5】
コンピュータが、対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集するセンサデータ収集ステップと、
前記コンピュータが、情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させる制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップにおいて、前記情報出力装置による情報の出力の態様ごとに設定される閾値について、前記混雑度がいずれかの閾値を超えた場合に前記閾値に応じた情報出力装置に対して前記混雑情報を出力させる、
情報出力制御方法。
【請求項6】
対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集するセンサデータ収集ステップと、
情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させる制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記制御ステップにおいて、前記情報出力装置による情報の出力の態様ごとに設定される閾値について、前記混雑度がいずれかの閾値を超えた場合に前記閾値に応じた情報出力装置に対して前記混雑情報を出力させる、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサと、
前記複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集する情報出力制御装置と、
前記情報出力制御装置が生成する混雑情報を出力する情報出力装置と、
を備え、
前記情報出力制御装置は、前記情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させるものであり、前記情報出力装置による情報の出力の態様ごとに設定される閾値について、前記混雑度がいずれかの閾値を超えた場合に前記閾値に応じた情報出力装置に対して前記混雑情報を出力させる、
情報出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示と通信にデジタル技術を活用してディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字を表示する情報媒体としてデジタル・サイネージ(Digital Signage:電子看板)が普及しつつある。デジタル・サイネージは表示する情報の変更が容易に行えるため、発生する情報量が多く、また更新頻度も高い大型の商業施設等における情報提供手段として活用が期待されている。しかしながら、従来のデジタル・サイネージは、予め登録されている情報を予め指定されたタイミングで表示させるといった使用法が一般的であり、必要な情報を必ずしも必要なタイミングで表示できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-22505号公報
【文献】特開2014-178170号公報
【文献】特開2011-78001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利用者に対してより適切な情報提供を行うことを可能にする情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報出力制御装置は、センサデータ収集部と、制御部と、を持つ。センサデータ収集部は、対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集する。制御部は、情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の情報出力制御装置の適用先として想定する商業施設のフロアレイアウト例を示す図。
図2】第1の実施形態における情報出力システムのシステム構成の具体例を示す図。
図3】第1の実施形態の情報出力制御装置の機能構成の具体例を示すブロック図。
図4】第1の実施形態において取得元の画像センサ及び取得のタイミングと対応づけて記憶部に記憶されるセンサデータの具体例を示す図。
図5】第1の実施形態の情報出力制御装置が情報出力装置に混雑情報を出力させる処理の具体例を示すフローチャート。
図6】第1の実施形態において第1の報知動作により行われる混雑情報の出力の例を示す図。
図7】第1の実施形態において第2の報知動作により行われる混雑情報の出力の例を示す図。
図8】第1の実施形態において第3の報知動作により行われる混雑情報の出力の例を示す図。
図9】第2の実施形態における情報出力システムのシステム構成の具体例を示す図。
図10】第2の実施形態の情報出力制御装置の機能構成の具体例を示すブロック図。
図11】第3の実施形態における情報出力システムのシステム構成の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の情報出力制御装置の適用先として想定する商業施設のフロアレイアウト例を示す図である。図1において斜線部は通路を表す。それ以外は、店舗として利用される区画のほか、トイレやイベントスペース等の共有スペースとして利用される区画を表す。また、各区画に記載している“A-1”等の文字列やアイコンは各区画の識別情報を表す。例えば図1は、A-1~A-6、B-1~B-6、C-1~C-5、D-1~D-4、E-1~E-5、F-1~F-9、G-1~G-6の各区画を店舗とし、それ以外の区画を共有スペースとしたフロアレイアウトを表している。
【0009】
なお、図1のレイアウトに示されるフロアの右上1/4は、区画F-1~F-9を飲食店としたイートインスペースであり、いわゆるフードコートを形成している。また、区画Hは例えばイベントスペースである。また、区画A-3とA-4との間の区画WC-1、区画B-3とB-4との間の区画WC-2、区画C-4とC-5との間の区画WC-3、区画E-4とE-5とに隣接する区画WC-4に表されているアイコンは、その区画にトイレが設置されていることを表している。
【0010】
ここで、第1の実施形態の情報出力制御装置の適用先となる商業施設には各エリアの状態を把握するために複数の画像センサが設置されている。画像センサは、自身の設置位置及び画角によって定まる撮像範囲を撮像して取得した画像データに基づいて、画像データに撮像された空間(以下「撮像空間」という。)の状態を検出するセンサである。例えば、図1のレイアウトに示されるフロアには、状態把握の対象となるエリア(以下「対象空間」という。)がいずれかの画像センサによって撮像されるように複数の画像センサが設置される。なお、フロアに設置される画像センサの台数や設置位置は、各画像センサの撮像範囲や状態検出の精度等に応じて任意に決定されてよい。
【0011】
複数の画像センサは状態検出の結果を示す情報(以下「センサデータ」という。)を後述する情報出力制御装置(図示せず)に送信し、情報出力制御装置は画像センサから受信されるセンサデータに基づいて後述する種々の情報出力装置(図示せず)を制御する。このような情報出力装置の制御により、利用者に対してより適切な情報提供を行うことが可能になる。以下、このような情報出力制御装置の構成について詳細に説明する。
【0012】
図2は、第1の実施形態における情報出力システム100のシステム構成の具体例を示す図である。情報出力システム100は、情報出力装置に所定の情報を出力させることにより、その情報をユーザに通知するシステムである。例えば、情報出力システム100は、複数の画像センサ1と、情報出力制御装置2と、1以上のデジタルサイネージ機器3と、1以上の放送機器4と、1以上のユーザ端末5と、を備える。1以上のデジタルサイネージ機器3、1以上の放送機器4、及び1以上のユーザ端末5は上述した情報出力装置の一例である。
【0013】
具体的には、情報出力システム100は、複数の画像センサ1として画像センサ1-1~1-K(Kは2以上の整数)を、1以上のデジタルサイネージ機器3としてデジタルサイネージ機器3-1~3-L(Lは1以上の整数)を、1以上の放送機器4として放送機器4-1~4-M(Mは1以上の整数)を、1以上のユーザ端末5としてユーザ端末5-1~5-N(Nは1以上の整数)をそれぞれ備える。例えば、ユーザ端末5は、3G(3rd Generation)や4G(4th Generation)等の移動体通信網NWの基地局BS1を介して情報出力制御装置2と通信可能に接続される。
【0014】
情報出力制御装置2は、画像センサ1、デジタルサイネージ機器3、放送機器4及びユーザ端末5と、移動体通信網NWを介して互いに通信可能に接続される。情報出力制御装置2は、画像センサ1から受信するセンサデータに基づいてデジタルサイネージ機器3及び放送機器4を制御するとともに、センサデータに基づく種々の情報をユーザ端末5に通知する。
【0015】
図3は、第1の実施形態の情報出力制御装置2の機能構成の具体例を示すブロック図である。情報出力制御装置2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。情報出力制御装置2は、プログラムの実行によって第1通信部21、第2通信部22、第3通信部23、第4通信部24、記憶部25、センサデータ収集部26及び制御部27を備える装置として機能する。なお、情報出力制御装置2の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0016】
第1通信部21、第2通信部22、第3通信部23及び第4通信部24は、通信インタフェースを用いて構成される。第1通信部21は情報出力制御装置2を画像センサ1と通信可能に接続する。第2通信部22は情報出力制御装置2をデジタルサイネージ機器3と通信可能に接続する。第3通信部23は情報出力制御装置2を放送機器4と通信可能に接続する。第4通信部24は情報出力制御装置2をユーザ端末5と通信可能に接続する。
【0017】
記憶部25は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部25は情報出力制御装置2の動作に関するプログラムや設定情報等の各種情報を記憶する。
【0018】
センサデータ収集部26は、第1通信部21を介して画像センサ1からセンサデータを取得する機能を有する。例えば、センサデータ収集部26は、各画像センサ1から周期的にセンサデータを取得し、取得したセンサデータを、取得元の画像センサ1及び取得のタイミングと対応づけて記憶部25に記憶させる。
【0019】
制御部27は、センサデータに基づいて混雑情報を生成し、生成した混雑情報を対応する情報出力装置に出力させる機能を有する。混雑情報は、対象空間における人の混雑度に関する情報である。具体的には、制御部27は、情報出力装置の出力の態様に応じた混雑情報を生成し、生成した混雑情報をその出力の態様に応じた情報出力装置に出力させる。
【0020】
例えば、制御部27は、デジタルサイネージ機器3の出力の態様に応じた混雑情報として、商業施設内の各エリアの混雑状況を聴覚によって施設の利用者に報知するための音声データを生成してもよい。また、例えば、制御部27は、放送機器4の出力の態様に応じた混雑情報として、商業施設内の各エリアの混雑状況を視覚によって施設の利用者に報知するための表示データを生成してもよい。
【0021】
ここで、本実施形態の情報出力システム100において、各画像センサ1は、それぞれの撮像空間に存在する人の人数を示す情報(以下「人数データ」という。)をセンサデータとして取得するものとし、制御部27は個々の画像センサ1の撮像空間に存在する人の人数に基づいて対象空間における人の混雑度を取得し、取得した混雑度に基づいて混雑情報を生成するものとする。人の混雑度は、人数データが示す各撮像空間の人数そのものであってもよいし、その人数に応じて定まる別の値によって表されてもよい。なお、画像センサ1が撮像空間の画像から人を検出する方法には、パターンマッチングや機械学習等の既存の技術が用いられてよい。
【0022】
図4は、第1の実施形態において取得元の画像センサ1及び取得のタイミングと対応づけて記憶部25に記憶されるセンサデータの具体例を示す図である。例えば、センサデータは、図3に示すデータテーブルT1として記憶部25に記憶される。データテーブルT1の各レコードは、画像センサID、取得時刻及びセンサデータ値の各値を持つ。センサデータ値はセンサデータ(人数データ)の示す値であり、すなわち画像センサ1の撮像空間に存在する人数を表す。
【0023】
画像センサIDは、対応するセンサデータを取得した画像センサ1の識別情報を表す。画像センサIDは各画像センサ1を一意に識別できる情報であればどのような情報であってもよい。例えば、画像センサIDは、各画像センサ1のMAC(Media Access Control)アドレスやIP(Internet Protocol)アドレスであってもよい。この場合、センサデータ収集部26は、センサデータを伝送するフレームのヘッダ部を参照することにより、送信元の画像センサ1の画像センサIDを取得することができる。また、画像センサ1は、画像センサIDを示す情報をセンサデータに含めて情報出力制御装置2に送信するように構成されてもよい。
【0024】
取得時刻の値は、対応するセンサデータが取得されたタイミングを表す。取得時刻の値は、センサデータが取得されたタイミングをある程度特定できる値であればどのようなタイミングを示す値であってもよい。例えば、取得時刻は、情報出力制御装置2がセンサデータを受信した時刻であってもよいし、画像センサ1がセンサデータを取得した時刻であってもよい。後者の場合、画像センサ1は、センサデータを取得した時刻を示す情報をセンサデータに含めて情報出力制御装置2に送信するように構成されてもよい。
【0025】
図5は、第1の実施形態の情報出力制御装置2が情報出力装置に混雑情報を出力させる処理の具体例を示すフローチャートである。まず、センサデータ収集部26が、各画像センサ1からセンサデータを取得する(ステップS101)。センサデータ収集部26は、取得したセンサデータを、取得元の画像センサ1及び取得のタイミングと対応づけて記憶部25に記憶させる。
【0026】
続いて、制御部27が、記憶部25に記憶されているセンサデータに基づいて対象空間の混雑度を取得する(ステップS102)。例えば、制御部27は、個々のセンサデータが示す人数を対応する各撮像空間の混雑度として取得してもよい。また、例えば、制御部27は、複数の画像センサ1が取得したセンサデータの示す人数の合計値を、複数の撮像空間を含むより広い空間についての混雑度として取得してもよい。なお、この場合、混雑度を取得する空間の範囲を示す情報は記憶部25に予め記憶されているものとする。
【0027】
続いて、制御部27は、取得した混雑度に基づいて、表示による混雑情報の報知動作(以下「第1の報知動作」という。)を情報出力装置に行わせるか否かを判定する(ステップS103)。例えば、制御部27は、取得した混雑度の値を所定の閾値と比較し、混雑度の値が閾値以上である場合に第1の報知動作を行わせると判定する。ここで、情報出力装置に第1の報知動作を行わせると判定した場合(ステップS103-YES)、制御部27は、センサデータに基づいて混雑情報を生成し、生成した混雑情報をその出力の態様に応じた情報出力装置に出力させる。
【0028】
例えば、本実施形態の情報出力システム100において、制御部27は、取得した混雑度に関する表示データを混雑情報として生成してデジタルサイネージ機器3に送信することにより、デジタルサイネージ機器3に混雑情報を表示させる(ステップS104)。制御部27は、ステップS104の処理の実行後、又はステップS103において、情報出力装置に第1の報知動作を行わせないと判定した場合(ステップS103-NO)に、処理を次のステップS105に移す。
【0029】
図6は、第1の実施形態において第1の報知動作により行われる混雑情報の出力の例(以下「第1の具体例」という。)を示す図である。図6は、図1に例示したレイアウトのフロア(以下「対象フロア」という。)における各トイレの混雑状況を報知することを目的としてデジタルサイネージ機器3に表示される画面G1を第1の具体例として示す。画面G1は、各トイレの混雑状況を示すインジケータC1~C4がフロアレイアウトに重畳して表示された画面である。ここで、インジケータC1及びC3は混雑度が高いことを表し、インジケータC2は混雑度が低いことを表し、インジケータC4は混雑度が中程度であることを表している。
【0030】
この場合、制御部27は、例えば画面G1をデジタルサイネージ機器3に表示させるための表示データを混雑情報として生成する。また、デジタルサイネージ機器3の側で表示の重畳が可能な場合には、制御部27は、インジケータC1~C4のフロアレイアウト内における表示位置や表示色等を示す情報を混雑情報として生成してもよい。このような混雑情報がデジタルサイネージ機器3に表示されることにより、商業施設内の各トイレの混雑状況を視覚によって多数の利用者に報知することができる。
【0031】
具体的には、画面G1の表示により、WC-1及びWC-3のトイレが混雑しており、WC-2及びWC-4のトイレが比較的空いていることを利用者に報知することができる。このような画面G1の表示を見た利用者は、WC-1及びWC-3ではなく、WC-2又はWC-4のトイレを選択する可能性が高くなると考えられる。そのため、トイレ等の特定の場所に人が集中する状況を緩和させることが可能になる。
【0032】
続いて、制御部27は、取得した混雑度に基づいて、放送による混雑情報の報知動作(以下「第2の報知動作」という。)を情報出力装置に行わせるか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部27は、取得した混雑度の値を所定の閾値と比較し、混雑度の値が閾値以上である場合に第2の報知動作を行わせると判定する。ここで、情報出力装置に第2の報知動作を行わせると判定した場合(ステップS105-YES)、制御部27は、センサデータに基づいて混雑情報を生成し、生成した混雑情報をその出力の態様に応じた情報出力装置に出力させる。
【0033】
例えば、本実施形態の情報出力システム100において、制御部27は、取得した混雑度に関する音声データを混雑情報として生成して放送機器4に送信することにより、放送機器4に混雑情報を音声出力させる(ステップS106)。制御部27は、ステップS106の処理の実行後、又はステップS105において、情報出力装置に第2の報知動作を行わせないと判定した場合(ステップS105-NO)に、処理を次のステップS107に移す。
【0034】
図7は、第1の実施形態において第2の報知動作により行われる混雑情報の出力の例(以下「第2の具体例」という。)を示す図である。図7は、図6と同様の対象フロアにおける各トイレの混雑状況を報知することを目的として放送機器4によって放送される音声V1~V6を第2の具体例として示す。なお、図7におけるインジケータC1~C4は、第2の具体例における対象フロアの混雑状況として、第1の具体例と同様の状況を想定していることを便宜的に図示したものである。すなわち図7は、WC-1及びWC-3のトイレが混雑しており、WC-2及びWC-4のトイレが比較的空いているときに、第2の報知動作として音声V1~V6の放送が行われることをを表している。
【0035】
符号V1~V6を付した吹き出しは、各トイレの混雑状況に関する情報が放送された音声を表している。音声V1~V6を表す各吹き出しの位置は、それぞれの音声出力が行われた位置(換言すればスピーカの位置)に対応する。図7は、混雑度の高い場所(例えばトイレWC-1及びWC-3の付近)において放送が行われる場合を表している。
【0036】
例えば、区画の識別情報に含まれるアルファベットをその区画の属するエリアの識別情報(例えば、店舗A-1~A-6の区画をエリアAとする)とすると、音声V1~V3は「エリアAのトイレは只今混雑しておりますので、エリアE又はエリアBのトイレをご利用ください。」という内容の音声とすることが考えられる。同様に、音声V4~V6は「エリアCのトイレは只今混雑しておりますので、エリアE又はエリアBのトイレをご利用ください。」という内容の音声とすることが考えられる。
【0037】
この場合、制御部27は、例えば音声V1~V6を放送機器4に音声出力させるための音声データを混雑情報として生成し、生成した混雑情報を放送機器4に出力させる。このとき、制御部27は、生成した混雑情報を全ての放送機器4に出力させてもよいし、出力先の放送機器4を放送の内容に応じて選択してもよい。このような混雑情報が放送機器4により音声出力されることにより、商業施設内の各トイレの混雑状況を聴覚によって多数の利用者に報知することができる。
【0038】
具体的には、音声V1~V6の放送により、WC-1及びWC-3のトイレが混雑しており、WC-2及びWC-4のトイレが比較的空いていることを利用者に報知することができる。このような音声V1~V6の放送を聴いた利用者は、WC-1及びWC-3ではなく、WC-2又はWC-4のトイレを選択する可能性が高くなると考えられる。そのため、トイレ等の特定の場所に人が集中する状況を緩和させることが可能になる。
【0039】
続いて、制御部27は、取得した混雑度に基づいて、通信による混雑情報の報知動作(以下「第3の報知動作」という。)を情報出力装置に行わせるか否かを判定する(ステップS107)。例えば、制御部27は、取得した混雑度の値を所定の閾値と比較し、混雑度の値が閾値以上である場合に第3の報知動作を行わせると判定する。ここで、情報出力装置に第3の報知動作を行わせると判定した場合(ステップS107-YES)、制御部27は、センサデータに基づいて混雑情報を生成し、生成した混雑情報をその出力の態様に応じた情報出力装置に出力させる。
【0040】
例えば、本実施形態の情報出力システム100において、制御部27は、取得した混雑度に関する情報の通知データを混雑情報として生成してユーザ端末5に送信することにより、ユーザ端末5に混雑情報を出力させる(ステップS108)。この通信による第3の報知動作は、通信機器の所持者に対してより確実に混雑情報を通知することができる点で第1の報知動作と異なる。
【0041】
ここで、ユーザ端末5による混雑情報の出力の態様は、ユーザ端末5が備える表示部による表示であってもよいし、ユーザ端末5が備える音声出力部による音声の出力であってもよいし、ユーザ端末5が備える駆動部(例えばモータ等)による筐体の振動であってもよい。また、制御部27がユーザ端末5に混雑情報を送信する態様は、プッシュ型の情報配信であってもよいし、ユーザ端末5の要求に応じたリクエスト型の情報配信であってもよい。また、ユーザ端末5における混雑情報の出力は、ユーザ端末5のオペレーティングシステムの機能として実現されてもよいし、オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションの機能として実現されてもよい。
【0042】
図8は、第1の実施形態において第3の報知動作により行われる混雑情報の出力の例(以下「第3の具体例」という。)を示す図である。図8は、図6と同様の対象フロアにおける各トイレの混雑状況を報知することを目的として、例えば図中のユーザ端末5が所持者U1に対して行う通知動作F1を第3の具体例として示す。なお、図8におけるインジケータC1~C4は、第3の具体例における対象フロアの混雑状況として、第1の具体例と同様の状況を想定していることを便宜的に図示したものである。すなわち図8は、図7と同様に、WC-1及びWC-3のトイレが混雑しており、WC-2及びWC-4のトイレが比較的空いているときに、第3の報知動作として通知動作F1が行われることをを表している。
【0043】
この場合、制御部27は、例えばユーザ端末5に通知させる情報、及びその通知方法を示すデータ(以下「通知データ」という。)を混雑情報として生成し、生成した通知データをユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、受信した通知データに基づいて、通知すべき情報と、その通知方法とを識別し、通知すべき情報を、指定された通知方法で通知する(通知動作)。
【0044】
例えば、図8に示す通知動作F1は、ユーザ端末5が「WC-1及びWC-3のトイレが混雑している」又は「WC-2及びWC-4のトイレが比較的空いている」という情報を表示する動作であってもよいし、上記の各情報を示す音声を出力する動作であってもよい。このような混雑情報が利用者のユーザ端末5に送信されることにより、商業施設内の各トイレの混雑状況を施設内外の利用者に報知することができる。
【0045】
このような通知動作F1を知覚したユーザ端末5の所持者は、WC-1及びWC-3ではなく、WC-2又はWC-4のトイレを選択する可能性が高くなると考えられる。そのため、トイレ等の特定の場所に人が集中する状況を緩和させることが可能になる。
【0046】
このように構成された第1の実施形態の情報出力システム100によれば、施設等の利用者に対してより適切な情報提供を行うことが可能となる。具体的には、情報出力制御装置2が画像センサ1によって取得されたセンサデータに基づいて対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を生成し、生成した混雑情報をその出力の態様に応じた情報出力装置に出力させることにより、対象空間の混雑度に応じた情報を利用者に提供することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態における情報出力システム100aのシステム構成の具体例を示す図である。情報出力システム100aは、情報出力制御装置2に代えて情報出力制御装置2aを備える点、1以上の管理端末6をさらに備える点で第1の実施形態における情報出力システム100と異なる。管理端末6は、情報出力システム100aの管理に用いられる端末装置であり、情報出力システム100aは、1以上の管理端末6として管理端末6-1~6-J(Jは1以上の整数)をそれぞれ備える。なお、情報出力システム100aにおいて、情報出力制御装置2a及び管理端末6以外の構成は第1の実施形態における情報出力システム100と同様であるため、図9では同様の構成に図2と同じ符号を付すことにより説明を省略することとする。
【0048】
具体的には、管理端末6は、情報出力制御装置2aに対する計画データの登録のために用いられる。ここで、計画データは、情報出力制御装置2aが情報出力装置に出力させる情報の一態様であって、予め定められた所定のタイミングで出力されることが計画された情報である。以下、このタイミングを「計画タイミング」という。例えば、計画データは、各店舗の営業に関して予め計画された情報を通知するものであってもよいし、イベントスペースで催されるイベントの予定等を通知するものであってもよい。
【0049】
管理端末6は、このような計画データの入力を受け付け、入力された計画データの登録を情報出力制御装置2aに要求する機能を有する。管理端末6は、既定の計画タイミングにおいて出力される計画データの入力を受け付けてもよいし、計画データ及びその計画タイミングの入力を受け付けてもよい。なお、計画データが、計画タイミングの指定とともに入力される場合、その計画データは、指定された計画タイミングを示す情報とともに情報出力制御装置2aに供給されるものとする。
【0050】
一方、情報出力制御装置2aは、自装置に登録された計画データが、計画タイミングにおいて、その出力態様に応じた情報出力装置によって出力されるように、情報出力装置に対する計画データの供給タイミングを制御する機能を有する。計画タイミングは、予め定められた既定のタイミングであってもよいし、計画データの登録時に指定されるタイミングであってもよい。
【0051】
図10は、第2の実施形態の情報出力制御装置2aの機能構成の具体例を示すブロック図である。情報出力制御装置2aは、制御部27に代えて制御部27aを備える点、計画データ登録部28をさらに備える点で第1の実施形態の情報出力制御装置2と異なる。なお、情報出力制御装置2aにおいて、制御部27a及び計画データ登録部28以外の構成は第1の実施形態の情報出力制御装置2と同様であるため、図10では同様の構成に図3と同じ符号を付すことにより説明を省略することとする。
【0052】
計画データ登録部28は、管理端末6による計画データの登録要求を受けつけ、要求された計画データを自装置に登録する機能を有する。具体的には、計画データ登録部28は、管理端末6から登録要求とともに受信される計画データを記憶部25に記憶させる。記憶部25に記憶された計画データは、制御部27aの制御により、計画タイミングにおいて、その出力態様に応じた情報出力装置に供給される。
【0053】
制御部27aは、第1の実施形態における制御部27が有する機能に加え、計画タイミングにおいて、対応する計画データを、その出力態様に応じた情報出力装置に出力する機能を有する。例えば、制御部27aは、報知すべき混雑情報がない場合には、順次訪れる計画タイミングにおいて、その計画タイミングに対応する計画データを情報出力装置に配信する動作(以下「計画配信」という。)を行い、報知すべき混雑情報が発生した場合には、計画配信を一時的に中断して混雑情報を情報出力装置に配信する動作(以下「非計画配信」という。)を行うように構成されてもよい。
【0054】
このように構成された第2の実施形態の情報出力システム100aによれば、施設等の利用者に対してより適切な情報提供を行うことが可能となる。具体的には、情報出力制御装置2aが、報知すべき混雑情報が無い場合には計画配信を行い、報知すべき混雑情報が発生した場合には非計画配信を行うことにより、施設等の利用者に対して、予定された計画的な情報と、施設の状況等によって生じうる非計画的な情報と、を適切なタイミングで利用者に提供することができる。
【0055】
また、第2の実施形態の情報出力システム100aによれば、情報出力制御装置2aが計画データの登録を受け付け、登録済みの計画データを、所定の計画タイミングにおいて情報出力装置に配信する機能(計画配信)を有することにより、情報出力装置に出力させるデータの登録負荷を低減することができる。
【0056】
例えば、従来、デジタルサイネージ機器を導入している商業施設等では、デジタルサイネージ機器に表示させる情報のデータを予め個々のデジタルサイネージ機器に登録しておく必要があった。この登録作業は、作業者が個々のデジタルサイネージ機器に対して上記データを記録媒体から読み込ませる操作を行うものであり、このような作業を営業の開始前に行うことが営業上の大きな負担となっていた。これに対して、第2の実施形態の情報出力システム100aでは、計画データの登録及び計画配信を情報出力制御装置2aが行うことにより、情報出力装置に対するデータの登録負荷を低減することが可能になる。
【0057】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態における情報出力システム100bのシステム構成の具体例を示す図である。情報出力システム100bは、1つ以上の無線ルータ7をさらに備える点で第2の実施形態における情報出力システム100aと異なる。無線ルータ7は、1つ以上のデジタルサイネージ機器3を収容し、自身の収容するデジタルサイネージ機器3と情報出力制御装置2aとの間の通信を無線通信によって中継する装置である。図11に示す情報出力システム100bは、1以上の無線ルータ7の一例として無線ルータ7-1及び7-2を備える。無線ルータ7-1はデジタルサイネージ機器3ー1を収容し、無線ルータ7-2はデジタルサイネージ機器3-2~3-Lを収容する。
【0058】
例えば、無線ルータ7は、移動体通信網NWの基地局BS2を介して情報出力制御装置2aと通信可能に接続される。無線ルータ7は、基地局BS2への接続に必要な情報(以下「接続情報」という。)を記録したSIMカード(Subscriber Identity Module Card)等の記録媒体から接続情報を読み出し、読み出した接続情報に基づいて基地局BS2に接続する機能を有する。なお、接続情報を記録したSIMカード等の記録媒体は、移動体通信サービスを提供する通信事業者との契約によって予め用意されるものとする。
【0059】
なお、情報出力システム100bにおいて、デジタルサイネージ機器3が無線ルータ7を介して情報出力制御装置2aと通信する以外の構成は第2の実施形態における情報出力システム100aと同様であるため、図11では同様の構成に図9と同じ符号を付すことにより説明を省略することとする。
【0060】
このように構成された第3の実施形態における情報出力システム100bによれば、情報出力制御装置2aとデジタルサイネージ機器3とが無線ルータ7を介して無線通信により通信するように構成されることにより、デジタルサイネージ機器3の通信配線を削減することができる。これにより、商業施設等において情報出力装置に係る通信配線の新設や維持管理等にかかるコストを削減することが可能となる。
【0061】
また、第3の実施形態における情報出力システム100bによれば、情報出力制御装置2aとデジタルサイネージ機器3とが無線ルータ7を介して無線通信により通信するように構成されることにより、デジタルサイネージ機器3の設置場所を容易に変更することが可能となる。具体的には、対象のデジタルサイネージ機器3の収容先を現在の無線ルータ7から移動先の無線ルータ7に変更するだけで設置場所を変更することができる。また、1つの無線ルータ7に収容されている全てのデジタルサイネージ機器3の設置場所を同じ場所に変更する場合には、対象のデジタルサイネージ機器3を無線ルータ7とともに移動させることにより収容先を変更することなく設置場所を変更することも可能である。
【0062】
(変形例)
上記の各実施形態における混雑度は対象空間又は撮像空間に存在する人数そのものではなく、人数に応じて定まる別の値によって表されてもよい。例えば、混雑度は、人数の範囲ごとに設けられたレベル値であってもよい。例えば、人数の範囲ごとに、高レベル、通常レベル、低レベルの3つのレベル値を設けておき、検出された人数に応じたレベル値をその撮像空間又は対象空間の混雑度として決定してもよい。
【0063】
上記の各実施形態では混雑情報を出力する情報出力装置としてデジタルサイネージ機器3、放送機器4、ユーザ端末5を例示したが、情報出力装置は混雑情報を人が知覚可能な態様で出力する装置であれば、他のどのような装置であってもよい。例えば、情報出力装置は、点灯、消灯、点滅のパターン等により混雑情報を報知する表示灯や、明るさや色等によって混雑情報を報知する照明機器等の装置であってもよい。
【0064】
上記の各実施形態では混雑情報として商業施設等におけるトイレの混雑度を示す情報を例示したが、混雑情報はトイレ以外の任意の空間の混雑度に関する情報であってよい。例えば、混雑情報は各店舗の混雑度に関する情報であってもよいし、イベントスペースやフードコート等の特定用途の空間の混雑度に関する情報であってもよい。
【0065】
また、混雑情報は、それを知覚した利用者に対して混雑を避けるように行動することのインセンティブを与える仕組みに利用されてもよい。例えば、混雑情報は、その商業施設等で利用可能なポイントの付与やクーポンの配布等を行う仕組みに利用されてもよい。この場合、例えば情報出力制御装置は、各エリアの混雑度に応じてポイントの付与やクーポンの配布の対象となる店舗を決定し、対象の店舗を示す情報を含めた混雑情報をユーザ端末5に配信する。ユーザ端末5では、対象の店舗を選択可能な態様で混雑情報とともに表示し、選択された店舗の識別情報と利用者の識別情報とを含む情報(以下「選択情報」という。)を情報出力制御装置に送信する。
【0066】
一方、利用者は選択した店舗での購買を行ったときには、それを証明する情報(以下「購買情報」という。)をユーザ端末5に取り込んで情報出力制御装置に送信する。購買情報は、店舗に設置された機器から取得されてもよいし、レシート等に記載された情報の入力又はスキャンによって取得されてもよい。そして、情報出力制御装置は、選択された店舗における利用者の購買が確認された場合に、その利用者に所定のインセンティブを付与する。
【0067】
なお、このようなインセンティブの付与は情報出力制御装置の制御部が行ってもよいし、インセンティブを管理する他のシステム(以下「インセンティブ管理システム」という。)によって行われてもよい。例えば、混雑情報に基づくインセンティブの付与をインセンティブ管理システムで行う場合、情報出力制御装置が選択情報の送信先としてインセンティブ管理システムを指定する混雑情報を配信し、ユーザ端末5が購買情報をインセンティブ管理システムに送信するように構成されてもよい。このように、混雑情報の配信に応じて利用者にインセンティブが付与されることにより、特定の場所に人が集中する状況をより一層緩和させることが可能になる。
【0068】
上記の各実施形態において、情報出力制御装置は連続的に受信されるセンサデータに基づいて混雑情報を随時更新し、その更新タイミングに応じて混雑情報をユーザ端末5に配信するように構成されてもよい。また、情報出力制御装置は、ユーザ端末5の要求を受け付け、要求を受け付けた時点で最新の混雑情報をユーザ端末5に配信するように構成されてもよい。
【0069】
上記の各実施形態では、情報出力制御装置が、混雑度が所定の閾値を超えた場合に第1~第3の報知動作を行う場合について説明したが、この閾値は混雑情報の出力の態様に応じて異なる値に設定されてもよい。また、混雑度の判定は対象空間の任意の範囲ごとに行われてもよく、この場合の閾値はその範囲ごとに設けられてもよい。一般に、混雑しているか否かの判断基準は、対象の空間の用途や特性によって異なることが多い。そのため、例えば店舗ごとの混雑度を判定する場合に、全店舗で一律の基準で判断したのでは各店舗の混雑状況を適切に把握することができず営業活動をかえって制限してしまう可能性がある。このような場合、店舗ごとに閾値を設けることによって、その店舗の用途や特性に応じて混雑度を適切に判定することが可能になり、営業活動を促進することが可能になる。
【0070】
上記の各実施形態では、情報出力制御装置が、情報出力装置に混雑情報を出力させるか否かをある時点での混雑度の判定結果に基づいて決定したが、混雑状況が変化しやすい場合においては、混雑情報に基づく利用者の行動結果が望ましい結果とならない可能性がある。例えば、トイレWC-1が空いているとの混雑情報を受けた利用者がそこに到着したときには、すでにトイレWC-1が混雑してしまっているといったことが考えられる。そのため、予め対象空間の混雑状況が変化しやすいことが想定される場合、情報出力制御装置は過去の所定期間に取得された各時点の混雑度の統計値を閾値と比較するように構成されてもよい。この統計値は、典型的には平均値であってよいが、必要に応じて、最頻値や中間値、最大値、最小値等の他の統計値に代えられてもよい。このように、情報出力装置に混雑情報を出力させるか否かを混雑度の統計値によって判定することにより、より適切な混雑状況を利用者に報知することが可能となる。
【0071】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、対象空間に設置される画像センサであって設置位置に応じた撮像空間を撮像して取得した画像データに基づいて前記撮像空間に存在する人の人数を取得する複数の画像センサから前記人数を示すセンサデータを収集するセンサデータ収集部と、情報出力装置の出力の態様に応じた情報であって前記対象空間における人の混雑度に関する混雑情報を前記センサデータに基づいて生成し、生成した前記混雑情報をその出力の態様に応じた前記情報出力装置に出力させる制御部と、を持つことにより、利用者に対してより適切な情報提供を行うことを可能にする情報出力制御装置、情報出力制御方法、コンピュータプログラム及び情報出力システムを提供することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
100,100a,100b…情報出力システム、1,1-1~1-K…画像センサ、2,2a…情報出力制御装置、21…第1通信部、22…第2通信部、23…第3通信部、24…第4通信部、25…記憶部、26…センサデータ収集部、27,27a…制御部、28…計画データ登録部、3,3-1~3-L…デジタルサイネージ機器、4,4-1~4-M…放送機器、5,5-1~5-N…ユーザ端末、6,6-1~6-J…管理端末、7,7-1~7-2…無線ルータ、BS1,BS2…基地局、N…移動体通信網
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