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特許7140704配送順決定システム、配送順決定方法、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】配送順決定システム、配送順決定方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20220913BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/137
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019058004
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159800
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小濱 裕士
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-271936(JP,A)
【文献】特開2002-123887(JP,A)
【文献】特開2014-199203(JP,A)
【文献】特開2003-002444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送順決定システムであって、
台車が搭載された配送車両に積載される荷物と前記荷物の種類と前記荷物の配送先とが対応付けて記憶された配送先記憶部と、
前記配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された前記配送先に配送される前記荷物を、前記種類に応じてグループ化するグループ化部と、
グループ化された前記荷物の配送順を決定する配送順決定部と、
を備え、
前記荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されており、
前記グループ化部は、配送先間の前記台車による移動時間が予め定められた時間内である複数の配送先をグループ化し、
前記配送順決定部は、前記種類に応じてグループ化されたグループ毎に、前記台車による前記荷物の配送順を、決定する、
配送順決定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配送順決定システムであって、
車両が通行可能な道路の繋がり状態を表す車両用道路ネットワークを記憶する道路情報記憶部と、
グループ化された前記配送先を含む領域内において、予め定めた条件を満たす駐車位置を前記車両用道路ネットワークに基づき決定する駐車位置決定部と、
を備える配送順決定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の配送順決定システムであって、
前記道路情報記憶部は、台車が通行可能な道路の繋がり状態を表す台車用道路ネットワークを記憶し、
前記配送順決定部は、前記駐車位置からの前記配送先への配送順序を、前記台車用道路ネットワークを用いて決定する、配送順決定システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の配送順決定システムであって、
前記駐車位置決定部によって決定された前記駐車位置に基づき、前記荷物が積み込まれる配送車両の配送経路を、前記車両用道路ネットワークを用いて決定する配送経路決定部、を備える配送順決定システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の配送順決定システムであって、
前記グループ化部は、前記配送先および前記荷物の少なくとも一方を、予め定められた数以下でグループ化する、配送順決定システム。
【請求項6】
コンピュータにより実行される配送順決定方法であって、
台車が搭載された配送車両に積載される荷物と前記荷物の種類と前記荷物の配送先とが対応付けて記憶された配送先記憶部を参照して、前記配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された前記配送先に配送される前記荷物を、前記種類に応じてグループ化するグループ化工程と、
グループ化された前記荷物の配送順を決定する配送順決定工程と、
を備え、
前記荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されており、
前記グループ化工程では、配送先間の前記台車による移動時間が予め定められた時間内である複数の配送先をグループ化し、
前記配送順決定工程では、前記種類に応じてグループ化されたグループ毎に、前記台車による前記荷物の配送順を、決定する、
配送順決定方法。
【請求項7】
コンピュータプログラムであって、
台車が搭載された配送車両に積載される荷物と前記荷物の種類と前記荷物の配送先とが対応付けて記憶された配送先記憶部を参照して、前記配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された前記配送先に配送される前記荷物を、前記種類に応じてグループ化するグループ化機能と、
グループ化された前記荷物の配送順を決定する配送順決定機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されており、
前記グループ化機能は、配送先間の前記台車による移動時間が予め定められた時間内である複数の配送先をグループ化し、
前記配送順決定機能は、前記種類に応じてグループ化されたグループ毎に、前記台車による前記荷物の配送順を、決定する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送順決定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配送業務における配送ルート計画では、配送車両を1配送先毎に駐車させ、その駐車位置から1つの配送先に荷物を配達することを前提としていた。こうした配送ルートの計画に関し、例えば、特許文献1には、所定距離範囲内に複数の配送先が存在している場合に、それらの配送先をグループ化し、そのグループに対して配送車両を1ヶ所に駐車させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-78571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駐車位置から複数種類の荷物をまとめて各配送先に配達するような場合には、例えば、生鮮品等の入った荷物から他の荷物に匂いが移る可能性や、受領確認を要する荷物と要しない荷物とが混在して受領確認を怠る可能性などがあり、荷物を適切に配達できない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、配送順決定システムであって、台車が搭載された配送車両に積載される荷物と前記荷物の種類と前記荷物の配送先とが対応付けて記憶された配送先記憶部と、前記配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された前記配送先に配送される前記荷物を、前記種類に応じてグループ化するグループ化部と、グループ化された前記荷物の配送順を決定する配送順決定部と、を備え、前記荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されており、前記グループ化部は、配送先間の前記台車による移動時間が予め定められた時間内である複数の配送先をグループ化し、前記配送順決定部は、前記種類に応じてグループ化されたグループ毎に、前記台車による前記荷物の配送順を、決定する、配送順決定システムである。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、配送順決定システムが提供される。この配送順決定システムは、荷物と前記荷物の種類と前記荷物の配送先とが対応付けて記憶された配送先記憶部と、前記配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された前記配送先に配送される前記荷物を、前記種類に応じてグループ化するグループ化部と、グループ化された前記荷物の配送順を決定する配送順決定部と、を備え、前記荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されていることを特徴とする。
このような形態の配送順決定システムによれば、同時に配送されることが好ましくない荷物が、各配送先にまとめて配送されることを抑制できる。そのため、荷物を適切に配達することができる。
(2)上記形態の配送順決定システムは、更に、車両が通行可能な道路の繋がり状態を表す車両用道路ネットワークを記憶する道路情報記憶部と、グループ化された前記配送先を含む領域内において、予め定めた条件を満たす駐車位置を前記車両用道路ネットワークに基づき決定する駐車位置決定部とを備えてもよい。このような形態によれば、配送車両の駐車位置を的確に決定できる。
(3)上記形態の配送順決定システムにおいて、前記道路情報記憶部は、台車が通行可能な道路の繋がり状態を表す台車用道路ネットワークを記憶し、前記配送順決定部は、前記駐車位置からの前記配送先への配送順序を、前記台車用道路ネットワークを用いて決定してもよい。このような形態によれば、効率的に荷物を配達できる。
(4)上記形態の配送順決定システムは、更に、前記駐車位置決定部によって決定された前記駐車位置に基づき、前記荷物が積み込まれる配送車両の配送経路を、前記車両用道路ネットワークを用いて決定する配送経路決定部を備えてもよい。このような形態によれば、各駐車位置を経由する配送経路を決定できる。
(5)上記形態の配送順決定システムにおいて、前記グループ化部は、前記配送先および前記荷物の少なくとも一方を、予め定められた数以下でグループ化してもよい。このような形態によれば、配送先の密集度が高い地域においてグループ化される配送先が増大することや、配送車両あるいは台車に積載すべき荷物が増大することを抑制できる。
本発明は、上述した配送順決定システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、配送順決定方法や、配送順を決定するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムが記録された一時的でない有形な記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配送順決定システムの概略構成を示す説明図。
図2】配送指示データによって表される配送指示書の一例を示す図。
図3】配送先記憶部の記憶内容の一例を示す図。
図4】配送順決定処理のフローチャート。
図5】荷物のグループ化の例を示す図。
図6】配送順の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における配送順決定システム10の概略構成を示す説明図である。配送順決定システム10は、配送車両50および台車60を用いて荷物の配送を行う配送業務に用いられる。配送順決定システム10は、配送車両50に搭載される端末装置100と、配送順決定サーバ200とを備える。配送車両50には、台車60が搭載されており、配送車両50の運転者は、台車60を用いて配送車両50に積載された荷物を配送先に配達することができる。
【0009】
端末装置100は、送受信アンテナと無線基地局と交換局とを含む通信キャリア70を介して、インターネット80に接続された配送順決定サーバ200にアクセスすることができる。端末装置100は、第1制御部110と、無線通信部120と、タッチパネル124と、表示部126と、測位部136と、記憶部138と、を備える。
【0010】
無線通信部120は、通信キャリア70を介したデータ通信を行うための回路である。表示部126は、荷物の配送順や、荷物の配送経路を表示する装置である。タッチパネル124は、表示部126に重畳して設けられており、指やペンによるユーザからのタッチ操作を受け付ける。測位部136は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信機を備え、GNSSを構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、端末装置100の現在位置である緯度および経度を測位する。端末装置100は、タッチパネル124に限らず、各種ボタンやジョイスティック、タッチパッドなどの他の入力装置を備えていてもよい。
【0011】
第1制御部110は、CPUやメモリを備えたコンピュータとして構成されており、端末装置100の動作全体を制御する。第1制御部110は、メモリに記録されたコンピュータプログラムがCPUによって実行されることにより、配送順決定要求部112および配送順案内部114として機能する。コンピュータプログラムは、メモリカードなどの一時的でない有形な記録媒体に記録されていてもよい。
【0012】
配送順決定要求部112は、無線通信部120を通じて配送順決定サーバ200に対して、配送順の決定を要求する。以下では、この要求のことを、「配送順決定要求」という。配送順決定要求には、端末装置100が搭載された配送車両50の識別IDが含まれる。配送順決定サーバ200からは、この配送順決定要求に応じて、各配送先の配送順が特定された配送指示データが送信される。
【0013】
図2は、配送指示データによって表される配送指示書の一例を示す図である。配送指示データには、後述する処理においてグループ化される配送先のグループ番号や、配送先を一意に示すコード番号、配送先の名称、住所(位置)、各配送先における荷物の積み込み数、荷下ろし数、配送先間の距離、その配送先までの移動手段、各配送先に対して指定された配達指定時刻などが、配送順に登録されている。また、配送指示データには、全ての配達が完了する予定時刻も登録されている。本実施形態では、配送先に対する移動手段として、配送車両50または台車60が指定される。配送順決定サーバ200から送信された配送指示データは、記憶部138に記憶される。第1制御部110は、測位部136によって測位された現在位置に基づき、配送車両50が各配達先に到着したこと、および各配達先から出発したことを判別し、到着時間および出発時間を配送指示データに記録する。すべての配達が完了すると、第1制御部110は、到着時刻や出発時刻が記録された配送指示データを配送順決定サーバ200に送信する。配送順決定サーバ200では、各配送車両50から返信された配送指示データに基づき、各配送車両50による配送作業の管理が行われる。
【0014】
配送順案内部114(図1)は、記憶部138に記憶された配送指示データを読み込み、表示部126に、配送指示データを表示する。本実施形態では、図2に示したように、配送指示データが配送指示書の形式で表示される。なお、配送指示データの表示形式は配送指示書の形式に限られず、リスト形式など種々の形式を採用できる。配送順案内部114は、端末装置100に接続された印刷装置を用いて配送指示書を印刷してもよい。
【0015】
配送順決定サーバ200は、通信部202と、配送先記憶部214と、道路情報記憶部216と、第2制御部204と、を備えている。通信部202は、インターネット80を介して端末装置100と通信を行うための回路である。
【0016】
図3は、配送先記憶部214の記憶内容の一例を示す図である。図3に示すように、配送先記憶部214には、荷物の識別番号(ID)と、その荷物の種類と、その荷物の配送先とが対応づけて記憶されている。図3に示した例では、配送先に一意に割り当てられた配送先コードに、IDが「0001」から「0007」までの荷物が対応付けられ、さらに、各荷物に、その荷物の種類として、「精密機器」、「生鮮品」、「その他」のいずれかが対応付けられている。本実施形態において、荷物の種類は、同時に配送することの適格性に応じて区分されている。本実施形態では、「生鮮品」と他の荷物(「精密機器」および「その他」)とは、生鮮品の匂いが他の荷物に移る可能性があるため、同時に配達することが不適であるものとする。
【0017】
配送先記憶部214には、図3に示した事項以外にも、例えば、配送先の名称や住所、配送先が存在する位置の緯度および経度が記憶されている。本実施形態では、配送先記憶部214に対する各パラメータの登録は、オペレータや、荷物の配送を委託する業者によって行われる。配送先記憶部214には、配送車両50毎に、担当の配送先が登録される。
【0018】
道路情報記憶部216(図1)には、道を表すリンクデータと、交差点や屈曲点、行き止まりを表すノードデータとにより道路の繋がり状態が表された道路ネットワークデータが記憶されている。リンクデータには、その道の通過に要する旅行時間を表すコストと共に、その道路が駐停車禁止であるか否かを示す情報や、車線数、幅員、一方通行であるか否か、通行禁止であるか否か、などを表す属性情報が関連づけられている。
【0019】
本実施形態では、道路情報記憶部216には、移動手段毎に道路ネットワークデータが記憶されている。具体的には、本実施形態では、配送車両50が通行可能な道路の繋がり状態を表す車両用ネットワークデータと、台車60が通行可能な道路の繋がり状態を表す台車用ネットワークデータとが記憶されている。台車60が通行可能な道路には、車道に限らず、歩道やスロープ、建物内の通路、エレベータなども含まれる。道路情報記憶部216には、その他、歩道の繋がり状態を表す歩行者用ネットワークデータや、駐車場の位置を表す情報、地図データ等も記憶されている。
【0020】
第2制御部204は、CPUやメモリを備えており、配送順決定サーバ200の動作全体を制御する。第2制御部204は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムがCPUによって実行されることにより、グループ化部206、駐車位置決定部208、配送順決定部210、および、配送経路決定部212、として機能する。コンピュータプログラムは、光ディスクなどの一時的でない有形な記録媒体に記録されていてもよい。
【0021】
グループ化部206は、配送先記憶部214に記憶された配送先の少なくとも一部をグループ化し、グループ化された配送先に配送される荷物を、更に、荷物の種類に応じてグループ化する。駐車位置決定部208は、グループ化された配送先を含む領域内において、予め定めた条件を満たす駐車位置を、車両用ネットワークに基づき決定する。配送順決定部210は、グループ化された荷物の配送順を決定する。また、配送順決定部210は、駐車位置決定部208によって決定された駐車位置を起点として、グループ化された配送先の台車による配送順を決定する。配送経路決定部212は、駐車位置決定部208によって決定された駐車位置に基づき、配送車両50による荷物の配送経路を決定する。これらの機能部によって実現される処理内容について、以下、フローチャートを参照して説明する。
【0022】
図4は、配送順決定サーバ200の第2制御部204によって実行される配送順決定処理のフローチャートである。この処理は、第2制御部204が、端末装置100から配送順決定要求を受信した場合に実行される。この配送順決定処理が実行されると、まず、グループ化部206が、配送先記憶部214に記憶された配送先のグループ化を行う(ステップS10)。本実施形態では、グループ化部206は、配送順決定要求に含まれる配送車両50の識別IDに基づき、配送先のグループ化を行う対象の配送車両50を判別し、配送先記憶部214に記憶されたその配送車両50に対応する配送先のグループ化を行う。
【0023】
本実施形態では、グループ化部206は、グループ化を行おうとする各配送先への台車60による移動時間を、道路情報記憶部216に記憶された台車用ネットワークを用いて算出し、算出された移動時間に基づき、配送先のグループ化を行う。例えば、グループ化部206は、配送先記憶部214に記憶されたすべての配送先、より具体的には、その配送車両50に対応するすべての配送先について、ダイクストラ法等に基づき総当たりで台車60による配送先間の移動時間を求める。そして、所定時間内(例えば、3分以内)に隣接する配送先に到達できる範囲に属する配送先を、1つのグループとしてグループ化する。ただし、こうしたグループ化の結果、所定時間内に台車60により到達できる隣接した配送先が存在しない場合、グループ化部206は、その配送先についてはグループ化しない。なお、本実施形態におけるグループ化では、建物内に複数の配送先が含まれる場合には、その建物内においてもグループ化が行われる。
【0024】
配送先のグループ化を行った後、グループ化部206は、更に、荷物のグループ化を行う(ステップS20)。
【0025】
図5は、荷物のグループ化の例を示す図である。図5に示すように、本実施形態では、グループ化部206は、グループ化された配送先に属する荷物を、荷物の種類に応じてグループ化する。図5には、「配送先グループ1」の各配送先に配達する荷物が、「荷物グループ1」と、「荷物グループ2」とにグループ化されている例を示している。「荷物グループ1」には、「精密機器」および「その他」に該当する荷物が含まれ、「荷物グループ2」には、「生鮮品」に該当する荷物が含まれている。荷物グループのグループ番号は、それらの荷物が配達される配達順を示す。つまり、「荷物グループ1」に属する荷物が、まず、配送先グループ1の各配送先に配達され、その後、「荷物グループ2」に属する荷物が、配送先グループ1の各配送先に配達される。荷物グループのグループ番号は、予め定めた順序で付与される。本実施形態では、生鮮品に該当する荷物には、グループ番号「2」が付与され、その他の荷物には、グループ番号「1」が付与される。そのため、常に、生鮮品が、他の荷物よりも後に配達されることになり、他の荷物に生鮮品の匂いが移ることを抑制できる。なお、他の実施形態では、生鮮品が他の荷物に先立って配達されるように配達順が決定されてもよい。こうすることにより、生鮮品の鮮度が低下することを抑制できる。
【0026】
グループ化部206によって荷物のグループ化が行われると、続いて、駐車位置決定部208が、グループ化された配送先を含む領域内における配送車両50の駐車位置を、配送先グループ毎に決定する(ステップS30)。本実施形態では、駐車位置決定部208は、配送先グループ毎に、グループ化された配送先を含む領域内において、予め定められた条件を満たす駐車位置を決定する。予め定められた条件とは、例えば、以下のような条件である。
【0027】
(条件1)グループ化された配送先のうちの少なくとも一つの配送先が面する道路であって駐停車禁止ではなく、片側2車線以上ある道路。
(条件2)グループ化された配送先のうちの少なくとも一つの配送先が面する道路であって駐停車禁止ではなく、幅員が所定値以上である道路。
(条件3)グループ化された配送先のうちの少なくとも一つの配送先が面する道路であって駐停車禁止ではない道路。
(条件4)グループ化された配送先のうちの少なくとも一つの配送先に近接したコインパーキングなどの有料駐車場。
【0028】
これらの条件は、配送車両50を、グループ化された配送先を含む領域内に確実に駐車できるように定められている。駐車位置決定部208は、これらの条件のうち、いずれか1つのみに基づいて駐車位置を決定してもよいし、これらの条件に優先順位を付し、その優先順位に基づき駐車位置を探索してもよい。なお、どの条件にも合致する駐車位置が探索されない場合には、そのグループについてグループ化を解除してもよい。
【0029】
上記ステップS30において、各配送先グループに対して駐車位置が決定されると、配送順決定部210が、その駐車位置を起点として、グループ化された配送先内において、配送順を決定する(ステップS40)。具体的には、配送順決定部210は、駐車位置から、グループ化されたすべての配送先に最も効率的に到達できる経路を、ダイクストラ法等に基づき、台車用ネットワークを用いて探索することによって配送順を決定する。このとき、本実施形態では、配送順決定部210は、異なる荷物グループの荷物が、同じ台車60に搭載されないように配達順を決定する。具体的には、配送順決定部210は、「荷物グループ1」(図5参照)に属する荷物が配送される配送先について、最も効率的に到達できる経路を探索して配送順を決定し、続いて、「荷物グループ2」に該当する荷物が配送される配送先について、最も効率的に到達できる経路を探索して配送順を決定する。そのため、「荷物グループ1」に該当する荷物(精密機器およびその他)と「荷物グループ2」に該当する荷物(生鮮品)とが同じ配送先であったとしても、それらの荷物は、異なるタイミングで配達される。
【0030】
上記ステップS40において荷物の配送順が決定されると、配送経路決定部212が、配送車両50の出発地から帰任地までの間において、グループ化されていない配送先と、駐車位置決定部208において決定された駐車位置とを全て経由する配送経路を、ダイクストラ法等に基づき、車両用ネットワークを用いて探索して決定する(ステップS50)。配送経路決定部212は、渋滞情報等を考慮して配送経路を決定してもよい。本実施形態では、配送経路決定部212は、配送経路を決定するとともに、配送完了時刻の予測も行う。配送経路決定部212は、配送経路の探索によって算出される配送先間の移動時間の合計に、各配送先グループ内における配送先間の移動時間や荷渡し時間、駐車位置における荷下ろし時間などを加えることで、配送完了時刻を予測することができる。荷渡しや荷下ろしに要する時間は、予め設定した固定値であってもよいし、荷物の数に応じて予測した値であってもよい。
【0031】
以上のようにして荷物の配送順、および、配送経路が決定されると、第2制御部204は、それらの情報、および、配送完了時刻を含む配送指示データを生成し、端末装置100に送信する(ステップS60)。
【0032】
端末装置100は、配送指示データを配送順決定サーバ200から受信すると、その配送指示データを用いて、図2に示した配送指示書を生成し、表示部126に表示する。上述した配送順決定処理において荷物がグループ化された場合には、同じ配送先に異なるタイミングで複数回、荷物が配送される場合がある。この場合、図2に示した配送指示書には、同じ配送先が、異なるタイミング(配送順)で複数回登場する。端末装置100の第1制御部110は、タッチパネル124によって、ユーザから図2に示した配送指示書中の配送先がタッチされたことを検出した場合に、現在位置からその配送先までの経路や、その配送先に対して配送する荷物のリストを、配送順決定サーバ200から取得した配送指示データに基づき表示部126に表示してもよい。
【0033】
図6は、上述した配送順決定処理によって決定された配送順の一例を示す図である。図6には、グループ化された複数の配送先を含む領域A1,A2をそれぞれ破線で囲っている。以上で説明した本実施形態の配送順決定システム10によれば、図6に示すように、配送先が集中した領域A1,A2については、配送先のグループ化が行われるので、1つの駐車位置P1(P2)から台車60を用いて効率的に複数の配送先へ荷物を配達することができる。しかも、台車60による配達では、一方通行や進入禁止、歩行者専用道路などの配送車両50に対する交通規制を受けないので、配送車両50によって個別に配達を行うよりも、効率的に配達を行うことができる。また、本実施形態では、配送車両50の駐車位置を、上述した各種の条件に基づいて決定するので、配送先グループを含む領域内に配送車両50を的確に駐車できる。
【0034】
更に、本実施形態では、台車60の移動時間に基づき配送先のグループ化が行われるので、例えば、図6に示すように、距離的あるいは住所上は、他の配送先に近い配送先であるものの、河川R1を挟む位置に存在するため他の配送先から移動時間が長くかかる配送先DA1や、道路が敷設されていない土地が存在するために経路上、大回りとなる配送先DA2についてはグループ化の対象にならない。従って、本実施形態によれば、単純に距離に基づき配送先のグループ化を行うよりも、効率的に荷物の配達を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、グループ内における駐車位置と、グループ化されていない配送先とをすべて経由する配送経路を決定するので、すべての配送先に対して効率的に配送を行うことができる。しかも、本実施形態では、台車60による移動時間と配送車両50による移動時間をすべて算出するため、配送車両50の移動時間のみに基づいて配送の完了時刻を予測するよりも、正確に配送完了時刻を予測できる。従って、例えば、台車60による配達が効率よく行うことができないために配送時間が遅れてしまい、他の配送車両に救援を求めるような事態を回避することが可能になる。
【0036】
また、本実施形態では、荷物の種類毎にグループ化が行われる。そのため、例えば、図6の領域A2に示すように、同じ配送先に複数の荷物を配送する場合においても、荷物グループ毎に台車60に荷物が搭載され、荷物グループ毎に荷物が配送先に配達される。このように、本実施形態では、配送先をグループ化するだけではなく、荷物についても、その種類に応じてグループ化を行うため、同時に配送することが好ましくない荷物が、同時に配送されることを抑制できる。この結果、例えば、生鮮品の匂いが、精密機器等に移るような事態を抑制できるので、顧客の満足度を高めることが可能になる。
【0037】
なお、本実施形態において、端末装置100は、配送順決定要求を、荷物が配送車両50に搭載される前に配送順決定サーバ200に送信することが好ましい。配送順決定要求が荷物の積載前に送信されれば、荷物を積載する前に、配送先および荷物がグループ化されて配送順および配送経路が決定されるので、各荷物が配達される順序に従って、各荷物を配送車両50に積載すれば、配送車両50から台車60への荷物の移し替えや配達を効率的に行うことが可能になる。
【0038】
B.他の実施形態:
(B-1)上記実施形態において、荷物の種類の区分は、精密機器や生鮮品に限られず、同時に配送することの適格性に応じて適宜設定できる。例えば、郵便受けに入るサイズの荷物と入らないサイズの荷物、受領確認(押印やサイン)が必要な荷物と不要な荷物、保険が掛けられている荷物と掛けられていない荷物、など、種々の区分を採用できる。これらの区分に応じてグループ化がされていない場合、これらの区分に応じてグループ化がされているよりも、配達効率が低下する可能性がある。そのため、これらの区分は、同時に配送する適格性が低いと捉えることができる。
【0039】
(B-2)上記実施形態では、配送車両50の駐車位置から台車60を用いて荷物を配達するものとしている。しかし、配送車両50の駐車位置からの配達は、台車60に限らず、手持ちで行ってもよいし鞄を用いて行ってもよい。台車60による配達を行わない場合、配送順決定部210は、台車用ネットワークではなく、歩行者用道路ネットワークを用いて、配送順および配送経路の探索を行う。もちろん、台車や手持ち、鞄など、様々な手段を組み合わせて配達を行ってもよい。
【0040】
(B-3)上記実施形態において、グループ化部206は、グループ化を行う配送先の数および荷物の数の少なくとも一方を、予め定めた数以下に制限してもよい。こうすることにより、配送先の密集度が高い地域や建物において、グループ化される配送先が増大して配送車両50に荷物を積載しきれない事態や、一度に台車60に載せる荷物の数が増大することを抑制できる。
【0041】
(B-4)上記実施形態では、端末装置100は、配送車両50に搭載される装置であるものとした。これに対して、端末装置100は、ユーザが持ち運び可能な装置あってもよい。端末装置100は、専用のハードウェアを用いて構成されていてもよいし、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータ等の汎用の装置を利用して構成されてもよい。
【0042】
(B-5)上記実施形態では、配送順決定サーバ200のグループ化部206は、各配送先への台車60による移動時間に基づき配送先のグループ化を行っている。これに対して、グループ化部206は、所定の距離範囲内に存在する配送先をグループ化してもよい。また、グループ化部206は、住所上、同じ町や村に属する配送先をグループ化してもよい。
【0043】
(B-6)上記実施形態では、配送順決定サーバ200の駐車位置決定部208は、所定の条件を満たす駐車位置を決定している。これに対して、駐車位置決定部208は、グループ化された配送先のうちの任意の1つの配送先を、そのまま駐車位置として決定してもよい。
【0044】
(B-7)上記実施形態において、配送順決定サーバ200は、駐車位置決定部208や配送順決定部210を備えていなくてもよい。つまり、配送順決定サーバ200は、配送先および荷物のグループ化と、配送順のみを決定し、駐車位置や配送経路については、配達者の判断、あるいは、配送車両50に別途備えられたナビゲーションシステムによって決定してもよい。
【0045】
(B-8)上記実施形態では、端末装置100から配送順決定要求を受けた場合に、配送順決定サーバ200が端末装置100に配送指示データを送信するものとした。これに対して、例えば、予め定められた時刻に、配送順決定サーバ200が、自発的に各端末装置100に対して、対応する配送車両50用の配送指示データを配信してもよい。
【0046】
(B-9)上記実施形態では、端末装置100と配送順決定サーバ200とは通信キャリア70を介して接続されるものとしたが、路車間通信を介して接続されてもよい。
【0047】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…配送順決定システム、50…配送車両、60…台車、70…通信キャリア、80…インターネット、100…端末装置、110…第1制御部、112…配送順決定要求部、114…配送順案内部、120…無線通信部、124…タッチパネル、126…表示部、136…測位部、138…記憶部、200…配送順決定サーバ、202…通信部、204…第2制御部、206…グループ化部、208…駐車位置決定部、210…配送順決定部、212…配送経路決定部、214…配送先記憶部、216…道路情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6