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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/28 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
A47G29/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019091714
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020185191
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】増田 憲司
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-112094(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0121682(US,A1)
【文献】特開平09-156694(JP,A)
【文献】特開2002-142960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内と屋外とを仕切る外壁の下方を跨ぐようにして設置された宅配ボックスであって、
前記外壁の厚さ方向に延びる四角筒状をなし、荷物を収容するための収容空間が形成された収容箱を備え、
前記収容箱において前記収容空間を囲む各板部のうち天板部には、その屋外側の端部に前記収容空間に屋外から荷物を投入するための投入口が形成され、その屋内側の端部に前記収容空間に収容された荷物を屋内から取り出すための取出口が形成され、
前記投入口に設けられた第1扉と、
前記収容空間を当該収容空間の奥行き方向における手前側及び奥側に仕切る仕切位置に設けられた第2扉と、
前記取出口に設けられた第3扉と、
前記第1扉を施錠可能な第1施錠装置と、
前記第2扉を施錠可能な第2施錠装置と、
前記投入口と前記仕切位置との間の所定領域へ投入された荷物を前記収容空間において前記仕切位置よりも奥側の領域へ移送する移送手段と、
前記第1施錠装置及び前記第2施錠装置の施解錠を制御する施解錠制御手段と
を備え、
前記施解錠制御手段は、前記第1施錠装置及び前記第2施錠装置のうち一方が解錠される場合に他方が施錠状態となっているように、それら第1施錠装置及び第2施錠装置の施解錠を制御することを特徴とする宅配ボックス。
【請求項2】
前記所定領域に位置する荷物を検知可能な検知手段を備え、
前記移送手段は、前記第1が閉状態となっており且つ前記検知手段によって前記所定領域に位置する荷物が検知された場合に、前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物を移送する構成となっており、
前記施解錠制御手段は、前記移送手段によって前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物を移送する場合に、前記第1施錠装置を施錠状態且つ前記第2施錠装置を解錠状態とする手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記施解錠制御手段は、前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物が移送された後に、前記第2施錠装置を施錠状態且つ前記第1施錠装置を解錠状態とする手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記移送手段は、
前記荷物に当接した状態にて当該荷物に対する当接箇所が当該荷物と共に前記奥側の領域へ移動するように構成された可動体と、
前記当接箇所が前記奥側の領域へ移動するようにして前記可動体を駆動させる駆動部とを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記移送手段は荷物を移送するコンベア装置であり、当該コンベア装置の搬送部が前記収容空間において前記仕切位置よりも奥側へ延設されており、
荷物の移送方向における前記搬送部の延設部分の長さは、当該移送方向における前記所定領域の長さと同じ又はそれよりも長くなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、荷物を収容するための収容箱と、その収容箱へ荷物を投入するための投入口を開閉可能な開閉扉とを有する宅配ボックスが設けられ、居住者が不在である場合等にも荷物を受け取り保管することが可能となっているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-59679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、収容箱に投入された荷物が小さい場合等には、収容箱の内部に空きスペースが発生することが考えられる。しかしながら、従来の宅配ボックスは、上述したように、荷物を1つ(1回)だけ受け取ることしか想定していないため、収容箱内に空きスペースが発生しても、その空きスペースを利用して新たな荷物を受け取ることは不可能となっている。このように、利便性の向上等を図る上で、宅配ボックスに係る構成には未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、利便性を好適に向上させることができる宅配ボックスを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.荷物を収容するための収容空間(収容空間39)が形成された収容部(収容箱30)と、
前記収容空間に屋外から荷物を投入するための投入口(投入口35)に設けられた第1開閉体(第1扉41)と、
前記収容空間を当該収容空間の奥行き方向における手前側及び奥側に仕切る仕切位置に設けられた第2開閉体(第2扉42)と、
前記第1開閉体を施錠可能な第1施錠装置(第1施錠装置51)と、
前記第2開閉体を施錠可能な第2施錠装置(第2施錠装置52)と、
前記投入口と前記仕切位置との間の所定領域(投入エリアIE)へ投入された荷物を前記収容空間において前記仕切位置よりも奥側の領域(ストックエリアSE)へ移送する移送手段(コンベア装置71)と、
前記第1施錠装置及び前記第2施錠装置の施解錠を制御する施解錠制御手段(コントローラ80の制御部81)と
を備え、
前記施解錠制御手段は、前記第1施錠装置及び前記第2施錠装置のうち一方が解錠される場合に他方が施錠状態となっているように、それら第1施錠装置及び第2施錠装置の施解錠を制御することを特徴とする宅配ボックス。
【0008】
手段1によれば、投入口から所定領域へ投入された荷物を移送手段によって仕切位置よりも奥側の領域へ移送することにより、所定領域への荷物の再投入が可能となる。このようにして、複数回の荷物の受け入れを可能とすることにより、宅配ボックスの利便性を大きく向上させることができる。ここで、第1開閉体及び第2開閉体には施錠装置が併設されており、第1施錠装置及び第2施錠装置の一方が施錠状態となるようにして各施錠装置の施解錠が制御される。このような構成によれば、移送対象となった荷物等への不正なアクセスを抑制できる。故に、宅配ボックスの防犯機能を向上させる上で当該宅配ボックスの利便性が低下することを回避できる。
【0009】
手段2.前記所定領域に位置する荷物を検知可能な検知手段(荷物センサ75)を備え、
前記移送手段は、前記第1開閉体が閉状態となっており且つ前記検知手段によって前記所定領域に位置する荷物が検知された場合に、前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物を移送する構成となっており、
前記施解錠制御手段は、前記移送手段によって前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物を移送する場合に前記第1施錠装置を施錠状態且つ前記第2施錠装置を解錠状態とする手段(荷物移送処理におけるステップS105,S106の処理を実行する機能)を有していることを特徴とする手段1に記載の宅配ボックス。
【0010】
手段2によれば、荷物の移送に際して第2開閉体が開状態となったとしても第1開閉体は開放不可となっているため、投入口を通じた上記奥側の領域等への不正なアクセスを難しくすることができる。
【0011】
手段3.前記施解錠制御手段は、前記所定領域から前記奥側の領域へ荷物が移送された後に、前記第2施錠装置を施錠状態且つ前記第1施錠装置を解錠状態とする手段(荷物移送処理におけるステップS114,S115の処理を実行する機能)を有していることを特徴とする手段2に記載の宅配ボックス。
【0012】
荷物の移送後は、第1施錠装置が解錠状態となることで投入口から所定領域への荷物の再投入が可能となる。この際、第2開閉体は開放不可となっているため、仕切位置よりも奥側へ移送済みの荷物等への不正なアクセスを好適に抑制できる。
【0013】
手段4.前記移送手段は、
前記荷物に当接した状態にて当該荷物に対する当接箇所が当該荷物と共に前記奥側の領域へ移動するように構成された可動体(搬送帯73)と、
前記当接箇所が前記奥側の領域へ移動するようにして前記可動体を駆動させる駆動部(ローラ72に付属のモータ)と
を有していることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれか1つに記載の宅配ボックス。
【0014】
上記構成によれば、奥側の領域への荷物の移送を好適に行うことができる。例えば、荷物の自重を利用して当該荷物を奥側の領域へ移送させる構成と比べて、移送途中で止まった荷物が第2開閉体の閉状態への復帰を妨げる要因になることを抑制する上で有利である。
【0015】
手段5.前記移送手段は荷物を移送するコンベア装置であり、当該コンベア装置の搬送部(搬送帯73)が前記収容空間において前記仕切位置よりも奥側へ延設されており、
荷物の移送方向における前記搬送部の延設部分の長さ(L4)は、当該移送方向における前記所定領域の長さ(L1)と同じ又はそれよりも長くなっていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つに記載の宅配ボックス。
【0016】
手段5によれば、所定領域へ配置された荷物を奥側へ移送した場合に当該荷物が仕切位置(第2開閉体の動作用の領域)に残ることを好適に抑制できる。これにより、手段1に示した複数の荷物を受け入れる機能を好適に発揮させることが可能となる。なお、手段4との組み合わせにおいては、本手段5に示す「搬送部」が手段4に示す「可動体」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】玄関の土間に設けられた宅配ボックスの構成を示す縦断面図。
図2】制御システムの電気的構成を示すブロック図。
図3】荷物移送処理を示すフローチャート。
図4】荷物の移送の流れを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図1を参照しつつ説明する。本実施の形態では、戸建ての住宅における玄関の土間に設けられた埋め込みタイプの宅配ボックスについて具体化している。図1は、玄関の土間に設けられた宅配ボックスの構成を示す縦断面図である。
【0019】
図1に示すように、住宅の玄関には屋内外に跨る土間11が設けられている。土間11には屋内外に連通する溝部12が外壁13の下方を跨ぐようにして形成されており、この溝部12に宅配ボックス20が設置されている。
【0020】
宅配ボックス20は、荷物を収容するための収容箱30を有している。収容箱30は、上下に相対向する天板部31及び底板部32と、上記外壁13の厚さ方向において相対向する一対の側板部33,34とを有し外壁13の厚さ方向に延びる四角筒状をなしている。板部31~34によって囲まれた空間が荷物の収容空間39となっており、当該収容空間39が屋内外に延びている。
【0021】
収容箱30の天板部31、詳しくは天板部31おける屋外側の端部には収容空間39の奥行き方向と交差する方向(上方)に開放された開口が形成されており、この開口が収容空間39へ荷物を投入するための投入口35となっている。また、収容箱30の天板部31、詳しくは天板部31における屋内側の端部には収容空間39の奥行き方向と交差する方向(上方)に開放された開口が形成されており、この開口が収容空間39から荷物を取り出すための取出口36となっている。
【0022】
なお、以下の説明では、収容空間39の奥行き方向における投入口35側を「手前側」、取出口36側を「奥側」ともいう。また以下、単に「奥行き方向」と記載しているものについては、収容空間39の奥行き方向(図1における左右方向)を示すものとする。
【0023】
収容箱30には、投入口35を開閉する第1扉41(「第1開閉体」に相当)と、取出口36を開閉可能とする第3扉43と、それら第1扉41及び第3扉43の間に配された第2扉42(「第2開閉体」に相当)とが設けられている。このうち第1扉41及び第2扉42には、通電によりそれら第1扉41及び第2扉42を施解錠可能な施錠装置が併設されている。なお、本実施の形態においては第3扉43を施解錠する施錠装置を不具備としているが、第3扉43用の施錠装置を具備してもよい。
【0024】
第1扉41及び第3扉43は外部に露出しておりユーザによる手動操作によって開状態/閉状態に切り替わる構成となっている。これに対して、第2扉42には、当該第2扉42を開状態/閉状態に切り替えるための駆動部55(モータ)が併設されており、自動で開状態/閉状態に切り替わる構成となっている。
【0025】
第2扉42が閉状態となっている場合には、当該第2扉42によって収容空間39が当該第2扉42よりも手前側のエリアと奥側のエリアとに仕切られる。第2扉42は第1扉41及び第3扉43のうち第1扉41側に偏倚させて配置されており、奥側のエリアが手前側のエリアよりも大きくなるように構成されている。
【0026】
手前側のエリアにおいて、閉状態となっている第2扉42と手前側の側板部33とによって挟まれたエリアが投入口35を通じて荷物が投入される投入エリアIE(「所定領域」に相当)として機能する。なお、奥行き方向における投入エリアIEの大きさ(L1)は投入口35の大きさと同等となっている。
【0027】
収容箱30の底板部32は、手前側が下段且つ奥側が上段となる段差状をなしている。この下段部には、投入エリアIEに投入された荷物を当該投入エリアIEから奥側のエリアへ移送する移送手段としてコンベア装置71が配設されている。コンベア装置71は、収容空間39の奥行き方向に並べて設けられた複数のローラ72とそれらローラ72に架け渡たすようにして設けられた搬送帯73(ベルト)とを有してなる。ローラ72には駆動部としてのモータが接続されており、モータの駆動力がローラ72を介して搬送帯73に伝わる構成となっている。
【0028】
搬送帯73は、投入エリアIEと奥側のエリアとに亘って収容箱30の底部を構成しており、投入エリアIEにおいては荷物が載置される載置部として機能している。投入エリアIEにて搬送帯73に載置された荷物は当該搬送帯73の回動に伴って奥側のエリアへ移送されることとなる。
【0029】
以上詳述したコンベア装置71により荷物が移送される際には、第2扉42が閉状態から開状態に切り替えられることとなる。ここで、第2扉42は上端部が回動基端部且つ下端部が回動先端部となるようにして回動可能に軸支された回動式の扉であり、閉状態(垂直状態)/開状態(水平状態)の切り替えに際して投入エリアIEよりも奥側で動作する構成となっている。奥側のエリアは、奥行き方向において、第2扉42の動作用のエリアである動作エリアMEと、コンベア装置71によって移送された荷物を待機させるためのエリアであるストックエリアSEとに大別されており、コンベア装置71の搬送帯73が動作エリアMEを越えてストックエリアSEにまで延設されている。ストックエリアSE側への延設部分の大きさ(L4)は、投入エリアIEの大きさ(L1)よりも大きくなっている。これは、コンベア装置71によってストックエリアSEに移送された荷物の一部が動作エリアMEに残った状態となることを抑制する工夫である。
【0030】
搬送帯73に対して奥側となる位置には底板部32の上段部32aが位置している。搬送帯73によってストックエリアSEに移送された荷物については、搬送帯73から上段部32aに移る。奥行き方向における上段部32aの大きさ(L3)については、投入エリアIEの大きさ(L1)と同一となっており、上記延設部分と上段部32aとを合わせた奥行き方向における大きさ(L2)は、投入エリアIEの大きさ(l1)の2倍よりも大きくなっている。これにより、本実施の形態に示す宅配ボックス20においては、ストックエリアSEへの荷物の移送を2度実行可能、すなわち3度の荷物の受け取りが可能となっている。
【0031】
コンベア装置71(詳しくは上記モータ)は、後述するコントローラに接続されており、このコントローラによって駆動制御が行われる。コントローラには、投入エリアIEに投入された荷物を検知する荷物センサ75(「検知手段」に相当)が接続されている。荷物センサ75は、側板部33に配設されており、側板部34側へレーザを出力する発光部と反射光を受光する受光部とを有するレーザセンサである。コントローラでは、荷物センサ75からの検知情報に基づいて検知対象までの距離を算出する。そして、算出距離に基づいて投入エリアIEに荷物が投入されているか否かを把握する。なお、荷物センサ75が底板部32寄りに配置されている。これは、背の低い荷物の見逃しを抑制するための工夫である。
【0032】
第2扉42の下端部にはレーザ光を透過可能な透過部45が設けられている。透過部45を設けることで、レーザ光による監視範囲が投入エリアIEだけでなく、動作エリアME及びストックエリアSEにまで拡張されている。つまり、上述した算出距離に基づいて動作エリアMEやストックエリアSEにおける荷物の有無を把握可能となっている。
【0033】
因みに、本実施の形態においては荷物センサ75としてレーザセンサを用いる場合について例示したが、投入エリアIEに存在する荷物を検知することができるのであれば、センサの種類については任意である。例えば、重量センサや他の光センサを用いてもよい。また、投入エリアIE、動作エリアME、ストックエリアSE毎に荷物センサを個別に設けてもよい。
【0034】
次に、図2のブロック図を参照して、宅配ボックス20の電気的構成について補足説明する。
【0035】
宅配ボックス20(例えば第3扉43)には、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成された制御部81、ユーザに宅配ボックス20の状況等を報知する報知部82、ユーザによって操作される操作部83を有するコントローラ80が配設されている。本実施の形態においては制御部81が「施解錠制御手段」に相当する。
【0036】
コントローラ80の入力側には、上述した荷物センサ75の他に、第1扉41用の第1扉用開閉センサ61と、第2扉42用の第2扉用開閉センサ62とが接続されている。制御部81では、第1扉用開閉センサ61からの検知情報に基づいて第1扉41が開状態/閉状態の何れになっているかを把握し、第2扉用開閉センサ62からの検知情報に基づいて第2扉42が開状態/閉状態の何れになっているかを把握する。
【0037】
コントローラ80の出力側には、第1扉41用の第1施錠装置51及び第2扉42用の第2施錠装置52が接続されており、制御部81ではそれら施錠装置51,52を施錠状態/解錠状態に切り替える。また、コントローラ80の出力側には、第2扉42用の駆動部55及びコンベア装置71が接続されており、制御部81では駆動部55の駆動制御を行うことで第2扉42を閉状態/開状態に切り替えるとともに、コンベア装置71の駆動制御を行うことで荷物を移送させる。
【0038】
次に、図3のフローチャートを参照して、コントローラ80の制御部81により実行される荷物移送処理について説明する。荷物移送処理は、制御部81にて定期的に実行される処理である。
【0039】
荷物移送処理においては先ず、ステップS101にて荷物の受け入れを規制している最中であるか否かを判定する。ステップS101にて否定判定をした場合には、ステップS102に進む。ステップS102では荷物を移送している最中であるか否かを判定する。ステップS102にて否定判定をした場合にはステップS103に進む。
【0040】
ステップS103では、第1扉用開閉センサ61からの検知情報に基づいて第1扉41が閉状態となっているか否かを判定する。第1扉41が開状態となっている場合には、ステップS103にて否定判定をして、そのまま本荷物移送処理を終了する。第1扉41が閉状態となっている場合には、ステップS103にて肯定判定をしてステップS104に進む。
【0041】
ステップS104では荷物センサ75からの検知情報に基づいて投入エリアIEに荷物が存在しているか否かを判定する。具体的には、荷物センサ75から検知対象までの距離が、奥行き方向において投入エリアIEに対応する距離となっている場合には、投入エリアIEに荷物が位置していると判定される。投入エリアIEに荷物が存在していない場合には、ステップS104にて否定判定をして本荷物移送処理を終了する。投入エリアIEに荷物が存在している場合には、ステップS104にて肯定判定をしてステップS105に進む。
【0042】
ステップS105では第1扉施錠処理を実行する。具体的には、第1施錠装置51を施錠状態に切り替えることにより、第1扉41の開放を規制する。続くステップS106では、第2扉解錠処理を実行する。具体的には、第2施錠装置52を施錠状態から解錠状態に切り替えることにより、第2扉42の開状態への切り替えを可能とする。なお、ステップS106の処理においては、第1施錠装置51の施錠状態への切り替え後に第2施錠装置52が解錠状態に切り替わるように、第2施錠装置52の切り替えが遅延される。
【0043】
続くステップS107では、駆動部55を駆動制御して第2扉42を閉状態から開状態に切り替える。これにより、投入エリアIEからストックエリアSE側への荷物の移送が可能となる。ステップS107の処理を実行した後は、ステップS108に進み移送開始処理を実行する。移送開始処理では、コンベア装置71のローラ72を回転させて投入エリアIE側からストックエリアSE側への荷物の移送を開始する。
【0044】
ステップS102の説明に戻り、荷物を移送している最中である場合には、ステップS102にて肯定判定をしてステップS109に進む。ステップS109では荷物の移送が完了したか否かを判定する。具体的には、荷物センサ75からの検知情報に基づいて荷物が動作エリアMEを通過してストックエリアSEに移ったか否かを判定する。荷物がストックエリアSEに移っていない場合には、ステップS109にて否定判定をしてステップS110に進む。ステップS110では、ステップS108にて移送開始処理が実行されてから所定の期間(例えば60sec)が経過したか否かを判定する。ステップS110にて否定判定をした場合にはそのまま本荷物移送処理を終了する。
【0045】
ステップS109又はステップS110にて肯定判定をした場合、すなわちストックエリアSEへの荷物の移送が確認できた場合又はタイムアウトとなった場合には、ステップS111に進む。ステップS111では移送終了処理を実行する。これにより、コンベア装置71の運転がローラ72の減速回転を経て停止される。
【0046】
続くステップS112では荷物センサ75からの検知情報に基づいて動作エリアMEに荷物が存在しているか否かを判定する。具体的には、荷物センサ75から検知対象までの距離が、奥行き方向において第2扉42の回動先端部が移動する範囲の距離となっている場合には、動作エリアMEに荷物が位置していると判定される。
【0047】
動作エリアMEに荷物が存在している場合には、ステップS112にて肯定判定をしてステップS113に進む。ステップS113では駆動部55を駆動制御して第2扉42を開状態から閉状態に切り替える。ステップS113の処理を実行した後は、ステップS114に進み第2扉施錠処理を実行する。具体的には、第2施錠装置52を解錠状態から施錠状態に切り替えることにより、第2扉42の開状態への切り替えを規制する。その後は、ステップS115にて第1扉解錠処理を実行する。具体的には、第1施錠装置51を施錠状態から解錠状態に切り替えて第1扉41の開放を可能とする。なお、ステップS115の処理においては、第2施錠装置52の施錠状態への切り替え後に第1施錠装置51が解錠状態に切り替わるように、第1施錠装置51の切り替えが遅延される。
【0048】
ステップS112の説明に戻り、動作エリアMEに荷物が存在している場合には、ステップS112にて否定判定をしてステップS116に進む。ステップS116では、受入規制処理を実行する。受入規制処理では、コントローラ80の操作部83において規制解除操作が行われるまで第1施錠装置51の解錠状態への切り替えを不可とする。つまり、荷物の追加受け入れが規制されることとなる。その後は、ステップS117にて報知処理を実行した後、本荷物移送処理を終了する。報知処理を実行することにより、コントローラ80の報知部82にて荷物が満タンになっている旨及び規制解除操作が必要である旨が報知される。なお、図示は省略しているが、何らかの事情によって第2扉42の閉状態への切り替えが妨げられた場合についても、ステップS116~S117の各処理が実行される。
【0049】
ステップS101の説明に戻り、受入規制中である場合には、ステップS101にて肯定判定をしてステップS118に進む。ステップS118ではコントローラ80の操作部83にて規制解除操作が行われたか否かを判定する。ステップS118にて否定判定をした場合にはそのまま本荷物移送処理を終了する。ステップS118にて肯定判定をした場合には、ステップS119の規制解除処理を実行した後、本荷物移送処理を終了する。規制解除処理が実行されることで、第1施錠装置51が施錠状態から解錠状態に切り替わり、第1扉41の開放が許容される。これにより、投入エリアIEへの荷物の投入が可能となる。
【0050】
次に、図4の概略図を参照して、荷物の移送の流れについて説明する。なお、図4に示す例では上述した荷物の受入規制は発生していない場合について例示している。
【0051】
荷物Tが投入されていない状況下においては基本的に、第1扉41が開放可能且つ第2扉42が開放不可となっている。つまり、第1扉41を開放したとしても、第2扉42の奥側のエリアへのアクセスや、収容空間39を通じた屋内空間へのアクセスは不可となっている。なお、コンベア装置71についても運転が停止されている。
【0052】
投入エリアIEに荷物Tが投入された場合には、荷物センサ75によって荷物Tが検知され且つ第1扉41が閉状態となっていることに基づいて各扉41,42がロック状態(施錠)/アンロック状態(解錠)に切り替えられる。具体的には、図4(a)→図4(b)に示すように、第1扉41がアンロック状態からロック状態に切り替えられることにより、第1扉41の開放が規制される。その後、第2扉42がロック状態からアンロック状態に切り替えられるとともに閉状態から開状態に切り替えられる。これにより、投入エリアIEからストックエリアSEへの荷物Tの移送が可能となる。第2扉42が開状態に切り替わったとしても、第1扉41についてはロック状態となっているため、投入口35を通じたストックエリアSE等への不正なアクセスは困難となる。
【0053】
第2扉42の開状態への切り替えが完了した後は、コンベア装置71の運転が開始され、荷物Tが奥行き方向へ移動する。図4(b)→図4(c)に示すように荷物Tが動作エリアMEを通過して当該荷物Tの全体がストックエリアSEに到達したタイミングにて、上記移送終了処理が実行される。具体的には、コンベア装置71のローラ72については回転速度を徐々に下げて停止する。これにより、荷物Tが勢いを保ったままコンベア装置71から上段部32aに移ることが抑制される。
【0054】
図4(c)→図4(d)に示すように、荷物Tの移送が完了した後は、第2扉42が開状態から閉状態に切り替えられるとともにアンロック状態からロック状態に切り替えられる。その後、第1扉41がロック状態からアンロック状態に切り替えられることで、第1扉41の開放が可能となり、投入エリアIEへの荷物の再投入が可能となる。
【0055】
その後は、荷物が投入される度に当該荷物がストックエリアSEに移送され、ストックエリアSEが満タンとなって一部の荷物が動作エリアMEに滞在した状態となることで、それ以上の荷物の受け入れが規制される。この場合、上述した規制解除操作が行われるまで第1扉41がロック状態に維持され、投入口35から収容空間39等へのアクセスが不可となる。
【0056】
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0057】
投入口35から投入エリアIEへ投入された荷物をコンベア装置71によって第2扉42よりも奥側へ移送することにより、投入エリアIEへの荷物の再投入が可能となる。このようにして、複数の荷物の受け入れを可能とすることにより、宅配ボックス20の利便性を大きく向上させることができる。荷物の移送はコンベア装置71によって実行されるため、宅配業者等に荷物の移動を強いることがない。このため、作業ミス等によって複数の荷物の受入機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。
【0058】
ストックエリアSEにおいては先行する荷物と後続の荷物とを奥行き方向にて互いに接触させた状態でストックすることができる。故に、ストックエリアSEにおける荷物の収容効率を好適に向上させることができる。また、ストックエリアSEについては仕切り等で細分化されているわけでもないため、様々な大きさの荷物を効率よくストックすることが可能である。
【0059】
第1扉41及び第2扉42には施錠装置51,52が併設されており、それら施錠装置51,52の少なくとも一方が施錠状態となるようにして各施錠装置51,52の切替制御が行われる。このような構成によれば、移送対象となった荷物への不正なアクセスを抑制できる。故に、宅配ボックス20の防犯機能を向上させる上で当該宅配ボックス20の利便性が低下することを回避できる。
【0060】
また、第1扉41及び第2扉42の何れかが施錠されていることで、収容空間39を通じて屋内空間へ不正にアクセスするといった行為を困難にすることができる。本実施の形態では、このようにして防犯機能を高めることにより、第3扉43について施錠装置を不具備としても、防犯性が大きく低下することを回避している。このようにして第3扉43用の施錠装置を不具備とすることは、居住者の利便性の向上を図る上で有利である。
【0061】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0062】
・上記実施の形態においては、コンベア装置71の搬送帯73(「搬送部」又は「可動体」に相当)を第2扉42(「第2開閉体」に相当)の動作エリアMEよりも収容空間39における奥側へ延設し、その延設部分の長さ(L4)を収容箱30の奥行き方向における投入エリアIEの長さ(L1)、すなわち第2扉42と側板部33との距離よりも大きくした。投入エリアIEに配設された荷物を移送した場合に当該荷物が動作エリアMEに残りにくい構成とする上では、延設部分の長さ(L4)を収容箱30の奥行き方向における投入エリアIEの長さ(L1)と同一とすることも可能である。
【0063】
また、収容箱30におけるストックエリアSEについては少なくとも1つの荷物を収容可能となっているのであれば足り、奥行き方向におけるストックエリアSEの大きさ(長さ)については任意である。例えば、奥行き方向におけるストックエリアSEの大きさ(長さ)を奥行き方向における投入エリアIEの大きさ(長さ)と同じ大きさとしてもよいし、3倍以上としてもよい。
【0064】
・第2扉42によって収容箱30の収容空間39を手前側及び奥側に仕切ることができるのであれば、当該第2扉42の具体的構成については任意である。例えば、第2扉を回動式からスライド式に変更してもよいし、片開きから両開きに変更してもよい。
【0065】
・上記実施の形態においては「移送手段」としてコンベア装置71を用いたが、荷物を移送することができるのであれば、移送手段の具体的構成については任意である。例えば、側板部33を収容箱30の奥行き方向へスライド移動可能とし、当該側板部33によって投入エリアIEに配設された荷物をストックエリアSE側へ押すことにより当該荷物を移送する構成とすることも可能である。この場合、荷物が載置されている底面を奥側に下り傾斜させることにより、荷物を移送する際の負荷を好適に軽減できる。
【0066】
また、コンベア装置71に代えて荷物を載置可能なターンテーブルを配設し、当該ターンテーブルを回動させることにより投入エリアIEからストックエリアSEに荷物を移送する構成とすることも可能である。
【0067】
・第2扉42を開閉するための駆動部55を省略し、コンベア装置71によって荷物が移送される際に当該荷物に押されて第2扉42が閉状態から開状態に切り替わる構成とすることも可能である。この場合、例えば搬送帯73に荷物の滑りを抑える滑り止め(例えば凸部等のストッパ)を設けるとよい。
【0068】
・宅配ボックス20に、収容箱30の取出口36の下方へ移送された荷物を取出口36へ持ち上げるリフト装置を設けてもよい。
【0069】
・上記実施の形態に示した宅配ボックス20の配設箇所については土間11に限定されるものではない。例えば、宅配ボックス20を建物の床下空間に配設したり、建物の内外を仕切る外壁に配設したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
20…宅配ボックス、30…収容箱、35…投入口、36…取出口、39…収容空間、41…第1扉、42…第2扉、51…第1施錠装置、52…第2施錠装置、71…コンベア装置、73…搬送帯、75…荷物センサ、80…コントローラ、81…制御部。
図1
図2
図3
図4