(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】吸引圧制御装置、吸引装置および歯科用診療装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/06 20060101AFI20220913BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A61C17/06 C
A61C19/00 C
(21)【出願番号】P 2019225740
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 和也
(72)【発明者】
【氏名】古田 美一
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 勇貴
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0100075(US,A1)
【文献】特開平04-329942(JP,A)
【文献】特開2017-006214(JP,A)
【文献】特開2002-209918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/06
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用のバキューム器具の吸引圧を制御する吸引圧制御装置であって、
一方に前記バキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサからの信号が入力される入力部と、
前記バキュームモータまたは前記吸引管路に接続された弁の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記弁は、前記吸引管路の吸引圧を調整する圧力調整弁を含み、
前記制御部は、
前記吸引管路の吸引圧に対する制御モードを複数設定することができるうち、前記吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する第1の患者用の制御モードと、前記吸引管路の吸引圧が前記第1の吸引圧より低い第2の吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する第2の患者用の制御モードと、を少なくとも設定し、
前記圧力センサで検出する吸引圧が所定値より大きい場合、前記バキュームモータまたは前記弁の開閉を制御して前記吸引管路の吸引圧を下
げ、
前記制御モードに応じて前記圧力調整弁を調整することにより前記吸引管路の吸引圧を調整するが、第2の患者用の制御モードで前記吸引管路の吸引圧を調整する場合、前記圧力センサで検出する吸引圧に基づいた前記弁の制御は行わない、吸引圧制御装置
【請求項2】
前記弁は、前記吸引管路に接続された第1開閉弁と、前記バキューム器具と前記第1開閉弁との間の前記吸引管路に接続された第2開閉弁と、を含み、
前記制御部は、前記圧力センサが検出する吸引圧が所定値より大きい場合、前記第1開閉弁を閉じた後に、前記第2開閉弁を開く、請求項1に記載の吸引圧制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2開閉弁を開いた状態で前記圧力センサが検出する吸引圧が所定値以下となった場合、所定復帰時間内に前記第2開閉弁を閉じ前記第1開閉弁を開く、請求項2に記載の吸引圧制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記圧力センサが検出する吸引圧が所定値より大きくなり前記弁を制御する回数が所定回数以上の場合、
前記吸引管路の吸引圧が初期の吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する初期の制御モードから、
前記吸引管路の吸引圧が初期の吸引圧より低い吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する低圧の制御モードに変更する、請求項
1~請求項3のいずれか1項に記載の吸引圧制御装置。
【請求項5】
医療用のバキューム器具の吸引圧を制御する吸引圧制御装置であって、
術者が選択した制御モードの選択情報の信号が入力される入力部と、
吸引管路の吸引圧を調整する圧力調整弁の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する第1の患者用の制御モードと、前記吸引管路の吸引圧が前記第1の吸引圧より低い第2の吸引圧となるように前記圧力調整弁を調整する第2の患者用の制御モードと、を少なくとも設定することができ、
前記入力部で入力された制御モードの選択情報に基づき、実行する制御モードを選択する、吸引圧制御装置。
【請求項6】
医療用の前記バキューム器具と、
一方に前記バキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路と、
前記吸引管路に接続され、前記吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、
前記吸引管路に接続された弁と、
前記吸引管路の吸引圧を生成する前記バキュームモータと、
請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の前記吸引圧制御装置と、を備える、吸引装置。
【請求項7】
医療用の前記バキューム器具と、
一方に前記バキューム器具が接続された吸引管路と、
前記吸引管路に接続され、前記吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、
前記吸引管路に接続された弁と、
前記吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、
請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の前記吸引圧制御装置と、
患者を座わらせた状態、または前記患者を寝かせた状態で診療可能なチェア装置と、を備える、歯科用診療装置。
【請求項8】
術者が往診時に携帯することが可能な筐体と、
医療用の前記バキューム器具と、
一方に前記バキューム器具が接続された吸引管路と、
前記吸引管路に接続され、前記吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、
前記吸引管路に接続された弁と、
前記筐体に設けられ、前記吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、
前記筐体に設けられ、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の前記吸引圧制御装置と、を備える、往診用の歯科用診療装置。
【請求項9】
医療用のバキューム器具の吸引圧を制御する吸引圧制御装置であって、
一方に前記バキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサからの信号が入力される入力部と、
前記バキュームモータまたは前記吸引管路に接続された弁の開閉を制御する制御部と、を備え、
前記弁は、前記吸引管路の吸引圧を調整する圧力調整弁を含み、
前記制御部は、
前記バキュームモータまたは前記圧力調整弁の開閉を制御して、第1の吸引圧となるように前記吸引圧を調整する第1の患者用の制御モードの場合、前記圧力センサで検出する吸引圧が所定値より大きいとき、前記弁の開閉を制御して前記吸引管路の吸引圧を下げるが、
前記バキュームモータまたは前記圧力調整弁の開閉を制御して、前記第1の吸引圧よりも低い第2の吸引圧となるように前記吸引圧を調整する第2の患者用の制御モードの場合、前記圧力センサで検出する吸引圧に基づいて前記弁の開閉の制御は行わない、吸引圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引圧制御装置、吸引装置および歯科用診療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用装置の一例としての歯科用診療装置では、患者の治療中に口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引して口腔内から排出する吸引装置が備えられている。吸引装置は、バキュームシリンジのようなバキューム器具が接続され、当該バキューム器具の先端を患者の口腔内に挿入させて唾液や水を吸い取る。
【0003】
吸引装置は、バキューム器具の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する場合、内蔵する電磁弁を開放する制御を行う。また、吸引装置は、バキューム器具を使用しない場合、内蔵する電磁弁を閉鎖する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バキューム器具の先端を口腔内に挿入した場合、吸引中のバキューム器具の先端が患者の口腔粘膜に吸付き、吸引装置が口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引することができない場合ある。特に、口腔粘膜が緩くなっている高齢者の患者に対して口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する場合、バキューム器具の先端が患者の口腔粘膜に吸付く機会が多くなる。
【0006】
バキューム器具の先端が患者の口腔粘膜に吸付き、口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を排出できない場合、口腔内に溜まった液体を誤嚥したり、口腔内に溜まった液体で咽てしまったりする。また、患者の口腔粘膜に吸付いたバキューム器具の先端を無理やり引きはがすと、口腔粘膜を傷つけてしまう虞もあった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者の口腔粘膜にバキューム器具の先端が吸付いた場合であっても容易に引きはがすことができる吸引圧制御装置、吸引装置および歯科用診療装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸引圧制御装置は、医療用のバキューム器具の吸引圧を制御する吸引圧制御装置であって、一方にバキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサからの信号が入力される入力部と、バキュームモータまたは吸引管路に接続された弁の開閉を制御する制御部と、を備え、弁は、吸引管路の吸引圧を調整する圧力調整弁を含み、制御部は、吸引管路の吸引圧に対する制御モードを複数設定することができるうち、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧となるように圧力調整弁を調整する第1の患者用の制御モードと、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧より低い第2の吸引圧となるように圧力調整弁を調整する第2の患者用の制御モードと、を少なくとも設定し、圧力センサで検出する吸引圧が所定値より大きい場合、バキュームモータまたは弁の開閉を制御して吸引管路の吸引圧を下げ、記制御モードに応じて圧力調整弁を調整することにより吸引管路の吸引圧を調整するが、第2の患者用の制御モードで吸引管路の吸引圧を調整する場合、圧力センサで検出する吸引圧に基づいた弁の制御は行わない。
【0009】
本発明の吸引装置は、医療用のバキューム器具と、一方にバキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、吸引管路に接続された弁と、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、上記の吸引圧制御装置と、を備える。
【0010】
本発明の歯科用診療装置は、医療用のバキューム器具と、一方にバキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、吸引管路に接続された弁と、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、上記の吸引圧制御装置と、患者を座わらせた状態、または患者を寝かせた状態で診療可能なチェア装置と、を備える。
【0011】
本発明の別の歯科用診療装置は、術者が往診時に携帯することが可能な筐体と、医療用のバキューム器具と、一方にバキューム器具が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータが接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、吸引管路に接続された弁と、筐体に設けられ、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、筐体に設けられ、上記の吸引圧制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸引圧制御装置、吸引装置および歯科用診療装置によれば、圧力センサで検出する吸引圧が所定値より大きい場合、バキュームモータまたは弁の開閉を制御して吸引管路の吸引圧を変更するので、患者の口腔粘膜にバキューム器具の先端が吸付いた場合であっても容易に引きはがすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1における医療用装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1における吸引装置の管路構成を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における医療用装置の制御ブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態1における吸引装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態1における吸引装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるサラエバシリンジの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態1におけるチューブ洗浄の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態1における高齢者モードの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】本発明の実施の形態2における吸引装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明の変形例における医療用装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図11】本発明の変形例における医療用装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1における医療用装置の構成について説明する。本実施の形態1では医療用装置の一例として歯科用診療装置について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1における医療用装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図1を参照して、本実施の形態1に係る医療用装置100は、診療装置本体10と、媒体導管20と、診療用ハンドピース30と、バキューム器具40と、吸引装置200と、バキュームモータ300とを備えている。吸引装置200は、スピットン2に内蔵されており、吸引管44でバキューム器具40と接続される。バキューム器具40と吸引管44とは、スピットン2に着脱自在に接続可能に構成されている。なお、吸引装置200には、バキューム器具40、およびバキュームモータ300を含めてもよい。
【0016】
診療装置本体10は、診療台1と、スピットン2と、照明装置3と、照明装置用アーム4と、トレーテーブル5と、トレーテーブル用アーム6を備えている。診療台1は、患者が着座または仰臥した状態で診療を受けることができるように構成されている。診療台1は、基台1aと、座板1bと、背板1cと、ヘッドレスト1dと、アームレスト1eとを備えている。座板1bは基台1a上に昇降自在に設置されている。背板1cは座板1bの一端に起伏自在に取り付けられている。ヘッドレスト1dは背板1cの上端に傾動自在に取り付けられている。アームレスト1eは座板1bの側方に設置されている。
【0017】
スピットン2は診療台1の側方に設置されている。スピットン2は、胴部2aと、ベースン2bと、コップ給水栓(コップ給水部)2cとを備えている。胴部2aの上端にベースン2bが設置されている。ベースン2bにコップ給水栓2cから伸びた給水筒が設置されている。照明装置3は、照明装置用アーム4を介してスピットン2に接続されている。照明装置3はたとえば無影灯である。
【0018】
トレーテーブル5は、トレーテーブル用アーム6を介して基台1aに接続されている。トレーテーブル5は、診療器具、薬品および診療用ハンドピース(インスツルメント)30を置いたり、保持したりするために使用される。また、トレーテーブル5は、診療台1および診療用ハンドピース30などの操作を設定するための操作設定部5aを備えている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1における吸引装置の管路構成を概略的に示す図である。
図3は、本発明の実施の形態1における医療用装置の制御ブロック図である。
図2および
図3では、バキューム器具40としてバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42を例に説明する。バキューム器具40は、先端を患者の口腔内に挿入させて、患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。なお、サラエバシリンジ42は、バキュームシリンジ41に比べて先端開口部が小さく口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する吸引量が少ない。そのため、サラエバシリンジ42の先端が口腔粘膜に吸付いても、バキュームシリンジ41に比べてサラエバシリンジ42の先端を口腔粘膜から引きはがしやすい。そのため、本実施の形態1では、サラエバシリンジ42に対して後述する吸着回避処理を行わない。もちろん、サラエバシリンジ42に対しても吸着回避処理を行ってもよい。
【0020】
吸引装置200は、吸引管44を介してバキュームシリンジ41を接続する吸引管路201と、吸引管44を介してサラエバシリンジ42を接続する吸引管路202とを有している。吸引管路202と吸引管路201とは、1つの吸引管路203を経てバキュームタンク260に接続されている。バキュームタンク260は、バキューム器具40で吸引した気体と液体とを分離する機器であり、通常の気体と液体とを分離するタンクと同様の構造を有している。具体的に、バキュームタンク260は、容器を有し、容器の上部に吸引管路203を接続する流入口と、バキュームモータ300へと続く吸引管路204を接続するための排気口が設けられている。容器の底部には、排水管へと続く排水管路205を接続するための排水口が配置されている。吸引管路203および排水管路205の途中には、逆止弁が設けられてもよい。
【0021】
さらに、吸引装置200は、吸引管路203とバキューム洗浄タンク270とを接続するための吸引管路206と、吸引管路のそれぞれに設けた弁に接続される吸引圧パイロット管路207とを有している。吸引管路や排水管路は、外装の材質はたとえばシリコーンであり、たとえば2層構造となっている。この2層構造の内側層の材質はフッ素樹脂であり、外側層の材質はウレタンである。
【0022】
吸引圧パイロット管路207には、圧力センサ250と電空レギュレータ251とが設けられている。なお、吸引装置200が、バキューム器具40の口腔粘膜への吸付きを解除する機能しか必要なく、吸付き圧力(吸引圧)を調整しなければ圧力センサ250のみでもよい。本実施の形態1では、吸引装置200が、バキューム器具40の口腔粘膜への吸付きを解除する機能以外に、バキューム器具40の吸引圧を調整する圧力コントロール機能も有する例について説明する。
【0023】
ここで、圧力センサ250は、吸引圧パイロット管路207を介して吸引管路の吸引圧を測定している。圧力センサ250は、吸引圧を検知して、かかる吸引圧の大きさに応じた電気的信号に変換する装置であり、通常の圧力センサを用いることができる。電空レギュレータ251は、比例制御弁の一つであり、電気信号である入力に比例して吸引圧を連続的にコントロールすることができる機器であり、吸引管路の吸引圧を調整する圧力調整弁である。本実施の形態1では、制御モード(例えば、高齢者モード)に応じて吸引管路の吸引圧を調整するために電空レギュレータ251を使用している。
【0024】
バキューム洗浄タンク270は、メインスイッチをON状態にした場合や、診療終了後にクリーニングスイッチを押した場合に、バキュームタンク260を自動的に洗浄するための洗浄液を蓄えておくためのタンクである。本実施の形態1では、後述するように吸引管路206を介して吸引管路201の吸引圧を大気開放するための出口として利用している。
【0025】
バキュームモータ300は、モータと該モータにより回転する吸引ファンとを備える装置であり、吸引力を発生させる。バキュームモータ300は、通常の歯科用診療装置などに用いられる通常のバキュームモータを用いることができる。
【0026】
図2を参照して、医療用装置100は、弁をさらに備えている。弁は、バキューム器具40から吸引した気体および液体をバキュームタンク260まで流すように構成されている。弁は、吸引管路の内部に配置されていてもよく、また吸引管路と分離して配置されていてもよい。
【0027】
本実施の形態1では、吸引管路に接続された開閉弁を含んでいる。開閉弁はそれぞれ電磁弁であってもよい。制御弁A210は、バキュームタンク260とバキュームモータ300との間に配置されている。制御弁A210と吸引圧パイロット管路207との間には開閉弁211が配置されている。制御弁B220は、バキュームシリンジ41に接続された吸引管路201と吸引管路203との間に配置されている。制御弁B220と吸引圧パイロット管路207との間には開閉弁221が配置されている。制御弁C230は、バキュームタンク260とバキューム洗浄タンク270との間に配置されている。制御弁C230と吸引圧パイロット管路207との間には開閉弁231が配置されている。制御弁D240は、サラエバシリンジ42に接続された吸引管路202と吸引管路203との間に配置されている。制御弁D240と吸引圧パイロット管路207との間には開閉弁241が配置されている。
【0028】
図1を参照して、診療用ハンドピース30は、歯科診療用のインスツルメントである。診療用ハンドピース30は複数のハンドピースを含んでいてもよい。診療用ハンドピース30は、たとえば第1エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)31、第2エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)32、マイクロモーターハンドピース(ロースピードハンドピース)33、スリーウェイシリンジ34等である。診療用ハンドピース30は、トレーテーブル5に設けられたドクター側ハンドピースホルダ5bに係止されるように構成されている。
【0029】
一方、バキューム器具40であるバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42は、スピットン2に設けられたアシスタント側の器具ホルダ2dに係止されるように構成されている。器具ホルダ2dには、バキューム器具40のエラー情報や動作情報を表示するための表示部43が設けられている。
【0030】
次に、
図3は、本発明の実施の形態1における医療用装置の制御ブロック図である。
図2および
図3を参照して、本実施の形態1に係る医療用装置100の管路構成について説明する。
図3に示す医療用装置100はチェアユニットであって、チェアである診療台1、うがい鉢装置であるスピットン2、操作装置を有する吸引圧制御装置などを含んでいる。医療用装置100内の各制御基板間の通信には、CAN(Controller Area Network)通信などの関連する公知の技術が適用されている。医療用装置100では、診療台1、スピットン2、吸引装置200、バキュームモータ300などがCAN通信で互いに通信して、互いの状況を共有して制御を行っている。
【0031】
具体的に、バキュームシリンジ41、およびサラエバシリンジ42の通常の使用時においては、少なくともいずれかのバキューム器具40がスピットン2の器具ホルダ2dから取上られたことが器具ホルダ2dに設けられたピックアップセンサA281、ピックアップセンサB282により検出され、スタートSWA283、およびスタートSWB284を選択するとそれぞれの信号がON状態となる。
【0032】
例えば、バキュームシリンジ41がスピットン2の器具ホルダ2dから取上られたことがピックアップセンサA281で検出されると、スタートSWA283がON状態となるとともに、バキュームモータ300が起動され、制御弁A210および制御弁A210が開となって、バキュームシリンジ41の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。
【0033】
図3に示す制御部280は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。CPUは、ROM等に保存されている動作プログラムを実行することにより、医療用装置100全体を総括的に制御する。ROMは、CPUが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。制御部280には、ピックアップセンサA281、ピックアップセンサB282、スタートSWA283、スタートSWB284、洗浄モードSW285、高齢者モードSW286、表示部43、および入力部45が接続されている。なお、少なくとも制御部280と入力部45とを含む構成で、吸引装置200の吸引圧を制御する吸引圧制御装置を構成している。入力部45は、圧力センサ250のセンサ値が入力されるとともに、洗浄モードSW285や高齢者モードSW286のON情報も入力される。
【0034】
洗浄モードSW285は、後述する吸引管44、吸引管路201などを洗浄するチューブ洗浄モードの駆動を選択するためのスイッチである。高齢者モードSW286は、後述するバキュームシリンジ41の吸引力を低減させる駆動を選択するためのスイッチである。これらのスイッチは、器具ホルダ2dに物理的なスイッチとして設けても、表示部43に設けたタッチパネル(入力部45)の1つの操作スイッチとして設けてもよい。
【0035】
次に、
図4は、本発明の実施の形態1における吸引装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4を参照して、本実施の形態1に係る吸引装置の動作について説明する。まず、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がバキュームシリンジ41を器具ホルダ2dから取上げ、バキュームシリンジ41の使用を選択したか否かを判断する(ステップS101)。なお、制御部280は、ピックアップセンサA281がON状態となったこと、スタートSWA281からの信号がON状態になったことでドクターおよびアシスタント等がバキュームシリンジ41の使用を選択したと判断する。バキュームシリンジ41の使用が選択される場合(ステップS101でYES)、制御部280は、スタートSWA283をON状態に、バキュームモータ300を起動し、制御弁A210および制御弁A210を開として、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を開始する(ステップS102)。
【0036】
本実施の形態1における吸引装置では、バキュームシリンジ41による吸引が開始されると吸着回避処理が開始される。吸着回避処理では、まず制御部280が、圧力センサ250からセンサ値(吸引圧)を取得する(ステップS103)。ここで、圧力センサ250のセンサ値は、患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引している場合、所定値(閾値)以下の値であるが、患者の口腔粘膜にバキュームシリンジ41の先端が吸付くと急激に大きくなり所定値(閾値)を超える。
【0037】
制御部280は、圧力センサ250から取得したセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなったか否かでバキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いたか否かを判断する(ステップS104)。センサ値(吸引圧)が所定値(閾値)以下の場合(ステップS104でNO)、制御部280は、処理をステップS103に戻す。センサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなった場合(ステップS104でYES)、制御部280は、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止する(ステップS105)。なお、図示していないが、制御部280は、吸引する駆動を開始後、バキュームシリンジ41を器具ホルダ2dに戻されピックアップセンサA281がOFF状態となった場合、またはスタートSWA283がON状態となった場合、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止する。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態1における吸引装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、ステップS102でバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を開始したタイミングが、
図5に示す時刻t1のタイミングである。時刻t1では、ピックアップセンサA281がON状態、スタートSWA283がON状態、バキュームモータ300がON状態、制御弁A210および制御弁B220を開(ON)となる。
【0039】
制御部280は、時刻t2のタイミングでセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなり吸着と判定する(ON)。制御部280は、吸着と判定した場合、時刻t3のタイミングでバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止するため、まず制御弁A210を閉(OFF)にする。制御弁A210を閉(OFF)にすることで、バキュームモータ300の吸引圧が吸引管路201,203から切り離される。しかし、バキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いた状態であるため、吸引管路201,203の吸引圧が高い状態で維持されている。そこで、制御部280は、制御弁C230を開(ON)することで、吸引管路206を介してバキューム洗浄タンク270へ吸引管路201,203の吸引圧を逃がす(大気開放)。吸引管路201,203の吸引圧を、吸引管路206を介してバキューム洗浄タンク270に逃がして、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができる。
【0040】
時刻t3のタイミングでは、制御弁A210の閉(OFF)と制御弁C230の開(ON)とが同時に行っているように図示されているが、制御弁A210の閉(OFF)、制御弁C230の開(ON)の順で弁を制御することが好ましい。また、
図5では、時刻t2のタイミング後から時刻t3のタイミングまでに期間が設けられているが、時刻t2のタイミング後、すぐに時刻t3のタイミングを開始してもよい。
【0041】
図4に戻って、制御部280は、ステップS105の吸引停止の状態から吸引の状態まで時間をカウントする時間カウンタ(T-CNT)のカウントを開始する(ステップS106)。制御部280は、時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間より長いか否かを判断する(ステップS107)。時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間以下の場合(ステップS107でNO)、制御部280は、処理をステップS105に戻す。ここで、所定時間は、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができるように、吸引管路201,203の吸引圧を十分逃がすことが可能な時間であり、かつバキュームシリンジ41への逆流を防ぐことができる時間である。所定時間を、例えば0.5秒程度とする。
【0042】
時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間より長い場合(ステップS107でYES)、制御部280は、バキュームシリンジ41による吸引を終了する操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS108)。例えば、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がスタートSWA283をOFF状態にした場合、バキュームシリンジ41による吸引を終了する操作を受け付けたと判断する。吸引を終了する操作を受け付けたと判断した場合(ステップS108でYES)、制御部280は、バキュームシリンジ41での吸引を終了する。なお、吸着回避処理は、ステップS103~ステップS107で
図4の破線で囲まれた処理をいう。
【0043】
吸引を終了する操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS108でNO)、制御部280は、処理をステップS102に戻し、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を継続する。バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を継続する場合、
図5に示す時刻t4のタイミングで示すように制御弁C230の閉(OFF)と制御弁A210の開(ON)との制御を行う。なお、ステップS108の判断は短時間で行われるため、吸引終了を受け付けていない場合は直ちに吸引の状態に復帰する。制御部280は、復帰時間を短くすることで、バキュームシリンジ41への逆流を防ぐことができる。また、時刻t4のタイミングでは、制御弁A210の開(ON)と制御弁C230の閉(OFF)とが同時に行っているように図示されているが、制御弁C230の閉(OFF)、制御弁A210の開(ON)の順で弁を制御することが好ましい。
【0044】
図4に戻って、バキュームシリンジ41の使用が選択されない場合(ステップS101でNO)、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がサラエバシリンジ42を器具ホルダ2dから取上げ、サラエバシリンジ42の使用を選択したか否かを判断する(ステップS110)。なお、制御部280は、ピックアップセンサB282がON状態となったこと、スタートSWB282からの信号がON状態になったことでドクターおよびアシスタント等がサラエバシリンジ42の使用を選択したと判断する。サラエバシリンジ42の使用が選択される場合(ステップS110でYES)、制御部280は、スタートSWB284をON状態に、バキュームモータ300を起動し、制御弁A210および制御弁D240を開として、サラエバシリンジ42の先端から液体等を吸引する駆動を開始する(ステップS111)。
【0045】
本実施の形態1における吸引装置では、サラエバシリンジ42による吸引が開始されてもバキュームシリンジ41のように吸着回避処理を開始しない。サラエバシリンジ42は、バキュームシリンジ41に比べて先端の開口部が小さく、バキュームシリンジ41に比べて口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する吸引量が少ない。そのため、サラエバシリンジ42の先端が患者の口腔粘膜に吸付く可能性が低く、吸付いた場合でも引きはがすことが容易であるため、制御部280は、サラエバシリンジ42の吸引に対して吸着回避処理を開始しない。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態1におけるサラエバシリンジの動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、ステップS111でサラエバシリンジ42の先端から液体等を吸引する駆動を開始したタイミングが、
図6に示す時刻t1のタイミングである。時刻t1では、ピックアップセンサB282がON状態、スタートSWB284がON状態、バキュームモータ300がON状態、制御弁A210および制御弁D240を開(ON)となる。
【0047】
制御部280は、
図6に示す時刻t2のタイミングでセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなり吸着と判定する(ON)。しかし、サラエバシリンジ42の吸引に対して吸着回避処理を開始しないので、制御部280は、吸着と判定した場合、サラエバシリンジ42の先端から液体等を吸引する駆動を停止するため制御弁A210を閉(OFF)にする等の制御を行わない。
【0048】
図4に戻って、制御部280は、サラエバシリンジ42による吸引を終了する操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS112)。例えば、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がスタートSWB284をOFF状態にした場合、サラエバシリンジ42による吸引を終了する操作を受け付けたと判断する。吸引を終了する操作を受け付けたと判断した場合(ステップS112でYES)、制御部280は、サラエバシリンジ42での吸引を終了する。吸引を終了する操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS112でNO)、制御部280は、処理をステップS111に戻し、サラエバシリンジ42の先端から液体等を吸引する駆動を継続する。
【0049】
サラエバシリンジ42の使用が選択されない場合(ステップS110でNO)、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がチューブ洗浄の処理を選択したか否かを判断する(ステップS120)。なお、制御部280は、表示部43に表示された洗浄モードSWのボタンをドクターおよびアシスタント等が押下したことを入力部45で受け付けたことにより、チューブ洗浄の処理を選択したと判断する。チューブ洗浄の処理を選択した場合(ステップS120でYES)、制御部280は、バキュームモータ300を起動し、制御弁A210および制御弁B220を開としている状態で洗浄モードSWをON状態とすることでチューブ洗浄での吸引を開始する(ステップS121)。
【0050】
本実施の形態1における吸引装置では、チューブ洗浄の処理としてバキュームシリンジ41の先端から洗浄液を吸引させて吸引管44などのチューブを洗浄することができる。チューブ洗浄では、吸引圧を非常に大きくして液体を勢いよく吸い込むことでチューブを洗浄するので圧力センサ値が閾値を超えてしまう虞があり、そのたびに吸着回避処理を実施したのでは洗浄効率が低下するため吸着回避処理を開始しない。
【0051】
図7は、本発明の実施の形態1におけるチューブ洗浄の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、ステップS121でバキュームシリンジ41のチューブを洗浄する駆動を開始したタイミングが、
図7に示す時刻t5のタイミングである。時刻t5では、時刻t1から既にバキュームモータ300がON状態、制御弁A210および制御弁B220を開(ON)となっている状態で、洗浄モードSWがON状態となる。なお、制御部280は、洗浄モードSWがON状態となった情報を受け付けると、図示していない洗浄モードオフSWがON状態となるまでの期間、チューブ洗浄の動作が継続される。もちろん、制御部280は、洗浄モードオフSWを設けずに、洗浄モードSWがON状態の期間、チューブ洗浄の動作を継続してもよい。
【0052】
制御部280は、
図7に示す時刻t6のタイミングでセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなり吸着と判定する(ON)。しかし、チューブ洗浄の動作中は吸着回避処理を開始しないので、制御部280は、吸着と判定した場合、バキュームシリンジ41の先端から洗浄液を吸引する駆動を停止するため制御弁A210を閉(OFF)にする等の制御を行わない。
【0053】
図4に戻って、制御部280は、チューブ洗浄の動作を終了する操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS122)。例えば、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等が洗浄モードオフSWをON状態にした場合、チューブ洗浄の動作を終了する操作を受け付けたと判断する。チューブ洗浄の動作を終了する操作を受け付けたと判断した場合(ステップS122でYES)、制御部280は、チューブ洗浄の動作を終了する。チューブ洗浄の動作を終了する操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS122でNO)、制御部280は、処理をステップS121に戻し、チューブ洗浄の動作を継続する。
【0054】
チューブ洗浄の処理が選択されない場合(ステップS120でNO)、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等が高齢者モードを選択したか否かを判断する(ステップS130)。なお、制御部280は、表示部43に表示された高齢者モードSWのボタンをドクターおよびアシスタント等が押下したことを入力部45で受け付けたことにより、高齢者モードを選択したと判断する。高齢者モードを選択した場合(ステップS130でYES)、制御部280は、高齢者モードでバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を開始する(ステップS131)。
【0055】
本実施の形態1における吸引装置では、高齢者モードでバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引させることができる。高齢者は通常の人に比べて口腔粘膜が緩くなっているため、高齢者の患者に対して通常の人と同じ吸引圧で口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引すると、バキューム器具の先端が患者の口腔粘膜に吸付く機会が多くなる。そこで、本実施の形態1における吸引装置では、高齢者モードを選択すると電空レギュレータ251を使って吸引圧を通常の人より低くして、口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引することができる。
【0056】
図8は、本発明の実施の形態1における高齢者モードの動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、ステップS131において高齢者モードでバキュームシリンジ41の吸引を開始するタイミングが、
図8に示す時刻t0のタイミングである。時刻t0では、高齢者モードSWがON状態となり、以降のバキュームシリンジ41での吸引が高齢者モードでの動作となる。時刻t1では、バキュームモータ300がON状態、電空レギュレータ251がON状態、制御弁A210および制御弁B220を開(ON)となっている。
図5に示す時刻t1での状態に比べ、
図8に示す時刻t1では、電空レギュレータ251がON状態となっているので、バキュームモータ300の吸引圧は電空レギュレータ251がOFF状態の場合に比べて低くなっている。
【0057】
制御部280は、吸引管路の吸引圧が通常の人の吸引圧(第1の吸引圧)となるように電空レギュレータ251を調整する(例えば、OFF状態とする)通常の人用の制御モード(通常モード)と、吸引管路の吸引圧が通常の人の吸引圧より低い高齢者の吸引圧(第2の吸引圧)となるように電空レギュレータ251を調整する(例えば、ON状態とする)高齢者用の制御モード(高齢者モード)とを制御可能である。なお、制御部280は、高齢者モードSWがON状態となった情報を受け付けると、図示していない高齢者モードオフSWがON状態となるまでの期間、高齢者モードの動作が継続される。もちろん、制御部280は、高齢者モードオフSWを設けずに、高齢者モードSWがON状態の期間、高齢者モードの動作を継続してもよい。
【0058】
制御部280は、
図8に示す時刻t2のタイミングでセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなり吸着と判定する(ON)。しかし、高齢者モードでの動作中は吸着回避処理を開始しないので、制御部280は、吸着と判定した場合、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止するため制御弁A210を閉(OFF)にする等の制御を行わない。
【0059】
図4に戻って、制御部280は、高齢者モードの動作を終了する操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS132)。例えば、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等が高齢者モードオフSWをON状態にした場合、高齢者モードの動作を終了する操作を受け付けたと判断する。高齢者モードの動作を終了する操作を受け付けたと判断した場合(ステップS132でYES)、制御部280は、高齢者モードの動作を終了する。高齢者モードの動作を終了する操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS132でNO)、制御部280は、処理をステップS131に戻し、高齢者モードの動作を継続する。なお、高齢者モードを選択しない場合(ステップS130でNO)、制御部280は、処理をステップS101に戻す。
【0060】
以上のように、本実施の形態1の吸引圧制御装置は、医療用のバキューム器具40の吸引圧を制御する吸引圧制御装置である。吸引圧制御装置は、一方にバキューム器具40が接続され、他方に吸引圧を生成するバキュームモータ300が接続された吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサ250からの信号が入力される入力部45と、バキュームモータ300または吸引管路に接続された弁(制御弁A210,制御弁B220,制御弁C230)の開閉を制御する制御部280と、を備える。制御部280は、圧力センサ250で検出する吸引圧が所定値より大きい場合、バキュームモータ300または弁の開閉を制御して吸引管路の吸引圧を下げる。これにより、本実施の形態1の吸引圧制御装置は、患者の口腔粘膜にバキューム器具の先端が吸付いた場合であっても容易に引きはがすことができる。
【0061】
弁は、吸引管路204に接続された制御弁A210(第1開閉弁)と、バキュームシリンジ41と制御弁A210との間の吸引管路204に接続された制御弁C230(第2開閉弁)と、を含む。制御部280は、圧力センサ250が検出する吸引圧が所定値より大きい場合、制御弁A210を閉じた後に、制御弁C230を開く。これにより、バキュームシリンジ41に接続された吸引管路201,203の吸引圧を低下させることができる。
【0062】
制御部280は、制御弁C230を開いた状態で圧力センサ250が検出する吸引圧が所定値以下となった場合、所定時間内に制御弁C230を閉じ制御弁A210を開くことが好ましい。これにより、バキュームシリンジ41への逆流を防止することができる。
【0063】
弁は、吸引管路の吸引圧を調整する電空レギュレータ251をさらに含んでもよい。制御部280は、吸引管路の吸引圧に対する制御モード(例えば、高齢者モード)を複数設定することができ、制御モードに応じて電空レギュレータ251を調整することにより吸引管路の吸引圧を調整してもよい。これにより、制御部280は、状況に応じて最適な吸引圧でバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引することができる。
【0064】
制御部280は、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する通常モード(第1の患者用の制御モード)と、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧より低い第2の吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する高齢者モード(第2の患者用の制御モード)と、を少なくとも設定してもよい。高齢者モードで吸引管路の吸引圧を調整する場合、圧力センサ250で検出する吸引圧に基づいた弁の制御は行わない。これにより、制御部280は、口腔粘膜が緩い高齢者に最適な吸引圧でバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引することができる。
【0065】
なお、医療用のバキューム器具の吸引圧を制御する吸引圧制御装置は、術者(ドクターおよびアシスタント等)が選択した制御モードの選択情報の信号が入力される入力部45と、吸引管路の吸引圧を調整する電空レギュレータ251の開閉を制御する制御部280と、を備える。制御部280は、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する通常モード(第1の患者用の制御モード)と、吸引管路の吸引圧が第1の吸引圧より低い第2の吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する高齢者モード(第2の患者用の制御モード)と、を少なくとも設定することができ、入力部45で入力された制御モードの選択情報に基づき、実行する制御モードを選択してもよい。これにより、吸引圧制御装置で制御する吸引装置が圧力センサ250を含まない構成であってもよい。
【0066】
吸引装置200は、医療用のバキューム器具40と、一方にバキューム器具40が接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサ250と、吸引管路に接続された弁と、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータ300と、吸引圧制御装置と、を含む。
【0067】
医療用装置(歯科用診療装置)100は、医療用のバキューム器具40と、一方にバキューム器具40が接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサと、吸引管路に接続された弁と、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータと、吸引圧制御装置と、患者を座わらせた状態、または患者を寝かせた状態で診療可能な診療装置本体10(チェア装置)と、を含む。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態1では、バキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付くたびに、吸着回避処理を行い、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができるように制御している。しかし、本発明の実施の形態1では、バキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付くことを繰り返しても、バキュームシリンジ41の吸引圧は変更しない。そこで、本発明の実施の形態2では、バキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いた回数に応じて、バキュームシリンジ41の吸引圧を変更する構成について説明する。なお、本実施の形態2に係る医療用装置、吸引圧制御装置、吸引装置は、
図1~
図3に示した本発明の実施の形態1に係る医療用装置100、吸引圧制御装置、吸引装置200と同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。
【0068】
図9は、本発明の実施の形態2における吸引装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9を参照して、本実施の形態2に係る吸引装置の動作について説明する。まず、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がバキュームシリンジ41を器具ホルダ2dから取上げ、バキュームシリンジ41による吸引を開始する(ステップS201)。なお、本実施の形態2に係る制御においても、
図4で示した制御と同じようにバキュームシリンジ41の使用を選択したか否かの判断(ステップS101)、サラエバシリンジ42の使用を選択したか否かの判断(ステップS110)、チューブ洗浄の処理を選択したか否かの判断(ステップS120)、および高齢者モードを選択したか否かの判断(ステップS130)を追加してもよい。
【0069】
具体的に、ステップS201において、制御部280は、スタートSWA283をON状態に、バキュームモータ300を起動し、制御弁A210および制御弁A210を開として、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を開始する。
【0070】
本実施の形態2における吸引装置では、バキュームシリンジ41による吸引が開始されると吸着回避処理が開始される。吸着回避処理では、まず制御部280が、圧力センサ250からセンサ値(吸引圧)を取得する(ステップS202)。ここで、圧力センサ250のセンサ値は、患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引している場合、所定値(閾値)以下の値であるが、患者の口腔粘膜にバキュームシリンジ41の先端が吸付くと急激に大きくなり所定値(閾値)を超える。
【0071】
制御部280は、圧力センサ250から取得したセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなったか否かでバキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いたか否かを判断する(ステップS203)。センサ値(吸引圧)が所定値(閾値)以下の場合(ステップS203でNO)、制御部280は、処理をステップS202に戻す。センサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなった場合(ステップS103でYES)、制御部280は、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止する(ステップS204)。
【0072】
次に、制御部280は、ステップS204の吸引停止の状態を維持するため時間カウンタ(T-CNT)のカウントを開始する(ステップS205)。制御部280は、時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間より長いか否かを判断する(ステップS206)。時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間以下の場合(ステップS206でNO)、制御部280は、処理をステップS204に戻す。ここで、所定時間は、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができるように、吸引管路201,203の吸引圧を十分逃がすことが可能な時間であり、かつバキュームシリンジ41への逆流を防ぐことができる時間である。所定時間を、例えば0.5秒程度とする。
【0073】
時間カウンタ(T-CNT)のカウントが所定時間より長い場合(ステップS206でYES)、吸着回避処理の処理回数をカウントするための回数カウンタ(CNT)のカウントを開始する(ステップS207)。制御部280は、回数カウンタ(CNT)のカウントが所定回数より多いか否かを判断する(ステップS208)。回数カウンタ(CNT)のカウントが所定回数以下の場合(ステップS208でNO)、制御部280は、処理をステップS201に戻す。ここで、所定回数は、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができるように、吸着回避処理を行った処理回数であり、例えば5回程度とする。同じ患者に対してバキュームシリンジ41の先端が5回も口腔粘膜に吸付くような場合、患者の口腔粘膜が緩いと判断して吸引圧を下げる必要がある。そのため、回数カウンタ(CNT)は、患者が変われば、それまでカウントしていた回数をリセットする。
【0074】
回数カウンタ(CNT)のカウントが所定回数より多い場合(ステップS208でYES)、制御部280は、電空レギュレータ251を使ってバキュームシリンジ41の吸引圧を下げる減圧制御を行う(ステップS209)。制御部280は、ステップS209で減圧制御したバキュームシリンジ41の吸引圧で、以降患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。ただし、制御部280は、患者が変われば減圧制御を解除して、もとのバキュームシリンジ41の吸引圧に戻す。
【0075】
次に、制御部280は、バキュームシリンジ41による吸引を終了する操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS210)。例えば、制御部280は、ドクターおよびアシスタント等がスタートSWA283をOFF状態にした場合、バキュームシリンジ41による吸引を終了する操作を受け付けたと判断する。吸引を終了する操作を受け付けたと判断した場合(ステップS210でYES)、制御部280は、バキュームシリンジ41での吸引を終了する。なお、吸着回避処理は、ステップS202~ステップS209で
図9の破線で囲まれた処理をいう。
【0076】
吸引を終了する操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS210でNO)、制御部280は、処理をステップS201に戻し、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を継続する。バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を継続する場合、制御弁C230の閉(OFF)と制御弁A210の開(ON)との制御を行う。なお、ステップS210の判断は短時間で行われるため、吸引終了を受け付けていない場合は直ちに吸引の状態に復帰する。制御部280は、復帰時間を短くすることで、バキュームシリンジ41への逆流を防ぐことができる。また、制御部280は、制御弁C230の閉(OFF)、制御弁A210の開(ON)の順で弁を制御することが好ましい。
【0077】
以上のように、本実施の形態2の吸引圧制御装置は、制御部280が、圧力センサ250が検出する吸引圧が所定値より大きくなり弁を制御する回数が所定回数以上の場合、吸引管路の吸引圧が初期の吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する初期の制御モードから、吸引管路の吸引圧が初期の吸引圧より低い吸引圧となるように電空レギュレータ251を調整する低圧の制御モードに変更する(減圧制御)。これにより、本実施の形態2の吸引圧制御装置は、患者に応じた吸引圧でバキュームシリンジ41の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引することができる。
<変形例>
(1)本発明の実施の形態1,2に係る医療用装置100は、
図1に示すように診療装置本体10、スピットン2など構成されるように据え付きの装置を前提としている。しかし、ドクターが患者宅に往診する往診時においても口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引するバキューム器具が必要となる。そこで、吸着回避処理を行うことが可能な吸引圧制御装置、または吸引装置を含む往診用の医療用装置について変形例について説明する。
【0078】
図10は、本発明の変形例における医療用装置500の構成を概略的に示すブロック図である。医療用装置500は、筐体501内に、制御弁A210、リリース弁252、バキュームタンク260、バキュームモータ300を含んでいる。なお、本変形例に係る医療用装置500において、
図1~
図3に示した本発明の実施の形態1に係る医療用装置100、吸引圧制御装置、吸引装置200と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は繰り返さない。なお、医療用装置500においても、
図3で示した制御部280を筐体501内に含んでいる。
【0079】
医療用装置500は、吸引管44を介してバキュームシリンジ41を接続する吸引管路201を有している。バキュームタンク260は、容器を有し、容器の上部に吸引管路201を接続する流入口と、バキュームモータ300へと続く吸引管路204を接続するための排気口が設けられている。なお、往診用の医療用装置500に含むバキュームタンク260には、排水管路に接続するための排水口が設けられておらず、取り外して溜まった液体を排水口に捨てる必要がある。
【0080】
吸引圧パイロット管路207には、所定の圧力より大きくなると弁が開くリリース弁252が設けられている。なお、医療用装置500においても、リリース弁252の代わりに、圧力センサ250、電空レギュレータ251を設けてもよい。
【0081】
次に、
図11は、本発明の変形例における医療用装置500の動作を説明するためのタイミングチャートである。バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を開始したタイミングが、
図11に示す時刻t1のタイミングである。時刻t1では、ピックアップセンサA281がON状態、スタートSWA283がON状態、バキュームモータ300がON状態、制御弁A210を開(ON)となる。なお、医療用装置500には、
図10で図示していないがバキュームシリンジ41を保持するためのホルダが設けられており、当該ホルダにピックアップセンサA281が含まれている。
【0082】
制御部280は、
図11に示す時刻t2のタイミングでリリース弁252に加わる圧力が所定の圧力(例えば、
図4に示す閾値)より大きくなり弁が開く(ON)。制御部280は、リリース弁252が開いて吸着と判定した場合、時刻t3のタイミングでバキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を停止するため、制御弁A210を閉(OFF)にする。制御弁A210を閉(OFF)にすることで、バキュームモータ300の吸引圧が吸引管路201,203から切り離される。制御弁A210を閉じることで、患者の口腔粘膜に吸付いたバキュームシリンジ41の先端を容易に引きはがすことができる。
【0083】
時刻t3のタイミングでは、制御弁A210の閉(OFF)と制御弁C230の開(ON)とが同時に行っているように図示されているが、制御弁A210の閉(OFF)、制御弁C230の開(ON)の順で弁を制御することが好ましい。また、
図5では、時刻t2のタイミング後から時刻t3のタイミングまでに期間が設けられているが、時刻t2のタイミング後、すぐに時刻t3のタイミングを開始してもよい。
【0084】
制御部280は、バキュームシリンジ41の先端から液体等を吸引する駆動を継続する場合、
図11に示す時刻t4のタイミングで示すように制御弁A210の開(ON)の制御する。制御弁A210の開(ON)を所定時間内で行うことにより、バキュームシリンジ41への逆流を防ぐことができる。なお、変形例における医療用装置500は例示であって、本発明の実施の形態1,2に係る医療用装置100で説明した構成を医療用装置500に適宜設けることができる。往診用の医療用装置500であっても、医療用装置100のようなチェアユニットと同等の高い機能の吸着回避処理を備えるようにしてもよい。
【0085】
以上のように、本変形例の往診用の医療用装置500は、術者が往診時に携帯することが可能な筐体501と、医療用のバキューム器具40と、一方にバキューム器具40が接続された吸引管路と、吸引管路に接続され、吸引管路の吸引圧を検出する圧力センサ(例えば、リリース弁252)と、吸引管路に接続された弁と、筐体501に設けられ、吸引管路の吸引圧を生成するバキュームモータ300と、筐体501に設けられた吸引圧制御装置と、を含む。
【0086】
(2)前述の実施の形態では、制御部280が通常モードと高齢者モードとを切り替えることが可能であると説明したが、これに限定されない。例えば、子供モード、女性モードなど他の制御モードを設けてもよい。制御モード毎に、バキュームシリンジ41の吸引圧が異なるように制御してもよい。
【0087】
(3)前述の実施の形態では、同一の患者に対して吸着回避処理の処理回数が所定回数より多くなるとバキュームシリンジ41の吸引圧を減圧する処理を行うと説明した。しかし、これに限定されず、同一の患者に対して吸着回避処理の処理回数が増えるに従い、バキュームシリンジ41の吸引圧を段階的に減圧してもよい。
【0088】
(4)前述の実施の形態では、バキューム器具40の吸引圧を弁の制御で変更していたが、バキュームモータ300の駆動を制御してバキューム器具40の吸引圧を変更してもよい。
【0089】
(5)前述の実施の形態では、制御部280が、圧力センサ250から取得したセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)より大きくなったか否かでバキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いたか否かを判断すると説明したが、圧力センサ250から取得したセンサ値(吸引圧)が所定値(閾値)以上か否かでバキュームシリンジ41の先端が患者の口腔粘膜に吸付いたか否かを判断してもよい。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 診療台、2 スピットン、3 照明装置、4 照明装置用アーム、5 トレーテーブル、6 トレーテーブル用アーム、10 診療装置本体、10b ハンドピース制御ブロック、20 媒体導管、30 診療用ハンドピース、40 バキューム器具、41 バキュームシリンジ、42 サラエバシリンジ、43 表示部、44 吸引管、45 入力部、100,500 医療用装置、200 吸引装置、201,202,203,204,206 吸引管路、205 排水管路、207 吸引圧パイロット管路、250 圧力センサ、251 電空レギュレータ、252 リリース弁、260 バキュームタンク、270 バキューム洗浄タンク、280 制御部、300 バキュームモータ、501 筐体。