(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】三次元的な物体を付加的に製造する装置のための露光装置
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20220913BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20220913BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20220913BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220913BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20220913BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220913BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220913BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220913BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B22F3/16
B22F3/105
B23K26/064 K
B29C64/153
B29C64/264
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
G02B6/02 461
(21)【出願番号】P 2019228176
(22)【出願日】2019-12-18
(62)【分割の表示】P 2017251536の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2019-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】10 2017 105 057.4
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ポンティラー-シュムラ
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】宮部 裕一
【審判官】市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0263209号明細書
【文献】特開2016-43405号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B22F 3/00- 3/26
B29C 64/00-64/40
G02B 6/00- 6/54
G03F 7/00- 7/42
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元的な物体を付加的に製造するための装置用の露光装置であって、
エネルギービームをそれぞれ発生させるために設置されている複数のエネルギービーム発生装置と、
複数のファイバコアで構成される導光ファイバであって、当該複数のファイバコアのそれぞれが少なくとも1つのエネルギービームを当該導光ファイバの入射範囲から当該導光ファイバの出射範囲まで導く複数のファイバコアで構成され
、前記複数のファイバコアのそれぞれが前記複数のエネルギービーム発生装置の対応する1つに光学的に結合可能であるか、又は結合され、少なくとも1つのエネルギービームが前記複数のファイバコアのそれぞれに入射可能であるか、又は入射されている導光ファイバと、
前記複数のエネルギービーム発生装置の交互の開始と、前記複数のファイバコアに入射可能であるか、又は入射されているエネルギービームのエネルギービーム特性の規定された制御に応じて、前記複数のファイバコアのうちの少なくとも2つのファイバコアから出射したエネルギービームで構成するエネルギービームの選択された露光パターンを形成する制御装置であって、前記複数のエネルギービーム発生装置の交互の開始と前記エネルギービーム特性の前記規定された制御は、前記エネルギービームの時間及び/又は場所を規定する制御装置と、
を備え、
前記制御装置が、前記露光パターンにより、
前記導光ファイバを走査方向に移動させながら、前記複数のファイバコアのうちの1つのファイバコアから出射した第1のエネルギービームに、前記複数のファイバコアのうちの他の1つのファイバコアから出射した第2のエネルギービームを追従させることで、選択的に凝固化される構造材料層の熱的な予備処理又は前記構造材料層の熱的な後処理を行う、又は、
前記導光ファイバを前記走査方向に移動させながら、前記複数のファイバコアのうちの少なくとも3つのファイバコアに対する前記複数のエネルギービーム発生装置の交互の開始により、前記走査方向に沿った凝固化すべき前記構造材料層の所定の範囲で前記エネルギービームの照射位置を移動させることで、前記構造材料層の熱的な予備処理又は前記構造材料層の熱的な後処理を行う、又は、
前記導光ファイバを前記走査方向に移動させながら、前記複数のファイバコアのうちの中心に配置されたファイバコアからエネルギービームを出射し、前記複数のファイバコアのうちの中心からずれて配置された1つ又は2つのファイバコアであって、前記中心に配置されたファイバコアから前記走査方向に延びる線の上に配置された1つのファイバコアか又は前記線に隣接するように配置された2つのファイバコアから、エネルギービームを出射することで、前記構造材料層の熱的な予備処理及び/又は前記構造材料層の熱的な後処理を行う
露光装置。
【請求項2】
エネルギービームを、少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームに分割するように構成された少なくとも1つのエネルギービーム分割装置を備え、
前記複数のファイバコアの少なくともいくつかは、前記エネルギービーム分割装置の少なくとも1つを中間接続しつつ、間接的に前記複数のエネルギービーム発生装置の少なくとも1つに光学的に結合可能であるか、又は結合されている請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記複数のファイバコアは個別に、相対的に互いに同一又は異なるファイバコア断面幾何形状を有している請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記複数のファイバコアは個別に、前記導光ファイバの断面にわたって対称又は非対称に構成、又は配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
円形又は略円形の断面を有する導光ファイバに基づき、前記複数のファイバコアの少なくともいくつかが前記導光ファイバの中心軸線に関して異なる径方向の位置に構成、又は配置されている請求項1~4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記複数のファイバコアのいくつかが、相対的に互いに対して等距離に構成、又は配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記複数のエネルギービーム発生装置のそれぞれは、相対的に互いに異なるエネルギービーム特性を有する異なるエネルギービームをそれぞれ発生させるために設置されている請求項1~6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数のエネルギービーム発生装置の対応する1つからのエネルギービームは、前記複数のファイバコアの少なくとも2つに入射可能であるか、又は入射されている請求項1~7のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記制御装置が、前記複数のファイバコアのそれぞれに入射可能であるか、又は入射されている前記複数のエネルギービームの前記エネルギービーム特性が規定された制御によって、前記露光装置から全体として出射可能であるか、又は出射される前記エネルギービームの規定されたプロファイルを形成するように設置されている請求項1~8のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記制御装置が、前記複数のエネルギービーム発生装置の交互の開始と、前記複数のファイバコアに入射可能であるか、又は入射されている前記エネルギービームの前記エネルギービーム特性の規定された制御とによって、前記複数のファイバコアの少なくとも1つの第1のファイバコアから出射可能であるか、又は出射される第1のエネルギービームを介して、選択的な露光と、これに伴う構造材料層の選択的な凝固化とを実現するように、及び前記複数のファイバコアの少なくとも1つの別のファイバコアから出射可能であるか、又は出射される1つ以上の別のエネルギービームを介して、選択的に凝固化されるべき構造材料層の少なくとも部分的な熱的な予備処理及び/又は選択的に凝固化された構造材料層の少なくとも部分的な熱的な後処理を実現するように設置されている請求項1~9のいずれか1項に記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元的な物体を付加的に製造するための装置用の露光装置であって、エネルギービームを発生させるために設置されている少なくとも1つのエネルギービーム発生装置と、エネルギービーム発生装置に光学的に結合可能であるか、又は結合される少なくとも1つの導光ファイバであって、当該導光ファイバへ入射する少なくとも1つのエネルギービームを当該導光ファイバの入射範囲と当該導光ファイバの出射範囲の間で導くために設置された導光ファイバとを含む、前記露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元的な物体を付加的に製造するための装置は、公知のように、エネルギービーム発生装置と、このエネルギービーム発生装置に光学的に結合された導光ファイバとを含む露光装置を含んでいる。エネルギービーム発生装置は、エネルギービームを発生させるために設置されており、導光ファイバは、この導光ファイバに入射する少なくとも1つのエネルギービームを導光ファイバの入射範囲と導光ファイバの出射範囲の間で導くように設置されている。
【0003】
適当な装置が特に部材品質、プロセス品質、効率、生産性などのような態様に関して恒常的に進歩され、改善されることも同様に知られている。このとき、適当な装置の各露光装置の構成、すなわち特に適当な導光ファイバの構成もますます重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎をなす課題は、特に三次元的な物体を付加的に製造するための装置の部材品質、プロセス品質、効率、生産性の改善に関して、三次元的な物体を付加的に製造するための装置用の改善された露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1による三次元的な物体を付加的に製造するための装置用の露光装置によって解決される。これに従属する請求項は、露光装置の可能な実施形態に関するものである。また、上記課題は、請求項15による、少なくとも1つの適当な露光装置を含む三次元的な物体を付加的に製造するための装置によって達成される。
【0006】
ここに記載された露光装置は、三次元的な物体を付加的に製造するための装置(「装置」)の典型的な構成部材である。適当な装置を用いて、製造されるべき三次元的な物体が、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る、製造されるべき物体の層に関連する断面に対応する範囲における構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とにより、付加的に構成されることが可能である。適当な装置は、例えばSLM装置として、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行する装置として、又はSLS装置として、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行する装置として形成されることが可能である。適当な装置がSEBS装置として、すなわち選択的電子ビーム溶融法(selektiver Elektronenstrahlschmelzverfahren)(SEBS法)を実行するための装置として形成されることも考えられる。
【0007】
適当な装置は、付加的な構造工程の実行に典型的に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料、すなわち例えばセラミック粉体、合成樹脂粉体又は金属粉体から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とがなされる装置の構造平面において選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化されるべき構造材料層を形成するために設置された積層装置のほかに、一般的に装置の構造平面において選択的に凝固化されるべき構造材料層の選択的な露光のために設置されている適当な露光装置も含まれる。
【0008】
露光装置は、本質的な構成部材として、少なくとも1つのエネルギービーム発生装置と、エネルギービーム発生装置に光学的に結合可能であるか、又は結合された少なくとも1つの導光ファイバとを含んでいる。エネルギービーム発生装置は、ここでは典型的にはレーザビームであるエネルギービームを発生させるために設置されている。導光ファイバは、この導光ファイバに入射する少なくとも1つのエネルギービームを導光ファイバの入射範囲と導光ファイバの出射範囲の間で送るために設置されている。導光ファイバとのエネルギービーム発生装置の光学的な結合により、導光ファイバへの、エネルギービーム発生装置によって発生されるエネルギービーム、すなわち特にエネルギービーム発生装置によって発生されるエネルギービームの入射が可能となる。さらに、導光ファイバは、ビーム偏向装置(スキャナ装置)に結合されることも可能である。したがって、導光ファイバは、エネルギービーム発生装置と、場合によっては同様に露光装置の構成部材であるビーム偏向装置との間へ接続して配置されるか、又は形成されることが可能である。
【0009】
導光ファイバは、複数のファイバコアを含んでおり、各ファイバコアには、少なくとも1つのエネルギービームが入射可能であるか、又は入射している。この点では、導光ファイバは、マルチコアファイバと呼ばれることができるか、又はみなされることができる。各ファイバコアは、導光性の材料、すなわち例えばガラスファイバ材料で形成されているとともに、したがって導光性の特性を有している。したがって、各ファイバコアは、導光ファイバ(内)の個別の導光要素と呼ばれることができるか、又はみなされることができる。各ファイバコアはファイバコア入射範囲及びファイバコア出射範囲を含んでおり、ファイバコア入射範囲を介してエネルギービームが各ファイバコアへ入射可能であるか、あるいは入射し、ファイバコア出射範囲を介して、各ファイバコアに入射するエネルギービームが各ファイバコアから出射可能であるか、あるいは出射している。各ファイバコア入射範囲は、典型的には導光ファイバの入射範囲の一部を形成し、各ファイバコア出射範囲は、典型的には導光ファイバの出射範囲の一部を形成している。
【0010】
導光ファイバは、典型的には、ケーブル型の、あるいはケーブル状の、すなわち全般的に長い幾何学的な形状を有している。各ファイバコアは、典型的にはファイバ型の、あるいはファイバ状の、すなわち全般的に長い幾何学的な形状を有している。ファイバコアの各断面形状は典型的には導光ファイバの断面形状よりもはるかに小さいため、ファイバコアは、導光ファイバの内部に容易に配置あるいは形成されることが可能である。導光ファイバの内部におけるファイバコアの(位置安定的な)配置は、例えば導光ファイバを形成する導光材料、すなわち例えば合成樹脂材料へのファイバコアの埋入によって実現されることが可能である。
【0011】
複数の個別のファイバコアを有する導光ファイバの形成により、後述のように、場合によっては少なくとも1つのエネルギービームパラメータ、すなわち例えば強度に関して異なる複数のエネルギービームを導光ファイバへ入射させるか、あるいは導光ファイバあるいは露光装置から場合によっては少なくともエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームを出射させることが可能である。このようにして、1つ又は同一の導光ファイバによって、全体的に露光装置から出射可能あるいは出射するエネルギービームの変更可能な、あるいは可変のプロファイルを実現することが可能である。このことにより、一般的に、エネルギービーム発生装置を介して導光ファイバに入射するエネルギービームの目的をもった、及び効果的な利用が可能となる。特に、後述のように、例えば選択的に凝固化されるか、あるいは選択的に凝固化された構造材料層の目的をもった予備処理及び/又は後処理と、所定のビームプロファイルの目的をもった発生とが可能となっている。これにより露光装置が改善され、この改善は、特に、この露光装置が、この露光装置を備えた装置の改善された部材品質、プロセス品質、効率、生産性を可能とすることにより生じるものである。複数のエネルギービームの導光ファイバからの出射の、複数のファイバコアによって与えられた可能性により、露光装置は、更により大きな構造レート(Bauraten)を可能にする。このとき、ファイバコアから出射可能なエネルギービームの最大の数が、ファイバコアの数に対応している。
【0012】
基本的には、少なくとも1つのエネルギービーム発生装置との少なくとも1つの導光ファイバの結合に関して2つの可能な変形例(Variante)が存在し、少なくとも1つの導光ファイバは、直接、又は間接的に、すなわち少なくとも1つの部材あるいは少なくとも1つの部材群を中間接続しつつ、少なくとも1つのエネルギービーム発生装置と結合可能であり得るか、又は結合されていることが可能である。
【0013】
導光ファイバが直接エネルギービーム発生装置と光学的に結合可能であるか、又は結合されている変形例は、導光ファイバを複数のエネルギービーム発生装置に光学的に結合する可能性も含んでおり、導光ファイバの各ファイバコアが所定のエネルギービーム発生装置に光学的に結合可能であるか、あるいは結合されている。したがって、各ファイバコアには、このファイバコアに光学的に結合可能であるか、又は結合されたエネルギービーム発生装置から出るエネルギービームが入射可能であり得るか、あるいは入射可能である。
【0014】
各エネルギービーム発生装置によって発生される各エネルギービームは、少なくとも1つのエネルギービームパラメータ、すなわち例えば強度において異なることが可能である。このようにして、場合によっては少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームを導光ファイバへ入射させること、あるいは場合によっては少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームを導光ファイバから出射させることが可能である。導光ファイバに光学的に結合可能であるか、あるいは結合された各エネルギービーム発生装置は、各エネルギービーム発生装置を介してエネルギービームが所定のエネルギービーム特性をもって導光ファイバへ入射可能であるように、特にエネルギービーム発生装置を介してそれぞれ発生されるエネルギービームのビーム特性に関して個々に、あるいは個別に形成されることが可能である。
【0015】
導光ファイバが間接的にエネルギービーム発生装置と光学的に結合可能であるか、あるいは結合されている変形例は、導光ファイバが、エネルギービーム分割装置に入射するエネルギービームを複数のエネルギービームへ分割するために設置されている少なくとも1つのエネルギービーム分割装置(Energiestrahlaufteilungseinrichtung)を中間接続しつつ少なくとも1つのエネルギービーム発生装置に光学的に結合可能であるか、又は結合されているという可能性を含んでいる。エネルギービーム分割装置は、典型的には、特に光学的な少なくとも1つのエネルギービーム分割要素を含んでいる。適当なエネルギービーム分割要素は、例えば光学的なビームスプリッタ(キューブ)であり得る。このとき、導光ファイバの各ファイバコアは、エネルギービーム4が出射可能であるか、又は出射されるエネルギービーム分割装置の出射範囲と光学的に結合されることができ、各ファイバコアには、このファイバコアと結合可能であるか、あるいは結合されたエネルギービーム分割装置の出射範囲から出射するエネルギービームが入射可能であるか、又は入射されている。
【0016】
エネルギービーム分割装置は、エネルギービームを少なくとも1つのエネルギービームパラメータ、場合によっては上述のように例えば強度に関して異なる複数のエネルギービームに分割するように設置されることが可能である。このようにして、(1つのエネルギービーム発生装置によっても、)場合によって場少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームを導光ファイバへ入射させるか、あるいは少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービームを導光ファイバあるいは露光装置から出射させることが可能である。エネルギービーム分割装置は、例えばエネルギービーム分割面の適当なコーティング(Beschichtung)によって、このエネルギービーム分割面を介して原理的に異なるエネルギービームが導光ファイバへ入射可能であるように形成されることが可能である。
【0017】
上述の実施に基づき、異なるエネルギービーム、すなわち異なるエネルギービーム特性のエネルギービームが導光ファイバの少なくとも2つのファイバコアに入射可能であり得るか、又は入射可能であることが得られる。例えば第1のエネルギービーム特性、特に第1の強度を有する1つ又は複数のエネルギービームが第1のファイバコアあるいは第1のファイバコアの群に入射されることが可能であり、第1のエネルギービーム特性、特に第1の強度とは異なる強度の、第1のエネルギービーム特性とは異なるエネルギービーム特性を有する1つ又は複数のエネルギービームが少なくとも1つの別のファイバコアあるいは別のファイバコアの群に入射されることが可能である。
【0018】
導光ファイバの各ファイバコアへの各エネルギービームの直接的な入射か、又は間接的な入射かにかかわらず、ファイバコアは、同一の、又は異なるファイバコア幾何形状、特にファイバコア断面幾何形状を有することができる。したがって、各ファイバコアを介して出射可能であるか、又は出射されるエネルギービームは、同一の、又は異なるエネルギービーム幾何形状、特にエネルギービーム直径(スポット)あるいはエネルギービーム断面を有し得る。異なるファイバコア幾何形状のファイバコアを設けることによっても、(全体として)導光ファイバから出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービームの特性に目的をもって影響を与えることが可能である。
【0019】
ファイバコアは、対称又は非対称に、特に円形あるいは略円形、すなわち例えばだ円の導光ファイバの断面にわたって分配して配置されることが可能である。特に、円形あるいは略円形の断面を有する導光ファイバの実施形態について、導光ファイバの(対称軸線あるいは中心軸線に関して)中央における少なくとも1つの第1のファイバコアの配置と、導光ファイバの中央の外部における別のファイバコアの配置とが考えられる。したがって、円形あるいは略円形の断面を有する導光ファイバに基づき、ファイバコアが、導光ファイバの対称軸線あるいは中心軸線に関して異なる径方向の位置において配置されることが可能である。例えば、第1の数のファイバコア、すなわち少なくとも1つのファイバコアは、中心に、すなわち導光ファイバの対称軸線あるいは中心軸線において、あるいは対称軸線あるいは中心軸線の範囲に配置されることができ、第2の数のファイバコア、すなわち特に複数のファイバコアは、第1の数のファイバコアの周囲に特に対称に分配されて配置されることが可能である。場合によっては異なるファイバコア幾何形状のファイバコアのこのような配置によっても、(全体として)導光ファイバから出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービームの特性に目的をもって影響を与えることが可能である。
【0020】
導光ファイバの対称軸線あるいは中心軸線に対して相対的なファイバコアの各配置にかかわらず、ファイバコアは、互いに対して相対的に等距離に分配されて配置され得る。これにより、ファイバコアの、それぞれ直接隣り合って配置されたファイバコアに対する間隔は同一であり得る。これに合わせて、各ファイバコアから出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービームあるいはスポットの間隔も同一であり、このことは、全体的に露光装置から出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービームの均一な特性、したがって露光装置の均一な放射という結果となる。同様に、断面にわたって、露光装置からのエネルギービームの平面的な出射が可能となっている。
【0021】
上述のように、エネルギービームが個々に、あるいは異なるエネルギービーム特性、特に異なる強度のエネルギービームが個々に導光ファイバのファイバコアへ入射されることが可能である。このために、露光装置は、ハードウェアにより、及び/又はソフトウェアにより実行され、エネルギービームを制御するために、あるいは導光ファイバのファイバコアに入射可能であるか、あるいは入射するエネルギービーム特性を制御するために設置されている制御装置を含んでいるか、あるいは適当な制御装置が露光装置に割り当てられることが可能である。制御装置は、エネルギービームあるいはエネルギービーム発生装置から出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービームのエネルギービーム特性を制御するために、特に露光装置のエネルギービーム発生装置と制御技術的に協働する。
【0022】
制御装置17は、例えば、規定された、特に場所的な、及び/又は時間的な、エネルギービームあるいはファイバコアへ入射可能であるか、あるいは入射するエネルギービームのエネルギービーム特性、特に強度の制御によって、規定された、露光装置から全体として出射可能であるか、又は出射されるエネルギービーム4のプロファイル、特に強度プロファイルを形成するように設置されることが可能である。このようにして、すなわち特にファイバコアへ入射可能であるか、又は入射するエネルギービームの強度の個々の制御によって、原理的に(ほぼ)適宜のプロファイル(「ビーム形状(Beam-Shaping)」)を発生させることができるとともに導光ファイバから出射させることが可能であり、その結果、例示的にのみガウスプロファイル、逆ガウスプロファイル、トップハットプロファイルが言及される。
【0023】
また、制御装置は、規定された、特に場所的な、及び/又は時間的な、エネルギービームあるいはファイバコアへ入射可能であるか、又は入射するエネルギービームのエネルギービーム特性の制御によって、露光装置から全体として出射可能であるか、又は出射されるエネルギービームの所定の露光パターンを形成するように設置されることが可能である。このようにして、原理的に(ほぼ)適宜な露光パターンを発生させることが可能である。適当な露光パターンは、所定の露光ストラテジの実現、すなわち例えばいわゆる、第2のエネルギービームが第1のエネルギービームに追従され、選択的に凝固化された構造材料層の熱的な後処理を可能とするチェイスストラテジ(Chase-Strategie)の実現又はエネルギービームが構造材料層における露光されるべき所定の範囲の周囲で移動するウォブルストラテジ(Wobble-Strategie)の実現を基礎とすることが可能である。適当な露光パターンあるいは露光ストラテジによって、一般的に、構造材料層の所定の露光されるべき範囲の1つ又は複数の露光も実現されることが可能である。
【0024】
導光ファイバによって、選択的に凝固化されるべき、あるいは選択的に凝固化された構造材料層の熱的な予備処理及び/又は後処理を実現できることが既に言及された。このために、制御装置は、エネルギービームあるいは導光ファイバのファイバコアへ入射可能であるか、又は入射するエネルギービームのエネルギービーム特性の規定された制御によって、少なくとも1つの第1のファイバコアから出射可能であるか、又は出射される少なくとも1つのエネルギービームを介して選択的な露光と、これに伴う構造材料層の選択的な凝固化とを実現するとともに、少なくとも1つの別のファイバコアから出射可能であるか、又は出射される別のエネルギービームを介して、選択的に凝固化されるべき構造材料層の少なくとも部分的な熱的な予備処理及び/又は選択的に凝固化された構造材料層の少なくとも部分的な熱的な後処理を実現するように設置され得る。選択的な露光と、これに伴う構造材料層の選択的な凝固化とのためのエネルギービームは、例えば、導光ファイバ8の断面幾何形状に関して中央に、あるいは中心に配置された少なくとも1つのファイバコアから出射されており、選択的に凝固化されるべき構造材料層の熱的な予備処理のための、あるいは選択的に凝固化された構造材料層の熱的な後処理のためのエネルギービームは、導光ファイバの断面幾何形状に関して中央からずれて、あるいは中心からずれて配置されたファイバコアから出射されることができる。
【0025】
本発明は、露光装置のほかに、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによる、三次元的な物体を付加的に製造するための装置に関するものである。この装置は少なくとも1つの上述の露光装置を含んでいるため、露光装置に関連する全ての実施は、同様に装置にも当てはまる。この装置は、特にSLM装置、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置、又は特にSLS装置、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行するための装置であり得る。原理的には、装置がSEBS装置、すなわち選択的電子ビーム溶融法(selektiver Elektronenstrahlschmelzverfahren)(SEBS法)を実行するための装置であることも考えられる。
【0026】
本発明を、図面における実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】概略的な図示において、一実施例による装置の原理を示す図である。
【
図2】概略的な図示において、一実施例による装置の原理を示す図である。
【
図3】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【
図4】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【
図5】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【
図6】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【
図7】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【
図8】断面において、一実施例による導光ファイバの原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び
図2には、それぞれ一実施例による装置の原理図が概略的な図で示されている。
【0029】
図1及び
図2に示された装置1は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム4、すなわち特にレーザビームを用いて、凝固化可能な構造材料3、すなわち例えば金属粉体から成る構造材料層の凝固化とによる、三次元的な物体2、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的な部材群を付加的に製造するために用いられる。それぞれ凝固化されるべき構造材料層の選択的な凝固化は、物体に関する構造データを基礎として行われる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体2の幾何学的-構造上の形状を示すものであり、例えば製造されるべき物体2の「スライスされた」CADデータを含むことが可能である。装置1は、例えばLaser-CUSING(登録商標)装置として、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置として形成されることができる。
【0030】
装置1は付加的な構造工程の実行に必要な機能構成要素を含んでいる。
図1及び
図2には、例えばそれぞれ1つの積層装置5及び露光装置6が示されている。
【0031】
積層装置5は、選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化される構造材料層を装置1の構造平面E内において形成するために設置されており、このために、各二重矢印P1によって示唆されているように、装置1の構造平面Eに対して相対的に可動に支持された、特にブレード型あるいはブレード状の積層要素(不図示)を含んでいる。
【0032】
露光装置6は、装置1の構造平面E内での選択的に凝固化されるべき選択的な露光のために設置されており、このために、少なくとも1つのエネルギービーム発生装置7と、この少なくとも1つのエネルギービーム発生装置7に光学的に結合された導光ファイバ8と、この導光ファイバ8に光学的に結合された焦点調整装置9(選択的)と、焦点調整装置9に光学的に結合されたビーム偏向装置10(スキャナ装置)とを含んでいる。各エネルギービーム発生装置7はエネルギービーム4を発生させるために設置されており、導光ファイバ8は、エネルギービーム発生装置7からこれに入射するエネルギービーム4を導光ファイバ8の入射範囲8aと出射範囲8bの間で導くために設置されており、焦点調整装置9はこれに入射するエネルギービーム4の焦点調整のために設置されており、ビーム偏向装置10は、これに入射するエネルギービーム4を選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化されるべき構造材料層の露光されるべき範囲へ偏向させるために設置されている。
図1及び
図2において概略的に線で結合されていても、露光装置6の上述の構成部材は、典型的には互いに直接結合されている。
【0033】
また、
図1及び
図2には、配量モジュール11、構造モジュール12及びオーバーフローモジュール13が図示されており、これらモジュールは、装置1の不活性化可能なプロセスチャンバ14の下方の範囲へドッキング(angedockt)されている。上記モジュール11,12,13は、装置1のプロセスチャンバ14の下方の範囲も形成することが可能である。
【0034】
図1には複数のエネルギー発生装置7が明らかに示され、
図2には(唯一の)エネルギー発生装置7が明らかに示されており、各エネルギービーム発生装置7の導光ファイバ8との光学的な結合により、各エネルギー発生装置7により発生されるエネルギービーム4の導光ファイバ8への入射が可能となる。
【0035】
導光ファイバ8は、複数の、すなわち
図1及び
図2では例示的に3つのファイバコア15.1~15.3を含み、そのほかの図では例示的に7つのファイバコア15.1~15.7を含んでおり、各ファイバコア15には、少なくとも1つのエネルギービーム4が入射可能であるか、又は入射している。この点では、導光ファイバ8は、マルチコアファイバと呼ぶことができる。各ファイバコア15は、導光性の材料、すなわち例えばガラスファイバ材料で形成されているとともに、したがって導光性の特性を有している。したがって、各ファイバコア15は、導光ファイバ8(内)の個別の導光要素とみなされることができる。各ファイバコア15はファイバコア入射範囲(不図示)及びファイバコア出射範囲を含んでおり、ファイバコア入射範囲を介してエネルギービーム4が各ファイバコア15へ入射可能であるか、あるいは入射し、ファイバコア出射範囲を介して、各ファイバコア15に入射するエネルギービーム4が各ファイバコア15から出射可能であるか、あるいは出射している。各ファイバコア入射範囲は、導光ファイバ8の入射範囲8aあるいはその一部を形成し、各ファイバコア出射範囲は、導光ファイバ8の出射範囲8bあるいはその一部を形成している。
【0036】
導光ファイバ8は、ケーブル型の、あるいはケーブル状の、すなわち全般的に長い幾何学的な形状を有している。各ファイバコア15は、ファイバ型の、あるいはファイバ状の、すなわち全般的に長い幾何学的な形状を有している。ファイバコア15の各断面形状は導光ファイバ8の断面形状よりもはるかに小さいため、ファイバコア15は、導光ファイバ8の内部に容易に配置あるいは形成されることが可能である。
【0037】
複数の個別のファイバコア15を有する導光ファイバ8の形成により、複数のエネルギービーム4を導光ファイバ8へ入射させるか、あるいは導光ファイバ8から、したがって露光装置6から複数のエネルギービーム4を出射させることが可能である。このようにして、1つ又は同一の導光ファイバ8によって、全体的に露光装置6から出射可能あるいは出射するエネルギービームの変更可能な、あるいは可変のプロファイルを実現することが可能である。
【0038】
基本的には、適当なエネルギービーム発生装置7との導光ファイバ8の結合に関して2つの可能な変形例(Variante)が存在し、導光ファイバ8は、
図1に示されているように直接、又は
図2に示されているように間接的に、エネルギービーム発生装置7と結合可能であり得るか、又は結合されていることが可能である。
【0039】
図1に示されているように、導光ファイバ8が直接エネルギービーム発生装置7と光学的に結合されている変形例は、導光ファイバ8を複数のエネルギービーム発生装置7に光学的に結合する可能性を含んでいる。このとき、導光ファイバ8の各ファイバコア15が所定のエネルギービーム発生装置7に光学的に結合されていることが分かる。したがって、各ファイバコア15には、このファイバコアに光学的に結合されたエネルギービーム発生装置7から出るエネルギービーム4が入射している。
【0040】
各エネルギービーム発生装置7によって発生される各エネルギービーム4は、少なくとも1つのエネルギービームパラメータ、すなわち例えば強度において異なっている。したがって、場合によっては少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービーム4を導光ファイバ8へ入射させること、あるいは場合によっては少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービーム4を導光ファイバ8から出射させることが可能である。したがって、導光ファイバ8に光学的に結合されたエネルギービーム発生装置7は、各エネルギービーム発生装置7を介してエネルギービーム4が所定のエネルギービーム特性をもって導光ファイバ8へ入射可能であるように、特にエネルギービーム発生装置を介してそれぞれ発生されるエネルギービーム4のビーム特性に関して個々に、あるいは個別に形成されることが可能である。
【0041】
導光ファイバ8が間接的にエネルギービーム発生装置7と光学的に結合されている変形例は、導光ファイバ8がエネルギービーム分割装置(Energiestrahlaufteilungseinrichtung)16を中間接続しつつエネルギービーム発生装置7に光学的に結合されているという
図2に示された可能性を含んでいる。エネルギービーム分割装置16は、このエネルギービーム分割装置に入射するエネルギービーム4を複数のエネルギービーム4へ分割するために設置されているとともに、このために、特に光学的な、例えば光学的なビームスプリッタ(キューブ)であり得るエネルギービーム分割要素(不図示)を含んでいる。このとき、導光ファイバ8の各ファイバコア15は、エネルギービーム4が出射可能であるか、又は出射されるエネルギービーム分割装置16の出射範囲(不図示)と光学的に結合されている。したがって、各ファイバコア15には、このファイバコアと結合されたエネルギービーム分割装置16の出射範囲から出射可能なエネルギービーム4が入射されている。
【0042】
エネルギービーム分割装置16は、エネルギービーム4を少なくとも1つのエネルギービームパラメータ、上述のように例えば強度に関して異なる複数のエネルギービーム4に分割するように設置されることが可能である。このようにして、
図2に示されているように、1つのエネルギービーム発生装置7によっても、少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービーム4を導光ファイバ8へ入射させるか、あるいは少なくとも1つのエネルギービームパラメータに関して異なる複数のエネルギービーム4を導光ファイバ8あるいは露光装置6から出射させることが可能である。エネルギービーム分割装置16は、例えばエネルギービーム分割面の適当なコーティング(Beschichtung)によって、このエネルギービーム分割面を介して原理的に異なるエネルギービーム4が導光ファイバ8へ入射可能であるように形成されることが可能である。
【0043】
したがって、異なるエネルギービーム4、すなわち異なるエネルギービーム特性のエネルギービーム4が導光ファイバ8の少なくとも2つのファイバコア15に入射可能であり得る。例えば第1のエネルギービーム特性、特に第1の強度を有するエネルギービーム4が第1のファイバコア15に入射されることが可能であり、特に第1の強度とは異なる強度の、第1のエネルギービーム特性とは異なるエネルギービーム特性を有するエネルギービーム4が少なくとも1つの別のファイバコア15に入射されることが可能である。
【0044】
図3~
図8には、それぞれ一実施例による導光ファイバ8の原理図が断面において示されている。上述のように、
図3~
図8に示された導光ファイバ8は、例示的に7つのファイバコア15(15.1~15.7)を備えている。
図3~
図8では、それぞれ(斜線で)埋められて示されたファイバコア15が、これらファイバコアからエネルギービーム4が出射される状態において図示されており、それぞれ(斜線で)埋められずに示されたファイバコア15が、これらファイバコアからエネルギービーム4が出射されない状態において図示されていることに留意すべきである。さらに、矢印P2によって、それぞれ全体として露光装置6から出射されるエネルギービームの偏向装置あるいはスキャン装置が図示されていることに留意すべきである。
【0045】
図3~
図8に基づき、導光ファイバ8のファイバコア15が同一のファイバコア(断面)幾何形状を有することができることが分かる。したがって、各ファイバコア15を介して出射されるエネルギービーム4は、同一のエネルギービーム幾何形状、特にエネルギービーム直径(スポット)あるいはエネルギービーム断面を有し得る。しかしながら、原理的には、導光ファイバ8のファイバコア15は、異なるファイバコア(断面)幾何形状を有し得ることも可能であり、したがって、各ファイバコア15を介して出射されるエネルギービーム4は、異なるエネルギービーム幾何形状、特にエネルギービーム直径(スポット)あるいはエネルギービーム断面を有し得る。
【0046】
図3~
図8に基づき、ファイバコア15がここでは例示的に円形の導光ファイバ8の断面にわたって対称に分配して配置されることが可能であることが更に分かる。
図3~
図8には、それぞれ、導光ファイバ8の(対称軸線あるいは中心軸線に関して)中央における第1のファイバコア15.1の配置と、導光ファイバ8の中央の外部における別のファイバコア15.2~15.7の配置とを有する円形の断面を有する導光ファイバ8の一実施例が示されている。したがって、ファイバコア15.1及び15.2~15.7は、導光ファイバ8の対称軸線あるいは中心軸線に関して異なる径方向の位置において配置されている。第1のファイバコア15.1は、中心に、すなわち導光ファイバ8の対称軸線あるいは中心軸線において、あるいは対称軸線あるいは中心軸線の範囲に配置されており、その他のファイバコア15.2~15.7は、ファイバコア15.1の周囲に対称に分配されて配置されている。
【0047】
さらに、
図3~
図8に基づき、ファイバコア15.1~15.7が互いに対して相対的に等距離に分配されて配置され得ることが分かる。ファイバコア15.1~15.7の、それぞれ直接隣り合って配置されたファイバコア15.1~15.7に対する間隔は、
図3~
図8において同一である。具体的には、ファイバコア15.1~15.7は、互いに対して相対的に例えば約200μmの間隔で配置されることが可能である。
【0048】
上述のように、エネルギービーム4が個々に、あるいは異なるエネルギービーム特性、すなわち例えば異なる強度のエネルギービーム4が個々に導光ファイバ8のファイバコア15.1~15.7へ入射されることが可能である。このために、露光装置6あるいは装置1は、ハードウェアにより、及び/又はソフトウェアにより実行される制御装置17を含んでおり、この制御装置は、入射するエネルギービーム4を制御するために、あるいは導光ファイバ8のファイバコア15.1~15.7に入射可能であるか、あるいは入射するエネルギービーム特性を制御するために設置されている。
図1及び
図2に示された制御装置17は、エネルギービーム4あるいはエネルギービーム発生装置から出射可能であるか、あるいは出射されるエネルギービーム4のエネルギービーム特性を制御するために、特に露光装置6のエネルギービーム発生装置7と制御技術的に協働する。
【0049】
制御装置17は、規定された、特に場所的な、及び/又は時間的な、エネルギービーム4あるいはファイバコア15.1~15.7へ入射するエネルギービーム4のエネルギービーム特性、特に強度の制御によって、規定された、露光装置6から全体として出射可能であるか、又は出射されるエネルギービーム4のプロファイル、特に強度プロファイルを形成するように設置されることが可能である。このようにして、すなわち特にファイバコア15.1~15.7へ入射するエネルギービーム4の強度の個々の制御によって、様々なプロファイル(「ビーム形状(Beam-Shaping)」)を発生させることができるとともに導光ファイバ8から出射させることが可能であり、その結果、例示的にのみガウスプロファイル、逆ガウスプロファイル、トップハットプロファイルが言及される。
【0050】
また、制御装置17は、規定された、特に場所的な、及び/又は時間的な、エネルギービーム4あるいはファイバコア15.1~15.7へ入射するエネルギービーム4のエネルギービーム特性、特に強度の制御によって、露光装置6から全体として出射可能であるか、又は出射されるエネルギービームの所定の露光パターンを形成するように設置されることが可能である。このようにして、様々な露光パターンを発生させることが可能である。適当な露光パターンは、所定の露光ストラテジの実現、すなわち例えばいわゆる、第2のエネルギービーム4が第1のエネルギービーム4に追従されるチェイスストラテジ(Chase-Strategie)の実現又はエネルギービーム4が構造材料層における露光されるべき所定の範囲の周囲で移動するウォブルストラテジ(Wobble-Strategie)の実現を基礎とすることが可能である。適当な露光ストラテジを用いて、選択的に凝固化されるべき構造材料層の例えば熱的な予備処理あるいは選択的に凝固化された構造材料層の熱的な後処理(Nachbehandlung)を実現することが可能である。
【0051】
図4には、例えばチェイスストラテジの実現が示唆されている。なぜなら、ファイバコア15.7から出射されるエネルギービーム4がファイバコア15.1から出射されるエネルギービーム4に追従するためである。チェイスストラテジを用いて、選択的に凝固化された構造材料層の熱的な後処理を実現することが可能である。
【0052】
図6には、ウォブルストラテジの実現が示唆されている。なぜなら、ファイバコア15.1,15.3,15.5から出射したエネルギービーム4がファイバコア15.1,15.3,15.5に結合されたエネルギービーム発生装置7の例えば交互の開始によって、露光されるべき所定の範囲の周囲で移動可能であるためである。
【0053】
一般に、適当な露光パターンあるいは露光ストラテジを介して、露光されるべき所定の範囲の1つ又は複数の露光も実現することが可能である。
【0054】
図5、
図7、
図8に基づき、制御装置17は、エネルギービーム4あるいは導光ファイバ8のファイバコア15.1~15.7へ入射するエネルギービーム4のエネルギービーム特性の所定の制御によって、少なくとも1つの第1のファイバコア15.1から出射される少なくとも1つのエネルギービーム4を介して選択的な露光と、これに伴う構造材料層の選択的な凝固化とを実現するとともに、少なくとも1つの別のファイバコア15.3,15.4,15.6,15.7から出射される別のエネルギービーム4を介して、選択的に凝固化されるべき構造材料層の少なくとも部分的な熱的な予備処理及び/又は選択的に凝固化された構造材料層の少なくとも部分的な熱的な後処理を実現するように設置され得ることが分かる。選択的な露光と、これに伴う構造材料層の選択的な凝固化とのためのエネルギービーム4は、
図5、
図7、
図8においては、導光ファイバ8の断面幾何形状に関して中央に、あるいは中心に配置されたファイバコア15.1から出射されており、選択的に凝固化されるべき構造材料層の熱的な予備処理のための、あるいは選択的に凝固化された構造材料層の熱的な後処理のためのエネルギービーム4は、
図5、
図7、
図8において、導光ファイバ8の断面幾何形状に関して中央からずれて、あるいは中心からずれて配置されたファイバコア15.3,15.4,15.6,15.7から出射されている。具体的には、
図5は熱的な後処理を示しており、これは、スキャン装置に対して相対的なファイバコア15.1,15.6,15.7の配置(矢印P2参照)から得られる。
図7、
図8はそれぞれ熱的な予備処理を示しており、これは、スキャン装置に対して相対的なファイバコア15.1,15.3,15.4の配置(矢印P2)から得られる。