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特許71407512-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン誘導体及び使用方法
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  • 特許-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン誘導体及び使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン誘導体及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/10 20060101AFI20220913BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20220913BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C07D417/10 CSP
A61P29/00
A61P37/06
A61P11/00
A61P13/12
A61P11/02
A61P25/00
A61P1/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/00
A61P15/00
A61K31/4375
C07D471/04 106C
C07D471/04 108X
A61K31/427
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019510816
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2017071264
(87)【国際公開番号】W WO2018037059
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】62/379,192
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】クロウフォード,ジェームズ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コレスニコフ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】フェン,チェンウェン・エイ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/025025(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/025026(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/044267(WO,A1)
【文献】特表2016-517859(JP,A)
【文献】特表2011-525915(JP,A)
【文献】特表2014-508183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A):
【化1】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩
(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
は、NR、N、S、CR又はCHRであり;
は、NR、N、O、S、CR又はCHRであり;
は、N又はCであり;
ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NR又はNである、(ii)Aは、NR又はNである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの2個以下に当てはまり;
各Rは、独立して、H、ハロゲン、-NR、-NHC(O)NR、-NHS(O)-C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されており;Rの前記C-Cシクロアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されており;Rの前記C-Cアルコキシは、場合によりF、OH、CN又はSHによって置換されており;そして、Rの前記3~11員のヘテロシクリルは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されており;
各Rは、独立して、H、NR、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されているか;又は
及びRは、これらが結合している原子と共に、C-Cシクロアルキル、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される環式基を形成し、前記環式基は、場合によりRによって置換されており;
各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;
は、C-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルであり、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、独立して、場合によりハロゲン、OH又はC-Cアルコキシによって置換されており;
各Rは、独立して、F、Cl、OCH、CH及びCFからなる群から選択され;
nは、0又は1であり;
は、H、及び場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルキル、C(O)R、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C-Cアルキル、-(X0-1-C-C10シクロアルキル、-O-C-C10シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X0-1-C-C10シクロアルキル、-C(=O)(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、-(X0-1-C(=Y)H、-(X0-1-C(=NOH)R1a、-(X0-1-C(=NOR1b)R1a、-(X0-1-NHC(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-NHC(=Y)NH、-(X0-1-NHC(=Y)N(R1b)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)NH、-(X0-1-OC(=Y)R1a、-(X0-1-OC(=Y)H、-(X0-1-OC(=Y)OR1a、-(X0-1-OP(=Y)(OR1a)(OR1b)、-(X)-SC(=Y)OR1a及び-(X)-SC(=Y)N(R1a)(R1b)からなる群から選択され;Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、(C-Cシクロアルキレン)C-Cアルキル、3~11員のヘテロシクリル、(3~11員のヘテロシクリレン)C-Cアルキル、フェニル及び(C-C10アリーレン)C-Cアルキルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、これらが結合している窒素と共に、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリルを形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、独立して、ハロゲン、CN、NO、SF、OH、NH、-N(C-Cアルキル)、-NH(C-Cアルキル)、オキソ、C-Cアルキル、-(C-Cアルキニレン)-(3~11員のヘテロシクリル(前記ヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されている))、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、C-Cシクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル、-C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)OC-Cアルキル、-C(=O)OH、-N(H)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(H)C(=O)OC-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)C(=O)OC-C(ハロ)アルキル、-S(O)1-2-Cアルキル、-N(H)S(O)1-2-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)S(O)1-2-Cアルキル、-S(O)0-1N(H)(C-Cアルキル)、-S(O)0-1N(C-Cアルキル)、-S(O)0-1NH、-C(=O)C-Cアルキル、-C(=O)C-Cシクロアルキル、-C(=NOH)C-Cアルキル、-C(=NOC-Cアルキル)C-Cアルキル、-NHC(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-NHC(=O)N(C-Cアルキル)、-NHC(=O)NH、-N(C-Cアルキル)C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)NH、-OC(=O)C-Cアルキル、-OC(=O)OC-Cアルキル、-OP(=O)(OC-Cアルキル)、-SC(=O)OC-Cアルキル及び-SC(=O)N(C-Cアルキル)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換されており、Rの任意のアルキル部分は、場合によりハロゲンで置換されており;
は、ハロゲン、OH、C-Cアルキル及びオキソからなる群から選択され;そして、
は、C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよい)。
【請求項2】
が、NR又はCRである、請求項1記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項3】
環Aが、単環であり、
が、CRであり、Aが、Sであり、そして、Aが、Cであり、そして
が、NHである、
請求項1記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項4】
環Aが、縮合二環である、請求項1記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項5】
が、NR又はCRであり、Aが、NR又はCRであり、そして、R及びRが、これらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている3~11員のヘテロシクリルを形成する、請求項4記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項6】
が、CRであり、Aが、CRであり、そして、Aが、Nである、請求項5記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項7】
が、NRであり、Aが、CRであり、そして、Aが、Cである、請求項5記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項8】
が、CRであり、Aが、NRであり、そして、Aが、Cである、請求項5記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項9】
環Aが、
【化2】

からなる群から選択される、請求項5記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項10】
式(Aa):
【化3】

で示される、請求項1記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項11】
式(Aa-1):
【化4】

で示される、請求項1記載の化合物、又はその互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項12】
式(Aa-2):
【化5】

で示される、請求項1記載の化合物、又はその互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項13】
各R4a及びR4bが、Hであり、Rが、メチルである、請求項1~12のいずれか一項記載の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは塩。
【請求項14】
以下:
【化6】

から選択される、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
以下:
【化7】

からなる群から選択される、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項記載の化合物或いはその立体異性体、互変異性体、若しくは溶媒和物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項17】
治療において使用するための、請求項1~16のいずれか一項記載の化合物又は医薬組成物。
【請求項18】
炎症性病態又は線維性病態を処置するための医薬を調製するための、請求項1~16のいずれか一項記載の化合物又は医薬組成物の使用。
【請求項19】
炎症性病態が、ループス、全身性エリテマトーデス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、鼻炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応からなる群から選択される、請求項18記載の使用。
【請求項20】
患者における炎症性病態又は線維性病態を処置するための医薬組成物であって、有効量の請求項1~16のいずれか一項記載の化合物又は医薬組成物を含む、医薬組成物。
【請求項21】
炎症性病態が、ループス、全身性エリテマトーデス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、鼻炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応からなる群から選択される、請求項20記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年8月24日出願の米国仮出願第62/379192号に対する優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、哺乳類における治療又は予防をするために有用な有機化合物、特に、ガン、線維性病態、炎症性疾患、及びNIK阻害に応答する他の病態を処置するために有用であるNF-kB誘導性キナーゼ(NIK)の阻害剤である2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
NF-kB誘導性キナーゼ(NIK)は、MAPKキナーゼキナーゼ14(MAP3K14)としても知られており、そして、セリン/スレオニンキナーゼかつMAPKファミリーのメンバーである。それは、TNF受容体(TNFR)関連因子2(TRAF2)の結合パートナーとしてツーハイブリッドスクリーニングにおいて最初に同定された。非特許文献1を参照。NIKの過剰発現によってNF-kBの活性化がもたらされ、そして、キナーゼ活性を有しないNIKのドミナントネガティブ形態は、TNF及びIL-1の処理に応答するNF-kBの活性化を阻害することができた。したがって、NIKは、NF-kBシグナル伝達経路の重要な要素として同定されている。ガン細胞におけるNF-kBシグナル伝達経路をブロックすると、このような細胞の増殖を停止させるか、死滅させるか又は他の抗ガン療法の作用に対するこのような細胞の感受性をより高めることができることが、科学的な研究によって示されている。更に、NIKは、多くの炎症性病態(特に、ループス(全身性エリテマトーデスを含む)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、関節炎、敗血症、胃炎及び喘息等)において役割を果たすTNFRSF受容体の非古典的なNF-kBシグナル下流にとって必要である。したがって、NIKを阻害し、それによって、NF-kBシグナル伝達経路の非所望の又は過剰な活性化を阻害するか、弱めるか又は少なくすることが可能な有機化合物は、NF-kBシグナル伝達のこのような非所望の又は過剰な活性化がみられる疾患及び障害を処置するための治療有益性を有し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Malinin, NL, et al., Nature, 1997, 385:540-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の簡単な概要
NIKキナーゼの阻害剤である4-アルキニル-4-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物、これら化合物のうちの1個以上を含有する組成物、並びにNIKキナーゼによって媒介される疾患(ガン及び炎症性疾患等)を処置するための方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、式(I):
【化1】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
Qは、N又はCであり、ここで、QがNである場合、AとQとの間の結合は二重結合ではなく、かつQとAとの間の結合は二重結合ではなく;
は、NR、N、S、CR又はCHRであり;
は、NR、N、O、S、CR又はCHRであり;
は、N又はCであり;
は、Nであるが;
ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NR又はNである、(ii)Aは、NR又はNである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの2個以下に当てはまり;
各Rは、独立して、H、ハロゲン、-NR、-NHC(O)NR、-NHS(O)-C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されており;Rの前記C-Cシクロアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されており;Rの前記C-Cアルコキシは、場合によりF、OH、CN又はSHによって置換されており;そして、Rの前記3~11員のヘテロシクリルは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されており;
各Rは、独立して、H、NR、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されているか;又は
及びRは、これらが結合している原子と共に、C-Cシクロアルキル、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される環状基を形成し、前記環式基は、場合によりRによって置換されており;
各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;
は、C-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルであり、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、独立して、場合によりハロゲン、OH又はC-Cアルコキシによって置換されており;
各A、A、A及びAは、独立して、N又はCRであるが、ただし、A、A、A及びAのうちの少なくとも3個は、独立して、CRであり;
各Rは、独立して、H、F、Cl、NH、NHCH、N(CH、OH、OCH、OCHF、OCHF、OCF、SH、SCH、SCHF、SCHF、CN、CH、CHF、CHF、CHOH、CF、NO及びNからなる群から選択され;
は、H、及び場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルキル、C(O)R、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C-Cアルキル、-(X0-1-C-C10シクロアルキル、-O-C-C10シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X0-1-C-C10シクロアルキル、-C(=O)(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、-(X0-1-C(=Y)H、-(X0-1-C(=NOH)R1a、-(X0-1-C(=NOR1b)R1a、-(X0-1-NHC(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-NHC(=Y)NH、-(X0-1-NHC(=Y)N(R1b)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)NH、-(X0-1-OC(=Y)R1a、-(X0-1-OC(=Y)H、-(X0-1-OC(=Y)OR1a、-(X0-1-OP(=Y)(OR1a)(OR1b)、-(X)-SC(=Y)OR1a及び-(X)-SC(=Y)N(R1a)(R1b)からなる群から選択され;Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、(C-Cシクロアルキレン)C-Cアルキル、3~11員のヘテロシクリル、(3~11員のヘテロシクリレン)C-Cアルキル、フェニル及び(C-C10アリーレン)C-Cアルキルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、これらが結合している窒素と共に、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリルを形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、独立して、ハロゲン、CN、NO、SF、OH、NH、-N(C-Cアルキル)、-NH(C-Cアルキル)、オキソ、C-Cアルキル、-(C-Cアルキニレン)-(3~11員のヘテロシクリル(前記ヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されている))、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、C-Cシクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル、-C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)OC-Cアルキル、-C(=O)OH、-N(H)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(H)C(=O)OC-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)C(=O)OC-C(ハロ)アルキル、-S(O)1-2-Cアルキル、-N(H)S(O)1-2-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)S(O)1-2-Cアルキル、-S(O)0-1N(H)(C-Cアルキル)、-S(O)0-1N(C-Cアルキル)、-S(O)0-1NH、-C(=O)C-Cアルキル、-C(=O)C-Cシクロアルキル、-C(=NOH)C-Cアルキル、-C(=NOC-Cアルキル)C-Cアルキル、-NHC(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-NHC(=O)N(C-Cアルキル)、-NHC(=O)NH、-N(C-Cアルキル)C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)NH、-OC(=O)C-Cアルキル、-OC(=O)OC-Cアルキル、-OP(=O)(OC-Cアルキル)、-SC(=O)OC-Cアルキル及び-SC(=O)N(C-Cアルキル)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換されており、Rの任意のアルキル部分は、場合によりハロゲンで置換されており;
は、ハロゲン、OH、C-Cアルキル及びオキソからなる群から選択され;そして、
は、C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよい)
が提供される。
【0007】
幾つかの実施態様では、Qは、Cであり、そして、式(II):
【化2】

(式中、環A、A、A、A、A、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(I)について定義されるとおりである)
で示される化合物である。
【0008】
幾つかの実施態様では、環Bは、置換フェニルであり、そして、Qは、Cであり;そして、式(A):
【化3】

(式中、環A、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(I)について定義されるとおりであり、nは、0、1又は2であり、そして、各Rは、独立して、F、Cl、OCH、CH及びCFからなる群から選択される)
で示される化合物である。
【0009】
一態様では、式(C):
【化4】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
は、NR又はCRであり;
は、NR、S又はCRであり;
は、N又はCであるが;
ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NRである、(ii)Aは、NRである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの1個以下に当てはまり;
各Rは、独立して、-NR;場合によりF、OH、CN、SH又はC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキルであるか;又はR(存在する場合)及びこれらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている6員ヘテロシクリルを形成し;
各Rは、独立して、存在しないか、又はR及びこれらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている6員ヘテロシクリルを形成し;
nは、0又は1であり;
は、存在する場合、ハロであり;
各R及びRは、独立して、H及びC-Cアルキルからなる群から選択され;そして、
各Rは、独立して、場合によりハロゲンによって置換されているC-Cアルキル、及び場合によりハロゲンによって置換されているC-Cアルコキシからなる群から選択される)
が提供される。
【0010】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に記載されるその任意の変形体(variation)、或いはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩が提供される。幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物、又はその任意の変形体、或いはその立体異性体、互変異性体若しくは塩(例えば、その薬学的に許容し得る塩)が提供される。
【0011】
また、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
【0012】
別の態様では、治療において使用するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体、又はそれらの医薬組成物が提供される。
【0013】
更に、特に、ガン、線維性病態、炎症性病態及び自己免疫疾患を含む疾患及び障害の処置において使用するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体、或いはその医薬組成物が提供される。
【0014】
また、特に、ガン、線維性病態、炎症性病態及び自己免疫疾患を含む疾患及び障害を処置するための医薬の調製における、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体の使用も提供される。
【0015】
別の態様では、患者における疾患又は障害(例えば、ガン、線維性病態、炎症性病態又は自己免疫疾患)を処置するための方法であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体、或いは式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0016】
更に、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体を含むキットが提供される。幾つかの実施態様では、該キットは、本明細書中に記載される方法による使用説明書を含む。
【0017】
別の態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体を製造する方法が提供される。また、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の変形体の合成において有用な化合物中間体も提供される。
【0018】
一態様では、化合物の変形体は、その薬学的に許容し得る塩である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、対応するピロリジノン化合物のそれと比較した、例示的な2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物について測定されたヒト肝ミクロソームのクリアランス(mL/分/kg)を示す。
図2図2は、対応するピロリジノン化合物のそれと比較した、例示的な2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物について測定されたヒト肝細胞のクリアランス(mL/分/kg)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の詳細な説明
本発明は、とりわけ、式(I)で示される化合物及びそれらの変形体(例えば、式(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)又は(Da-2)で示される化合物、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)又は(Da-2)で示される化合物を含む医薬組成物、並びにNF-kBシグナル伝達経路の非所望の又は過剰な活性化に関連する疾患及び障害(例えば、ガン、線維性病態、炎症性病態又は自己免疫疾患)の処置におけるこのような化合物及び組成物の使用方法を提供する。
【0021】
定義
【0022】
用語「アルキル」とは、飽和の直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、アルキル基は、独立して、場合により本明細書中に記載される1個以上の置換基で置換されていてもよい。一例では、アルキル基は、1~18個の炭素原子(C-C18)である。他の例では、アルキル基は、C-C、C-C、C-C、C-C12、C-C10、C-C、C-C、C-C、C-C又はC-Cである。Cアルキルは、結合を指す。アルキル基の例は、メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CHCHCH)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CHCHCHCH)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CHCH(CH)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、1-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH、1-ヘプチル及び1-オクチルを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NO、N、COOH、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はピリミジニルのうちの1~6例を含み、これらのアルキル、アリール及び複素環式の部分は、場合により置換されていてもよい。
【0023】
用語「アルキレン」は、それ自体によって又は別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-によって例示されるとおりのアルカンに由来する二価基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1~12個の炭素原子(例えば、1~8個、1~6個又は1~3個の炭素原子)を有する。「アルケニレン」及び「アルキニレン」とは、それぞれ二重又は三重の結合を有する「アルキレン」の不飽和形態を指し、そして、典型的には、2~12個の炭素原子(例えば、2~8個、2~6個又は2~3個の炭素原子)を有する。「アルキレン」、「アルケニレン」及び「アルキニレン」基は、場合により置換されていてもよい。
【0024】
用語「ヘテロアルキル」は、指定の数の炭素原子、又は指定されていない場合は最大18個の炭素原子と、O、N、Si及びSからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子とからなる直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、そして、窒素原子及びイオウ原子は、場合により酸化されていてもよく、そして、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロ原子は、O、N及びSから選択され、窒素原子及びイオウ原子は、場合により酸化されていてもよく、そして、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、アルキル基が分子の残部に結合する位置(例えば、-O-CH-CH)を含む、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置され得る。例は、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-O-CF、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH及び-OCFを含む。例えば、-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CH等のように、最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。ヘテロアルキル基は、場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NO、N、COOH、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピリミジニルのうちの1~4例を含み、これらのアルキル、アリール及び複素環式の部分は、場合により置換されていてもよい。
【0025】
用語「ヘテロアルキレン」は、-CHCHSCHCH、-CHSCHCHNHCH及び-OCHCHによって例示されるとおりのヘテロアルキルに由来する二価基を意味する。また、ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子が鎖末端の一方又は両方を占有していてもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。ヘテロアルキレン基は、場合により置換されていてもよい。
【0026】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の飽和又は部分不飽和の炭化水素環基を指し、シクロアルキル基は、場合により本明細書中に記載される1個以上の置換基で置換されていてもよい。一例では、シクロアルキル基は、3~12個の炭素原子(C-C12)である。他の例では、シクロアルキルは、C-C、C-C、C-C10又はC-C10である。他の例では、単環としてのシクロアルキル基は、C-C、C-C又はC-Cである。別の例では、二環としてのシクロアルキル基は、C-C12である。別の例では、スピロ系としてのシクロアルキル基は、C-C12である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、過重水素化シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルを含む。7~12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置は、これらに限定されるものではないが、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]の環系を含む。例示的な架橋二環式シクロアルキルは、これらに限定されるものではないが、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンを含む。スピロシクロアルキルの例は、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン及びスピロ[4.5]デカンを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NO、N、COOH、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピリミジニルのうちの1~4例を含み、これらのアルキル、アリール及び複素環式の部分は、場合により置換されていてもよい。
【0027】
用語「シクロアルキレン」とは、シクロアルキル基に由来する二価基を意味する。シクロアルキレン基は、場合により置換されていてもよい。
【0028】
「複素環式基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は互換可能に用いられ、そして、環原子が炭素であり、かつ環又は環系中の少なくとも1個の原子が窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である、任意の単環式、二環式又はスピロの、飽和又は不飽和の、芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)の環系を指す。環系の任意の環原子がヘテロ原子である場合、分子の残部への該環系の結合点にかかわらず、その系は、複素環である。一例では、ヘテロシクリルは、3~11個の環原子(「員」、即ち、3~11員の複素環)を含み、そして、環原子が炭素であり、かつ該環又は環系中の少なくとも1個の原子が窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である、単環、二環及びスピロ環系を含む。一例では、ヘテロシクリルは、1~4個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1個以上のヘテロ原子を有する3~7員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1個以上のヘテロ原子を有する4~6員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5~6員の単環を含む。一例では、ヘテロシクリル基は、0~3個の二重結合を含む。任意の窒素又はイオウのヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよく(例えば、NO、SO、SO)、そして、任意の窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されていてもよい(例えば、[NRCl、[NROH)。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1個以上のヘテロ原子を有する3~9員のスピロ環を含む。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2-ジチエタニル、1,3-ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ-1H-ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1-ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7-テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6-ジヒドロイミダゾール[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン-2,4-ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1-アザスピロ[4.5]デカン-2-オニル、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1-ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。イオウ又は酸素の原子と1~3個の窒素原子とを含有する5員の複素環の例は、チアゾリル(チアゾール-2-イル及びチアゾール-2-イルN-オキシドを含む)、チアジアゾリル(1,3,4-チアジアゾール-5-イル及び1,2,4-チアジアゾール-5-イルを含む)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル)及びオキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル及び1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)である。2~4個の窒素原子を含有する5員の複素環の例は、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-2-イル);トリアゾリル(例えば、1,3,4-トリアゾール-5-イル;1,2,3-トリアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル)及びテトラゾリル(例えば、1H-テトラゾール-5-イル)を含む。ベンゾ縮合の5員の複素環の例は、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル及びベンゾイミダゾール-2-イルである。1~3個の窒素原子と場合によりイオウ又は酸素の原子とを含有する6員の複素環の例は、例えば、ピリジル(例えば、ピリダ-2-イル、ピリダ-3-イル及びピリダ-4-イル);ピリミジル(例えば、ピリミダ-2-イル及びピリミダ-4-イル);トリアジニル(例えば、1,3,4-トリアジン-2-イル及び1,3,5-トリアジン-4-イル);ピリダジニル(特に、ピリダジン-3-イル)及びピラジニルである。ピリジン N-オキシド及びピリダジン N-オキシド、並びにピリジル、ピリミダ-2-イル、ピリミダ-4-イル、ピリダジニル及び1,3,4-トリアジン-2-イルの基は、複素環基の他の例である。複素環は、場合により置換されていてもよい。例えば、「場合により置換されている複素環」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NO、N、COOH、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピリミジニルのうちの1~6例を含み、これらのアルキル、アリール及び複素環式の部分は、場合により置換されていてもよい。
【0029】
用語「ヘテロシクリレン」とは、ヘテロシクリル基に由来する二価基を意味する。ヘテロシクリレン基は、場合により置換されていてもよい。
【0030】
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個の環が、窒素、酸素及びイオウから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5又は6員の芳香環であり、任意の単環式、二環式又は三環式の環系を指し、そして、ある実施態様の例では、少なくとも1個のヘテロ原子は、窒素である。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985] を参照されたい。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合しており、該アリール環又は該ヘテロアリール環が分子の残部に結合している任意の二環式基も定義に含まれる。一実施態様では、ヘテロアリールは、1個以上の環原子が窒素、イオウ又は酸素である、4~6員の単環式芳香族基を含む。別の実施態様では、ヘテロアリールは、1個以上の環原子が窒素、イオウ又は酸素である、5~6員の単環式芳香族基を含む。ヘテロアリール基の例は、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル及びプリニル、並びにベンゾ縮合誘導体(例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル)を含む。ヘテロアリール基は、場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアリール」の置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH、NO、N、COOH、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO、フェニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピリミジニルのうちの1~6例を含み、これらのアルキル、アリール及び複素環式の部分は、場合により置換されていてもよい。
【0031】
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子で結合する。一例として、炭素が結合しているヘテロシクリル基は、ピリジン環の2位、3位、4位、5位若しくは6位、ピリダジンの3位、4位、5位若しくは6位、ピリミジン環の2位、4位、5位若しくは6位、ピラジン環の2位、3位、5位若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール若しくはテトラヒドロピロールの環の2位、3位、4位若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール若しくはチアゾールの環の2位、4位若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール若しくはイソチアゾールの環の3位、4位若しくは5位、アジリジン環の2若しくは3位、アゼチジン環の2位、3位若しくは4位、キノリン環の2位、3位、4位、5位、6位、7位若しくは8位、又はイソキノリン環の1位、3位、4位、5位、6位、7位若しくは8位における結合配置を含む。
【0032】
ある実施態様では、ヘテロシクリル基は、N結合している。一例として、窒素が結合しているヘテロシクリル又はヘテロアリールの基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ-カルボリンの9位における結合配置を含む。
【0033】
用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して分子の残部に結合しているアルキル基を指す。非限定的な例は、メトキシ、エトキシ及びプロポキシを含む。アルコキシ基は、例えばハロゲンによって場合により置換されていてもよい。
【0034】
用語「アルキルチオ」とは、イオウ原子を介して分子の残部に結合しているアルキル基を指す。非限定的な例は、-SCH、-SCHCH及び-SCHCHCHを含む。アルキルチオ基は、例えばハロゲンによって場合により置換されていてもよい。
【0035】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、それら自体によって又は別の置換基の一部として、特に記載されない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の原子を意味する。用語「ハロアルキル」は、「アルキル」及び「ハロアルキル」置換基を両方含むことを意味する。更に、用語「ハロアルキル」は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。
【0036】
用語「オキソ」は、=O又は(=O)を指す。
【0037】
用語「アリール」は、特に記載されない限り、単一の環であっても、互いに縮合している複数の環(最大3個の環)であってもよく、そして、指定の数のアリール環原子を有する多価不飽和の、典型的には芳香族の炭化水素環基を意味する。アリール基は、場合により置換されていてもよい。
【0038】
「フェニレン」基は、フェニル基に由来する二価基を指す。フェニレン基は、場合により置換されていてもよい。
【0039】
「場合により置換されている」とは、そうではないと特定されない限り、基が、置換されていないか、又はその基について列挙される置換基のうちの1個以上(例えば、0個、1個、2個、3個、4個若しくは5個以上)(該置換基は、同じであっても異なっていてもよい)によって置換されていることを意味する。即ち、場合により置換されている置換基は、各出現時において、独立している。ある実施態様では、場合により置換されている基は、1個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、2個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、3個の置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、4個の置換基を有する。
【0040】
アルキル及びシクロアルキルについての場合による置換基は、これらに限定されるものではないが、ゼロから(2m’+1)(式中、m’は、このような基における炭素原子の総数である)の範囲の数の、ハロゲン、オキソ、CN、NO、N、OR’、ペルフルオロ-C1-4アルコキシ、非置換シクロアルキル、非置換アリール(例えば、フェニル)、非置換ヘテロシクリル、NR’R’’、SR’、SiR’R’’R’’’、OC(O)R’、C(O)R’、COR’、CONR’R’’、OC(O)NR’R’’、NR’’C(O)R’、NR’’’C(O)NR’R’’、NR’’C(O)R’、S(O)R’、S(O)NR’R’’、NR’S(O)R’’、NR’’’S(O)NR’R’’、アミジノ、グアニジン、(CH1-4OR’、(CH1-4NR’R’’、(CH1-4SR’、(CH1-4SiR’R’’R’’’、(CH1-4OC(O)R’、(CH1-4C(O)R’、(CH1-4COR’及び(CH1-4CONR’R’’、又はこれらの組み合わせを含む、様々な基であってもよい。R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;非置換C1-6アルキル;非置換ヘテロアルキル;非置換アリール;1~3個のハロゲン、非置換C1-アルキル、C1-アルコキシ又はC1-チオアルコキシ基で置換されているアリール、非置換アリール-C-Cアルキル基、及び非置換ヘテロアリールを含む基を指す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合している場合、これらは、窒素原子と組み合わせられて、環原子が場合によりN、O又はSで置換されている3、4、5、6又は7員の環を形成することができる。例えば、NR’R’’は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。
【0041】
同様に、アリール及びヘテロシクリル基についての任意の置換基も様々である。幾つかの実施態様では、アリール及びヘテロシクリル基についての置換基は、これらに限定されるものではないが、ゼロから芳香族環系における空の原子価(open valences)の総数までの範囲の数の、ハロゲン、OR’、OC(O)R’、NR’R’’、SR’、R’、CN、NO、COR’、CONR’R’’、C(O)R’、OC(O)NR’R’’、NR’’C(O)R’、NR’’C(O)R’、NR’C(O)NR’’R’’’、S(O)R’、S(O)R’、S(O)NR’R’’、NR’S(O)R’’、N、ペルフルオロ-C-Cアルコキシ、ペルフルオロ-C-Cアルコキシ、(CH1-4OR’、(CH1-4NR’R’’、(CH1-4SR’、(CH1-4SiR’R’’R’’’、(CH1-4OC(O)R’、(CH1-4C(O)R’、(CH1-4COR’、(CH1-4CONR’R’’、又はこれらの組み合わせを含む、基から選択され;そして、式中、R’、R’’及びR’’’は、独立して、水素、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルケニル、C2-アルキニル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される。他の好適な置換基は、1~4個の炭素原子のアルキレンテーテル(alkylene tether)によって環原子に結合している上記アリール置換基のそれぞれを含む。
【0042】
本明細書中で使用する場合、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)及びケイ素(Si)を含むことを意味する。幾つかの実施態様では、ヘテロ原子は、O、N又はSを指す。幾つかの実施態様では、ヘテロ原子は、O又はNを指す。
【0043】
本明細書中で使用する場合、用語「キラル」とは、鏡像パートナーを重ねることができない性質を有する分子を指すが、用語「アキラル」とは、それらの鏡像パートナーに重ねることができる分子を指す。
【0044】
本明細書中で使用する場合、用語「立体異性体」とは、同一の化学的構成を有するが、空間内の原子又は基の配置に関しては異なる化合物を指す。
【0045】
「ジアステレオマー」とは、2個以上の不斉中心を有し、そして、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性及び反応性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィー等の高分離能解析手順の下で分離することができる。
【0046】
「鏡像異性体」とは、互いの鏡像を重ねることができない、化合物の2つの立体異性体を指す。
【0047】
本明細書中で使用する立体化学的な定義及び慣行は、一般的に、S.P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。本明細書中の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含有し得るので、様々な立体異性体形態で存在する。本発明の化合物の全ての立体異性体(これらに限定されるものではないが、ジアステレオマー、鏡像異性体及びアトロプ異性体、並びにこれらの混合物(ラセミ混合物等)を含む)が、本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は、光学的活性の形態で存在する、即ち、それらは、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物の記載において、接頭辞D及びL、又はR及びSは、分子のキラル中心について絶対配置を示すために用いられる。接頭辞d及びl、又は(+)及び(-)は、化合物による平面偏光の回転の記号を示すために用いられ、(-)又はlは、該化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdが前に記載されている化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これら立体異性体は、それらが互いの鏡像であることを除いて、同一である。また、具体的な立体異性体を鏡像異性体として称することができ、そして、このような異性体の混合物は、鏡像異性的混合物と呼ばれることが多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学的な反応又はプロセスにおいて立体選択も立体特異性も存在しない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を有しない、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
【0048】
本明細書中で使用する場合、用語「互変異性体」又は「互変異性形態」とは、低エネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等のプロトンの転位を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、幾つかの結合電子の再構成による相互変換を含む。
【0049】
本明細書中に示す構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が指定されていない場合、全ての立体異性体が想到され、そして、本発明の化合物として含まれる。特定の配置を表す黒くさび又は点線によって立体化学が特定されている場合、その立体異性体は、そのように指定され、そして、定義される。そうではないと特定されない限り、黒くさび又は点線が用いられる場合、相対立体化学が意図される。構造とその名称との間に矛盾がある場合、構造を優先する。
【0050】
本明細書中で使用する場合、用語「溶媒和物」とは、1個以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合体又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例は、これらに限定されるものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンを含む。用語「水和物」とは、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0051】
本明細書中で使用する場合、用語「保護基」とは、化合物中の特定の官能基をブロック又は保護するために一般的に使用される置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物中のアミノ官能基をブロック又は保護する、アミノ基に結合している置換基である。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。同様に、「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ官能基をブロック又は保護する、ヒドロキシ基の置換基を指す。好適な保護基は、アセチル及びシリルを含む。「カルボキシ保護基」とは、カルボキシ官能基をブロック又は保護する、カルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基は、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチル等を含む。保護基及びそれらの使用に関する一般的な説明については、P.G.M.Wuts and T.W.Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 4th edition, Wiley-Interscience, New York, 2006を参照されたい。
【0052】
本明細書中で使用する場合、用語「哺乳類」は、これらに限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ及びヒツジを含む。
【0053】
「被験体」、「個体」又は「患者」は、脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は、哺乳類である。被験体、個体又は患者は、本発明の化合物を必要としていてもよい。一態様では、被験体、個体又は患者は、ヒトである。
【0054】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容し得る塩」は、本明細書中に記載される化合物にみられる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を、未希釈の又は好適な不活性溶媒中の十分な量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容し得る無機塩基に由来する塩の例は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む。薬学的に許容し得る有機塩基に由来する塩は、置換アミンを含む一級、二級及び三級のアミン、環状アミン、天然に存在するアミン等(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、このような化合物の中性形態を、未希釈の又は好適な不活性溶媒中の十分な量の所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容し得る酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸又は亜リン酸等の無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的非毒性の有機酸に由来する塩を含む。また、アルギナート等のアミノ酸の塩、並びにグルクロン酸又はガラクツロン酸等の有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge, S. M., et al., “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm.Sci., 1977, 66, 1-19を参照)。本発明のある具体的な化合物は、塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに該化合物を変換することが可能な塩基性及び酸性の官能基を両方含有する。
【0055】
化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、そして、従来の方法で親化合物を単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒への可溶性等のある物性が様々な塩形態とは異なるが、それ以外の点では、該塩は、本発明の目的について、化合物の親形態と等価である。
【0056】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書中で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供するそのような化合物を指す。更に、プロドラッグは、エクスビボ環境において化学的又は生物学的方法によって本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバに入れた場合、ゆっくりと本発明の化合物に変換され得る。
【0057】
本発明のプロドラッグは、アミノ酸残基、又は2個以上(例えば、2個、3個又は4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド結合又はエステル結合を通して本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基に共有結合している化合物を含む。アミノ酸残基は、これらに限定されるものではないが、一般的に3文字の記号によって表される20種の天然アミノ酸を含み、また、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン(demosine)、イソデモシン(isodemosine)、ガンマ-カルボキシグルタミン酸、馬尿酸、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、スタチン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、メチル-アラニン、パラ-ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、メチオニンスルホン及びtert-ブチルグリシンも含む。
【0058】
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化され得る。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されているとおり、ヒドロキシ基を、これらに限定されるものではないが、リン酸エステル、ヘミコハク酸塩、アミノ酢酸ジメチル又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等の基に変換することによって、プロドラッグとして誘導体化され得る。ヒドロキシ基のカルボナートプロドラッグ、スルホン酸エステル及び硫酸エステルのように、ヒドロキシル基及びアミノ基のカルバマートプロドラッグも含まれる。アシル基が、場合により基(これらに限定されるものではないが、エーテル、アミン及びカルボン酸の官能基を含む)で置換されているアルキルエステルであり得るか、又はアシル基が、上記のとおりアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J.Med.Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、(C-C)アルカノイルオキシメチル、1-((C-C)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C-C)アルカノイルオキシ)エチル、(C-C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C-C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C-C)アルカノイル、アルファ-アミノ(C1-4)アルカノイル、アリールアシル、及びアルファ-アミノアシル又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル(式中、各アルファ-アミノアシル基は、独立して、天然のL-アミノ酸、P(O)(OH)、-P(O)(O(C1-6)アルキル)又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去によって得られる基)から選択される)等の基でアルコール基の水素原子を置き換えることを含む。
【0059】
プロドラッグ誘導体の更なる例については、例えば、a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al.(Academic Press, 1985);b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs,’ by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:1-38 (1992);d)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77:285 (1988);及びe)N. Kakeya, et al., Chem.Pharm.Bull., 32:692 (1984)を参照されたく、これらはそれぞれ、参照により具体的に本明細書中に援用される。
【0060】
更に、本発明は、本発明の化合物の代謝物を提供する。本明細書中で使用する場合、「代謝物」とは、具体的な化合物又はその塩の体内における代謝を通して産生された生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等から得ることができる。
【0061】
代謝産物は、典型的に、本発明の化合物の放射標識された(例えば、14C又はH)同位体を調製し、それを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)でラット、マウス、モルモット、サル等の動物、又はヒトに投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的に、約30秒間~30時間)放置し、そして、尿、血液、又は他の生体試料からその変換産物を単離することによって同定される。これら生成物は、標識されているので容易に単離される(他のものは、代謝物中に残存しているエピトープに結合することが可能な抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS又はNMRの分析等の従来の方法で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行われる。代謝産物は、それらがインビボで他にみられない限り、本発明の化合物の治療的投与についての診断アッセイにおいて有用である。
【0062】
本発明のある化合物は、非溶媒和形態、並びに水和形態を含む溶媒和形態でも存在し得る。本発明の化合物は、複数の結晶形態又は非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0063】
また、本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子のうちの1個以上において、自然界には存在しない比率の原子同位体を含有していてもよい。例えば、本発明は、また、その原子について自然界で通常みられる所定の原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって1個以上の原子が置き換えられていることを除いて本明細書中に列挙されているものと同一である、同位体で標識された本発明の変形体も包含する。指定された任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が、本発明の化合物及びそれらの使用の範囲内であると想到される。本発明の化合物に取り込むことができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体(例えば、H(「D」)、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、 P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125I等)を含む。本発明のある同位体標識された化合物(例えば、H又は14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(H)及びカーボン-14(14C)の同位体は、調製が容易であり、かつ検出可能であるため、有用である。更に、ジュウテリウム(即ち、H)等のより重い同位体で置換すると、より高い代謝安定性から得られるある治療上の利点(例えば、インビボにおける半減期の延長又は必要な投与量の低減等)を与え得るので、幾つかの状況においては好まれ得る。陽電子放出同位体(例えば、15O、13N、11C及び18F)は、基質の受容体占有について調べるための陽電子放出断層撮影(PET)試験のために有用である。本発明の同位体標識された化合物は、一般的に、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いることによって、本明細書中のスキーム及び実施例で開示されるものと同様の手順に従うことによって調製することができる。同位体で置換された部分の非限定的な一例は、以下:
【化5】

である。
【0064】
用語「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」等は、そうではないと指定されない限り、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物、並びにこれらの立体異性体(アトロプ異性体を含む)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)及びプロドラッグを含む。幾つかの実施態様では、溶媒和物、代謝物、同位体若しくはプロドラッグは除外され、又はこれらの任意の組み合わせ。
【0065】
「処置」(及び「処置する」又は「処置している」等の変形)とは、処置される個体又は細胞の自然経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、そして、予防のため又は臨床病理の経過中のいずれにおいて実施してもよい。処置の望ましい効果は、疾患の発症又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の減弱、疾患の安定化(即ち、悪化しない)状態、疾患進行率の低減、疾患状態の改善又は緩和、処置を受けなかった場合の予測生存期間と比べた場合の生存期間の延長、及び寛解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、疾患若しくは障害の発現を遅延させるか、又は疾患若しくは障害の進行を減速させるために用いられる。処置を必要としているものは、既に病態若しくは障害を有しているもの、並びに病態若しくは障害を有しやすいもの(例えば、遺伝子の突然変異を通して)、又は病態若しくは障害が予防されるべきものを含む。幾つかの実施態様では、予防は、「処置」の定義から除外される。
【0066】
語句「治療的な有効量」又は「有効量」は、本明細書中に記載される(i)特定の疾患、病態若しくは障害を処置若しくは予防する、(ii)特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、改善若しくは排除する、又は(iii)特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状の発生を予防若しくは遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。ガンの治療については、例えば、無増悪期間(TTP)を評価するか又は奏効率(RR)を決定することによって効果を測定することができる。免疫学的疾患の場合、治療的な有効量は、アレルギー障害、自己免疫若しくは炎症性の病態の症状(例えば、乾癬又は炎症性腸疾患)、又は急性炎症反応の症状(例えば、喘息)を低減又は軽減するのに十分な量である。幾つかの実施態様では、治療的な有効量は、B細胞の活性又は数を著しく減少させるのに十分な、本明細書中に記載される化学実体の量である。
【0067】
用語「阻害」及び「低減」、又はこれらの用語の任意の変形は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、約、最大約、又は少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲、正常と比較して活性(例えば、NIK活性)が減少し得る。
【0068】
用語「バイオアベイラビリティ」とは、患者に投与される所与の量の薬物の全身アベイラビリティ(即ち、血液/血漿レベル)を指す。バイオアベイラビリティは、投与された投与形態から全身循環に達する薬物の時間(速度)及び総量(程度)の両方の尺度を示す絶対用語である。
【0069】
「炎症性病態」とは、本明細書中で使用する場合、過剰な又は制御されていない炎症応答が過剰な炎症症状、宿主組織の損傷又は組織機能の喪失につながる、任意の疾患、障害又は症候群を指す。
【0070】
「炎症」とは、本明細書中で使用する場合、組織の傷害又は破壊によって誘発される局所的保護応答を指し、それは、傷害性の剤及び傷害組織の両方を破壊、希釈又は隔離(隔絶)する機能を有する。炎症は、白血球の流入又は好中球の走化性と明白に関連している。炎症は、病原体及びウイルスの感染から、並びに心筋梗塞又は脳卒中後の外傷又は再灌流、外来抗原に対する免疫応答及び自己免疫応答等の非感染的手段から生じ得る。
【0071】
用語「ガン」及び「ガン性」は、典型的に、制御されていない細胞の成長又は増殖によって特徴付けられる、哺乳類における生理学的病態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上のガン性細胞を含む。ガンの例は、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍を含む。
【0072】
「自己免疫疾患」とは、本明細書中で使用する場合、組織の傷害が身体自身の構成成分に対する体液性応答又は細胞媒介応答に関連している障害の任意の群を指す。
【0073】
本発明の一実施態様に関して論じられる任意の限定が、本発明の任意の他の実施態様にも適用され得ることが具体的に意図される。更に、本発明の任意の化合物又は組成物が、本発明の任意の方法で用いられ得、そして、本発明の任意の方法が、本発明の任意の化合物又は組成物を生成又は利用するために用いられ得る。
【0074】
用語「又は」の使用は、一方の選択肢のみを指すか又は選択肢が相互排他的であることを明示しない限り、「及び/又は」を意味するために用いられるが、本開示は、一方の選択肢のみ、及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
【0075】
本願全体を通して、用語「約」は、値を決定するために用いられる装置又は方法の誤差の標準偏差を含む値を示すために用いられる。一態様では、「約」は、その値自体を含む。例えば、約Xは、X自体を含み、そして、説明する。
【0076】
本明細書中で使用する場合、「a」又は「an」は、特に明示しない限り、1つ以上を意味する。本明細書中で使用する場合、「別の」は、少なくとも第2の又はそれ以上を意味する。
【0077】
本明細書中で使用する標題は、構造化の目的のみを意図する。
【0078】
NIKの阻害剤
【0079】
本発明の一態様は、式(I):
【化6】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
Qは、N又はCであり、ここで、QがNである場合、AとQとの間の結合は二重結合ではなく、かつQとAとの間の結合は二重結合ではなく;
は、NR、N、S、CR又はCHRであり;
は、NR、N、O、S、CR又はCHRであり;
は、N又はCであり;
は、Nであり;そして、
~Aのうちの1、2又は3個は、Nであり、
各Rは、独立して、H、ハロゲン、-NR、-NHC(O)NR、-NHS(O)-C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されており;Rの前記C-Cシクロアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されており;Rの前記C-Cアルコキシは、場合によりF、OH、CN又はSHによって置換されており;そして、Rの前記3~11員のヘテロシクリルは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されており;
各Rは、独立して、H、NR、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されているか;又は
及びRは、これらが結合している原子と共に、C-Cシクロアルキル、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される環状基を形成し、前記環式基は、場合によりRによって置換されており;
各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;
は、C-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルであり、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、独立して、場合によりハロゲン、OH又はC-Cアルコキシによって置換されており;
各A、A、A及びAは、独立して、N又はCRであるが、ただし、A、A、A及びAのうちの少なくとも3個は、独立して、CRであり;
各Rは、独立して、H、F、Cl、NH、NHCH、N(CH、OH、OCH、OCHF、OCHF、OCF、SH、SCH、SCHF、SCHF、CN、CH、CHF、CHF、CHOH、CF、NO及びNからなる群から選択され;
は、H、及び場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルキル、C(O)R、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C-Cアルキル、-(X0-1-C-C10シクロアルキル、-O-C-C10シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X0-1-C-C10シクロアルキル、-C(=O)(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、-(X0-1-C(=Y)H、-(X0-1-C(=NOH)R1a、-(X0-1-C(=NOR1b)R1a、-(X0-1-NHC(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-NHC(=Y)NH、-(X0-1-NHC(=Y)N(R1b)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)NH、-(X0-1-OC(=Y)R1a、-(X0-1-OC(=Y)H、-(X0-1-OC(=Y)OR1a、-(X0-1-OP(=Y)(OR1a)(OR1b)、-(X)-SC(=Y)OR1a及び-(X)-SC(=Y)N(R1a)(R1b)からなる群から選択され;Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、(C-Cシクロアルキレン)C-Cアルキル、3~11員のヘテロシクリル、(3~11員のヘテロシクリレン)C-Cアルキル、フェニル及び(C-C10アリーレン)C-Cアルキルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、これらが結合している窒素と共に、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリルを形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、独立して、ハロゲン、CN、NO、SF、OH、NH、-N(C-Cアルキル)、-NH(C-Cアルキル)、オキソ、C-Cアルキル、-(C-Cアルキニレン)-(3~11員のヘテロシクリル(前記ヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されている))、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、C-Cシクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル、-C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)OC-Cアルキル、-C(=O)OH、-N(H)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(H)C(=O)OC-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)C(=O)OC-C(ハロ)アルキル、-S(O)1-2-Cアルキル、-N(H)S(O)1-2-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)S(O)1-2-Cアルキル、-S(O)0-1N(H)(C-Cアルキル)、-S(O)0-1N(C-Cアルキル)、-S(O)0-1NH、-C(=O)C-Cアルキル、-C(=O)C-Cシクロアルキル、-C(=NOH)C-Cアルキル、-C(=NOC-Cアルキル)C-Cアルキル、-NHC(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-NHC(=O)N(C-Cアルキル)、-NHC(=O)NH、-N(C-Cアルキル)C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)NH、-OC(=O)C-Cアルキル、-OC(=O)OC-Cアルキル、-OP(=O)(OC-Cアルキル)、-SC(=O)OC-Cアルキル及び-SC(=O)N(C-Cアルキル)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換されており、Rの任意のアルキル部分は、場合によりハロゲンで置換されており;
は、ハロゲン、OH、C-Cアルキル及びオキソからなる群から選択され;そして、
は、C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよい)
を提供する。
【0080】
幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(I)で示されるが、ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NR又はNである、(ii)Aは、NR又はNである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの2個以下に当てはまる。幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(I)で示されるが、ただし、(iv)~(vi):
(iv)Aは、S、CR又はCHRである;(v)Aは、O、S、CR又はCHRである;及び(vi)Aは、Cである、
のうちの少なくとも1個に当てはまる。
【0081】
幾つかの実施態様では、環Aは、不飽和単環又は不飽和縮合二環である。
【0082】
幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、式(II):
【化7】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
は、NR、N、S、CR又はCHRであり;
は、NR、N、O、S、CR又はCHRであり;
は、N又はCであり;
各Rは、独立して、H、ハロゲン、-NR、-NHC(O)NR、-NHS(O)-C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されており;Rの前記C-Cシクロアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されており;Rの前記C-Cアルコキシは、場合によりF、OH、CN又はSHによって置換されており;そして、Rの前記3~11員のヘテロシクリルは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されており;
各Rは、独立して、H、NR、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されているか;又は
及びRは、これらが結合している原子と共に、C-Cシクロアルキル、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される環状基を形成し、前記環式基は、場合によりRによって置換されており;
各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;
は、C-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルであり、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、独立して、場合によりハロゲン、OH又はC-Cアルコキシによって置換されており;
各A、A、A及びAは、独立して、N又はCRであるが、ただし、A、A、A及びAのうちの少なくとも3個は、独立して、CRであり;
各Rは、独立して、H、F、Cl、NH、NHCH、N(CH、OH、OCH、OCHF、OCHF、OCF、SH、SCH、SCHF、SCHF、CN、CH、CHF、CHF、CHOH、CF、NO及びNからなる群から選択され;
は、H、及び場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルキル、C(O)R、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C-Cアルキル、-(X0-1-C-C10シクロアルキル、-O-C-C10シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X0-1-C-C10シクロアルキル、-C(=O)(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、-(X0-1-C(=Y)H、-(X0-1-C(=NOH)R1a、-(X0-1-C(=NOR1b)R1a、-(X0-1-NHC(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-NHC(=Y)NH、-(X0-1-NHC(=Y)N(R1b)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)NH、-(X0-1-OC(=Y)R1a、-(X0-1-OC(=Y)H、-(X0-1-OC(=Y)OR1a、-(X0-1-OP(=Y)(OR1a)(OR1b)、-(X)-SC(=Y)OR1a及び-(X)-SC(=Y)N(R1a)(R1b)からなる群から選択され;Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、(C-Cシクロアルキレン)C-Cアルキル、3~11員のヘテロシクリル、(3~11員のヘテロシクリレン)C-Cアルキル、フェニル及び(C-C10アリーレン)C-Cアルキルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、これらが結合している窒素と共に、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリルを形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、独立して、ハロゲン、CN、NO、SF、OH、NH、-N(C-Cアルキル)、-NH(C-Cアルキル)、オキソ、C-Cアルキル、-(C-Cアルキニレン)-(3~11員のヘテロシクリル(前記ヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されている))、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、C-Cシクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル、-C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)OC-Cアルキル、-C(=O)OH、-N(H)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(H)C(=O)OC-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)C(=O)OC-C(ハロ)アルキル、-S(O)1-2-Cアルキル、-N(H)S(O)1-2-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)S(O)1-2-Cアルキル、-S(O)0-1N(H)(C-Cアルキル)、-S(O)0-1N(C-Cアルキル)、-S(O)0-1NH、-C(=O)C-Cアルキル、-C(=O)C-Cシクロアルキル、-C(=NOH)C-Cアルキル、-C(=NOC-Cアルキル)C-Cアルキル、-NHC(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-NHC(=O)N(C-Cアルキル)、-NHC(=O)NH、-N(C-Cアルキル)C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)NH、-OC(=O)C-Cアルキル、-OC(=O)OC-Cアルキル、-OP(=O)(OC-Cアルキル)、-SC(=O)OC-Cアルキル及び-SC(=O)N(C-Cアルキル)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換されており、Rの任意のアルキル部分は、場合によりハロゲンで置換されており;
は、ハロゲン、OH、C-Cアルキル及びオキソからなる群から選択され;そして、
は、C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよい)
として更に定義される。
【0083】
幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(II)で示されるが、ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NR又はNである、(ii)Aは、NR又はNである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの2個以下に当てはまる。幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(II)で示されるが、ただし、(iv)~(vi):
(iv)Aは、S、CR又はCHRである;(v)Aは、O、S、CR又はCHRである;及び(vi)Aは、Cである、
のうちの少なくとも1個に当てはまる。
【0084】
幾つかの実施態様では、環Aは、不飽和単環又は不飽和縮合二環である。
【0085】
式(I)又は(II)で示される化合物の幾つかの実施態様では、環Aは、単環である。幾つかの実施態様では、環Aは、1又は2個の環窒素原子を含有する単環式ヘテロアリール(例えば、チアゾール又はイミダゾール)である。幾つかの実施態様では、Aは、N又はCHRである。幾つかの実施態様では、Aは、Nである。幾つかの実施態様では、Aは、Nであり、Aは、Sであり、そして、Aは、Cである(環Aは、チアジアゾールである)。幾つかの実施態様では、Aは、N、O又はCHRである。幾つかの実施態様では、Aは、Nである。幾つかの実施態様では、Aは、Sであり、Aは、Nであり、そして、Aは、Cである(環Aは、チアジアゾールである)。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、Oであり、そして、Aは、Cである(環Aは、オキサゾールである)。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、Sであり、そして、Aは、Cである(環Aは、チアゾールである)。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、NRであり、そして、Aは、Cである(環Aは、イミダゾールである)。
【0086】
式(I)又は(II)で示される化合物の幾つかの実施態様では、Aは、CHRであり、そして、Aは、CHRであり、そして、環Aは、非芳香族複素環である。幾つかの実施態様では、Aは、CHRであり、そして、Aは、CHRであり、そして、環Aは、非芳香族単環式複素環である。幾つかの実施態様では、Aは、CHRであり、そして、Aは、CHRであり、そして、環Aは、縮合二環式非芳香族複素環である。幾つかの実施態様では、Aは、CHRであり;Aは、CHRであり;そして、R及びRは、これらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されているC-Cシクロアルキル、又は場合によりRによって置換されている3~11員のヘテロシクリルを形成する。幾つかの実施態様では、R及びRは共に、以下:
【化8】

の環状基(式中、アスタリスクは、環Aに対する環縮合点を示す)を形成し、そして、各環状基は、場合によりRによって置換されている。
【0087】
式(I)又は(II)で示される化合物の幾つかの実施態様では、Aは、NR、S又はCRであり;そして、Aは、NR、S又はCRである。幾つかの実施態様では、Aは、Sである。幾つかの実施態様では、Aは、Sであり、Aは、CRであり、そして、Aは、Cである。幾つかの実施態様では、Rは、Hである。
【0088】
式(I)又は(II)で示される化合物の幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、Hである)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、H又はFである)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、Hである)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、H、F、OCH及びCHからなる群から選択される)である。幾つかの実施態様では、環Bは、フェニル(即ち、各A~Aは、独立して、CRである)である。幾つかの実施態様では、各A~Aは、CHである。
【0089】
式(I)又は(II)で示される化合物の幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;そして、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキル、又は場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Hである。幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Fである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、C-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、C-Cアルキル(例えば、メチル)である。
【0090】
式(I)又は(II)について記載されるA~Aのそれぞれの及び全ての変形体(適用可能な場合、R及びRの変形体を含む)を、式(I)若しくは(II)について記載されるA~Aのそれぞれの及び全ての変形体と、並びに式(I)若しくは(II)について記載されるR4a、R4b及びRのそれぞれの及び全ての変形体、又は本明細書に記載される任意の変形体と、それぞれの及び全ての組み合わせが個々に記載されているかのように組み合わせ得ることが意図され、そして、理解される。例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の幾つかの実施態様では、環Aは、チアゾール(例えば、Aは、CRであり、Aは、Sであり、Aは、Cであり、そして、Aは、Nである)であり;環Bは、フェニル(例えば、各A~Aは、CHである)であり;各R4a及びR4bは、Hであり;そして、Rは、メチルである。
【0091】
幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、式(A):
【化9】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
は、NR又はCRであり;
は、NR、S又はCRであり;
は、N又はCであり;
各Rは、独立して、H、ハロゲン、-NR、-NHC(O)NR、-NHS(O)-C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されており;Rの前記C-Cシクロアルキルは、場合によりF、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されており;Rの前記C-Cアルコキシは、場合によりF、OH、CN又はSHによって置換されており;そして、Rの前記3~11員のヘテロシクリルは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されており;
各Rは、独立して、H、NR、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されているか;又は
及びRは、これらが結合している原子と共に、C-Cシクロアルキル、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される環状基を形成し、前記環式基は、場合によりRによって置換されており;
各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;
は、C-Cアルキル又はC-Cシクロアルキルであり、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、独立して、場合によりハロゲン、OH又はC-Cアルコキシによって置換されており;
nは、0、1、2、3又は4であり;
各Rは、独立して、H、F、Cl、NH、NHCH、N(CH、OH、OCH、OCHF、OCHF、OCF、SH、SCH、SCHF、SCHF、CN、CH、CHF、CHF、CHOH、CF、NO及びNからなる群から選択され;
は、H、及び場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルキル、C(O)R、フェニル及び3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択され、Rは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C-Cアルキル、-(X0-1-C-C10シクロアルキル、-O-C-C10シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X0-1-C-C10シクロアルキル、-C(=O)(X0-1-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、-(X0-1-C(=Y)H、-(X0-1-C(=NOH)R1a、-(X0-1-C(=NOR1b)R1a、-(X0-1-NHC(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-NHC(=Y)NH、-(X0-1-NHC(=Y)N(R1b)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-N(R1a)C(=Y)NH、-(X0-1-OC(=Y)R1a、-(X0-1-OC(=Y)H、-(X0-1-OC(=Y)OR1a、-(X0-1-OP(=Y)(OR1a)(OR1b)、-(X)-SC(=Y)OR1a及び-(X)-SC(=Y)N(R1a)(R1b)からなる群から選択され;Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cシクロアルキル、(C-Cシクロアルキレン)C-Cアルキル、3~11員のヘテロシクリル、(3~11員のヘテロシクリレン)C-Cアルキル、フェニル及び(C-C10アリーレン)C-Cアルキルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、これらが結合している窒素と共に、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリルを形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、独立して、ハロゲン、CN、NO、SF、OH、NH、-N(C-Cアルキル)、-NH(C-Cアルキル)、オキソ、C-Cアルキル、-(C-Cアルキニレン)-(3~11員のヘテロシクリル(前記ヘテロシクリルは、場合によりRによって置換されている))、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cヘテロアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルチオ、C-Cシクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル、-C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-C(=O)N(C-Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)OC-Cアルキル、-C(=O)OH、-N(H)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)(C-Cアルキル)、-N(H)C(=O)OC-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)C(=O)OC-C(ハロ)アルキル、-S(O)1-2-Cアルキル、-N(H)S(O)1-2-Cアルキル、-N(C-Cアルキル)S(O)1-2-Cアルキル、-S(O)0-1N(H)(C-Cアルキル)、-S(O)0-1N(C-Cアルキル)、-S(O)0-1NH、-C(=O)C-Cアルキル、-C(=O)C-Cシクロアルキル、-C(=NOH)C-Cアルキル、-C(=NOC-Cアルキル)C-Cアルキル、-NHC(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-NHC(=O)N(C-Cアルキル)、-NHC(=O)NH、-N(C-Cアルキル)C(=O)N(H)(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(=O)NH、-OC(=O)C-Cアルキル、-OC(=O)OC-Cアルキル、-OP(=O)(OC-Cアルキル)、-SC(=O)OC-Cアルキル及び-SC(=O)N(C-Cアルキル)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換されており、Rの任意のアルキル部分は、場合によりハロゲンで置換されており;
は、ハロゲン、OH、C-Cアルキル及びオキソからなる群から選択され;そして、
は、C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルからなる群から選択され、Rの前記C-Cアルキル及びC-Cシクロアルキルは、場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH又はCFによって置換されていてもよい)
として更に定義される。
【0092】
幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(A)で示されるが、ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NRである;(ii)Aは、NRである;及び(iii)Aは、Nである、
のうちの2個以下に当てはまる。幾つかの実施態様では、前記化合物は、式(A)で示されるが、ただし、(iv)~(vi):
(iv)Aは、CRである;(v)Aは、S又はCRである;及び(vi)Aは、Cである、
のうちの少なくとも1個に当てはまる。
【0093】
幾つかの実施態様では、環Aは、不飽和単環又は不飽和縮合二環である。
【0094】
幾つかの実施態様では、式(A)で示される化合物は、式(Aa):
【化10】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b、R、R及びnは、式(A)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0095】
幾つかの実施態様では、式(A)で示される化合物は、式(Aa-1):
【化11】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b、R、R及びnは、式(A)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0096】
幾つかの実施態様では、式(A)で示される化合物は、式(Aa-2):
【化12】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b、R、R及びnは、式(A)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0097】
幾つかの実施態様では、式(A)で示される化合物(式中、nは、0である)は、式(B):
【化13】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(A)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0098】
幾つかの実施態様では、式(B)で示される化合物は、式(Ba):
【化14】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(B)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0099】
幾つかの実施態様では、式(B)で示される化合物は、式(Ba-1):
【化15】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(B)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0100】
幾つかの実施態様では、式(B)で示される化合物は、式(Ba-2):
【化16】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R4a、R4b及びRは、式(B)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0101】
本発明の一態様は、式(C):
【化17】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、
環Aは、単環又は縮合二環であり;
は、NR又はCRであり;
は、NR、S又はCRであり;
は、N又はCであるが;
ただし、(i)~(iii):
(i)Aは、NRである、(ii)Aは、NRである、及び(iii)Aは、Nである、
のうちの1個以下に当てはまり;
各Rは、独立して、-NR;場合によりF、OH、CN、SH又はC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキルであるか;又はR(存在する場合)及びこれらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている6員ヘテロシクリルを形成し;
各Rは、独立して、存在しないか、又はR及びこれらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている6員ヘテロシクリルを形成し;
nは、0又は1であり;
は、存在する場合、ハロであり;
各R及びRは、独立して、H及びC-Cアルキルからなる群から選択され;そして、
各Rは、独立して、場合によりハロゲンによって置換されているC-Cアルキル、及び場合によりハロゲンによって置換されているC-Cアルコキシからなる群から選択される)
を提供する。
【0102】
式(C)で示される化合物では、(i)~(iii):
(i)Aは、NRである;(ii)Aは、NRである;及び(iii)Aは、Nである、
のうちの1個以下に当てはまることが理解される。また、式(C)で示される化合物では、(iv)~(vi):
(iv)Aは、CRである;(v)Aは、S又はCRである;及び(vi)Aは、Cである、
のうちの少なくとも2個に当てはまることが理解される。
【0103】
幾つかの実施態様では、環Aは、不飽和単環又は不飽和縮合二環である。
【0104】
幾つかの実施態様では、式(C)で示される化合物は、式(Ca):
【化18】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R及びnは、式(C)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0105】
幾つかの実施態様では、式(C)で示される化合物は、式(Ca-1):
【化19】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R及びnは、式(C)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0106】
幾つかの実施態様では、式(C)で示される化合物は、式(Ca-2):
【化20】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A、A、R及びnは、式(C)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0107】
幾つかの実施態様では、式(C)で示される化合物(式中、nは、0である)は、式(D):
【化21】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A及びAは、式(C)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0108】
幾つかの実施態様では、式(D)で示される化合物は、式(Da):
【化22】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A及びAは、式(D)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0109】
幾つかの実施態様では、式(D)で示される化合物は、式(Da-1):
【化23】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A及びAは、式(D)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0110】
幾つかの実施態様では、式(D)で示される化合物は、式(Da-2):
【化24】

で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩(式中、A、A及びAは、式(D)について定義されるとおりである)、或いはその任意の変形体として更に定義される。
【0111】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の適用可能な変形体、或いはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の幾つかの実施態様では、環Aは、単環である。幾つかの実施態様では、Aは、NRである。幾つかの実施態様では、Aは、CRである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、NHである。幾つかの実施態様では、Aは、NRである。幾つかの実施態様では、Aは、Sである。幾つかの実施態様では、Aは、Cである。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、Sであり、そして、Aは、Cである。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、NHである)であり、Aは、Sであり、そして、Aは、Cである。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、NRであり、そして、Aは、Cである。
【0112】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の適用可能な変形体、或いはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)の幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、NHC(O)NR;NHS(O)CH;C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されているC-Cアルキル;及びC-Cアルキルによって置換されている3~11員のヘテロシクリルからなる群から選択される)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、NHC(O)NRである)である。これら実施態様のうちの幾つかでは、R及びRは、独立して、H及びC-Cアルキルからなる群から選択される。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、NHS(O)CHである)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、C-Cアルキルによって置換されている3~11員のヘテロシクリルである)である。幾つかの実施態様では、Aは、CR(式中、Rは、C-Cアルコキシ又は3~11員のヘテロシクリルによって置換されているC-Cアルキルである)である。
【0113】
幾つかの実施態様では、Rは、H、F及びClからなる群から選択される。
【0114】
幾つかの実施態様では、Rは、NRである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、H又はC-Cアルキルである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、H;場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH若しくはCFによって置換されているC-Cアルキル;又は場合によりC-Cアルコキシ、F、OH、CN、SH、CH若しくはCFによって置換されている3~11員のヘテロシクリルである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、C(O)Rである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりFによって置換されているC-Cシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、NHである。
【0115】
幾つかの実施態様では、Aは、NRである。幾つかの実施態様では、Aは、NRであり、Aは、CRであり、そして、Aは、Cである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、H又はC-Cアルキルである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Rは、C-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、AはCRである。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、Aは、CRであり、そして、Aは、Nである。幾つかの実施態様では、Aは、CRであり、そして、Aは、CRである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Aは、CR(式中、Rは、H又は-OCHである)である。
【0116】
幾つかの実施態様では、Rは、場合によりF、OH、CN、SH、C-Cアルコキシ若しくは3~11員のヘテロシクリルによって置換されているC-Cアルキル;場合によりF、OH、CN、SH、CH若しくはCFによって置換されているC-Cシクロアルキル;又はC-Cアルコキシである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりF、OH、CN、SH又はC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキルである。
【0117】
幾つかの実施態様では、Rは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されている3~11員のヘテロシクリルである。
【0118】
幾つかの実施態様では、Rは、場合によりF、OH、CN、SH、CF又はC-Cアルキルによって置換されている5~6員のヘテロアリールである。
【0119】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化25】

(式中、波線は、親構造におけるRの結合点を表す)
からなる群から選択される。
【0120】
幾つかの実施態様では、Rは、H、NH、CH及びシクロプロピルからなる群から選択される。他の実施態様では、Rは、C-C11ヘテロシクロアルキルである。
【0121】
幾つかの実施態様では、Aは、NR又はCRであり;そして、Aは、NR又はCRである。
【0122】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその任意の適用可能な変形体、或いはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の幾つかの実施態様では、環Aは、縮合二環である。幾つかの実施態様では、Aは、NR又はCRであり、Aは、NR又はCRであり、そして、R及びRは、これらが結合している原子と共に、場合によりRによって置換されている3~11員のヘテロシクリルを形成する。これら実施態様のうちの幾つかでは、Aは、CRであり、Aは、CRであり、そして、Aは、Nである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Aは、NRであり、Aは、CRであり、そして、Aは、Cである。これら実施態様のうちの幾つかでは、Aは、CRであり、Aは、NRであり、そして、Aは、Cである。
【0123】
幾つかの実施態様では、R及びRは共に、以下:
【化26】

の環状基(式中、アスタリスクは、環Aに対する環縮合点を示す)を形成し、そして、各環状基は場合によりRによって置換されている。
【0124】
幾つかの実施態様では、R及びRは共に、以下:
【化27】

の環状基(式中、アスタリスクは、環Aに対する環縮合点を示す)を形成し、そして、各環状基は、場合によりRによって置換されている。
【0125】
幾つかの実施態様では、R及びRは、これらが結合している原子と共に以下:
【化28】

の環状基(式中、アスタリスクは、環Aに対する環縮合点を示す)を形成し、そして、各環状基は、場合によりRによって置換されている
【0126】
幾つかの実施態様では、R及びRは共に、非置換環状基を形成する。幾つかの実施態様では、R及びRは、これらが結合している原子と共に、非置換6員ヘテロシクリル基を形成する。
【0127】
幾つかの実施態様では、環Aは、
【化29】

(式中、各mは、独立して、0、1、2又は3である)
からなる群から選択される。
【0128】
幾つかの実施態様では、環Aは、
【化30】

である。
【0129】
幾つかの実施態様では、環Aは、
【化31】

からなる群から選択される。
【0130】
幾つかの実施態様では、Rは、OH、CN、F、C-Cアルコキシ、-O-C-Cアルキル-フェニル、NR、4~6員のヘテロシクリル、C(O)R、C(O)、及び場合によりOH、CN又は4~6員のヘテロシクリルによって置換されているC-Cアルキルからなる群から選択される。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりハロゲンによって置換されているC-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、C-Cアルコキシ(例えば、OCH)である。
【0131】
幾つかの実施態様では、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、-(X0-1-CN、-(X0-1-NO、-(X0-1-SF、-(X0-1-OH、-(X0-1-NH、-(X0-1-N(H)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)(R1a)、-(X0-1-CF、C1-アルキル、C1-ハロアルキル、C1-ヘテロアルキル、C1-アルコキシ、C1-アルキルチオ、オキソ、-(X0-1-C1-アルキル、-(X0-1-C3-シクロアルキル、-(X0-1-3~11員のヘテロシクリル(例えば、4~7員のヘテロシクロアルキル又は5~6員のヘテロアリール)、-(X0-1-C-C10アリール、-C(=O)(X-C3-シクロアルキル、-C(=O)(X-3~11員のヘテロシクリル、-(X0-1-C(=Y)N(H)(R1a)、-(X0-1-C(=Y)NH、-(X0-1-C(=Y)N(R1a)(R1b)、-(X0-1-C(=Y)OR1a、-(X0-1-C(=Y)OH、-(X0-1-N(H)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(R1a)、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)(H)、-(X0-1-N(H)C(=Y)OR1a、-(X0-1-N(R1b)C(=Y)OR1a、-(X0-1-S(O)1-21a、-(X0-1-N(H)S(O)1-21a、-(X0-1-N(R1b)S(O)1-21a、-(X0-1-S(O)0-1N(H)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1N(R1b)(R1a)、-(X0-1-S(O)0-1NH、-(X0-1-S(=O)(=NR1b)R1a、-(X0-1-C(=Y)R1a、及び-(X0-1-C(=Y)Hからなる群から選択され、Xは、C-Cアルキレン、C-Cヘテロアルキレン、C-Cアルケニレン、C-Cアルキニレン、C-Cアルキレンオキシ、C-Cシクロアルキレン、3~11員のヘテロシクリレン及びフェニレンからなる群から選択され;R1a及びR1bは、それぞれ独立して、C1-アルキル、C1-ハロアルキル、C1-ヘテロアルキル、C3-シクロアルキル、3~11員のヘテロシクリル及びフェニルからなる群から選択されるか、又はR1a及びR1bは、同じ窒素原子に結合する場合、場合により、組み合わされて、N、O及びSから選択される0~3個の更なるヘテロ原子を含む3~11員のヘテロシクリル(例えば、4~7員のヘテロシクロアルキル又は5~6員のヘテロアリール)を形成し;Yは、O、NR1c又はSであり、R1cは、H又はC-Cアルキルであり;R1a、R1b及びR1cを含むR又はR置換基の任意の部分は、各出現時に、それぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、OH、NH、-N(C1-アルキル)、-NH(C1-アルキル)、オキソ、C1-アルキル、C1-ハロアルキル、C1-ヒドロキシアルキル、C1-ヘテロアルキル、C1-アルコキシ、C1-アルキルチオ、C3-シクロアルキル又は3~11員のヘテロシクリル(例えば、4~7員のヘテロシクロアルキル又は5~6員のヘテロアリール)からなる群から選択される0~4個のR置換基によって更に置換される。
【0132】
式(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)若しくは(Ca-2)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の幾つかの実施態様では、nは、0、1又は2であり、そして、各Rは、独立して、F、Cl、OCH、CH及びCFからなる群から選択される。幾つかの実施態様では、nは、0である。幾つかの実施態様では、nは、1である。幾つかの実施態様では、nは、1であり、そして、Rは、Fである。
【0133】
幾つかの実施態様では、nは、1であり、そして、R基を有する環(環B)は、
【化32】

である。
【0134】
幾つかの実施態様では、nは、2であり、そして、2個の独立して選択されるR基を有する環(環B)は、
【化33】

である。
【0135】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)若しくは(Ba-2)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の化合物の幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、独立して、H又はFであり;そして、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキル、又は場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Hである。幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Fである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、場合によりハロゲン、OH若しくはC-Cアルコキシによって置換されているC-Cシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、C-Cアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、C-Cアルキル(例えば、メチル)である。
【0136】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)若しくは(Ba-2)について記載されるA~Aのそれぞれの及び全ての変形体(適用可能な場合、R及びRの変形体を含む)を、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)若しくは(Ba-2)について記載されるR4a、R4b及びRのそれぞれの及び全ての変形体と、それぞれの及び全ての組み合わせが個々に記載されているかのように組み合わせ得ることが意図され、そして、理解される。例えば、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)若しくは(Ba-2)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Hであり;Rは、メチルであり;そして、環Aは、
【化34】

からなる群から選択される。
【0137】
幾つかの実施態様では、ヘテロシクリル基は、1~3個の窒素原子、1個の酸素原子、若しくは1個のイオウ原子、又はこれらの任意の組み合わせを含有する。
【0138】
幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、以下:
【化35】

のうちの任意の1個以上として定義される。
【0139】
幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、以下:
【化36】

のうちの任意の1個以上として定義される。
【0140】
幾つかの実施態様は、本発明の化合物と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。本明細書中に記載される化合物又は医薬組成物は、治療(例えば、ガン、線維性病態又は炎症性病態(例えば、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス、腎外ループス又はループス腎炎)、COPD、鼻炎、多発性硬化症、IBD、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応)の処置)において使用することができる。また、炎症性病態(例えば、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス、腎外ループス又はループス腎炎)、COPD、鼻炎、多発性硬化症、IBD、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応)を処置するための医薬を調製するための、本明細書中に記載される化合物又は医薬組成物の使用も提供される。
【0141】
また、患者における炎症性病態を処置するための方法であって、有効量の本明細書中に記載される化合物又は医薬組成物を患者に投与することを含む、方法も提供される。炎症性病態は、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス、腎外ループス又はループス腎炎)、COPD、鼻炎、多発性硬化症、IBD、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応からなる群から選択することができる。
【0142】
また、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩を含むキットも提供される。また、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩を含む医薬組成物を含むキットも提供される。該キットは、例えば、本明細書中に記載される方法による使用説明書を更に含んでいてもよい。幾つかの実施態様では、該キットは、包装を含む。
【0143】
更に、式(I):
【化37】

(式中、Q、A、A、A、A、A、A、A、R4a、R4b及びRは、上に定義されるとおりである)
で示される化合物を調製する方法であって、
(i)式(I-1):
【化38】

(式中、Xは、-Cl、-Br、-I、-OS(O)CF(即ち、-OTf)、-OC(O)CH(即ち、-OAc)、-OS(O)CH(即ち、-OMs)、-OS(O)(CH)(即ち、-OTs)又は-N (即ち、ジアゾニウム)であり;そして、LGは、脱離基である)
で示される化合物を、式(I-2):
【化39】

で示される化合物と反応させて、式(I-3)
【化40】

で示される化合物を形成することと、
(ii)式(I-3)で示される化合物を式(I)で示される化合物に変換することと
を含む、方法が提供される。
【0144】
該調製の方法の幾つかの実施態様では、Qは、Cである。
【0145】
幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物を調製する方法は、
(i)式(I-4):
【化41】

(式中、R4a、R4b及びRは、上に定義されるとおりである)
で示される化合物をビス(トリメチルシリル)ペルオキシドと反応させて、式(I-5):
【化42】

で示される化合物を形成する工程と、
(ii)式(I-5)で示される化合物を式(I-2)で示される化合物に変換する工程と
を更に含む。
【0146】
また、式(A):
【化43】

(式中、A、A、A、R4a、R4b、R、R及びnは、上に定義されるとおりである)
で示される化合物を調製する方法であって、
(i)式(A-1):
【化44】

(式中、Xは、-Cl、-Br、-I、-OS(O)CF(即ち、-OTf)、-OC(O)CH(即ち、-OAc)、-OS(O)CH(即ち、-OMs)、-OS(O)(CH)(即ち、-OTs)又は-N (即ち、ジアゾニウム)であり;そして、LGは、脱離基である)
で示される化合物を、式(A-2):
【化45】

で示される化合物と反応させて、式(A-3):
【化46】

で示される化合物を形成することと、
(ii)式(A-3)で示される化合物を式(A)で示される化合物に変換することと
を含む、方法も提供される。
【0147】
これら実施態様のうちの幾つかでは、nは、0(即ち、Rは、存在しない)である。
【0148】
幾つかの実施態様では、式(A)で示される化合物を調製する方法は、
(i)式(A-4):
【化47】

(式中、R4a、R4b及びRは、上に定義されるとおりである)
で示される化合物をビス(トリメチルシリル)ペルオキシドと反応させて、式(A-5):
【化48】

で示される化合物を形成する工程と、
(ii)式(I-5)で示される化合物を式(A-2)で示される化合物に変換する工程と
を更に含む。
【0149】
式(I)又は(A)で示される化合物を製造する方法の幾つかの実施態様では、各R4a及びR4bは、Hであり;そして、Rは、メチルである。
【0150】
更に、式(C):
【化49】

(式中、A、A、A、R及びnは、上に定義されるとおりである)
で示される化合物を調製する方法であって、
(i)式(C-1):
【化50】

(式中、Xは、-Cl、-Br、-I、-OS(O)CF(即ち、-OTf)、-OC(O)CH(即ち、-OAc)、-OS(O)CH(即ち、-OMs)、-OS(O)(CH)(即ち、-OTs)又は-N (即ち、ジアゾニウム)であり;そして、LGは、脱離基である)
で示される化合物を、式(C-2):
【化51】

で示される化合物と反応させて、式(C-3):
【化52】

で示される化合物を形成することと、
(ii)式(C-3)で示される化合物を式(C)で示される化合物に変換することと
を含む、方法が提供される。
【0151】
これら実施態様のうちの幾つかでは、nは、0(即ち、Rは、存在しない)である。
【0152】
幾つかの実施態様では、式(C)で示される化合物を調製する方法は、
(i)式(1):
【化53】

で示される化合物をビス(トリメチルシリル)ペルオキシドと反応させて、式(2):
【化54】

で示される化合物を形成する工程と、
(ii)式(2)で示される化合物を式(C-2)で示される化合物に変換する工程と
を更に含む。
【0153】
ビス(トリメチルシリル)ペルオキシドを用いて、式(1)で示される化合物の式(2)で示される化合物へのアルファ-ヒドロキシル化を実施した。アミド及びラクタムの化合物をアルファ-ヒドロキシル化するためにより一般的に使用される試薬は、Davis試薬(3-フェニル-2-(フェニルスルホニル)-1,2-オキサジリジン)及び関連するN-スルホニルオキサジリジン化合物である。しかし、式(1)で示される化合物をDavis試薬と反応させることによって式(2)で示される化合物を生成しようとする試みは、不成功であった。アミド及びラクタムのアルファ-ヒドロキシル化には、無機ペルオキシド(例えば、Vedejs試薬)も有用である。Davis, F. A. et al.Tetrahedron Lett.1978, 19, 5171、Davis, F. A. et al.J. Org.Chem.1984, 49, 3241、Davis, F. A. et al.J. Am. Chem.Soc.1990, 112, 6679、及びDavis, F. A. et al.Chem.Rev. 1992, 92, 919;Pohmakotr, M. et al.Synth.Commun., 1988, 18(16-17), 2141-6;Wagnieres, O. et al.J. Am. Chem. Soc., 2014, 136(42), 15102-15108;並びにSears, J. E. et al. Org. Lett., 2015, 17(21), 5460-5463を参照されたい。
【0154】
式(I-1)で示される化合物又はその変形体(例えば、式(A-1)又は(C-1))と式(I-2)で示される化合物又はその変形体(例えば、式(A-2)又は(C-2)で示される化合物)との間のカップリング反応は、当技術分野において公知のカップリング方法(例えば、鈴木反応又は薗頭反応)を用い、そして、公知の試薬及び触媒を使用して実施してもよい。幾つかの実施態様では、この調製方法は、Fe、Pd、Ni、Co、Fe、Cu、及びこれらの組み合わせから選択される金属を含む金属触媒の存在下で、式(I-1)で示される化合物又はその変形体(例えば、式(A-1)又は(C-1))を式(I-2)で示される化合物又はその変形体(例えば、式(A-2)又は(C-2)で示される化合物)と反応させることを含む。幾つかの実施態様では、金属触媒は、Pd、Ni、Fe又はCuを含む。幾つかの実施態様では、触媒混合物は、Fe/Cu混合物、Pd/Cu混合物、Ni/Cu混合物又はCo/Cu混合物を含む。幾つかの実施態様では、触媒は、Pd(単独);Ni(単独);Fe(単独)又はCu(単独)を含む。これら触媒は、当技術分野において公知の好適な配位子及び試薬と共に使用してもよい。
【0155】
当業者は、鈴木反応、及びこのような反応において使用される試薬をよく知っている。Suzuki, J. Organometallic Chem., 576:147-168 (1999) を参照されたい。パラジウム触媒の非限定的な例は、Pd(PPh、Pd(OAc)及びPd(PPhClを含む。銅触媒の非限定的な例は、酢酸銅(II)である。塩基の非限定的な例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸セシウム、又はこれらの混合物を含む。幾つかの実施態様では、酢酸銅(II)及び塩基としてのピリジンは、当技術分野において公知であるとおりChan-Lamカップリング条件下で使用される。例えば、インダゾール又はアザ-インダゾールにおける炭素-窒素結合は、Chan-Lamカップリング条件を用いて形成され得る。トルエン、THF、ジオキサン、1,2-ジクロロエタン、DMF、DMSO及びアセトニトリルを含む様々な有機溶媒を使用してもよい。反応温度は条件に応じて変動するが、典型的には、室温~150℃の範囲である。
【0156】
薗頭反応において使用される試薬、触媒及び配位子は、当技術分野において公知であり、Rafael Chinchilla, Carmen Najera, Chem. Soc. Rev., 2011, 40:5084-5121及びMarc Schilz, Herbert Plenio, J. Org. Chem., 2012, 77 (6):2798-2807を参照されたい。
【0157】
本明細書中に記載される合成方法において有用な脱離基(LG)は、これらに限定されるものではないが、アルコキシ(例えば、-OCH)、ハロゲン(例えば、-F、-Cl、-Br、-I)、-CN、-O-ヘテロアリール(例えば、-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)及び-O-(N-スクシンイミジル))、-O-アリール(例えば、-OC)、N-イミダゾリル、-O-アシル、並びにチオールを含む。当技術分野において公知の他の好適な脱離基(LG)(例えば、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 4thedition, Wiley-Interscience, New York, 2006に記載されている脱離基)を該方法において使用してもよい。
【0158】
幾つかの実施態様では、該調製方法は、式(I-1)で示される化合物又はその変形体(例えば、式(A-1)又は(C-1))を製造する工程を更に含む。幾つかの実施態様では、該方法は、式(I-2)で示される化合物又はその変形体(例えば、(A-2)又は(C-2)で示される化合物)を製造する工程を更に含む。
【0159】
式(I-2)又は(A-2)若しくは(C-2)で示される合成中間体は、当技術分野において公知の方法(例えば、Angew.Chem.Int’l Ed., 2015, 40:11826 - 11829.)及び本明細書中に記載される合成手順を使用して合成してもよい。例えば、式(C-2)で示される化合物は、スキーム1又は2に従って合成してもよい。
【化55】

【化56】
【0160】
式(I-2)で示される化合物(式中、R4a及びR4bは、Fである)は、出発物質として6,6-ジフルオロ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルを使用するスキーム1、又は出発物質として2,2-ジフルオロシクロプロパン-1-アミンを使用するスキーム2と同様のプロセスに従って合成してもよい。式(I-2)で示されるジフルオロ化合物を式(I-1)で示される化合物と反応させて、式(I)で示される化合物(式中、R4a及びR4bは、Fである)又はその塩(例えば、化合物8~12又はその塩)を生成することができる。
【0161】
幾つかの実施態様では、本発明は、表1中の化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩から選択される化合物を提供する。幾つかの実施態様では、表1中の化合物、又はその立体異性体、互変異性体若しくは塩から選択される化合物が提供される。また、本発明は、表1に記載されている化合物の非立体特異的形態、又はその立体異性体の混合物若しくはその塩を意図する。
【表1】

【0162】
幾つかの実施態様では、本発明は、実施例の化合物を提供する。
【0163】
幾つかの実施態様では、該化合物は、化合物番号1~12又はその塩から選択される。幾つかの実施態様では、該化合物は、化合物番号1~5又はその塩から選択される。幾つかの実施態様では、該化合物は、化合物番号6又はその塩から選択される。
【0164】
本発明の4-アルキニル-4-ヒドロキシ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物は、対応する3-アルキニル-3-ヒドロキシ-ピロリジン-2-オンアナログに対して優れた代謝安定性を示す。例えば、化合物番号1~6は、代謝安定性を改善することが見出されており、そして、一般的に、表2に示される対応する比較化合物よりもヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞において低いクリアランスを有する。したがって、本発明の2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンNIK阻害剤化合物は、NIK阻害に応答するヒト被験体における疾患又は病態(例えば、炎症性病態又はガン)を処置するための使用において有利であり得る。薬物化合物の代謝安定性は、公知の方法を用いて(例えば、Halladay, et al. Drug Metabol.Lett.2007, 1:67-72;Hallifax, et al.Drug Metabol.Disposition, 2005, 33:1852-1858;及びLiu, et al.Drug Metabol.Disposition, 2011, 39:1840-1849に記載されているプロトコールに従ってヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞において)評価することができる。
【表2】
【0165】
NIK阻害剤の合成
【0166】
本発明の中間体及び化合物を調製するための方法を以下の実施例の章に提示する。当業者であれば、他の合成経路を用いて本発明の化合物を合成してもよいと理解するであろう。具体的な出発物質及び試薬をスキームに示し、そして、以下で論じるが、様々な誘導体又は反応条件を提供するために、他の出発物質及び試薬に容易に置き換えることができる。更に、以下に記載する方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学を用いて本開示を考慮して更に改変することができる。
【0167】
出発物質は、Aldrich Chemicals (Milwaukee, WI) 等の商業的供給元から一般的に入手可能であるか、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-23, Wiley, N.Y. (1967-2006 ed.)、又はBeilstein’s Handbuch der organishcen chemie, 4, Aufl. Ed. Springer-Verlag, Berlin(Beilsteinオンラインデータベースを介して含まれる補遺も含む)に概説的に記載されている方法によって調製される)。
【0168】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)若しくは(Da-2)で示される化合物の調製では、中間体の遠隔官能基(例えば、一級又は二級のアミン)の保護が必要になり得る。このような保護の必要性は、遠隔官能基の性質及び調製方法の条件に依存して変動する。このような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。例示的な保護基は、本明細書中に提供される。保護基及びその使用に関する一般的な説明については、P.G.M.Wuts and T.W.Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 4th edition, Wiley-Interscience, New York, 2006を参照されたい。
【0169】
当業者に周知の方法によって(例えば、クロマトグラフィー又は分別結晶化等によって)、ジアステレオマー混合物を、それらの物理化学的差異に基づいて、それらの個々のジアステレオ異性体に分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャー酸塩化物等のキラル補助基)と反応させることによって鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、そして、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分離することができる。また、本発明の化合物の幾つかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、そして、本発明の一部として考慮される。また、鏡像異性体は、キラルHPLCカラム又は超臨界流体クロマトグラフィーの使用によって分離することもできる。
【0170】
実質的にその立体異性体を含まない単一の立体異性体(例えば、鏡像異性体)は、光学活性分割剤を用いてジアステレオマーを形成する等の方法を用いてラセミ混合物を分割することによって得てもよい(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994;Lochmuller, C. H., J. Chromatogr., 113(3):283-302 (1975))。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、以下を含む任意の好適な方法によって分離及び単離することができる:(1)キラル化合物を用いてイオン性ジアステレオマー塩を形成し、そして、分別結晶化又は他の方法によって分離する、(2)キラル誘導体化試薬を用いてジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして、純粋な立体異性体に変換する、及び(3)キラル条件下で直接、実質的に純粋な又は濃縮された立体異性体を分離する。Drug Stereochemistry, Analytical Methods and Pharmacology, Irving W. Wainer, Ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1993) を参照されたい。
【0171】
鏡像異性的に純粋なキラル塩基(例えば、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α-メチル-β-フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等)を、酸性官能基(カルボン酸及びスルホン酸等)を有する不斉化合物と反応させることによって、ジアステレオマー塩を形成することができる。該ジアステレオ性の塩を誘導して、分別結晶化又はイオンクロマトグラフィーによって分離してもよい。アミノ化合物の光学異性体の分離については、キラルカルボン酸又はスルホン酸(ショウノウスルホン酸、酒石酸、マンデル酸又は乳酸等)の付加が、ジアステレオマー塩の形成をもたらすことができる。
【0172】
或いは、分割されるべき基質を、キラル化合物のうちの一方の鏡像異性体と反応させて、ジアステレオマー対を形成する(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994, p. 322)。不斉化合物を鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬(メンチル誘導体等)と反応させ、次いで、ジアステレオマーを分離し、そして、加水分解して、純粋な又は濃縮された鏡像異性体を得ることによって、ジアステレオマー化合物を形成することができる。光学純度を決定する方法は、塩基又はモッシャーエステル(α-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニルアセタート)(Jacob, J. Org.Chem.47:4165 (1982))の存在下で、ラセミ混合物のキラルエステル(例えば、メンチルエステル(例えば、(-)メンチルクロロホルマート等))を製造し、そして、2種のアトロプ異性の鏡像異性体又はジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することを含む。アトロプ異性ナフチルイソキノリンを分離するための方法に従って、順相及び逆相のクロマトグラフィーによってアトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーを分離及び単離することができる(国際公開公報第96/15111号)。方法(3)によって、キラル固定相を用いるクロマトグラフィーによって2種の鏡像異性体のラセミ混合物を分離することができる(Chiral Liquid Chromatography W. J. Lough, Ed., Chapman and Hall, New York, (1989);Okamoto, J. of Chromatogr.513:375-378 (1990))。濃縮又は精製された鏡像異性体は、旋光性及び円偏光二色性等の、不斉炭素原子を有する他のキラル分子を区別するために用いられる方法によって区別することができる。キラル中心及び鏡像異性体の絶対立体化学は、x線結晶構造解析によって決定することができる。
【0173】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物の位置異性体(例えば、E型及びZ型)、並びにこれらを合成するための中間体は、NMR及び分析HPLC等の特性評価方法によって観察してもよい。相互変換のためのエネルギー障壁が十分に高いある化合物については、例えば、分取HPLCによって、E異性体及びZ異性体を分離してもよい。
【0174】
医薬組成物及び投与
【0175】
本発明が関係する化合物は、NIK阻害剤であり、そして、例えば、ガン又は炎症性病態等の幾つかの疾患の処置において有用である。
【0176】
また、本発明は、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む組成物及び医薬も提供する。本発明の組成物は、例えばNIK活性を阻害することによって、哺乳類(例えば、ヒト患者)におけるNF-kBシグナル伝達活性を阻害するために使用することができる。
【0177】
「薬学的に許容し得る」によって、担体、希釈剤又は賦形剤が、処方物の他の成分と適合しなければならず、そして、そのレシピエントにとって有害であってはならないことが意味される。
【0178】
一実施態様では、本発明は、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物(又は医薬)を提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明の化合物を含む組成物(又は医薬)の調製を提供する。別の実施態様では、本発明は、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体、及び式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を含む組成物を、それを必要としている哺乳類(例えば、ヒト患者)に投与することを提供する。
【0179】
組成物は、良質の医療実施基準(good medical practice)に合致するように処方化、調薬及び投与される。この状況において考慮すべき要因は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に公知の他の要因を含む。投与される化合物の有効量は、このような考慮事項によって決定され、そして、非所望の疾患又は障害(例えば、神経変性、アミロイドーシス、神経原線維変化の形成、又は非所望の細胞成長(例えば、ガン細胞の成長))を予防又は処置するために必要となる、NIK活性を阻害するのに必要な最低量である。例えば、このような量は、正常細胞、又は哺乳類全身に対して毒性のある量を下回り得る。
【0180】
一例では、1用量当たりの非経口的に投与される本発明の化合物の治療的な有効量は、1日当たり約0.01~100mg/kg、或いは、例えば、約0.1~20mg/kg(患者の体重)(例えば、0.3~15mg/kg/日)の範囲である。一日用量は、ある実施態様では、単一の一日用量として、若しくは1日に2~6回分割量で、又は徐放性形態で与えられる。70kgの成人の場合、合計一日用量は、一般的に、約7mg~約1,400mgになる。この投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整してもよい。化合物は、1日当たり1~4回、好ましくは1日当たり1回又は2回のレジメンで投与してもよい。
【0181】
本発明の化合物は、任意の簡便な投与形態(例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等)で投与してもよい。このような組成物は、医薬製剤で従来的な成分(例えば、希釈剤、担体、pH改変剤、甘味剤、増量剤及び更なる活性剤)を含有してもよい。
【0182】
本発明の化合物は、任意の好適な手段(経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸内、膣内、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外、並びに鼻腔内、並びに、局所処置が望まれる場合、病巣内投与を含む)によって投与してもよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下への投与が含まれる。
【0183】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を含む組成物は、通常、標準的な薬務に従って医薬組成物として処方化される。典型的な処方物は、本発明の化合物と、希釈剤、担体又は賦形剤とを混合することにより調製される。好適な希釈剤、担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al.Remington: The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。また、処方物は、薬物(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗礼された体裁を提供するためか又は医薬品(即ち、医薬)の製造を補助するために、1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agent)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、着香剤、希釈剤、及び他の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0184】
好適な担体、希釈剤及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、炭水化物、ワックス、水溶性又は水膨潤性のポリマー、親水性又は疎水性の材料、ゼラチン、油、溶媒、水等の材料を含む。用いられる特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存する。溶媒は、一般的に、哺乳類への投与が安全であると当業者によって認められている(GRAS)溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水等の非毒性水性溶媒、及び水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒である。好適な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)、及びこれらの混合物等を含む。また、処方物は、薬物(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗礼された体裁を提供するためか又は医薬品(即ち、医薬)の製造を補助するために、1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、着香剤、及び他の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0185】
許容し得る希釈剤、担体、賦形剤及び安定剤は、使用される投薬量及び濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、そして、緩衝剤(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸);抗酸化剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む);保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサヘキサメトニウムクロリド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン若しくはイムノグロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリシン);単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖類(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);又は非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG))を含む。また、本発明の活性医薬成分(例えば、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体)は、例えば、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションにおいて、コアセルベーション技術によって又は界面重合によって調製されるマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に封入してもよい。このような技術は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy: Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに開示されている。
【0186】
本発明で示される化合物の徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、該マトリクスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセル等の成形物品の形態である。徐放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号明細書)、L-グルタマート及びガンマ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー、及び酢酸ロイプロリドで構成される注入可能なミクロスフィア)等)及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0187】
処方物は、本明細書中に詳述される投与経路に好適なものを含む。処方物は、簡便に、単位投与形態で提示され得、そして、薬学分野で周知のいずれかの方法によって調製することができる。技術及び処方化は、一般的に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy: Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに見出される。このような方法は、1つ以上の副成分を構成する担体と活性成分を会合させる工程を含む。
【0188】
一般に、処方物は、活性成分を、液体の担体、希釈剤若しくは賦形剤、又は微粉化された固体の担体、希釈剤若しくは賦形剤、或いは両方と共に均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。典型的な処方物は、本発明の化合物と担体、希釈剤又は賦形剤とを混合することによって調製される。処方物は、従来の溶解及び混合の手順を使用して調製することができる。例えば、原薬物質(即ち、本発明の化合物又は該化合物の安定化形態(例えば、シクロデキストリン誘導体又は他の公知の複合体化剤との複合体)を、上記賦形剤のうちの1つ以上の存在下で、好適な溶媒中に溶解させる。薬物の容易に制御可能な投薬を提供し、そして、処方されたレジメンを患者が遵守できるようにするために、本発明の化合物は、典型的には、医薬投与形態に処方化される。
【0189】
一例では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、周囲温度、適切なpH、及び所望の純度において、生理学的に許容し得る担体と混合することによって処方化され得る。処方物のpHは、主に、特定の用途及び化合物の濃度に依存するが、典型的には、約3~約8の範囲のいずれでもよい。一例では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体は、pH5の酢酸バッファ中で処方化される。別の実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、無菌である。該化合物は、例えば、固体又は非晶質の組成物として、凍結乾燥処方物として、又は水溶液として保管してもよい。
【0190】
経口投与に好適な本発明の化合物の処方物は、それぞれが所定の量の本発明の化合物を含有する、丸剤、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の個別の単位として調製することができる。
【0191】
圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤又は分散剤と場合により混合された自由流動形態(粉末又は顆粒等)の活性成分を、好適な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状活性成分の混合物を好適な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、場合によりコーティングするか又は刻み目をつけてもよく、そして、場合によりそれから活性成分が緩徐放出又は制御放出されるように処方化され得る。
【0192】
経口使用のために、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性若しくは油性の懸濁剤、分散性の散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル剤)、シロップ剤又はエリキシル剤を調製することができる。経口使用を意図する本発明の化合物の処方物は、医薬組成物の製造についての技術分野において公知の任意の方法に従って調製することができ、そして、このような組成物は、口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤を含む1種以上の剤を含有してもよい。錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容し得る賦形剤と共に混合された活性成分を含有する錠剤は、許容可能である。これら賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(炭酸カルシウム若しくは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等);造粒剤及び崩壊剤(トウモロコシデンプン又はアルギン酸等);結合剤(デンプン、ゼラチン又はアカシア等);及び滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等)であってもよい。錠剤は、コーティングしなくてもよいし、消化管における崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたって持続的に作用を提供するためにマイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を、単独で又はワックスと共に使用してもよい。
【0193】
好適な経口投与形態の例は、乳酸無水物 約5~30mg、クロスカルメロースナトリウム 約5~40mg、ポリビニルピロリドン(PVP)K30 約5~30mg及びステアリン酸マグネシウム 約1~10mgが配合された、本発明の化合物 約1mg、5mg、10mg、25mg、30mg、50mg、80mg、100mg、150mg、250mg、300mg及び500mg、又はこの中から得られる任意の範囲を含有する錠剤である。まず、粉末状成分を一緒に混合し、次いで、PVPの溶液と混合する。得られた組成物を乾燥し、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、そして、従来の設備を用いて錠剤形態に圧縮してもよい。エアゾール処方物の例は、本発明の化合物(例えば、5~400mg)を好適な緩衝剤溶液(例えば、リン酸緩衝液)中に溶解させ、必要に応じて、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム等の塩)を添加することによって調製することができる。不純物及び夾雑物を除去するために、該溶液を、例えば、0.2ミクロンのフィルタを用いて濾過してもよい。
【0194】
眼、又は他の外部組織(例えば、口及び皮膚等)を処置するために、処方物は、好ましくは、例えば、0.075~20%w/wの量の活性成分を含有する局所用の軟膏剤又はクリーム剤として塗布される。軟膏剤に処方化する場合、活性成分をパラフィン性又は水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に使用してもよい。或いは、活性成分を水中油型クリーム基剤と共にクリーム剤に処方化してもよい。
【0195】
必要に応じて、クリーム基剤の水相は、多価アルコール(即ち、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)、並びにこれらの混合物等の2個以上のヒドロキシル基を有するアルコール)を含んでいてもよい。局所処方物は、望ましくは、皮膚又は他の患部を通した活性成分の吸収又は透過を促進する化合物を含んでいてもよい。このような皮膚透過促進剤の例は、ジメチルスルホキシド及び関連するアナログを含む。
【0196】
本発明のエマルションの油相は、公知の方法で公知の成分から構成することができる。該相は、単に乳化剤を含んでいてもよいが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と、脂肪若しくは油と又は脂肪及び油の両方との混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。また、油及び脂肪の両方を含むことが好ましい。まとめると、乳化剤は、安定剤と共に又は安定剤なしでいわゆる乳化ワックスを作り出し、そして、該ワックスは、油及び脂肪と共にいわゆる乳化軟膏基剤を作り出し、これが、クリーム処方物の油分散相を形成する。本発明の処方物において使用するために好適な乳化剤及びエマルション安定剤は、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0197】
本発明の化合物の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合された活性物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム)、並びに分散剤又は湿潤剤(例えば、天然のホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン))を含む。また、水性懸濁液は、1つ以上の保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチル又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル)、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、及び1つ以上の甘味剤(例えば、スクロース又はサッカリン)を含有していてもよい。
【0198】
本発明の化合物の処方物は、無菌の注射可能な製剤(無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液等)の形態であってもよい。この懸濁液は、上述の好適な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁化剤を用いて公知の技術に従って処方化することができる。また、無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な液剤又は懸濁剤(例えば、1,3-ブタンジオール中の液剤)であってもよいし、凍結乾燥粉末として調製されてもよい。なかでも、使用することができる許容し得るビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌固定油を従来どおり溶媒又は懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、合成のモノ-又はジグリセリドを含む任意の無刺激固定油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸を、注射可能物質の調製において同様に用いることができる。
【0199】
単一の投与形態を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される宿主及び特定の投与モードに応じて変動する。例えば、ヒトへの経口投与を意図する持続放出処方物は、全組成物の約5~約95%(重量:重量)で変動し得る適切かつ便利な量の担体材料が配合された、活性物質 約1~1000mgを含有し得る。医薬組成物は、投与のために容易に測定可能な量を提供するように調製することができる。例えば、静脈内注入を意図する水溶性液剤は、約30mL/時の速度が生じ得る好適な容量を注入できるように、溶液1ミリリットル当たり活性成分 約3~500μgを含有してもよい。
【0200】
非経口投与に好適な処方物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び処方物と意図するレシピエントの血液とを等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の無菌注射用液剤;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の無菌懸濁剤を含む。
【0201】
眼に局所投与するのに好適な処方物は、活性成分が好適な担体(特に、活性成分用の水性溶媒)中に溶解又は懸濁している点眼剤も含む。活性成分は、好ましくは、約0.5~20%w/w(例えば、約0.5~10%w/w(例えば、約1.5%w/w))の濃度でこのような処方物中に存在する。
【0202】
口腔内に局所投与するのに好適な処方物は、好ましい基剤(通常、スクロース、及びアカシア又はトラガカント)中に活性成分を含むロゼンジ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシア)中に活性成分を含むトローチ剤;並びに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤を含む。
【0203】
直腸内投与用の処方物は、例えばカカオバター又はサリチラートを含む好適な基剤を用いた坐剤として提示されてもよい。
【0204】
肺内又は鼻腔内に投与するのに好適な処方物は、例えば、0.1~500ミクロンの範囲の粒径(0.1~500ミクロンの範囲の粒径、例えば、ミクロンきざみで0.5、1、30ミクロン、35ミクロン等を含む)を有し、これは、肺胞嚢に達するように、鼻孔を通して急速吸入によって又は口を通して吸入によって投与される。好適な処方物は、活性成分の水性又は油性の液剤を含む。エアゾール剤又は乾燥粉末の投与に好適な処方物は、従来の方法に従って調製することができ、そして、後述する疾患の処置においてこれまで使用されている化合物等の他の治療剤と共に送達され得る。
【0205】
膣内投与に好適な処方物は、適切であることが当技術分野において公知であるとおり、活性成分に加えてこのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー処方物として提示され得る。
【0206】
処方物は、密閉アンプル及びバイアル等の単位用量又は多用量用の容器にパッケージ化してもよく、そして、使用直前に注射用の無菌液体担体(例えば、水)の添加のみ要求されるフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管することができる。即時注射用液剤及び懸濁剤は、既に記載した種類の無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製される。好ましい単位用量処方物は、活性成分の、本明細書中に上記したとおりの一日用量若しくは単位一日サブ用量、又はその適切な割合を含有するものである。
【0207】
適応症及び処置方法
【0208】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、NIKの活性を阻害する。したがって、本発明の別の態様では、本発明の化合物を、哺乳類(例えば、ヒト患者)において、NIKの阻害が治療的に有効である患者における疾患及び障害を処置するために使用することができる。例えば、本発明の化合物は、例えばNIKの過剰な活性化を通じた過活動の又は非所望のNF-kBシグナル伝達に関連する哺乳類(例えば、ヒト患者)における疾患又は障害を処置するために有用である。一実施態様では、本発明の化合物は、前記式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体をNIKと接触させることによって、例えばインビトロアッセイ環境においてNIKの活性を阻害するために使用される。例えば、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、インビトロアッセイ環境において対照化合物として使用することができる。
【0209】
別の実施態様では、本発明の化合物は、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を細胞に導入することによって、例えば細胞増殖アッセイにおいてNF-kBの非所望のシグナル伝達を阻害するために使用される。別の実施態様では、本発明は、過活動の又は非所望のNF-kBシグナル伝達に関連する哺乳類(例えば、ヒト患者)における疾患又は障害(例えば、特に、ガン、炎症性疾患)の処置であって、治療的な有効量の本発明の化合物を、それを必要としている哺乳類(例えば、ヒト患者)に投与することを含む方法を提供する。
【0210】
本発明の方法に従って処置可能な疾患及び障害は、ガン、炎症性病態、線維性病態、自己免疫疾患、及び医学的手技後に誘導される増殖(例えば、特に、関節炎、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、外科的血管形成術後に誘導される細胞増殖)を含む。一実施態様では、哺乳類(例えば、ヒト患者)は、本発明の化合物と、薬学的に許容し得る担体、補助剤又はビヒクルとで処置され、該本発明の化合物は、例えば、これに限定されるものではないが、NIKの阻害を通じてNF-kBシグナル伝達を阻害する量で存在する。
【0211】
一実施態様では、本発明の化合物は、細胞増殖性障害の処置において使用することができる。
【0212】
本発明の一実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物によって処置され得るガンは、肺(気管支原性肺ガン(非小細胞肺);消化管-直腸、結腸直腸及び大腸;尿生殖器-腎臓(乳頭状腎細胞ガン);並びに皮膚-頭頸部扁平上皮ガンからなる群から選択される。
【0213】
一実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、頭頸部扁平上皮ガン、組織球性リンパ腫、肺腺ガン、小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン、膵臓ガン、乳頭状腎細胞ガン、肝臓ガン、胃ガン、大腸ガン、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、神経膠芽腫及び乳ガンからなる群から選択されるガンを処置するために使用することができる。
【0214】
一実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、組織球性リンパ腫、肺腺ガン、小細胞肺ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、胃ガン、大腸ガン、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、神経膠芽腫及び乳ガンからなる群から選択されるガンを処置するために使用することができる。
【0215】
一実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、リンパ腫、白血病及び多発性骨髄腫からなる群から選択されるガンを処置するために使用することができる。
【0216】
一実施態様では、本発明は、リンパ腫、白血病又は多発性骨髄腫を処置するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を含む医薬の調製を提供する。
【0217】
一実施態様では、本発明は、リンパ腫、白血病又は多発性骨髄腫の処置であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を投与することを含む、方法を提供する。
【0218】
一実施態様では、本発明の化合物は、これらに限定されるものではないが、ループス(全身性エリテマトーデス、腎外ループス及びループス腎炎を含む)、喘息、COPD、鼻炎、多発性硬化症、IBD、関節炎、胃炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症、移植拒絶反応、心筋梗塞、アルツハイマー病、II型糖尿病、炎症性腸疾患、敗血症、関節硬化症及びアテローム性動脈硬化症を含む炎症性の疾患及び病態を処置するために有用である。
【0219】
一実施態様では、本発明は、炎症性病態を処置するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体の使用を提供する。
【0220】
一実施態様では、本発明は、炎症性病態を処置するための医薬を調製するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書に詳述されるその任意の変形体の使用を提供する。
【0221】
一実施態様では、本発明は、炎症性病態を処置するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を提供する。
【0222】
一実施態様では、本発明は、炎症性病態を処置するための方法であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を、それを必要としている患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0223】
一実施態様では、本発明は、ループス(全身性エリテマトーデス、腎外ループス及びループス腎炎を含む)、COPD、鼻炎、多発性硬化症、IBD、関節炎、関節リウマチ、皮膚炎、子宮内膜症及び移植拒絶反応からなる群から選択される炎症性病態の処置であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を投与することを含む、方法を提供する。
【0224】
一実施態様では、本発明の化合物は、これらに限定されるものではないが、線維症、心内膜心筋線維症、肺線維症、硬化症に続発する肺線維症、嚢胞性線維症、特発性肺線維症及び肝線維症を含む線維性の疾患及び病態を処置するために有用である。
【0225】
一実施態様では、本発明は、線維性病態を処置するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体の使用を提供する。
【0226】
一実施態様では、本発明は、線維性病態を処置するための医薬を調製するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体の使用を提供する。
【0227】
一実施態様では、本発明は、炎症性病態を処置するための、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を提供する。
【0228】
一実施態様では、本発明は、線維性病態を処置するための方法であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を、それを必要としている患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0229】
一実施態様では、本発明は、線維症、心内膜心筋線維症、肺線維症、硬化症に続発する肺線維症、嚢胞性線維症、特発性肺線維症及び肝線維症からなる群から選択される線維症の処置であって、有効量の式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を投与することを含む方法を提供する。
【0230】
組み合わせ
【0231】
式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)及び(Da-2)で示される化合物は、単独で又は処置用の他の治療剤と組み合わせて使用してもよい。一実施態様では、本発明の化合物は、単独で又は化学療法剤と組み合わせて使用してもよい。一実施態様では、本発明の化合物は、単独で又は抗炎症剤と組み合わせて使用してもよい。一実施態様では、本発明の化合物は、単独で又は抗線維化剤と組み合わせて使用してもよい。本発明の化合物は、1つ以上の更なる薬物(例えば、異なる作用機序によって作用する、抗炎症化合物、抗線維化化合物又は抗ガン化合物)と組み合わせて使用してもよい。第2の化合物の医薬組み合わせ処方物又は投与レジメンは、好ましくは、互いに有害な影響を与えないように本発明の化合物に対して補完的な活性を有する。このような分子は、好適には、意図する目的のために有効な量で併存する。該化合物は、単一の医薬組成物で一緒に投与しても、別々に投与してもよく、そして、別々に投与する場合、これは、同時であっても、任意の順序であってもよい。このような逐次投与は、時間的に近接していても、離れていてもよい。
【0232】
ある実施態様では、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体は、抗炎症、抗線維化若しくは抗ガンの特性を有するか、又は炎症、線維性病態、免疫応答障害若しくは過剰増殖障害(例えば、ガン)を処置するために有用である第2の治療化合物と共に、医薬組み合わせ処方物で又は併用療法として投与レジメンで組み合わせられる。第2の治療剤は、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)又は他の抗炎症剤であってもよい。第2の治療剤は、抗線維化剤であってもよい。第2の治療剤は、化学療法剤であってもよい。一実施態様では、本発明の医薬組成物は、NSAID等の治療剤と組み合わせて、式(I)、(II)、(A)、(Aa)、(Aa-1)、(Aa-2)、(B)、(Ba)、(Ba-1)、(Ba-2)、(C)、(Ca)、(Ca-1)、(Ca-2)、(D)、(Da)、(Da-1)、(Da-2)で示される化合物、又は本明細書中に詳述されるその任意の変形体を含む。
【実施例
【0233】
本発明をある程度の具体性をもって記載及び説明してきたが、本開示は、単なる例としてなされたものであり、そして、当業者は、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、一部分の組み合わせ及び配置を多数変更させ得ることができることが理解される。
【0234】
記載される実施例における化学反応は、多数の本発明の他の化合物を調製するために容易に適応させることができ、そして、本発明の化合物を調製するための別の方法は、本発明の範囲内であるとみなされる。例えば、本発明に係る例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな改変によって(例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されているもの以外の当技術分野において公知の他の好適な試薬を利用することによって、又は反応条件を通例どおりの改変をなすことによって)成功裏に実施することができる。或いは、本明細書中に開示されているか又は当技術分野において公知である他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適応性を有すると認識される。
【0235】
幾つかの場合、立体異性体は分離されて、単一の未知の立体異性体として単一の鏡像異性体又はジアステレオマーが得られ、そして、単一の異性体として任意に描写される。適切な場合、分離方法、並びに溶離の時間及び順序についての情報が与えられる。
【0236】
実施例A
4-エチニル-4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成
【化57】
【0237】
工程1:2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成。
【化58】

炭酸ナトリウムの水中溶液(79mL、79mmol、1mol/L)及びジ炭酸ジ-tert-ブチル(9060mg、41.5mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中溶液を、2-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(4410mg、36.9mmol)の水及びテトラヒドロフラン混合物(1:1、90mL)中溶液に同時に滴加した。混合物を2時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして、濃縮した。ヘプタン中 20%酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラム(40g)で残渣を精製して、標題化合物(6230mg(92%))を得た。LC-MS (ES、m/z):367 [2M+H]
【0238】
工程2:3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-カルボン酸tert-ブチルの合成。
【化59】

ジオキソルテニウム水和物(2055mg、13.6mmol)及び過ヨウ素酸ナトリウム(36.4g、170mmol)の水(500mL)中溶液を、4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-カルボン酸tert-ブチル(6230mg、34.0mmol)の酢酸エチル(650mL)中混合物に少しずつ添加した。混合物を20時間激しく撹拌した。黒色の沈殿物を濾取し、濾液を5%Na水溶液(250mL)と混合し、そして、有機層を分離した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして、濃縮した。静置時に残渣(重い油状物)が固化して、標題化合物(5557mg(83%))を得た。LC-MS (ES、m/z):142 [M-i-ブチレン+H]1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 3.61 - 3.53 (m, 1H), 2.94 - 2.84 (m, 1H), 2.52 (dt, J = 18.8, 1.1 Hz, 1H), 1.55 (s, 9H), 1.52 - 1.46 (m, 1H), 1.06 - 0.96 (m, 1H), 0.49 - 0.40 (m, 1H)。
【0239】
工程3:2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化60】

HClのジオキサン中溶液(20mL、80mmol、4.0mol/L)を、3-オキソ-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-カルボン酸tert-ブチル(1973mg、10.0mmol)のジクロロメタン(40mL)中の撹拌溶液に滴加した。COの発生が終了した後、2時間撹拌を続けた。反応混合物を減圧中で濃縮し、残渣をジクロロメタン中に再溶解させ、そして、再度濃縮した。この操作を更に2回繰り返して、標題化合物(946mg(97%))を得た。LC-MS (ES、m/z):195 [2M+H]
【0240】
工程4:2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化61】

4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(900mg、9.3mmol)及び炭酸セシウム(5120mg、15.7mmol)のアセトニトリル(40mL)中混合物を15分間撹拌し、次いで、ヨードメタン(0.87mL、14mmol)を懸濁液に添加した。混合物を、密閉したバイアル内において70~80℃で12時間加熱した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、そして、濾過した。減圧中で濾液を濃縮して、標題化合物(873mg(85%))を得た。LC-MS (ES、m/z):223 [2M+H]1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 3.04 - 2.95 (m, 1H), 2.90 (s, 3H), 2.83 - 2.72 (m, 1H), 2.36 (dt, J = 17.8, 1.1 Hz, 1H), 1.55 - 1.45 (m, 1H), 0.90 - 0.83 (m, 1H), 0.34 - 0.31 (m, 1H)。
【0241】
工程5:4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成
【化62】

テトラヒドロフラン中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(7.5mL、7.5mmol、1mol/L)を、-76℃で4-メチル-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(556mg、5.0mmol)及びビス(トリメチルシリル)ペルオキシド(3.3mL、15mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)中混合物に滴加した。混合物をこの温度で1時間撹拌し、-30℃まで加温するにまかせ、そして、この温度で1時間放置した。混合物を1M HCl水溶液でクエンチし、そして、30分間撹拌した。得られた混合物をペンタンで3回抽出した。飽和NaHCO水溶液を添加することによって水層をpH7まで中和化し、そして、減圧中で濃縮乾固した。乾燥残渣をジクロロメタンで抽出し、濾過し、そして、濾液を濃縮して、黄色がかった油状物として標題化合物(498mg(78%))を得、静置して結晶化させた。LC-MS (ES、m/z):255 [2M+H]、128 [M+H]1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 4.86 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.17 (dd, J = 4.3, 1.6 Hz, 1H), 3.12 -3.01 (m, 1H), 2.91 (s, 3H), 1.72 - 1.63 (m, 1H), 1.02 - 0.92 (m, 1H), 0.39 - 0.31 (m, 1H)。
【0242】
工程6:2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3,4-ジオンの合成。
【化63】

デス-マーチンペルヨージナン(1994mg、4.7mmol)を、2-ヒドロキシ-4-メチル-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(498mg、3.9169mmol)のジクロロメタン(25mL)中溶液に少しずつ添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌した。得られた混合物を減圧中で濃縮し、残留酢酸を2回ヘプタンと共エバポレーション(coevaporated)し、そして、半固形状の残渣をジクロロメタン中に再溶解させ、濾過し、そして、ヘプタン中 0~100%酢酸エチルの勾配で溶離するカラム(24g)にロードして、標題化合物(320mg(65%))を得た。LC-MS (ES、m/z):251 [2M+H]、126 [M+H]1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 3.72 - 3.66 (m, 1H), 3.11 (s, 3H), 2.36 - 2.27 (m, 1H), 1.64 - 1.55 (m, 1H), 1.55 - 1.48 (m, 1H)。
【0243】
工程7:4-エチニル-4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化64】

4-メチル-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2,3-ジオン(318mg、2.5mmol)のテトラヒドロフラン(8mL)中溶液を、-76℃でテトラヒドロフラン中のブロモ(エチニル)マグネシウム(10.0mL、5mmol、0.5mol/L)に滴加した。混合物を1時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(5mL)で混合物をクエンチし、そして、周囲温度まで加温した後、酢酸エチル(10mL)で4回抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥し、そして、濃縮して、ジアステレオマーの混合物(NMRによれば3:1)として標題化合物(213mg(55%))を得た。LC-MS (ES、m/z):303 [2M+H]、152 [M+H]
【0244】
実施例A-bis
4-エチニル-4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの代替的な合成
【化65】
【0245】
工程1:2-クロロ-N-シクロプロピル-N-メチルアセトアミドの合成。
【化66】

窒素の不活性雰囲気でパージし、そして、維持した5000mLの4つ口丸底フラスコに、N-メチルシクロプロパンアミン塩酸塩のジクロロメタン(3000mL)中溶液(90g、836.57mmol、1.00当量)を入れ、続いて、氷/塩浴中で撹拌しながら、トリエチルアミン(295.9g、2.92mol、3.50当量)を滴加した。これに、-20℃で撹拌しながら、2-クロロアセチルクロリド(103.2g、913.74mmol、1.10当量)を滴加した。得られた溶液を25℃で一晩撹拌した。反応混合物を水/氷浴で冷却し、次いで、水(1000mL)を添加することによってクエンチした。得られた溶液をジクロロメタン(2×1000mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:5)で溶離するシリカゲルカラムに残渣を適用して、明黄色の油状物として2-クロロ-N-シクロプロピル-N-メチルアセトアミド(110g(89%))を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 4.32 (s, 2H), 2.98 (s, 3H), 2.84-2.72 (m, 1H), 0.97-0.84 (m, 4H)。
【0246】
工程2:2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化67】

アルゴンの不活性雰囲気でパージし、そして、維持した3000mLの4つ口丸底フラスコに、2-クロロ-N-シクロプロピル-N-メチルアセトアミド(22.2g、150.40mmol、1.00当量)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(2.6g、4.48mmol、0.03当量)、(3aR,8aR)-4,4,8,8-テトラキス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2,2-ジメチル-6-フェニルテトラヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-e][1,3,2]ジオキサホスフェピン(9.2g、9.02mmol、0.06当量)、アダマンタン-1-カルボン酸(810mg、4.49mmol、0.03当量)、CsCO(73.5g、225mmol、1.50当量)、4Å分子篩(22.2g)及びトルエン(1500mL)を入れた。得られた混合物を油浴中において70℃で一晩撹拌した。この反応を3回繰り返した。反応混合物を室温まで冷却した。固形物を濾取し、そして、酢酸エチル(1×2L)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を減圧下(10mmHg)での蒸留によって精製し、そして、80℃で画分を収集して、明黄色の液状物として2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(51g(76%))を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 2.99- 2.96(m, 1H), 2.92 (s, 3H), 2.74 - 2.70 (m, 1H), 2.35 (d, J = 18.0, 1H), 1.52 - 1.43 (m, 1H), 0.89 - 0.85(m, 1H), 0.32 - 0.29 (m, 1H)。
【0247】
工程3:2-メチル-4,4-ビス(メチルチオ)-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化68】

アルゴンの不活性雰囲気でパージし、そして、維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(11g、98.97mmol、1.00当量)及びテトラヒドロフラン(500mL)を入れ、続いて、-30℃で撹拌しながら、リチウムジイソプロピルアミド(75mL、1.50当量)を1時間で滴加した。これに、-30℃で撹拌しながら、(メタンスルホニルスルファニル)メタン(19g、150.56mmol、1.50当量)を2時間で滴加した。得られた溶液を25℃で一晩撹拌した。この反応を3回繰り返した。反応混合物を水/氷浴で冷却し、次いで、飽和NHCl水溶液(800mL)を添加することによってクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×1000mL)で抽出し、そして、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムに残渣を適用して、黄色の油状物として2-メチル-4,4-ビス(メチルスルファニル)-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(44g(55%))を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 3.21-3.14 (m, 1H), 2.91 (s, 3H), 2.32 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.70-2.62 (m, 1H), 1.04 - 0.97 (m, 1H), 0.79 - 0.82 (m, 1H)。
【0248】
工程4:2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3,4-ジオンの合成。
【化69】

窒素の不活性雰囲気でパージし、そして、維持した3Lの4つ口丸底フラスコに、2-メチル-4,4-ビス(メチルスルファニル)-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(22g、108.20mmol、1.00当量)及びアセトニトリル(2000mL)、水(200mL)を入れ、続いて、(ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード)ベンゼン(92.9g、216.03mmol、2.00当量)を少しずつ添加した。得られた溶液を氷/塩浴中において0℃で2時間撹拌した。この反応を1回繰り返した。次いで、飽和NaHCO水溶液(1000mL)を添加することによって反応物をクエンチした。得られた溶液をクロロホルム(4×1L)で抽出し、そして、有機層を合わせ、そして、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(4:1)で溶離するシリカゲルカラムに残渣を適用して、明黄色の固形物として2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3,4-ジオン(19g(70%))を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 3.75 - 3.69 (m, 1H), 3.14 (s, 3H), 2.38 - 2.32 (m, 1H), 1.66 - 1.53 (m, 2H)。
【0249】
工程5:4-エチニル-4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オンの合成。
【化70】

アルゴンの不活性雰囲気でパージし、そして、維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、ブロモ(エチニル)マグネシウム(0.5M)(256mL)を入れ、続いて、-78℃で撹拌しながら、2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3,4-ジオン(8g、63.94mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(200mL)中溶液を滴加し、次いで、同温度で1時間撹拌した。得られた溶液を、液体窒素浴中において-78~0℃で4時間撹拌した。この反応を1回繰り返した。反応混合物を-30℃まで冷却した。次いで、飽和NHCl水溶液(400mL)を添加することによって反応物をクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×500mL)で抽出し、そして、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(4:1)で溶離するシリカゲルカラムに残渣を適用した。粗生成物を酢酸エチルから再結晶化させることによって精製して、明黄色の固形物として4-エチニル-4-ヒドロキシ-2-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(17g(88%))を得た。LC-MS (ES、m/z):303 [2M+H]、152 [M+H]
【0250】
実施例1及び2
1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミドの合成。
【化71】
【0251】
工程1:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチルの合成。
【化72】

1-(3-ブロモフェニル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(国際公開第2015/025025号を参照)(150mg、0.45mmol)、2-エチニル-2-ヒドロキシ-4-メチル-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン(106mg、0.70mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(51mg、0.07mmol)及びトリエチルアミン(0.39mL、2.8mmol)のジメチルスルホキシド(10ml)中混合物を脱気し、密閉バイアル中で95℃にて1時間加熱した。混合物を水で混合し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を1%クエン酸水溶液、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして、濃縮した。残留物を、ヘプタン中の酢酸エチル 0~100%の勾配で溶離する12gのシリカゲルカラムで精製して、標題化合物(143mg(79%))をジアステレオマーの混合物として得た。LC-MS (ES、m/z):403 [M+H]
【0252】
工程2:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミドの合成。
【化73】

1-[3-[2-(2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソ-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-イル)エチニル]フェニル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボン酸メチル(143mg、0.36mmol)とメタノール中の飽和アンモニア(6ml)との混合物を、密閉バイアル中で60℃にて12時間加熱した。得られた混合物を濃縮し、残留物をメタノール中に再溶解し、再び濃縮して、標題化合物(134mg(97%))をジアステレオマーの混合物として得た。LC-MS (ES、m/z):388 [M+H]
【0253】
工程3:1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミドの単離。
【化74】

ジアステレオマーの混合物を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によるキラル分離に付して、4つの個々の異性体を得た。
【0254】
SFC分取条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak AD (150×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(45%移動相B); 移動相A:二酸化炭素; 移動相B:0.1%NHOHを含むエタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃。
【0255】
化合物1:1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(31.7mg、23.7%)。LC-MS (ES、m/z):388 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (dd, J = 4.6, 1.7 Hz, 1H), 8.67 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 8.53 - 8.48 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.64 (td, J = 7.9, 0.8 Hz, 1H), 7.52 (dd, J = 8.1, 4.5 Hz, 1H), 7.49 - 7.45 (m, 1H), 6.47 (s, 1H), 3.38 - 3.31 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 2.10 - 2.02 (m, 1H), 0.86 (ddd, J = 8.4, 5.8, 4.7 Hz, 1H), 0.64 (ddd, J = 5.8, 4.7, 2.4 Hz, 1H)。超臨界流体クロマトグラフィー分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak AD(50×4.6mm,3μm);方法:アイソクラチック(40%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1% NHOHを含むエタノール;流速:4mL/min;圧力:120bars;温度:40℃;保持時間:1.20分。これは、4つの立体異性体の中で最も効力があるNIK酵素阻害剤である。絶対立体配置は、タンパク質との共結晶のX線結晶解析により確認された。
【0256】
化合物2:1-(3-(((1S,4R,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(12.4mg、9.3%)。LC-MS (ES、m/z):388 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (dd, J = 4.5, 1.7 Hz, 1H), 8.67 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 8.52 - 8.45 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 - 7.60 (m, 1H), 7.51 (dd, J = 8.1, 4.5 Hz, 1H), 7.45 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 6.86 (s, 1H), 3.29 (dd, J = 4.6, 2.2 Hz, 1H), 2.85 (s, 3H), 1.89 (ddd, J = 8.8, 6.7, 4.8 Hz, 1H), 1.06 (ddd, J = 8.8, 6.0, 4.8 Hz, 1H), 0.52 (ddd, J = 6.0, 4.8, 2.3 Hz, 1H)。SFC分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak AD(50×4.6mm、3μm);方法:アイソクラチック(40%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むエタノール;流速:4mL/min;圧力:120bars;温度:40℃;保持時間:0.83分。これは、4つの立体異性体の中で2番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。絶対立体配置は、タンパク質との共結晶のX線結晶解析により確認された。
【0257】
1-(3-(((1S,4S,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(32.3mg、24.1%)。LC-MS (ES、m/z):388 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (dd, J = 4.6, 1.7 Hz, 1H), 8.67 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 8.54 - 8.47 (m, 2H), 8.26 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.64 (td, J = 7.9, 0.8 Hz, 1H), 7.52 (dd, J = 8.1, 4.5 Hz, 1H), 7.49 - 7.44 (m, 1H), 6.47 (s, 1H), 3.38 - 3.33 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 2.11 - 2.01 (m, 1H), 0.86 (ddd, J = 8.4, 5.9, 4.8 Hz, 1H), 0.64 (ddd, J = 5.8, 4.7, 2.4 Hz, 1H)。SFC分析条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak AD(150×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(45%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むエタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃;保持時間:1.51分。この立体異性体は、NIK酵素に対して測定可能な阻害を示さなかった。絶対立体配置は、単結晶のX線結晶解析により確認された。
【0258】
1-(3-(((1R,4S,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-カルボキサミド(11.3mg、8.43%)。LC-MS (ES、m/z):388 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (dd, J = 4.5, 1.7 Hz, 1H), 8.67 (dd, J = 8.1, 1.7 Hz, 1H), 8.52 - 8.45 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 - 7.60 (m, 1H), 7.51 (dd, J = 8.1, 4.5 Hz, 1H), 7.45 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 6.86 (s, 1H), 3.29 (dd, J = 4.6, 2.2 Hz, 1H), 2.85 (s, 3H), 1.89 (ddd, J = 8.8, 6.7, 4.8 Hz, 1H), 1.06 (ddd, J = 8.8, 6.0, 4.8 Hz, 1H), 0.52 (ddd, J = 6.0, 4.8, 2.3 Hz, 1H)。SFC分析条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak AD(150×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(45%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むエタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃;保持時間:1.08分。この立体異性体は、NIK酵素に対して測定可能な阻害を示さなかった。
【0259】
実施例3
3-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボキサミドの合成。
【化75】
【0260】
工程1:1-(3-(トリメチルシリル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチルの合成。
【化76】

1-ブロモ-イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチルエステル(200mg、0.743mmol)、(3-トリメチルシリルフェニル)ボロン酸(174mg、0.896mmol)、1.0M CsCO水溶液(0.75mL、0.75mmol)及び1.0M CsCO水溶液(0.75mL、0.75mmol)のアセトニトリル(6mL)中の脱気した混合物を、密閉バイアル中で80℃にて3時間加熱した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして、濃縮した。残留物を、ヘプタン中の酢酸エチル 0~80%の勾配で溶離する24gのシリカゲルカラムで精製して、1-(3-(トリメチルシリル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチル(163mg(65%))を得た。
【0261】
工程2:1-(3-ヨードフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチルの合成。
【化77】

1M ジクロロメタン中のヨードクロリド(D、2.4mL、2.4mmol)を、1-(3-トリメチルシリルフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチル(163mg、0.482mmol)のジクロロメタン中溶液に加えた。混合物を18時間放置し、5%Na水溶液でクエンチし、そして、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして、濃縮した。残留物を、ヘプタン中の酢酸エチル 0~80%の勾配で溶離する12gのシリカゲルカラムで精製して、1-(3-ヨードフェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチル(185mg(97%))を得た。LC-MS (ES、m/z):393 [M+H]
【0262】
工程3:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチルの合成
【化78】

この化合物を、実施例1及び2、工程1について記載したものと同様の手順により得、1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチル(147mg(75%))を得た。LC-MS (ES、m/z):416 [M+H]
【0263】
工程4:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミドの合成。
【化79】

この化合物を、実施例1及び2、工程2について記載したものと同様の手順により得、標題化合物(133mg(97.2%))を立体異性体の混合物として得た。混合物をキラルSFC分離に付して、4つの立体異性体を得た:
【化80】
【0264】
SFC分取条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak OJ(250×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(30%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃。個々の立体異性体は、それらのそれぞれの物性(例えば、NMRデータ、及び分析SFCの保持時間)により同定され、それらのそれぞれの絶対配置は、NIK阻害の効力及び相対収率に基づいて割り当てられた(X線結晶解析では確認しなかった)。
【0265】
化合物3:3-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボキサミド(25mg、18.4%)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (dt, J = 7.2, 1.1 Hz, 1H), 8.13 (dt, J = 9.3, 1.2 Hz, 1H), 8.06 (td, J = 1.7, 0.6 Hz, 2H), 8.03 - 7.98 (m, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.52 (td, J = 7.8, 0.6 Hz, 1H), 7.43 - 7.35 (m, 1H), 7.27 - 7.19 (m, 1H), 7.10 - 6.99 (m, 1H), 6.40 (s, 1H), 3.31 (s, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.09 - 2.01 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.67 - 0.59 (m, 1H)。SFC分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak OJ(50×4.6mm、3μm);方法:アイソクラチック(25%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:4mL/min; 圧力:120bars;温度:40℃;保持時間:0.95分(ピーク4)。これは、4つの立体異性体の中で最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0266】
1-(3-(((1S,4R,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(9.2mg、7.2%)。保持時間 0.77分(ピーク2)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (dt, J = 7.3, 1.1 Hz, 1H), 8.11 (dt, J = 9.3, 1.2 Hz, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.04 (td, J = 1.7, 0.5 Hz, 1H), 8.00 - 7.97 (m, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.51 (td, J = 7.8, 0.6 Hz, 1H), 7.38 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.25 - 7.20 (m, 1H), 7.08 - 7.02 (m, 1H), 6.79 (s, 1H), 3.30 - 3.25 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 1.94 - 1.84 (m, 1H), 1.11 - 1.01 (m, 1H), 0.55 - 0.48 (m, 1H)。これは、4つの立体異性体の中で2番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0267】
1-(3-(((1S,4S,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(27.2mg、20.0%)。保持時間 0.82分(ピーク3)。LC-MS(ES、m/z):387 [M+H]。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (dt, J = 7.2, 1.1 Hz, 1H), 8.13 (dt, J = 9.2, 1.2 Hz, 1H), 8.07 (td, J = 1.7, 0.6 Hz, 2H), 8.03 - 7.98 (m, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.52 (dt, J = 7.8, 0.6 Hz, 1H), 7.39 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.27-7.19 (m, 1H), 7.09 - 7.01 (m, 1H), 6.40 (s, 1H), 3.38 - 3.31 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.09 - 2.02 (m, 1H), 0.89-0.81 (m, 1H), 0.67-0.59 (m, 1H)。この立体異性体は、NIK酵素に対して測定可能な阻害を示さなかった。
【0268】
1-(3-(((1R,4S,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(8.6mg、6.4%)。保持時間 0.62分(ピーク1)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (dt, J = 7.2, 1.1 Hz, 1H), 8.11 (dt, J = 9.3, 1.2 Hz, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.04 (td, J = 1.7, 0.6 Hz, 1H), 8.00 - 7.97 (m, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.51 (td, J = 7.8, 0.6 Hz, 1H), 7.38 (dt, J = 7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.26 - 7.19 (m, 1H), 7.08 - 7.02 (m, 1H), 6.79 (s, 1H), 3.30 - 3.25 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 1.93 - 1.84 (m, 1H), 1.10 - 1.01 (m, 1H), 0.55 - 0.47 (m, 1H)。これは、4つの立体異性体の中で3番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0269】
実施例4
1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミドの合成。
【化81】

立体異性体の混合物を、実施例3、工程1及び2のように同じ反応シーケンスに従い、そして、工程1において1-ブロモ-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチルを出発物質として用いて、2工程で調製した。上記混合物をキラルSFC分離に付して、4つの立体異性体を得た:
【化82】

SFC分取条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak ID(150×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(45%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃。個々の立体異性体は、それらのそれぞれの物性(例えば、NMRデータ、及び分析SFCの保持時間)により同定され、それらのそれぞれの絶対配置は、NIK阻害の効力及び相対収率に基づいて割り当てられた(X線結晶解析では確認しなかった)。
【0270】
化合物4:1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(20.5mg、20%)。LC-MS (ES、m/z):417 [M+H]1H N MR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.38 (dd, J = 7.8, 0.7 Hz, 1H), 8.06 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 8.01 - 7.94 (m, 2H), 7.54 - 7.47 (m, 1H), 7.38 - 7.31 (m, 1H), 7.25 (dd, J = 2.5, 0.8 Hz, 1H), 6.80 (dd, J = 7.8, 2.5 Hz, 1H), 6.39 (s, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.39 - 3.32 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.10 - 1.99 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.66 - 0.60 (m, 1H)。SFC分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak ID(50×4.6mm、3μm);方法:アイソクラチック(40%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:4mL/min; 圧力:120bars;温度:40℃;保持時間:1.22分(ピーク3)。これは、4つの立体異性体の中で最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0271】
1-(3-(((1S,4S,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(16mg、16%)。LC-MS (ES、m/z):417 [M+H]。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.38 (dd, J = 7.8, 0.7 Hz, 1H), 8.06 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 8.02 - 7.94 (m, 2H), 7.50 (td, J = 7.7, 0.6 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 2.5, 0.8 Hz, 1H), 7.28 - 7.22 (m, 1H), 6.80 (dd, J = 7.8, 2.5 Hz, 1H), 6.39 (s, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.39 - 3.32 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.10 - 1.98 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.68 - 0.59 (m, 1H)。保持時間 1.33分(ピーク4)。この立体異性体は、NIK酵素に対して測定可能な阻害を示さなかった。
【0272】
1-(3-(((1S,4R,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(15.4mg、15%)。LC-MS (ES、m/z):417 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.38 (dd, J = 7.8, 0.7 Hz, 1H), 8.03 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 7.99 - 7.94 (m, 2H), 7.52 - 7.46 (m, 2H), 7.35 - 7.30 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 2.6, 0.8 Hz, 1H), 6.82 - 6.76 (m, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.30 - 3.27 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 1.93 - 1.83 (m, 1H), 1.09 - 1.01 (m, 1H), 0.55 - 0.48 (m, 1H)。保持時間 0.96分(ピーク1)。これは、4つの立体異性体の中で2番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0273】
1-(3-(((1R,4S,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)-7-メトキシイミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド(10.3mg、10%)。LC-MS (ES、m/z):417 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.38 (dd, J = 7.8, 0.7 Hz, 1H), 8.03 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 8.01 - 7.93 (m, 2H), 7.54 - 7.45 (m, 1H), 7.36 - 7.30 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 2.6, 0.8 Hz, 1H), 6.83 - 6.76 (m, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.29 - 3.26 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 1.93 - 1.84 (m, 1H), 1.10 - 1.02 (m, 1H), 0.54 - 0.47 (m, 1H)。保持時間 1.05分(ピーク2)。これは、4つの立体異性体の中で3番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0274】
実施例5
3-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボキサミドの合成。
【化83】

3-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボン酸エチルを、工程1において出発物質として3-ブロモイミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボン酸エチルを用いて、実施例3、工程1及び2のように同じ反応シーケンスに従って2工程で調製した。
【0275】
工程3:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸の合成。
【化84】

1-[3-[2-(2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソ-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-イル)エチニル]フェニル]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボン酸エチル(147mg、0.354mmol)と1M LiOH水溶液(0.88mL、0.88mmol)とのメタノール(4ml)中混合物を、18時間撹拌した。得られた混合物をpH4に酸性化し、酢酸エチルとブラインの間で分配した。有機抽出物をMgSO4で乾燥し、濃縮して、標題化合物の粗残留物(170mg、100%)を得、これを更に精製することなく用いた。LC-MS (ES、m/z):386 [M-H]、388 [M+H]
【0276】
工程4:1-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミドの合成。
【化85】

HATU(200mg、0.526mmol)を、3-[3-[2-(2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソ-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-イル)エチニル]フェニル]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボン酸(170mg、0.44mmol)、トリエチルアミン(0.327mL、2.35mmol)及び微粉化した塩化アンモニウム(101mg、1.9mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中の撹拌した混合物に加えた。混合物を4時間撹拌した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を5%クエン酸水溶液、飽和NaHCO3、水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、そして、濃縮した。残留物を、ジクロロメタン中のメタノールの勾配で溶離する4gのシリカゲルカラムで精製した。集めた画分が、立体異性体の混合物として標題化合物(95mg(57%))を与えた。
【0277】
上記混合物をキラルSFC分離に付して、4つの立体異性体のうち3つを得た:
【化86】

SFC分取条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak IA(250×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(40%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃。個々の立体異性体は、それらのそれぞれの物性により同定され(例えば、NMRデータ、及び分析SFCの保持時間)、それらのそれぞれの絶対配置は、NIK阻害の効力及び相対収率に基づいて割り当てられた(X線結晶解析では確認しなかった)。
【0278】
化合物5:1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド)(12mg、12.4%)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.55 (dt, J = 7.2, 1.1 Hz, 1H), 8.21 (dt, J = 9.1, 1.3 Hz, 1H), 7.96 - 7.90 (m, 2H), 7.66 - 7.55 (m, 2H), 7.22 - 7.13 (m, 2H), 6.97 - 6.89 (m, 1H), 6.43 (s, 1H), 3.34 - 3.32 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.08 - 2.00 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.67 - 0.59 (m, 1H)。超臨界流体クロマトグラフィー分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak IA(50×4.6mm、3μm);方法:アイソクラチック(35%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:4mL/min;圧力:120bars;温度:40℃;保持時間:1.17分(ピーク2)。これは、4つの立体異性体の中で最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0279】
3-(3-(((1S,4R,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボキサミド(11.6mg、12%)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.54 (dd, J = 7.3, 1.1 Hz, 1H), 8.21 (dt, J = 9.2, 1.2 Hz, 1H), 7.96 - 7.89 (m, 2H), 7.65 - 7.54 (m, 2H), 7.22 - 7.12 (m, 2H), 6.97 - 6.90 (m, 1H), 6.43 (s, 1H), 3.31 - 3.30 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.09 - 2.00 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.66 - 0.61 (m, 1H)。保持時間 1.38分(ピーク3)。これは、4つの立体異性体の中で2番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0280】
3-(3-(((1S,4S,5R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-1-カルボキサミド(4mg、4%)。LC-MS (ES、m/z):387 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.55 (dt, J = 7.2, 1.1 Hz, 1H), 8.21 (dt, J = 9.1, 1.3 Hz, 1H), 7.96 - 7.90 (m, 2H), 7.65 - 7.54 (m, 3H), 7.22 - 7.12 (m, 2H), 6.97 - 6.90 (m, 1H), 6.43 (s, 1H), 3.31 - 3.29 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.08 - 2.00 (m, 1H), 0.89 - 0.81 (m, 1H), 0.67 - 0.59 (m, 1H)。保持時間 0.98分(ピーク1)。これは、4つの立体異性体の中で3番目に最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0281】
実施例6
5-アミノ-2-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボキサミドの合成。
【化87】
【0282】
工程1:2-ブロモ-5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-カルボン酸メチルの合成。
【化88】

炭酸tert-ブトキシカルボニル tert-ブチル(tert-butoxycarbonyl tert-butyl carbonate)(476mg、2.18mmol)の溶液を、2-ブロモ-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)チアゾール-4-カルボン酸メチル(633mg、1.88mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.2mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(25mg、0.20463mmol)のジクロロメタン(20ml)中懸濁液に滴加した。混合物を3時間撹拌し、濃縮し、そして、残留物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機抽出物を5%クエン酸水溶液、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして、濃縮した。残留物を、ヘプタン中のiPrOAcの勾配で溶離する12gのシリカゲルカラムで精製して、標題化合物(633mg、94.7%)を得た。LC-MS (ES、m/z):337 [M+H]
【0283】
工程2:5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-(トリメチルシリル)フェニル)チアゾール-4-カルボン酸メチルの合成。
【化89】

標題化合物を、実施例3、工程1のような手順に従って調製し、出発物質として2-ブロモ-5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-カルボン酸メチルを用いて、185mg(73.7%)を得た。LC-MS (ES、m/z):407 [M+H]
【0284】
工程3:5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-ヨードフェニル)チアゾール-4-カルボン酸メチルの合成。
【化90】

標題化合物を、実施例3、工程2のような手順に従って調製し、出発物質として5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-(トリメチルシリル)フェニル)チアゾール-4-カルボン酸メチルを用いて、140mg(66.8%)を得た。LC-MS (ES、m/z):461 [M+H]
【0285】
工程4:5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボン酸メチルの合成。
【化91】

標題化合物を、実施例1及び2、工程1について記載したものと同様の手順により得、112mg(76.2%)を立体異性体の混合物として得た。LC-MS (ES、m/z):484 [M+H]
【0286】
工程5:(4-カルバモイル-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-5-イル)カルバミン酸tert-ブチルの合成。
【化92】

標題化合物を、実施例1及び2、工程2について記載したものと同様の手順により得、102mg(94%)を立体異性体の混合物として得た。LC-MS (ES、m/z):469 [M+H]
【0287】
工程6:5-アミノ-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボキサミド
【化93】

標題化合物を、以下のような脱保護手順により得た:塩化水素(4mL、16mmol、4.0mol/L)のジオキサン中溶液を、N-[4-カルバモイル-2-[3-[2-(2-ヒドロキシ-4-メチル-3-オキソ-4-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2-イル)エチニル]フェニル]チアゾール-5-イル]カルバミン酸tert-ブチル(102mg、0.22mmol)のジクロロメタン(6ml)中溶液に加えた。混合物を1時間撹拌し、濃縮し、そして、飽和NaHCO水溶液と酢酸エチルの間で分配した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して、標題化合物(51mg(63%))をジアステレオマーの混合物として得た。LC-MS (ES、m/z):369 [M+H]
【0288】
上記混合物をキラルSFC分離に付して、4つの立体異性体を得た:
【化94】

SFC分取条件:装置:SFC PICLab PREP 100 (PIC 100 SFC);カラム:Chiralpak IA(250×21.1mm、5μm);方法:アイソクラチック(40%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:70mL/min;圧力:100bars;温度:40℃。個々の立体異性体は、それらのそれぞれの物性(例えば、NMRデータ、及び分析SFCの保持時間)により同定され、それらのそれぞれの絶対配置は、NIK阻害の効力及び相対収率に基づいて割り当てられた(X線結晶解析では確認しなかった)。
【0289】
化合物6:1-(3-(((1R,4R,5S)-4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド)(8.2mg、16%)。LC-MS (ES、m/z):369 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (td, J = 1.7, 0.6 Hz, 1H), 7.78 - 7.73 (m, 1H), 7.48 - 7.37 (m, 5H), 7.07 (s, 1H), 6.40 (s, 1H), 3.31 - 3.29 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.06 - 1.99 (m, 1H), 0.89 - 0.81 (m, 1H), 0.66 - 0.59 (m, 1H)。超臨界流体クロマトグラフィー分析条件:装置:Waters ACQUITY UPC2 System (Waters UPC2);カラム:Chiralpak IA(50×4.6mm、3μm);方法:アイソクラチック(35%移動相B);移動相A:二酸化炭素;移動相B:0.1%NHOHを含むメタノール;流速:4mL/min;圧力:120bars;温度:40℃;保持時間 1.01分(ピーク2)。これは、4つの立体異性体の中で最も効力があるNIK酵素阻害剤である。
【0290】
5-アミノ-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボキサミド、ピーク4(3.3mg、6.4%)。LC-MS(ES、m/z):369 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (td, J = 1.7, 0.6 Hz, 1H), 7.78 - 7.73 (m, 1H), 7.49 - 7.37 (m, 5H), 7.07 (s, 1H), 6.40 (s, 1H), 3.31 - 3.29 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 2.07 - 2.00 (m, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 1H), 0.66 - 0.59 (m, 1H)。保持時間 1.40分(ピーク4)。この異性体は、化合物6より効力がないNIK酵素阻害剤である。
【0291】
5-アミノ-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボキサミド、ピーク1(3.2mg、6.3%)。LC-MS (ES、m/z):369 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 7.77 - 7.72 (m, 1H), 7.48 - 7.37 (m, 5H), 7.07 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 3.30 - 3.26 (m, 2H), 2.83 (s, 3H), 1.90 - 1.82 (m, 1H), 1.09 - 1.00 (m, 1H), 0.55 - 0.48 (m, 1H)。保持時間 0.85分(ピーク1)。この異性体は、化合物6より効力がないNIK酵素阻害剤である。
【0292】
5-アミノ-2-(3-((4-ヒドロキシ-2-メチル-3-オキソ-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-4-イル)エチニル)フェニル)チアゾール-4-カルボキサミド、ピーク3(3.9mg、7.7%)。LC-MS (ES、m/z):369 [M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.85 (td, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 7.77 - 7.72 (m, 1H), 7.47 - 7.37 (m, 5H), 7.07 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 3.30 - 3.26 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 1.91 - 1.82 (m, 1H), 1.08 - 1.00 (m, 1H), 0.54 - 0.48 (m, 1H)。保持時間 1.08分(ピーク3)。この異性体は、化合物6より効力がないNIK酵素阻害剤である。
【0293】
生物学的実施例
【0294】
実施例B1-NIK酵素阻害アッセイ
核因子-カッパB(NF-kB)誘導性キナーゼ(NIK)がアデノシン-5’-トリホスファート(ATP)の加水分解を触媒する能力を、Transcreener ADP(アデノシン-5’-ジホスファート)アッセイ(BellBrook Labs)を用いてモニタリングした。バキュロウイルスに感染した昆虫細胞発現系由来の精製されたNIK(0.5nM)を、10mM MgCl、2mM ジチオスレイトール、10μM ATP、0.01%Triton X-100、0.1%ウシ血液由来のガンマ-グロブリン、1%ジメチルスルホキシド(DMSO)、7μg/mL ADP抗体及び5nM ADP-MR121 633トレーサを含有する50mM 2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸バッファ(pH7.2)中で1~3.5時間、試験化合物と共にインキュベートした。20mM 2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルジニトリロ)四酢酸及び0.01%Brij 35を添加することによって反応物をクエンチした。抗体に結合したトレーサが、NIK反応中に生成されたADPによって置き換えられ、これは、Fluorescence Correlation Spectroscopy Plus reader(Evotec AG)を用いた633nmにおけるレーザ励起によって測定された蛍光偏光を減少させる。強結合の潜在力を明らかにするモリソン二次方程式を用いて、そして、また、競合的阻害を明らかにする変換係数及びそのミカエリス定数(K)に対するアッセイで使用される基質の濃度を適用することによって、活性対阻害剤濃度のプロットからNIK阻害剤についての平衡解離定数(K)値を計算する。得られた阻害値(NIK ADP-FP、K)を表B1に列挙する。
【表3】
【0295】
実施例B2-細胞アッセイ
NIK阻害剤の細胞活性についてモニタリングするために幾つかのアッセイを開発した。
【0296】
(1)試験化合物が、細胞生存に影響を与えることなくNIK阻害を通じてNF-kBシグナルを阻害することができるかどうかについてプロファイリングするために使用することができる第1のアッセイ。このアッセイでは、ヒト胚腎臓293細胞に、サイトメガロウイルスプロモータ+2つのレポータDNAコンストラクトを含有するテトラサイクリン誘導性NIK DNAコンストラクトを安定的にトランスフェクトする。一方のレポータは、ELAM-1遺伝子由来のNF-kB応答エレメントの3つのリピートの制御下にあるホタルルシフェラーゼをコードしており、そして、細胞内におけるNIK活性のレベルを反映し、一方、他方のレポータは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモータの制御下にあるウミシイタケルシフェラーゼを恒常的に発現し、そして、細胞生存の一般的な尺度として機能する。細胞を、1μg/mL ドキシサイクリン及び10%tetシステム仕様ウシ胎児血清(Clontech)を含有する培地中で様々な濃度の化合物(最終的に0.2%DMSO)と共に24時間インキュベートし、その後、供給業者のプロトコールに従ってDual Gloルシフェラーゼ検出システム(Promega)を用いてレポータのシグナルを検出する。
【0297】
(2)ハイコンテントな細胞イメージングを用いて古典的対非古典的なNF-kBシグナル伝達の阻害に対するNIK阻害剤の選択性を規定するために、Lonzaから供給されている初代ヒト臍静脈細胞(HUVEC)を用いる第2のセットの細胞アッセイ。p52(非古典的なNF-kBシグナル伝達)核移行アッセイについては、2%ウシ胎児血清を含有するEBM-2培地(LONZA)中において様々な濃度の化合物(最終的に0.2%DMSO)でHUVECを処理し、次いで、300ng/mL 抗リンホトキシンベータ受容体抗体(R&D Systems)で4.5時間刺激した。REL-A核移行アッセイでは、2%ウシ胎児血清を含有するEBM-2培地中で化合物(最終的に0.2%DMSO)と共にHUVECを4時間50分間インキュベートした後、それを、2ng/mL 腫瘍壊死因子(TNF)-α(R&D Systems)で10分間刺激した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、リン酸緩衝生理食塩水中の0.1%Triton X-100を添加することによって透過処理し、次いで、2μg/mL 抗p52抗体(Millipore)又は400ng/mL 抗REL-A(p65)抗体(Santa Cruz Biotechnology)のいずれかと共にインキュベートした。最後に、Alexa488で標識された二次抗体(Invitrogen)及びDRAQ5 DNA染料(Biostatus)と共に細胞をインキュベートした。Operaリーダー(Perkin Elmer)を用いてイメージングを実施し、そして、Acapellaソフトウェア(Perkin Elmer)を用いてデータを解析した。p52又はREL-Aの核への移行を、核のシグナル強度の細胞質のシグナル強度に対する比によって定量した。これら細胞アッセイにおいて50%阻害に必要な阻害剤の濃度(IC50値)を、シグナル対阻害剤の濃度のプロットから得た。
【0298】
(3)第3のセットの細胞アッセイは、古典的対非古典的なNF-kBシグナル伝達の阻害に対するNIK阻害剤の選択性を規定するために用いられ、そして、ハイコンテントな細胞イメージングを用いるp52(NF-kB2)及びREL-A(p65)の核移行の定量に依る。p52(非古典的なNF-kBシグナル伝達)核移行アッセイについては、10%ウシ胎児血清を含有する培地中において様々な濃度の化合物(最終的に0.2%DMSO)でHeLa細胞を処理し、次いで、100ng/mL 抗リンホトキシンベータ受容体抗体(R&D Systems)で5時間刺激する。REL-A核移行アッセイでは、HeLa細胞を、10%ウシ胎児血清を含有する培地中で化合物(最終的に0.2%DMSO)と共に4.5時間インキュベートした後、それを、10ng/mL 腫瘍壊死因子(TNF)-α(R&D Systems)で30分間刺激する。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、リン酸緩衝生理食塩水中の0.1%Triton X-100を添加することによって透過処理し、次いで、2μg/mL 抗p52抗体(Millipore)又は400ng/mL 抗REL-A(p65)抗体(Santa Cruz Biotechnology)のいずれかと共にインキュベートする。最後に、Alexa488で標識された二次抗体(Invitrogen)及びDRAQ5 DNA染料(Biostatus)と共に細胞をインキュベートする。Operaリーダー(Perkin Elmer)を用いてイメージングを実施し、そして、Acapellaソフトウェア(Perkin Elmer)を用いてデータを解析する。p52又はREL-Aの核への移行を、核のシグナル強度の細胞質のシグナル強度に対する比によって定量する。これら細胞アッセイにおいて50%阻害に必要な阻害剤の濃度(IC50値)を、シグナル対阻害剤の濃度のプロットから得る。試験化合物は、表B2に記載のように、NIK REL-A(p65)及びp52の移行アッセイについて対応する阻害値(IC50)を有する。
【表4】
【0299】
実施例B3-肝ミクロソームの安定性
概要。プールされたメスCD-1マウス、オスSprague-Dawleyラット、オスビーグル犬、オスカニクイザル、並びにオス及びメス混合のヒト肝ミクロソームのインキュベーション物を用いて、肝ミクロソームにおける代謝安定性アッセイを実施する。一般的なアッセイ条件は、以下のとおりである。インキュベーション混合物は、リン酸カリウムバッファ(100mM;pH7.4)中のNADPH(1.0mM)を含むか又は含まない肝ミクロソーム(ミクロソームタンパク質 0.5mg/mL)及び試験化合物(1.0μM)からなっており、最終インキュベーション容量は0.25mLであった。NADPH又はバッファを添加することによって反応を開始させ、そして、空気への開放下(open to the air)、水浴中、37℃で振盪する。0、20、40及び60分の時点において、アリコート(50μL)を取り出し、そして、アセトニトリル及び内部標準を含有する終結混合物(100μL)に添加する。次いで、サンプルを2000gで10分間遠心分離する。上清(90μL)を取り出し、水(180μL)と合わせ、そして、LC-MS/MSによって分析する。
【0300】
Halladay, et al. Drug Metabol.Lett.2007, 1:67-72に記載の公知のプロトコールに従って、試験化合物の代謝安定性をヒト肝ミクロソームにおいて評価した。
【0301】
試験化合物について得られたヒト肝ミクロソームのクリアランス(HLM CL、mL/分/kg)を表B3に示す。より低いクリアランス値が、より優れた代謝安定性を示す。化合物番号1、3、4、5及び6は、いずれの場合も、それぞれの比較化合物C-1、C-3、C-4、C-5及びC-6よりも優れたヒト肝ミクロソームにおける安定性を示した。図1も参照されたい。
【表5】
【0302】
実施例B4-肝細胞の安定性
概要。凍結保存された、プールされたメスCD-1マウス、オスSprague-Dawleyラット、オスビーグル犬、オスカニクイザル、並びにオス及びメス混合のヒト肝細胞(CellzDirect)を用いて、肝細胞における代謝安定性アッセイを実施する。肝細胞のバイアルを37℃に設定された水浴中で速やかに解凍し、次いで、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、pH7.4で希釈する。細胞を遠心分離によって単離し、プールし、そして、100.0万生存細胞/mLでDMEM中に再懸濁させる。細胞の膜の完全性をトリパンブルー排除によって評価する。試験化合物を、最終濃度 10mMでジメチルスルホキシド中に溶解させる。この試験化合物ストックをDMEM(125μL)中に2μMまで更に希釈し、その後、等容量の10細胞/mL 細胞懸濁液を添加する。試験化合物(最終インキュベーション濃度 1.0μM、0.1%ジメチルスルホキシドを含む)及び細胞(最終濃度 0.5×10細胞/mL)を95%空気/5%CO2雰囲気中、37℃で3時間インキュベートする。0、1、2及び3時間の時点でアリコート(50μL)を取り出し、そして、アセトニトリル及び内部標準を含有する終結混合物(100μL)に添加する。次いで、サンプルを2000gで10分間遠心分離する。上清(90μL)を取り出し、水(180μL)と合わせ、そして、LC-MS/MSによって分析する。
【0303】
Hallifax, et al.Drug Metabol.Disposition, 2005, 33:1852-1858に記載のプロトコールに従って、試験化合物の代謝安定性をヒト肝細胞においても評価した。
【0304】
試験化合物について得られたヒト肝細胞のクリアランス(Hep CL、mL/分/kg)を表B4に示す。より低いクリアランス値が、より優れた代謝安定性を示す。化合物番号1、3及び5は、ヒト肝細胞アッセイにおいて、それぞれ、対応する比較化合物C-1、C-3及びC-5よりも優れた安定性を示す。対応するピロリジノン化合物が比較的高いクリアランスを有する場合、2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン化合物についてより大きな改善が示される。図2も参照されたい。
【表6】
【0305】
全体を通しての全ての参照文献(例えば、刊行物、特許、特許出願及び公開された特許出願)は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0306】
理解を明確にするために説明及び例示を用いて幾分詳細に上記発明を記載してきたが、ある軽微な変更及び改変が実施されることは当業者にとって明らかである。したがって、記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
図1
図2