(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】モジュラー三次元光学検知システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/025 20060101AFI20220913BHJP
G02F 1/295 20060101ALI20220913BHJP
G02F 2/00 20060101ALI20220913BHJP
G01S 17/36 20060101ALI20220913BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20220913BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20220913BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G02F1/025
G02F1/295
G02F2/00
G01S17/36
G01S17/89
G01S7/481 A
G01C3/06 120Z
G01C3/06 140
(21)【出願番号】P 2019568587
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 US2018020271
(87)【国際公開番号】W WO2018160729
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519318203
【氏名又は名称】ポイントクラウド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POINTCLOUD INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ニコラエスク、レムス
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-105082(JP,A)
【文献】特表2014-507796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0018881(US,A1)
【文献】特開2016-191817(JP,A)
【文献】特開2009-229806(JP,A)
【文献】特開2007-057785(JP,A)
【文献】特開2006-267201(JP,A)
【文献】米国特許第07986397(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第1693919(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0110179(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106918814(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0376000(US,A1)
【文献】AFLATOUNI, Firooz et al.,Nanophotonic coherent imager,Optics Express,米国,OSA,2015年02月19日,Vol. 23, No. 4,pp. 5117 - 5125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
G01C 3/00 - 3/32
JSTplus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームをステアリングするための半導体光回路であって、
光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラと、
前記連続波光源カプラからの光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成されるスプリッタと、
前記光ビームの前記第1の部分の同相変調を適用するように構成される第1の変調器と、
前記光ビームの前記第2の部分の直交変調を提供するように構成される第2の変調器と、
前記第1の変調器および前記第2の変調器の出力を合成して、周波数チャープ光ビームを形成するように構成される出力カプラと、
空間的配列の複数の格子カプラであって、前記複数の格子カプラの少なくとも1つが導波路から光を受信し、受信した光を屈折光学要素に向かって放射するように構成され、前記屈折光学要素は、放射光をターゲット領域に向けるように構成される、前記空間的配列の複数の格子カプラと、
前記空間的配列の複数の格子カプラにおいて前記導波路から光を受信する格子カプラを選択することにより、前記ターゲット領域における光ビームの位置を調整するように構成される1つまたは複数の光スイッチとを備える半導体光回路。
【請求項2】
前記半導体光回路がシリコンを含む、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項3】
前記半導体光回路が化合物半導体を含む、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項4】
光ビームの波長が約1300~1600nmの範囲にある、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項5】
前記連続波光源カプラ、前記スプリッタ、前記第1の変調器、前記第2の変調器、前記出力カプラ、前記空間的配列の複数の格子カプラ、および前記1つまたは複数の光スイッチはモノリシックに集積される、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項6】
前記出力カプラは、1つの光スイッチに光を提供する、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項7】
前記光ビームの前記第1の部分または前記第2の部分の位相を調整するように構成される1つまたは複数の移相器をさらに備える、請求項1に記載の半導体光回路。
【請求項8】
前記1つまたは複数の移相器は、前記第1の変調器からの変調された光の第1の部分を位相シフトする第1の移相器と、前記第2の変調器からの変調された光の第2の部分を位相シフトする第2の移相器とを含む、請求項7に記載の半導体光回路。
【請求項9】
半導体光回路を使用して光を処理する方法であって、
連続波光源カプラを使用して光ビームを生成するステップと、
前記光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するステップと、
第1の変調器を使用して、分割された光ビームの前記第1の部分を同相変調するステップと、
第2の変調器を使用して、分割された光ビームの前記第2の部分を直交変調するステップと、
出力カプラを使用して、前記光ビームの変調された第1の部分と変調された第2の部分とを合成することにより周波数チャープ光ビームを生成するステップと、
空間的配列の複数の格子カプラを使用して、屈折光学要素を使用して前記周波数チャープ光ビームをターゲット領域に向けるステップと、
別の格子カプラを使用して、前記ターゲット領域から自由空間光ビームの一部を受信するステップと、
1つまたは複数の光スイッチを使用して、前記空間的配列の複数の格子カプラにおいて導波路から光を受信する格子カプラを選択することにより、前記ターゲット領域における光ビームの位置を調整するステップとを含む方法。
【請求項10】
局部発振器と、前記
別の格子カプラからの自由空間光ビームの受信した一部とを信号ミキサに提供するステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、前記自由空間光ビーム場と前記局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力とを提供するステップをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体光回路がシリコンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体光回路が化合物半導体を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
光ビームの波長が約1300~1600nmの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記連続波光源カプラ、前記第1の変調器、前記第2の変調器、前記出力カプラ、前記空間的配列の複数の格子カプラ、および前記1つまたは複数の光スイッチはモノリシックに集積される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記出力カプラは、1つの光スイッチに光を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記光ビームの前記第1の部分または前記第2の部分の位相を調整するように構成される1つまたは複数の移相器をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数の移相器は、前記第1の変調器からの変調された光の第1の部分を位相シフトする第1の移相器と、前記第2の変調器からの変調された光の第2の部分を位相シフトする第2の移相器とを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、例えば、自動車ライダー(LIDAR)用の光集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
事例は、光検出および測距(ライダー)3D撮像の包括的な分野に関し、より具体的には、自律車両の環境の詳細な3Dマッピングに関する。
通常、2つの代替アプローチを使用して、遠隔ターゲットの座標を測定し、物体または環境の3D画像を生成する。1つ目のアプローチは、3Dマップに変換されたレーザーによって放射される短パルスまたは連続パルスの飛行時間測定に基づき、2つ目のアプローチは、位相変調または周波数変調可能な連続波レーザー送信機に基づいており、元の信号に対するターゲット散乱信号の距離相関位相シフトまたは周波数シフトを測定することができる。
【0003】
商業的な実施の大半は、所望の範囲および精度を提供するために必要な多数のナノ秒パルス長の高ピークパワーレーザー光源による振幅変調を使用した飛行時間アプローチを使用して行われている。実施の事例には、機械的に固定されたレーザー/検出器のペアを備えた回転ヘッドを使用して、すべてヘッドアセンブリと共に回転するベロダイン(Velodyne)などのアプローチ(例えば、高解像度ライダーシステム、特許文献1、特許文献2も参照)と、ビームのスキャンを、1つまたは複数の高速高利得アバランシェ光検出器の使用と組み合わされた微小電気機械システム(MEMS)ミラー、ガルボミラー、回転プリズム、または他の光機械スキャンソリューションを使用して実現することができるアプローチ(例えば、スペクトロラボ(Spectrolab)のスペクトロスキャン3D(Spectroscan3D)、リーグル(Riegl) UX1、および多数の航空ライダーデバイス)とが含まれる。上記のアプローチの欠点は、製造コストを高くする多数の個別部品が存在することである。より少ない数の部品を含む代替アプローチには、プリンストン・ライトウェイブ(Princeton Lightwave)のライダーカメラなどのピクセルレベルの時間ゲーティングを提供することができる検出器アレイ(例えば、単一光子検出器を含むライダーシステム、特許文献3)の使用が含まれる。このようなシステムの主な欠点は、特殊なインジウムガリウムヒ素(InGaAs)高速高感度検出器アレイの高コストと製造の困難さである。
【0004】
チャープ周波数振幅変調技術と組み合わせたコヒーレントなナノフォトニック撮像器がアフラトウニ(Aflatouni)他(非特許文献1,特許文献4も参照)によって提案され、かつ短距離、高解像度3D撮像のための少数のピクセルに対して実証されたが、多数のピクセルに対するスケーラビリティについては対処されていない。
【0005】
長距離高解像度システムに特に重要な3D撮像システムの別の側面には、出射光ビームの形状を制御する機能を含むことができる。受信側の焦点面アレイを使用する短距離システムの場合、キャプチャするシーン全体の広角照明を使用することができる。所望の範囲が増加すると、焦点面アレイの各ピクセルで十分な散乱光子を受信するために、出射ビームの発散を低減して、ターゲットの表面のパワー密度を増加させる必要が生じる。システムの広い視野と所望の範囲を達成するために必要な低発散性の必要性とを調和させるために、目標ランドスケープの表面上で光ビームを動的に成形およびスキャンする機能が必要となり得る。いくつかのアプローチが商業的に使用されているか、または研究論文で提案されている。アプローチは典型的に2つのカテゴリ:a)1つ目がランドスケープ上で低発散(またはコリメート)ビームをスキャンする二次元スキャンミラーであって、ピエゾドライブまたは微小電気機械システムによって駆動される二次元スキャンミラーに基づくもの、b)2つ目がアレイ内の各アンテナの出射信号の位相または波長を調整することにより、光信号の整形および方向を制御することができるマイクロアンテナの光フェーズドアレイに基づくもの、に分類される。ミラーベースのアプローチは、典型的に速度および信頼性の問題に直面するが、光フェーズドアレイは、光領域の電磁波に対して実施することが技術的に非常に困難であることが証明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8767190号明細書
【文献】米国特許第7969558号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0192676号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0071249号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】フィロス・アフラトゥーニ(Firooz Aflatouni)、ベフロス・アビリ(Behrooz Abiri)、アンガド・レキ(Angad Rekhi)、アリ・ハジミリ(Ali Hajimiri)、「コヒーレント撮像器(Coherent Imager)」、オプティクスエキスプレス(Optics Express)、2015年、23巻、第4号、p5117
【発明の概要】
【0008】
事例としては、成熟した製造プラットフォーム上のオンチップ集積を使用することにより、従来のライダーアーキテクチャの欠陥を克服し、スケーラビリティおよび実用的な集積の問題に対処するアーキテクチャが含まれる。さらに、光フェーズドアレイの速度および信頼性の利点をすべて備えながら、集積プラットフォームでの実施の困難性が大幅に軽減される、新規な全固体ビームステアリングアプローチが提案される。最後に、光フェーズドアレイに関する新規なアーキテクチャが提案される。例示的な3D光学検知システムは、光ファイバネットワークを介して接続されたモジュールを有するモジュラーアーキテクチャを含む。ファイバ結合のモジュラーアーキテクチャにより、
図1に示すように、自動車プラットフォーム内でのシステムの集積化が容易になり、システムの電力およびスペースを消費する部品が要素11内において中央に位置し、かつ車両の設計要素に悪影響を与えないため、設計上の制約が排除される。分散要素12は、光ファイバおよび電気接続13を介して中央要素に結合されている。
【0009】
光信号生成モジュールは、規定のスペクトル特性および電力特性を有するレーザー光を生成する。光は、光ファイバを介して光信号処理モジュールに送信することができる。光信号処理モジュールは、複数の受動および能動的光学機能を実行して、調整された振幅、位相、スペクトル特性を有する1つまたは複数の信号を生成する光集積回路(PIC:photonic integrated circuit)を例として含む。光信号処理モジュールによって処理された複数の光信号は、光ファイバを介して車両の周囲に配置されたビームステアリングユニットに送信される。ステアリングユニットは、複数の光ビームをターゲットに向ける。各ビームステアリングユニットは、出射光信号の水平角度および垂直角度を制御する。センサのアレイを含み、かつコヒーレント検出技術を使用する受信機PICによって戻り光信号を検出することができる。センサのアレイによって電気信号に変換された光信号は、電子信号処理ユニットによって処理され、ターゲットの位置および速度に関する情報を定量化することができる。一つの事例では、使用される光信号は、より高い最大許容露光限界と低いバックグラウンド光学ノイズの利点を得るために、1530nmから1565nmの範囲とすることができる。一つの事例では、送信機および受信機PICは、シリコンフォトニクス(Silicon Photonics)プラットフォームを使用して実施される。モジュラー構造のブロック図の説明が
図2に示される。
【0010】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するなどのための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成される第1の変調器を含むこともできる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器も含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成される出力カプラを含むこともできる。半導体光回路は、周波数チャープ光ビームのN個の部分を受信するように構成することができるマルチプレクサを含むこともでき、N個の部分の個々の1つが出力カプラによって提供される。半導体光回路は、光ビームを受信し、光ビームをN個の異なる結合要素に提供するように構成することができるデマルチプレクサを含むこともできる。マルチプレクサは、マルチモード干渉導波路またはスターカプラと組み合わされた回折格子を含むことができる。半導体光回路は、出力カプラの出力におけるバイアス移相器を含むこともでき、バイアス移相器は、周波数チャープ光ビームの位相を調整するように構成することができる。バイアス移相器は、第1の変調器を出射する光と第2の変調器を出射する光との間に位相オフセットを提供するように構成することができる。光ビームは、導波路断面に対応する非線形効果に関する発生パワー未満のパワーを有することができる。光ビームの出力は約50mW未満である。光回路はシリコンを含むことができる。第1の変調器および第2の変調器は、PN接合またはPIN接合を含むことができる。半導体光回路は、バイアス移相器を調整するために使用することができるフィードバック信号を提供するように構成することができるタップカプラおよびフォトダイオードを含むこともできる。第1の変調器および第2の変調器は、熱光学変調器、注入変調器、または空乏変調器を含むことができる。光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。半導体光回路は、化合物半導体を含むことができる。
【0011】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供するための方法を特徴とすることができる。方法は、光ビームを提供するなどのための連続波光源を使用することを含むことができる。方法は、光ビームを平面導波路に結合し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第1の部分を同相変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第2の部分を直交変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの変調された第1の部分と分割された光ビームの変調された第2の部分とを合成して、周波数チャープ光ビームを形成することを含むこともできる。方法は、周波数チャープ光ビームの位相を調整するなどのための、合成された光ビームの位相シフトを提供することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームのN個の変調された光ビーム間の相対位相オフセットを低減することを含むこともできる。方法は、光ビームのパワーを、非線形効果の発生が起きる、導波路断面に対応するパワーレベル未満に低減することを含むこともできる。方法は、非線形損失を減らすなどのために、光ビームのパワーを約50mw未満に低減することを含むこともできる。方法はまた、複数の周波数チャープを周波数チャープ光ビームにおいて同時にまたは順次生成することを含むことができる。
【0012】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、複数の結合要素も含むことができ、各個々の結合要素は、連続波光源から光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第1の変調器も含むことができ、複数の第1の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第1の部分を受信し、対応する第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第2の変調器も含むことができ、複数の第2の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第2の部分を受信し、対応する第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の移相器を含むこともでき、複数の移相器の個々の1つは、再結合の前に対応する周波数チャープ光ビームの位相を調整するように構成することができる。半導体光回路は、複数の出力カプラも含むことができ、複数の出力カプラの個々の1つは、対応する第1の変調器および対応する第2の変調器の対応する出力を受信して合成して、周波数チャープ光ビームを形成するなどするように構成することができる。複数の出力カプラの個々の1つは、中央部分と周辺部分を有するスターカプラを含むことができ、中央部分は、周波数チャープ光ビームの中央空間部分を出力し(outcouple)、周辺部分は、周波数チャープ光ビームの周辺部分を受信機に提供することができる。半導体光回路は、複数の出力カプラから周波数チャープ光ビームのM個の部分を受信するように構成することができるマルチプレクサを含むこともできる。半導体光回路はまた、光ビームを受信し、N個の異なる結合要素に光ビームを提供するように構成することができるデマルチプレクサを含むことができ、NはMより大きくすることができる。分割された光ビームの第1の部分および分割された光ビームの第2の部分は直線偏光される。分割された光ビームの対応する第1の部分および分割された光ビームの対応する第2の部分は、直線偏光される。出力カプラは、受信機に向かって伝搬する第1の周波数チャープ光ビームとターゲットに向かって伝搬する第2の周波数チャープ光ビームを提供するように構成することができる。複数の出力カプラの個々の1つは、受信機に向かって伝搬する第1の周波数チャープ光ビームとターゲットに向かって伝搬する第2の周波数チャープ光ビームを提供するように構成することができる。
【0013】
一態様では、本開示は、複数の並列周波数チャープ光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するなどのための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、光ビームをいくつかの光ビームに分離するなどためのデマルチプレクサを含むこともできる。半導体光回路は、複数の結合要素を含むこともでき、各個々の結合要素は、複数の光ビームの1つを受信し、受信した光ビームを第1の部分と第2の部分に分割するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第1の変調器も含むことができ、複数の第1の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第1の部分を受信し、対応する第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第2の変調器も含むことができ、複数の第2の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第2の部分を受信し、対応する第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の移相器を含むこともでき、複数の移相器の個々の1つは、再結合の前に対応する周波数チャープ光ビームの位相を調整するように構成することができる。半導体光回路は、複数の出力カプラを含むこともでき、複数の出力カプラの個々の1つは、対応する第1の変調器と対応する第2の変調器の対応する出力を受信して合成して、周波数チャープ光ビームを形成するように構成することができる。半導体光回路は、光集積回路から光を出力し、光ファイバリンクに入力するなどのための複数の連続波光カプラを含むこともできる。
【0014】
一態様では、本開示は、光ビームの周波数および位相の検出を提供するための光回路を特徴とすることができる。光回路は、自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むことができる。光回路は複数の信号ミキサを含むこともでき、個々の信号ミキサは、対応する格子カプラからの自由空間光ビームの一部と、局部発振器光ビームとを受信するように構成することができ、個々の信号ミキサは、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力とを提供するなどのために構成することができる。光回路は、複数の検出器対を含むことができ、各検出器対は、信号ミキサに対応し、かつ信号ミキサの2つの出力から光ビームを受信する。複数の格子カプラおよび複数の信号ミキサは、N個のグループに分割することができ、N個のグループの各々は、M個の格子カプラおよびM個の信号ミキサを有する。局部発振器信号は、複数の信号ミキサの各々に実質的に同時に供給される。局部発振器信号は、複数の信号ミキサの各々に順次供給される。光回路は、第1の出力を第1の電気信号に変換する第1の検出アームと、第2の出力を第2の電気信号に変換する第2の検出アームとを含むこともできる。第1の電気信号と第2の電気信号との間の差を使用して、ノイズが低減された検出信号を提供することができる。複数の格子カプラの格子周期、デューティーサイクル、または二次元トポロジーは、受信した自由空間光の異なる入射角に対応するなどのために、光回路上の位置とともに変化することができる。複数の格子カプラの第1のサブセットは、m次回折次数に対応する自由空間光を結合するように構成することができ、複数の格子カプラの第2のサブセットは、n次回折次数に対応する自由空間光を結合するように構成することができる。一対の複数の格子カプラは、互いに隣接して配置され、かつ異なる向きを有することができる。光回路はシリコンを含むことができる。光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。複数の格子カプラは、自由空間光ビームに対応する波長範囲および角度範囲の結合を増加させ、自由空間光ビームに対応する波長範囲および角度範囲の外側の光の結合を減少させるように選択された格子周期、デューティーサイクル、または二次元トポロジーを含むことができる。
【0015】
一態様では、本開示は、光集積回路を使用して光ビームの周波数および位相を検出するための方法を特徴とすることができる。方法は、格子カプラを使用して自由空間光ビームの一部を受信することを含むことができる。方法は、局部発振器と、格子カプラからの自由空間光ビームの受信した一部とを信号ミキサに提供することを含むこともできる。方法は、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力とを提供することを含むこともできる。方法は、局部発振器を複数の信号ミキサに実質的に同時に提供することを含むこともできる。方法は、局部発振器を複数の信号ミキサに順次提供することを含むこともできる。方法はまた、第1の出力を第1の電気信号に変換し、第2の出力を第2の電気信号に変換することを含むことができ、第1の電気信号と第2の電気信号との間の差を使用して、ノイズが低減された検出信号を提供することができる。方法は、複数の格子カプラを提供することも含み、複数の格子カプラの格子周期、デューティーサイクル、または二次元トポロジーは、受信した自由空間光の異なる入射角に対応するために、光回路上の位置とともに変化する。方法は、格子カプラを使用してm次回折次数に対応する自由空間光を結合し、格子カプラに隣接する別の格子カプラを使用してn次回折次数に対応する自由空間光を結合することを含むこともできる。方法は、複数の信号ミキサのサブセットに対して自由空間光ビームの対応する部分を受信すること、および複数の信号ミキサのサブセットによって提供される電気信号を同時に処理することを含むこともできる。方法は、複数のビート周波数または位相を同時にまたは順次検出することを含むこともできる。方法は、異なる波長の自由空間光ビームを同時に受信することを含むこともできる。
【0016】
一態様では、本開示は、光ビームの周波数および位相の検出を提供するための光電子回路を特徴とすることができる。光電子回路は、自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むことができる。光電子回路は、複数の信号ミキサを含むこともでき、個々の信号ミキサは、対応する格子カプラからの自由空間光ビームの一部と、局部発振器光ビームとを受信するように構成することができ、個々の信号ミキサは、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力を提供するように構成することができる。光電子回路は、複数の検出器対を含むこともでき、個々の検出器対は信号ミキサに対応し、信号ミキサの2つの出力を受信するように構成することができる。光電子回路は、複数のトランスインピーダンス増幅器を含むこともでき、複数のトランスインピーダンス増幅器の個々の1つは、1つの光検出器に関連付けることができる。光電子回路は、複数のアナログデジタル変換器を含むこともでき、個々のアナログデジタル変換器は検出器のサブセットに関連付けることができる。光電子回路は、複数の検出器対の複数の行および列から信号を収集するように構成することができる読み出し回路を含むこともできる。
【0017】
一態様では、本開示は、光ビームの動的なステアリングを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。光回路は、空間的配列の格子カプラを含むことができ、個々の格子カプラが導波路から光を受信し、受信した光を屈折光学要素に向かって放射するように構成することができ、屈折光学要素は放射光をターゲット領域に向けるように構成することができる。光回路は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが導波路からの光を受信するかを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置を調整するように構成することができる1つまたは複数の光スイッチを含むこともできる。空間的配列の格子カプラは、格子カプラの複数のグループを含むことができ、格子カプラを含む各グループが異なる方向を有することができる。空間的配列の格子カプラの範囲は、ターゲット領域における光ビームの位置の調整範囲を決定することができる。空間的配列の格子カプラにより、ターゲット領域における光ビームの位置を二次元で調整することができる。屈折光学要素は、約0.1度未満の光ビームの発散を提供するように選択された焦点距離および位置を有する光学レンズを含むことができる。1つまたは複数の光スイッチは、1つまたは複数のマッハツェンダースイッチまたはリングベースのスイッチを含むことができる。屈折光学要素は、光ビームの発散角を調整することができる。1つまたは複数の光スイッチは、熱光学効果を使用するか、または空乏モードまたは注入モードで動作するPN接合またはPIN接合を使用する移相器を含むことができる。光回路はシリコンを含むことができる。光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。空間的配列の格子カプラは、複数の格子カプラから光を同時に放射するように構成することができる。空間的配列の格子カプラは、格子カプラのうちの2つ以上から順次光を放射するように構成され得る。空間的配列の格子カプラの異なる格子から放射される光ビームの強度は、検出器の信号対ノイズ比を変化させるために、大きさが変化することができる。空間的配列の格子カプラの周期、デューティーサイクル、または二次元トポロジーなどの格子構造パラメータは、放射光のモードプロファイルおよび伝搬方向を変化させるために、半導体光回路上の位置とともに変化することができる。空間的配列の格子カプラの1つの格子カプラを介して出力パワーを増加させるために、複数のスイッチからの光ビームを多重化することができる。
【0018】
一態様では、本開示は、光ビームの動的ステアリングを提供するための方法を特徴とすることができる。方法は、空間的配列の格子カプラを使用して、屈折光学要素に向かって光を放射することを含むことができる。方法は、屈折光学要素を使用して光をターゲット領域に向けることを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置を調整することを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラを異なる方向を有する複数のグループに分割することを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、光ビームの位置を二次元で調整することを含むこともできる。方法はまた、約0.1度未満の光ビームの発散を提供するなどのために、屈折光学要素の焦点距離および位置を選択することを含むことができる。方法は、マッハツェンダースイッチまたはリングベースのスイッチを使用して、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することを含むこともできる。方法は、屈折光学要素を使用して光ビームの発散角を調整することを含むこともできる。
【0019】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームの動的ステアリングを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成される第1の変調器を含むこともできる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器も含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成される出力カプラを含むこともできる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラも含むことができ、個々の格子カプラは、導波路から光を受信し、受信した光を屈折光学要素に向かって放射するように構成することができ、屈折光学要素は放射光をターゲット領域に向けるように構成することができる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラにおいて導波路からの光を受信する格子カプラを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置を調整するように構成することができる1つまたは複数の光スイッチを含むこともできる。光集積回路はシリコンを含むことができる。光集積回路は化合物半導体を含むことができる。光ビームの波長は、約1300~1600nmの範囲とすることができる。連続波光源カプラ、結合要素、第1の変調器、第2の変調器、出力カプラ、空間的配列の格子カプラ、および1つまたは複数の光スイッチは、モノリシックに集積することができる。出力カプラは1つの光スイッチに光を提供することができる。
【0020】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームの動的ステアリングを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、複数の結合要素も含むことができ、各個々の結合要素は、連続波光源から光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第1の変調器も含むことができ、複数の第1の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第1の部分を受信し、対応する第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第2の変調器も含むことができ、複数の第2の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第2の部分を受信し、対応する第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の移相器を含むこともでき、複数の移相器の個々の1つは、再結合の前に対応する周波数チャープ光ビームの位相を調整するように構成することができる。半導体光回路は、複数の出力カプラを含むこともでき、複数の出力カプラの個々の1つは、対応する第1の変調器と対応する第2の変調器の対応する出力を受信して合成して、周波数チャープ光ビームを形成するように構成することができる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラも含むことができ、個々の格子カプラは、導波路から光を受信し、受信した光を屈折光学要素に向かって放射するように構成することができ、屈折光学要素は放射光をターゲット領域に向けるように構成することができる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが導波路からの光を受信するかを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置を調整するように構成される1つまたは複数の光スイッチを含むこともできる。複数の出力カプラの各々は、1つの光スイッチに光を提供できる。複数の出力カプラが、1つのスイッチへの入力に光を提供することができる。空間的配列の格子カプラは、複数の格子カプラから光を同時に放射するように構成することができる。
【0021】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供し、周波数チャープ光ビームを受信するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成される第1の変調器を含むこともできる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器も含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成される出力カプラを含むこともできる。半導体光回路は、屈折要素を介して光ビームをターゲット領域に向けるように構成することができる結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、ターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むこともできる。半導体光回路は、複数の信号ミキサを含むこともでき、個々の信号ミキサは、対応する格子カプラからの自由空間光ビームと、局部発振器光ビームの一部とを受信するように構成することができ、個々の信号ミキサは、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場の差に対応する第2の出力を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の検出器対も含むことができ、各検出器対は、信号ミキサに対応し、かつ信号ミキサの2つの出力から光ビームを受信する。屈折要素は、シーン全体を同時に照明するために広い発散性を有することができる。屈折要素は、約30度から50度の範囲の発散を有することができる。半導体光回路は、屈折要素によってコリメートされた光ビームをスキャンするように構成することができる微小電気機械(MEMS)ミラーまたはガルボミラーを含むこともできる。M個のピクセルの受信機ブロックは、MEMSまたはガルボミラーステアリング機構と関連する局部発振器光を受信し、ターゲット領域からの自由空間光ビームを受信する格子カプラに局部発振器光を提供するなどのために構成することができる。
【0022】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを動的にステアリングするための方法を特徴とすることができる。方法は、連続波光源を使用して光ビームを提供することを含むことができる。方法は、光ビームを平面導波路に結合し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第1の部分を同相変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第2の部分を直交変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの変調された第1の部分と分割された光ビームの変調された第2の部分とを合成して、周波数チャープ光ビームを形成することを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラを使用して、屈折光学要素に向かって周波数チャープ光ビームを放射することを含むこともできる。方法は、屈折光学要素を使用して、周波数チャープ光ビームをターゲット領域に向けることを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、ターゲット領域の周波数チャープ光ビームの位置を調整することも含み得る。
【0023】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供し、光集積回路を使用して光ビームの周波数および位相を検出するための方法を特徴とすることができる。方法は、連続波光源を使用して光ビームを提供することを含むことができる。方法は、光ビームを平面導波路に結合し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第1の部分を同相変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの第2の部分を直交変調することを含むこともできる。方法は、分割された光ビームの変調された第1の部分と分割された光ビームの変調された第2の部分とを合成して、周波数チャープ光ビームを形成することを含むこともできる。方法は、空間的配列の格子カプラを使用して、屈折光学要素を介して周波数チャープ光ビームをターゲット領域に向かって放射することを含むこともできる。方法は、格子カプラを使用してターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信することを含むこともできる。方法は、局部発振器と、格子カプラからの自由空間光ビームの受信した一部とを信号ミキサに提供することを含むこともできる。方法は、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力とを提供することを含むこともできる。
【0024】
一態様では、本開示は、周波数チャープ光ビームを提供および受信するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成される結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成される第1の変調器を含むことができる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器を含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成される。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成される出力カプラを含むことができる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラを含むことができ、個々の格子カプラは、出力カプラから周波数チャープ光ビームを受信し、受信した光を屈折光学要素に向かって放射するように構成することができ、屈折光学要素は、放射光をターゲット領域に向けるように構成することができる。半導体光回路は、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが出力カプラからの光を受信するかを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置を調整するように構成することができる1つまたは複数の光スイッチを含むことができる。半導体光回路は、ターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むことができる。半導体光回路は、複数の信号ミキサを含むことができ、個々の信号ミキサは、対応する格子カプラからの自由空間光ビームの一部と局部発振器光ビームとを受信するように構成することができ、個々の信号ミキサは、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との間の差に対応する第2の出力を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の検出器対を含むことができ、各検出器対は、信号ミキサに対応し、かつ信号ミキサの2つの出力から光ビームを受信する。光源によって提供される光ビームは、約1300~1600nmの範囲の波長を有することができる。半導体光集積回路のすべてのコンポーネントは、モノリシックに集積することができる。M個のピクセルの受信機ブロックは、ステアリング機構と関連する局部発振器光を受信して、ターゲット領域から受信した局部発振器光と自由空間光との両方を提供するように構成することができる。1つまたは複数のスイッチは、1つの優先方向に向けられた光ビームのパワーを最大化などをするように構成することができる。1つまたは複数の光スイッチは、光を複数の格子カプラに同時に提供して、ターゲット領域の複数の領域を同時に照明するように構成することができる。ターゲット領域の照射領域に対応する光ビームの強度は、複数の検出器対からのフィードバックに基づいて調整することができる。半導体光集積回路はシリコンを含むことができる。半導体光集積回路は化合物半導体を含むことができる。
【0025】
一態様では、本開示は、振幅変調光ビームを提供し、複数の光ビームを検出するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、連続波光源から光ビームを受信するように構成することができる結合要素を含むことができる。半導体光回路は、受信した光ビームを振幅変調するように構成することができる複数の振幅変調器を含むこともできる。半導体光回路は、振幅変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、ターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むこともできる。半導体光回路は、複数の信号振幅変調器も含むことができ、複数の信号振幅変調器の個々の1つは、対応する格子カプラから自由空間光ビームの一部を受信し、対応する検出器の飽和を低減するために光ビームを減衰させるように構成することができる。半導体光回路は窒化ケイ素を含むことができる。半導体光回路はシリコンを含むことができる。半導体光回路は化合物半導体を含むことができる。複数の信号振幅変調器の個々の信号変調器は、対応する検出器の飽和を低減するなどのために光ビームを減衰させ、かつゲート検出の時間ウィンドウを規定するように構成することができる。検出器と対応する信号振幅変調器との間に検出器によって測定された光ビームの強度を飽和レベル以下に調整するなどのためのフィードバックループを確立することができる。半導体光回路は、複数の格子カプラを含むこともでき、複数の格子カプラの格子周期、デューティーサイクルまたは二次元トポロジーは、受信した自由空間光ビームの異なる入射角に対応するために、半導体光回路上の位置とともに変化する。半導体光回路は、複数の格子カプラを含むこともでき、複数の格子カプラの格子周期、デューティーサイクル、または二次元トポロジーは、自由空間光ビームに対応する波長範囲および角度範囲の結合を増加させ、自由空間光ビームに対応する波長範囲および角度範囲の外側の光の結合を減少させるように、選択することができる。自由空間光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。複数の検出器は、線形モードまたはガイガーモードで動作する少なくとも1つのアバランシェフォトダイオード検出器を含むことができる。複数の信号振幅変調器の個々の1つおよび複数の振幅変調器の個々の1つは、PN接合またはPIN接合、または加熱要素を含むことができる。
【0026】
一態様では、本開示は、振幅変調光ビームを提供し、複数の光ビームを検出するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、連続波光源から光ビームを受信するように構成することができる結合要素を含むことができる。半導体光回路は、受信光ビームを変調し、振幅変調光ビームを提供するように構成することができる複数の振幅変調器を含むこともできる。半導体光回路は、振幅変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、ターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる複数の格子カプラを含むこともできる。半導体光回路は、複数の信号振幅変調器も含むことができ、個々の信号振幅変調器は、対応する格子カプラから自由空間光ビームの一部を受信し、対応する検出器の飽和を低減するなどのために、自由空間光ビームの受信した一部を減衰するように構成することができる。半導体光回路は、複数の検出器も含むこともでき、個々の検出器は、格子カプラに対応し、可変光減衰器を介して格子カプラから自由空間光ビームの一部を受信するように構成することができる。半導体光回路は、複数のトランスインピーダンス増幅器を含むこともでき、複数のトランスインピーダンス増幅器の個々の1つは、1つの光検出器に関連付けることができる。半導体光回路は、複数の検出器対の複数の行および列から信号を収集するように構成することができる読み出し回路を含むこともできる。
【0027】
一態様では、本開示は、誘導ラマン散乱により、第1の波長を有する複数の光ビームから第2の波長を有する複数の光ビームを生成するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、連続波光源から光ビームを第1の波長で受信するように構成することができる結合要素を含むことができる。半導体光回路は、複数の波長選択カプラも含むことができ、複数の波長選択カプラの個々の1つは、2つの異なる波長を結合または分離するように構成することができる。半導体光回路は、複数のリング共振器を含むこともでき、複数のリング共振器の個々の1つは、ラマンシフト高調波に対応する波長で100,000を超えるQ係数を提供して、第1の波長の光の一部をラマンシフト高調波に対応する第2の波長に変換するように調整することができる。半導体光回路はまた、複数のデマルチプレクサを含むこともでき、複数のデマルチプレクサの個々の1つは、ラマンシフト高調波に対応する波長を有する光ビームを同じ波長の複数の光ビームに分割するように構成することができる。半導体光回路は、複数の振幅変調器も含むこともでき、複数の振幅変調器の個々の1つは、対応するデマルチプレクサからの光ビームの一部を受信して変調するように構成することができる。半導体光回路は、複数の結合要素を含むこともでき、複数の結合要素の個々の1つは、対応する振幅変調器から受信した光ビームの一部を半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる。光ビームの第1の波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。複数の振幅変調器の個々の1つは、PN接合またはPIN接合、または加熱要素を含むことができる。半導体光回路は窒化ケイ素を含むことができる。半導体光回路はシリコンを含むことができる。半導体光回路は化合物半導体を含むことができる。
【0028】
一態様では、本開示は、振幅変調光ビームを提供し、ターゲット領域から受信した自由空間光ビームを検出するための方法を特徴とすることができる。方法は、光ビームを提供し、光ビームを半導体光回路における複数の振幅変調器に結合することを含むことができる。方法は、1つまたは複数の振幅変調器を使用して光ビームを振幅変調することを含むこともできる。方法は、振幅変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力することを含むこともできる。方法は、1つまたは複数の格子カプラを使用して、ターゲット領域からの自由空間光ビームの一部を受信することを含むこともできる。方法は、1つまたは複数の信号振幅変調器を使用して、対応する検出器の飽和を低減するために自由空間光ビームの受信した一部を減衰させることを含むこともできる。
【0029】
一態様では、本開示は、誘導ラマン散乱により、第1の波長を有する複数の光ビームから第2の波長を有する複数の光ビームを生成するための方法を特徴とすることができる。方法は、光ビームを第1の波長で提供し、2つの異なる波長を結合または分離するように構成される波長選択カプラに光ビームを結合することを含むことができる。方法は、リング共振器を使用して、ラマンシフト高調波に対応する波長で100,000を超えるQ係数を提供するようにリング共振器を調整し、リング共振器を使用して、第1の波長の光の一部をラマンシフト高調波に対応する第2の波長に変換することを含むこともできる。方法はまた、ラマンシフトされた高調波に対応する波長を有する光ビームを、同じ波長の複数の光ビームに分割することを含むことができる。方法は、1つまたは複数の振幅変調器を使用して、分割された光ビームを振幅変調することを含むこともできる。方法は、1つまたは複数の振幅変調器から受信した光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力することを含むこともできる。
【0030】
一態様では、本開示は、連続的に可変の遠方場(far field)パターンを有する光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、連続波光源から光ビームを受信するように構成することができる結合要素を含むことができる。半導体光回路は、光ビームをN個の光ビームに分割するように構成することができる1つまたは複数のビームスプリッタを含むこともできる。半導体光回路は、N個の光ビームの各々の位相を制御するように構成することができる複数の位相変調器を含むこともできる。半導体光回路は、複数のエバネッセント垂直カプラも含むことができ、各カプラは、光ビームを垂直方向に隣接する導波路層に結合するように構成することができる。半導体光回路は、位相変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる複数の光カプラを含むこともできる。複数の光カプラは、M個のサブセットに分割することができ、M個のサブセットの各々は、異なる垂直導波路層に存在することができる。半導体光回路は窒化ケイ素を含むことができる。半導体光回路はシリコンを含むことができる。半導体光回路は化合物半導体を含むことができる。自由空間光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。複数の位相変調器の個々の1つは、PN接合またはPIN接合、または加熱要素を含むことができる。複数の光カプラは、複数対の光カプラを含むことができ、各対の光カプラは、4ミクロン未満だけ離間させることができる。複数の光ビームスプリッタの数Pは固定にすることができ、複数の光ビームスプリッタにおける他の光ビームスプリッタは可変にすることができる。複数の光カプラからターゲットに向かって出力される複数の光ビームの位相および振幅の両方が可変にすることができる。複数の光カプラは、複数の光カプラにおける各2つの光カプラ間で等しい間隔または可変の間隔を有することができる。1つまたは複数の光検出器およびフィードバック制御ループは、所望の遠方場パターンを達成するために、複数の位相変調器ドライバにフィードバックを提供して、相対位相を調整することができる。
【0031】
一態様では、本開示は、連続的に可変の遠方場パターンを有する周波数チャープ光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成することができる結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる第1の変調器を含むこともできる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器も含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成することができる出力カプラを含むこともできる。半導体光回路は、光ビームをN個の光ビームに分割するように構成することができる1つまたは複数のビームスプリッタを含むこともできる。半導体光回路は、N個の光ビームの各々の位相を制御するように構成することができる複数の位相変調器を含むこともできる。半導体光回路はまた、複数のエバネッセント垂直カプラを含むことができ、複数のエバネッセント垂直カプラの個々の1つは、光ビームを隣接する導波路層に結合するように構成することができる。半導体光回路は、位相変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる複数の光カプラを含むこともできる。複数の光カプラは、M個のサブセットに分割することができ、M個のサブセットの各々は、異なる垂直導波路層に存在することができる。半導体光回路は窒化ケイ素を含むことができる。半導体光回路はシリコンを含むことができる。半導体光回路は化合物半導体を含むことができる。自由空間光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。複数の位相変調器の個々の1つは、PN接合またはPIN接合、または加熱要素を含むことができる。
【0032】
一態様では、本開示は、連続的に可変の遠方場パターンを有する周波数チャープ光ビームを提供し、光ビームの周波数および位相を検出するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、連続波光源カプラから光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分とに分割するように構成することができる結合要素を含むこともできる。半導体光回路は、分割された光ビームの第1の部分を受信し、第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる第1の変調器を含むこともできる。半導体光回路は、第1の変調器と並列の第2の変調器も含むことができ、第2の変調器は、分割された光ビームの第2の部分を受信し、第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、第1の変調器および第2の変調器の出力を受信して合成して周波数チャープ光ビームを形成するように構成することができる出力カプラを含むこともできる。半導体光回路は、光ビームをN個の光ビームに分割するように構成することができる1つまたは複数のビームスプリッタを含むこともできる。半導体光回路は、N個の光ビームの各々の位相を制御するように構成することができる複数の位相変調器を含むこともできる。半導体光回路は、複数のエバネッセント垂直カプラを含むこともでき、複数のエバネッセント垂直カプラの個々の1つは、光ビームを隣接する導波路層に結合するように構成することができる。半導体光回路は、位相変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる複数の光カプラを含むこともできる。半導体光回路は、自由空間光ビームの一部を受信するように構成される複数の格子カプラを含むこともできる。半導体光回路は、複数の信号ミキサを含むこともでき、個々の信号ミキサは、対応する格子カプラからの自由空間光ビームと、局部発振器光ビームの一部とを受信するように構成することができ、個々の信号ミキサは、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場との合計に対応する第1の出力と、自由空間光ビーム場と局部発振器光ビーム場の差に対応する第2の出力を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の検出器対も含むことができ、各検出器対は、信号ミキサに対応し、かつ信号ミキサの2つの出力から光ビームを受信する。複数の光カプラは、M個のサブセットに分割することができ、M個のサブセットの各々は、異なる垂直導波路層に存在することができる。半導体光回路は窒化ケイ素を含むことができる。半導体光回路はシリコンを含むことができる。半導体光回路は化合物半導体を含むことができる。自由空間光ビームの波長は、約1300nm~1600nmの範囲とすることができる。位相変調器は、PN接合またはPIN接合、または加熱要素を含むことができる。
【0033】
一態様では、本開示は、連続的に可変の遠方場パターンを有する周波数チャープ光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、複数の結合要素も含むことができ、各個々の結合要素は、連続波光源から光ビームを受信し、光ビームを第1の部分と第2の部分に分割するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第1の変調器も含むことができ、複数の第1の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第1の部分を受信し、対応する第1の部分の同相変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の第2の変調器も含むことができ、複数の第2の変調器の個々の1つは、分割された光ビームの対応する第2の部分を受信し、対応する第2の部分の直交変調を提供するように構成することができる。半導体光回路は、複数の移相器を含むこともでき、複数の移相器の個々の1つは、再結合の前に対応する周波数チャープ光ビームの位相を調整するように構成することができる。半導体光回路は、複数の出力カプラを含むこともでき、複数の出力カプラの個々の1つは、対応する第1の変調器と対応する第2の変調器の対応する出力を受信して合成して、周波数チャープ光ビームを形成するように構成することができる。半導体光回路はまた、複数の出力カプラから受信した光ビームを複数の光ビームに分割するように構成される1つまたは複数のビームスプリッタを含むこともできる。半導体光回路は、複数の光ビームの各々の位相を制御するように構成することができる複数の位相変調器を含むこともできる。半導体光回路は、複数のエバネッセント垂直カプラを含むこともでき、複数のエバネッセント垂直カプラの個々の1つは、光ビームを隣接する導波路層に結合するように構成することができる。半導体光回路は、位相変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる複数の光カプラを含むこともできる。複数の光カプラは、M個のサブセットに分割することができ、M個のサブセットの各々は、異なる垂直導波路層に存在することができる。
【0034】
一態様では、本開示は、連続的に可変の遠方場パターンを備えた振幅変調光ビームを提供するための半導体光回路を特徴とすることができる。半導体光回路は、光源からの光ビームを提供するための連続波光源カプラを含むことができる。半導体光回路は、受信光ビームを変調し、振幅変調光ビームを提供するように構成することができる複数の振幅変調器を含むこともできる。半導体光回路はまた、複数の出力カプラから受信した光ビームを複数の光ビームに分割するように構成することができる1つまたは複数のビームスプリッタを含むことができる。半導体光回路は、複数の光ビームの各々の位相を制御するように構成することができる複数の位相変調器を含むこともできる。半導体光回路は、複数のエバネッセント垂直カプラを含むこともでき、複数のエバネッセント垂直カプラの個々の1つは、光ビームを隣接する導波路層に結合するように構成することができる。半導体光回路は、位相変調された光ビームを半導体光回路からターゲット領域に向かって出力するように構成することができる複数の光カプラを含むこともできる。複数の光カプラは、M個のサブセットに分割することができ、M個のサブセットの各々は、異なる垂直導波路層に存在することができる。連続的に可変の遠方場パターンは、周波数チャープ光ビームの可変形状、可変方向、または可変発散を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示は、事例として、添付の図面を参照して説明される。
【
図1】自動車のライダーシステムの例を示す図である。
【
図3】レーザー光生成モジュールの例を示す図である。
【
図5】ビームステアリングモジュールの例を示す図である。
【
図8】MEMSベースのライダーシステムの例を示す図である。
【
図10】MEMSベースのライダーシステムの例を示す図である。
【
図12】トランシーバの光集積回路の例を示す図である。
【
図13】ビームステアリングおよびトランシーバモジュールの例を示す図である。
【
図14】集積ライダーシステムの例を示す図である。
【
図15】集積ライダーシステムの動作の例を示す図である。
【
図16】3Dカメラモジュールの例を示す図である。
【
図20】集積FMCW(周波数変調連続波:frequency modulated continuous wave)送信機の例を示す図である。
【
図21】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図22】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図23】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図24】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図25】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図26】高出力FMCW光送信機の例を示す図である。
【
図27】スターカプラにおける空間光ビームプロファイルの例を示す図である。
【
図28】高出力光送信機の動作の例を示す図である。
【
図29】I/Q変調器のスタンドアロン構成の例を示す図である。
【
図30A】コヒーレント受信機の例を示す図である。
【
図30B】コヒーレント受信機の例を示す図である。
【
図30C】コヒーレント受信機の例を示す図である。
【
図31】局部発振器の分配導波路を有するピクセルの例を示す図である。
【
図32】局部発振器の分配導波路を有するピクセルの例を示す図である。
【
図36】トランシーバおよび光フェーズドアレイを含む集積システムの例を示す図である。
【
図38A】ビームステアリング光集積回路の例を示す図である。
【
図38B】ビームステアリング光集積回路の動作の例を示す図である。
【
図38C】格子カプラのアレイの例を示す図である。
【
図39】光ビームの角度を制御するためのフィードバックループの例を示図である。
【
図40A】スイッチおよび格子カプラの組み合わせの例を示す図である。
【
図40B】スイッチおよび格子カプラの組み合わせの例を示す図である。
【
図40C】スイッチおよび格子カプラの組み合わせの例を示す図である。
【
図42】集積オンチップステアリング機構を含む光集積回路の例を示す図である。
【
図43】集積オンチップステアリング機構を含む光集積回路の例を示す図である。
【
図44】集積オンチップステアリング機構を含む光集積回路の例を示す図である。
【
図45A】集積受信機アレイ、送信機、およびデジタルステアリングアレイを含む光集積回路の例を示す図である。
【
図45B】集積受信機アレイ、送信機、およびデジタルステアリングアレイを含む光集積回路の例を示す図である。
【
図45C】集積受信機アレイ、送信機、およびデジタルステアリングアレイを含む光集積回路の例を示す図である。
【
図49】ビームステアリングモジュールの動作の例を示す図である。
【
図51】光集積回路用のサンプルセルの例を示す図である。
【
図52】光集積回路用のサンプルセルの例を示す図である。
【
図53】光集積回路用のサンプルセルの例を示す図である。
【
図55】光生成モジュール、送信機モジュール、および受信機モジュールを含む光集積回路の例を示す図である。
【
図58A】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58B】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58C】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58D】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58E】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58F】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図58G】フェーズドアレイアーキテクチャの例を示す図である。
【
図60】送信機モジュールの動作方法を示す図である。
【
図61】バランス型受信機の動作方法を示す図である。
【
図62】ステアリングモジュールの動作方法を示す図である。
【
図63】集積FMCWスキャン送信機の動作方法を示す図である。
【
図64】集積振幅変調トランシーバの動作方法を示す図である。
【
図65】多波長振幅変調送信機の動作方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
システムブロック図
図2は、一つの事例による、ライダーシステム100を示すブロック図である。ライダーシステム100は、レーザー光生成モジュール101、光信号処理モジュール102、複数のビームステアリングモジュール103、複数の検出モジュール104、および電子信号処理モジュール105を含む。レーザー光生成モジュール101は、規定のスペクトル特性および電力特性を有するレーザー光を生成する。光は、光ファイバを介して光信号処理モジュール102に送信される。光信号処理モジュール102は、複数の能動的およびアクティブ光学機能を実行して、調整された振幅、位相、およびスペクトル特性を有する1つまたは複数の光信号を生成する光集積回路を例として含む。送信機PICを使用する利点には、マルチコンポーネントアプローチと比較して、光信号の複雑な処理と、低コストおよび高性能のためのさらに複雑な機能とを加える能力が含まれる。光信号処理モジュールによって処理された複数の光信号は、光ファイバを介して車両の周囲に分散された複数のビームステアリングモジュール103に送信される。ビームステアリングモジュール103は、複数の光ビームをターゲットに向ける。各ビームステアリングモジュール103は、出射光信号の水平角度および垂直角度を制御する。戻り光信号は、センサ503のアレイと、局部発振器制御および分配部504とを含むPIC408を一つの事例として含み、コヒーレント検出技術を使用する検出モジュール104によって検出される。一つの事例では、戻り光信号は、直接強度検出器のアレイを含む検出モジュールによって検出される。検出モジュール104によって電気信号に変換された光信号は、電子信号処理ユニット105によって処理され、ターゲットの位置および速度に関する情報が定量化される。一つの事例では、使用される光信号は、より高い最大許容露光限界と低いバックグラウンド光学ノイズの利点を得るために、1530nmから1565nmの範囲とすることができる。一つの事例では、送信機および受信機PICは、シリコンフォトニクスプラットフォームを使用して実施される。自動車プラットフォームでのモジュラー構造集積化のブロック図での説明を
図1に示す。一つの事例では、レーザー光生成モジュール101、光信号処理モジュール102、および電子信号処理モジュール105は、要素11内において中央に位置している。一つの事例では、ビームステアリングモジュール103と検出モジュール104の各対は、要素12内に共に配置され、光ファイバおよび電気リンク13を介して要素11と結合される。
【0037】
モジュール
レーザー光生成モジュール
図3に示されるように、レーザー光生成モジュール101は、低光出力マスタ発振器と、後続の1段増幅器または2段増幅器とを含むことができる。一つの事例では、マスタ発振器は、分布帰還型(DFB:distributed feedback)レーザーまたは分布ブラッグ反射型(DBR:distributed Bragg reflector)レーザーなどの低出力シングル縦モードおよび横モード連続波ダイオードレーザーとすることができる。シングルモードレーザー111からの信号は、光ファイバ112を介してファイバ増幅器113に結合される。第1段からの出力は、ファイバ114を介してアイソレータ115および自然放射増幅光(ASE:amplified spontaneous emission)フィルタ116を介して第2段のファイバ増幅器117に導かれる。第2段の増幅器の出力は、アイソレータ118およびASEフィルタ119を介してファイバ120を介して導かれる。第1段の増幅器は、小信号/高利得領域で動作するシングルクラッドまたはダブルクラッドドープのファイバ増幅器とすることができ、第2段の増幅器は、飽和で動作するダブルクラッドドープのファイバ増幅器とすることができる。一つの事例では、システムの動作波長は、1550nm、または通信ウィンドウのC帯域およびL帯域内の任意の他の波長とすることができる。1~2ミクロンの他の波長も使用され得る。1550nmで動作するシステムの例では、第1段のファイバ増幅器はErまたはEr/Ybドープのファイバ増幅器とすることができ、第2段はEr/Ybドープのファイバ増幅器とすることができる。1550nm付近で信号増幅を提供するように設計されたエルビウムドープのファイバ増幅器では、ガラスに収容されたエルビウムイオンは、反転、およびその結果、1550nmを中心とする波長帯域でのレーザー動作を実現するために原子レベル構造を有する。レーザー発光帯域(およびポンプ帯域)は、ドーパント(この場合はErイオン)およびホスト材料によって決定される。レーザー光源の動作波長の変更に加えて、異なる動作波長が必要な場合、レーザー発光帯域、即ちファイバ増幅器の増幅ウィンドウを所望の波長にシフトするために、ファイバ増幅器において異なるドーパントイオン/ガラスホストの組み合わせが使用され得る。このような異なるケースの事例には、約1.9~2ミクロンの波長で動作するためのドーパントとしてツリウムイオンを使用するファイバ増幅器が含まれる。一つの事例では、マスタレーザーはシングル縦モードDFBまたはDBRレーザーとすることができるが、他のタイプのレーザー光源が使用されてもよい。様々な例では、他のレーザー光源または光源構成がレーザー光生成モジュールにおいて使用されてもよい。
【0038】
光信号処理モジュール
レーザー光生成モジュール101によって生成された信号は、光ファイバ120を介して光信号処理モジュール102に送信することができ、光信号処理モジュール102は、マルチプレキシング、デルチプレキシング、波長選択結合、ビームスプリッティング、指向性スイッチング、偏光スプリッティング、偏光回転、アイソレーション、検出、およびレーザー波長変換などの複数の受動的および能動的光学機能を実行して、調整された振幅、位相、スペクトル特性を有する複数の光信号を生成する。光信号処理モジュールは、光電磁場の振幅および位相の所望の変調方式を実施して、測距の所望の範囲、解像度、精度を達成する役割を有する。モジュールは、個別のコンポーネントで作成されるか、光集積プラットフォームまたはPICに集積され得る。集積のための材料システムの例には、シリコンオンインシュレータ(Silicon on Insulator)、グループIIIおよびグループV半導体、およびガラスオンシリコン(glass on Silicon)が含まれる。
【0039】
一つの事例では、光学処理モジュール102は、シリコンオンインシュレータ技術を使用して構築されたPIC200を含む。PICSの例を
図4A-4Cに示す。一つの事例では、信号は、格子カプラ201を介してPIC200に結合され、1x2のアレイのマルチモード干渉(MMI:multimode interference)導波路202に導かれ、MMI導波路202は、入力信号を複数の導波路内を伝搬する複数の信号に分割する。MMIの出力を収集する導波路208の各々の信号は、導波路206および207を各々伝搬する第1および第2の光信号に分割される。1つのチャネルに対応する各対では、第1の光信号を変調するために位相および振幅変調要素203を導波路206の1つに実装し、他方の導波路207には何ら他のコンポーネントは実装されない。位相および振幅制御は、事例のPIC300に関する303および304などの2つの連続した個別の要素として、または事例のPIC200に関するIQ変調器203などの両方の機能を実行する1つの要素として実施され得る。Si導波路への電流注入、電気的または熱的に制御されるマッハツェンダー干渉計、IQ変調器構成、または光場の独立した位相および振幅を実現する任意のその他の組み合わせなど、さまざまな技術が具体化され得る。一つの事例において、数MHzから25~30GHzの範囲の振幅変調速度を提供するために、電荷制御マッハツェンダー構成が使用され得る。規定された範囲および解像度を達成するために、異なる周波数の複数の変調信号が同時に重ね合わされてもよい。別の事例では、電荷制御位相変調器を使用して、数MHzから25~30GHzの周波数範囲で光場(optical field)の位相を変調し得る。位相および振幅制御要素の後、導波路206および207を伝搬する第1および第2の光信号は、格子カプラ204および205を各々介してPICから出力される。4チャネル用のPICの実施形態の概略図を
図4Aおよび4Bに示す。他の事例では、チャネルの数が増減し得る。他の事例では、入力および出力格子カプラは、断熱テーパー型導波路端部カプラ(adiabatically tapered waveguide end couplers)で置換され得る。
【0040】
一つの事例では、送信機PICは、上部シリコン層の厚さが220nmまたは480nm、埋め込み酸化物層の厚さが2ミクロンのシリコンオンインシュレータで実施され得るが、500nmから10ミクロンの範囲の上部Si層などの他の基板が使用され得る。別の事例では、格子とファイバの結合効率を向上するために、さまざまな埋め込み酸化物の厚さと、格子セクションの埋め込み酸化物とSiエピ層との間にシリコンと酸化物の交互層を含む多層構造とが使用され得る。説明した事例に加えて、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、波長選択カプラ、ビームスプリッタ、スイッチ、偏光スプリッタ、偏光回転子、アイソレータ、検出器、レーザー光源など、任意の他の受動的または能動的光学機能が送信機PICにモノリシックに実装されるか、またはハイブリッド集積により実装され得る。
【0041】
別の事例では、
図4Cに説明されるもののような異なる構成のPICが、周波数チャープ変調方式と組み合わせて使用され得る。
ビームステアリングモジュール
図5に示すように、光学処理モジュール200の格子204からの複数の第1の出力光信号の各々は、光ファイバ403を介してビームステアリングモジュール401に送信される。一つの事例では、伝送に使用されるファイバは、1550nmのレーザー信号を搬送するシングルモードファイバとすることができる。ビームステアリングユニットの事例が
図5に示される。
【0042】
コリメータ404は、ファイバ403から出射する光をコリメートし、その光を固定ミラー405に送り、そこで光がMEMSミラー406に反射される。MEMSミラー406は、水平方向および垂直方向にラスタリングパターンまたはリサージュパターンを実行する。1つの事例では、水平軸の周波数は10KHz、垂直軸の周波数は10.2KHzであり、これらは両方ともミラーに対する共振周波数である。他の範囲が、水平および垂直に使用され得る。1つの事例では、水平軸を10~30KHzの範囲などの高周波で共振で駆動し、垂直軸を所望のフレームレートに応じた50~100Hzなどの、共振周波数を大幅に下回る準静的領域で駆動することができるラスタリングパターンを使用することができる。別の事例では、両方の軸は、リサージュパターンを生成する正弦関数を使用して共振で駆動される。この場合、駆動周波数は、ミラーの物理的な構造に応じて、水平軸および垂直軸の両方に対して10~30KHzの範囲であってもよい。駆動周波数間の間隔によって、フレームレートが決定される。このように、水平軸と垂直軸との動作間の周波数の好ましい間隔は、ミラーの製造が容易となるより大きな間隔で所望のフレームレートを達成するために、50~200Hzの範囲とすることができる。この周波数範囲での動作は、自動車の機械的振動の影響を受けにくい可能性がある。一つの事例では、垂直角度の範囲は25度であり、水平角度の範囲は40度である。出射した第1の光信号ビームはターゲットから反射され、反射された信号ビームの一部は、レンズ407によって収集され、検出器アレイ408上に合焦される。
【0043】
システムでは、それぞれが1つのチャネルに対応する1つまたは複数のビームステアリングユニットが使用され得る。
検出モジュール
光ヘテロダイン検出は、検出される信号が非常に弱く、かつさまざまな光学ノイズ源の影響を受ける可能性がある場合に、有効な測定手法である。さらに、光ヘテロダイン検出によって振幅に加えて位相測定が可能になる。光ヘテロダインのセットアップでは、検出される信号の周波数に近い光周波数の局部発振器信号を、測定される信号と混合することができる。混合の結果には、2つの光信号の差に等しい周波数を有する発振成分が含まれ、発振成分の振幅は、次の式で説明するように、局部発振器の電力に比例する。
【0044】
【数1】
ここで、Rは検出器の応答性とすることができ、Ps(t)は信号のパワーとすることができ、PLO(t)は局部発振器の電力とすることができ、ω
IFは局部発振器と信号の間の周波数差とすることができ、θsig(t)およびθLO(t)は、2つの光信号の時間依存位相である。
【0045】
Ps(t)成分およびPLO(t)成分は、光周波数で発振するため、検出器からはDC成分として認識される。最後の項は、より低い中間周波数ωIFで発振する。これは、検出器で検出でき、PLOと比例するものとすることができ、これは、測定対象の弱いPs(t)信号を効果的に増幅する。
【0046】
検出モジュール104は、一つの事例402において、コリメートレンズまたはマルチレンズ撮像アセンブリ407と、
図6に示されるような受信機PIC408とを含む。
図6に示すように、受信機PIC408は、N×Mピクセル503のアレイと、一つの事例では、スイッチのアレイを含むことができる局部発振器分配および制御部504と、格子カプラ501とを含む。所望の視野および解像度を提供するために、いくつかのアプローチが使用され得る。アフラトウーニ(Aflatouni)他によって使用された1つのアプローチは、少数のピクセルを使用し、撮像器を機械的にシフトして、取得した画像の後続の処理で画像を順次生成する。このようなアプローチは、自律車両のライダーの高解像度リアルタイム画像取得要件(例えば、毎秒数百万ポイント)には商業的に実現可能ではない。所望の解像度および速度を実現するためには、50~200Hzのフレームレートで複数のピクセルを同時にキャプチャすることができるアレイが望まれる。一つの事例では、受信機PIC408は、512×300ピクセルのアレイを含む。水平方向対垂直方向のピクセル数の1.5対2の比率は、自動車の応用に関して広い水平方向対垂直方向の所望の視野と相関させるために有利である。他の事例では、854x480または1024x600、非標準形式、ピクセル設計の事例600、700、800、900などの異なるピクセル設計、および
図7A~7Dに示すような検出モジュールの事例402の必要とされる視野など、他の解像度が使用され得る。
【0047】
第1の光信号の各々が対応するビームステアリングユニット401によって制御されるターゲット位置に到達すると、ターゲットから散乱された信号の一部がレンズ407によって収集され、受信機PIC408のピクセルアレイ503に合焦される。格子カプラ601は、戻り光を平面回路に結合する。
【0048】
送信機PIC200から出射する第2の光信号の各々は、格子カプラ501を介して受信機PIC408の1つに結合され、断熱カプラを介して格子カプラからシングルモード導波路に導かれる。第2の光信号は、続いて、局部発振器分配および制御部504に導かれ、局部発振器分配および制御部504は、一つの事例では、ピクセルのNxMアレイ503の所望のセクションへの第2の信号のルーティングを提供するカスケード型の1x2光スイッチ502を含むことができる。一つの事例では、水平方向に対応するピクセルの各行は、光スイッチアレイ504の1つまたは複数の出力から第2の光信号を受信する。局部発振器分配および制御部504の1つの出力に接続されたピクセルの集合はブロックを形成し、スイッチアレイの構成はどのブロックが第2の光信号を受信するかを制御する。局部発振器分配および制御部504の出力からの各信号は、3dBの1×2MMIスプリッタ505のツリーを介して、各々
図6に示すような1つのセルに向かう複数の等しい強度の信号に分割される。サンプルセルの回路図が
図7A~7Dに示される。
【0049】
各セル600は、2つの格子カプラ601、1つの3dBの1×2MMIカプラ602、2つの2×2MMIカプラ603、および4つの導波路検出器604を含む。第2の信号は、導波路605を介して1×2MMIカプラ602の入力に導かれ、カプラによって等しく分割される。1×2カプラ602の出力は、導波路607によって収集され、かつ2×2MMIカプラ603の入力ポートの1つに入力される。検出器によって受信された散乱した第1の信号は、格子カプラ601を介してPICに結合され、かつ導波路606を介して2x2MMIカプラ603の他の入力に導かれる。2×2MMIカプラ603は、2×2MMIカプラの2つの出力導波路へのターゲットからの散乱した第1の信号と第2の信号を混合するように機能する。
図7に示すように、2x2カプラの出力は、2x2MMI603の各出力に1つずつ導波路検出器604に導かれる。コヒーレント検出技術では、バランスの取れた検出構成で2つの検出器を使用すると、DC成分が除去されるため、信号の光電流が最大となる。より具体的には、2つの検出器に入射する光場の電界は次のように記述される。
【0050】
【数2】
ここで、EsおよびELOは信号および局部発振器の電界であり、E1およびE2は2つの検出器の電界である。
【0051】
2つの光検出器の光電流は次のようになる。
【0052】
【数3】
2つの検出器の光電流を減算した後の光電流は、次の式で与えられることができる。
【0053】
【数4】
ここで、Rは検出器の応答性とすることができ、Ps(t)およびPLO(t)は各々信号および局部発振器の光パワーであり、ω
IFは光信号の変調周波数とすることができ、θsig(t)およびθLO(t)は光場の時間依存位相である。ある光検出器の光電流を他の光電流から減算した後、光信号の定数(dc)成分として検出器によって見られる高速発振項Ps(t)およびPLO(t)は互いに相殺し、その結果は、中間周波数ω
IFで発振しかつ振幅
【0054】
【数5】
を有する信号光電流となる。高出力PLO成分の増幅効果に加えて、振幅を2倍にすることができるため、検出感度が向上する。
【0055】
一つの事例では、導波路検出器はシリコン検出器上で成長したゲルマニウムである。セル700、800、および900の代替設計が
図7B~7Dに示されている。
MEMSスキャナーと検出器PICとの相関
高密度検出器アレイおよび固定局部発振器レーザー出力の場合、アレイのすべてのピクセルに常に供給する場合、ピクセルあたりの利用可能なレーザー光は低すぎるため、アレイ内のピクセル数が増加すると、性能が低下することとなる。例えば、100ピクセルの小さなアレイの場合、受動的MMIツリーを使用して100mWレーザーを100個の導波路に分割して100ピクセルに局部発振器光を提供すると、各ピクセルに対して1mWの局部発振器信号が提供されるが、これは適切である。アレイを100,000ピクセルにスケーリングする場合、100mWの光源およびすべてのピクセルに常に供給する静的MMIツリーを使用したピクセルあたりの光量は、ピクセルが受信する局部発振器信号を1マイクロワットに低下するだけであるが、ヘテロダイン測定における局部発振器の信号増幅の機能が十分に果たされない可能性があるため、検出器の性能の低下につながる。この性能の低下と、戻り信号が任意の時点で数ピクセルにのみ入射する可能性があることを考慮して、アレイ内の限られた数のピクセルのみに局部発振器光が同時に供給されるように、検出器アレイの選択セクションが一度に増感され(sensitized)得る。このアプローチでは、前述の動的な局部発振器制御手法が使用される。
図8に示すように、増感ブロック、即ち、局部発振器信号が供給されるブロックとMEMSミラースキャナーの位置を相関させる必要がある。2つの同期手法が
図9および
図10に記載されている。
【0056】
一つの事例では、局部発振器分配および制御部504は、第2の光信号の一部を、戻りの第1の信号が現在入射できるアレイ1001の1つのセクションに向ける。ターゲットの第1の信号からの散乱光がアレイ上に入射することができる位置の不連続性を検出するために、第1の信号の第2の部分を使用して、確率的アルゴリズムを使用して、ブロック1002などのアレイ503の非増感セクションをサンプリングすることができる。特定のブロックを増感にするために、スイッチングブロック504のスイッチは、局部発振器の光を所望のブロックに向けるように構成される。散乱した第1の信号のアレイ上の入射位置の不連続性を検出すると、識別されたブロック1002から始まる戻りの第1の信号の測定を継続するようにスイッチアレイ504を再構成することができる。
【0057】
別の事例では、監視パルスチャネルを使用して、アレイのすべてのブロックを定期的にサンプリングして、検出器アレイ上の戻り信号の入射位置の不連続性を検出することができる。一つの事例では、パルス光信号は、1KHzの繰り返し率と1KWのピーク出力を有する。サンプリング光信号の実質的により高いパワーにより、アレイの検出器は、アレイの対応するセクションにおける第2の光信号の局部発振器の存在とは無関係に、パルス信号を検出し得る。監視チャネルによって提供されるアレイ情報上の入射位置に基づいて、スイッチアレイ504は、戻りの第1の光信号が入射できるアレイのセクションを増感にするように構成され得る。
【0058】
格子周期の入射角との相関
基本的な矩形導波路格子カプラの場合、格子の周期は次のように与えられる。
【0059】
【数6】
ここで、wは格子周期とすることができ、nは導波路内の光の実効屈折率とすることができ、λは光信号の波長とすることができ、φは格子の-1回折次数の角度とすることができる。第1の近似として、格子への結合を最大化するために、格子の周期は、格子上の特定の位置に対応する戻りの第1の信号に対する格子上の入射角と一致するように、格子の-1回折次数の結合角などのように選択することができる。
【0060】
戻りの第1の信号を各ピクセルの平面回路に結合する結合格子は、格子への入射角、従ってアレイの表面への入射角に非常に敏感である。入射角が格子が設計された入射角から1~2度以上逸脱すると損失が増加するため、すべてのピクセルに対して同じ構造の格子を使用すると、最適な位置から離れているアレイの領域で高い結合損失が発生する。一つの事例として、格子の結合効率は、最適な角度から10度ずれた角度に対して10dB低下し得る。検出器の視野は数十度であり得るため(一つの事例では50度)、最適化されていない格子での結合は、性能の低下につながり得る。
【0061】
信号の戻り経路は、既知であり、かつコリメートレンズの中心およびアレイ上の入射位置によって定義されるため、アレイの各ピクセルへの戻り信号の入射角は既知とすることができる。アレイ上のすべての位置で格子カプラの最大結合効率を維持するために、格子は、アレイのあるセクションから別のセクションまでの周期などのさまざまなパラメータを使用して設計され得る。周期、または格子がアポダイズされている場合の格子の周期関数は、アレイの対応するセクションへのビームの入射角に応じたものであり得、かつ各ピクセルの最大結合を達成するように最適化される。基本原理を説明する簡単な図が、一定周期の格子に関する
図11に示されている。一つの事例では、アレイの中央近くに位置するセル1003は格子構造1201を含み、一方、より大きな入射角に対応するアレイの端部に位置するセル1004は格子構造1202を含む。一つの事例では、導波路モード波ベクトル1204と格子1201に関する-1回折次数波ベクトル1203との間のマッチング条件、および導波路波ベクトル1206と格子1202の-1回折次数波ベクトル1205との間のマッチング条件を達成するために、格子1202の格子周期1208は、ほぼ次のように与えることができ、
【0062】
【数7】
かつほぼ次により与えられる格子1201の格子周期1207とは異なるものとすることができる。
【0063】
【数8】
上記の式では、w1およびw2は各々2つの格子の周期であり、n1、n2は導波路格子の実効屈折率であり、φ1およびφ2は、(第1の近似が第1の信号の結合角と一致する必要がある)2つの格子の-1回折次数の角度である。アポダイズされた格子の場合、アポダイゼーション機能は、入射角と相関させるために調整され得る。
【0064】
他の応用のためのモジュラーアーキテクチャの変形例(送信機、受信機、レーザー光源のシングルチップ集積化)
上記の事例は、自動車およびその他の大型フォームファクタープラットフォームに関するものであるが、複数の光学機能のチップスケール集積アプローチにより、モジュラーシステム100は、小型フォームファクターにおける他の応答に適用可能な汎用性を有する。一つの事例では、低コスト、先進運転支援システム(ADAS:advanced driver assistance systems)、ドローン、小型ロボット応用、他の応用に適した低フォームファクターパッケージに向けて、レーザー光生成モジュールは、1つまたは複数のチャネルを含む送信機PIC200、1つまたは複数のビームステアリングモジュールの事例401、および検出モジュールの事例402とともに集積される一つのみのレーザーダイオードチップを含み得る。
【0065】
図12に示される事例では、レーザー光源1301は、集積シリコンチップ1300上に直接ボンディングされる。一つの事例において、集積シリコンチップ1300は、モノリシックに集積された送信機機能および受信機機能、ならびにシリコンプラットフォーム上にボンディングされた光レーザー光源を含み得る。代替的に、レーザー光源はチップ外に存在し、格子またはエンドカプラを介してシリコンチップにファイバ結合され得る。
【0066】
図12に示す事例では、レーザー1301からの光信号はシリコン導波路に結合され、かつタップカプラ1302の入力に導かれ、タップカプラ1302は、光信号を振幅変調器1304および位相変調器1303を通過するように向けられる第1の信号と、センサアレイ503に局部発振器光を提供するためにスイッチアレイ504への入力に向けられる第2の信号とに分割する。第1の信号は、格子カプラ1305を介してチップから出力される。断熱導波路カプラが、格子カプラ1305の代わりに使用され得る。この事例では、送信機および受信機の機能がすべて同じチップに集積され、レーザー光源チップがシリコンチップに直接取り付けられ得る。チップ1300は、
図13に示されるビームステアリングおよび検出モジュール1400の一部として使用され得る。図示された事例では、格子カプラ1305からの第1の光信号は、レンズ1401によってコリメートされ、ミラー1402に向けられる。ミラー1402から反射した信号は、MEMSミラー1403に向けられる。MEMSミラー1403によって反射した第1の光信号は、ターゲットに向けられる。ミラーは、所望の視野をカバーするためにラスタリングパターンまたはリサージュパターンを実行する。1つの事例では、視野は垂直で25度、水平で50度とすることができる。ターゲットから反射した第1の光信号は、センサアレイ504の格子601によって結合され、アレイ504内の局部発振器と合成され、電気信号に変換される。上記の事例では、集積のためにシリコンオンインシュレータプラットフォームを使用しているが、他の事例では、InPなどの他の材料が使用され得る。
【0067】
フェーズドアレイステアリングを使用したシングルチップソリューションアーキテクチャ
図12に示される上記の事例では、ステアリング機構は、集積された送受信機(トランシーバ)チップの外側に配置されたMEMSミラーによって提供され得る。ステアリング機構の代替アプローチは、光学マイクロアンテナまたはエミッタの光フェーズドアレイを使用することである。特定の事例では、光マイクロアンテナは光カプラとして参照することができる。光マイクロアンテナのフェーズドアレイでは、各アンテナは、導波路の外部に光を放射する格子を導波路にエッチングすることにより作成され得る。そのようなエミッタの二次元アレイ、例えば、32x32エミッタアレイまたは64x64エミッタアレイを使用することにより、干渉パターンが、異なるエミッタから発生する波面の重ね合わせによって遠方場において生成され得る。1つの強い中央最大値および10dB以上抑制されたサイドローブを含む遠方場パターンが、エミッタアレイの適切に設計されたパラメータを使用して遠方場で取得される。各マイクロアンテナから放射される光の位相を制御することにより、中央の最大位置が変更されて、それにより本質的に二次元のステアリング機構が作成される。128x128などのより大きなエミッタアレイ、または16x16などのより小さなエミッタアレイが使用され得る。より大きなアレイは、より低発散のビームが生成され、サイドローブの潜在的により良好な抑制がもたらされ得るが、アンテナの制御に関連する位相器の数が増加するので、ステアリングに必要な電力がより大きくなる。16x16などのより小さいアレイは、ビーム発散がより大きく、同じアンテナ間間隔に対するサイドローブの抑制が少ないが、消費電力がより低下する。
【0068】
フェーズドアレイの利点は、例えば
図12に示すように、光フェーズドアレイをトランシーバ構造とともに集積化して、同じ半導体プラットフォーム上に3つの機能(送信機、受信機、ビームステアリング)をすべて組み込んだシングルチップのライダーソリューションを作成することができるという点にある。そのようなシングルチップソリューションの事例(例えば、集積ライダーシステム)が、
図14に示される。この事例では、レーザー1501からの信号は、導波路に結合され、1x2MMI導波路1502に向けられる。1×2MMI導波路1502は、光信号を第1の光信号と第2の光信号に分割する。第1の光信号は、位相変調器1503および振幅変調器1504に向けられ、その後、1×2のMMI導波路1508の入力に向けられる。第2の光信号は、局部発振器信号をセンサアレイ503に提供するためにスイッチアレイ504に向けられる。1×2MMI導波路1508は、第1の光信号を、2つの1×2MMIツリー1505に向けられた2つの等しい成分に分割する。MMIツリーは、信号を複数の等しい成分に分割する。一つの事例では、上側のMMIツリー1505は512個の等しい信号出力を生成し、下側のMMIツリーは512個の等しい信号出力を生成する。各等しい信号出力は、導波路を介して複数の位相変調器1509のうちの1つに向けられる。位相変調器1509は、2つの位相変調ブロック1506のうちの1つの部分である。上部MMIツリー1505の出力に結合された上部位相変調ブロック1506と、下部MMIツリー1505の出力に結合された下部位相変調ブロック1506とが設けられている。各位相変調器1509の出力は、マイクロアンテナ1507のアレイに配置された複数のマイクロアンテナのうちの1つと結合される。位相変調器1509の各々は、マイクロアンテナ1507のアレイを形成するマイクロアンテナの各々によって放射される対応する光信号の位相を独立して制御するために独立して制御され得る。
【0069】
マイクロアンテナのアレイ1507を介してチップから放射される出射光信号の位相の分布を変化させることにより、光ビームは所望の方向に向けられ得る。光ビームの中央干渉最大値は、マイクロアンテナ1507のアレイによって放射される光信号の相対位相分布に基づいて位置をシフトするように制御され得る。事例が
図15に示される。マイクロアンテナのアレイ1507を出射する光信号のアレイに亘る第1の位相分布は、第1の光信号の遠方場における干渉パターン1601を生成する。マイクロアンテナのアレイ1507を出射する光信号のアレイに亘る第2の位相分布は、2つの位置(一方の位置は干渉パターン1601に関連し、他方の位置は干渉パターン1602に関連する)の間のビームのステアリングを正味の効果として有する第1の光信号の遠方場における干渉パターン1602を生成する。ターゲットによって散乱された第1の光学信号は、レンズ1603によって収集され、チップ1500上のシステムのセンサアレイ503に向けられる。一つの事例では、チップ1500上にシステムを作成するために使用される材料システムは、シリコンオンインシュレータとすることができ、かつ動作波長は1550nmとすることができる。
【0070】
システムブロック図
図16は、一つの事例の光学3D撮像カメラシステム1650を図示する。光信号生成源は、規定のスペクトル特性および電力特性を有するレーザー光を生成することができる。光は、光ファイバを介して、または自由空間伝搬を介して光集積回路1651に送信される。
図16に示す3D撮像カメラシステムには、複数の受動的および能動的光学機能を実行して、調整された振幅、位相、およびスペクトル特性を有する1つまたは複数の信号を生成し、光ビームをターゲットに方向付け、センサのアレイで戻り信号を検出することができる光集積回路(PIC)1651が含まれる。一つの事例では、PIC1751は、
図17に示すように、送信機モジュール1701、ステアリングモジュール1702、および受信機モジュール1703を含むことができる。送信機ブロック、ステアリングブロック、および受信機ブロック用の電気ドライバを含む機能ブロック、ならびに同期回路1704は、チップ上に集積されるか、またはチップとは別個のものとすることができる。調整された振幅、位相、およびスペクトル特性を有する出射光信号は、光信号生成源および送信機モジュール1701によって生成され、PIC1700の一部であるステアリングモジュール1702によってターゲットに向けられる。光信号は、PIC1700の受信気モジュール1703の一部であるセンサのアレイによって電気信号に変換される。受信機モジュール1703によって生成された複数の電気信号は、一つの事例では画像信号プロセッサ1652を含むことができる電子信号処理モジュールによって処理される。PIC1651によって生成された複数の電気信号を分析することにより、ターゲットの位置、速度、および反射率に関する情報が定量化される。周囲環境に関する速度、距離、および反射率情報を含むポイントクラウドを作成するソフトウェアの支援により、画像信号プロセッサ1652によって生成された信号に対して複数の分析が実行される。一つの事例では、使用される光信号は、より高い最大許容露光限界と低いバックグラウンド光学ノイズの利点を得るために、1530nmから1565nmの範囲とすることができる。一つの事例では、送信機、ステアリング、および受信機モジュールはPICの一部であり、シリコンフォトニクスプラットフォームを使用して実施される。モジュラー構造のブロック図の説明が
図16に示される。
【0071】
光信号生成源
一つの事例では、光信号生成源は、シングル横モードおよびシングル縦モードを有するDFBレーザーまたはDBRレーザーを含むことができる。一つの事例では、光信号生成源は、長コヒーレンス長に対応する狭い線幅を有することができる。一つの事例では、レーザーの線幅は、400mを超えるコヒーレンス長に対応する250KHz未満とすることができる。別の事例では、10KHz~10MHzの範囲の線幅を有するレーザーが使用され、出力電力は5mW~200mWの範囲とすることができる。別の事例のマスタ発振器では、200mW~20Wの範囲などの高光信号電力を実現するためにパワーアンプ構成が使用される。
【0072】
一つの事例では、光信号生成源は、低光パワーのマスタ発振器とそれに続く1段の増幅器または2段の増幅器を含むことができる。一つの事例では、マスタ発振器は、分布帰還型(DFB)レーザーまたは分布ブラッグ反射型(DBR)レーザーなどの低出力シングル縦モードおよび横モード連続波ダイオードレーザーを含むことができる。
図19は、一の事例の2段増幅器1900を示す。2段増幅器1900では、シングルモードレーザー1901からの信号は、光ファイバ1902を介してファイバ増幅器1903に結合される。第1段からの出力は、ファイバ1904を介してアイソレータ1905および自然放射増幅光(ASE)フィルタ1906を介して第2段のファイバ増幅器に導かれる。第2段の増幅器の出力は、アイソレータ1908およびASEフィルタ1909を介してファイバを介して導かれる。第1段の増幅器は、小信号/高利得領域で動作するシングルクラッドまたはダブルクラッドドープのファイバ増幅器を含むことができ、第2段の増幅器は、飽和状態で動作するダブルクラッドドープのファイバ増幅器を含むことができる。一つの事例では、システムの動作波長は、1550nm、または通信ウィンドウのC帯域およびL帯域内の任意の他の波長とすることができる。1~2ミクロンの他の波長も使用され得る。1550nmで動作するシステムの事例では、第1段のファイバ増幅器は、ErまたはEr/Ybドープのファイバ増幅器を含むことができ、第2段にEr/Ybドープのファイバ増幅器を含むことができる。1550nm付近で信号増幅を提供するように設計されたエルビウムドープのファイバ増幅器では、ガラスに収容されたエルビウムイオンは、反転、およびその結果、1550nmを中心とする波長帯域でのレーザー動作を実現するために原子レベル構造を含むことができる。レーザー発振帯域(およびポンプ帯域)は、ドーパント(この場合はErイオン)およびホスト材料によって決定することができる。レーザー光源の動作波長の変更に加えて、異なる動作波長が必要な場合、レーザー発光帯域、即ちファイバ増幅器の増幅ウィンドウを所望の波長にシフトするために、ファイバ増幅器において異なるドーパントイオン/ガラスホストの組み合わせが使用され得る。このような異なるケースの事例には、約1.9~2ミクロンの波長で動作するためのドーパントとしてツリウムイオンを使用するファイバ増幅器が含まれる。一つの事例では、マスタレーザーは、シングル縦モードDFBまたはDBRレーザーを含むことができるが、他のタイプのレーザー光源が使用されてもよい。様々な例では、他のレーザー光源または光源構成がレーザー光生成モジュールにおいて使用されてもよい。一つの事例では、第2段の増幅器1900の出力電力は、200mWから5Wの範囲とすることができる。
【0073】
光信号処理モジュール
レーザー生成モジュールによって生成された信号は、光ファイバまたは自由空間を介して送信され、光信号処理モジュールに結合され、光信号処理モジュールは、マルチプレキシング、デルチプレキシング、波長選択結合、ビームスプリッティング、指向性スイッチング、偏光スプリッティング、偏光回転、アイソレーション、検出、およびレーザー波長変換などの複数の受動的および能動的光学機能を実行して、調整された振幅、位相、および/またはスペクトル特性を有する1つまたは複数の光信号を生成するなどを行うことができる。さらに、光信号処理モジュールは、光電磁場の振幅および/または位相の所望の変調方式を実施して、測距の所望の範囲、解像度、および精度を達成する役割を行うことができる。モジュールは、個別のコンポーネントで作成されるか、光集積プラットフォームまたはPICに集積され得る。集積のための材料システムの例には、シリコンオンインシュレータ(Silicon on Insulator)、グループIIIおよびグループV半導体、およびガラスオンシリコン(glass on Silicon)が含まれる。一つの事例では、例えば、PICであり得る光信号処理モジュール1700は、送信機ブロック1701、ステアリングブロック1702、および受信機ブロック1703を含むことができる。
【0074】
一つの事例では、光処理モジュールは、シリコンオンチップ技術を使用して構築されたPICを含むことができる。一つの事例では、信号は、格子カプラ、自由空間カプラを介してPICに結合されるか、またはPICの一部である送信モジュールに直接突き合わせ結合される(butt coupled)。
図20は、一例の光送信機2000を示す。光信号源2001からの信号は、導波路を介して同相/直交(I/Q)変調器2002の入力に導かれる。I/Q変調器2002の出力からの信号は、1x2MMIスプリッタ2003によって2つの成分に分割され、一方の成分は導波路2004を介して受信機モジュールに向けられ、他方の成分は導波路2005を介してステアリングモジュールに向けられる。I/Q変調器は、周波数f
0の光信号を、周波数が長さt0のランプ期間中にf
0+f
IF1からf
0+f
IF2の間で線形に変化する線形周波数チャープ信号に変換する役割を有する。一つの事例では、I/Q変調器の入力光信号の周波数は、1550nmの波長に対応する約193.54THzとすることができ、ランプ長の10マイクロ秒の間に193.54THz+1GHzと193.54THz+11GHzの間で線形にシフトされる。100ns~1000msなどの他のランプ長を使用することができ、1MHz~200GHzなどの他の光信号波長および周波数チャープも使用することができる。周波数変調の幅は、以下の式に示すように、分解能および精度が変調帯域幅に反比例するため、所望のシステムの分解能および精度に応じて選択される。
【0075】
ΔR=c/2B
σR=Kc/B√SNR
ここで、ΔRは解像度を表すことができ、cは光の速度を表すことができ、Bはチャープ帯域幅を表すことができ、σRは精度を表すことができ、SNRは信号対ノイズ比を表すことができ、Kはチャープ波形に応じた比例係数を表すことができる。I/Q変調器2002の一部として、マッハツェンダー干渉計またはリング変調器構成で使用することができるSi導波路への電流注入または空乏化、電気的または熱的に制御の位相シフト技術などのさまざまな技術が実施され得る。一つの事例では、電荷制御位相器2006は、I/Q変調器2002の一部である2つのマッハツェンダー変調器のアームで使用される。I/Q変調器の出力が2つの成分に分割され、一方が局部発振器光を提供するために受信機モジュールに向かってチップ上に向けられ、他方がステアリングモジュールに向かってさらにターゲットに向かって送信される。一つの事例では、I/Q変調器を含む送信機モジュールは、220nmの上部シリコン厚さおよび500nmの導波路幅を有するシリコンオンインシュレータプラットフォームに実装される。導波路での高い光信号のパワー密度に関して、非線形プロセスが2光子吸収発生(two photon absorption onsets)として知られている。シリコンは、光子のエネルギーがバンドギャップよりも低いため、1550nm波長で透過となることができるが、導波路の断面積が小さいなど、導波路のパワー密度が増加すると、2つの光子が協同して吸収されて、電子が価電子帯から伝導帯に遷移して、2つの光子の吸収により光信号の損失が生じる。さらに、伝導帯の電子の数が増加すると、二次効果が発生する可能性がある(伝導帯に蓄積されたキャリアによって生じる自由キャリア吸収は、光場からエネルギーを吸収する)。結果として、導波路での吸収が増加し、したがって伝搬損失も増加する可能性がある。例えば、高さが220nm、幅が450nmのストリップ導波路の場合、10mWの電力では、2光子吸収発生が観察され、50mWの場合、追加の3dB/cmの損失が予想される。各導波路の最大パワーは、2光子吸収によって生じる損失を最小限にするなどのために、2光子吸収の発生のしきい値以下に維持される。一つの事例では、
図21、22、23、24、25、および26に示すように、複数の同期I/Q変調器を並列に動作させることにより、出力が400mWなどの高光出力送信機が作成される。50mW~5Wの範囲の出力を有するデバイスは、より少ないまたはより多い数のパラレルチャネルを使用することにより作成される。
【0076】
図21に示されるように、光信号生成源2101によって生成された光信号は、導波路2102に結合され、マルチモード干渉導波路(MMI)2103の入力に向けられる。MMI2103は、周波数f
0の信号を周波数f
0のN個の光信号に分割することができる。MMI2103の出力からの信号は各々、光信号の周波数をf
0からf
0+f
IF1~f
0+f
IF2の間の周波数にシフトすることができるI/Q変調器2104を介してルーティングされる。各I/Q変調器の出力は、MMI2106のN個の入力に結合される前に、必要に応じて任意の位相補正を行うことができる位相器2105を介して送信される。MMI2106の結合出力は、導波路2107を介して1×2MMIスプリッタ2108にルーティングされ、かつチップ上のステアリングモジュールまたは外部ステアリングコンポーネントに向かってルーティングされるプローブ光信号2110と、受信機ブロックに対する局部発振器を提供するためにチップ上に受信機に向かってルーティングされる1x2MMI2108の第2の出力2109とに分割される。
【0077】
図22に示す別の事例では、I/Q変調器2203を出射する信号は、導波路のパワー密度が2光子吸収が顕著になるしきい値を超えることができる導波路セクションの長さを最小化するために、再結合されない。また、信号が再結合されないアーキテクチャは、プローブ信号がオンチップフェーズドアレイに向けられ、局所発振器信号がセンサのコヒーレントアレイの複数のピクセル部分に向けられる場合、信号がさらに分割されるため、好ましい。このアーキテクチャにより、オンチップ光経路上の部品数が減少するため、損失が減少する。例えば、シーン全体を照明するプローブ信号またはフラッシュに2軸ミラーを使用するなど、チップ外ステアリングに適した別の事例が
図23に示され、スタンドアロンの高出力送信機が
図24に示される。
【0078】
別の事例では、送信機は、格子とそれに続くスターカプラを使用して実施されて、光信号生成源によって生成された高出力ビームは、シリコン層内の大きな断面に即座に広がり、したがって、2光子吸収閾値を超える高パワー密度が達成される任意のセクションを防止する。そのようなアーキテクチャの1つが
図25に示される。
図25の例は、f
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の周波数を有する複数の光信号は、再結合されず、オンチップステアリングモジュールに直接送信されてターゲットに向かって送信されるプローブ信号を提供し、かつオンチップ受信機に送信されて局部発振器の光を各々提供する実施形態を示す。
【0079】
シーンのチップ外ステアリングまたはフラッシュ照明のアーキテクチャを含む別の事例が
図26に示される。外部ステアリング構成では、光源からの信号は、格子カプラ2601を介してPIC2600の送信機側に結合され、スターカプラ2602を介して導波路2603に、続いて周波数チャープを実行するI/Q変調器2604を介してかつ任意の必要な位相調整を実行する位相要素2605を介して分配される。プローブ信号は、スターカプラ2607を介して収集され、かつ格子2608を介してチップから出力され、コリメーション用のレンズに向けられ、続いてステアリング用の2軸ステアリングミラーまたはフラッシュの視野/シーン全体の照明を調整するための追加レンズに向けられる。1つまたは複数の信号2609が受信機ブロックにルーティングされ、さらに分割されて、局部発振器光を複数のピクセルに供給することができる。フラッシュ構成では、
図28に示すように、プローブ信号が格子2608を介してチップから出力され、レンズまたはレンズの組み合わせで調整された発散を有することができる。一つの事例では、スターカプラ2602は、格子から出射するガウスプロファイルパワー分布がパラレルI/Qチャンネル2604間で均等に分配されるような、スターカプラの入力導波路の不等断面を使用して設計される。また、
図27に示すような非常に広いビン2701を備えた2つの外側チャネルを使用して、受信機ブロックの局部発振器用に使用する光を収集することにより、光パワーの非常に効率的な使用を実現し、かつ出射プローブビームに対する良好な結合、したがって光パワー効率が得られる。
【0080】
一つの事例では、
図29に示すように、高出力、高速I/Q変調器をスタンドアロン構成で使用して、固定周波数f
0の光信号をf
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の周波数のチャープ光信号に変換することができる。
【0081】
一つの事例では、PICの送信機ブロックは、厚さ220nmまたは450nmの上部シリコン層、厚さ2ミクロンの埋め込み酸化物層を用いてシリコンオンインシュレータで実施できるが、500nm~10ミクロンの範囲の上部Si層および0.5~3ミクロンの範囲の埋め込み酸化物層などの他の基板が使用され得る。より厚い上部シリコン層の使用は、導波路での高出力が望ましい特定の事例において、2光子吸収および自己位相変調などの非線形効果の発生を防止するために、有利である。導波路断面積を大きくすることにより、一定の入力電力における導波路のパワー密度が減少するため、前述の非線形効果の発生を防止することができる。一方、より厚いシリコン層の使用、従ってより大きな導波路の使用は、大きな損失なしに実施される導波路の湾曲部の最小曲率半径を増加させるという悪影響を及ぼし得る。最適なシステム設計のために、上部シリコン層の厚さ、したがって導波路の断面積が、非線形効果の発生と設計のコンパクトさの両方を最適化するために選択され得る。別の事例では、格子とファイバの結合効率を向上するために、さまざまな埋め込み酸化物の厚さと、格子セクションの埋め込み酸化物とSiエピ層との間にシリコンと酸化物の交互層を含む多層構造とが使用され得る。説明した事例に加えて、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、波長選択カプラ、ビームスプリッタ、スイッチ、偏光スプリッタ、偏光回転子、アイソレータ、検出器、レーザー光源など、任意の他の受動的または能動的光学機能が送信機PICにモノリシックに実装されるか、またはハイブリッド集積により実装され得る。
【0082】
一つの事例では、コヒーレント受信機の基本セルが
図30Aに示されている。ターゲットからの弱い戻りプローブ信号は、格子カプラ3001を介してチップの平面内に結合し、かつ2x2マルチプレクサ3003内の導波路3002内の強い局部発振器と合成される。2×2マルチプレクサ3003の各々の出力には、局部発振器と戻りとの間の差に等しい周波数の光信号を検出することができる2つの導波路検出器3004がある。コヒーレント検出技術では、バランスの取れた検出構成で2つの検出器を使用すると、DC成分が除去されるため、信号の光電流が最大となる。より具体的には、2つの検出器に入射する光場の電界は、次のように記述される。
【0083】
【数9】
ここで、EsおよびELOは信号および局部発振器の電界を表すことができ、E1およびE2は2つの検出器の電界である。
【0084】
2つの光検出器の光電流は、次のように表される。
【0085】
【数10】
2つの検出器の光電流を減算した後の光電流は、次の式で表される。
【0086】
【数11】
ここで、Rは検出器の応答性を表すことができ、Ps(t)およびPLO(t)は各々信号パワーおよび局部発振器の光パワーを表し、ω
IFは光信号の変調周波数を表すことができ、θsig(t)およびθLO(t)は光場の時間依存位相を表すことができる。ある光検出器の光電流を他の光電流から減算した後、光信号の定数(dc)成分として検出器によって見られる高速発振項Ps(t)およびPLO(t)は、互いに相殺することができ、その結果は、中間周波数ω
IFで振幅しかつ振幅
【0087】
【数12】
を有する信号光電流となる。高出力PLO成分の増幅効果に加えて、振幅を2倍にすることができるため、検出感度が向上する。
図30Aおよび
図30Bには、2つのピクセルが横並びの2つの構成が示されている。
【0088】
図31には、ピクセルの行と局部発振器の分配導波路とからなる組み合わせの一つの事例が示されている。
図30Cおよび
図31のアーキテクチャは、受信機アレイの曲線因子(fill factor)を増加させるために使用できる。これは、格子カプラで覆われたPICの領域のみがアレイに入射する光をキャプチャすることができるためである。一つの事例では、局部発振器光は、セルの各行に対して2つの導波路を介してエバネッセント結合される。局部発振器光は、ピクセル構造3000の他の要素と同じ層に配置され、かつ3309などの局部発振器分配ネットワークに接続された導波路3103からの導波路3101において結合される。
図32に示すように、ごく一部の光が、導波路3101から下方の導波路3102において行の各ピクセルの垂直カプラを介してエバネッセント結合される。導波路3101は、導波路3102の上方に存在することができ、2つの導波路間のエバネッセント結合は、垂直面で生じる。垂直カプラアーキテクチャは、2つの導波路を分離する酸化物層の厚さの非常に正確な制御を可能にし、ならびに2つの導波路の空間的オーバーラップまたはカプラの長さの変化は、各ピクセルへの正確な配光を可能にする。
【0089】
システムアーキテクチャ
応用に応じて、異なるシステムアーキテクチャが実施される。例えば、短距離応用の要件は、500mW以下などの非常に低い消費電力、1mm以下などの非常に高い精度、および小さなフォームファクターなどがある。結果として、シーン全体を一度に照明することができるフラッシュのアプローチは、ステアリング機構に関連する電力消費を排除できるため、より適切である可能性がある。フラッシュのアプローチの欠点は、光が複数のピクセルに広がるため、信号対ノイズ比が低下して、範囲が狭くなる等につながる可能性があることである。長距離を必要とする応用では、戻り信号でカバーされるピクセル数が1ピクセルなど非常に少ない数か、または1から50ピクセルの範囲に保たれて、その結果、各検出器のSNRは、例えば10dBよりも高くなるように、低発散ビームと連携してステアリング機構が必要となる。
【0090】
光信号生成源からの信号は、チップの平面内のカプラ3301を介してかつスターカプラ3302において結合される。スターカプラのテーパー導波路3303に結合された光周波数f
0の光は、複数のI/Q変調器3304の入力に向けられる。I/Q変調器は、f
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の線形チャープ周波数を有する複数の同期光信号を生成することができる。複数の第1のチャープ光信号が、受信機アレイに局部発振器を提供するために受信機ブロック3305に向けられる。複数の第2のチャープ光信号は、スターカプラ3306の支援により格子カプラ3307上で合成されてチップから出力され、ターゲットに向かって送信される第2の光信号が提供される。
図34に示すように、10度のような低い値からシーン全体を照明するために使用される場合の90度のような高い値まで用途の必要性に応じて出射ビームの最適な発散および形状を得るために、レンズ3401の支援により第2の光信号が整形される。受信機アレイに入射する散乱した第2の光信号は、
図30A~30Cに詳細に示すように、動的分配ネットワークを介して局部発振器として提供される第1の光信号の一部と各ピクセルで合成される。動的分配ネットワークは、1x2スイッチのツリー3308によって形成されるブロックと、それに続くMMI1x2スプリッタ3309の静的ツリーで構成されるブロックとを含むことができる。スイッチを含む第1のブロックは、読み取られているピクセルのみに局部発振器の光を効率的に分配することを可能にし、それにより過剰な電力消費およびアレイの加熱を防止する。フラッシュの全体のシーンの照明の場合、ピクセルのブロックは、応用に必要なフレームレートを可能にするシーケンスおよび速度で連続的に読み取られる。
【0091】
代替的に、このアーキテクチャは、外部ステアリング機構またはガルバニックステージ上の巨視的ミラーと組み合わせて使用される。そのようなシナリオでは、格子3307を介してチップから出力される第2の光信号がレンズを用いてコリメートされ、ステアリング機構に送信される。レンズは、ビームを1度未満の発散および0.1度までの低い発散にまでコリメートすることができる。ステアリング機構は、撮像されるべきシーンをスキャンすることができる。受信機アレイに入射する散乱した第2の光信号は、
図30A~30Cに詳細に示すように、動的分配ネットワークを介して局部発振器として供給されている第1の光信号の一部と各ピクセルで合成される。この場合、1x2スイッチブロックのツリーを介して実施される動的スイッチングメカニズムは、ヘテロダイン検出メカニズムによる最大増幅のために散乱光信号が入射する受信機のピクセルのブロックに局所発振器を同時に提供できるように、ステアリング機構と相関される。読み取られるピクセルは、システムによる光線追跡によって決定される検出器アレイ上の戻り散乱ビームの予想位置によって、外部ステアリング機構の場合に関して決定される。
【0092】
スターカプラ並びにエンドカプラの代わりにMMIをまたはレーザー3501とトランシーバ3500とのハイブリッド集積を使用する代替アーキテクチャが、各々
図35Aおよび
図35Bに示されている。
【0093】
一つの事例ではアーキテクチャは、
図36に示すようなオンチップの集積光フェーズドアレイを含むことができる。フェーズドアレイの利点は、例えば
図36に示すように、フェーズドアレイをトランシーバの構造とともに集積化して、同じ半導体プラットフォーム上に3つの機能(送信機、受信機、ビームステアリング)をすべて組み込んだシングルチップのライダーソリューションを作成することができるという点にある。光マイクロアンテナのフェーズドアレイでは、各アンテナは、導波路の外部に光を放射する格子を導波路にエッチングすることにより作成され得る。そのようなエミッタの二次元アレイ、例えば、32x32エミッタアレイまたは64x64エミッタアレイを使用することにより、干渉パターンが、異なるエミッタから発生する波面の重ね合わせによって遠方場において生成され得る。1つの強い中央最大値および10dB以上抑制されたサイドローブを含む遠方場パターンが、エミッタアレイの適切に設計されたパラメータを使用して遠方場で取得される。各マイクロアンテナから放射される光の位相を制御することにより、中央の最大位置が変更されて、それにより本質的に二次元のステアリング機構が作成される。
【0094】
光信号生成源からの信号は、チップの平面内のカプラ3601を介してかつスターカプラ3602および導波路3603において結合される。スターカプラ3602のテーパー導波路3603に結合された光周波数f
0の光は、複数のI/Q変調器3604の入力に向けられる。I/Q変調器は、f
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の線形チャープ周波数を有する複数の同期光信号を生成することができる。複数の第1のチャープ光信号が、受信機アレイに局部発振器を提供するために受信機ブロック3609に向けられる。複数の第2のチャープ光信号は、一つの事例では光フェーズドアレイ3610を含むことができるステアリングブロックに向けられる。光フェーズドアレイは、ターゲットに向かって送信される第2の光信号に対してビーム整形およびステアリングを行うことができる。光フェーズドアレイは、アクティブな1x2スイッチ3611並びに1x2固定比50/50のMMIスプリッタ3612の両方で構成される信号分配ツリーで構成することができる。第2の光信号は、分配ツリー3611および3612から各導波路3613上の移相器に向けられ、さらにターゲットの方向にアレイの表面に直交する光を放射することができる光アンテナ3610のアレイに向けられる。受信機アレイに入射する戻りの散乱した第2の光信号は、
図30A~30Cに詳細に示すように、動的分配ネットワークを介して局部発振器として提供されている第1の光信号の一部と各ピクセルで合成される。動的分配ネットワークは、1x2スイッチ3607のツリーによって形成されるブロックと、それに続くMMI1x2スプリッタ3608の静的ツリーで構成されるブロックとから構成することができる。スイッチを含む第1のブロックは、読み取られているピクセルのみに局部発振器の光を効率的に分配することを可能にし、それゆえ過剰な電力消費およびアレイの加熱を防止する。
【0095】
光信号を放射するアンテナのサブセットがリアルタイムで調整されるため、完全受動的1x2MMIのみの分配ツリーではなく、フェーズドアレイ3610の分配ブロックの一部としてスイッチブロック3611を使用することにより、ビーム整形の柔軟性が向上する。一つの事例では、光を放射するアンテナの数を減少させることにより、出射ビームの発散が増加され得る。
【0096】
スターカプラ並びにエンドカプラの代わりにMMIまたはチップ3700上のレーザー3701と3D撮像システムのハイブリッド集積を使用する代替アーキテクチャが、各々
図37Aおよび
図37Bに示されている。
【0097】
範囲、深さ、水平および垂直解像度の動的制御
周波数変調連続波/コヒーレント撮像アレイシステムでは、ボクセルの総数はピクセル数とレンジエレメント数の積で求めることができ、かつ式によって読み出し速度およびチャープランプに関連付けることができる。
【0098】
【数13】
ここで、N
pixはピクセル数を表すことができ、RSIは最大範囲と最小範囲の差を表すことができ、は範囲の解像度を表すことができ、ΔRはセンサの読み出し速度を表すことができ、γはセンサーの読み出し速度を表すことができ、trはチャープランプの長さを表すことができる。最大範囲は、送信機の出力電力と検出器の増幅率とによって決定され、範囲の解像度および精度は、チャープの帯域幅によって決定され、ピクセル数は受信機またはステアリング光学フェーズドアレイのパラメータによって電子的に構成される。一つの事例では、3D撮像システムに対して所望の撮像解像度、視野、および深度解像度を取得するために、出力電力、チャープ帯域幅、ビーム発散、およびチャープランプの時間的長さの4つのパラメータが動的に調整される。一つの事例では、ピクセル密度は640x480とすることができ、範囲は200mとすることができ、範囲の解像度は15GHzの変調帯域幅に対応する1cmとすることができ、ランプ時間は61.4msとすることができ、読み出し速度は100GS/sとすることができる。チャープランプ長と読み出し速度を一定に保ちながら、チャープ帯域幅を45GHzに増加し、対応する係数でピクセルの範囲または数を低減することにより、範囲の解像度を3mmに増加させることができる。上記の式を満たす任意の他のパラメータの組み合わせを使用して、3Dシステムの性能を動的に調整することができる。このパラメータの動的な調整は、数百ナノ秒という短い時間で実行できるため、関心範囲、解像度、精度、視野など緩やかに変化するパラメータに関しては、数秒の長さまでのポイントツーポイントのパラメータ調整を可能にする。
【0099】
ステアリングモジュール
より長い範囲のライダーシステムを実現するために、出射光ビームのパワー密度を遠方場で高い値(例えば、1平方ミリメートルあたり数mW)に維持することができる。高パワー密度を達成するために、出射光ビームの発散を非常に低いレベル(例えば、0.5度未満)に維持することができる。非常に低い発散を維持しながらビームを動的ビームステアリングすることは、光フェーズドアレイ(OPA)アプローチを使用して理論的には可能であるが、実際の実施には技術的に困難である。概念的な観点から、動的に制御されるフェーズドアレイは、可変パラメータレンズが遠方場パターンを形成することができるのと同じ目標を達成することができる。OPAの場合、複数のエミッタの位相を独立して制御することにより、ビームの所望の発散と位置決めに応じて遠方場パターンを調整することができる。一定の発散の光ビームのステアリングが必要な場合、代替アプローチが使用され得る。レンズの機能を効果的に複製する位相制御によりビームの各パラメータを整形する代わりに、固定レンズを使用し、かつビームの発生源、または焦点面から放射されるビームを動的に変更することができる。焦点面内の放射位置を動的に制御することにより、異なる角度、したがって遠方場における入射位置が取得され得る。一つの事例では、
図38Bに示すように、出射光ビームは、格子カプラ3806を介して焦点面アレイから出力され、従ってシステムによってレンズに対してある角度に向けられ、またはアレイを再構成することによって、格子カプラ3807を介して焦点面アレイから出力され、かつレンズに対して第1の角度とは異なる角度でシステムの外部に向けられる。
【0100】
図38Aに示される事例では、レーザービームは、導波路3802を介して光スイッチ3803の集合の入力に結合される。光スイッチ3803の集合は、ビームを1つまたは複数の格子カプラ3805に向ける。
図38Bに示すように、格子カプラは焦点面アレイからの光を出力することができる。光スイッチの集合を再構成することにより、出射光ビームは、焦点面のさまざまな位置から放射されるため、さまざまな角度に向けられる。一つの事例では、格子カプラによってカバーされる領域は、6mmx6mmの領域であり得るが、1mmx1mm以下などのより小さい領域または15mmx15mm以上などのより大きい領域を使用することができる。一つの事例では、光スイッチの集合の構成は、一度に1つの格子カプラにビームを向けることができ、かつ出射ビームを各格子出射カプラ3805の各々に向かって順次再構成されて、遠方場において2軸角度スキャンを作成することができる。一つの事例では、格子カプラのアレイは、カプラの8x8アレイであり、従って、出射光ビームに対して64の個別の方向付けを可能にする。4x4~128x128以上などの他のアレイサイズを作成して、出射光ビームの16個から16,384個以上の個別の方向を取得することができる。さらに、レンズ3808のパラメータを適切に選択することにより、出射光ビームの異なる発散を実現することができる。一つの事例では、レンズパラメータおよび位置決めは、0.01度の低い角度発散を提供するように選択され得る。他のレンズパラメータおよび格子アレイパラメータに関する位置決めは、例えば0.01度から30度の範囲で出射ビーム発散を提供するために選択され得る。一つの事例では、50度の視野を提供するために、6mm幅の格子のアレイを使用して、6.43mmの焦点距離のレンズを使用することができる。他の焦点距離、アレイ幅、格子アレイ密度の組み合わせを使用して、異なる視野およびビームステアリング角度解像度を有するシステムを作成することができる。
【0101】
一つの事例では、スイッチの集合は1xN構成で構成され、光信号は各格子カプラに直列に分配され、1つの格子カプラがレーザーの光の実質的にすべてを格子から一度に出力することができる。代替的に、一つの事例では、スイッチの1xNアレイの選択スイッチは、50/50/0…/0または10/90/0/…/0などの他の比率構成、または焦点面アレイの異なる位置で、かつ異なる強度で同時に光を結合することを可能にする任意の他の構成で構成することができる。出射ビームの異なる強度が、ターゲットへの予想距離に基づいて異なる角度で最適になり得る。一つの事例では、ある角度では、障害物がエミッタから2メートルの位置に配置されていると、エミッタから50メートルで第1の障害物を検出できる第2の出射角度での検出よりもかなり少ない電力で済むこととなる。異なる方向に向けられる出射レーザービームの強度を変化させることにより、システムの電力消費を最適化することができる。一つの事例のフィードバックループが
図39に示される。受信機アレイ3903の光検出器によって検出された信号は、受信機のセクションで説明したように、戻り光場の周波数および振幅を測定するピクセル信号処理モジュール3904によって処理することができる。振幅情報または信号強度情報は、光ステアリングブロックコントローラ3901への入力として提供され、光ステアリングブロックコントローラ3901は、その情報を使用して、受信信号が弱い方向はより多くの出射光信号パワーを受信し、一方、受信信号が強い方向はより少ない出射光信号パワーを受信してすべての方向で最適な信号対ノイズ比を達成するように光ステアリングブロック3902内のスイッチ3803を構成する。一つの事例では、異なる角度での受信光パワーの差は、障害物までの距離、障害物または遮蔽物(obscurants)の反射率によって生じる可能性がある。
【0102】
一つの事例では、1xNスイッチの集合を作成するために使用されるスイッチは、1つの1xNスイッチ構成、N個の1x2スイッチのツリー、または任意の他の組み合わせとすることができる。一つの事例では、スイッチング機構は、熱光学、PNまたはPIN位相変調器構成におけるキャリア空乏またはキャリア注入であり得、かつマッハツェンダーまたはリングスイッチアーキテクチャ構成を使用するものであり得る。
【0103】
一つの事例では、スイッチの集合は、
図40A~40Cに示すように、並列構成と直列構成の組み合わせで配置することができる。レーザー4001からの光ビームは、導波路4002に、かつ1x2スイッチ4003のツリーに結合され、1x2スイッチ4003は、構成に応じて、格子カプラ4005の1つまたは複数の列に光信号を向けることができる。スイッチ要素4003からの信号は、導波路4007を介して後続の1×2スイッチ4008の入力に結合される。一つの構成では、スイッチ4008の出力を出射する光信号は、カプラ4012に送信され、チップから出力される。スイッチ4008の代替構成では、スイッチの出力は導波路4009に向けられ、さらに別のスイッチ4010の入力に向けられる。一つの構成では、スイッチ4010は、出力カプラ4013に接続された出力導波路に光信号を向けることができる。スイッチの別の構成では、光信号は、出力導波路4011に向けられ、さらに直列に配置された別のスイッチに向けられる。
【0104】
一つの事例では、
図41A~41Bに示されるように、各格子カプラから放射されるパワーを増加させるために、2つの反対方向に伝搬するバスからの光信号が組み合わされる。この事例では、導波路4101からの光信号は、スイッチ4102によって2x1MMIコンバイナの入力導波路4104に向けられる。同様に、導波路4108からの光信号は、スイッチ4107によって2x1MMIコンバイナ4109の入力導波路4105に向けられる。2つの信号は2x1MMIコンバイナ4109で合成され、格子4106を介してチップから出力される。2×1カプラ4109によって合成された信号の位相は、送信機モジュールの出力において位相制御要素4110を使用して調整される。
【0105】
一つの事例では、1xNスイッチの集合を作成するために使用されるスイッチは、1つの1xNスイッチ構成、N個の1x2スイッチのツリー、または任意の他の組み合わせとすることができる。一つの事例では、スイッチング機構は、熱光学、PNまたはPIN位相変調器構成におけるキャリア空乏またはキャリア注入であり得る。
【0106】
長距離を必要とする応用では、戻り信号でカバーされるピクセル数が1ピクセルなど非常に少ない数か、または1から50ピクセル範囲に保たれて、その結果、各検出器のSNRは、例えば10dBよりも高くなるように、低発散出射ビームと連携してステアリング機構が必要となり得る。一つの事例では、アーキテクチャは、
図42に示すように、オンチップの集積光学ステアリング機構を含むことができる。集積オンチップステアリング機構の利点は、例えば
図45A-45Cに示すようにトランシーバの構造とともに集積化して、同じ半導体プラットフォーム上に3つの機能(送信機、受信機、ビームステアリング)をすべて組み込んだシングルチップのライダーソリューションを作成することができるという点にある。
【0107】
光信号生成源4201からの信号は、導波路4202を介してシリコンチップ内に結合され、その後、1xN MMIカプラ4203の入力に結合される。1xN MMIカプラのN個の出力から出力された光周波数f
0の光は、複数のI/Q変調器4204の入力に向けられる。I/Q変調器は、f
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の線形チャープ周波数を有する複数の同期光信号を生成することができる。複数の同期光信号は、Nx1 MMIカプラ4206によって合成され、その後、1x2MMIスプリッタ4208の入力に向けられる。1×2MMIスプリッタから出射する第1のチャープ光信号は、受信機アレイに局部発振器を提供するために、導波路4210を介して受信機ブロックに向けられる。第2のチャープ光信号は、一つの事例では、スイッチ4211の集合を含むことができるステアリングブロックに向けられ、スイッチ4211の集合は、出射ビームを格子4212のアレイから異なる出力格子4213に切り替えることができる。
図46に示すように、出力格子カプラのアレイとスイッチの集合は、コリメートレンズの焦点面における出射光信号の原点の位置を動的に制御することができる。焦点面におけるビームの位置を変更すると、それに応じて、出射コリメートビームの角度が変化する。デジタルスイッチングアレイは、スイッチの集合および格子カプラのアレイで構成することができる。第2の光信号は、スイッチの集合から、アレイ4212の格子カプラのいずれかに向けられ、アレイ4212の格子カプラは、アレイの表面の法線に対して直角にまたはある角度で光を放射することができる。格子カプラから放射された光は、レンズによってコリメートされ、ターゲットの方向に向けられる。受信機アレイに入射する戻りの散乱した第2の光信号は、
図30-33に詳細に示すように、動的分配ネットワークを介して局部発振器として提供されている第1の光信号の一部と各ピクセルで合成される。動的分配ネットワークは、1x2スイッチのツリーによって形成されるブロックと、それに続くMMI1x2スプリッタの静的ツリーで構成されるブロックとから構成することができる。スイッチを含む第1のブロックは、読み取られているピクセルのみに局部発振器の光を効率的に分配することを可能にし、それゆえ過剰な電力消費およびアレイの加熱を防止する。
【0108】
一つの事例では、スイッチの集合4211内のすべてのスイッチは、入力導波路内の信号の全体がスイッチの1つの出力導波路のみに向けられ、そこから格子カプラアレイの出力されるべき1つの格子カプラのみに向けられるように構成することができる。この事例では、スイッチの集合は、光がアレイ内の各格子カプラに順次送信され、その結果、受信機ブロックが連続的に照明されかつ読み取られるように構成することができる。このような構成は、出射光ビームの高パワー密度が必要とされる場合に、50メートルなどの長距離または50メートルから400メートルなどのより長距離にある物体を検出するのに好適であり得る。別の事例では、スイッチの集合は、出力信号と入力信号の間に任意の他の比率が作成されるように構成することができる。この事例では、複数の格子がアレイから光を同時に出力することができ、各格子の出力パワーが異なるものとすることができる。この事例では、各格子および各方向は、10メートルや20メートルなどの短い範囲にある障害物を検出するのに十分な量の光を受信するが、他のスイッチは、最大の利用可能な入力パワーが格子に分配されて戻り信号対ノイズ比が20メートルから400メートルなどの長距離にある障害物の検出を可能にするのに十分となるように構成される。
【0109】
図43に示す別の事例では、I/Q変調器4304の出力からの複数の第2の光チャープ信号が複数の1xN光スイッチ4307に送信され、各I/Q変調器出力は1つの1xNスイッチの入力として機能する。各スイッチは、格子カプラ4308のアレイの一部であり得るN個の格子カプラ間で光信号の切り替えを実行することができる。一つの事例では、4個のI/Q変調器を使用して、各々16個の格子の4つのアレイにチャープ光信号を提供することができる。一つの事例では、複数の第1の光信号は、局部発振器信号を提供するために、I/Q変調器4304の出力から導波路4306を介して受信機ブロックに向けられる。
図44に示すような8個などの他の数の変調器、または1個~256個の任意の数の変調器を使用して、1個~256個の格子4408のアレイにチャープ光信号を提供することができる。また、1つのスイッチが対応するアレイ内の格子の数は、16個、またはアレイ当たり4個の格子からアレイ当たり4096個以上の格子のような任意の数であり得る。
【0110】
図45Aに示される事例では、受信機アレイ4509は、送信機およびデジタルステアリングアレイと同じチップ上にあり得る。
図45Aに示される事例では、格子4501を使用して、光をスターカプラ4502に結合し、続いて、マルチチャネルI/Q変調器4503およびステアリングモジュールに結合することができる。さらに、受信機アレイ4509も同じチップに集積することができる。この構造により、複数の変調チャネルが使用され、かつ設計において高パワーのボトルネックが存在しないため、高集約出力パワーが可能となる。光信号生成源からの信号は、チップの平面内のカプラ4501を介してかつスターカプラ4502および導波路4510において結合される。スターカプラ4502のテーパー導波路4510に結合された光周波数f
0の光は、複数のI/Q変調器4503の入力に向けられる。I/Q変調器は、f
0+f
IF1とf
0+f
IF2の間の線形チャープ周波数を有する複数の同期光信号を生成することができる。複数の第1のチャープ光信号が、受信機アレイに局部発振器を提供するために受信機ブロック4509に向けられる。複数の第2のチャープ光信号は、一つの事例ではデジタル再構成可能な格子アレイを含むことができるステアリングブロックに向けられる。デジタル再構成可能な格子アレイは、ターゲットに向かって送信される第2の光信号のステアリングを行うことができる。デジタル再構成可能な格子アレイは、再構成可能なスイッチ4505の集合と格子アレイ4506とから構成することができる。第2の光信号は、I/Q変調器4503から1×Nスイッチ4505に向けられ、次いで、アレイの表面に直交する光をターゲットの方向に放射することができる格子カプラ4506のアレイに向けられる。受信機アレイに入射する戻りの散乱した第2の光信号は、
図30-33に詳細に示すように、動的分配ネットワークを介して局部発振器として提供されている第1の光信号の一部と各ピクセルで合成される。動的分配ネットワークは、1x2スイッチのツリー4508によって形成されるブロックと、それに続くMMI1x2スプリッタ4513の静的ツリーで構成されるブロックとから構成することができる。スイッチを含む第1のブロックは、読み取られているピクセルのみに局部発振器の光を効率的に分配することを可能にし、それゆえ過剰な電力消費およびアレイの加熱を防止する。システムの概略図が
図46に示されている。
【0111】
スターカプラの代わりにMMIを使用する代替アーキテクチャが
図45Bおよび45Cに示されている。
レーザー光生成モジュール
一つの事例では、レーザーを直接変調して、短い光レーザーパルスを生成することができる。一つの事例では、レーザーパルスの長さは1nsである。各種事例で、レーザーパルスの持続時間は、パルスが短いほど精度が増加する傾向があるため、平均パワーを低減して深度測定の精度を高めるために、0.25から1nsの範囲内であり得る。他の事例では、総パルスエネルギーを増加して、低反射率の遠隔障害物を検出する場合に検出に十分な光子を提供できるようにするために、1-10nsのパルス幅が使用され得る。一つの事例では、レーザー光源は、関心範囲内の障害物の検出を最適化するために、パルスごとにパルス長を調整してもよい。
【0112】
光信号処理モジュール
一つの事例では、光信号処理モジュールは、着信光信号を複数のチャネルに分割する。1つの光源から車両の周囲の別個のビームステアリングユニットに送信できる複数のチャネルを作成すると、システム全体のコストが削減されるため有利である。光学処理モジュールの別の機能は、光学処理モジュールから出射されるパルスのピークパワーをリアルタイムで調整することであり得る。これは、ターゲットまでの距離に応じて変化するターゲットから散乱される光の量を補償し得る(例えば、Rがターゲットまでの距離を表すことができるR二乗依存性(R square dependence))。出射パルスの強度をリアルタイムで制御すると、検出器のダイナミックレンジを超える(従って飽和する)ことを防止することが可能となり得る。これは、電気制御可変光減衰器を使用して実現され得る。1つの事例では、出射パルスの強度の制御に加えて、変調器を使用して各パルス上で異なる複数のビット変調(コード)をエンコードして、検出システムが各パルスのタイミングおよびソースを決定し、クロストークを防止することができるようにする。
【0113】
一つの事例では、
図47に示すように、光学処理モジュール102は、シリコンオンインシュレータ技術を使用して構築されたPIC4700を含む。一つの事例では、信号は、格子カプラ4701を介してPIC4700に結合され、1x2のアレイのマルチモード干渉(MMI)導波路4702のアレイに導かれ、MMI導波路4702は、入力信号を複数の導波路内を伝搬する複数の信号に分割する。信号は、導波路4705の各々を介して信号の強度を制御する役割を有する振幅変調器/可変光減衰器(amplitude modulator/variable optical attenuator)4703に導かれる。Si導波路への電流注入、電気的または熱的に制御されるマッハツェンダー干渉計、またはレーザー光強度の高速振幅減衰を実現する任意の他の組み合わせなど、さまざまな技術が実施され得る。一つの事例では、数MHzから25~30GHzの速度で強度減衰を提供するために、電荷制御マッハツェンダー構成を使用してもよい。強度制御要素の後、導波路4706を伝搬する光信号は、格子カプラ4704を介してPICから出力される。4チャネルのPICの実施形態の概略図が
図47に示されている。他の事例では、チャネルの数が増減し得る。最適なチャンネル数は、システム全体のパラメータ、より具体的には、各チャンネルが1つのモジュールに対応するため、自動車の周囲を360度完全にカバーするために必要なモジュールの数に依存する。各モジュールの視野、システムに必要な冗長性の程度、およびその他のパラメータに基づいて、異なる数のモジュール、従って異なる数のチャネルが使用され得る。他の事例では、入力および出力格子カプラは、断熱テーパー型導波路端部カプラで置換され得る。
【0114】
一つの事例では、送信機PICは、上部シリコン層が厚さ220nmまたは480nm、埋め込み酸化物層が厚さ2ミクロンのシリコンオンインシュレータで実施され得るが、500nmから10ミクロンの範囲の上部Si層および0.5~3ミクロンの範囲の埋め込み酸化物層などの他の基板が使用され得る。より厚い上部シリコン層の使用は、導波路での高出力が望ましい特定の事例において、2光子吸収および自己位相変調などの非線形効果の発生を防止するために、有利である。導波路断面積を大きくすることにより、一定の入力パワーにおける導波路のパワー密度が減少するため、前述の非線形効果の発生を防止することができる。一方、より厚いシリコン層の使用、従ってより大きな導波路の使用は、大きな損失なしに実施される導波路の湾曲部の最小曲率半径を増加させるという悪影響を及ぼし得る。最適なシステム設計のために、上部シリコン層の厚さ、したがって導波路の断面積が、非線形効果の発生と設計のコンパクトさとの両方を最適化するために選択され得る。別の事例では、格子とファイバの結合効率を向上するために、さまざまな埋め込み酸化物の厚さと、格子セクションの埋め込み酸化物とSiエピ層との間にシリコンと酸化物の交互層を含む多層構造とが使用され得る。説明した事例に加えて、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、波長選択カプラ、ビームスプリッタ、スイッチ、偏光スプリッタ、偏光回転子、アイソレータ、検出器、レーザー光源など、任意の他の受動的または能動的光学機能が送信機PICにモノリシックに実装されるか、またはハイブリッド集積により実装され得る。
【0115】
各種事例では、複数の波長で出射光信号を生成し、かつマルチスペクトルライダーシステムを作成するために、
図48で説明したような異なる構成のPICが使用され得る。マルチスペクトルライダーシステムは、出射光信号に対して複数の波長を利用し得る。複数の波長の使用は、媒体を通る光信号の伝搬損失が媒体の化学組成の変化に伴って変化する状況、またはソフトな障害物とハードな障害物のような異なる障害物のタイプを区別する必要があるような状況において有利になる可能性がある。
【0116】
別の事例では、送信機PICは、送信機の各チャネルに対して第2の光波長を生成するために、追加の能動的機能要素としてラマン波長変換器を組み込む。ラマン効果は、光の光子が結晶の振動モード上で非弾性的に散乱し、結果として低エネルギー(長波長)の光子を生成する非線形効果である。シリコンの場合、周波数/波長シフトは結晶構造に依存し、521cm-1である。ポンプの強度が十分に大きくなると、プロセスが刺激され、光ポンプレーザーを構築することができる。光ポンプラマンレーザーでは、高強度ポンプレーザーがレーザーキャビティに結合され、レーザーキャビティは、ラマンシフト波長で共鳴条件を満たすように設計されたリングキャビティまたは線形キャビティとすることができる。
【0117】
図2および
図48に示す例では、レーザー信号生成ユニット101から着信する光信号は、断熱テーパー型導波路端部カプラまたは格子カプラ4801を介して送信機PIC4800に結合される。波長λ0の信号は、波長選択カプラ(WSC:wavelength selective coupler)4803に伝搬し、WSCを介してリング共振器4802に結合する。リング共振器4802は、波長λ1のラマンシフト光信号に対する共振条件を満たす、即ち、キャビティがラマン波長で高Q係数を有するように設計することができる。リングを1回トリップした後、波長λ0のポンプ光信号は、カプラ4803を介してリングから出射される。ポンプ信号λ0および波長λ1のラマンシフト信号の両方を含むリング共振器4802の出力は、2つの異なる波長の信号を分離する波長選択カプラ4804の入力に導かれる。波長λ1の信号は、WSC4806の入力に向けられ、かつ2次ラマンシフト信号λ2に対する共振キャビティになるように設計されたリング共振器4805用のポンプとして使用される。波長λ2のラマンシフトされた光信号は、波長選択カプラ4807によって波長λ1のポンプ信号から分離される。WSC4807の波長λ2の出力は、波長λ2の信号を4つのチャネルに分割できるように、1x2MMI4808のツリーに向けられる。4つの光信号は、導波路を介して可変光減衰器4809の入力に向けられる。可変光減衰器4809の出力は、導波路を介して波長選択カプラ4811の入力に向けられる。下部アームでは、波長選択カプラ4804の波長λ0の出力が1x2MMIツリー4813の入力に向けられて、基本波長λ0の光信号が4つのチャネルに分割される。分割後の光信号は、可変光減衰器4810を介して導波路を通過し、波長選択カプラ4811に向けられる。波長λ0およびλ2の2つの入力は、波長選択カプラ4811によって合成され、かつ導波路を介して格子または断熱テーパー型導波路カプラ4812に向けられる。一つの事例では、格子カプラ4812は、λ2、λ0波長の両方で高効率を達成するように設計された格子パラメータ(周期、エッチング深さ、材料組成)を有する。4チャンネルデバイスが例示されたが、システム設計に応じて、例えば6~8チャンネル以上のような、任意の数のチャンネルを使用することができる。一つの事例では、基本波の動作波長は1550nmであり、第1のラマンシフトλ1は1686nmであり、第2のラマンシフト波長λ2は1848nmである。上記の事例では、出力がλ0およびλ2の2ステージラマンシフトシステムについて説明したが、λ0およびλ1の出力を有するシングルステージなどの波長のその他の組み合わせ、またはλ0、λ1およびλ2のまたは任意の他のラマン高調波の組み合わせの出力を有するデュアルステージを作成することができる。
【0118】
ビームステアリングモジュール
図49に示すように、光学処理モジュール200の格子204からの複数の光学信号の各々は、光ファイバ4903を介してビームステアリングモジュール4901に送信され得る。一つの事例では、伝送に使用されるファイバは、1550nmのレーザー信号を搬送するシングルモードファイバとすることができる。ビームステアリングユニットの事例が
図49に示される。
【0119】
コリメータ4904は、ファイバ4903から出射する光をコリメートし、固定ミラー4905に送り、そこでMEMSミラー4906に反射される。MEMSミラー4906は、水平方向および垂直方向にラスタリングパターンまたはリサージュパターンを実行する。1つの事例では、水平軸の周波数は10KHz、垂直軸の周波数は10.2KHzであり、これらは両方ともミラーに対する共振周波数である。他の範囲、例えば、10~30KHzが水平および垂直に使用され得る。事例では、水平軸を10~30KHzの範囲などの高周波で共振で駆動し、垂直軸を所望のフレームレートに応じた50~100Hzなどの、共振周波数を下回る準静的領域で駆動することができるラスタリングパターンを使用することができる。100から500Hzなどの他の範囲は、垂直軸のラスタリング動作に使用され得る。別の事例では、両方の軸は、リサージュパターンを生成する正弦関数を使用して共振で駆動される。この場合、ミラー設計のサイズおよびジオメトリが共振周波数を決定するため、ミラーの物理設計に応じて、駆動周波数は、水平軸と垂直軸の両方に対して10~30KHzの範囲内であり得る。駆動周波数間の間隔によって、フレームレートが決定される。このように、水平軸と垂直軸の動作間の周波数の好ましい間隔は、ミラーの製造が容易となるより大きな間隔で所望のフレームレートを達成するために、50~200Hzの範囲であり得る。所望のフレームレートは、より高速またはより低速の画像更新レートに関するライダーシステム要件全体に従って決定され得る。この周波数範囲での動作は、自動車の機械的振動の影響を受けにくい可能性がある。一つの事例では、垂直角度の範囲は25度であり、水平角度の範囲は40度である。40~80度の水平角度の範囲および25~90度の垂直角度の範囲などの他の範囲が使用され得る。出射した第1の光信号ビームはターゲットから反射され、反射された信号ビームの一部は、レンズ407によって収集され、検出器アレイ4908上に合焦される。
【0120】
システムでは、それぞれが1つのチャネルに対応する1つまたは複数のビームステアリングユニットが使用される。車両の周囲のすべてのエリアに所望のレベルのカバレッジを達成するために、多数のユニット、したがって1~10の多数のチャネルを有する個別の事例が使用され得る。
【0121】
検出モジュール
パルス領域で検出器の性能を向上させ、かつ信号対ノイズ比を向上させるために、波長範囲、視野、時間ウィンドウ、帯域幅の4つの次元のいずれかで信号を探索するウィンドウを縮小することができる。格子カプラを介した戻り信号の結合により、受信機PIC4908のイメージセンサは、非常に狭い波長範囲および視野で設計される。格子への入射角と動作波長の両方に対する格子の感度により、格子カプラは戻り光の極めて選択的なフィルタとなる。さらに、高速の電気光学ゲートを追加すると、信号対ノイズ比を改善するために、複数のゲートに亘って信号が平均化される場合に、時間ゲート検出およびボックスカー技術(boxcar techniques)の適用が可能になる。一つの事例では、光を受信機に結合する格子は、受信機の動作波長以外の光をフィルタ除去するために、1~10nmの範囲の3dB帯域幅などの非常に狭い波長帯域幅を有するように設計されている。別の事例では、光を受信機に結合する格子は、受信機の対応するピクセルの角度範囲内に存在しない任意の光をフィルタ除去するために、0.25~2度の範囲で3dBの帯域幅などの非常に狭い受光角度を有するように設計されている。
【0122】
検出モジュール4902は、コリメートレンズまたはマルチレンズ撮像アセンブリ4907および受信機PIC4908を含み得る。受信機PIC4908は、N×Mピクセルのアレイ5000を含み得る。一つの事例では、ピクセル数は1024x256であるが、他のピクセル密度を使用することもできる。追加の事例では、アレイサイズは128x128などの小さいサイズ、または256x256、512x512、4096x4096などの大きいサイズにすることができる。対称設計または非対称設計を使用して他の範囲が使用され得る。より多くのピクセルを有するより大きなアレイは、ピクセルサイズおよびピクセル設計に応じて、より広い視野またはより高い解像度を提供する。さらに、大きなアレイは、検出器を機械的に移動させる必要なく、大きな視野に対応する画像を同時にキャプチャすることができる。
【0123】
光信号の各々が対応するビームステアリングユニット4901によって制御されるターゲット位置に到達すると、ターゲットから散乱された信号の一部がレンズ4907によって収集され、
図50に示されるように、受信機PIC4908のピクセルアレイ5000上に合焦される。
【0124】
サンプルセル5100は、PIC4908の平面全体にわたって繰り返され得る。格子カプラ5101は、戻り光を平面回路に結合し得る。光は、導波路5104を介して電気光学時間領域ゲート5102に導かれ、続いて導波路5105を介して高速導波路光検出器5103に導かれ得る。一つの事例では、光検出器5103は、アバランシェ光検出器(APD:avalanche photodetector)を含むことができる。一つの事例では、APD5103はシリコン上で成長したゲルマニウム検出器を含むことができる。電気光学ゲートは、電界吸収ベースのデバイスとするか、またはデバイス5202などのマッハツェンダー構成を有することができ、位相制御が電荷効果または熱効果またはデバイス5300などのリング変調器構造によって達成される。一つの事例では、電気光学ゲートは、電荷ベースのシリコンデバイスを含むことができる。別の事例では、電気光学ゲートは、ゲルマニウムオンシリコン(germanium on silicon)の電界吸収ゲート、またはシリコンプラットフォーム上で成長または集積された任意の他の材料を含むことができる。
【0125】
ゲート検出
時間領域ゲート検出は、
図54に示すように、特定の関心領域に関連付けられた短い間隔の間、検出器を戻り信号に対して露出することができる技術である。方法は、ライダーシステムの視野内に複数の障害物、または薄霧、蒸気、あるいは一般的に雑然とした背景のような遮蔽物がある場合に非常に効果的である。関心範囲に対応する時間間隔の間にのみ検出器のゲートを開くことにより、他のすべての障害物からの戻り信号が排除され、信号対ノイズ比が改善され得る。一つの事例では、高速ゲート5102、5202、および5302を使用して、ゲート検出を実施し、パルスごとに所望の関心範囲を調整することができる。一つの事例では、ゲート5202は、2つの出射レーザーパルス間の全時間間隔中に開いて、その結果、遮蔽物5401、障害物5402、5403、5404などの視野内の複数の障害物からの信号を示す戻り信号をもたらすことができる。障害物のより高い品質の検出、例えば、関心領域5405の障害物のより高い信号対ノイズ比が、ライダーシステムの入力を使用するロボットシステムによって望ましいと仮定すると、一つの事例において、次のパルスにおいて、ゲート5102は、障害物5402の周囲の関心領域からの戻り信号が検出器に到達すると予想される時間のみ開いて、視野内の他のすべてのノイズ源を除去し、関心範囲に対する信号対ノイズ比の改善がもたらされる。一つの事例では、ゲーティングは、ピクセルアレイ5000に実装されている各検出器の前のシリコンファブリック上に直接構築された電気光学ゲートを使用して実施することができる。一つの事例では、構成は、シリコンオンインシュレータプラットフォームおよび
図50および51-53で説明されているような個別の変調器設計を使用して実施される。複数のゲートは、異なる時間に設定されて、さまざまな関心領域に問い合わせる(interrogate)ことができる。一つの事例では、レーザーパルス間の全期間中にゲートが開いた後、障害物5402の周囲の関心範囲に対応する期間中にゲートが開き、その後、障害物5403に対応する関心範囲に対するゲートが開き、その後、障害物5404に対応する関心範囲に対応するゲートなどが続く。一つの事例では、ピクセルアレイ5000の各ピクセルは、
図51~53に記載されているようなゲーティングピクセルを含むことができる。一つの事例では、ピクセルアレイ5000の各ピクセルのゲートは、同じフレーム内で様々な深さでサンプリングできるように独立して制御され得る。一つの事例では、アレイをピクセルのサブセットに動的に分割することができ、各サブセットは、複数の関心領域の作成につながる異なる時間ゲートを有し、各関心領域は同じ時間ゲートを有するピクセルのサブセットに対応する。
【0126】
ガイガーモード(GM:Geiger mode)APD検出
ガイガーモード検出では、降伏電圧を超える短時間の間にAPDがバイアスされ、大きな電圧バイアスの結果、接合部に入射する光子がキャリアのアバランシェを引き起こす。線形モードのAPD領域とは異なり、ガイガーモードでは、生成されるキャリアの数は入射光子束に比例しない。比例性がなくゲインが非常に高いことに起因して、GM検出器は、非常に低い光子束で、特にゲートあたりの光子検出確率が1未満(典型的には、ゲートあたり光子検出確率0.2)で最適に動作する。この領域では、GM APDは、「理想的な」検出器特性、即ち、入射するすべての光子を検出する検出器に近づく。また、このことに起因して、検出器は、入射光子の有無のみを記録するため、本質的にデジタルである。APD検出器を使用してガイガーモードで動作するシステムの場合、出力は、単一の範囲の測定値を生成するために、ヒストグラムとして分析またはプロットされる独立した測定値の集合とすることができる。上記の考慮事項に加えて、高感度と1つの距離測定に寄与するために複数のパルスが必要であることに起因して、GM APDに基づくシステムは、非常に短いパルス(例えば、ns以下)および比較的低いピークパワーを用いて高い繰り返し率(例えば、MHz以上)で動作するのに有利である。このようなシステムを動作させるためのピークパワーは、送信機とターゲット間の距離に依存して大きく変化し得る。100メートルを超える範囲を達成するには、1nsの長さおよび20mWの低さのピーク電力のパルスが使用され得る。100メートルを超える拡大された範囲に到達するために、10~1000mWの範囲など、より大きなピーク電力が使用され得る。送信機のピークパワーとパルス長の制御に加えて、各ピクセルの高速ゲートを使用して、ガイガーモードで動作する検出器に入射する光の量をさらに制御し、かつパルスごとの光子入射確率を調整し得る。
【0127】
一つの事例では、ピクセルアレイ5000内の検出器5103、5203、5303はガイガーモードで動作する。検出器の戻り入射信号をゲーティングするために変調器5102、5202、5302が使用される。一つの事例では、検出器上の検出された光子の有無を示すデジタル信号を処理してヒストグラムを作成して、時間ゲートによって規定される関心範囲内の障害物の存在を判断することができる。一つの事例では、シリコンプラットフォーム上に検出器のGMアレイを作成できるが、III-V半導体などの他の材料システムを使用することもできる。
【0128】
他の応用のためモジュラーアーキテクチャの変形例(送信機、受信機、レーザー光源のシングルチップ集積化、CWコヒーレント検出)
上記の例は自動車およびその他の大型フォームファクターのプラットフォームに関するものであるが、複数の光学機能のチップスケール集積アプローチに起因して、モジュラーシステム100の集積例は、小型フォームファクターにおける他の応用および潜在的に長期的には低電力の自動車応用にも適用可能な汎用性を有する。一つの事例では、レーザー光生成モジュールは、1つまたは複数のチャネルを含む送信機PIC200、1つまたは複数のビームステアリングモジュール401、および検出モジュール402とともに集積される1つのみのダイオードレーザーチップを含み得、
図55および56に示される事例などのように、低コスト、先進運転支援システム(ADAS)、完全自律型自動車システム、ドローン、小型ロボット応用、その他の応用に適した低フォームファクターパッケージに集積される。
【0129】
一つの事例では、レーザー光源5501は、集積シリコンチップ5500上に直接ボンディングされる。一つの事例では、集積シリコンチップ5500は、モノリシックに集積された送信機機能および受信機機能、ならびにシリコンプラットフォーム上にボンディングされた光レーザー光源を含み得る。代替的に、レーザー光源は、チップ外に存在し、格子またはエンドカプラを介してシリコンチップにファイバ結合され得る。
【0130】
図55に示された例では、レーザー5501からの光信号はシリコン導波路に結合され、かつタップカプラ5502の入力に導かれ、タップカプラ5502は、光信号を振幅変調器5504および位相変調器5503を通過するように向けられる第1の信号と、センサアレイ5507に局部発振器光を提供するためにスイッチアレイ5506への入力に向けられる第2の信号とに分割する。第1の信号は、格子カプラ5505を介してチップから出力される。断熱導波路カプラが、格子カプラ5505の代わりに使用され得る。この事例では、送信機および受信機の機能がすべて同じチップに集積され、レーザー光源チップがシリコンチップに直接取り付けられ得る。チップ5500は、
図13に示されるビームステアリングおよび検出モジュール1400の一部として使用され得る。図示された例では、格子カプラ5505からの第1の光信号は、レンズ1401によってコリメートされ、ミラー1402に向けられる。ミラー1402から反射した信号は、MEMSミラー1403に向けられる。MEMSミラー1403によって反射された第1の光信号は、ターゲットに向けられる。ミラーは、所望の視野をカバーするためにラスタリングパターンまたはリサージュパターンを実行する。一つの事例では、視野は垂直で25度、水平で50度にすることができる。40~80度の水平角度の範囲および25~90度の垂直角度の範囲などの他の範囲が使用され得る。ターゲットから反射した第1の光信号は、センサアレイ5507の格子5508により結合され、アレイ5507の局部発振器と合成され、電気信号に変換される。上記の事例では、集積のためにシリコンオンインシュレータプラットフォームを使用しているが、他の事例では、InPなどの他の材料が使用され得る。
【0131】
シングルチップ集積構成の代替アプローチには、送信機セクションにおいて、出射信号の位相および振幅を独立して変調する同相/直交変調器の使用が含まれる。受信機セクションにおいて、一つの事例では、1x2熱光学スイッチのツリーの代わりに、
図56Aで説明されるようなNアッドドロップリング(add drop ring)構造で構成される1xN光スイッチを使用することができる。一つの事例では、
図56Bに示すように、アッドドロップリングの制御構造は、光モードが主に固有の導波路領域(intrinsic waveguide area)を伝搬するようにPINダイオードを含むことができる。PIN電荷注入ベースのスイッチを使用する利点は、熱光学スイッチのツリーと比較して優れた速度を提供することである。さらに、PIN構造を使用することにより、スイッチのオフモードにおける損失が少なくなる。一つの事例では、スイッチは1x128スイッチとすることができる。1x256、1x512、1x1024、または1x64などの他のスイッチ構成は、ピクセルアレイ5607での局所発振器信号の動的、シリアル分配か静的、同時分配かに使用され得る。アレイ内のピクセル数が固定の場合、より大きなスイッチは、局部発振器光が同時に提供されるより小さなブロックを有するアレイの可能性を生み出し、一方、より小さなスイッチは、局部発振器光信号が同時に供給されるより大きなブロックを作成する。
図56Aに示された例では、レーザー5611からの光信号はシリコン導波路に結合され、かつタップカプラ5612の入力に導かれ、タップカプラ5612は、光信号を同相/直交変調器5613を通過するように向けられる第1の信号と、センサアレイ5617に局部発振器光を提供するために1xNスイッチ5614への入力に向けられる第2の信号とに分割する。第1の信号は、格子カプラ5615を介してチップから出力される。断熱テーパー型導波路カプラが、格子カプラ5615の代わりに使用され得る。この事例では、送信機および受信機の機能がすべて同じチップに集積され、レーザー光源チップがシリコンチップに直接取り付けられ得る。チップ5610は、
図13に示されるビームステアリングおよび検出モジュール1400の一部として使用され得る。変調方式に関して、ハードウェアプラットフォーム5610は、周波数変調連続波ライダープラットフォームを可能にする。周波数変調連続波ライダーは、位相変調を使用して光信号f
0の周波数f
0を新たな周波数f
0+f
IFにシフトし、同時にCWレーザーのチャープ振幅変調によってf
0+f
1とf
0+f
2との間の周波数チャープを実現することができるライダー技法である。中間周波数f
IFは、(f
1+f
2)/2においてチャープウィンドウ内で中心に配置される。一つの事例では、f
IFは3GHzとすることができ、チャープウィンドウは1.5GHzから4.5GHzとすることができる。1~10GHzなどの中間周波数に対する他の周波数範囲が選択され得、チャープは100MHz~50GHzの範囲であり得る。I/Q変調器により、周波数シフトと周波数チャープの両方のタスクを実行することができる。一つの事例において、周波数変調技術は、シリコンオンインシュレータにおいて集積されたトランシーバを用いて実施され得る。III-VまたはLiNb、または材料の組み合わせなど、他の材料が実施の際に使用され得る。
【0132】
一つの事例では、電荷制御1xNスイッチ5614の構造が
図56Bに示されている。一つの事例では、1x2MMIスプリッタ5612からの第2の信号は、導波路5621を介してスイッチ5614の第1の要素5620に向けられる。「オフ」状態では、光信号は導波路5626を通過する。「オン」状態では、ドープされたセクション間に電圧が印加され、電荷が導波路5621とリング共振器5627との間の結合セクションに注入されて、屈折率の変化が生じる。電荷誘導による屈折率の変化の結果として、第2の光信号は導波路5625に向けられる。
【0133】
図57Bに示す別の事例では、位相変調器5703と振幅変調器5704の組み合わせの代わりに、同相/直交変調器5723を使用することができ、スイッチアレイ5711の代わりに、1×Nスイッチ5724を使用することができる。同相/直交変調器5723および1xNスイッチ5724は、IQ変調器5613および1xnスイッチ5614と同じ原理で動作し、同じ目的を果たし得る。より具体的には、IQ変調器を使用して、周波数変調連続波手法を実施し、電荷制御1xNスイッチは、最適な損失バジェット(loss budget)内で局所発振器光信号の高速スイッチングを提供する。
【0134】
フェーズドアレイアーキテクチャ
光フェーズドアレイは、低損失で効率的なビームステアリングを実現するために必要な性能特性を実現するために、いくつかの競合する設計パラメータ仕様を有する。フェーズドアレイによって生成された光場の遠方場パターンは、中央ピークとそれに続く中央ピークの両側のサイドローブを示す。中央ピークとサイドローブとの間の間隔が最大ステアリング角を規定する。中央ピークとサイドローブとの間の分離角は、次の式で与えられる。
【0135】
sin(Δφ)=λ/d
ここで、Δφは、中央の最大値と第1のサイドローブとの間の角度とすることができ、λは光の波長とすることができ、dはアンテナ間の間隔とすることができる。中央ピークとサイドローブとの間の大きな間隔、したがって大きなステアリング角を実現するために、アンテナ間の間隔は数波長に維持される必要がある。一方、中央ピークに集中するエネルギーを増加させるには、多数のアンテナが望ましい。最後に、ステアリングを制御するために、導波路が移相器からの光を各アンテナに導く。アレイ内の多数のアンテナの競合するパラメータ仕様、アンテナ間の小さな間隔、および導波路を介したアンテナへのアクセスは、本質的に二次元構造のスケーリングを困難にする。この問題を克服する1つのオプションには、多層アンテナアレイの作成が含まれる。一つの事例では、アンテナの同心正方形リングが異なる垂直層に配置され、内側の正方形は最下層に存在し、外側の正方形リングは構造の最上層に存在する。
図58Aに示すように、上部および下部位相変調器ブロック5802、上部および下部MMIツリー5801はすべて、結晶シリコン最下層に位置する。変調器のブロック5802で位相制御が行われた後、選択導波路からの信号は、セクション5804上の連続した垂直カプラを介して上位層に垂直に結合される。セクション5804の結合長を調整することにより、導波路がオーバーラップを実現し得るセクション5803での結合なしで、セクション5804での垂直結合の同時実現が可能となる。中央ピークとサイドローブとの間の15度を超える分離、したがって15度を超えるステアリング角度を実現するために、アンテナ間の間隔は、非常に小さく、例えば4~5ミクロンであり得る。結果として、1つの正方形リングの幅、したがってセクション5803の垂直オーバーラップセクションは、数十ミクロンのオーダーであり得る。一つの事例では、セクション5804の垂直カプラは、1000ミクロンを超えるオーダーの結合長を有するように設計されているため、セクション5803の寄生結合は無視できるほど小さい。セクション5804の結合長とセクション5803の導波路のオーバーラップとの比が10より大きく、セクション5803上の2つの異なる隣接する垂直層における2つの導波路間の寄生結合が10%以下などで無視できる場合、400から4000ミクロンなどの異なる範囲の結合長が使用され得る。一つの事例では、連続する層間の酸化物層5811の厚さは、導波路5812から導波路5813へのモードの結合長が2000ミクロンとなるようにすることができる。一つの事例では、セクション5803のアンテナ間の水平方向の間隔は、両方向で5ミクロンとすることができる。各層で、矩形リングのアンテナは、互いに5ミクロンだけ離間した4つのリングのアンテナを有し得る。3~50ミクロンなどのアンテナ間の異なる間隔、およびアンテナ間の不等間隔が使用され得る。また、1つの層内に4~20個のリングの範囲など、1つの層内の異なる数のリングが使用され得る。結果として、層5812におけるアンテナにアクセスする導波路と層5813におけるアンテナにアクセスする導波路との間の最大オーバーラップは60ミクロンであり得るが、最適なルーティングにより、このオーバーラップはさらに低減され得る。セクション5803の2つの垂直層における導波路の最適なルーティングは、隣接する垂直層に位置する2つの導波路間の光信号の寄生結合を最小化する場合に得られる。この条件は、導波路を分離する酸化物層の厚さを最小化することができる導波路の長さがオーバーラップするときに達成される。導波路5812と5813との間の光学モードの垂直結合長を2000ミクロンとすることができる事例では、セクション5803の寄生結合は無視できると予想される。セクション5804における結合長とセクション5803におけるオーバーラップとの比が10を超えると、寄生結合が小さくなるか、または無視できる程度になる。
図58C-58Fに示されている事例は、アンテナの32x32フェーズドアレイを示す。この事例では、アンテナは、リングの4つの同心状の組に配置され、各組は1つの層に配置されている。各組は、各々5ミクロンだけ離間した4個のリングを含む。このようなアンテナのアレイは、サイドローブ、したがって約18度のステアリング角を与えると予測される。128x128、64x64などのより大きなエミッタのアレイ、または16x16などのより小さなエミッタのアレイが使用され得る。より大きなアレイは、より低発散のビームが生成され、サイドローブの潜在的により良好な抑制がもたらされ得るが、アンテナの制御に関連する位相器の数が増加するので、ステアリングに必要な電力がより大きくなる。16x16などのより小さいアレイは、ビーム発散がより大きく、同じアンテナ間間隔に対するサイドローブの抑制が少ないが、消費電力がより低下する。
【0136】
2つの最上層5814および5815の各々に関してアンテナおよびアンテナへのアクセス導波路のレイアウトの事例が
図58C~58Fに示される。一つの事例では、3つのアクセス導波路は、最外側のアンテナの各2つの間でルーティングされる。一つの事例では、2つの連続するアンテナ間の間隔は5ミクロンとすることができ、アクセス導波路間の中心間の間隔は1.25ミクロンとすることができる。導波路間のサブミクロンなどの密接な分離は、数ミクロンから数十ミクロンなどの短距離でのみ維持されるため、アクセス導波路間の寄生結合は10%以下など無視できると予想される。
【0137】
別の事例では、ライダーシステムの視野を決定するフェーズドアレイのステアリング角に対するステアリング角の要件を満たすようにアンテナ間の他の間隔が選択され得る。一つの事例では、高いサイドローブの抑制と、遠方場パターンにおける15度以上などの中央最大値とサイドローブとの間のより大きな分離またはビームの可変角度発散とを達成するために、アンテナ間の間隔は、アンテナのアレイにわたって可変とすることができる。別の事例では、アンテナ間の間隔に加えて、各アンテナから放射される光信号の位相と、各アンテナから放射される光信号の振幅とが、遠方場において所望のパターンを達成するために変更される。一つの事例では、アレイ内の各アンテナから放射される光信号の振幅および位相を調整することにより、アレイの法線に対する角度、ビームの発散、およびターゲットへの入射点におけるビーム断面の形状を含む遠方場における光信号特性がリアルタイムに調整される。
【0138】
非対称フェーズドアレイ
別の事例では、ライダーシステムの2方向のステアリング角度仕様に対応するために、x軸およびy軸に対してアンテナ間の間隔が異なり、典型的には、水平ステアリング角度仕様は垂直ステアリング角度仕様よりも大幅に大きい。一つの事例では、9度のサイドローブの分離および18度の垂直方向の視野角に対応するためにアンテナ間の間隔に対して10ミクロンの間隔が選択され、18度の中央ピークとサイドローブとの間の分離および18度の水平方向の視野角に対応するためにアンテナ間の間隔に対して5ミクロンの間隔が選択される。アンテナ間の間隔のための他の範囲は、式に示すように異なるステアリング角度範囲につながる3~50ミクロンなどを選択することができる。
【0139】
sin(Δφ)=λ/d
別の事例では、ライダーシステムの視野に対する全体的な仕様を満たすためにアンテナ間の他の間隔が選択され得る。一つの事例では、アンテナ間の間隔は、所望の遠方場パターンを達成するために、アンテナのアレイにわたって可変とすることができる。別の事例では、アンテナ間の間隔に加えて、各アンテナから放射される光信号の位相と、各アンテナから放射される光信号の振幅とが、遠方場において所望のパターンを達成するために変更される。一つの事例では、アレイ内の各アンテナから放射される光信号の振幅および位相を調整することにより、アレイの法線に対する角度、ビームの発散、およびターゲットへの入射点におけるビーム断面の形状を含む遠方場における光信号特性がリアルタイムに調整される。
【0140】
連続波コヒーレント検出ベースのシステムの例として、上記で設計されたフェーズドアレイと、受信機および送信機モジュールとの集積とが示されているが、別の事例では、直接強度検出を使用するパルスシステム用に
図59に示すように、フェーズドアレイ5801は、同じチップ上にピクセルアレイ5000および送信機200ともに集積化することができる。
【0141】
図60は、周波数チャープ光ビームを提供するための方法6000を示す。連続波光源を使用して、光ビームが提供される(ステップ6010)。光ビームは、平面導波路に結合され、かつ第1の部分と第2の部分に分割される(ステップ6020)。分割された光ビームの第1の部分は、同相変調される(ステップ6030)。分割された光ビームの第2の部分は、直交変調される(ステップ6040)。第1の変調部分と第2の変調部分とを合成して、周波数チャープ光ビームが形成される(ステップ6050)。位相シフトが合成光ビームに提供されて、周波数チャープ光ビームの位相を調整する。分割された光ビームのN個の変調された光ビーム間の相対位相オフセットが低減される。光ビームのパワーは、非線形効果の発生が起きる、導波路断面に対応するパワーレベル未満に低減される。非線形損失を低減するために、光ビームのパワーが約50mw未満に減少される。
【0142】
図61は、光集積回路を使用して光ビームの周波数および位相を検出するための方法6100を示す。自由空間光ビームの一部が、格子カプラを使用して受信される(ステップ6110)。局部発振器と自由空間光ビームの受信した一部とが信号ミキサに提供される(ステップ6120)。自由空間光ビームと局部発振器との合計に対応する第1の出力が提供される(ステップ6130)。局部発振器と自由空間光ビームとの間の差に対応する第2の出力が提供される(ステップ6140)。局部発振器は、複数のミキサに実質的に同時に提供される。局部発振器は、複数の信号ミキサに順次提供される。第1の出力は電気信号に変換され、第2の出力は第2の電気信号に変換され、第1の電気信号と第2の電気信号との間の差を使用してノイズが低減された検出信号が提供される。複数の格子カプラが提供され、複数の格子カプラの格子周期、デューティーサイクルまたは二次元トポロジーは、受信した自由空間光の異なる入射角に対応するために光回路上の位置とともに変化する。m次回折次数に対応する自由空間光は、第1の格子カプラを使用して結合され、n次回折次数に対応する自由空間光は、第1の格子カプラに隣接する第2の格子カプラを使用して結合される。自由空間光ビームの対応する部分は、複数の信号ミキサのサブセットに関して受信され、複数の信号ミキサによって提供される電気信号は同時に処理される。複数のビート周波数または位相は同時にまたは順次検出される。異なる波長の自由空間光ビームが同時に受信される。
【0143】
図62は、光ビームの動的ステアリングを提供するための方法6200を示す。空間的配列の格子カプラを使用して、屈折光学要素に向かって光ビームが放射される(ステップ6210)。屈折光学要素を使用して、光ビームがターゲット領域に向けられる(ステップ6220)。空間的配列の格子カプラにおいてどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、ターゲット領域における光ビームの位置が調整される(ステップ6230)。空間的配列の格子カプラは、異なる方向を有するグループに分割される。光ビームの位置は、空間的配列の格子カプラにおいてどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、二次元で調整される。屈折光学要素の焦点距離および位置は、約0.1度未満の光ビームの発散を提供するように選択される。マッハツェンダースイッチまたはリングベースのスイッチを使用して、空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかが選択される。光ビームの発散角は、屈折光学要素を使用して調整される。
【0144】
図63は、周波数チャープ光ビームを動的にステアリングするための方法6300を示す。連続波光源を使用して、光ビームが提供される(ステップ6310)。光ビームが平面導波路に結合され、かつ第1の部分と第2の部分に分割される(ステップ6320)。分割された光ビームの第1の部分は、同相変調される(ステップ6330)。分割された光ビームの第2の部分は、直交変調される(ステップ6340)。分割された光ビームの変調された第1の部分と分割された光ビームの変調された第2の部分とが合成されて、周波数チャープ光ビームが形成される(ステップ6350)。空間的配列の格子カプラを使用して、屈折光学要素に向かって周波数チャープ光ビームが放射される(ステップ6360)。屈折光学要素を使用して、周波数チャープ光ビームがターゲット領域に向けられる(ステップ6370)。空間的配列の格子カプラのうちのどの格子カプラが屈折光学要素に向かって光を放射するかを選択することにより、ターゲット領域における周波数チャープ光ビームの位置が調整される(ステップ6380)。
【0145】
図64は、振幅変調された光ビームを提供し、かつターゲット領域から受信した自由空間光ビームを検出するための方法6400を示す。光ビームが提供され、かつ半導体光回路内の複数の振幅変調器に結合される(ステップ6410)。1つまたは複数の振幅変調器を使用して、光ビームが振幅変調される(ステップ6420)。振幅変調された光ビームは、半導体光回路からターゲット領域に向かって出力される(ステップ6430)。1つまたは複数の格子カプラを使用して、自由空間光ビームの一部がターゲット領域から受信される(ステップ6430)。1つまたは複数の信号振幅変調器を使用して、自由空間光ビームの受信した一部が減衰されて、対応する検出器の飽和が低減される(ステップ6440)。
【0146】
図65は、誘導ラマン散乱により第1の波長を有する複数の光ビームから第2の波長を有する複数の光ビームを生成するための方法6500を示す。光ビームは、第1の波長で提供され、光ビームは、2つの異なる波長を合成または分離するように構成される波長選択カプラに結合される(ステップ6510)。チューニングリング共振器を使用して、ラマンシフト高調波に対応する波長で100,000を超えるQ係数が提供され、リング共振器を使用して、第1の波長の光の一部がラマンシフト高調波に対応する第2の波長に変換される(ステップ6520)。ラマンシフトされた高調波に対応する波長を有する光ビームが、同じ波長の複数の光ビームに分割される(ステップ6530)。1つまたは複数の振幅変調器を使用して、分割された光ビームが振幅変調される(ステップ6540)。1つまたは複数の振幅変調器から受信した光ビームは、半導体光回路からターゲット領域に向かって出力される(ステップ6550)。
【0147】
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照が含まれている。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の例を示している。これらの例は、本明細書では「事例」とも呼ばれる。そのような事例には、図示または説明された要素に加えて要素が含まれる。しかしながら、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提供される事例も企図している。さらに、本発明者らは、特定の事例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、または図示または説明した他の事例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、図示または説明した要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは順列を使用した事例を企図している。
本明細書と参照により組み込まれている文献との間に矛盾した使用法がある場合、本明細書の使用法が優先する。
【0148】
本明細書では、特許明細書で一般的であるように、「a」または「an」という用語は、「少なくとも1つ」または「1つ又は複数」の他の事例または使用法とは無関係に、1つまたは複数を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、非排他的を意味するのに用いられ、または「AまたはB」は、特に明記しない限り、「AではあるがBではない」、「BではあるがAではない」、および「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(including)」および「そこで(in which)」という用語は、個々の用語「備える(comprising)」および「ここで(wherein)」の平易な英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項に記載された要素に加えて、その用語の後に記載された要素を含むシステム、装置、物品、組成物、製剤、または方法は、依然として特許請求の範囲にあると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして使用され、それらの対象に数値要件を課すことを意図していない。
【0149】
本明細書で説明する方法の例は、少なくとも部分的に機械またはコンピューターで実施することができる。いくつかの事例は、上記の事例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令がエンコードされたコンピューター読み取り可能な媒体または機械読み取り可能な媒体を含み得る。そのような方法の実施には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードなどのコードが含まれる。そのようなコードは、さまざまな方法を実行するためのコンピューター読み取り可能な命令を含んでもよい。コードは、コンピュータープログラム製品の一部を形成する。さらに、一つの事例では、コードは、実行中または他のタイミングになど、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピューター可読媒体に有形に格納され得る。これらの有形のコンピューター読み取り可能なメディアの例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスクなど)、磁気カセット、メモリーカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などが含まれる。
【0150】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上述の事例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討した上で、当業者などによって他の例が使用される。要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認できるようにするために提供されている。本明細書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するためにさまざまな機能をグループ化することができる。これは、特許請求の範囲に記載されていない開示された機能が特許請求の範囲に不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された事例のすべての特徴よりも少ないことにあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、事例として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個の事例として独立しており、そのような事例は、さまざまな組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲で権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。